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November 30, 2005

198.日本アカデミー賞(3)

 「主演男優賞」である。
 「レディー・ジョーカー」の渡哲也をまず推したい。グリコ・森永事件に想を得て書かれた高村薫の巨編も、渡の存在があって映画化が可能になった。ガンを乗り越え、裕次郎無きあとの石原軍団を支える彼は今日本を代表する男優といってよい。
 あと二三の候補を挙げると「亡国のイージス」の真田広之、「北の零年」の豊川悦司、「狸御殿」のオダギリジョーあたりか。
 豊川は「ビートキッズ」や「妖怪大戦争」「レイクサイド」「ハサミ男」「自由恋愛」「大停電の夜に」等主演・助演と大活躍、オダギリも「忍」「イン・ザ・プール」「メゾン・ド・ヒミコ」「スクラップ・ヘブン」等でその存在感を高めた。「蝉しぐれ」「阿修羅城の瞳」の市川染五郎はこれから。
 ビートたけしは別格。

 「助演男優賞」としては、「TAKESHIS’」「レディー・ジョーカー」「電車男」の大杉漣が印象に残る。「ライフ・オン・ザ・ロングボート」では主演を、初めてか?「フライ,ダディ,フライ」の堤真一、冴えない中年もよかった。
 哀川翔も今年はよく頑張っている。「MAKOTO」「容疑者 室井慎次」「鳶がクルリと」等々。また小日向文世も捨てがたい脇役として多くの作品に登場した。「阿修羅城の瞳」「タッチ」「深紅」そして「銀のエンゼル」では主役も。

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November 29, 2005

197.日本アカデミー賞(2)

 先ずは日本映画の「作品賞」選考である。この選考はほぼ「監督賞」「脚本賞」と重なる。

 印象に残った映画を配給会社毎に列記すると、「オペレッタ 狸御殿」「亡国のイージス」「妖怪大戦争」「TAKESHIS‘」(以上松竹)、「交渉人・松下正義」「星になった少年」「NANA」「蝉しぐれ」「ALWAYS三丁目の夕日」(以上東宝)、「レディ・ジョーカー」「北の零年」「フライ,ダディ,フライ」(以上東映)。その他の会社では、「パッチギ!」「火火<ひび>」「真夜中の弥次さん喜多さん」「村の写真集」「ニライカナイからの手紙」「姑獲鳥<うぶめ>の夏」「メゾン・ド・ヒミコ」「カーテンコール」「二人日和」、計21本。

 今年は衆目一致するような作品がない。宣伝力では「蝉しぐれ」、国際的な話題では「TAKESHIS’」、異色作では「オペレッタ狸御殿」だろう。
 しかし三本推薦するとなると、私は「NANA」(TBS、東宝、セディックインターナショナル他製作)と「ALWAYS三丁目の夕日」(NTV、ROBOT、小学館他)「レディー・ジョーカー」(日活、東映、毎日新聞他)を選ぶ。そして次点が「真夜中の弥次さん喜多さん」(アスミックエース、ジェイ・ストーム他)とした。
 「三丁目」は、時代が我々の青春。高度経済成長にむかう昭和のノスタルジーを巧に描いた。「NANA」は現代である。何処にでもいそうな二人の女の子の生き様がまぶしい。「レディー」は、原作の重みである。

 そこで「監督賞」は、山崎貴(「三丁目」)、大谷健太郎(「NANA」)、そして鈴木清順(「狸御殿」)か北野武(「TAKESHIS’」)のベテランのうちどちらかを選ぼう。
 「脚本賞」は、まず「レディ」の鄭義信、「ALWAYS」の山崎監督と共同執筆した古沢良太に。「蝉しぐれ」の黒土三男はテレビでもうまい脚本を書いた。「容疑者 室井慎次」で初監督だった君塚良一も、一連のシリーズで脚本を担当し、おもしろい作品に仕上げていたが。

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November 28, 2005

196.日本アカデミー賞

 アメリカのアカデミー賞に倣って、29年前から「日本アカデミー賞」が始まった。これは、映画製作者や俳優、映画テレビプロデューサー、脚本家、映画美術・技術関係者が集まって日本アカデミー協会を設立、会員の投票によって、あらゆる部門での最優秀賞、優秀賞を選出している。
 授賞式の模様は毎年日本テレビ系列が全国に生中継しており、今回は来年の3月3日の予定。関口宏さんと鈴木京香さんの司会で新高輪プリンスホテルで行われる。

 選考は、昨年12月4日から今年の12月2日までに有料で初公開され、一日3回以上1週間継続して上映された映画が対象で、今回は邦画149本、洋画は282本となっている。
 邦画は松竹19本、東宝24本、東映17本、角川1本、残りは様々なプロダクションやジョイントによる製作委員会方式のものである。とくに製作委員会方式は年々数が増えてきており、テレビ会社や出版社が制作費を分担するほか、銀行が窓口になってファンドを集めるものも出てきた。
 洋画の方は「外国作品賞」のみの賞だが、対象作品はアメリカが群を抜いており125本、続いてフランス18本、イギリス8本、イタリア2本となっている。昨年あたりから急激に増えてきた韓国作品は、その他の129本のなかに括られているが、20数本はあるようだ。アジアの場合共同製作も多く、国別に分類するのが難しい。しかしそろそろ韓国は、独立させたほうが判りやすい状況となった。

