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May 31, 2006

358.焼酎バー「黒瀬」(48)

 最近の焼酎の話題を、HPや新聞から要約で。

 「北海道で芋焼酎つくり」
 北海道の焼酎市場はじゃがいもや糖蜜を使った甲類が主流だが、最近は本格焼酎がブーム。そこで札幌酒精工業では、昨年から「コガネセンガン」を原料とした芋焼酎「喜多里」を製造、今年は5万本を販売する予定。
 気温が低い北海道はサツマイモの栽培には適していないが、鹿児島県の栽培方法を参考にビニールで土を覆い地温を高めることで収穫量をふやした。当初は厚沢部町の畑100aで24㌧収穫、昨年は地元での育苗にも成功し2.3haで70㌧の原料を確保して製造に入り、先週から販売を開始した。そして今年は10ha300㌧を目標に、本数も20万本を来春売り出す予定である。
 既に厚沢部町には焼酎工場も完成しており、7年後には100万を目指している。
 「喜多里」は、他にもじゃがいも、昆布を原料とした本格焼酎(乙類)も造っており、720㍉㍑1000円で販売している。(北海道新聞)

 「焼酎・食の人材育成」
 鹿児島大学は、焼酎や黒酢など製造・醗酵食品分野の優秀な人材を県や食品業界と提携して育てる「かごしまルネッサンスアカデミー」をこの秋にも開講する。
 アカデミーは「食の安全管理」「経営管理」と「健康・環境・文化」の三つのコース。食品産業従事者や飲食・観光業者、自治体職員など50人に焼酎などの歴史や文化、健康、環境論を講義し、地域から情報を発信できるサポーターとして養成する。
 このアカデミーは、文科省の科学技術基本計画で新設された「地域再生人材創出拠点の形成」のひとつ。山梨大学の「ワイン人材生涯養成拠点」など9つの大学プログラムとして選ばれた。
 大学では「焼酎学講座と連動して農業や観光など県全体のさらなる活性化につなげたい」と話している。(373.COM)

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May 30, 2006

357.ピンクパンサー

Pinnkupannsa おなじみのテーマ音楽にヒョウのアニメが始まる。これだけでもう笑いが止まらない。ご存知「ピンクパンサー」の久々の登場である。

 もともと怪盗「桃色豹!」を当時の大スター・デイビッド・ニーブンが演じた映画だった。しかし「桃色豹」を追う間抜けなフランス人警部クルーゾーを演じたピーター・セラーズが受けに受けて、こっちが主役になってしまった。だから今回の映画にも、「怪盗ピンクパンサー」は登場しない。「ピンクパンサー」という高価なダイヤモンドが狂言回しとなる。

 ピーター・セラーズ亡き後も、数本のシリーズが作られてきたがあまりヒットせず今回13年ぶりの登場となった。そしてクルーゾー警部役を、アカデミー賞授賞式の司会でおなじみのスティーブ・マーティンが演ずる。
 マーティンは今年61歳、俳優、コメディアン、作家、脚本家、プロデューサーとして知られる映画界の大御所。今回も主演だけでなく、脚本も書いた。次々と打ち出すずっこけギャグは、彼ならではアイデアである。
 ただ、セラーズのどこかのんびりしたずっこけと違い、ギャグはスピーディーでむしろかっこよい。そこが、古い「ピンクパンサー」ファンにとっては不満になる。

 配役も豪華である。クルーゾーのタフな助手にあのジャン・レノが出る。「レオン」や「ニキータ」では観られないとぼけぶりが面白い。
 クルーゾー警部にコケにされる上司のドレイフェス警視がアカデミー主演男優賞もとったケヴィン・クライン(「ソフィーの選択」「海辺の家」)、ヒロインはポップミュージカル界の大スター、ビヨンセ・ノウルズ。「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」でコメディー俳優としてもヒットしたグラミー賞受賞の歌姫である。

 さて「ピンクパンサー伝説」、シリーズ復活となるかどうかだ。

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May 29, 2006

356.ブロークン フラワーズ

Broken メランコリックな時にこの映画を観てしまい、落ちこんでしまった。どうもジム・ジャームッシュ監督の策略に嵌ったようだ。
 NYインディーズの旗手だけに、彼の作品はクロウト受けする。昨年のカンヌ映画祭ではグランプリ(審査員特別賞)を獲った。パルムドールに次ぐ賞である。審査委員長がセルビアのエミール・クストリッツア監督、ノーベル文学賞の黒人作家トニー・モリソンや香港のジョン・ウー監督等が審査員だから頷ける。

 かってドン・ファンだった主人公のビル・マーレイがいい。ダメ中年の哀愁を漂わせる。「わかる、わかる。その気持ち」と一緒になって落ちこむのだ。
 彼が訪ね歩く20年昔の恋人役は、錚々たる女優が並ぶ。シャローン・ストーン(「氷の微笑」)、フランセス・コンロイ(「キャットウーマン」)、ジェシカ・ラング(「ビッグ・フイッシュ」)、ティルダ・スウィントン(「ナルニア物語」)の豪華キャストである。
 彼女たちは、不意にやってくる招かれざる客にとまどう。恋人同士、熱く語り合った理想と20年後のギャップが赤裸々になる。

 あるブログにこの映画に関して「ふとしたことから、過去の恋人を思い出すことはありませんか?・・・・・・過去の恋人に手紙を書いてみませんか?」と書きこみがあった。
 「生きていくということは、時間との関わり方である。男も、男から離れていった女も同じだ」。映画館のボードにイラストレーターの安永水丸の評があった。

 「心をうたれるおかしさ!人生がいとおしくなる瞬間!」
 このキャッチコピーが身につまされ、さらに憂鬱になってしまう。

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May 27, 2006

355.ナイロビの蜂

Nairobinohatchi 主人公の妻を演じたレイチェル・ワイズ(「コンスタンティン」)が今年度のアカデミー助演女優賞を獲得したこともあってか、映画は大ヒットしている。

 アフリカの太陽というか、まさに「ナイロビの蜂」であるレイチェルは、アフリカの貧困に立ち向かう情熱的な活動家でもある。
 その夫の外交官は、副題にあるような「The Constant Gardener」で生真面目な紳士。「シンドラーのリスト」や「イングリッシュ・ペイシェント」にも出演したイギリスの舞台俳優レイフ・ファインズが、妻の死の真相を追いかけることで「真実の愛」を完璧に成就させる。

