« May 2005 | Main | July 2005 »

June 30, 2005

80.宇宙戦争

 地球を侵略する異星人たち、その武器は人類発生以前から地球の地下深くに埋められていたマシン「トライポット」。マシンは磁気バリアに守られていて、ミサイルやロケット砲も跳ね返す。人々は、異星人に次々とその生き血を吸われていく。しかし人類絶滅寸前、地球の空気と水を吸った異星人たちは、何故か無力化していく。それは、微生物の力だった。人類は地球上のあらゆる生き物、微生物もふくめ共存していかなければならない。オシマイ。
 というスペクタル超大作!は、スピルバーグがトム・クルーズと組んで作った映画である。トムが必死に守る娘役は、名子役ダコダ・ファニング。ただただ目を見開いてヒステリックに泣きわめき、父をてこずらせる役にされ期待はずれ。息子役のジャスティン・チャットウインはなかなかハンサムでこれからが期待される。
 「未知との遭遇」「E・T」で心やさしい異星人を描いたスピルバーグが、はじめて凶悪な異星人を登場させた。特撮工房ILMの映像も、こう見慣れてくると驚かない。
 全世界80ヶ国、昨日一斉に公開された。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 29, 2005

79.砂の器

暑いのに館外まで行列、中はもちろん満員。ウイークデーの昼下がりだけに、観客のほとんどは60代以上といってよい。私をふくめ働き盛りのころに感動した映画の、デジタルリマスター版である。
 撮影を担当した川又昂の監修で、マスターネガを復元した。デジタル・フイルム・スキャナーを使って、最大解像度4Kスキャニング、イマジカの技術もたいしたものだ。金色に輝く海の色、日本海の冬、桜吹雪、そして砂の器のシルエット、復元を越えた新しい映像美を見せる。 2チャンネル・ステレオの音声も、5.1チャンネル・ドルビー・デジタルに。菅野光亮作曲、交響曲「宿命」がクライマックスに響く。
 初めての公開は1974年。原作者の松本清張をはじめ、この4月には監督の野村芳太郎も85歳で亡くなった。渥美清、佐分利信、加藤嘉、笠智衆、殿山泰司ほか、脇を固めた多くの名優も鬼籍に入った。刑事役の丹波哲郎と森田健作、そして殺人犯で天才音楽家を演ずる加藤剛の演技が若々しい。
 31年前に涙し、テレビでも感動した映画に再び涙した。旧警視庁をはじめ当時の蒲田周辺、もう廃線となった中国地方のローカル線がなつかしい。
 

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 28, 2005

78.六月のシネマ(2)

 今月観た映画の一口コメント
 「マイ・ブラザー」
 いつも傍にいたから気付かなかった兄弟の強い絆、泣かせる「韓流」シネマである。シン・ハギュン(「JSA」)とウオン・ビン(「ブラザーフッド」)の二人の人気俳優が、優等生の兄と腕っ節の強い弟を演ずる。悲劇の幕切れだが、母親役のキム・ヘスクがいい。

 「ホステージ」
 最初から最後までハラハラドキドキのサスペンス・アクション映画。AMAZON.COMでベスト・スリラー賞に選ばれたロバート・クレイスの原作をブルース・ウィルスが映画化、主演はもちろんブルース。監督がフランス映画「スズメバチ」で名を上げたフローラン=エミリオ・シリ、ハリウッド進出第一作である。
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 27, 2005

77.六月のシネマ(1)

 今月観た映画の一口コメント。 

 「サハラ」
 ジェームズ・ポンドとインディ・ジョーンズを超える究極のヒーロー、「ダーク・ピット」シリーズ誕生第一作なのだそうだ。そのヒーローに「U-571」のマシュー・マコノヒー、ヒロインに「バニラ・スカイ」のペネロペ・クルス。死の砂漠脱出アクション映画。

 「フォーガットン」
 フォーガットンとは、忘れるの過去分詞。私などは十分にその予備軍だが、ジュリア・ムーア(「めぐりあう時間たち」「ハンニバル」)にとっては、そんな生易しいものではない。大切な人生が次々と消えていったらどうなる。「シックス・センス」以来、最も衝撃的なスリラーというのが、シアトルポストの評。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

June 26, 2005

76.焼酎バー「黒瀬」(11)

 最近のふるさと焼酎情報(南日本新聞から抜粋要約)