 会員の義務として毎年選考に関わってきたが、対象作品を全て観るのはもちろん不可能。それでも製作現場を離れ少々時間の余裕も出てきたので、努力して観ている。
 今年は、対象作品431本のうち126本、およそ30パーセントの実績である。今週はこれまでのBLOGやノートをめくりながら、各部門ごと作品や監督、俳優、脚本、撮影、美術、音楽、録音など優秀賞候補3点の選考作業にとりかかることにしよう。

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November 27, 2005

195.いちょう並木

Imgp0036 明治神宮外苑のいちょうが、ようやく黄葉になった。平年より1週間遅い。10月の気温が1.5℃も高かったからだ。
 全国的に見ても、紅葉前線の南下が遅い。地球温暖化や都市のヒートアイランド現象が要因といわれているが、今年はとくに朝夕の冷え込みが弱く、紅葉を遅らせている。

Imgp0026Imgp0030 外苑のいちょう並木が造られたのは、82年前の大正12年。明治神宮の中にあった宮内省の苗圃で育てられた苗木を、青山通りの方から背の高い順に植えた。突き当たりにある聖徳記念絵画館を大きく見せる、遠近法を使って植えた。ヨーロッパの宮殿や公園に見られる造園様式を真似たのである。だから最も高い木は25m、低い木は17mぐらいだそうだ。また整枝剪定も、円錐形に保つように行われている。
 今年も2週間前から「いちょう祭り」が開かれているが、最終週になってようやく見頃となった。

Imgp0041 いちょう並木と同じ頃に竣工した絵画館は、神宮外苑のシンボルともいえる建物。その2階のギャラリーには、明治天皇の誕生から大葬までの、いわゆる明治の歴史が、大正時代の日本を代表する80人の画家の手によって描かれている。
 入場料は500円、「いちょう祭り」のパンフレットを持参すれば300円。

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November 24, 2005

194.Jの悲劇

 赤い気球、赤いワイン、赤い風船、赤いリンゴ、赤いロンドンのバスと、赤色が観客を恐怖と戦慄・不条理の世界へ引きずり込む。
 原題は「Enduring Love」。英国のイアン・マキューアンの「愛の続き」をロジャー・ミッチェル監督(「ノッティングヒルの恋人」)が作家と一緒になって脚色した。
 「Jの悲劇」は日本の配給会社が付けたタイトル?主人公ジョーと主人公の日常を狂わす男ジエッドの頭文字が「J」だが、映画のタイトルとしてはどうだか。

 ある事故をきっかけに、罪悪感にさいなまれ愛を崩壊させる主人公の大学教授にダニエル・クレイグ(「シルビア」)、事故をきっかけにカルト的な愛を迫るストーカー男をリス・エバンス(「ノッティングヒルの恋人」)、狂気に翻弄される主人公の恋人にサマンサ・モートン(「ギター引きの恋」)の組み合わせ。

 昨年英国で様々な映画賞を受賞したプロ好みの作品である。

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November 23, 2005

193.築地市場(6)

Imgp0009 相変わらず週2~3回は河岸に通っているが、BLOGでの登場は久し振り。たまたま昨夜、友人の紹介で「吉野家」の重役で海外事業担当の方と飲んだ。話題は築地の「吉野家」に、私の愛用店のひとつである。

 BSEでアメリカからの牛肉の輸入が中断しているが、最も困ったのは牛丼チェーンの「吉野家」である。ショートプレート(バラ肉)を輸入して牛丼をつくってきた。現在は豚や鳥丼、牛のすき焼きで凌いでいるが売上は減少しているらしい。
 豪州などアメリカ以外の牛肉ではなぜ駄目?と聞くと、全国1000店以上を展開して日本のファーストフード文化を作った「吉野家」の牛丼の味が出ない、という。トウモロコシなど穀物中心の餌で育てるアメリカ牛と、牧草中心のオーストラリア牛とは全く味が違うらしい。プロに言わすと後者は青臭いのだそうだ。

 全国の吉野家のなかで、現在「牛丼」を食べられる店は築地場内のこの店だけである。並で500円、国産牛を使って赤字覚悟で出している。というのも築地店は、吉野家1号店・創業の店だからである。
 1899(明32)年大阪からやってきた創業者は、日本橋の河岸で屋台を引きながら「牛飯」を売った。吉野家の屋号も奈良の吉野からとったらしい。震災で河岸が築地に移った時も、そのまま現在地に店を構えたのだそうだ。ということは、場内にある飲食店では最も歴史が古いということになる。

 重役さんも最初の修業は、この店だった。昭和50年代のことである。幹部候補生はまずこの店で創業者の「商いの心」を叩き込まれる。客は河岸で働く「食のプロ」、厳しい日々だったけれども暖かい職場だったそうだ。「トロダク」「ツユダク」「ゴクカル」とここだけで通用する注文が飛び交った。河岸の常連客は黙ってすわる。従業員は客の好みを暗記していなければならない。そんな職場だった。

