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April 30, 2006

330.デュエリスト

Duelist トップシーンは、北野武が描いたとする?「鬼平犯科帖」スタイル、ラストは切なくて哀しい「韓流・シュリ」の世界。スローモーションと短いアップのカット割り、大胆なカメラワークによるダイナミックな映像が続く。

 「肉体のアクションではなく感情のアクション。衝突と息遣いを映像化した」とイ・ミョンヘ監督はいう。韓国伝統の仮面舞踏と禅武道を「デュエル」に撮り込み、全てを赤・白・黒の色彩でまとめる。「友へチング」「マイブラザー」を撮影したファン・ギソクの映像世界である。

 愛しながらも互いに死闘する「デュエリスト」の二人を、韓国若手№1のカン・ドンウオン(「オオカミの誘惑」)と今売れてる女優ハ・ジウオン(「恋する神父」)が演ずる。男は悲しい目のテロリスト、女はそれを追う刑事、そして時代は李王朝なのである。

 作品の主要部分は二人の闘いである。頬と頬を摺り寄せながら舞うがごとく剣を交えるシーンは、また互いの愛撫でもある。二人の目は恍惚の泪に濡れる。
 アクションを得意とする香港や中国の時代劇、ましてや日本の時代劇では決して描く事の出来なかった映像美、もうひとつの「韓流」が誕生した。

 NHKで放送した「チェオクの剣」の映画版であるが、原作を大胆に翻訳した。ハ・ジウオンは両方に出演している。

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April 29, 2006

329.焼酎バー「黒瀬」(41)

 焼酎の話題を最近のHPから要約で。

 「焼酎『喜島三宅』出荷はじまる」
 火山活動による避難指示が解除された、復興に取り組む三宅島産のサツマイモを使った焼酎「喜島(きとう)三宅」が完成、先週から島への出荷が始まった。
 これは三宅島で1990年代半ば以降途絶えていた島の焼酎を復活させようと、同村が鹿児島のいぶすき農協に協力を依頼。指宿から贈られたサツマイモの苗を島内で試験栽培し、このほど収穫した500キロを使って醸造したもの。
 仕込んだのは枕崎市にある薩摩酒造、720㍉㍑入りのびん5000本が来月にかけて、三宅島の小売り店で売り出される。
 「喜島三宅」は先週末、平野三宅村長から石原都知事にも届けられた。

 「焼酎をアメリカに・1通のメールから」
 この人は、鹿児島県曽於市でプライベイトブランドの焼酎を造っている前畑浩一さん(50)。今月の初め、前畑さんの元にカルフォルニア在住の未知の日本人から1通のメールが届いた。内容は、前畑さんの焼酎を3人のアメリカ人に勧めたところ美味しいと大変喜ばれた、というもの。
 このメールに感激した前畑さんは、自ら代表を務めプライベイト焼酎5銘柄を造っている「侍士(さむらい)の会」(酒販店主の集まり)と相談、県内の蔵元や在米鹿児島県人会などの協力を求めて、海の向こうでイモ焼酎の普及に乗り出すことにしている。
 前畑さんは「大手焼酎メーカーは既にアメリカでの販路を開拓しているが、小さなPB焼酎の造り手でも世界にイモ焼酎を普及させることは出来る。鹿児島の”サムライ”の挑戦だ」と夢を語っている。
 
           (373news.comから)

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April 28, 2006

328.ニュー・ワールド

 映像は視覚と聴覚に訴えるメディアだが、それに触覚や嗅覚などを加え「新しい感覚」を生み出そうとする試みが時々行われる。
 私自身も博覧会やイベント会場で、映像にリンクさせて振動を与えたり風を送り込む試みを行った経験があるが、話題にはなったもののビジネスとしては成立しなかった。
 この映画で、久し振りにそんなトライが行われた。

Newworld 「ニュー・ワールド」は、完璧な映像詩を歌い上げる伝説の監督テレンス・マリックが久しぶりに完成させた映画である。
 「地獄の逃避行」と「天国の日々」でアカデミーなど数々の賞をとり、20年の沈黙の後「シン・レッド・ライン」を発表、ベルリン映画祭で金熊賞を獲った。それから7年、この作品が誕生した。

 題材はアメリカ合衆国誕生の前史、ヴァージニア植民地建設のためイギリスから渡ってきた冒険家ジョン・スミスとこの地を治めていたネイティヴ・アメリカンの王の末娘ポカホンタスとの愛の物語である。
 これまでも何回か映像化された「アメリカで最も有名な伝説」を、今も残るヴァージニア州の大自然をロケ地にして製作した。
 テレンス・マリックは、照明を使わない自然光のみで緑の大草原、蛇行する大河、奥深い森を撮影し、美しいラブストーリーをつくりあげた。

 今回の試みは、この大自然の映像にアロマの香りを乗せてみようというもの。サロンパスルーブル丸の内(東京)と梅田ブルク7(大阪)の劇場内、中央部の三列で実施されている。
 香りの演出は、「オープニング」から物語の展開に沿って「旅立ち」「運命」「引き裂かれる二人」などの7つのシーン毎に行われる。例えば「旅立ち」では「森林系」、「運命」では「花系」+「ミント系」、「引き裂かれる」では「ハーブミント系」の香りが足元から流れてくる仕掛けである。
 効果の方は・・・・・、人それぞれなのでここでは省いておこう。

6_poca800 映画の方は王女ポカホンタスに大抜擢された15歳の新人クオリアンカ・キルヒャーが素晴らしかった。ペルーインディオの血を引く彼女が、妖精のような無垢の少女を見事な存在感をもって演じた。
相手役のジョン・スミスはコリン・ファレル(「アレキサンダー」)、大勢のネイティヴインディアンの役者たちが歴史を正当に描くためにこぞって出演したという。
 日本では徳川2代将軍の時代、アメリカ独立170年前の実話である。

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April 27, 2006

327.桃源郷

Imgp0612_1Imgp0613Imgp0611 「桃源郷」に遊ぶ。昼は冨士を眺めながら露天風呂で疲れを癒す。「ほったらかし湯」と銘うち、何も人工の手を加えていない温泉だという。しかし、この3月から100円値上がり、入浴料は600円。原油高騰のためとの張り紙、ほったからしてはいなかったのか?
Imgp0627Imgp0629_1Imgp0633 夕餉は友人たちとの桃李宴。桃畑の真中の亭で友人の仕込んだ’03、’04年の白ワインを嗜む。桃の花の香りを肴に、酒宴はすすむ。至福ひととき。