 「焼酎生産量 最高を更新」 鹿児島県産04酒造年度
 県酒造組合連合会の調べによると、本格焼酎の生産量が既に5月の段階で前年度を23.67%上回る23万5000㌔㍑と20万の大台を初めて越えた。出荷量も12万6000と5.6%の増、酒造年度6月末ではさらに高い数字が予想される。
 連合会では「芋焼酎の好調さが際立っており、今後も伸びる。三年後ぐらいが一つの目安か」と話している。また県外メーカーに麦焼酎などの原酒を供給する移出は5%増の5万9600㌔㍑、奄美群島だけで生産される黒糖焼酎の生産量も前年同期比54.3%増の1万5000㌔㍑と飛躍的に伸びている。

 「夢は焼酎造り~三宅島」
 4年5ヶ月の避難期間に荒れた農地に緑をよみがえらせよう、三宅島ではいぶすき農協から送られたサツマイモの苗の植付け準備が始まった。10年前までは、焼酎工場が操業していたこともあり、「専門家の指導を受けながら栽培を広げ、島のイモで焼酎を復活できれば」と島の産業観光課は期待している。

 「女性杜氏が古式焼酎再現」
 串木野の薩摩金山蔵で女性杜氏三人が明治以前の製法で焼酎をつくっている。仕込みは、米麹に水、酵母を加え醗酵したあとにサツマイモを加える現行の二次仕込み法ではなく、同時に仕込む江戸期の「どんぶり仕込み」を採用。生産性は低いが深い味わいと香りが出る仕込み法だという。蒸留も江戸以前に使われていたカブト釜式蒸留器を、新しく復元した。
 販売は予約制。秋に完成し、その後5年金山蔵の地下坑道内で熟成してから宅配する。銘柄は「熟成と共に福来り」、度数32度、720㍉㍑で7350円。

 「走れ!さつまいも電車」
 「さつまいも伝来300年記念イベント」で11月4~6日に運行する「さつまいも電車」の試運転が、先日行われた。電車は鹿児島駅前を夕方出発、谷山電停で休憩のあと鹿児島中央駅前を経由して鹿児島に戻る2時間のコース。
 参加者は、車窓の風景を楽しみながら、イモ入りさつま揚げやかき揚げなどを肴に、イモ焼酎やサツマイモビールを味わった。

焼酎バー「黒瀬」  03-5485-1313


| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 25, 2005

75,ひとまく会(3)

 毎月一回、歌舞伎座の四階立ち見席で最後の一幕を楽しむ「ひとまく会」。今月の出し物は、「良寛と子守」と「教草吉原雀」の舞踊ニ題。

 「良寛」は、昭和の初め坪内逍遥が創った新舞踊劇で、清元と義太夫にのって良寛(中村富十郎)が舞う。舞台は越後のある村はずれの地蔵堂の前、里の子等が遊んでいるところに、ほろ酔い加減の良寛が通りかかる。こども好きの良寛は、こども達と一緒に鞠をついたり鬼ごっこを。枯れた味わいのなかに人生を考えさせる作品。
 話題は、60代後半で結婚した富十郎の、孫のような長男大(6歳)と初お目見えの長女愛子(2歳前?)と一緒に出演していること。富十郎、踊りは枯れていたが見習うべきは、その元気。

 「教草」(おしえぐさ・・・)は、吉原の廓遊びのマニュアル!(もう役にはたたないが)を様々な風俗で踊ってみせる長唄舞。鳥売り夫婦が中村梅玉と魁春、鳥刺しの男を中村歌昇、投げ節や小唄と変化に富んだ曲と洒脱な踊りで吉原の賑わいを見せる。

 出演者はいずれも姓は中村。しかし屋号は天王寺屋(富十郎)、高砂屋(梅玉)、加賀屋(魁春)、萬屋(歌昇)と皆違う。役者を屋号で呼べるようになって、はじめて通の仲間に入れてもらえるのだそうだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 23, 2005

74.電車男

 いま評判の映画である。渋谷のアミューズCQNは、時間差上映しているA館もB館も満員だった。7割が高校生を含む若い女性、オジさんはチラホラ、入るのも気がひける。「黒瀬」で働く若い友人が出演しているので、勇気を出してもぐりこんだ。
 ネットのチャットで話題を呼び、活字本になった。東宝が目をつけ共同テレビが一気に作り上げた。監督はテレビドラマの早撮りで有名な村上正典、出演者もテレビ出身で固める。
 主役の電車男は、TV「ちゅらさん」で弟役を演じた山田孝之。薩摩男児なのだが、役は電車から引きずり落としたいほどイライラさせるオタク。ネットの応援でゲットしたセレブな彼女は、中谷美紀。こんなハッピーエンドはありえないと思うのだが、若い女性達はみな納得の表情。インターネットさまさまである。
 国仲涼子もネットで応援する看護婦役を可愛く演じているが、わが友人の役は見てのお楽しみ。来月からは、テレビ版も始まる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 22, 2005

