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January 31, 2006

252.浅草伝法院通り

Imgp0305 江戸中期に建てられた浅草寺の本坊「伝法院」、山内24ケ寺の住職たちの修行道場である。侠気あふれる気風のいい者を指す「伝法肌」は、この寺が由来である。
 その寺の門前通り約200mが、江戸の町並みに変わった。
Imgp0301Imgp0308 「浅草伝法院通り」、江戸の頃から「伝横」と呼ばれたこの道は、浅草寺へ向かう仲見世から六区を抜けて上野に出る浅草通りの裏道として栄えた。そしてこの度、つくばエクスプレスの開通をきっかけに通りを化粧替えして、江戸の面影を残す店造りとした。
Imgp0307Imgp0312Imgp0303 通りのいたるところに面白い仕掛けがある。呉服屋の屋根の上には「鼡小僧」が千両箱を抱えているし、駐車場は「番屋」となる。
Imgp0300Imgp0309 「江戸好み・看板揃」も楽しい。各商店の店頭を江戸風木製看板が飾る。正面看板は店の「屋号」を、袖看板は「商品を見たてた看板」である。江戸の昔商家ではやった店づくりだそうだ。
 洒落言葉を行灯に書いた「地口行灯」、「瓦化粧競」「善玉悪玉」「江戸八人衆」「落語三題」「おたぬきさま・鎭護堂」・・・・・・。
 店を冷やかしながらゆっくり歩いて1時間、仲見世通りとは異なるもうひとつの「浅草」を楽しんだ。

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January 30, 2006

251.ハリー・ポッター

generic3b_wall 第4作目「炎のゴブレット」である。
 2001年冬、「ハリー・ポッター・賢者の石」は、多くの観客にファンタジーの心地よい快感を与えてくれた。続く「秘密の部屋」「アズカバンの囚人」とJ・K・ローリングのお伽噺は、最先端のCG技術を生かした映像で私達を楽しませてくれた。
 原作は、「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」と既に6巻まで執筆されている。世界中で3億6000万部、読者たちが今度は映画にむらがる。

 第1作から5年目、ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)、ロン・ウイズリー(ルバート・グリント)、ジュー・ウイズリー(ボニー・ライト)さらには、魔術スクールの教師陣の配役は変わらない。しかし、あの第1作のダニエルたちの初々しさは、もう観ることは出来ない。可愛い少年・少女たちは、思春期の青年に成長した。そして、映画もまた初々しさを失った。

 「炎のゴブレット」の監督は、英国出身のマイク・ニューウエル(「モナリザの微笑」)である。1~2作のクリス・コロンバス監督に続いてアルフォンソ・クアロンが撮る予定だったが、第3作と撮影スケジュールがダブったため急遽新たな監督を呼んだ。
 多分その影響かも知れない。今回の作品はキレがない。物語の展開にロマンがない。CGによるVFX映像に新鮮さが見られない。「ハリー・ポッターの初恋」というエピソードも、オーディションで選んだヒロインが生かされていない。

 第5作目「不死鳥の騎士団」は、多分来年封切されるだろうが、これまでのような観客を集められるだろうか。「ナルニア国物語シリーズ」など同類のファンタジー・プロジェクトがその隙を狙っているが。

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January 29, 2006

250.男たちの大和

b_enter_on 辺見じゅんの原作「決定版男たちの大和」を弟・角川春樹が映画化した。といっても「角川映画」ではない。この作品は角川春樹事務所が東映と朝日新聞グループと組んで製作した。総制作費は発表されてないが、「大和」の艦首から船橋部までを6億円かけて原寸大に作るなど久々の大作である。

 総監督は「人間の条件」や「空海」「敦煌」などを作った職人・佐藤純彌、これもまた久々の登場である。映画は三つのユニットによって作られていく。兵士達と家族などヒューマンな部分を佐藤が、戦闘部分を原田徹、CGによるVFXを佛田洋が担当した。
 なかでもハイライトは戦闘部分である。「大和」が始めて実戦を経験する「レイテ沖海戦」、世界最強最大を謳われた「不沈戦艦」が米軍艦載機と死闘を尽し東シナ海に轟沈していくまでのシーンは、日本映画としては空前絶後のスケールといえる。原田監督は2ヶ月間にわたり120名の役者を動員し、血のり400㍑を費やしてこの「悲劇」を描いたという。
 出演者は、反町隆史・中村獅童を中心に、仲代達矢、渡哲也、奥田英二、林隆三、勝野洋等のベテラン組、松山ケンイチ、山田純大、金児憲史、高知東生等の若手。女性陣も鈴木京香、白石加代子、寺島しのぶ、余貴美子、高畑淳子のベテランに交じって蒼井優が重要な役を演ずる。

 映画そのものは、ドラマティックな作品ではない。「亡き魂への鎮魂歌」と監督で脚本も担当した佐藤が語っているように、むしろ静かな映画といえよう。既に「大和」は様々なメディアで語られているし、原作はフィクションではなくドキュメンタリーだからである。
 作者の辺見じゅんは、6年間にわたって数少ない生存者と3333名の戦没者の遺族を捜し求め重い口から「事実」を発掘して記録した。だから創作としての劇的な盛りあがりが無いのは当然だろう。

 これまでの日本の「戦争映画」と異なって、登場人物達は全てが美しく善人である。上官たちは紳士だし、下士官の班長たちは幼年兵をやさしくいたわる。そこでは、戦争映画に決まって登場する陰惨なしごきも見られない。そして雲霞のの如く押し寄せ機銃と魚雷の嵐を放つ米艦載機も、決して悪役としては描かれてはいない。
 悪役はただひとつ、それは「無益な戦争」だけである。

 映画のロケは故郷でも行われた。懐かしい風景がスクリーンに登場する。村の岬から200キロ先の東シナ悔、そこに「戦艦大和」は眠っている。

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January 27, 2006

249.鹿児島の夕べ

 在京鹿児島出身者や東京の観光・流通関係者を、知事が招待する「夕べ」が毎年開かれる。今年も芝のホテルにおよそ1000人を集め、特産品や観光情報、農水産物等の紹介が行われた。
 来場者にとっては、鹿児島の食材をふんだんに使った料理が第一目的のようだが、故郷の新しい情報がここで得られるのも楽しみだ。

 東京から帰省した官僚出身の若い知事が誕生したせいか、新鮮な発想による県政も始まった。特にこれまでのキーワード「三つのS・桜島・西郷隆盛・焼酎」に加え、「新幹線・スローフード・スローライフ・スパ」の7つをメインに据えるのだそうだ。

 kagosima1 会場の展示コーナーで関心を引いたのは、「かごしまブランド」である。これまで往々にして謙虚というのか宣伝下手だった鹿児島が、スローフード・スローライフに適した質の良い農産物を、大都市にむけ積極的に売りこみはじめたのである。