Imgp0615_1Imgp0617 冨士が薄雲の中で淡く姿を見せる。桃源郷の1日である。

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April 26, 2006

326.「最澄と天台の国宝」展

 平成に入った頃、2年間関西で過ごした。仕事や来客の案内で比叡山延暦寺には良く登った。「千日回峰行」で知られる横川(よかわ)の中堂では、修行僧を追って何日も滞在した。檀家のくじ引きで無住寺の住職候補となった岩手の老農夫が、若者に混じって苦闘する様の撮影だった。
 100歳を越えた先代の座主と般若湯を酌み交わす機会もあった。天台僧なのに「鴨鍋」の好きな好好爺で、鍋を突っつきながら聞いた話には、含蓄があった。
 その延暦寺が開かれてから1200年になるという。

 このこの展覧は天台宗開宗1200年記念特別展として、延暦寺をはじめ天台宗関係寺院にある「国宝」「重要文化財」を一堂に集めたものでその数は131点、数十年に1度しか公開されない秘仏中の秘仏(善水寺・薬師如来坐像)もあった。

 文書では、800年初頭の最澄(伝教大師)の直筆「天台法華宗年分縁起」(国宝)。比叡山に戒壇を設立したいと、朝廷等に差し出した文書6通を綴ったもので「一隅を照らす、此れ即ち国宝なり」の言葉は、この中に書かれている。
Tendai3 この「聖観音菩薩立像」は重要文化財。比叡山奥深くにある横川中堂の本尊で、十数年ぶりの対面である。朝、本尊を前に首を垂れていた老農夫を撮影して以来である。
 この菩薩像は、信長の延暦寺焼き討ちの際奇蹟的に救い出されたものである。
Tenndai4 これは博物館の裏手にある上野・寛永寺の秘仏本尊「薬師如来および両脇侍立像」(重要文化財)。明治維新の際の上野の山の戦争で寛永寺は灰燼に帰したが、再建の折り比叡山から運んだ仏像である。いずれも平安時代のもので、寺外初公開である。
 ほか滋賀・園城寺、恵光院、明王院、鶏足寺、聖衆来迎寺や京都・三千院、鞍馬寺、青蓮院などの寺宝が一堂に並べられ壮観である。
 それぞれの寺で拝観した仏像や経典も、歴史的な解説付きで系統的に観ると、また異なった感慨を抱く。

 5月7日まで東京国立博物館・平成館で開催中。

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April 25, 2006

325.ひとまく会

 歌舞伎座の最後の一幕を、4階の立見席で観る「ひとまく会」、4月の演目は「伊勢音頭恋寝刃」(いせおんどこいのねたば)。江戸中期、お伊勢参りで賑わう古市の遊郭で実際に生じた殺人事件を題材に、わずか2ヶ月で上方の舞台に上がった「和事世話物狂言」である。

 主人公の「御師・福岡貢」は今で言う旅行ガイド、下級の神職で片岡仁左衛門が演ずる。
 実はこの「ひとまく会」で「伊勢音頭・・・・」を観るのは4回目、5年前孝夫が仁左衛門を襲名した時も「貢」を演じていたが、この役は上方歌舞伎の伝統をひく仁左衛門の「当り役」といわれている。

 「和事」とは、上方で完成された歌舞伎の芸脈である。当時頻繁に起きた心中事件を舞台化した愛と死の芸術といえる。そして主役が和事師(二枚目)。
 その二枚目にも二通りある。「色男、金と力は無かりけり」の弱々しいタイプと、「ピントコナ」という強さの中に柔らかな色気を持つ辛抱の役である。
 「伊勢音頭・・・」の福岡貢は、まさにその「ピントコナ」で「縁切り狂言」の主人公の典型である。耐えに耐え、やがて妖刀青江下坂が血を呼び、白絣が朱に染まって行く。仁左衛門の見せ所である。

 他に時蔵、福助、勘太郎、東蔵、梅玉、そしてこの日松江を襲名した玉太郎が出演している。 

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April 24, 2006

324.子ぎつねヘレン

Helen_20060420Helen_20060413 古くからの知人・竹田津実さんの本が映画化されたというので映画館を覗く。本人からは「原作とは違い、オリジナル・ストーリーとして創られたもの」との話。同じ仲間からも「あまり期待しないほうが」との忠告もあったが。

 脚本は北海道を舞台にいくつかの本を書いてきた今井雅子、主人公に少年をもってきて「家族の再生と生きることの素晴らしさ」をそれなりに描いていた。

 目と耳の不自由な子ギツネをヘレンと名付け、妻と共に介護し死を見取った実話「子ぎつねヘレンがのこしたもの」(偕成社刊)が原作。
 作者の竹田津さんは、獣医師で写真家・エッセイスト、北キツネの生態調査を長く務め「北キツネ物語」など数多くの写真集・本を出している。
 そして私もそのひとりだが、この地を取材する多くのマスコミ関係者の相談役も務めてきた。
 この映画もまた彼が監修役として全編に目を通したはずだから、動物の生態には間違いないだろう。

 製作パートナーズにヤフーも参加しているので、「ブログ」によるパブリシティを積極的に展開している。それを読むと、若い人達は結構感動しているようだ。大沢たかお・松雪泰子を中心に、少年役が深澤嵐(「みんな昔は子供だった」)、女子高校生に小林涼子(「HINOKIO」)をもってきたからか。

 監督はフジテレビのヒットドラマを数々演出してきた、共同テレビの河野圭太。これが映画監督デビュー作である。
 ただ無意味なコラージュや、不可解な登場人物(吉田日出子)等混乱も看受ける。
 原生花園やオホーッツク沿岸の懐かしい映像が美しい。カメラは映画界で第一人者の浜田毅が担当した。

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April 22, 2006

323.寝ずの番

 学生時代の寮生活で、夜ともなると安酒を呷って唄った艶歌。猥雑でエロっぽくてなぜか哀しい唄だった。その艶歌をたっぷり聞かせてくれたのが「バチが当るほど面白い!『寝ずの番』」である。
Nezunoban シネスイッチ銀座は、午前中なのに満員。平均年齢は多分70を越える顔ぶれ、それも女性が多い。110分、彼女たちが大らかに笑い声をあげる。もちろんR-15指定である。