 原作はスパイ・サスペンス小説の巨匠といわれるジョン・ル・カレの作品(集英社刊)。作家でもあるジェフリー・ケインが原作者と議論しながら脚色し、ラブストーリーとサスペンスが完璧にかみ合ったストーりーを創りあげた。
 その脚本を、貧民街の暴力を描いた「シティ・オブ・ゴッド」で数々の賞に輝いた、ブラジル出身のフェルナンド・メイレレスが監督する。
 メイレレスは、ケニアのロケに拘った。アフリカを食いものにしている先進諸国政府と巨大企業の陰謀を、荒涼たる地の果ての影像で告発したかったからだ。

 スーダン・ダルフール地方で、今も絶えないアラブ系民兵による黒人住民の虐殺と無力な国連の姿も映し出す。
そのWEP国連世界食料計画が、この作品を後援している意味をどう考えるべきだろうか。

 壮大な愛のフイナーレ(ELLE誌)が、しばし席を立てなくした。美しい恋愛映画であると同時に、重い政治映画でもある。

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May 26, 2006

354.ひとまく会

 歌舞伎座の最後の一幕を、4階の立見席で観る「ひとまく会」、5月の演目は「黒手組曲輪達引」(くろてぐみくるわのたてひき)。

 例年5月は「団菊祭」。「成田屋」(市川団十郎家)と「音羽屋」(尾上菊五郎家)が共催して開く。病気療養中だった12代目団十郎も、家芸の歌舞伎十八番「外郎売」で9ヶ月ぶりに舞台復帰した。
 両家の長男である11代目海老蔵と5代目菊之助が、昼夜三幕に出演して若い観客を喜ばしたのも今月の大歌舞伎である。

 「黒手組曲輪達引」は、歌舞伎十八番「助六」の登場人物を使って河竹黙阿弥が書いた「世話の助六」、いわゆるパロディ狂言である。黒手組の親分である助六が酒売りの老人を助けた縁で父の敵を知り、見事敵討ちを果すという話である。
 序幕で三枚目の番頭を演じた菊五郎が、次ぎの幕では颯爽と助六で登場するところがみもの。菊之助が新吉原の廓の新造、海老蔵がその間夫というのも面白い。名女形雀右衛門が、助六なじみの遊女揚巻、梅玉が紀伊国屋文左衛門、敵役は市川左團次。
 もともとは左團次から四代遡る、幕末の名優四代目小團次のために書かれた演目であった。

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May 25, 2006

353.焼酎バー「黒瀬」(47)

 最近の焼酎の話題を、HPや新聞から要約で。

 「伊那で芋焼酎づくり」
 長野県箕輪町では、昨年コガネセンガンの苗を手に入れ町内でサツマイモを栽培、飯田市の喜久水酒造に委託して芋焼酎「50周年・みのわ」を生産・販売した。
 今年はさらに栽培面積を増やし、335アール6万7千本を植えることにしている。
 とくに今年は、箕輪オリジナルブランドの芋焼酎を愛好者と一緒に植えつけ、暮れには完成した芋焼酎を試飲する計画である。植えつけは来月上旬、収穫は10月下旬、試飲会は12月を予定している。希望者は上伊那グリーンセンターみのわ(℡0265-79-0636)まで。(伊那毎日)

 「障害者作業所で焼酎ラベル手作り」
 鹿屋市の知的障害者作業所「eスペース」では、牛乳パックを再利用した焼酎瓶用のラベルを作成、酒販会社や醸造メーカーの協力を得て製品化した。
 これは作業所が地場産業に関連した製品づくりが出来ないかと、関係会社に打診実現したもので今後の展開が期待されている。
 ラベルは、清掃センターから回収した牛乳パックを手漉き和紙として再生、デザイン・印刷したもので、志布志の丸西焼酎が製造した「深海 うなぎ」のラベルとして、作業生たちが焼酎瓶一本一本に貼りつけた。
 作業生たちがラベルを付けた焼酎は、毎月500本「酒の紀乃島屋」(℡0994-62-2022)を通じて売り出されている。(373NEWS.COM)

 「島津悦子が新曲『焼酎天国Ⅱ』を」
 鹿児島出身の演歌歌手、島津悦子が先週末渋谷で開かれた「第9回渋谷・鹿児島おはら祭」で新曲「焼酎天国Ⅱ」を披露、参加者に「参加型の曲なので、みんなで歌って踊って飲んで楽しめますよ」とPR。(SANSPO.COM)

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May 24, 2006

352.アンジェラ

1024xangela_1wall 鬼才リュック・ベッソン46歳。「ジャンヌ・ダルク」以来6年ぶりに彼の監督作品と出会った。
 彼には二つの顔がある。「TAXI」「トランスポーター」シリーズに代表されるアクション・エンタテインで次々とヒット作を飛ばす名プロデューサー、ヨーロッパ・コープの経営者の顔。もうひとつが「ニキータ」「レオン」など人間の深淵をえぐる作品を演出する映画監督、そして「アンジェラ」は、その後者の顔が今世紀始めて作った作品である。

1024xangela_2wall ベッソンはフランスのプレス向けのパンフレットに、たった一言だけこう書いた。「パリで出会う、男と女・・・・・・・・」
 そしてプレスへのメッセージとして「決して『エンディングの秘密』を明かさないでください。・・・・・・それが明かされてしまったら、まだ観ぬお客様の楽しみが半減してしまうのではないか、とても心配です」と。

 「パリで出会った男と女」は、ジャメル・ドゥブーズとリー・ラスムッセン。ジャメルはモロッコ系フランス人のコメディアン、映画「アメリ」の演技で俳優の座を確保した。リーはデンマーク出身の女優・監督そしてCUCCI専属のスーパーモデル、身長180cm金髪の美女はまさに「ANGELーA」である。
  
 愛することを知らない男と愛されたことのない女が、「レオン」より激しく、「ニキータ」より切ない愛を交わす映画である。

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May 23, 2006

351.5月のバラの会

 年に一度、バラの花が咲くころ開かれる「5月のバラの会」、今年は12回目となる。
 発起人は現役で活躍されている女性たち、石井好子、水谷八重子、犬養智子、大橋鎭子のみなさん。男性は、日本バラ会の廣瀬昭三さん。
 特段目的がある会ではない。楽しいおしゃべりとおいしい食事を味わう集まりである。

 料理はこの日のために、大阪リーガロイヤルホテルの料理特別顧問米津春日さんが駆けつける。
 そしてシエフの皆さんを率いてつくったコースは、「初夏のお昼のおもてなし」。

Bara1 スタートは生ウニのムース。裏ごししたウニをベシャメルソースと混ぜ、コンソメジェリーを加えて器に注ぎ冷やしたもの。
 スープはグリーンピースをクリーム状に仕上げ、タピオカが浮き身に。