 平成3年に始まった「かごしまブランド」産地指定の第一号は、わが故郷の「南さつまのかぼちゃ」。完熟にこだわりカロテンいっぱいのオレンジの果肉は栄養の塊そのもので、我が家でもよく食している。ちょうど今頃と5月から夏にかけてが出荷のシーズンである。
 最も新しい「ブランド」も同じ「南さつまのハウスきんかん」、昨年5月に指定された。11月から3月までがシーズンで、築地市場でも特別扱いで売られている。完熟きんかんなので皮のまま丸ごと食べられる。昨夜の「鹿児島の夕べ」の会場では、高校先輩の市長自らPRに努めていた。

 他の「ブランド」を指定順に紹介すると、「東串良のピーマン」「曽於のメロン」「出水の紅甘夏」「頴娃、知覧のさつまいも」「さつまいちご団地のいちご」「冲永良部、長島、なんぐう地区のばれいしょ」「指宿、出水のそらまめ」「指宿、出水の実えんどう」、そして県下全域にわたって「鹿児島黒牛」「かごしま黒豚」が指定されている。

 スーパーや八百屋・肉屋での買い物の際は、ぜひこれ等を参考にしてほしい。きっと美味しい味に出会うだろう。

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January 26, 2006

248.毎日映画コンクール

 毎日映画コンクールは、今回で60回目。「キネ旬」(1.11のブログ235号参照)に次ぐ伝統ある映画表彰である。
 これまでの審査は、映画評論家を中心に少数の選考委員で行ってきたが「還暦」を機会に審査方法を刷新、評論家はもちろん映画記者や映画を学ぶ学生達による投票で第一次選考を行い、上位5作品から品田雄吉氏等5人の選考委員が第二次の審査を行った。

 その結果、日本映画大賞は「パッチギ!」(井筒和幸監督)、優秀賞に「オペレッタ狸御殿」(鈴木清順監督)が、そしてファン投票による「TSUTAYAファン賞」に「ALWAYS 三丁目の夕日」(山崎貴監督)と「スター・ウォーズ エピソード3」が選ばれた。
 大賞を受賞した井筒監督は「夕日がきれいだったあの日に帰りたいと、なつかしがるだけでええんか!」とのコメント。
 また「田中絹代賞」には、18年ぶりに「春の雪」(行定勳監督)に出演した若尾文子が選ばれた。
 なお第一次選考に残った他の日本映画は、「いつか読書する日」「空中庭園」。

 一方「ヨコハマ映画祭」でも作品賞は「パッチギ!」、日本映画ペンクラブ賞は「ALWAYS 三丁目の夕日」と「ミリオンダラー・ベイビー」。
 これまでも幾つかの映画コンクールで作品賞が発表されてきたが、受賞作はほぼ出揃った感じだ。

 「ヨコハマ映画祭」の個人賞は以下の通り。
 主演男優賞・オダギリ・ジョー(「メゾン・ド・ヒミコ」)、主演女優賞・田中裕子(「いつか読書する日」他)、助演男優賞・岸部一徳(「いつか読書する日」他)、助演女優賞・薬師丸ひろ子(「ALWAYS」他)、新人賞・沢尻エリカ、塩谷瞬、掘北真希。
 

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January 25, 2006

247.秘密のかけら

 「エキゾチカ」(94)「スイート ヒアアフター」(97)「アララトの聖母」(02)など、痛みや苦しさを伴う繊細なストーリーの作品を発表してきたアトム・エゴヤン監督の新作。アルメニア系カナダ人の彼は、その出自からくるのか人間の奥深いところにある危うさ、心理的葛藤を格調高く描く。
 彼の作品群は、カンヌ映画祭でのグランプリをはじめ各国の映画祭で賞を総なめしているが、その作家性が映画批評家達に好まれるのだろう。二年前には、東京で彼の作品だけを集めた「アトム・エゴヤン映画祭」も開かれている。

 この作品も監督が「世間的神話と個人的逸話の間だに生ずる矛盾についての物語」と述べているように、少々理屈っぽいものである。
 「二人のお笑いコンビ」スターに、彼等の秘密を追う若手女性ジャーナリストを配し、ショービジネスの裏側を暴露しようというサスペンスだが、二人にもジャーナリストにも、また殺された美人学生にも秘密が隠されていた・・・。

 主人公のジャーナリストに若手女優のアリソン・ローマン(「ビッグ・フイッシュ」)、デュオのスターがケヴィン・ベーコン(「イン・ザ・カット」「ミスティック・リバー」)とコリン・ファース(「ラヴ・アクチュアリー」「真珠の耳飾の女」)。
 ゴージャスなホテルで繰り広げられるリアルなセックスシーン、一糸も纏わぬそれぞれの裸身が秘密を解く鍵となる。

 50年代と70年代のファッション、ラグジュアリーなスイートルームのセットがみもの。
 

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January 24, 2006

246.「書の至宝」展

 名筆時空を超えて一堂に、「書の至宝~日本と中国」展が東京国立博物館・平成館で開かれている。
 昨日は閉館日だったが、この日を利用して特別招待があった。先日応募したところ、うまく抽選に当った。普段は大変な人気で混雑しているようだが、幸いゆっくりと名筆を楽しめた。

sho1sho3 紀元前の商(殷)・西周・戦国・泰の時代から延々と受け継がれた中国の書の歴史、その影響を受けながら独自の仮名を生み出した日本の書。まさに時空を超えて一緒に観ることができた。
 展示されている書は189点、そのうち中国上海美術館から持ってきたもの64、国内各地の美術館・博物館蔵が125ある。とくに国内蔵の書には、国宝や重文など貴重なものが多くその数54点、揃って観る機会はこれが最後だろう。(半数ほどの作品は、期間によって展示替え)

 印象に残ったものを挙げるとまず王義之他の「淳化閣帖(最善本)」、992年の拓本である(写真)。書の神様とその芸術性が高く評価されている王義之の書は、このほか9点あったが皆拓本である。10年ほど前台北の故宮博物館で一度観た記憶があるが、彼の直筆はほとんど無いのだそうだ。また彼の書による石碑も、地震等で失われたケースが多く、拓本だけが何とか残っているという。
 「閣帖」(最善本)は上海博物館のものだが、台東区書道博物館蔵の同じ拓本も並べて展示されている。これは虫食いの跡が降る雪の様に見えるので、夾雪本と呼ばれているらしい。
 王義之の書のなかで国宝に指定されているのは、前田育徳会が所持している「孔待中帖」一点。ただしこの作品は来月以降展示される。また個人蔵の「妹至帖」もあるが、はたしてどこで手に入れたものなのだろうか。

 日本の作品は、聖徳太子の「法華義疏」(飛鳥時代)から国宝の伝聖武天皇「賢愚経残巻」(奈良時代)、空海書の国宝「書状(風信帖)」(平安時代)など国宝・重文級がずらりと並んでいるが、やはり仮名文字の書を挙げたい。
 上の写真・五島美術館蔵の伝小野道風「継色紙(めつらしき)」は重要文化財。中学時代教科書で習った道風、藤原行成、紀貫之、源兼行、光悦、良寛と懐かしい名の作品が並ぶ。達筆の書は読めないが、流れる水のような墨蹟は、一幅の絵として楽しめる。