 「寝ずの番」とは「お通夜」のことである。本人抜きの一世一代の大イベントであるが、この作品では3回の「お通夜」にきちんと本人が登場する。落語家の師匠は死体のままで「らくだ」のかっぽれを踊らされ、兄弟子は阿弥陀さまの仏前を高座に一席、師匠のカミさんは三味線片手に粋な口説きを。

 監督は「カツドウヤの元祖」マキノ省三の孫、マキノ雅彦。あの津川雅彦の監督デビュー作品なのだ。
 出演者が豪華だ。喜劇役者そのものの中井貴一が主役、落語家の師匠は監督の実兄長門裕之、兄弟子は笹野高史、師匠のカミさんが富司純子、長門に「オソソ?」を見せる中井の妻は木村佳乃、師匠の息子で遅咲きの落語家が岸部一徳とくる。
 笹野の通夜の弔問客は皆本名で登場。桂三枝、笑福亭釣瓶、浅丘ルリ子、米倉涼子、中村勘三郎の面々がマキノ雅彦「大名跡・マキノ」襲名に花を添えたのだ。
 そして原作は関西きっての劇作家、故中島らもとくれば「笑って寂しく哀しい」作品になる。

 ”今は山中温泉で 今は混浴露天風呂 湯浴み芸者のお色気に 見とれて のぼせて救急車”
 前売り券を買えば、艶歌染め抜きの手ぬぐいがつく。というので先月しっかりと購入しておいた。

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April 21, 2006

322.ウォレスとグルミット

Wg03_800 世界中の子供達に愛されている発明家ウォレスと忠犬グルミットのアニメシリーズ3作目、今回の副題は「野菜畑で大ピンチ」。初の長編アニメーションである。

 アニメ界の鬼才ニック・パークは、仲間達と結成した英国のプロダクション・アードマンフィチャーズでクレイ・アニメの傑作を次々と製作してきた。
 クレイ・アニメとは、粘土で作ったキャラクターを動かしながらヒトコマづつ撮影するという緻密な手作業で製作するもの。最近流行りのCGアニメと異なり、表情の豊かさ、手作りのぬくもりが特徴である。しかしそれだけ手間がかかり、長編作品の製作は難しかった。
 この作品は、ハリウッドのCGアニメトッププロダクション・ドリームワークスアニメーションSKGと共同製作することでその難関を乗り越えた。それでも企画から完成まで5年の歳月を要したという。
 そして今年のアカデミー賞「長編アニメーション部門」で、「ハウルの動く城」「ティム・バートンのコープスブライド」を抜いて作品賞を獲得したのである。

Wg04_800  ニック・パークはこれまでも、「短編アニメーション部門」で3回アカデミー賞を受賞してきた。そのうち2回は「ウォレスとグルミット」シリーズで、いかにこの作品・キャラクターが映画界で期待を集めているかが判る。
 ニックは今年48歳、13歳の時からアニメを作り始めたという。アカデミー賞受賞のスピーチで彼は「素晴らしい映画はみんなで作ったもの、つまらない映画は自分で作ったと言え。こう先輩たちにアドバイスされたもんだ。だからこの映画はみんなでつくったものさ」と満場の爆笑をさそった。

 次の長編アニメ「ウォレスとグルミット」は5年待たなければならないか?

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April 20, 2006

321.ファイヤーウオール

Onesheet 「逃亡者」のキンビル医師で「どんな逆境に置かれても耐えぬき戦う男の座」を確立したハリソン・フォード。刑事・弁護士・検事・潜水艦艦長・CIA分析官そして合衆国大統領として「戦う男」を演じてきた彼が、今度は大銀行システム担当重役として「今そこにある危機」と戦う。家族とシステムを守るために。

 ファイヤーウォールとは外部からのネットワーク不正侵入を阻止するための電子の砦。自分が設計した完璧なセキュリティーシステムを、自ら破らざるを得ないスリリングなストーリーが映画の見所。「これは、現代社会の脆さを描いた映画。誰にでも起こり得ることだ」と脚本のジョー・フォート(「OUT」)は語る。
 誰もが安全だと思いこんでいるプライバシーとセキュリティーが、いかに脆いものか。昨今の現実もまたそれを照明している。

 敵役が上手い。英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの舞台俳優出身で、「ビューティフル・マインド」に出演したポール・ベターが、知的で残酷な誘拐強奪犯を演ずる。彼は近々封切される「ダ・ヴィンチコード」でも悪役として登場する。

 監督はこれも英国出身、「リチャード三世」でベルリン映画祭銀熊賞をとったリチャード・ロンクレイン。音楽が「真夜中のピアニスト」で同じくベルリンで銀熊賞を獲ったアレクサンドル・デプラ、フランスの映画音楽作曲者である。

 「知性、高潔さ、勇気、そして正義」のハリソン・フォードが、最後は老体?に鞭打ってポール・ベターと死闘、素手の殴り合いに勝つという、いつものパターンに安心する。

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April 19, 2006

320.春・浜離宮

HamarikyuuHamarikyu2 都内のソメイヨシノはほぼ葉桜になったようだが、浜離宮のサトザクラはなんとか花をもたせている。
 この日曜日で「さくら・春の庭園ライトアップ」も終わり、汐入の池の「お伝い橋」の架け替え工事も始まった。
 今見頃は「ボタン園」と「菜の花畑」、とくに菜の花は30万本が植えられており一斉に花を開かせている。あと2週間が勝負か。
 中央区では、来月7日までを「区民花と緑の集い」に指定し無料で入場出きる。
 このあとは、ハナショウブ、サルスベリ、アジサイと続く。

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April 18, 2006

319,サウンド・オブ・サンダー

 理屈っぽい「SFパニック・アクション映画」である。
Saunndo 原作はSF小説の巨匠といわれたレイ・ブラッドベリ(「太陽の黄金の林檎」ハヤカワ文庫)の54年前の作品。彼は、100年後のシカゴを舞台に人類絶滅の小説を書いた。
 それから50年、映画技術はその映像化を可能にした。そして時代もまた、彼の予言に近づいている。だからこの映画は奇想天外なSFの世界ではなく、「生態系の異変」という近未来に起りうる現実を描く。理屈っぽくなるわけである。