Bara2 メインディッシュは、舌平目で巻いた貝柱のムニエル。海老のクネル、根セロリのクリームと彩りの野菜を添え、茸入りのソースがかかる。
 サラダは季節の野菜。

Bara3 デザートは、苺のジェリー、白チーズのムース、ぶどうのタルト、マンゴープリン、チョコレートのパレなど小さなアントルメとバニラアイスクリームの組み合わせ。輪になって踊るファランドールの盛りつけ。
 そしてコーヒーとお菓子。

 数年前まではディナーの集まりだった。ただ会員も年輪を重ねフルコースは重い。ランチでもワインを少しいただきながら、おしゃべりだけは尽きない。

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May 22, 2006

350.SHIBUYA DE O・HA・RA

Imgp0750 晴天の日曜日、渋谷の道玄坂と文化村通りが、踊りのパレードで賑わった。
 渋谷・鹿児島おはら祭、地方の活性化と都市への情報発信をテーマに今年で9回目のお祭である。鹿児島から上京した13連300人を加えて踊り連は50組、およそ2000人が「渋谷音頭」や「おはら節」「ハンヤ節」を披露した。

Imgp0777Imgp0756 ふるさと関係では、「関東さつま南の会」と毎年上京される「南さつま市加世田民舞の会」の皆さん、昨年コンクールで準グランプリに輝いただけに熱が入る。

 原宿と高知、浅草と小千谷、中央区と東根市など都市と地方の交流が盛んである。
 渋谷と鹿児島もそのひとつで、中世この地を治めていた豪族・渋谷氏が源平合戦の功により薩摩に所領を得、一族挙げて移住したという歴史がひとつ。その縁で渋谷氏の末裔であった東郷平八郎を祭る神社が区内に建てられたこと。また渋谷駅前にある「忠犬ハチ公」像の初代・二代目の作者が、それぞれ鹿児島出身の安藤照・武士の親子だった縁で、この祭も誕生した。

 このイベントも来年は10回目、祭を主催するNPOでは新たな事業展開を企画しているという。

  http://www.shibuyadeohara.com/

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May 20, 2006

349.明日の記憶

Bbs NHKの朝のTVで「アルツハイマー型若年認知症」を特集していた。今話題のこの映画がきっかけなのだろう。銀座の映画館も、ウイークデーなので私を含め「老人性アルツハイマー」予備軍でほぼ満員だった。

 アルツハイマー型認知症は、病気というより「症状」と言ったほうが正確だ。原因はまだ明らかではないし、そのため治療法は無い。ただその「症状」を見守るしかない。
 最近この認知症が若い人達に増えてきた。韓国映画「頭の中の消しゴム」は20代の女性だったが、「明日の記憶」は、50歳前の働き盛りの広告マンにこの症状が出た。
 老人特有の「ボケ」と違い、この症状は進行状況を自ら認識出きるだけに辛い。記憶だけが失われ、その瞬間の行為に対しては自覚があるからだ。だからレーガン元大統領は、自らその「症状」を社会に公表できた。

 主人公を演ずるのは渡辺謙、映画初の主演である。骨髄性白血病という病魔と闘った経験を持つだけに、この作品に対する思い入れは深い。だからエグゼクティブ・プロデューサーとして、製作にも参加した。
 妻は樋口可南子。「阿弥陀堂だより」で見せた優しくて芯の強い女性を情感こめて演じた。
 さらに監督が堤幸彦というのも意外性がある。「トリック」や「ケイゾク」など軽くユーモアのある作品を得意とする堤が、この「重いテーマ」で新しい境地を見せた。
 原作は「山本周五郎賞」や「本屋大賞」を獲った荻原浩の長編(光文社刊)。この原作をハリウッドで「バッドマン」出演中の渡辺が読んで映画化が実現したという。

 映画は「アルツハイマー型認知症」の解説ではない。誰もがいつか遭遇するかも知れない状況のなかで、「夫婦とは」「家族とは」「人を愛するとは」「共に生きるとは」という根源的な問いを観客に投げかける。

 映画の中にでてくる医師による「症状チェックリスト」のいくつかが、今に自分に当てはまる「予備軍」として、涙なしには観られなかった映画である。

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May 19, 2006

346.ぼくを葬(おく)る

Bokuokuru ぼく、31歳、独身、恋人(男性)と同棲中。仕事はファッション・カメラマン、売れっ子である。家族はひとりで住む祖母、両親、子連れで離婚した姉。悪性腫瘍進行中、余命三ヶ月・・・・・・・。怖い、寂しい、運命を呪いたい。しかしある日から、ぼくは死さえもすばらしい人生の一部だと納得した。

 監督はフランソワ・オゾン。「8人の女たち」「スイミング・プール」「ふたりの5つの分かれ路」など、人生を鋭く見つめた作品を創り続けるフランスの新進気鋭の映画監督である。
 彼はまた「死についての三部作」を撮る。第1章は5年前に製作した「まぼろし」、愛するものの死を描いた。そして「ぼくを葬る」が第2章、自分自身の死である。第3章は、こどもの死をテーマにする予定だ。
 彼は、全ての人に必ず訪れる死を凝視する。死に方を知ることは、生き方を知ることだからである。

 主人公を演ずるのはメルヴィル・ブボー、フランス映画界の若手演技派である。そして祖母役がジャンヌ・モロー。
 ジャンヌ78歳。さすが大女優である。死の病を祖母にだけ告白する青年。「寂しい。おばあちゃん一緒に寝よう」「私いつも裸なのよ」と、恥ずかしそうにそしてうれしそうに孫に語りかける時の「女の顔」。
 ジャンヌはこの映画で、企画の段階から若いオゾン監督のアドヴァイザーを務めた。
 彼女の監督評。「彼は映画監督だけど演出家ではないの。演出家は所定の位置に物事を置いて整える人。映画監督は自分の想像を何かリアルなものに変える人。」

 ラスト、誰もいなくなったビーチで沈む太陽と一緒に姿を消す主人公。本当の孤独。フェイドアウトして真っ黒になった画面にロールタイトルが流れる。バックはただ波の音だけ。5分間の闇。

原題は”Le temps qui reste”、英語に訳せば”Time to leave”。それを日本の配給元ギャガのスタッフは、こう変えた。「ぼくを葬(おく)る」と。含蓄のあるすごいタイトルである。

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May 18, 2006

345.リバティーン

Libertine 「いかなる時も権力におもねることなく
 欲望がおもむくままに女たちを愛し
 怖れることなく自由を愛し続けた男」
脚本に書かれた冒頭のこの三行で、ジョニー・デップが出演を決めた映画である。