 展示は2月19日まで。一般1400円である。 

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January 23, 2006

245.綴り字のシーズン

bs_desktop_sm_0 原題は「BEE SEASON」。9歳から15歳までの子供達が、綴り字の正確さを競うコンテスト「スペリング・ビー」が舞台。日本の「漢字書き取り競争」みたいなものだが、暗証したスペルを正確に聴衆の前で発表することは、過酷な精神的緊張を強いる。これがアメリカではテレビでも放映される人気イベントなのだそうだ。

 映画は「言葉の持つパワー」「コミュニケーションの難しさ」「親子の微妙な関係」「家族崩壊の恐怖心」と、多様なテーマを絡ませながら展開していく。
 マイラ・ゴールドバークのベストセラー小説を脚色したナオミ・フォナー・ギレンフォールは「善意からはじまったものでも、家族がいかに危険な存在になりうるかの恐怖」を描いた、という。

 主人公の少女役は、映画初出演のフローラ・クロス。緊張の中でのコンテスト、両親のトラウマと兄を気遣う役を素直に演じている。
 大学教授の父親はリチャード・ギア(「Shall We Dance?」「シカゴ」)、物語の展開のなかで重要な役となる科学者の母親をジュリエット・ビノシュが演ずる。
 ビノシュはパリ生まれの女優、キエシロフスキー監督の「トリコロール3部作」でその存在感を見せた。「イングリッシュ・ペイシェント」ではアカデミー助演女優賞を獲得するなどハリウッドでも活躍している。

 監督はスコット・マクギーとデビッド・シーゲルの二人。バークレーの大学院で共に映画理論を学んだ仲で、同じく共同監督した「ディープ・エンド」は、サンダンス映画祭で審査員賞をとった。
 繊細な演出である。

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January 22, 2006

244.プライドと偏見

 ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を原作に、18世紀末の英国の田舎を舞台に描いた。これから見る人達のためにストーリーは省くが、「結婚」という女性にとって永遠の憧れをモチーフにした、5人姉妹と男たちの恋物語である。

 製作プロダクションのワーキング・タイトルは英国の会社、女性を主人公に数々の恋愛映画でヒットを飛ばしてきた。「恋におちたシェイクスピア」「ノッティングヒルの恋人」「ラブ・アクチュアリー」「ブリジット・ジョーンズの日記シリーズ」等々である。
 これまでもいくつかの作品でアカデミー作品賞を獲得してきたが、この映画もユニバーサル・スタジオと組んでアメリカ映画としてのアカデミー賞を狙っている。

 見所は、華やかなりし大英帝国の面影を残す北部イングランドの田園風景である。16世紀から18世紀にかけて建てられた貴族たちの大豪邸と庭園を中心に映画のロケは行われた。そのいくつかは、名勝史跡保存団体に寄贈され一般にも公開されているが、現在も当主である公爵が住んでいる屋敷の内部などは、日本の「六本木ヒルズ族」など足元にも及ばない豪華さである。
 物語の背景には、厳然たる階級社会による冨の差と身分の「区別」があるが、21世紀の現代でもそれが決して消えていないことを覗わせる。

 キャスティングもいい。今英国で最も輝いているスターとその脇を大ベテラン達が固めている。
 ヒロインは「パイレーツ・オブ・カビリアン」でスターの座を射とめ、「ラブ・アクチュアリー」「キング・アーサー」に出演したキーラ・ナイトレイ、相手役の大富豪の貴族役をロイヤル・シェイクスピア劇団出身のマシュー・マクファディンが演ずる。
 ヒロインの母親で豪農の主婦役は、「秘密と嘘」でカンヌ主演女優賞をとったブレンタ・ブレッシン、父親にドナルド・サザーランド(「コールド・マウンティン」)、姉役はオックスフォード大出身の才媛、「007・ダイ・アナザー・デイ」のポンドガールでデビューしたロザムンド・バイクである。
 そして忘れてならないのは、私の好きな英国演劇界の大御所ジュディ・デンチ。「恋におちたシェイクスピア」でアカデミー助演女優賞、「ラベンダーの咲く庭で」若い音楽家に恋する老女役、というより「007シリーズ」で英国諜報機関のボス「M」、あの彼女である。私より六つ年上の彼女は、大貴族夫人としてヒロインの恋路を邪魔する役を楽しく演じている。

 監督はこの作品で映画デビューした33歳の新人、ジョー・ライト。英国映画界最高のスタッフと芸達者に囲まれて魅力ある作品を作り上げた。

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January 20, 2006

243.初春大歌舞伎(2)

 初春大歌舞伎、「口上」の他の演目は以下の三つ。
 
 「玩辞楼十二曲の内 藤十郎の恋
 文春の創立者菊池寛が書き下ろしたいわゆる新歌舞伎のひとつ。初代の中村鴈治郎の当り役であった藤十郎役を、曾孫の扇雀が初役で務める。扇雀は藤十郎を襲名した三代目鴈治郎の次男、父への餞の舞台である。
 話は江戸時代、初代の藤十郎が近松門左衛門の書いた「不義密通物」の役作りに悩み、幼馴染の人妻に偽りの恋を仕掛ける、というもの。悲劇で終る話だが、「藤十郎の芸は女一人の命には負けぬもの・・・」と芸道に生きる覚悟を見せる。
 新藤十郎ではそのものずばりなので息子が代わって演じた、と言うわけではないが。
 自害する人妻役は時蔵。

 「伽羅先代萩」(めいぼくせんだいはぎ)
 夜の部での襲名舞台。ご存知「伊達騒動」を題材にした歌舞伎時代狂言の代表作である。命を狙われた幼君を守る乳人政岡を藤十郎が演ずる。幼君の身代わりとなって毒饅頭を食べる政岡の子・千松は、藤十郎の孫虎之介。これが初舞台である。
 悲劇の舞台「御殿の場」のあと、敵役仁木弾正・松本幸四郎とこれを追う荒獅子男之介・中村吉右衛門の兄弟役者の締めが、歌舞伎ならではのけれんな見せ所である。

 「島の千歳」「関三奴」
 新年にふさわしい歌舞伎舞踊。前者の千歳を務めるのは福助。あとの奴の賑やかな踊りは、橋之助と染五郎が息のあった舞台を見せて幕。

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January 19, 2006

242.初春大歌舞伎

Imgp0194 一月の歌舞伎座は、坂田藤十郎襲名披露公演。襲名披露といえば「口上」(こうじょう)が楽しみだ。そこで夜の部の席を確保した。

 「口上」とは、襲名のご挨拶。ご本人と先代、後見人と数少ない清楚な舞台もあれば、一門三十数名が舞台狭しと並ぶ豪華なものもあった。
 最近の「襲名披露口上」は、その月の出し物の共演者達十数名が舞台一列に並んで行われるケースが多い。十八代目勘三郎、十一代目海老蔵、十代目三津五郎、いずれもそんな形だった。