 「魚がし横丁」1号館、カウンター15席、築地場内「吉野家」は5時開店、13時には閉る。

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November 22, 2005

192.IN HER SHOES

 女性たちはなぜ「靴」にこだわるのか?この映画を観ると男たちも、少しはその事を理解出来るかも知れない。
 「女はみな自分の足にぴったり合った靴(恋の相手、仕事)を探す放浪のシンデレラみたいなもの」と、対照的な二人の姉妹が心の旅をする。

 姉はトニー・コレットが演ずる弁護士のキャリアウーマン、しかし恋人とのラブアフェアーはぎこちない。妹はキャメロン・ディアス、キュートでセクシーだが無職・無収入。男を引っ掛けて奔放に暮す。しかし二人は、一卵性双生児のように、どちらかが欠けたら人生は完璧にならない。
 冬のフィラデルフィア、シカゴと温かいフロリダ、二人の「靴探し」をシャーリー・マクレーンの祖母が見守る。
 監督はカーティス・ハンソン(「L.A.コンフィデンシャル」)、脚本はスザンナ・グラント(「エリン・ブロコビッチ」)。ジェニファー・ウエイナーのベストセラー小説を基に感動的な作品に仕上げた。

 最後はハッピーエンドなのだが、二人の娘を持つ親にとってはちょっと切ない映画だった。

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November 21, 2005

191.酉の市

Imgp1846Imgp1847 酉の市は、11月の酉の日に各地の鷲神社や大鳥神社で行われる「開運招福・商売繁盛」を願う祭り。江戸時代から続く代表的な年中行事で、芭蕉の弟子其角が「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と詠んだように正月を迎える最初の祭りである。
 最初の酉の日は「一の酉」、そして今日は「二の酉」。都内だけでも30ヶ所の神社で祭りが行われているが、一番の賑わいは、何といっても浅草田圃鷲神社と酉の寺(長国寺)。ここでは、隣り合う神様と仏様両方の「おとりさま」にご利益をお願い出きる。

Imgp1849 酉の市の土産は「福をかき込んでくれる熊手」、参道には50店を越える「熊手屋」が並び声をかける。縁起物だけに値札はついてない。熊手屋と客の直接交渉で、値段は決まる。大きさによって、およそ1万円から5万円だが、交渉次第で半値にも。そんな時は「ご祝儀」を添えて手締めとなる。

Imgp1853Imgp1852 そこで「黒瀬」の商売繁盛を願って私もひとつ。熊手屋の威勢のいい掛け声で二本締める。
 浅草の「酉の市」は今夜零時まで開かれている。

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November 20, 2005

190.東京タワー

Imgp1816 毎日、東京タワーを眺めながら暮している。夜のライトアップも綺麗だが、朝日に輝くタワーも素晴らしい。高さ333m、自立鉄塔としては世界一。パリのエッフェル塔より9m高い。
 ところが、私はまだ東京タワーに一度も上っていない。エッフェル塔そして国内2位の横浜ランドマーク(296m)、東京都庁(243m)、六本木ヒルズ(238m)、池袋サンシャイン(226m)と、高い所に上るのは結構好きなのだが。ただこのタワーからは、自分が創った映像が電波で発射されている、そんなことを意識していたのかもしれない。

 映画「ALWAYS 三丁目の夕日」が評判だ。「昭和33年ー日本はけっして裕福ではなかったけれど、人々は明るくきらめく”未来”に向かって懸命に生きていました。この年着工された東京タワーは、まるで人々から希望をたくされたかのように、着々と天に伸び続け、完成のときを迎えます」
 この映画は、そんなタワーを背景に下町に暮す人々を描いているのだそうだ。

Imgp1817 映画を観る前にタワーに上ってみよう、と日曜日の行列に並んだ。150mの大展望台、250mの特別展望台、360度の東京の光景は、昨年上った六本木ヒルズのモダンな展望台と変わらないが、なぜかここには昭和の面影があった。

Imgp1829Imgp1836 汐留、隅田川、晴海、そして我が家のベランダを逆に望遠鏡で眺めながら、しばし日々変貌する「東京」と東京タワー半世紀の歴史に想いを馳せたのである。

Imgp1839  帰途、御成門前の日比谷通りで東京国際女子マラソン・高橋選手を応援。

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November 19, 2005

189.東京道産酒の会(4)

 北海道を慈しむ紳士淑女たちが、月に一度集まる道産酒の会。今月のメインゲストスピーチは、札幌の佐藤水産副社長太田善晴さんの「シャケ」のお話。

sa-monn 欧米のマーケットでは、「天然鮭」(Wild Salmon)と「養殖鮭」(Farmed Salmon)の表示がはっきりと区別されて売られ、このところ天然鮭の需要が圧倒的に多くなっている。特に安心・安全な魚として北海道産の天然鮭の人気が高い。
 一方、日本では一年間に食べられている鮭の60%近くが、人工的に作られた海外からの養殖鮭。脂がのっている、値段が安い、身の色が鮮やかできれい、というのがその理由だそうだ。
 しかし北海道の天然鮭には、三つの美味しさがある。一つは「新鮮な味わい」、二つ目は「熟成による美味しさ」、三つ目は日本の食文化までに高めた「伝統の味」である。