 「リバティーン」とは「インモラルな人生を送る人。常に欲望を求め、特に性的な行為に喜びを探す人」のこと。
 17世紀のイギリスに実在した放蕩詩人、第二代ロチェスター伯爵が舞台女優と出会い、欲望ではなく真実の愛を知ったことで破滅していくお話なのだ。
 確かに何時の時代にも破滅的にしか生きられない、それゆえに一際強い魅力を放つ人間がいる。その存在はさらに周囲をも巻き込み、破滅への道進む。映画は、この「破滅への耽美」を謳いあげる。

 もともとイギリスの舞台劇だった。アメリカでの上演で主人公を演じた怪優ジョン・マルコビッチが映画化権を買い、親友のジョニー・ディップを誘い込んだ。そして自らは伯爵の芸術的支援者だった国王チャールズ二世を演ずる。
 監督もまたイギリスのCMで活躍するローレンス・ダンモアを起用した。
 「数十本の映画を撮り国際的には有名だが、今の時勢を理解していない”巨匠”と組むより、自分が撮りたい映像と独自のアイデアを持つ新人と創るほうが面白い」とプロデューサー・マルコヴィッチはいう。
 それに対して監督ダンモアは「匂い立つような作品を作りたかった。21世紀に作ったものとは思えないほど忠実に、自然光を最大限に生かし、画面を泥や霧、雨、煙だらけにした」と応える。

 女優陣は、ロチェスター伯爵が恋する舞台女優役にサマンサ・モートン(「マイノリティ・リポート」)、伯爵を愛し続ける妻役にロザムンド・パイク(「プライドと偏見」)と、イギリス出身者を配した。

 映画の後半、アル中と梅毒で鼻を欠けた主人公の鬼気迫る演技はさすがジョニー・ディップ、である。

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May 17, 2006

344.RENT

Rent 「プロデューサーズ」に続いてブロードウェイ・ミュージカルの完全映画化である。

 「RENT」はこの10年、4000回以上も上演され続けている「伝説的なミュージカル」。10年前NYのダウンタウンの小劇場で初演され大評判となり、たった3ヶ月でブロードウェイの大劇場に移った。それ以降現在も上演されており、ブロードウェイの歴史を変えたといわれている。

 作品は、RENT(家賃)も払えない貧しい芸術家たちの棲むNYのイーストヴィレッジが舞台。犯罪、ドラッグ、同性愛、そしてエイズによる恋人の死、しかし夢に向かって懸命に生きる若者たちを、バラード、ゴスペル、タンゴ、ロックで綴る。

 脚本・作詞・作曲はこの街に住む「売れない作曲家」ジョナサン・ラーソン。自分自身や仲間と恋人たちを主人公に脚本を書いたが、そのモチーフはブッチーニのオペラ「ラ・ポエム」にあった。当時のヨーロッパ、貧しいボヘミアン達に自分たちの現在をイメージした。
 しかしジョナサンは、このミュージカルを書き上げ、上演直前にこの世を去るのである。享年35才、脚本に書かれたひとりの主人公の死が予言だったように。
 そして「RENT」は、トニー賞をはじめ数々の音楽・演劇賞を総なめ、ミュージカルとしては異例のピュリッツァー賞に輝くのである。

 映画の出演者たちも、テイ・ディスク(「シカゴ」)、ジェラー・マーティン(「Xファイル」)、イディナ・メンゼル(トニー賞主演女優賞)、アダム・パスカル(トニー賞主演男優賞、「キャバレー」)、ウイルソン・J・ヘレディア(トニー賞主演男優賞)など10年間「RENT」の舞台を演じてきたジョナサンの芸術仲間たちを中心に、ハリウッドの若手女優ロサリオ・ドーソン(「シン・シティ」「アレキサンダー」)やアンソニー・ラップ(「ビューティフル・マインド」)が加わって見事な歌と踊りを見せる。

 監督クリス・コロンバス(「ハリー・ポッター」)は「RENTは、希望について語っている。一日一日が大切でありその日を精一杯充実させて生きる必要があるのだ」と自作について語る。

 映画は、NYの若い映画人たちを支援しているオスカー俳優のロバート・デ・ニーロとジョナサンの姉ジュリーが共同プロデューサーとして参画している。
 ジュリーはジョナサン亡き後、その印税等を基に「ジョナサン・ラーソン・パーフォーマー・アーツ基金」を設立。将来有望な作曲家や作詞家、ミュージカル作家に奨学金を出してジョナサンの遺志を継いでいる。

 「たった一曲でもいい。自分が納得出きる音楽が生みだせたら死んでもかまわない」。映画のなかでジョナサンは、こう主人公に語らせる。

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May 16, 2006

343.品川台場・レインボーブリッジ

 マンションの仲間たちとのウオーキング、今回はお台場からレインボーブリッジを渡って月島に戻る16㌔4時間を楽しんだ。

 コースは月島から黎明橋を渡って晴海、この春完成した晴海大橋を渡って豊洲へ、延伸した「ゆりかもめ」の高架下に沿って有明テニスの森公園、のぞみ橋を渡るとお台場。海浜公園でひと休みしたあと「品川台場」(都立台場公園)を散策していよいよレインボーブリッジに入る。

 「レインボーブリッジ」の遊歩道は、1.7㌔m。眼下に東京湾、彼方に都心を眺めながらノースルートを30分歩くと芝浦アンカレイジに着く。エレベーターで7階から2階へ、ここが出口である。そのまま芝浦運河に架けられた新しい橋を渡ってJR田町駅。ここで昼飯。

 帰りはこのまま海岸通りへ、首都高速1号線の高架下を歩き旧芝離宮公園、浜離宮庭園、築地市場、晴海通りに出て勝鬨橋を渡るともう月島。9時出発、14時帰着のウオーキングだった。

Imgp0717Imgp0722Imgp0723 「品川台場」
 1854(安政元)年、ペリー艦隊浦賀冲来航の翌年に幕府が緊急防衛対策として築造した第三台場(砲台陣地)である。砲台としては一度も使用することなく、昭和の始め海上公園として整備された。その後埋めたてにより陸続きとなり訪ねる人も増えてきた。埋立地には人工なぎさもつくられ、お台場海浜公園として親しまれている。
 面積は3万㎡、周囲を5~7mの石垣で囲まれ、黒松の茂る公園内には陣屋の跡(礎石)や火薬庫、弾薬庫、砲台跡なども残っている。
Imgp0727 この先に見えるのは第六台場。第三の半年後完成した。現在は植物や野鳥の宝庫として、立ち入りは禁止されている。しかし最近は川鵜の営巣地となり、台場全体が黒い鵜!で覆われている。いずれも国指定の史跡名勝天然記念物。
 「品川台場」は、伊豆韮山の代官江川太郎左衛門によって設計・築造された。当初は11の台場が計画されたが、完成したのは品川冲の6個所。うち4つは、東京湾の船の航行の障害になるとして昭和初期に取り壊され、この2つけだけが残っている。
 12年前、台場築造150年を記念して海浜公園から台場公園へ続く道に、韮山のカワズサクラが植えられた。