 昔は襲名する本人は、ただ頭を下げているだけで、座頭や先代が挨拶していたという。しかし十一代目団十郎の襲名口上は、本人が主役で紋服に裃袴、三宝を手にグッと睨み「隅から隅までズイと請い願いあげ奉りまする」と結んで口上を終えたそうだ。それから以降、「襲名口上」は本人が最後に挨拶して締めるようになった。
 昨夜の「襲名口上」では、長老の雀右衛門が司会役を兼ねて最初に挨拶したが、これも戦後になってかららしい。それまでは一門だけが出演、お客さんも贔屓筋ばかりなのでいちいち紹介しなくても、皆馴染みだったからだ。最近は他の「家」からも大勢が出演するし、馴染みの薄い観客も多くなったので、それぞれが自己紹介するようになった。

 因みに今回口上を述べたのは、順に次のような豪華な顔ぶれだった。
 中村雀右衛門(京屋)、中村梅玉(高砂屋)、中村魁春(加賀屋)、中村歌六(萬屋)、中村歌昇(萬屋)、中村時蔵(萬屋)、中村東蔵(加賀屋)、片岡我當(松嶋屋)、松本幸四郎(高麗屋)、中村吉右衛門(播磨屋)、片岡秀太郎(松嶋屋)、市川段四郎(澤潟屋)、中村福助(成駒屋)、中村壱太郎(成駒屋)、中村扇雀(成駒屋)、中村翫雀(成駒屋)、そして初舞台の中村虎之介(成駒屋)。
 最後の挨拶はもちろん中村鴈治郎改め坂田藤十郎(山城屋)である。

 成駒屋の壱太郎、扇雀、翫雀、虎之介は、藤十郎の孫と息子達である。その息子の口上に「父は70を過ぎてから成駒屋を離れて自由の身になりました。一生青春なんて嫉妬したい気持ちです」と笑いを誘ったが、新しい屋号は藤十郎の「上方歌舞伎」にかける覚悟のようだ。
 ただ藤十郎は歌舞伎界の大長老、同席した役者達は皆後輩だけに「お兄さんの襲名は誠に目出度く・・・」とやや紋きり型が多く、勘三郎や海老蔵の時のように週刊誌ネタを引っ掛けた軽いユーモアは聞けなかった。

 歌舞伎座入り口で、あの「議長」が今夜だけは「山城屋のおかみさん」として、観客をもてなしていたのが印象に残る。

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January 18, 2006

241.焼酎バー「黒瀬」(32)

 芋焼酎1000を越える銘柄のうち「黒瀬」で味わえる逸品シリーズ、11回目は薩摩半島を北へ上った川内地方。平成の大合併で甑島や周囲の町と一緒になり「薩摩川内市」が誕生した。旧市内にも蔵元は多かったが甑島が加わって、名産の焼酎が増えた。
Imgp0018 「六代目百合」
 その甑島で長い歴史をもつ地酒、塩田酒造の逸品である。島の名産「百合の花」を想わせる濃醇な味と香り、海を生業にする人々にとっては、飲み口の濃さがたまらない。コガネセンガンとシロサツマを原料に、黒麹で仕込んだ。
 他に、「六代目百合」を一切濾過させずにそのまま詰めた「風に吹かれて」もある。

 「五郎」
 「百合」は上甑だが、こちらは最南端下甑島の蔵元・吉永酒造場の焼酎である。ラベルに「創業明治41年」とあるように、鹿児島では古い蔵元のひとつである。以来麹は手造り、仕込みも一次・二次と甕の伝統を守っている。
 ロックで飲むと芳醇な香りが立ち昇る。お湯割りにすれば芋の甘さが喉を潤す。白麹のよさである。
 新しい焼酎の味を求めて今トライしているのは「甑州」(そしゅう)。

「さつま五代」
 川内地方で生産量トップの焼酎が「五代」。「白波」や「小鶴」とともに、ローカルだった芋焼酎を全国区にした功労者でもある。
 薩州霊山と云われる冠嶽山の良水を使い、コガネセンガンを原料に白麹で仕込んだ。芋の臭みは薄く軽やか。甘口で爽やかな味が、焼酎初心者にも受けたのだろう。
 黒麹と黄麹を使った「山元」は、蔵元の名を冠した銘柄。

 「鉄幹」 
 この焼酎も古来より伝わる甕仕込みである。芋の香りが芳ばしい。昔からの焼酎らしい重みがある。ロックからお湯割り、お燗と何でも合うが通はまずストレートで味わう。その後、夏はロックで冬はお湯割リとなる。
 蔵元のオガタマ酒造は、他に「鉄幹 黒」「蛮酒の杯」「おかがいも」も売り出す。

 「村尾」
 「森伊蔵」「魔王」と並ぶ三大プレミア焼酎「M」のひとつ。コガネセンガンを使い黒麹で甕に仕込む。芋のふんわりした甘みと深い味わいがある。お湯割リでも何でも向くのだが、プレミアということで、少しずつストレートで飲む人が多い。地元では2310円なのだが、東京にくると万の桁になってしまう。
 地元で愛飲されている同じ蔵元の「薩摩茶屋」もブローカーに買占められて、手に入りにくくなった。生産量が少ないので仕方ないが、困ったものだ。

 ほかに川内地方の蔵元には、大手の田苑酒造がある。ここは、鹿児島で始めて麦焼酎を本格的に造り全国展開した蔵元である。最近は「田園 芋」も出しているが、やはり麦焼酎「田苑」「田苑ゴールド」が主力。「黒瀬」にも置いてあるが、また別の機会に紹介したい。

 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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January 17, 2006

240.スタンドアップ

 「スタンドアップ」は邦題である。映画の主題をストレートに表現したタイトルでもある。「起て飢えたるものぞ、時はきた!」、あの「労働歌」が聞こえるようだ。
 沢木耕太郎は新聞評で「アジテーションとしての『立ち上がれ!』ではないのだろう。余儀なく立ち上がった人と、どうしても『立ち上がる』ことの出来ない人々が、それでも共に戦うときが訪れるのを待つ、祈りのような言葉なのだ」と書く。
 しかし、原題「NORTH COUNTRY」の方がメッセージが伝わる。北の国からアメリカ全土へ、いや世界への静かで真摯なメッセージである。

 女性監督ニキ・カーロは、当時としては珍しい女性鉱山労働者への、差別と偏見を描く。70年代から80年代、押し寄せる安い鉄鉱石の輸入によって、アメリカの鉱山は疲弊していく。職を奪いかねない状況のなか、男性労働者の鬱積が女性たちに向けられる。弱い者がさらに弱い者を蔑視し差別していく構造である。
 主人公ジョージー(シャリーズ・セロン)がそこに楔を打ちこみ、孤立無援の闘いをいどむ。何時、誰が「スタンドアップ」して彼女に続くか、映画はドラマティックに動いていく。