 さて先住民族・アイヌの人々にとって「シャケ」は、特別な魚「カムイ・チェプ」だった。そのためか呼び名もいろいろある。「シ・イペ(ほんとうの食料)」「シ・チェプ(ほんとうの魚)」「シペ・カムイ(鮭の神)」、また冬に産卵のため川に入った鮭を「マタ・チェプ(冬魚)」、海にいる銀毛鮭を「エルイベ(光る食料)」「ヘレルケ・チェプ(光る魚)」、若い鮭は「ペウレ・チェプ」、特別大きな鮭は「カムイチェプ・サパネクル(神魚の王)」と呼んでいた。

 現在も北海道では、様々な呼び名で鮭を選別している。そのいくつかを紹介すると、まず「めじか」。顔が小さく目と鼻が近いところから「目近」と呼ばれるようになったらしい。産卵前の脂ののった若い鮭である。「本チャン紅」は、北洋船団が操業されていたころ、保存のため船上で施塩がなされた。このとき微妙に醗酵した紅鮭独特の風味を本物=本チャンと呼び、乗組員がじぶんたちだけの味として大切にしてきたという。「鮭司(けいじ)」は別名「幻の鮭」。成長途上の若鮭が、回帰中の群に迷いこんだ稀少な鮭で、マグロのトロもしのぐ脂ののりだそうだ。数万匹に一尾の割りでしか捕獲されないという。

 「道産酒の会」、来月は休会。今回が最後とあって、札幌からわざわざ上京されたソプラノ歌手駒ヶ嶺ゆかりさんの指導で「知床旅情」を唄って幕。

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November 18, 2005

188.TAKESHIS’

 話は単純なのだが、なかなか理解し難い映画である。北野武監督としては、12作品目。これまでの作品と異なり理屈っぽい。
 ビートたけしが「芸能界の大スター・ビートたけし」を、北野武が「役者を目指すコンビニ店員・北野」を演ずる。この二人の役者を監督の北野武が自由に泳がす。虚と実、非現実対現実の対立、キタノワールドである。「俺はおまえらが映画で観ている人物とは別人なんだよ、バカヤロー」と、たけしの声が全編に流れる。

 ストーリーが展開するにつれて、これまでの「作品」のイメージが次々と登場する。
 「その男、凶暴につき」(1989)、「3-4×10月」(1990)、「ソナチネ」(1993)、「HANA-BI」(1998)、「BROTHER」(2001)、「座頭市」(2003)、きたのファンはタイトルを思い浮かべる度に、きっとニヤリとしているのだろう。もちろんあの「タップダンス」もでてくる。
 共演者たちも「その男」以来の常連たちである。大杉漣、渡辺哲、寺島進、岸本加代子たちがそれぞれ二役で登場する。そして京野ことみがベテランに交じって頑張る。美輪明宏は別格。

 この映画は、今年のベネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。映画のプロたちにとっては、ぞくぞくするような作品だったのだろう。
 「キタノはおそらくアキラ・クロサワ以降の日本の映画監督の中で最も成功した、カリスマ性のある監督である」(英・ザ・インディペンデント)

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November 17, 2005

187.焼酎バー「黒瀬」(27)

 芋焼酎1000を越える銘柄のうち「黒瀬」で味わえる逸品シリーズ、8回目は鹿児島市内の蔵元から。

 「相良九代目」
 江戸時代は30数ヶ所の蔵元があったというが、現在まで続いているのは、相良酒造だけ。1730(享保15)年開業して現当主は九代目。その当主が仕込んだ黒麹の銘酒がこれである。有機栽培のコガネセンガンと「下田七窪」の名水、コクはもちろんまろやかな甘さが際立つ。

 「仲右衛門」
 相良酒造開業当主の名前に因んだこの焼酎は30度。芋らしい味が出るのは、この度数だと九代目が拘った。スッキリした飲み口が特徴。この本格焼酎を本格的に味わうには、もちろんストレートが美しい。
 ほかに地元で長く愛されているのは「相良兵六」「相良兵六 醇良」、前者黒、後者は白。

 「さつま無双」
 「白波」と並んで焼酎を全国区にした功労は、この銘柄。40年ほど前に官民一体となって公募で決めた名前である。軽くてすっきりした後味は、もっともポピュラーな本格焼酎の特徴。お湯割り、水割り、ロックなんでも良い。

 「くろ無双」
 「さつま無双」が白なら、こちらは黒麹100%を使って伝統の味を復活させた。上品な香りと奥深い旨みはお湯割り、お澗があう。「さつま無双 かめつぼ仕込み」は、さらに伝統的な製法にとことん拘り土に埋めた甕壷と木桶蒸留器を使う。

 「界」
 旧谷山の工業団地にある東酒造の造る焼酎は、名前と器に凝る。モダンなブルーと伝統的な濃緑、そのモダンを代表するのが「かい」である。
 二つの甕の古酒(三年貯蔵)をブレンドして芋の甘さと香りをだす。焼酎は初めてという女性に人気でロックがおすすめ。お湯割りにすると、焼芋の湯気の香りが立ち上る。
 他に、102歳の長寿を誇った先代に因んだ「寿百歳」、昔ながらの甕仕込み「豪放磊落」、3種類の麹をブレンドした「龍宝」いづれも白麹の銘柄がある。
 「薩摩の風」は、白と黒麹の焼酎のブレンド。