Imgp0738Imgp0737Imgp0732 「レインボーブリッジ」
 お台場と芝浦を結ぶ全長918mの吊り橋。1993(平5)年、上下合わせて3150億の経費と6年の歳月をかけて完成させた。
 海面からの高さは52m、主塔の高さ127メートルの二重構造橋で上は首都高速11号線、下にゆりかもめの軌道と臨港道路(一般道路)、そして北側と南側に遊歩道が通っている。
 遊歩道は建物扱いのため自転車は駄目。春~夏は9時から21時、秋~冬は10時から18時まで利用出きる。休館日!は毎月第3月曜日と年末の3日間、しかし風雨が強くなると通行禁止となる。
 吊り橋だから若干の傾斜はあるが、緩やかで歩きやすい。この日も遠来の「歩こう会」のグループや、小学生たちが楽しんでいた。 
Imgp0740Imgp0745 素晴らしいのは遊歩道からの眺めである。あいにくの天気で霞んではいたが、晴海で行われた「東京みなと祭」のイベントを見ることが出来た。

 ご存知のように、夜間は石井デザイナーが設計した444個のライトが点灯される。この「レインボーブリッジ・ライトアップ」は国際照明学会賞を受賞した見事なもので、春夏秋冬、休日、祝日等により白・緑・コーラルピンクと色を変えている。
 今度はぜひ夜間にこの橋を歩き、大都会の夜景を眺めよう。

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May 15, 2006

342.東京みなと祭

 先週末、恒例の「東京みなと祭」が晴海客船ターミナルをメイン会場に開催された。今年で58回目である。
Imgp0688Imgp0691Imgp0698 祭のメインイベントは、帆船「海王丸」の一般公開と展帆。小雨混じりのあいにくの天候だったが、実習生達はマストに登り次々とセールを開いていった。
 海王丸は一昨年、台風襲来によって富山湾で座礁、船体は大きく壊されたが幸い人命には被害が無かった。そして1年余りの修復作業により、今年から実習航海に出ている。

Imgp0703 2時間にわたる展帆の様子を観客にガイドしているのは、元「帆船日本丸」のキャプテン橋本進さん。キャップテン引退後は東京商船大学教授として後進を指導、退官後もボランティアとして「海事普及」に努めている。

Hannsenn4a 橋本キャプテンとは久し振りの邂こうだった。実は30年前の4月、この晴海桟橋を出航した「帆船日本丸」に乗船させてもらったのだ。
 この年日本丸は、アメリカ建国200年を記念する「オペレーション・セイル‘76」に参加した。このイベントは世界中から250隻の名船が各地を帆走、ニューヨークに終結してハドソン川をパレードするというもの。日本丸も東京・神戸両商船大学の卒業航海実習を兼ね、一万浬(2万㌔)の旅にでたのである。

Hannsenn5Hannsenn6 5月中旬、今頃は日付変更線も越え最初の寄港地ロサンゼルスに向かっていた。

 「航海同乗記」(「大帆走・世界の帆船」徳間書店刊)から抜粋すると。
 
Hannsenn7 「総員上へ、総帆かけかた用意!」
 橋本キャプテンのさわやかな号令が、「日本丸」の隅々にまで響きわたった。
 82名の実習生たちがいっせいに飛び出して4本のマストのもとに集まる。
 「第1解帆手、登りかた用意!」
 ふたたび、キャプテンの声がひびく。
 「第1解帆手、登りかた用意!」 「第1解帆手、登りかた用意!」
 号令は船尾に立つキャプテンから次席1等航海士、3席1等航海士、次席3等航海士、2等航海士そして船首の首席1等航海士へと次々に復唱されつつ受け継がれ、実習生達の鼓膜をゆるがす。
 実習生たちがシュラウド(マストを繋ぐ静索)に手をかける。
 「登れ」・・・・・・。
 晴海を出航してはじめての帆走の日、快晴の海におだやかな春風が吹いていた。

Hannsenn4 あれから30年、橋本キャプテンも年輪を重ねた。しかし、あの鋭く野太い声は今も変わってはいなかった。

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May 13, 2006

341.東京道産酒の会(8)

 北海道を慈しむ紳士・淑女たちが月に一度集う道産酒の会。178回のゲストは会員の土肥正文さん。
 土肥さんは現役の銀行マン、かつて勤務した北海道の歴史的遺産を守る活動に参加している。
 今日のお話は、「炭坑跡地」と「さっぽろ再生建物案内」。

Tannkou1Tannkou2Tannkou3 土肥さんがスケッチした「大夕張鉄道」「三菱美唄鉱立抗」「三井砂川立抗櫓」。
 休暇が取れると北海道の廃坑跡を訪ねる。北炭夕張、北炭清水沢、三菱大夕張、三菱美唄、三井美唄、住友奔別、北炭幌内、住友赤平、三井砂川、北炭空知・・・・・道央だけでも10ヶ所以上の炭坑があり、ここで採掘された石炭が日本の近代化を支えてきた。しかしこれらの炭坑は、60年代に相次いで閉山していった。
 閉山によって炭坑の町は大きく変わる。例えば人口12万、日本一の夕張「町」は1万5000人の夕張「市」となった。
 もうほとんど住人のいない炭住街、発電所跡地、鉄道跡、そして立抗、選炭場、ズリ山。炭坑爆発により行方不明者を残したままの水没したヤマ、炭坑の歴史と生活を忘れないためにスケッチの旅は続く。
 友人の写真家風間健介さんも、夕張を撮りつづけている。歴史を物語る建物や街並み、近代化の歩みを象徴する原風景が消えてゆく、そんな思いでシャッターを切る。
 彼は今年、「日本写真協会賞・新人賞」を受賞した。来月早々東京で作品展が開かれる。