 2055年、人類の長年の夢である「タイムトラベル」が可能となった。6500万年前にタイムトラベルして、恐竜狩りを楽しむツアーがビジネス化されている。過去への旅の守るべき条件は三つ、①過去を変えるな②過去に何も残すな③何も持ち返るな。
 しかし大金持ちの客はそれを破る。わずか1.3gの何かを持ち返ったのだ。そのことで、進化するはずでなかった生物が異常に進化し、未来へとつながる生態系が大きく狂った。

 主演の科学者・タイムトラベルの案内人にエドワード・バーンス(「15ミニッツ」)、タイムトラベルの発明家にキャサリン・マコーマック(「スパイゲーム」)、監督はSFアクションを得意とするピーター・ハイアムス(「エンド・オブ・デイズ」)。
 なかでも「タイムトラベル」をビジネス化した旅行会社社長を演ずるベン・キングスレーがうまい。「ガンジー」でアカデミー賞をとった彼は、最近作「オリバー・ツイスト」で強欲だが何となく憎めない少年スリ団のボスを演じた。今回もまた強欲だがちょと抜けている人物の役だ。

 異常進化によって生まれた巨大生物も面白いクリーチャーたちだ。恐竜のVFXはこれまで様々な映画に登場してきた。そこで未知の生物として考えたのが、恐竜と合体した霊長類動物リズブーン。コモドオオトカゲとマンドリンヒヒを足して2でわった「トカゲヒヒ」の登場である。また、竜の顔を持つ巨大うなぎも登場する。そしてワンカット、人類の進化の成れの果ても。

 冒頭から結末までハイテンションの映像が続く。1時間42分、少々肩も凝った映画である。

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April 17, 2006

318.大統領のカウントダウン

 「誇張無し!ロシア軍が全面協力、レーニン通りを封鎖した、かってない大規模ロケ!総撮影日数140日!ロシア映画史上最高の制作費800万ドルが投入された!」との宣伝につられて劇場へ。

 このところ消息不明だった「ロシア映画」、宣伝通りこの作品はハリウッドを凌ぐアクション大作だった。配給したエイベックス・エンタティンメントの腕を買う。各地で大ヒットだそうだ。

Rosiaeiga チェチェンで捕虜となったロシアFSB(旧KGB)の諜報員が脱出した後、チェチェン独立派とイスラム過激派が起こしたサーカス会場での人質事件に挑むというストーリー。
 モスクワ劇場、ベスラン学校占拠事件、チェチェン独立派とアルカイダとの結託、政商オルガリヒの暗躍等ロシアで今も進行中の事件と、実在の諜報員をモデルに描いただけにリアルである。

 ロシア軍はスホイ27戦闘機からIL-76輸送機、BTR装甲車、可動式通信施設、特殊工作船など本物の軍事機材を提供したし、制作費も原油高を背景にしたロシアの好景気が支えたという。

 監督エヴゲニー・ラヴェレンティエフ、主演アレクセイ・マカロフなど、現代ロシア映画界を支える30代のスタッフが中心だというが、もちろん私にとっては始めて聞く名前。ちょっと太り気味の主役はもう少し精悍さを、と注文したいし、アクション映画につきものの「お色気シーン」が無かったのは寂しい。

 次の作品には「ナイト・ウオッチ」というロシア版マトリックスが控えているという。低迷期を脱出したロシア映画の新しい波に期待しよう。

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April 15, 2006

317.東京道産酒の会(7)

 北海道を慈しむ紳士・淑女たちが、月に一回集う道産酒の会。177回のゲストは、国稀(くにまれ)酒造株式会社社長の林真二さん。
 国稀酒造は日本最北端の酒造メーカー。明治15年日本海に面した留萌支庁南端の増毛で、酒造りを始めた本間酒造が前身。120周年を機に銘柄「国稀」と社名を変更した。「国稀」は、日露戦争の勝利を記念に乃木希典から名前をもらって創った。
 今夜は、「増毛と北海道の酒事情」についてのスピーチ。

 増毛=マシケはアイヌ語で「かもめのいるところ」、江戸時代からニシンの漁場として知られまた北前船が水の補給に寄港したところでもある。村の背後に聳える「暑寒別岳」(1491m)の伏流水が豊かだった。
 この地には北方警備のため秋田藩の番所が置かれていたが、冬の間は稚内の警備を受け持っていた津軽藩も「避寒」のため臨時の番所を設けた。
 増毛に入るには、空知の深川を経由して留萌から下るのだが、近年雄冬岬越えの札幌からの道が開かれ、石狩、浜益と海岸線の美しい光景が楽しめるようになった。
 「暑寒」の名の通り増毛は、寒暖の差が激しく果物の適地、さくらんぼの北限としても知られている。
 また暑寒別天売焼尻国定公園として観光客も増えてきた。

 さて北海道の酒造業界。現在お酒を製造しているのは13社、大正末には200社以上あったというから激変したと言ってよい。日本酒の消費が最も多かった昭和30年代は40社あり、その後消費が減るに従い統廃合が進み現在の蔵数になった。消費が地元中心のため生産が伸びない。どう道外へ売り出していくかが課題である。
 酒の仕込みは10月から3月ころまで。「寒造り」と言われるが①雑菌の繁殖が押さえられる②新米が使える③杜氏が農閑期である、など条件が整うからだ。
 現在全国で、日本酒の杜氏は20集団800人ぐらい。南部・越後・丹波などが有名だが、北海道はほとんど南部杜氏である。しかし、全国的に杜氏が高齢化して後を継ぐ人が少なくなった。美味しい酒造りのため、この問題をどう解決するか、頭が痛いそうだ。
 大学の醸造科などで蔵元の後継者たちや若い女性が、酒造りを学んでいる。こうした動きに期待したい。

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April 14, 2006

316.ブロークバック・マウンテン

Brokeback これほど世界中の映画賞をかっさらった映画は珍しい。
 ロサンジェルス、ニューヨーク、シカゴなどアメリカ各地で、批評家協会賞(作品賞・監督賞)をほとんど獲り、非メジャーを対象としたインディペンデント・スピリッツ賞(作品賞・監督賞)、DGA、PGAでも最優秀作品賞を獲った。
 海外ではヴェネツィア国際映画祭グランプリ「金獅子賞」を受賞、ゴールデングローブ賞(作品賞、監督賞、脚本賞、オリジナル音楽賞)のほか、アカデミー賞3部門(監督賞、脚色賞、オリジナル音楽賞)を授賞した。