73.焼酎バー「黒瀬」(10)

 前にも報告したが、鹿児島の芋焼酎の蔵元はおよそ100ヶ所、銘柄は1000を超える。その中から「黒瀬」で味わえる逸品を紹介していく。味の寸評は私の独断だが。
 まずは地元「杜氏の里 笠沙」から蔵元限定品の四銘柄から。
 「一どん」
 初代の黒瀬杜氏、片平一(はじめ)の愛称を銘柄名にした甕仕込み焼酎。「どん」とは尊称「殿」から。白麹と黄麹を合わせて使い、水は野間岳の岩清水。木樽で蒸留される。フルーティーな香り、しっかりした味。ロックがお奨め。製造量が少ないため酒店には置いてない。地元中心に。
 「薩摩すんくじら」
 笠沙は薩摩半島の左隅に位置している。まさに隅(すんくじら)で造られている焼酎。この地ではホエール・ウオッチも盛んだが。黒麹で仕込まれた古くからの馴染んだ香り。芋らしい辛口、伝統の味といえる。私は水で割って澗に。
 「黒瀬杜氏」
 白麹、常圧蒸留。村人たちが「ダイヤメ」で飲んでいたのがこの焼酎。甘口、口当たりは柔らかい。焼酎ブームが起こる前から全く変わらぬ味を維持続けている。6:4のお湯割りが良い。
 「笠沙恵比寿」
 恵比寿は漁業の神様。笠沙で美味しい肴を味わえる拠点が「笠沙恵比寿」。海を学び、海で遊ぶ、海の冒険館。町と漁協で創ったMuseum Resort。この名をつけた焼酎は軽やか。「ジョイホワイト」を原料に、黄・白で造った甘く芳醇な風味、女性にお奨め、ロックでも水割りでも。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 19, 2005

72.焼酎バー「黒瀬」(番外編)

 高校時代の級友たちが上京してきた。中学のクラス会に参加したあと、「黒瀬」に二次会を兼ねて訪ねてくれるという。うれしい。
 浜松町のホテルで懇親会を終えた彼等を、渋谷「ハチ公前」で迎える。郷里の先輩の彫刻家が造った像である。そのハチ公前で記念写真を撮りたい、という。そこは待ち合わせの若者たちに、埋め尽くされていた。しかし我々オジさんたちが分け入ると、彼等は素直に場所を空ける。カメラマンの前を横切ろうとする人を、キチンと整理してくれる。ふるさとから上京してきたオジさんたちにとって、これは驚きであった。
 駅から「黒瀬」まで、道はそんなに遠くない。懇親会で酒が入っているから仕方がないが、足取りは重い。ひとりが呟いた。「オレたちは、毎日車だからなー。歩くなんて久し振りだよ」。鉄道が廃線になりバスの便もカットされる。郷里では、年寄りも車の免許を取らなければ生活できない。
 東京で、飲みなれた地元の「焼酎」を酌み交わし、地元から送られてきた食材を楽しみながら、ふるさとの農業の将来や、老後のことなど語り合った。迎えた在京三人、ふるさとから八人、久し振りに楽しい夜だった。

「黒瀬」 渋谷区渋谷2-14-4    
        電話(5485)1313

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 18, 2005

71.炎のメモリアル

 「9.11」以来、消防士の英雄的活躍が話題にのぼる。日本でも中越大地震での東京消防庁レスキューチーム、JR西日本列車事故での尼崎消防署等々、人命救助に当る消防士たちに熱い眼差しが集まる。
 「炎のメモリアル」、そんな男達をハリウッドが描いた映画である。レスキューに人生を捧げる名もなきヒーローをホアキン・フェニックス(「グラディエーター」「サイン」)が、彼をひとりの男に育て上げた隊長をジョン・トラポルタ(「パルプ・フィクション」)が演ずる。殉職という悲しい結末となるが、仕事を愛し、仲間を愛し、家族を愛したひとりの消防士の人生は清清しい。
 映画に登場する制服組のなかで、消防士は得である。消防士と同じく、人々の生命と財産を守る警察官は時に敵役となるし悪徳警官としてしばしば登場する。兵士もまたヒーローばかりでは無い。ベトナム戦争以降、映画は兵士たちの行為の矛盾をよく題材にする。
 市民の目も同様である。一定の距離をもってしまう警官に比べ、消防士は身内の側にある。だからこの映画にも惜しみなく拍手を送るのである。
 映画館に若くて元気そうな、そして礼儀正しい男たちが多かった。聞いてみると非番の消防士たちだという。全国消防協会推薦、総務省消防庁後援、東宝もなかなかうまい客集めをする。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 16, 2005