 「さっぽろ再生建物案内」は、札幌建築鑑賞会の活動。明治・大正・昭和の初期に建てられた建築物をウォッチして、札幌を訪れる人はもちろん在住している市民にもイラストや版画で紹介している。
 旧質蔵が「料亭・杉ノ目」に、旧鶴岡学園栄養学校は「ベチナム料理店・KAKU」、旧拓殖銀行は「コーヒー喫茶・SOSO」、旧浅野組棟梁宅は「茶房・あさの」(閉店)、旧上野活版工場は「中国料理店・コム・シェモア」等々。

  ・2006日本写真協会賞受賞作品展・6月2日~8日
     冨士フォトサロン/銀座5-1

  ・札幌建築鑑賞会 ID:keystonnesapporo@yahoo.co.jp

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May 12, 2006

340.LIMITofLOVE海猿

Poster_large2 封切初日から大行列だったそうだ。ウイークデーの昨日も、有楽町の劇場の700近い座席はほぼ埋まった。

 620人を乗せた大型フェリーの座礁事故と、救助に当る海上保安庁の潜水救助隊員の闘いの物語である。こんな話しを、涙と笑いを得意とするフジテレビの亀山千広率いるチームが映画化した。「湾岸シリーズ」そして最近作は「県庁の星」、今回はROBOTが製作を担当した。

 二年前映画「海猿」が大ヒット、そのあとフジテレビのドラマ「海猿EVOLUTION」が三ヶ月続いた。そしてこれがファイナルだそうだ。NHKでもドラマとして放送していたが、原作は佐藤秀峰、それをもとに小学館コミックスに小森陽一が連載した。若い潜水救難隊員が、厳しい訓練を受け逞しく育っていくお話である。兵士と違って人を殺すのではなく、遭難者を救う命を賭ける若者たちの話だけに感動する。

 もうひとつ、舞台が鹿児島・錦江湾なので、どうしても見逃すことはできない。もちろん桜島を前に大型フェリーが沈没していくのだが、宮崎の海上ロケとCGをうまく組み合わせて映像化した。一部作り物を露呈してしまったシーンもあったが、船が黒煙を上げながら傾き、沈没していくシーンはうまく合成していた。日本の映画技術の完成度も高くなったといえよう。
 つい昔の仕事屋に戻って編集や合成テクニックを見てしまうのだが、お話自体も結構感動的だった。

 鹿児島の第十管区海上保安部、40年前には結構お世話になったし、巡視船・救難機にも乗せてもらった。その頃に比べ装備も機動力も、当然ながら各段の進歩を遂げた。それを確認しながら、映画を楽しんだ。
 出演は、伊藤英明、加藤あい、監督羽住英一郎。

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May 11, 2006

339.焼酎バー「黒瀬」(46)

Imgp1591 ふるさと南さつまに昨年秋完成した焼酎蔵「松鳴館」。先月からは、甕仕込みの蔵と併設されたギャラリーの一般公開が始まった。

 この蔵は、「黒瀬」でも評判の焼酎「萬世」を造っている萬世酒造が、吹上砂丘の松林の中に建てた見学型工場。隣接する県立海浜公園や「万世特攻平和記念館」「温泉ゆうらく」「交流センターさんぱる」「ガンバリーナかせだ」等と一体となって、多くの観光客をよんでいる。
 また先週には、隣の「かせだドーム」をメイン会場に「吹上浜砂の祭典」が開催され、全国から20万人以上の人達が訪れたという。その影響で「松鳴館」も連日数千人が訪れて大変賑わったとのこと。久し振りに帰省した「黒瀬」店主の土産話しである。

Itinitiitie 併設ギャラリーは、郷里の先輩イラストレーターの野崎耕二さんの絵。「あそび歳時記」など、ふるさとで過ごした少年時代を描いた原画約50店が展示されている。
 野崎さんは現在千葉市に在住。23年前から難病筋ジストロフイーに罹り、その後も不自由な体でイラスト・デザインの仕事を続けている。とくに発病後から1日も休まず画き続けた「一日一絵」は大きな反響を呼び、テレビや新聞でもたびたび紹介されている。野崎さんの絵は、これまでに十集の「闘病絵日記」にまとめられ出版されている。
 野崎さんから一昨日届いたのメールによると、「昨秋ごろからさらに病状が進み手を動かすのが辛い。それでも毎日絵は画き続けている」と記されていた。

 「松鳴館」(南さつま市加世田高橋) 工場・ギャラリーの見学は無料。
 「一日一絵・第十集」(JTB刊) 定価2800円 第一集~第九集も発売中。

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May 10, 2006

338.焼酎バー「黒瀬」(45)

Syoutyuu2 「逸品シリーズ14」は、昨日に続いて北薩の出水・長島地方の銘柄を飲み比べる。

 「千鶴」
 この地域では最も旧い蔵元・神酒造の代表銘柄。明治5年の創業以来の伝統的な甕仕込みを守っている。40数年前までは「神焼酎」の名で知られ、地元の人達の「ダイヤメ」にはかかせない焼酎だった。その頃から、出水に飛来する鶴が増えはじめたので、思いきって目出度い名前に変えたという。
 それ以来売れ行きも伸び、この原酒に30%の麦焼酎をブレンドした「いも神」や、無濾過の「神にごり」、初垂の「神しずく」「破壊王」など新しい銘柄を出している。
 「千鶴」はさらっとした甘味が特長、「いも神」は芋くささが押さえられ麦の芳ばしさ、華やかな香りを出している。

 「さつま木挽」
 蔵元は雲海酒造。コガネセンガンを原料に白麹、紫尾山の名水で仕込む。芋本来の甘さと力強さ、薩摩の焼酎らしいポピュラーな味である。他に「紫美」「薩摩古秘」もあるが、まだお目にかかってはいない。

 「さつま島美人」
 「黒瀬」で最もよく出る銘柄である。クセの無いバランスのとれた焼酎で、まろやか、飽きずに飲める。水割り・お湯わりと何にでも合う。
 出荷は長島研醸という会社だが、製造は南州酒造、宮内酒造など島内の五つの蔵元。それぞれが伝承の腕を競いながら造り、それらを巧くブレンドして瓶詰めしている。だから品評会では蔵元ごと「島美人」の名で出品する。
 麦麹を使った「島乙女」はその名のとおりソフトで女性向き。

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May 09, 2006

337.焼酎バー「黒瀬」(44)

Imgp1641_1 イモ焼酎1000を越える銘柄のうち「黒瀬」で味わえる逸品シリーズ。
 このところ焼酎を飲み比べながら味を楽しむ余裕が無く、このシリーズもお休みしていた。ゴールデンウイークに北薩の銘柄数点を味わったので、13回目は阿久根の蔵元の焼酎を紹介しよう。