 14回に紹介した「かせだ」も販売元は加世田だが、蔵元はこの東酒造である。

 http://keida.cocolog-nifty.comu/kurose/ 

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November 16, 2005

186.エリザベスタウン

 キャメロン・クロウ48歳、音楽ジャーナリスト、作家を経て今は脚本家・映画監督として大活躍。自らの青春時代を描いた「あの頃ベニー・レインと」は、オスカーを獲得した。そのクロウが再び「爽やかな青春映画」を撮った。
 製作にあたったのは、クロウと「バニラ・スカイ」でコンビを組んだトム・クルーズ。「ラスト・サムライ」「ミッション・インポッシイブル」「宇宙戦争」のプロデューサー、クルーズ一家のポーラ・ワグナーもこれに加わる。そして音楽はクロウの妻ナンシー・ウイルソン。家族、友人がそれぞれの青春を想い浮かべながら一緒に作った「エリザベスタウン」である。

 主演はハリウッドの若手スターオーランド・ブルーム。「ロード・オヴ・ザ・リング三部作」で美しき弓の名手ゴラスを演じた英国出身の俳優である。ブルームはこれまで、「トロイ」「キングダム・オヴ・ヘヴン」「パイレーツ・オヴ・カリビアン」など重厚な歴史物を得意としてきたが、今回はじめて素顔の青年(オーリー)を演じた。
 主人公と不思議な関係を結ぶ女性(クレア)は、キルスティン・ダンスト。TV「ER」の少女役で有名になり「スパイダーマン」のヒロインでスターの座についた。
 しかし何といっても素晴らしい演技を見せたのが、オスカー女優スーザン・サランドン。オーリーの母親役として、映画の主題を見事に表現してくれた。
 
 主題歌はエルトン・ジョンの「父の銃」、トム・ペティーの「イットゥル・オール・ワーク・アウト」、そして音楽監督ナンシーが作曲した「セイム・イン・エニィ・リンゴ」。情感たっぷりに響く。

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November 15, 2005

185.コープス ブライド

 ティム・バートン監督と俳優のジョニー・デップが組んで、「チャーリーとチョコレート工場」と同時並行して製作した作品。前者は実写による映画だが、こちらはストップモーション・アニメ。いずれも「おとぎ話」だが、いたるところに毒が鏤められている。

 監督も俳優も昼は「チョコ」をセットで撮影、夜はアニメの音取りでクタクタになったそうだが、同時に二本が完成したのだからコストは安い。
 「チョコ」では謎の工場長ウォンカを演じたデップが、「コーブス」では死体の花嫁に迫られる気弱な若者に、声の出演。ヘレナ・ボナム=カーター、クリストファー・リーなど共演者たちも、両方を掛け持った上に正反対に近い役柄で奮闘するという、前代未聞の映画製作工程だった。このあたり、鬼才ティム・バートンの確かな計算があったようだ。

 バートンとデップのコラボレーションは、「シザーハンズ」「スリーピー・ホロウ」から始まったが、今や映画界最強のコンビ。二人が生み出す次のロマンティック・ファンタジーの世界が待たれる。

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November 14, 2005

184.南極観測船「しらせ」

Imgp1767Imgp1785Imgp1778Imgp1802
       正午、南極観測船「しらせ」が、乗組員家族、第47次観測隊員らに見送られて東京・晴海ふ頭を出航した。昭和基地まで1万4000㎞、来年4月までの半年にわたる航海である。
 観測隊員たちは今月末成田を発ち、オーストラリア・フリーマントルで「しらせ」に乗船して昭和基地にむかう。そして来月半ば、第45次越冬隊と交代して南極での様々な観測・研究にあたる。

sirase 日本の南極観測は1955(昭30)年に国の事業として始まった。
 既に事業は半世紀に及ぶが、毎年昭和基地への観測隊員の派遣、物資の輸送にあたるのが海上自衛隊の砕氷船で、今日出航した「しらせ」は「宗谷」「ふじ」に続く三代目である。全長134m、1万8900t、「ふじ」の2倍以上、世界各国の砕氷船のなかでは最大の船である。
 しかし「しらせ」の船齢は23年、老朽化が目立ち引退は近い。ただ後継船建造は遅れ、このままでは2~3年後に、南極観測そのものも中断せざるを得ないと言われている。

 第11次越冬隊の隊長は、わが「かせだ」の先輩松田達郎さんだった。会うたびに「極地観測」の重要さを聞かされていたが、彼も昨年鬼籍に入った。

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November 13, 2005

183.大川端リバーシティー

Imgp0319Imgp1755 「リバーシティー21」。1986(昭61)年から十数年にわたって、三井不動産、都住宅局、都市基盤整備公団が開発した超高層マンションの街である。都のウオターフロント開発の先駆けとなったこの街には、4000世帯1万人が住む。