 アジア人初の監督賞を授賞したアン・リー(「グr-ン・デスティニー」)は授賞スピーチで「主人公二人、イニスとジャックに感謝します。彼らの愛は社会から拒絶されたけれど、愛がどんなに素晴らしいものかを、我々に教えてくれたから・・・・。」と語る。
 男同士の許されない愛を描いたこの映画、同性愛には理解ある映画関係者がこぞって受け入れた。アカデミー作品賞は「クラッシュ」に持って行かれたものの、宗教的なタブーから開放されつつあるアメリカ西海岸での評判は特に高かった。映画界は「アンチ・ブッシュ(宗教右派)」なのである。
 
 若い二人のカウボーイが、羊の放牧のため一夏を「ブロークバック」で過ごす。美しい自然の山の中で二人は助け合って暮す。日がたつにつれ互いの好意が友情となり、やがて精神的な愛に。そしてある日、二人の男は肉体的に結ばれる。
 それから4年、それぞれは妻帯し子供をもうける。しかし、二人は「あの夏」が忘れられない。

 映画は二人の出会いから永遠の別れまでの20年を描く。この役をヒース・レジャー(「ブラザーズ・グリム」)とジェイク・ギレンホール(「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」)という今アメリカで売れっ子の若いスターが演ずる。瑞々しい青春から孤独な中年までを。そこが、アン・リーの演出力であり「監督賞」を獲った故である。
 原作はピューリッツア賞作家アニー・プルーの短編小説(集英社文庫)。女性の感性が男の愛を鋭く綴る。映画もまたこれを忠実に再現している(ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナの共同脚本)

 沢木耕太郎は「これは『愛』という言葉を口にできなかった者たちの物語である。しかし同じに、その『愛』の記憶だけで生きていける者と、それだけでは生きていけない者との『別れ』の物語でもあるのだ」と評す。
 男と男の友情を超えた「愛」。理解し映画にのめりこむまでにはいかなかったが、「この世で私たちは皆孤独であり、全ての人達が愛を求めてさまよう」という女流作家アニー・ブルーが、「ブロークバック・マウンテン」に托した愛についての賛歌はわかる。

 カナディアン・ロッキーでロケした雄大な自然の映像が美しい。撮影はロドリゴ・プリエト、低予算の非ハリウッド系プロダクションがカナダのスタッフを率いて作ったことが、逆に成功している。
 バックに流れるボブ・ディランの音楽(歌・ウイリー・ネルソン)が、主題を強く印象づける。

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April 13, 2006

315.タイフーン

 哀しい映画である。チャン・ドンゴンがその哀しみの総てを背負っていた。脱北したが南の裏切りで北へ送還、そのさなかで家族は殺され、幼い姉と末っ子だけが生き延びた。その末っ子チャン・ドンゴンが誓ったのは、祖国南北への復讐だった。

 朝鮮戦争による離散家族、今も続く脱北の悲劇、世界でただひとつの民族分断国家だけに、南北問題を扱った作品は、韓国では燃える。国民の多くが家族・親戚にその創痕をかかえているからだ。
 そして「シュリ」「JSA」「ブラザーフッド」「シルミド」等、南北分断の悲劇をテーマにした一連の映画は、韓国内だけでなく日本・アメリカでもヒットしている。

Taifun タイを拠点とした海賊の首領役のチャン・ドンゴン、アジアでは折り紙附きのトップスターとなった。「友へ/チング」「ブラザーフッド」、中国のチェン・カイコーは「PROMISE」に彼を抜擢した。今最も油が乗りきっている俳優といえる。
 その彼を追う秘密捜査官イ・ジョンエ(「ラストプレゼント」)は中井貴一ばりの甘いマスクながら、鍛えぬかれた韓国軍人を演ずる。そして生き別れた姉にイ・ミヨン(「純愛中毒」)。
 この姉弟が20年ぶりに再開を果たすシーンが、映画のクライマックスである。ここに映画の総てを凝縮させた、と監督のクァク・キョンテク(「友へ/チング」)はいう。彼の父親もまた北から南に逃れてきたひとりである。

 タイやロシアのウラジオストクなど大規模なロケを敢行した。ストーリーの展開もダイナミックである。短いカット、かぶさる轟音、息もつかせぬカーチェイス。とくに銃撃戦のシーンは、役者もスタッフも軍人経験者だけにリアルである。それはアメリカ映画以上の迫力でもあった。

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April 12, 2006

314.焼酎バー「黒瀬」(40)

 「いも焼酎の消費の動き」
 鹿児島県農業・農村振興協会が行った県産芋焼酎の消費動向の調査がまとまった。この調査は、今後焼酎用のサツマイモの生産を安定的に続けるため、首都圏の焼酎の消費動向を調べたものである。
 調査は昨年秋行われ、東京有楽町の「かごしま遊楽館」で消費者からアンケートを求めたり、酒類卸売販売会社や酒店で聞き取りを実施した。
 報告書は焼酎の需要の陰りについて、卸売会社は「ブームは去って売れ行きは落ち着いたが、芋焼酎は他の焼酎のような陰りは見られない」と報告、一方で酒屋は「全体的に陰りの傾向にあり、売れ筋商品が固定化している」と指摘、「焼酎人気は衰えていないものの、これまでのように『焼酎なら何でも売れる』状況ではなくなった」としている。
 注目されるのは「無農薬のサツマイモを原料にした焼酎を」「原料が国産かどうかの表示を」「原料は国内産にこだわるべし」との安全・安心な焼酎を望む消費者の声が強かったことだ。
 報告では、①製品の品質向上②物語性などを付加した「こだわり商品」の開発③原料の産地表示・・・などを提言している。(「南日本新聞」ほか)