 「さつま諸白」
 「諸白」とは上等な焼酎の意味で、江戸時代島津藩主に献上したことからこの名を付けた。蔵元の鹿児島酒造は研究熱心でいろいろとトライする。
 この焼酎は原料の芋を焼くことで芋の香りと甘味を強調している。さらには原酒の段階でマイナス以下に冷却してピュアな味を生み出している。「酔千年」は、この原酒を10年熟成させた焼酎で、芳醇な香りが特徴だ。試してはいないが「號」という銘柄を見たこともある。

 「莫祢氏」
 地元産の「シロユタカ」を原料に黒麹で仕込んだ大石酒造の銘柄。古代この地を治めていた豪族莫祢(あくね)氏からとった。まろやかですっきりした味わいである。もともとこの蔵元を代表する焼酎は「鶴見」で、地元で愛飲されている。昔はこの地方にも鶴が渡ってきたのだろう。

 「さつま美人」
 蔵元は福徳長酒類。長島の「島美人」とよく間違われるがこの焼酎もクセのないすっきりした飲み口が特長で、白麹・甕仕込みと昔ながらの製造を守っている。

 現在阿久根には三つの蔵元しかないが、東京・八丈島の五つ蔵元は弟分といえる。江戸末期、密貿易の罪で八丈に流された丹宗庄右衛門は、阿久根の豪商。密かにサツマイモの苗と麹を持ちこみ、島の人達に焼酎造りを伝授した。「八丈の鬼ごろし」「磯娘」など、その伝統を引き継ぐ銘柄は多い。

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May 08, 2006

336.日比谷・丸の内界隈

Imgp0661Imgp0666Imgp0665 ゴールデンウイーク、最も静かな?都心を歩く。
 「日比谷公園」 幕末までは幕閣の大名屋敷だったこの地は、明治の中頃日本初の「洋式庭園」として開かれたところ。政府官庁ビルや大企業の本社ビル、ホテルに囲まれたこの公園は、いつもであれば多くのサラリーマンやOLで賑わう。
 GWのこの日、公園内のレスランでは幾つかの結婚披露宴が開かれていたが、あとは静かな佇まいだった。
Imgp0658Imgp0664Imgp0671 16万㎡の公園内には150種を越える樹木の他、季節毎に色鮮やかな花が咲き乱れる。ツツジ、フジ、ジャスミン、ヤマブキ、ハナミズキ、ハナズオウ、サツキ、シャクナゲ・・・・、新緑といろとりどりの花のハーモニーが心地よい。

Imgp0673Imgp0672Imgp0675 「丸の内仲通り」へと足を伸ばす。
 合併で銀行の支店が統廃合された跡地に、海外のブランド店が進出してこの通りは名所になった。この季節には「フラワーハンギング」や「花壇」で通りは飾られる。休日にはほとんど人が通らなかった界隈も、少しづつ賑やかになり、カフェやレストランもオープンしている。
Imgp0678 とくに今年のGWは、モーツァルト生誕250年をテーマに「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2006」が開催中で、東京国際フォーラムの周辺は大賑わいだった。
 このイベントは昨年から始まったもので、GWを中心に丸の内の街全体を「音楽の島」に生まれ変えようというもの。前回は32万人以上の来場者を数えたそうだが、今年はどんな結果が生まれたのだろうか。

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May 06, 2006

335.焼酎バー「黒瀬」(43)

 芋焼酎の話題を、最近の「新聞」「HP」から要約で。

 「障害者作業所がオリジナル焼酎を販売」
 志布志市の知的障害者作業所「しぶし夢しずく工房」で、昨年から取り組んでいたオリジナル焼酎「夢しずく」がこのほど出来あがり、地元で販売されている。
 この焼酎造りは、昨年4月の作業所オープンから始まり、麹米にための田植えや原料のサツマイモの植えつけ、その後の管理や収穫などは作業所生たち自らが行った。
 焼酎の仕込みや販売は、地元の若潮酒造協業組合が全面的に協力、作業所生らは蔵元に通って杜氏の指導を受けて作業に取り組んだ。
 焼酎は、手造り蔵で麹をつくり、甕壷に仕込みイモを加えて醗酵。若潮酒造の木樽蒸留機で蒸留させたうえで、じっくりとねかせた。
 出来あがった焼酎は1000本、甘くまろやかで評判は上々。すでに半分は予約販売された。
 焼酎「夢しずく」は、1.8㍑入り2000円。問い合わせは若潮酒造へ(099-472-1185)。
                           (南日本)

 「鹿児島中央駅で焼酎フェスティバル」 
鹿児島県産の焼酎をPRする焼酎フェスティバルが3日、JR鹿児島中央駅前で開かれた。会場には、ゴールデンウィークで来鹿した観光客や帰省客が訪れ、試飲コナーで味や香りを楽しんでいた。
 このイベントは、駅ビル内の酒屋さんや焼酎維新館が鹿児島の焼酎文化を知ってもらおうと企画したもので、県内の13の蔵元が参加、焼酎お湯割りなどの試飲で銘柄の特長をPRした。
 会場には、製造工程を紹介するパネルや蒸留用の木樽なども展示され、焼酎の知識を問うクイズや美味しい飲み方の紹介など、訪れた人達は焼酎の香りに包まれていた。
                  (KTSニュース、373NEWS)         

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May 05, 2006

334.プロデューサーズ

Producer 御年80歳の大プロデューサーが、38年前にプロデューサー業界の舞台裏をテーマに「プロデューサーズ」という映画の脚本を書いてアカデミー賞を受賞した。その映画を5年前にブロードウェイ・ミュージカル「プロデューサーズ」としてプロデュースし、それをまた映画「プロデューサーズ」としてプロデュースした作品、というややこしい話だが映画はとても面白い。そして洒落ている。

 そのプロデューサーの名は、メル・ブルックス。1950年代にコメディー脚本家として活躍、ミュージカルの作詞・作曲・演出、さらには出演者としても名をあげ、映画・舞台のプロデューサーとして半世紀にわたって作品を創り続けてきた巨匠である。
 これまでの授賞歴は数知れず、グラミー賞(音楽)、アカデミー賞(映画)、エミー賞(TV)、トニー賞(舞台)の全てを制覇している。ミュージカル「プロデューサーズ」では、13部門にわかれるトニー賞のうち12部門と史上最多の賞を獲得した。彼はまたゴールデン・グローブ賞で主演男優賞に輝いたこともあるという賞歴を、自慢している。