 実話の「映画化」。現在も「性差別」がニュースになる、アメリカの民主主義のもうひとつの側面である。リチャード・ジェンキンズの演ずるジョージーの父親が、救いだった。

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January 16, 2006

239.世田谷ボロ市

Imgp0263Imgp0267 久し振りに「ボロ市」に出かけた。世田谷に住んでいた頃は毎年出かけたものだ。我が家の火鉢も、寒い日に和服で出かける時被るインパネスもここで買った。上町駅に近い「こやま」で、焼き鳥を肴に剣菱の樽酒を飲むのが楽しみだった。
 昨日の朝NHKの「小さな旅」は「世田谷ボロ市」、映像に誘われて電車に乗った。

Imgp0251Imgp0255 「ボロ市」の始まりは、430年程前関東を支配していた小田原城主北条氏政が、小田原と江戸を結ぶ相州街道の拠点世田谷宿に開いた「楽市」。ここでは毎月一の日と六の日、市場が開かれ南北関東の物資の交流が図られた。「楽市」とは市場税を免除して自由な行商を認めるもので、全国各地で行われ、今でも「廿日市」とか「六日市」など地名としても残っている。

 「ボロ市」の名の由来は、江戸時代になって「楽市」が滅びた後、近郊の農村の需要を満たすため年の暮れに開かれた農具市・古着市・正月用品市からくる。とくに農家の作業着の繕いや、わらじに綯え込むボロが安く売られるようになって、いつとはなしに「ボロ市」と呼ばれるようになった。

 農村地帯であった世田谷は、大震災後急速に都市化が進み、本来の「ボロ市」は消えた。しかしこの「年の市」は地域の娯楽イベントと様相を変え、昭和の始めには見世物小屋や芝居小屋までかかり出店数も2000を越えたという。

Imgp0258Imgp0271 現在は年末の15・16日、年明けの15・16日に世田谷ボロ市通りに700余りの古着店、骨董店、食料品店、玩具店等が並び十数万の人出で賑わっている。
 本日の買い物、みやげの「ボロ市饅頭」に「キムチ」「がんもどき」「きんかん」。もちろん「こやま」では樽酒2杯に焼き鳥、もつ煮こみ。

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January 15, 2006

238.チキン・リトル

 このところ立て続けに「アニメーション映画」を観ている。そのなかでこの映画だけが、外国作品。ウォルト・ディズニー映画の最新作だがちょっとがっかりした。
 幼稚園児から小学校の子供向けのようだが、これでは同伴する父親や母親は居眠りしてしまう。子供達にとっても心から笑い楽しむシーンが少ない。

 「最新のテクノロジーによる美しい映像、心に残る愉快なキャラクターたち、エキサイティングな冒険、感動のストーリー、etc・・・ディズニー映画ならではの最高のエンターテインメント・ムービー」と惹句にはあるが、「世界中を魅了する」のは無理のようだ。

 というのも最近のディズニーのスタジオは、経営陣がしっくりいってないようだ。創始者一門と現トップが争っているし、アニメーション部門を支える優れたプロダクションもない。そんな事が製作陣の意欲を減退させているのかも知れない。ただ期待できるのは、「トイ・ストーリー」などを製作してきた「ピクサー」の買収の動きである。

 アニメの中での主人公チキン・リトルのセリフ、「お願い、ボクにもう一度だけチャンスを下さい」。次の作品に期待しよう。

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January 13, 2006

237.銀色の髪のアギト

 「あらしのよるに」がTBS・東宝・博報堂・獏ならば、こちらはTV朝日・松竹・電通・GONZO。いずれもメッセージ性の強いアニメだが、「アギト」の方はちょっと難しい。中学生以上でないと理解出来ないかもしれない。

 「自然を破壊しつくした人間が、森に復讐される。新たな共生の道は」ということだが、もうひと捻りしたストーリーが展開する。製作はデジタルアニメのパイオニア「GONZO」、始めての劇場版オリジナル作品である。監督杉山慶一はじめキャラクターデザインの緒方剛志、作画監督の山形厚史などメインは日本人だが、実務は中国・韓国のスタッフが担当していることが、ラストタイトルでわかる。

 声の出演は、「あらし」に対抗してか若手売れっ子とベテラン俳優で固められる。主人公アギトに勝地涼(「亡国のイージス」)、森での眠りから目覚めた少女トゥーラに宮崎あおい(「NANA」)、あと古手川佑子、濱口優、府川敏和、遠藤憲一、大杉漣等々。

 先日、日本でもトップクラスの音声製作会社社長と飲んだ。最近、アニメはもちろん劇場用の外国映画の日本語版製作が増えてきた。それはうれしいことだが、競争が激しくなると配給会社は有名な映画俳優を「声優」として使いたがる。その結果、予算の大部分を彼等のギャラに取られてしまい実際の制作費が圧迫されているそうだ。一方、CSやBS放送は予算が少なく、こちらもギリギリの線で製作せざるを得ないという。

 「銀色の髪のアギト」。ウイークデーの午前中大劇場で観たが、観客数はたったの6人。4人はアニメおたくの大学生と思しき人達、いつも劇場を満員にする中高年女性の姿がない。アニメは彼女たちの好みではないのか、それとも映画の主題のせいか。KOKIAの透き通るようなテーマ曲の歌声は素晴らしかったのに。(オープニング「調和oto~withreflection~」、エンディング「愛のメロディー」)

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January 12, 2006

236.キング・コング

kinngukonngu 1933年メリアン・C・クーパー監督によって製作された「キング・コング」。以来この「美女と野獣」の純愛物語は、様々なバリエイションを繰り返しながら亜流の「キング・コング」としてスクリーンを賑わしてきた。どの映画も、最後はニューヨーク・エンパイア・ステイト・ビルの先端でのコングとヒロインの別れである。

 「オリジナルの『キング・コング』は、私の一番好きな映画だからこそリメイクしたいと思い続けてきた。今、我々が使えるテクノロジーでこの素晴らしいストーリーを語ることは、きっとすごいと思ったんだ」。監督のピーター・ジャクソンはこう述べる。
 
 ジャクソン監督はニュージーランド出身。「ロード・オブ・ザ・リング」でアカデミー作品賞、監督賞など11部門を獲得した。しかし、彼が本当に撮りたかったのは、この「キング・コング」だった。そこで彼は、「リング」の製作が終ると、スタッフの集団「WETAデジタル&WETAワークショップ」を、そのままこの映画製作に投入した。WETAとは、ニュージランドに棲息する巨大昆虫の名前だそうだ。