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April 11, 2006

313.隅田川お花見クルージング

 都の外郭団体「東京都公園協会」では、隅田川と荒川を中心に「東京水辺ライン」を運行している。両国~お台場や葛西、千住、荒川遊園を結ぶ定期便の他、季節ごとに様々なクルーズを企画している。
 3月下旬から4月中旬で人気のコースは「お花見クルージング」。まず両国を出発して桜橋へ、ここでは隅田公園両岸の桜が楽しめる。川を下りながら新川、佃公園の桜、そして東京湾に出たあとはレインボーブリッジをくぐってお台場へ、再び両国に戻る2時間の船旅である。日中3便、夜1便、夜はお弁当・飲み物・桜餅つきで大人5000円。

 昨年は早めに「ナイト便」予約をとったため、桜はまだ3分咲き、川風も冷たいクルージングだった。今年は時期をずらしたところ、花の盛りは過ぎてしまった。3月上旬に予約申し込み・抽選なので、なかなかタイミングが合わない。
Naito1Naito2 といっても夜の船旅なので、酒でも飲みながら東京の夜景を楽しむのが第一の目的。川面からの桜は先日の大横川で満足した。
 広い船室に客は40名限定、自由に動き回れるのがいい。外に出ても寒くなく高層マンションや東京タワーをゆっくり眺められる。
Naito3
 今年からは、ボランティアの「リバーガイド」が附いた。都の公報紙でも募集していたが一定の研修を受けて乗船する。定年退職者の余暇という趣で、決して上手くはないが真面目に橋の歴史や河畔の町の歴史を語ってくれた。

 東京水辺ライン、来月は「鬼平を訪ねるクルーズ」。ほかに「落語を楽しむ」ものや「ちゃんこ鍋を囲む」「ワインをたしなむ」クルーズなど、色々と楽しいクルーズを企画してくれる。
 詳しくは下記のHPを。

 http://www.tokyo-park.or.jp/waterbus/

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April 10, 2006

312.お江戸深川さくらまつり

Sakura1Sakura2 NHKの朝のニュースでも紹介されたが、深川では小名木川と大横川を中心に桜祭りが行われている。
 ハイライトは先月25日から昨日までの土・日に実施された花見船。昔は木材や農産物が運ばれた掘割の両岸が、桜のトンネルとなっている。そこを和船で楽しもうというもので、昨年から始まったイベントである。

Sakura3Sakura4 船は江東区所有のもので、漕ぎ手は「和船友の会」のボランティアの皆さんがあたる。
 メンバーのほとんどが年配者だが、私の乗った船の漕ぎ手は中学生の山崎君。昨年和船の体験会に参加しておもしろくなり、大人達の会に加わった。手馴れた漕ぎっぷり、もうベテランにも負けない腕前だそうだ。女性2人をふくめ、今回のイベントには若者4人が参加した。

 Sakura5Sakura6 先月下旬に満開を迎えた大横川の桜、今年は例年になく長いあいだ花を咲かせている。
 隅田川から少し入った黒船橋の船着場から三つの橋をくぐって東富橋までの往復40分、きのうは桜吹雪と川面の「花筏」を楽しんだ。
 大横川河畔のライトアップは16日まで続く。夜桜見物に、深川の辰巳芸者が現れるかも知れない。

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April 08, 2006

311.吉野の桜

Yoshino 高野山を下り紀ノ川沿いに大和街道を走る。伊勢街道に入ると川の名前も吉野川となる。
 「3万本の山桜が咲き競う奈良県の吉野山。古くから修験の地として知られ、源義経の悲話や西行の歌に彩られた・・・・・」。朝日新聞(5日夕刊)ニッポン人脈記は「『魔境』吉野に迷い込み」と書く。

 昨年、霊場「吉野・大峯」が世界遺産に登録された。それを機会に観光バスやマイカー規制が始まった。馴れないせいか駐車場の誘導に手間取っていたが、車は少ない。それに「下千本の桜」でも満開まではあと一週間ということで、観光客も少なくゆっくり歩ける。

Yosino1Yosino2 「銅の鳥居」から歩いて30分、「上千本」「奥千本」が眺められる「竹林院」を訪ねる。聖徳太子が建てたこの寺には、千利休が築造した群芳園がある。大和三庭園のひとつといわれ、頂上の展望は四周の借景園である。秀吉はここで「吉野の花見」の宴を開いた。
 ここも枝垂れは満開だったが、山桜は固い蕾のままである。

Yosino3Yosino4  帰途「金峯山寺蔵王堂」に寄る。
 白鳳時代修験道の開祖・役行者が開いた根本道場で、桜の木で刻んだ「金剛蔵王権現」が安置されている。このことから吉野では桜は神木として保護され、また多くの修験者から苗木が献木され「日本一の桜の名所」となった。
 現在の「蔵王堂」は高さ34m、桁行7間、梁間8間の重層入母屋造り、檜皮に葺かれた36m四方の大伽藍である。安土桃山時代建立された建物は、仁王門と並んで国宝に指定されている。
 15年前、「義経と静」の行跡を追って冬の吉野を訪ねたことがある。この時は、蔵王堂の二階の回廊に案内され、桜吹雪のような雪景色を楽しんだ。現在は一階の本堂のみ特別拝観出きる。

 吉野の桜の見頃はこれから。奥千本が満開を迎える月末まで、麓から山頂にかけて山桜が色づく。ただし、観光客のラッシュアワーを覚悟しなければならない。

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April 07, 2006

310.高野山奥の院

Imgp0423 京都から車で3時間、紀の国・高野山を訪ねたのは今回で三度目である。しかし奥の院に入り、弘法大師御廟と燈篭堂までたどり着いたのは初めてである。

 一の橋から御廟の橋までおよそ2㌔、「先達」の案内で杉の巨木に覆われた参道の石畳を歩く。周囲は諸大名・公卿・仏教各宗派の創始者、著名人、戦没者たちの供養塔や納骨堂・墓で埋め尽されている。
 真言密教の根本道場として空海(弘法大師)が開創してから1190年、10萬を超える石塔は朽ち果て苔むしている。