 お話は誰でも憧れる「プロデューサーの世界」を逆説的に描いたコメディー。金を集めいかにそれを懐に入れるか、プロデューサーと会計士が企む話しである。だが、そこには夢を求めて生きる人々の喜びが、歌と踊りにあふれている。ブロードウェイとハリウッドの見事な融合といえよう。

 主人公の二人には、ブロードウェイで最高の人気を誇るネイサン・レインとマシュー・プロデリック。いずれもトニー賞主演男優賞を獲った大スターである。舞台での出演者が同じ役で映画にも登場している。
 この二人に絡むのがスウエーデン出身で身長180㌢、セクシー・ダイナマイトとよばれるユマ・サーマン。ミュージカル映画は初出演だ。どこかで観た顔・・・・そうそう、あの「キル・ビル」で見事な日本刀の剣さばきを見せた女優だった。
 そして監督・振付は、プロデューサー・メル・ブルックスの秘蔵っ子スーザン・ストローマン。ミュージカルの振付師からスタートして今やブロードウェイを代表する女性演出家となった彼女が、舞台と同じく映画も担当した。
 「ワイドで見せる舞台も楽しいが、レンズの中のアップも面白い。」映画初監督作品である。

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May 04, 2006

333.Vフォー・ヴェンデッタ

 過激な映画である。「自由のため、圧制を倒すため、政治的信念のため、テロもまた必要な時がある」と映画は語る。
 「マトリックス」三部作で、バーチャルの世界と現実の世界を行き交う「01」の恐怖を描いたアンディーとラリーのウォシャウスキー兄弟が、脚本を書き製作した。今度はかなり人間臭い映画である。

 舞台は近未来のイギリス。第三次世界大戦で崩壊したアメリカを植民地化したイギリス独裁国家、この国家転覆を図る「V」と名乗る仮面のテロリストの物語である。
 近未来といっても描かれているのは、現代のイギリスである。
 原作となった劇画の作者デイビッド・ロイは「我々が描いた一党独裁政権、警察国家はサッチャー政権時代の超保守体制をモデルにしているのだ。その体制を壊すのが『V』というキャラクターなのだ。」と話す。
 そして監督ジェイムス・マクティーグは「国家の不正、支配、情報操作、弾圧に警鐘をならし、行過ぎた政治思想の危うさも描く。それは独裁者でありテロリストの危うさでもある。」と「政治色の強いスリラー」を目指した。

V2 仮面の男「V」には歴史的背景がある。
 1605年、当時の権力者ジェームス1世の圧制に反逆したカソリックのレジスタンスグループのひとりガイ・フォークスである。彼は、11月5日国会議事堂の爆破を計画したが裏切られて絞首刑に処せられている。
 以後イギリスでは11月5日になると、かがり火をたき花火を打ち上げフォークスの国家転覆計画が未然に終ったことを祝う。ガイ・フォークスの仮面が国中で売られ「ガイ人形」とともに火に投げ込まれる習慣になっている。
 製作者たちは、それを逆手にとった。最後に登場する「仮面を被った大群衆」は、自由と抵抗のシンボルになったのである。

 その仮面男「V」を演じているのが、ヒューゴ・ウイーピングなのも面白い。一度も素顔を見せないが、あの「マトリックス」で不死身のエージェント・スミスの彼である。あの映画では、素顔のスミスが何十人と現れたが。

V3 ヒロインはナタリー・ポートマン、名実とともにハリウッドを代表する若手女優となった。「スターウオーズ3部作」「クローサー」「コールドマウンテン」で顔なじみだが、何といっても12年前の「レオン」が忘れられない。リュック・ベンソン監督の名作で、ジャン・レノの殺し屋の相棒となった12歳の少女は、鮮烈な印象を残している。
 その彼女も24歳。この作品で拷問のうえ髪をバッサリ切られた姿には、凄烈なエロチシズムが漂う。美女である。

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May 03, 2006

332.焼酎バー「黒瀬」(42)

 「黒瀬」の仲間たちが企画した演劇イベントが、焼酎のふるさと「南さつま」で開催される。
Kazama 「風間杜夫ひとり芝居三部作」、二年前に文化庁芸術祭賞大賞、読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した話題の舞台である。

 風間さんは「黒瀬」の常連にひとり、オーナーの古くからの友人だが、「郷里のみなさんに文化情報を発信したい」との話に彼が賛同、このイベントが実現した。
 地元でもNPO法人プロジェクトの「南からの潮流」が受け皿となり、南さつま市や市教育委員会、市文化協会連絡協議会、JA南さつま、加世田商工会議所が後援して「平成18年度 市自主文化事業」として行われる。

 期日は5月20日(土) 13時30分開場 14時開演。 
 場所 南さつま市民会館
 入場料 大人3500円(当日4000円) 高校生以下2000円(〃2500円)
 前売り券は、鹿児島市内は山形屋プレイガイド、十字屋クロス
         地元では、JA南さつま、市教育委員会・各支所
 詳しくは 0993-52-7829 風間杜夫を語る会へ 

 また東京では、松竹が製作担当。「新橋演舞場」・7月28日(金)17時開演。観劇料は1等席6300円、2等席4200円。お求めはチケットホン松竹(03-5565-6000)へ。

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May 02, 2006

331.東光展

 ゴールデンウイークの上野の森では、毎年多くの美術展が開かれる。
 高校の先輩と大学時代の友人が出品している「東光展」もそのひとつで、毎年見に出かけている。
 
 「東光会」は、「光は東方より輝かしい夜明け」をテーマに、昭和七年熊岡美彦、斎藤与里らが結成した洋画の団体で、ニ科会につぐ伝統ある絵画組織である。
 今年で72回となった「東光展」は、会員・会友だけでなく一般も応募出きる全国規模の「公募展」で、プロの画家だけでなく学校の美術教師やアマチュア画家も出展しているのが特徴である。

Imgp0645_1 会員である大学時代の友人は、長年病の床に臥せており出品も途切れがちだったが、今年は大作を画き上げた。「和む」と題したその絵は、「生きている喜び」をカンパス隅々にまで表現した作品だった。
 「脳の働きがゆっくりで、描くのもゆっくり。とにかく生きている喜びは明るい絵を仕上げること、それをモットーに絵筆をとりました。冷え込みの厳しい冬を無事乗り越え、どうにか出品にこぎつけた喜びをお伝えしたく、ご案内いたします。」招待券が同封された彼女からの手紙には、こう書かれていた。

 上野の森。東京都美術館だけでも「東光展」の他、「春陽展」「国展」など6つの団体展が開かれている。同じ会場での「プラド美術館展」は想像以上の混雑ぶりで、入場は諦めた。 

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