Imgp1762Imgp1756 もともとここは石川島重工の工場跡地。オイルショック、造船不況による工場集約で1979(昭54)年に126年の歴史を閉じた。
 さらに遡ると、1626(寛永3)年幕府船手頭だった石川八左衛門が隅田川の河口にあった中州を、将軍家光から拝領したことに始まる。八左衛門はここを造成して屋敷を建てた。以後この地は「石川島」と呼ばれるようになった。隣には攝津の国から移住した漁師町「佃島」があるが、今日のように陸続きだったわけではない。
 1790(寛政2)年、火付盗賊改め方長谷川平蔵は埋めたてによって石川島を広げ、ここに「人足寄場」を造る。度々の飢饉で江戸に流れ込んだ無宿人などを収容して手に職を就けさせた。街の入り口にあるモニュメントは、彼等が作った常夜灯(灯台)の再現である。

 1853(嘉永6)年ぺリー来航をうけた幕府は、水戸藩に命じて洋式造船所を設けさせた。ここからは日本初の洋式帆走軍艦「旭日丸」、蒸気船「千代田形」砲艦が建造されている。
 明治維新後の1876(明治9)年、日本初の民間洋式造船所設立。1889(明22)には渋沢栄一等の出資により㈱石川島造船となり、国内だけではなく海外からの受注を受け大工場となっていく。

 1940(昭15)年河口に勝鬨橋完成。大型船の東京湾への航行が不可能となったので、造船部門は豊洲に移転。石川島は重機械工業の拠点となり戦後を迎える。
 神武景気・岩戸景気の50~60年代は石川島が最も活気溢れた時代だった。大型陸上プラント、橋梁、航空エンジンなどがここから生み出された。そして70年代末、高度経済成長の終焉とともに姿を消したのである。

Imgp1757Imgp1763 秋、工場跡地の公園は紅葉に染まる。良くも悪くも日本近代化の象徴だった石川島、大川端リバーサイドは今静かなたたづまいを見せている。

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November 11, 2005

182.エデンの東

sucan_edenn 半世紀ぶりに劇場の大スクーリンで観た「エデンの東」、デジタル・マスター版である。
 旧約聖書「創世記」のカインとアベルから想を得た、スタインベックの大長編が原作である。「弟を妬んで殺したアダムとイヴの長子カインは、エデンから東に遥か離れた荒地に放逐される」という聖書の物語は、愛に飢えた息子と父の絆の復活のドラマに変わる。

 50年前の高校生にとって、アダムとイヴの世界は未知だった。「創世記」も読んではいない。優等生の兄だけを可愛がる父、愛の表現を「札束」でしか表わせなかった悪戯少年ジェームス・ディーンがただただ可哀想だった。そして生死の境にある父と息子が最後に理解しあうハッピーエンドに涙を流した。

 巨匠エリア・カザンはこの映画で何を語ろうとしたのだろうか。それは「聖なるもの」のなかに存在する「偽善」ではなかったか。アメリカという国家の。今、この時代状況にあってそれに気づいた。だから、「エデンの東」は新鮮な感動を与えてくれる。

 映画は1955年のアカデミー賞で、主演男優賞、助演賞、監督賞、脚色賞を獲得した。そして日本公開の2週間前に、自動車事故で亡くなったジェームス・ディーンは24歳。ポール・ニューマン、マーロン・ブランドと同期だったという。
 彼がもし生きていたら、どんなに素晴らしい映画が生まれていただろうか。「理由なき反抗」「ジャイアンツ」のデジタル・マスター版を心待ちしている。

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November 10, 2005

181.愛をつづる詩(うた)

 原題は「YES」。イギリスの女性監督サリー・ポッター(「耳に残る君の歌声」「タンゴ・レッスン」)が描いた大人の恋の物語。
 全編にわたって、セリフは静謐で情熱的・官能的。韻を踏んだ詩で綴られる。映像はコマ落し、モノクロ、正体をはずしたカメラショットで、民族・文化・宗教・差別・歴史・権力の狭間に立つ夫婦と彼を追う。
 ピエロのように冒頭、クライマックス、ラストに登場する家政婦のセリフが、諧謔に満ちて面白い。ロンドン、ベルファスト、ベイルート、ハバナのロケが、また大人の情欲をそそる。

 ジョアン・アレン(「きみに読む物語」)が、大人の女のどうしようもない情念をうまく演ずる。サイモン・アプカリアン(「アララトの聖母」)、サム・ニール(「ウインブルドン」)が共演。

 「燃え上がる あなたを知る前の私は生きる屍 今まで知ることのなかった熱い想い 愛する人 あなたの手で私は溶ける」
 こんなセリフをはける中高年になりたい!

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November 09, 2005

180.ブラザーズ・グリム

 グリム兄弟といえば、18~19世紀にかけてドイツで活躍した言語学者、歴史・民俗学者。子供と家庭のためのメルヘン「グリム童話」の作者として有名である。
 私が読んだ記憶に残っている作品だけでも「眠れる森の美女」「森の中の三人の小人」「灰かぶり」「赤ずきんちゃん」「ブレーメンの音楽隊」「星の銅貨」「白雪姫」「狼と7匹の子やぎ」「手無し娘」「カエルの王様」「いばら姫」・・・・と数々ある。童話集は七回版を変えたが、話しの数は201に上るという。
 「メルヘン」といっても楽しく美しくめでたい話しばかりではない。「グリム童話」には、怖くて残酷で性的に卑猥な話も多い。 仏のナポレオンによるドイツ占領下に書かれたこの本には、当時のドイツの人々の抑圧された苦しい生活が反映されていた。
 しかしグリム兄弟は昔話に例えながら、辛いことを乗り越えるれば自由と幸せが得られると話を結ぶ。ある意味で、この本は「反仏抵抗の勧め」だった。