70.築地市場(5)

 友人が「美味いお寿司を食べたい」と言うので、築地市場を案内した。いつもの買い出し時間より早め、午前9時に待ち合わせる。この頃になると、場内でのプロの買い出しはほぼ終わり、大方の仲卸し店は片付けの最中。入り口近くにある若干の店が、素人相手に小分けした魚介類を売っていた。

 入った寿司屋は場内一の老舗「鮨文」、前回紹介した小関氏もお奨めの店である。プロの買い出し人の食事が終わり観光客はまだという端境の時間、すんなりと座れた。ただ店も10時を過ぎると混み出す。お昼近くは1時間待ちも覚悟しなければならない評判の「鮨文」である。

 この店に入ったら、まず「穴子のにぎり」である。150年昔の創業以来、築き上げた江戸前伝統の職人技が、穴子に凝縮している。早朝選りすぐった穴子を仕入れ、開いて塩もみ、そして煮る。煮きり醤油もツメもすべて手作り、仕込みは当日分だけである。
 友人も初めてだったので奮発して「おまかせコース」3675円。豪勢な朝食だった。本マグロの大トロ、中トロ、赤身、天然もののカンパチ、赤貝、鯵、ウニ、車エビ、小柱、そして穴子と全部で10カン。それにマグロのトロの巻物と卵焼き、アサリの味噌汁が付く。ここまでくればお値段は納得、仕入れの帰りに寿司屋の職人さんも立ち寄る店だけはある。
 他に特上2625円、上にぎり2100円、お好みは2カン500円から2000円、「穴子」だけを楽しむ客もいるという。
「酢でしめない生の鯵を寿司ネタとして握った初めての店として、寿司通の間ではよく知られる店」と「築地で食べる」(光文社新書)に紹介されている。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 15, 2005

69.オペレッタ・狸御殿

 海外の一流監督から尊敬されている日本では唯一の巨匠、鈴木清順監督の遺言?的作品!
  「初恋のきた道」以来すっかりファンになったチャン・ツィイーが、日本映画に初登場するのを見逃すわけにはいかない。劇場は五分の入り、前評判は高かったのだが。
 オペレッタとは、広辞苑によると「娯楽的要素が強く、軽快な内容の歌劇。独唱や合唱に対話の台詞を交える。後にミュージカルに発展」とある。「狸御殿」も一応は歌劇のスタイルをとってはいた。共演のオダギリ・ジョーもチャンとデュエットしたし、薬師丸ひろ子も歌った。しかしプロは、せいぜい由紀さおりと平幹二朗、それにデジタルで生き返った美空ひばりぐらい。大島ミチルの音楽が生かされない。
 私も中学時代に見た「狸御殿」を、清順監督が徹底的に壊し豪華絢爛に創り変えた。ロックから尾形光琳まで「ありとあらゆる世界の文化を融合させた新時代の日本文化の集大成だ」と製作者は自画自賛する。しかしそれはちょっとオーバー。今年のカンヌ映画祭に特別招待された作品だが、世界の監督諸兄はこの映画からどんな刺激を受けたのだろうか。
 「オペレッタ・狸御殿」は「10歳未満、90歳以上の方々に推薦」、というのが私の評。今夜たまたま衛星放送で見た映画「ザッツ・エンタティメント」の方は、10代から80代までの皆さんに推薦したい。MGM創立70周年記念のミュージカル映画の集大成だった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 14, 2005

68.焼酎バー「黒瀬」(9)

 東京ローカルの焼酎といえば、伊豆七島の数々がある。全部で9社およそ20種類が売り出されている。もともと芋が主流だったが、最近は麦が多い。島の農業が芋などの畑作から、換金性の高い花卉園芸に変わっていったからだ。そこで蔵元は生産減で高くなった芋を、安い輸入麦に変えた。
 この伊豆七島の焼酎のルーツが、今ブームの鹿児島の芋焼酎にあることはあまり知られていない。島の焼酎造りの発祥の地は、八丈島と言われている。その八丈で焼酎の製造技術を教えたのが江戸末期、この地に運ばれた流人のひとりだったのである。