 少年時代彼は、「キング・コング」のオリジナル版を観た。そして映画監督になる決心をした。あのコングとあこがれの美女(フェイ・レイ)を、もう一度スクリーンに再現したい、と。
 1996年、常に映画製作を共にした脚本家の愛妻フラン・ウオルシュと「キング・コング」の長編脚本を完成させた。しかしその想像余るSFシーンに映画会社は二の足をふむ。そこで「リング」3部作を撮る。それも同時にロケーションを敢行するという新しい映画製作手法で。

 アカデミー賞を総なめしたジャクソンは、満を持して「コング」に取りかかった。オーストラリア出身のナオミ・ワッツ(「マルホランド・ドライブ」)を「現代の絶叫のヒロイン」に。「戦場のピアニスト」でオスカーをとったエイドリアン・プロディをその恋人役、オーソン・ウエルズを彷彿させる映画監督役にジャック・ブラック(「愛しのローズマリー」)、コングの島に彼等を運ぶ船長役にトーマス・クレッチマン(「ヒトラー~最後の12日間~」)と。そして気の弱い助監督役には、なんとあのトム・ハンクスの息子コリン・ハンクスを持ってきた。

 製作におよそ半年、封切直前ギリギリまで編集に費やした作品は、188分。
 「リング」3本を同時に作ったジャクソン監督らしいが、これは長すぎる。すっかりお腹をへらして映画館をでたが、これが「キング・コング」に対する減点である。アドベンチャー超大作!には違いないが。

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January 11, 2006

235.「キネ旬」ベスト10

 映画誌「キネマ旬報」が、05年度の作品ベスト10と個人賞を発表した。
 「キネ旬」は日本で最も古い映画評論誌で大正年間に創刊、戦時中の一時期を除いて旬刊誌を発行してきた。
 この雑誌が毎年行っている映画作品と監督や俳優の表彰は、今年度で79回。規模はともかくアメリカのアカデミー賞より歴史は古い。

 審査は映画評論家と日本映画記者クラブの会員60数名が行っており、監督や俳優、カメラマン、製作者など映画実務者が選考する「日本アカデミー賞」とは、趣が違う。前者は作品性を重視し、後者はより大衆性、興行の成果を考慮しているといえよう。しかし、優れた映画に対する評価はいずれもプロだけに、重なっている部分も多い。(ただし「キネ旬」の場合、年を越える正月作品も選考の対象)

 日本映画の「作品賞」の上位は、①パッチギ!②ALWAYS 三丁目の夕日③いつか読書する日④メゾン・ド・ヒミコ⑤運命じゃない人。アカデミー賞では「優秀作品賞」として「パッチギ!」「ALWAYS 三丁目の夕日」がノミネートされている。
 外国映画では、①ミリオンダラー・ベイビー②エレニの旅③亀も空を飛ぶ④ある子供⑤海を飛ぶ夢。「ミリオンダラー・ベイビー」が重なっている。
 また「監督賞」の井筒和幸(「パッチギ!」)、「助演女優賞」の薬師丸ひろ子(「ALWAYS 三丁目の夕日」)、「助演男優賞」の堤真一(同)、「新人(女優)賞」の江尻エリカ(「パッチギ!」)は日本アカデミー賞でもノミネートされている。

 アカデミー賞の方は来月上旬に最優秀決定投票が行われ、3月3日新高輪プリンスホテルで開かれる授賞式で発表される。この模様は、日本テレビ系列で当日の21時~23時に放送。
 なお授賞式には、会員以外でも出席できる。(入場料・食事つき40000円)

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January 10, 2006

234.天空の草原のナンサ

 この映画はフィクション?それともドキュメンタリーなのか。もしフィクション映画だとしたら、出演したバットチュルーン一家の三人の子役(ナンサル、ナンサルマー、バトバヤー)には、それぞれアカデミー賞主演女優賞、助演女優賞、助演男優賞を授けなければならない。
 もし、ドキュメンタリーだとしたら、脚本・監督のビャンバスレン・ダバー(「らくだの涙」)とスタッフの粘り強さと構成力に脱帽するのみである。
 いずれにしても映画の中で「演技」しているのは、昨年のカンヌ映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞した演技派犬ツォーホルだけである。

nansa ドイツ映画だが、ダバー監督は故郷モンゴルの天空の草原を舞台に、遊牧民の一家の日常を丁寧に撮った。
 原題「黄色い犬の洞穴」は、モンゴルに伝わる姫と王子さまの民話。この伝説を下敷きにしたストーリーには、草原の民の不思議さとやさしさが詰まっている。
 カメラの存在が消えてしまったような日常のなかで、子供達は芝居の枠をこえて遊ぶ。いったいカメラは何処から彼等を見ていたのだろうか。

 ただそれだけの物語である。しかしその映像が、観る人を天空の草原に誘う。優しさと懐かしさにあふれた、素敵な映画である。

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January 09, 2006

233.冨嶽三十六景

Imgp0234 元日と二日は曇り空だったが、その後は晴天が続く。朝と夕方、富士山を眺めるのが楽しみだ。見るたびに新しい姿と色を見せる。
 
 江戸東京博物館では催し物のひとつとして、「葛飾北斎ー冨嶽三十六景」展を開催している。北斎が70代になってから描いたさまざまな「冨士山」である。

 「三十六景」とあるが実は46図。西村栄寿堂がこの版画シリーズを売り出したところ、大変な評判。北斎に頼んで新たに10枚画いてもらったためだ。
fugaku27fugaku28 46図のなかで地名のない画が3枚ある。この「凱風快晴」と「山下白雪」それに冨士の登山姿を画いた「諸人登山」である。この画はまた富士山そのものが描かれていないたった一枚でもある。
 「凱風快晴」いわゆる「赤冨士」を描いたもので、朝日に照らされ一瞬赤く輝いた富士と雲が素晴らしく、大波の冲に浮かぶ冨士を描いた「神奈川冲浪裏」と並んで北斎の代表作とされている。博物館の展示場でも、最も人だかりがしていた。

fugaku12Imgp0236 毎日眺めている冨士とほぼ同じ方向と位置にあるのが、「武陽佃島」。現在の姿と並べてみたが、雲のわく空に裾をひく冨士を藍一色でとらえている。ただしこの画は夏である。
 他に今の東京都内からとらえた画が、「江戸日本橋」「本所立川」「品川御殿山の不二」など18図ある。果たして今、その地から「富士山」が見えるのかどうか、近々訪ねてみたいと思っている。

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January 08, 2006

232.あの鷹巣町の その後

 昨日は、気が置けない友人・知人が集まっておしゃべりと美味しい料理を楽しむ会。久し振りにドキュメンタリー映画監督の羽田澄子さんにお会いした。
 十数年来取材を続けてきた秋田県鷹巣町の新作が完成した、とのこと。羽田さんはこれまでにも「住民が選択した町の福祉」(1997年)、「問題はこれからです」(1999年)とこの町に視点を置いた映画を製作してきた。これが、三作目である。