 映画もまた、グリム兄弟の反仏闘争?をメルヘンに登場する悪魔や魔女との闘いを借りてファンタジックに描く。
「赤ずきん」や「眠れる森の美女」など、メルヘンに登場するキャラクターやエッセンスが次々と登場し、VFXを駆使した映像が「グリム童話」の世界に誘う。鬼才といわれるテリー・ギリアム監督(「12モンキーズ」「未来世紀ブラジル」)の得意とするところだろ。
 グリム兄弟はマット・ディモン(「ボーン・スプレマシー」)とヒース・レジャー(「サハラに舞う羽根])。怖くて美しい鏡の女王にはモニカ・ベルッチ(「マトリックス レボリューション」)、「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰!」と詰問するあの女王である。

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November 08, 2005

179.焼酎バー「黒瀬」(26)

 11月1日は「本格焼酎の日」。焼酎バー「黒瀬」も1周年を迎えた。
 今年は「さつまいも伝来300年記念」ということで、この一週間鹿児島各地で様々なイベントが催された。
 そのひとつ、「本格焼酎川柳コンテスト」。全国から5000編も寄せられたなかから優秀作品を、私のコメント付きで。

 「焼酎(しょちゅ)い座(ざ)を 奪(と)られっしもた ナポレオン」(最優秀賞 福富東一さん)
 フランスのブランデーも今や焼酎に王座を譲った!焼酎は海外にも進出、欧州便の航空機のなかではファーストクラスに常備。

 「世界一(せかいいっ) 重千代殿(しげちよどん)も 飲んだ焼酎(しょちゅ)」(優秀賞 永山繁樹さん)
 重千代さんは、長寿世界一を長く維持した奄美の人。晩酌の焼酎が長生きの秘訣だったとか。「重千代」の銘の焼酎もあったようだが。

Imgp1466  「利右衛門(りえもん)の 墓に利右衛門 かけてやり」(優秀賞 中村正二さん)
 利右衛門は、300年前琉球から「からいも」(さつま芋)の苗を持ちこんだ薩摩の恩人。その故郷で評判の銘柄が「甘藷翁利右衛門」。

 「養生養生(よじょよじょ)ち 焼酎(しょちゅ)も一合(いっご)い 決められっ」(優秀賞 押領司雅俊さん)
 酒は百薬の長。一晩割り水して置いた焼酎を一合入りの黒チョカに入れて澗する。これをゆっくりいただく。重千代さんに負けずに長生きを。

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November 07, 2005

178.DOMINO

 映画のタイトルは「ドミノ」。といっても、あのドミノ倒しの牌ではない。「My name is Domino Harvey.I am a Bounty Hunter.」。冒頭、主人公はこう宣言する。

 英国の名優ローレンス・ハーヴェイとスーパーモデルを両親に持ちながら、賞金稼ぎの女としてFBIにも追われた実在の女性ドミノの鮮烈な人生、映画はそれをドキュメンタリータッチで描く。そしてドミノは、この映画が完成した今年の6月、自宅の浴室で謎の死を遂げた。享年35歳。

domino
 ヒロイン・ドミノを演ずるのはキーラ・ナイト(「パイレーツ・オブ・カビリアン」「ラブ・アクチュアリー」)、これまでのイメージを一新したショートヘヤーと首には金魚のタトゥ、愛用のショットガンを撃ちまくる。共演はミッキー・ローク、ルシー・リュー、クリストファー・ウォーケン、ジャクリーン・ビセット等。
 監督は「トゥルー・ロマンス」「エネミー・オブ・アメリカ」のトニー・スコット。10年前、英国のある新聞で「賞金稼ぎの女」を知った彼は、ドミノ・ハーヴェイに何年にも及ぶインタビューを繰り返し、彼女の波瀾の人生をシナリオに綴った。
  
 映画は、彼が得意とするカラー原色を強調したザラついた映像とハイスピードによるコマ落し、過去と現在を短いショットでモンタージュする。赤く焼けた砂漠とラスベガスの街が、彼女の求めたスリルと興奮と孤独を謳う。

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November 04, 2005

177.インフィオラータ2005

Imgp1745Imgp1737 晴海で6日まで「フラワーフェスティバル」が開かれている。幾つかのイベントのなかで評判なのは「Infiorata」(インフィオラータ)、イタリア語で「花の絨毯」。

 13世紀頃からイタリアでは、「キリスト聖体祝日」の行列に際し、花を舗道に撒く習慣が生まれた。17世紀になるとヴァチカンのサンピエトロ寺院のなかでモザイク風の花のデコレーションとなり、1782年には花びらでデザインした花のカーペットがローマ郊外ジェンツァーノで制作された。
 その後「花の絨毯」には、著名な画家やファッションデザイナーたちが参加するようになりニューヨークやトロント、東京でも制作されている。
 イタリアの場合は、6月が「花祭り」。そのためカーネーションの花びらが主役となる。東京では秋のこのシーズン、花びらはいろとりどりのバラである。