 鹿児島薩摩半島の東シナ海に面した河口や入江には、良好な港がある。その港には必ず、藩ご用達の廻船問屋が店を張っていた。浜崎、海江田、若松、丹宗、鮫島、森、吉峯、森田等々の名が残っているが、彼等は米や黒糖、菜種油、ハゼロウなどの地元の産物を船で上方に送り、帰りは上方や長崎から肥料や海産物を持ち帰った。
 しかしこれはあくまで表向きのことで、実際は藩営の密貿易を担い琉球を中継地にして中国各地やルソン、カンボジアなどと交易し、薩摩藩の財政を支えていた。その資金力が明治維新のバックボーンともなった。
 一方、幕府も薩摩飛脚と呼ばれる密偵をもぐりこませて、これを暴いた。それに引っかかった一人に、阿久根の豪商丹宗庄右衛門がいた。そして彼は、嘉永6年(1853年)に密貿易の罪で八丈島に流されたのである。
 丹宗はその時、密かにサツマイモの苗と麹を隠し持ち島に渡った。彼は、風待ちをしていた三宅島で焼酎造りを伝授し、八丈島に送りこまれてからはサツマイモを育て、本格的な焼酎造りを島人に指導した。だから今日でも八丈島には五つの蔵元があり、「情け嶋」「島の華」「黄八丈」など芋・麦をブレンドした焼酎で人気を呼んでいる。
 その八丈島に今も残る丹宗神社は、島の産業を起こしまた飢饉を防いだ彼の功績を慕う島民たちによって、建てられたものである。

 昨夜、焼酎バー「黒瀬」のカウンターに女性のTVディレクターが客として座っていた。各地の銘柄を楽しそうに味わっている。実は、彼女がその丹宗の五代目の子孫だった。しかし本人は、伊豆七島の焼酎のルーツが先祖にあったことを知らなかった。「近く八丈を尋ね、島焼酎を飲んでみたい」とグラスの中の彼女は呟いていたが。

  焼酎バー「黒瀬」 電話 5485-1313
 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 13, 2005

67.花菖蒲

 花菖蒲が見頃。小石川後楽園、清澄庭園、向島百花圓、旧古河庭園が有名だが、株の数では何といっても浜離宮恩賜庭園がトップ、1000株が今一斉に開いている。隅田川河口と汐留高層ビル群にはさまれたこの日本庭園は、季節季節にいろいろな花を楽しむことが出来る。
 花菖蒲の品種は、5~6種類とのことだが、紫はもちろんピンクや白の可憐な花が庭園の小さな湿地を埋める。
大江戸線「汐留」「築地市場」から徒歩7分、帰りには汐サイトでランチを。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 12, 2005

66.つきじ獅子祭

  築地市場海幸橋口にある「波除稲荷神社」の夏越し大祭が、9日~12日行われた。江戸時代の築地埋め立ての折り、工事の安全を祈って建てられた御社。魚河岸がこの地に移ってからは商売繁盛・厄病よけの神様として、築地で働く人達の守り神となっている。
 この神社は、巨大な獅子頭で有名。左が「厄除け天井大獅子」、右は弁財天社の「お歯黒獅子」。昨日はこの「お歯黒獅子」が河岸の女性だけに担がれて、男衆の担ぐ千貫・宮神輿にドッキング、そのあと寄り添って築地を渡御した。
 来月はじめには、みそぎ神事「夏越しの祓」。人々が納めた「形代」(罪や過ち、穢れをうつしたもの)を隅田川から海へと流し、この夏の息災を祈って一連の祭を納める。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 10, 2005

65.ザ・インタープリター

 東宝本社のビルが改築されることになり、旧有楽座が閉鎖された。そこで「ニュー東宝」を改装して、「新有楽座」が誕生、この映画はそのオープン記念作品である。
 二大アカデミー賞俳優、ニコール・キッドマン(「めぐりあう時間たち」)とショー・ペン(「ミスティック・リバー」)が初めて競演。監督・脚本もそれぞれオスカーを手にした、シドニー・ボラック(「愛と哀しみの果て」)とスティーブン・ザイリアン(「シンドラーのリスト」)という豪華な顔ぶれで愛と感動のサスペンスを創りあげた。
 アフリカ最貧国のジェノサイドを背景に、舞台はニューヨーク。国連通訳官(キッドマン)とシークレット・サービス(ペン)が巨大な陰謀の真実を追う。クライマックスは、初めての国連本部総会場でのロケーション、見ごたえのある作品となった。
 製作したUPI映画が「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンも展開。

| | Comments (0) | TrackBack (3)