 鷹巣町は秋田県の北部、能代市と大館市の間にある人口2万ちょっとの町。15年前老人福祉の充実を掲げて当選した若い岩川町長が、デンマークの福祉に学んだシステムを生かし、住民参加のもと高いレベルの高齢者福祉を築きあげてきた。しかし三年前、町村合併を掲げた対立候補に負ける。新町長は、「福祉のやりすぎだ」と町の政策を大きく変え、昨年には周辺三町とも合併、「鷹巣の福祉モデル」は危機的状況に陥っている。

 「いったい鷹巣町に何がおきたのか」。この映画は、2003年以降多くの町民たちの取材を重ね、昨年夏までの町の変化を追っている。

 羽田さんは、「少しでも早く、多くの方々に、この問題を共有していただきたい」と自主上映会用のビデオ販売をはじめたとのこと。
  
 「あの鷹巣町のその後」(VHSテープ 前編115分 後編65分) 2万8千円
 問い合わせ先:自由工房 ℡03-3463-7543 

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January 06, 2006

231.クルーズへの招待(4)

cr8 「エンターテインメント」はまず夜のシアター。21時と深夜0時の2回興行である。ゆっくりディナーを楽しんだあとは劇場へ。オーシャンビュークラス以上の乗客は、二階のバルコニー席に案内される。およそ1時間30分、中国アクロバット、曲芸、レビューショウ、マジシャンによる楽しいステージが楽しめる。芸達者な乗組員たちによる「王様と私」「ムーランルージュ」などブロードウエイ・ミュージカルのダイジェストは評判で、地元シンガポールのTVで取り上げられた。
 深夜のショーは有料。20S㌦払えば、ラスベガススタイルのトップレス・レビューを心ゆくまで楽しめる。ただ翌朝は寝不足となるが。

cr7 エンターテインメントのガイドは、毎日配られる「船内新聞」に記載される。朝7時から深夜2時までどこかで何かが必ず開かれる。1日40種類、「キックボクシングを一緒に」「中国アクロバットレッスン」「シングルクラブ」(一人旅の客だけのイベント)「クルーと遊ぼうキッズの集い」「卓球ダブルスコンペ」「モノポリー大会」「ガラファッションショー」(各国出身のクルーが演ずる民族衣裳のショー)「寿司の握り方教室」「龍の飴細工教室」「国際カラオケチャンピオン大会」「マージャン世界選手権大会」「みんなで笑おう!体験ヨガ」「ティーンズ・ディスコダンシング」等々。
 アダルトオンリー、カップルオンリー、こどものプログラム、わかもののプログラムと船客をいかに楽しませるか、サービス精神はもちろんリピーターを増やそうというスタッフたちの努力を感じる。

 「船上の生活」は乗客個々人が自由にプラン出来るのが、陸上の旅との違いである。そのため遊びもスポーツも食事も、また寄港地でのオプショナルツアーも数多くのメニューが用意される。カップルも食事の時間以外なら、別れて好きな趣味にひたることが可能だ。

 毎日デッキで読書三昧にふけっていた日本人女性が、帰りの飛行機のなかで「クルーズが病みつきになりそう」と旅の感想を述べていたが。(終)

 最後に話題のクルーズと乗船料を。
・クイーン・エリザベスⅡ世~世界一周、NY→NY110日間~ 310万円ー
 780万円
・飛鳥Ⅱ~世界一周、横浜→横浜101日間~ 320万円―1800万円
・にっぽん丸~世界一周、横浜→横浜102日間~ 290万円ー1140万円
・ぱしふぃっく びーなす~世界一周、神戸→神戸104日間~ 250万円ー
 1600万円

・ダイヤモンド・プリンセス~南太平洋、オークランド→シドニー16日間~
 38万円ー53万円
・イマジネーション~西カリブ海、マイアミ→マイアミ8日間~16万円ー41万円
・プライド・オヴ・アメリカ~ハワイ、ホノルル→マウイ6日間~19万円ー24万円
・スーパースター・ヴァーゴ~シンガポール→シンガポール6日間~12万ー32万円
    (以上は現地までの往復飛行機代をふくむ)

・ピースボート~世界一周、東京→東京102日間~140万円ー350万円

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January 05, 2006

230.クルーズへの招待(3)

cr5 「キャビン」は、20㎡のオーシャンビュー・ステートルーム(バルコニー付き、1泊3万円程度)をメインに、15~20㎡のオーシャンビュー(窓付き)、15㎡のインサイド・ルーム、そして数室のエグゼクティヴ・スイートの4クラス。20㎡といえば、シティーホテルのツイン・ルームの広さ。ただ、バスではなくシャワー。客室に用意されているアメニティセットや飲料水、ティー、コヒーなども日本のホテル並といえよう。

cr6 「レストラン」と「バーラウンジ」はそれぞれ8店。他に950席のシアター(2階はバルコニー席)、100席の映画館、カジノ、プール、一周200mのトラック、スパ、スポーツジム、ビューティーサロン、ライブラリー、インターネット室、カードルーム、マージャン室、ゲームセンター、託児所、もちろんショッピングアーケードとシティホテル以上の設備が整っている。

 船旅の楽しみは「飲みかつ食べる」こと。フランス料理のメイン・ダイニングとマレー料理・インド料理のバイキング・ビュッフェ(乗客にイスラム教徒が多いので、このレストランでは豚肉・ラードは一切使用してない)、飲茶ランチが売り物の中華レストラン、テラスやプールデッキのカフェ、24時間オープンの屋台レストラン、食事代は乗船料に含まれているので基本的には無料である。
 有料レストランは、イタリア、日本(寿司・鉄板焼)、広東、インドの各国料理。例えばイタリアンレストランで「SEA CARPACCIO LINGUINI PASUTA」は、ハーフボトルのテーブルワイン付きで一人50S㌦(3200円)、にぎり寿司は一人前2000円程度である。
cr3 世界各国どのクルーズでも、アルコール類は有料である。「ヴァーゴ」の場合、メインバーでの「シンガポールスリング」や「ドライマッティーニ」は7.5S㌦(480円)、「ビール」5.5S㌦(320円)、シアターのバルコニーで飲んだ「HENNESSY XO」は20.5S㌦(1300円)と、ノータックスなので日本のホテル・バーの三分の一の値段である。

 またウエルカムパーティー、船長主催のカクテルパーティー、ガラディナーなど無料の催しものも毎夜何処かで開かれているので、シャンパンとワインは飲み放題である。
 もちろんルームサービス(有料)も24時間あるので、自室のバルコニーで潮風に吹かれながらの食事も出来る。数多く乗船していた車椅子の老夫婦たちが、よく利用していた。(続)