Imgp1739Imgp1734

 今年のテーマは「ようこそ、夢の世界へ!花で綴るファンタジー」。昨日、晴海地区の子供達の手で15万本以上のバラの花びらがちぎられ、色ごとに集められた。そして日本とイタリアから来日したアーティストの指導のもと、「アンデルセン童話」や「日本昔話」の花絵を描いた。

 作品の数は21、バラの花びらが桜の散歩道200メートルを、鮮やかに埋め尽くした。夜はライトアップされ運河のイルミネーションとともに、ファンタジーの世界に誘う。

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November 03, 2005

176.トリトン・花クルー・ツアー(秋)

Imgp1721Imgp1719 ベイエリアの再開発で、晴海に「トリトンスクェア」が誕生して4年になる。ここには、オフィスビルとマンションに囲まれた「花のテラス」と「緑のテラス」がある。このテラスを専門家の案内で巡るツアー、今回は「秋を彩る花」を紹介しよう。

Imgp1725Imgp1727 テラスの花木の種類は600、昨年の秋、今年の春・夏とツアー参加も4回目だが、今回が最も見ごたえがあった。毎年新しい品種の植付けを試みているからだろう。海風、川風、埋立地、そのなかでどんな花木が定着するの実験である。

 今回楽しんだ花は・・・・・。「エリカ・オーテシー」「エリカ・コニカ」「エリカ・ビリデスケンス」「クレロデンドリュム・ウオリキー」「クロウエア」「ストレプトカーパス」「ポインセチア・シナモンスター」「ルクリア」「レケナウルティア」「スプレーマム・セインソイル」「スプレーマム・ミラ」「スプレーマム・金風車」「スプレーマム」「ヨダーマム」「キク・デルフィマム」「クジャクアスター」「ダリア」「ビデンズ・イエローキューピット」「ガーデンシクラメン」「キバナコスモス」「キントラノオ」「サルビアレウカンサ」「シーマニア」「ヒメツルソバ」「プリムラ・マラコイデス」「プレクトランサス」「ヤナギバヒマワリ」

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November 02, 2005

175.私の頭の中の消しゴム

keshigomu_h_800 「私の中の消しゴム」とは、アルツハイマー病のことである。この病気は、老年痴呆の一つの型で記銘力の減退、知能の低下、欲望の自制不全、被害妄想などがあってやがて全身衰弱で死に至る。
 脳に特異なたんぱく質が発生することが原因のようだが、治療法はまだ確立されてない。時に若い人にも発症するらしく、映画は愛し合う若い夫婦の妻に「消しゴム」が生じたことから始まる。
 韓流の純愛路線、涙、涙で若い女性の観客を呼ぶが、高齢の範疇に入った我々にとっても他人事ではない。長い歴史を生きぬいた「連れ合い」から、二人の生き様の歴史が消えていくことは耐えられないだろう。それは「愛の記憶」が消えるというこの映画の主題以上に、悲しく辛いものだろう。
 「武士」のチョン・ウソンと「四月の雪」のソン・イェジンが若い夫婦を演ずる。監督はイ・ジェハン。
 「”私の頭の中の消しゴム”、彼だけは消さないで・・・」

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November 01, 2005

174.森の薪能

 午後四時半、開門を待っていた観客が新宿御苑・新宿門に殺到する。
 毎年十月に行われる「森の薪能」は、今年で21回を迎える。昨年、一昨年と雨のため中止になっただけに期待は大きい。
 千駄ヶ谷門に近い特設舞台まで行列が続く。およそ30分、舞台前50列あたりの芝生にシートを敷いて、席を確保した。観客およそ5000人、かがり火に照らされた顔は案外若い人たちが多い。

 午後六時開演、御苑の森を背景にしずしずと「翁」が始まる。
 「翁」は「能にして能にあらず」といわれる神事の舞いである。聖徳太子の時代から呪師(しゅし)だけが勤めた。翁面はご神体そのものだった。この神事を猿楽者が演ずる芸能に仕立て上げたのは、世阿弥の父観阿弥である。1375年、将軍足利義満の前で親子は舞った。
 今宵は天下泰平・国土安穏を祈る「白い翁」を観世栄夫、五穀豊穣を願う「黒い翁・三番叟」を野村萬斎が演じた。観世は映画監督としても知られる能楽界の長老、野村は狂言界のトップスター、見事な舞いだった。三番叟を能楽師ではなく狂言方が舞うのは、世阿弥時代からのしきたりなのだそうだ。
 
 続いて狂言「三本柱」。野村万作のシテ・果報者の命で柱を運ぶ太郎冠者以下三人の冠者、めでたしめでたしの祝言である。

 最後は能「羽衣」。春は曙、三保の松原。「羽衣伝説」を題材にしたこの舞は、シテ・天人を観世銕之丞が、羽衣を拾ったワキ・漁夫を森常好と、50代今が盛りの二人が主役。もっとも能らしい能といわれるこの演目は、ひたすら清く美しい。

 能楽堂での能と異なり、「森の薪能」は飲食自由。芝生の上で折詰弁当を肴に、熱燗で一杯やれるのがうれしい。夜は結構冷えたが、アルコールで体内から暖め、秋の宵のひとときを楽しんだ。

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