Koya1Koya2 墓碑銘は日本史の手本となる。入り口から主な人を辿ってみると、曽我兄弟、徳川頼宣(紀州初代藩主)、平敦盛・熊谷直実、大岡越前、武田信玄・勝頼、上杉謙信・景勝、石田三成、柴田勝家、明智光秀、天寿院千姫、駿河大納言忠長、前田利長、向井将監、浅野内匠頭、豊臣秀吉、春日局、筒井順慶、佐久間将監、有栖川宮等々。最近になって織田信長も見つかったという。あの比叡山で僧俗3000人を殺し、石山寺や長島で一向宗徒を虐殺した仏敵「信長」もこの地で供養されている。宗派、敵・味方を問わない、死者すべてが仏というのが、高野山の教えなのだそうだ。
 大名家の墓地・供養塔は広く豪華である。地元紀州藩をはじめ彦根藩、真田藩、加賀藩、越前藩、安芸藩、薩摩藩など江戸時代の大藩が並ぶ。
Koya3Koya4 そこだけは宮内庁が管理している天皇陵もあるし、親鸞、法然の供養塔もある。

 戦没者の供養塔も多い。空挺落下傘部隊、前橋陸軍予備士官学校、アンボン島海軍特別陸戦隊、海軍通信学校第四十一期、第十四期「同期の桜」等々。

Koya5 そして最近は、大手企業の社員物故者の慰霊碑が増えてきた。自社製品を墓碑にしてPRさながらである。

 夜は宿坊に泊まる。初めての経験だった。高野山百数十の寺院のうち、50ヶ寺が参拝者のために宿坊を開いている。
Koyasann 「天徳院」、三代将軍家光の息女天徳院(加賀藩主前田利常夫人)の菩提所として建立された寺で、小堀遠州作の重要文化財指定の庭で有名である。 
 ここで精進料理の夕餉をいただき、朝6時半からの「お勤め」で「南無大師遍照金剛」を唱え、一汁一菜の朝食で心を軽くした。もちろん、夜は般若湯で体も清めた。

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April 06, 2006

309.醍醐の花見

Imgp0414 「そうだ、京都へいこう」とJR東海がしきりにPRしているので、久し振りに新幹線に乗る。東京の桜はもう散り始めたので、ようやく開き始めたという関西を目指した。
 最近のデジタルカメラは凄い。猛スピードで走る新幹線の車窓からでも、ピントの合った写真が撮れる。早朝の東海道、雲ひとつない青空だった。

Imgp0421Imgp0420 京伏見到着、醍醐寺へ。
 「醍醐の花見」は、今から408年前の慶長3年3月15日(旧暦)に豊臣秀吉が開いた豪華絢爛たる最後の催しである。その年の夏、彼は逝去した。

 自ら設計した醍醐寺の三宝院庭園をメイン舞台に、近江や山城・河内・大和から700本余りの桜を移植し、大名達に茶店を開かせた。そこに女房衆1300人を招待したのである。
 VIPは何といっても正室の北の政所(寧々)、続いて第1側室の淀君(茶々)。以下松の丸殿(京極家)、三の丸殿(織田家)、加賀殿(前田家)と秀吉の妻妾16人が並ぶ。秀吉は彼女等と幼少の秀頼を引き連れて八つの茶屋を回ったという。

 このイベントのあと、巷の話題になったのが「醍醐の花見の盃争い」。先に秀吉の盃を受けた№3の松の丸殿に対し、№2の淀君が嫉妬で怒り狂ったと言うエピソードである。
 №3の松の丸殿は京極家の姫君、臣下筋にあたる浅井家出の淀君より位は上との自負を持っていた。しかし、後継ぎを生んだ淀君にとって、それは許されないことだったのだ。
 加賀殿の母まつ(前田利家の正室)のとりなしで、ようやく事は収まったが、正室北の政所はそれをクールな目で見据えていたという。
 その時の秀吉の顔を見たかった、と京の町衆は手をたたいて喜んだに違いない。

Imgp0418 盃の争いを見ていた桜が一本だけ残っている。ほとんどの桜は寿命が尽きてソメイヨシノに植え替えられたが、三宝院大玄関脇の枝垂れ桜だけが、当時の美しい花を見せてくれる。

 秀吉が白塀越しに桜を楽しんだ庭園は、国の特別史跡・特別名勝に指定されている。しかしその端正な造園の美を見せることは出来ない。
 そこには「撮影禁止」の札が至るところに貼られ、大勢の監視人が目を光らせていた。たかが庭、されど庭園なのか。

 9日の日曜日は、豊太閤花見行列。桜満開の醍醐寺は観光客で埋め尽されるだろう。

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April 05, 2006

308.南極物語

Tarojiro 「20世紀デザイン切手第12集」に描かれたカラフト犬タロとジロ、極寒の極地に置き去りにされて1年、昭和33年に生存が確認されたニュースは、日本国内中に感動を呼び起こした。
 それを題材にした蔵原惟繕監督の「南極物語」は、再び感動を呼び映画は大ヒット、60億円の興行収入を得た。23年も昔、1983年のことである。高倉健・渡瀬恒彦が演ずる犬そり担当の隊員と2匹のカラフト犬の映像は今も記憶の中にある。

Nannkyoku この映画をハリウッドのディズニーがリメイクしたのが、今上映中の「EIGHT BELOW」、南極物語である。

 「極寒の地に取り残された犬たちの、大自然との生存をかけた闘いと、彼等を置き去りにせざるを得なかった人々の心の葛藤」というテーマは変わらない。
 「15頭の犬を置き去りにした」と大衆の罵声を浴びた「日本」と、財団の資金と仲間の友情で再び南極に戻る「アメリカ」とストーリーに差があるのは、仕方がない。タローとジローだけが生き残り、8頭は鎖に繋がれたまま餓死し6頭が行方不明の「日本」に対し、ハリウッドは6頭を生存帰還させる。動物愛護の圧力が強いアメリカらしい。
 
 シベリアン・ハスキーの「演技」が上手い。鳥を捕まえアザラシと戦う。よくそこまで調教したものだ、と感心する。
 監督は「シックス・センス」のプロデューサーも務めたフランク・マーシャル。アンデスの山中で生き残った若者の実話を映画にした「生きてこそ」のあの監督である。主役のガイド役はポール・ウォーカー。

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April 04, 2006

307.焼酎バー「黒瀬」(39)

 焼酎の話題を先月の新聞から要約で。

 「吉永さんの芋焼酎」
 女優・吉永小百合さんをイメージした芋焼酎「さゆりの泪」が発売された。醸造元は吉永さんの実父の故郷でもある霧島市の日当山醸造、吉永さんもティスティングするなど開発に携わった。
 「さゆりの泪」は、ブルーのボトルに写真入のラベル。日ごろ焼酎をたしなむ吉永さんの意見を取り入れた。価格は720㍉㍑で1800円。吉永さんは「ほのかな香りがさわやかで、美味しいお酒です。ぜひ、皆様に味わって頂ければと思います」とのコメントをだした。(南日本)