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January 04, 2006

229.クルーズへの招待(2)

kuruzu 「スーパースターヴァーゴ」は、1999年にドイツで建造された76,800tの外航客船。(「飛鳥」「にっぽん丸」の4倍の大きさ。全長270m、航行速度24ノット、キャビン980室、乗客定員1、960人、乗組員1、100人と世界でも最大級の船である。
cr2  因みに、この春デビューする日本最大の外航客船「飛鳥Ⅱ」は「クリスタル・ハーモニー」を改造したもので、総トン数49,000、400室のキャビン、定員720人、乗組員400人である。

 「ヴァーゴ」はもともとノルウエーの船。マレーシアの華僑系財閥が数年前に会社を吸収合併、シンガポールと香港を母港に東南アジアから南太平洋を舞台に運行している。そのせいか、船長や機関長、航海士などの士官はほとんど北欧系で占め、クルーはフイリッピン・インドネシア人、クルーズ・スタッフはマレー人や中国系シンガポール人。日本人のスタッフも3人、日本語を話せる韓国人も2人乗船している。またレストランやバーは、英国人、中国人、日本人、イタリア人、マレー人、インド人と多国籍の面々がそれぞれ特色のある店を開いていた。

 多国籍の乗組員が運行する船内の公用語は、英語と北京語。広東語を話す乗客が多いそうだが、マンダリンと俗称される北京標準語が守られているのが面白い。ただし、客室に毎日配られる「船内新聞」は、英・中の他に日本語版とヒンズー語版もある。というのも船客の国籍のトップは、毎航海家族連れのインド人だそうで、あとオーストラリア、北欧、シンガポール、香港、英国、日本の順。(続)

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January 03, 2006

228.クルーズへの招待(1)

 「海外の船旅は費用がかかり、服装やマナーも厳しく敷居が高い」、こんな声をよく聞く。しかし最近は、費用も安くカジュアルで楽しめるクルーズも増えてきた。

cr  飛行機に例えると、ファースト・クラスは「クイーン・エリザベス」や「クイーン・メリー」、日本船籍では「飛鳥」「にっぽん丸」「ぱしふぃっく びいなす」の世界一周旅行等。費用は1日あたり安くても4万以上、上のクラスになるとだいたい10~15万円かかり、タキシードにブラックタイ、カクテルドレスが必要など、ドレスコードも厳しいのが特徴である。

cr4
 ビジネス・クラスに相当するのは、「スーパースター・ヴァーゴ」(マラッカ海峡)や「プライド・オブ・アメリカ」(ハワイ)、「ノルウエージャンスター」(アラスカ)など最近評判の一週間程度のクルーズである。
 クラスはだいたい4段階、1日あたり2~4万円。ノーチップ制で服装も普段はカジュアル。ディナーパーティーでも、男はジャケットにネクタイ、女性はワンピースやちょっとドレスアップした服装で、堅苦しくなくおしゃれを楽しめる。そのうえ設備は充実しており、「にっぽん丸」等に比べるとずっと贅沢でサービスも行き届いている。

 エコノミー・クラスは、「ピースボート」が代表的な例で若い人達が利用する船。2段ベッド四人部屋で費用は1日あたり1万4000円、ツインで1万8000円程度。もちろん3万円以上の部屋もあるが、サービスはあまり期待出来ない。若者向けのイベントはいろいろ工夫されている。ただそれも船客によるボランティアに頼っている部分もあるが。(昨年経験した「スーパースターヴァーゴ・クルーズの旅」、旅行誌掲載文を一部加除して再掲)

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January 02, 2006

227.初春ひとまく会

Imgp0196Imgp0193 歌舞伎座で最後の一幕を観る恒例の「ひとまく会」、新年の初日だけは毎年最初の一幕を、4階の立見席で楽しむことにしている。

 今年の「寿・初春大歌舞伎」は、「中村鴈治郎改め坂田藤十郎襲名披露」。そこで新藤十郎が登場する二幕目までの札を買った。見料は800円。

 最初の幕は、初春をことほぐ舞踊「鶴寿千歳」(かくじゅせんざい)。
 筝曲にのって雄鶴を梅玉が、雌鶴を時蔵が格調高く舞う。純白に深紅をあしらった舞台衣裳が美しい。歌舞伎座の舞台に女性が十人、琴を奏で祝言を謡う姿は初めて見る。

 ニ幕目が「夕霧名残の正月」(ゆうぎりなごりのしょうがつ)~由縁の月~。
 和事の代表作のひとつ、近松門左衛門の「廓文章」は、傾城夕霧にうつつを抜かし勘当される大店の若旦那・藤屋伊左衛門の話だが、これはその後日談。
 今は亡き夕霧が、形見の打ち掛けの陰からありし日の姿のまま現れる。喜ぶ伊左衛門、しかしその逢瀬は儚くやがて夢うつつの彼方に消えていく。初代藤十郎が伊左衛門を演じて大当たりをとった作品だそうだ。
 ただ初演の台本はなく、新たに書き下ろされた歌舞伎舞踊である。

 伊左衛門はもちろん鴈治郎改め藤十郎、夕霧には雀右衛門が扮するが、共演の我當、秀太郎、進之介は上方の片岡仁左衛門家。舞台に登場する仲居たちも関西から連れてきた。「『これが上方歌舞伎です』いうのをお見せしたい」、新藤十郎の意気込みを表わした配役である。
 話題は伊左衛門が着ている紙衣(かみこ)。初代藤十郎の創始したやつしの扮りで、つぎはぎの薄紫に和歌を散らした美しい意匠である。

 襲名を披露する「口上」は夜の部だが、この幕の最後でも我當がうまく話をつなぎ藤十郎が襲名のご挨拶。「山城屋」の掛け声が飛び交うなかで幕が降りた。

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January 01, 2006

226.謹賀新年

Imgp0175 「謹賀新年」
 2006年、東京の元日は曇り、初日の出は拝めなかった。

 山の手から下町に居を移して3回目の正月を迎えた。この僅かな歳月の間に、窓から見える光景は大きく変貌をとげた。
 見える方角だけでも九つの超高層マンションとビルが完成し、十一の建物が建築中である。とくに1㌔先で建築中のマンションは、58階建て2棟1800世帯という巨大なもので、再来年完成すればレインボーブリッジの三分の一の眺望を失う。
 こちらもそうした建物に入居して、多くの家々の光を遮ったのだから文句は言えないが、林立する巨大な赤いクレーンを眺めるたびに複雑な気持ちになる。

 昨年行われた国勢調査の速報値によれば、中央区、千代田区、港区の順で人口の増加率が高いとのこと。中央区は、今年10万人を突破するらしい。一時期7万人を切りそうになり区当局を慌てさせたらしいが、バブルがはじけて以来倉庫や工場が売却され、跡地にマンションが建って人口も増えた。
 石川島重工跡地の大川端リバーサイドがしかり、リチャード・ギアの広告で即日完売の東京タワーマンションもそうである。

 今朝住吉神社の初詣の折り通りかかった超高層マンションは、昨年暮れに完成した。この新しいマンションの前で記念写真を撮っていた若い夫婦の晴れがましい顔が、なぜか強く印象に残る。

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