June 09, 2005

64.玉ひで

 日本橋浜町にある区の総合スポーツセンターで一汗流した後、久し振りに人形町の「玉ひで」に足を運んだ。245年前の宝歴十年に創業した軍鶏料理の店である。代々「御鷹匠」として将軍家に出仕していたが、傍ら人形町に軍鶏専門の店「玉鐵]を開いた。「玉」は初代の妻の名である。
 「玉鐵」の名が評判となったのは、明治の半ばのこと。五代目秀吉の妻「とく」が、鶏鍋の残りの割り下で卵をとじたことをヒントに「親子丼」を創案し、出前として兜町、米屋町、魚河岸で売り捌いた。以来、この店は「親子丼発祥の店」として知られ、当時の毎日新聞の人気投票により当主の名をとった「玉ひで」の店名が定着したという。
 
 店に着いたのは11時前だったが、玄関先にはもう20人ほどが行列をつくっていた。お昼だけ特別に出される「親子丼」を狙っての客である。そして11時20分の開店時間には、およそ80人にふくれあがっていた。
 お昼は、800円の「とく親子丼」と「元祖親子丼」(1300円)「極上親子丼」(1500円)「もつ入り親子丼」(1500円)の四品だけ。大方の客の目当ては「とく」だが、私は久し振りなので奮発して「極上」にした。「とく」と違って「軍鶏」を使った「親子丼」である。卵、割下、軍鶏の三つの味が溶けあった絶品。

 12時前、店を出る。100人を越える人達が店を取り囲んでいた。彼等は何時に「親子丼」と対面できるのだろうか。 「たかが親子丼、されど親子丼」なのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 08, 2005

63.ミリオンダラー・ベイビー

 いつ観に行こうかとタイミングを計っていたら、沢木耕太郎の新聞評が出た。つられて朝一番に足を運んだがやはり満員だった。さすがアカデミー賞の作品賞をはじめ、主要4部門を独占した映画だけはある。
 ストーリーは十分に知られているので省くが、沢木の結論がおもしろい。
 「だが、これは傑作なのだろうか。この映画はイーストウッドによって完璧にコントロールされている。・・・・・・確かに、これはほとんど完璧に作られている。だが、傑作ではない、と。」
 主演女優賞のヒラリー・スワンク、助演男優賞のモーガン・フリーマンの演技は最高である。イーストウッドの演出に完全にのっている。それだけに、ふたりのほうがイーストウッドよりうまい。だから彼は、主演男優賞を逃し監督賞だけだったのだろう。
 国内映画のオスカーに輝いたこの作品、外国映画(アメリカ以外の)のトップだったスペインの「海を飛ぶ夢」。今年のアカデミー賞は、偶然にもそれぞれが「安楽死」を取り上げた映画だった。そして「カソリックの神」よりも人間の尊厳と愛と夢を選択した。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

June 07, 2005

62.Shall we Dance?

 9年前に公開され30億円の興行収入と観客200万人を動員した、周防正行原作・監督の「Shall we ダンス?」のハリウッドによるリメイク版。アカデミー賞を受賞したあの「シカゴ」の製作陣が、同じリチャード・ギアを主演に周防原作を忠実に再現した。登場人物も舞台設計もほぼ同じ、ただ「心の虚ろいをダンスにかけた」平凡なサラリーマンが主人公だった日本版に比べ、こちらは「幸せにあきたら、ダンスを習おう」という高給弁護士が妻の愛のもとに戻るお話。
 演技振りを比較してみるとおもしろい。主役の役所広司はやはりギアの魅力には勝てない。ヒロインの美しいダンス教師は楚々とした草刈民代のほうを買う。ジェニファー・ロベスはボリュムがありすぎる。異形の男竹中直人とスタンリー・トウイッチは、どちらも快演。パワフルおばさん渡辺えり子とアニタ・ジレットは渡辺。妻役の原日出子とスーザン・サランドンは、サランドン。これはもう貫禄の差か。ハリウッド版ではロベスよりこちらが準主役なのだから。
 そしてハイライト、「ラスト・ダンス」のシーン、涙の量はやはり「日本版」だった。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 06, 2005

61.焼酎バー「黒瀬」(8)

 「芋焼酎」のブームは、その個性化によってさらに定着した。同じ芋を原料としながらも、様々なバリエーションを生みユーザーの期待に応えようと努力している。
 南さつまで最も大きな蔵元「薩摩酒造」では、本格焼酎(芋)17種、麦9種、米4種、ソバ1種計31の商品を販売している。日置市の「小正醸造」は商品の数44種、本格いも焼酎・白こうじ、本格いも焼酎・朝掘り仕込み、有機芋焼酎、本格いも焼酎・黒こうじなど19商品、玄米、麦、貯蔵熟成焼酎を加えると、44種の商品で全国展開を図っている。また、鹿児島県限定焼酎で差別化し、観光客のおみやげを狙っているものもある。