 「黒糖焼酎中国輸出へ」
 奄美大島にしかわ酒造は、3月末から中国へ黒糖焼酎の輸出をはじめた。すでに2月には韓国や英国にも輸出しており、今後国を増やし、海外展開を強化する。
 本格焼酎ブームが落ち着きつつあるなか、米国やアラブ首長国連邦への輸出も計画し、「焼酎の国際化」を視野に入れた海外戦略を展開して経営基盤の強化を図ることにしている。
 同社は、中国の酒が30~40度とアルコール度数が高いのに対し、黒糖焼酎は度数が低く健康志向が高まっている富裕層の間で受け入れやすいのでは、とみている。(南日本)

 「寝かせると美味 なぜ?」
 長期貯蔵すると味がまろやかになる焼酎。その理由、方法を突き止める研究を九州の酒造業界が進めている。
 大分県酒造組合は県と協力して、たるの内側を焼く場合と焼かない場合、貯蔵する年数などで分類し、品質がどう変わるかを調べている。
 球磨焼酎酒造組合も今年から、海外のたるを取り寄せて同様の研究を進める。
 中小企業が多い焼酎業界。つくってすぐ売るのは、資金を回収するためでもあった。(朝日)


 ただ「芋焼酎の長期貯蔵」には、異論がある。「古酒」で知られる泡盛や、穀物を原料とする米焼酎や麦焼酎は確かに貯蔵すると美味くなる。また、ウイスキーのように貯蔵樽から醸しでる風味を生かした焼酎もある。だからこれらの焼酎は原料に拘らない。タイなどからの輸入米、中国からの輸入麦で充分なのである。
 芋の場合は原料のもつ香味が命である。産地指定のコガネセンガンや有機栽培の芋に拘るのはそのためである。その個性的な芋の香味が薄れないうちに飲みたい、焼酎愛好者はこう言う。だから、貯蔵は「ステンレス」か「甕」で2~3年に限る。
 もちろん芋焼酎の「古酒」にトライした銘柄もある。「薩摩の風」(3年)、「蔵の師魂」(4年)、「げんもん」(5年)、「久耀」(6年)、「酔十年」(10年)、「超五代」(10年)、「古酒桜井」(12年)等味わってみたが、確かに芳醇な香り、すっきりとした口当たりの焼酎、これはもう好みの問題だろう。

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April 02, 2006

306.中央区・桜の名所

Imgp0387Imgp0382
 東京の桜はどこも満開、週末ご近所の「桜の名所」を歩く。

 中央区内でもっとも桜の多いところは、その名のとおりの「さくら通り」。東京駅八重洲北口から丸善・高島屋を抜けて新亀島橋までのおよそ1㌔、ビルの谷間に150本のソメイヨシノが花開く。普段はサラリーマンの通り道だが、週末はゆっくり花が見られる。
Imgp0568Imgp0569 次に数が多いのは「佃公園」の120本。リバーサイドにはベンチも多く、高層マンションと隅田川を眺めながら桜を楽しめる。ただ、団体の花見客が青いシートを敷き詰めているので、少々遠慮しながら歩く。
Imgp0390  3番目は浜離宮恩賜庭園の100本。昨夜からは庭園内の桜がライトアップされた。午後8時30分までに入園すれば良い。また中央区民は、来月7日までは無料で入園出きる。ただお酒など持ち込んでの宴会は出来ない。静かに桜と池を眺めよう。

 あと5~60本の桜が楽しめるのは「トリトン・桜の散歩道」「月島川・緑の散歩道」「石川島公園」「明石町河岸公園」「新川公園」など。いずれも隅田川や運河沿いで桜を見ながら散歩が出来る。
 お店を冷やかしながら桜を楽しむには「人形町通り」「水天宮通り」「銀座桜通り」がある。桜見物のあとは何処かで一杯、という方にお奨め。
 そしてもう一ヶ所、カップルにお奨めが「晴海ふ頭公園」の90本。ここはオオシマサクラが多い。豪華客船でも入港していたら素晴らしいのだが。

 最後に「一本桜のスポット」を。
 「日本橋際」(ソメイヨシノ・シダレサクラ)、「湊橋(新川一丁目)」(ソメイヨシノ)、「大根河岸(銀座1丁目)」(オオシマザクラ)、「佃の渡し跡(湊三丁目)」(ソメイヨシノ)。

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April 01, 2006

305.焼酎バー「黒瀬」(38)

Imgp1641  昨年の秋に仕込まれた焼酎が市場に出始めている。地元では毎年春に「本格焼酎鑑評会」を開いているが、最近は銘柄名より誰が仕込んだか、杜氏の名前が注目されるようになった。
 「黒瀬」を訪ねるお客さんの中にも、杜氏の名前で「銘柄」を決める人も多い。といって杜氏は常勤とは限らない。腕の良い杜氏は各地の蔵元から声をかけられる。だから同じ銘柄でも、その年によって杜氏が代わり、風味や香りも変わる。

 そこで今年(平成17酒造年度)の鹿児島県鑑評会で入賞した焼酎のうち、「黒瀬」で楽しめる焼酎の銘柄と杜氏のみなさんを紹介しよう。

 「小鶴くろ」(笠野美好) 「桜島」(黒瀬安信) 「薩摩乃薫」(新村洋一) 「さつま若潮」(下平悦司) 「白露」(城森史明) 「さつま国分」(安田宣久) 「さつま島美人」(小川和彦) 「三岳」(松永優誠) 「黒伊佐錦」(山之上則久・原田幸太郎) 「八千代伝」(吉行正巳) 「白玉の露」(松崎篤行) 「薩摩の誉」(大山修一) 「小鹿」(地寄誠) 「寿百歳」(前村貞夫) 「さつま大海」(大牟禮良行) 「伊佐大泉」(南谷義昭) 「島乃泉」(四元貴教) 「南泉」(上妻博穂) 「甘露」(神渡義照) 「瀞とろ」(宿年原敏洋) 「里の曙」(長谷場洋一郎)

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