 「黒瀬」でも色々な銘柄を揃えてはいるが、限りがある。だから「南さつま」「黒瀬杜氏」に拘らざるを得ない。
 そこで薩摩酒造「白波」の一文を紹介しよう。

 「開聞岳の見える所で獲れたイモはいいイモだ。」鹿児島ではそう言われていますし、実際ブランド化も進んでいるくらいです。
 でも、南薩摩がイモ焼酎の故郷になったのは、もちろんイモに最適の温暖な気候以外にも、多くの背景がありました。たとえば、蒸留技術が島伝いにこの地に伝来してきたこと。温暖という、酒造りには逆に厳しい条件を克服していく過程で、以後の日本の蒸留酒造りのスタンダードとなる技術を編み出してきた『黒瀬杜氏』と呼ばれる人々がいたこと。開放的な蒸留酒を好む、開放的な人々がいたこと。
 サツマイモがこの地に上陸したのは、偶然とは思えません。イモ焼酎は、南薩摩の風土に完全に土着した酒です。」
          「黒瀬」 03-5485-1313

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 05, 2005

60.焼酎バー「黒瀬」(7)

 帝国データバンクが、04年の全国焼酎メーカー売上高ランキングを発表した。第1位は昨年に引き続いて「いいちこ」の三和酒類(大分)、以下5位まではソバの「雲海」(宮崎)他は全て麦中心のメーカー。ただ伸び率上位7社は、芋焼酎メーカーだった。

 前回も報告したように、焼酎ブームは大分の「麦」から始まった。80年代半ば、減圧蒸留を取り入れ味のライト化をはかり、全国的にヒットした。この大分の「麦焼酎」の多くが、実は鹿児島の芋焼酎蔵元で造られていることはあまり知られていない。「芋」が担い手となった第二次焼酎ブームのきっかけが、ここにあった。

 さつまいもは、夏から秋にかけて収穫される。だから芋焼酎の仕込みも、秋から冬にかけて行われる。春以降蔵は閉じられ、杜氏や蔵人はムラに帰る。これでは近代的醸造設備を導入しても、生産効率は落ちる。そこで一部の蔵元が「麦」や「米」にも手を出した。「いも」のあとは時期を問わない「麦」と「米」を原料に、フル操業を始めたのである。もちろん蔵人たちの年間雇用も可能となり、専業化が図られた。こうして造られた「麦焼酎」が大分に送られた。大分側からいえば生産委託、蔵元側からいえば「桶売り」である。もちろん鹿児島の蔵元にも「減圧蒸留システム」とイオン交換樹脂による精製が導入された。

 「芋焼酎」からもあの独特の「臭み」が消えた。若い女性たちが飛びついた。ヘルシーなのである。当然若い男性も清酒を芋焼酎に変えた。芋焼酎は「オジン臭くなくしゃれた飲み物」に変身した。こうした大きなうねりに、メディアは乗る。例えば「dancyu」は、01年7月号、03年6月号、04年1月号で「芋焼酎特集」を、「サライ」や「Hanako」「Off」等が「芋焼酎の美味い店」を紹介する特集をだした。焼酎バー「黒瀬」も04年12月8日号「Hanako」に登場している。

 減圧蒸留による芋焼酎の全国普及は、一方で「芋」独特の個性を失わせる危険性をはらんでいた。雑味を取り除けば取り除くほど「芋」のもつ風味が消え、「麦」またそれ以上に甲類焼酎に近づいてしまう。こうした動きにまず反応したのが小さな蔵元の杜氏たちである。昔ながらの常圧蒸留、黒麹の復活、甕仕込み、原料芋の選択、杜氏たちが腕をふるい、「幻の焼酎」が次々とを生みだされ、芋焼酎ブームに拍車をかけた。
 また蔵元の三代・四代目の経営者たちが、それを支えた。彼らは、東京の大学で醸造学を学ぶと同時に、新しいマーケティング手法を身につけた。なかには商社と組み、海外進出を試みている経営者もいる。現在鹿児島の蔵の数は100数カ所、銘柄の数は1000を越えた。それだけ個性化がはかられたのである。

 おりしも今年は、中国から琉球に「カンショ」が伝わって400年、その琉球から鹿児島に「カライモ」が伝わって300年、人々の飢えを凌いだ「サツマイモ」が、今銀座のデパートで「高級やきいも」として女性達を引き寄せている。
      「黒瀬」 03-5485-1313

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 03, 2005

59.海を飛ぶ夢

 ベネチア映画祭で審査員特別賞、主演男優賞に輝き、アカデミー賞では外国語映画賞をとった作品。海での事故で四肢マヒの障害を負ったラモン・サントロペの手記を、スペインの若手監督アレハンドロ・アメナーバル(「アザーズ」「オープン・ユア・アイズ」)が映画化した。
 テーマは重い。「生きることは義務ではなく、権利である。そして死も」とラモンは、魂の解放を求め「人間の尊厳」を問いかけ、青酸カリを呷った。
 ラモンを演ずるのは、スペインのトップスター、ハビエル・バルテム。アルツハイマーに侵されながらラモンを愛する女性弁護士役に映画初出演のベレン・ルエダ、他スペインのテレビ界で活躍する役者が脇を固める。
 映画の舞台となったのは、イベリア半島北西部、大西洋に面したガリシア地方。ここは、ケルト民族の血を引く人々が住んでおりラテン系のスペインとは、風俗も文化も異なる。サウンドトラックは、ケルト音楽界の第一人者カルロス・ヌニエスのバグパイプとフルート。ガリシアの海と村のたたづまいを見事に表現していた。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

June 02, 2005

58.築地市場(4)

 朝のテレビで片岡鶴太郎が、築地の鮨屋を紹介していた。そういえばこのところ、テレビや雑誌の築地特集をよく見る。近くに住むようなったから気がつくのかも知れないが、確かに増えてきたのは事実である。

 情報があふれすぎ却って良くわからないと、友人達から良く相談を受ける。「美味い店は、どこだね。特に鮨屋!」。そんな時薦めるのが「築地で食べる~場内・場外・裏築地」(光文社新書)、数多くあるムック本やガイドに比べ値段は安いが「ほんもの」である。著者は小関敦之、築地近くの大手広告代理店に勤める「食」関連のマーケッティングのプロである。耳情報ではなく、この地に日参して、自分の目と舌で収集した築地の最新情報を書いている。

 はじめてこの本を手にした時、彼の舌が私とほとんど同じだったことに驚いた。「築地に来たらここで食え!」と紹介されている店の9割は、私もこの1年半で足を運び、手帳には二重丸を附けている店だった。すぐ近所の小さな蕎麦屋「蕎羅」など、「私だけが知っている」と思っていたら、キチンと彼の本に、それも唯一の蕎麦屋として書かれている。
 「ニューヨークから口の肥えた従姉妹がやってきたので」と、友人に急かされて紹介した「鮨つかさ」は、この本でも高く評価されているが、帰国した彼女から私にまで礼状が届くほど美味で素敵な店だ。

 朝のテレビに刺激され、昼過ぎだったが場内の鮨屋を覗いてみた。他はほとんど店仕舞いしているのに、ここはまだ行列だった。「ここで食え!」と彼が書いている店々である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 01, 2005

57.小椋佳歌談の会

 「小椋佳と薩摩琵琶のコラボレーション」と銘打ったイベントが、渋谷公会堂で開かれた。主催は「おはら祭」を実施したNPOと、焼酎バー「黒瀬」のふるさと鹿児島県笠沙町である。

 小椋は薩摩琵琶に、ドレミファで象徴される西洋音楽を越える新しい創造の可能性を見出し、この地を度々訪れていた。そして笠沙町は、小椋の指導のもとに「薩摩琵琶による地域づくり事業」をすすめ、こども達の教育に琵琶を採り入れた。この催しはそうした縁から実現したのものである。

 催しは、小椋佳が堀内孝雄や中村雅俊、美空ひばり等のために作詞作曲したヒットナンバーを楽しい語りとともに披露したあと、ハイライトを迎えた。若い琵琶奏者・坂田美子とのコラボレーションである。楽器演奏は苦手という小椋も薩摩琵琶をかかえ、坂田の琵琶に応える。打楽器と弦楽器を兼ねるといわれる二つの琵琶が、力強くそして切なく会場に流れた。
 最後はその琵琶にのって、「歌綴り・落とし日の石」。演奏者達がセリフを、小椋がナレーションと歌で昔話を綴る。そして五木ひろしの唄でヒットした「山河」で締める。
 大病を患った彼だが、声量は衰えることなくさらに味わい深いものとなっていた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« May 2005 | Main | July 2005 »