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September 29, 2006

459.出口のない海

Deguti 久し振りに静謐な日本映画を観た。しかしテーマは、重く厳しいものである。
 61年前の若者の散華を、「美しい国『日本』を守る為だった」と声高に叫ぶ風潮が漲る今日、この「静謐」は大きな意味を持つ。

 原作は横山秀夫、「半落ち」などミステリー作家として知られる彼が、10年前実話を元にコミックの原案として書いていた。それを改めて小説として大成させた。
 この本を読んだ山田洋次監督は映画化を試みる。しかし「こうした映画こそ、若い監督に撮ってもらいたい」と横山とは「半落ち」コンビの佐々部清に譲った。そして冨川元文と脚本を書いた。
 たしかに彼等四人だったからこそ、この映画は単純な「散華賛美」悲話に終らなかったのだ。

 「戦艦大和」や「神風特攻隊」に比べてあまり語ることのない、人間魚雷「回天」に志願した若者の物語である。それは負け戦と知りながら、「自らが最後の『秘密兵器』になることによって戦いの無い世の中」を希求したスポーツマンの若者だった。

 回天は、もともと人が乗るものではなかった魚雷を改造したものである。だから操縦は複雑で故障も多く、未完成の兵器だった。
 彼は、敵艦に体当たりして戦果を上げて死んだのではなく、「出口のない海」に閉じ込められて死ぬ。決して「散華」では無かったのである。
 そうした学徒兵を主人公に選ぶことで、映画は戦争に対しそして若者を死に追いやった指導者たちに、無言の抗議をするのである。

 主人公の甲子園優勝投手を、映画初デビューの市川海老蔵が熱演する。
オリンピックを諦めたマラソンランナーの学徒兵を伊勢谷友介(「雪に願うこと」)、さらに塩谷瞬(「パッチギ」)、柏原収史(「血と骨」)、沖田寛之(「八月の狂詩曲」)、上野樹里(「スイングガールス」)等最近活躍の若手、香川照之、古手川裕子、三浦友和のベテランとバランスの良い配役である。

 人間魚雷「回天」。1944年8月海軍の正式兵器として誕生。「天を回らし、戦局を逆転する」意で名付けられた秘密兵器であった。
 回天による海上特攻の訓練を受けたもの1375人、うち戦没者106人。しかし自爆でなく故障によって死んだものがかなりの数と言われている。

 回天の生き残りのひとりである義兄は、決してこの「時代」を語らない。その理由が、映画を観て納得できた。

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September 28, 2006

458.X-MEN

 「X-MEN」三部作シリーズ最終章、「ファイナルディシジョン」である。
 遺伝子の突然変異により、特殊な能力を身につけた人達・ミュータントの物語である。

 前のニ作品はブライアン・シンガーが監督した。ブライアンが「スーパーマン リターンズ」の監督になったので、最終章はブレット・ラトナーがひき受けた。「ラッシュアワー」のヒットメーカーである。
 そのせいか主題がはっきりした。SF娯楽作品だがメッセージ性が強い。だから「大人」の鑑賞に十分堪える。

 差別される少数派ミュータントと多数派の人間の構図がある。少数者を同化・隷属させようとする多数派に対し、少数派は分裂する。抵抗派と共存派である。抵抗派は多数派にテロ攻撃をかける。
 ここまで書けばお判りの様に、まさに現代のアメリカそのものである。ミュータントがイスラム・・・・・。

 製作者側は「選択」がテーマだという。主演のヒュー・ジャックマンは、来日記者会見で「社会は、時としてどんなことでも<差別>する。その<差別>で苦しむ人がいる。それをどう乗り越えて生きていくのか。」と語る。
 共演のハル・ベリー、「チョコレート」でアカデミー主演女優賞を獲った彼女も「私やあなた方日本人は、有色人種、何も白人を選択するつもりはない」と。

Xmen2 このポスターは強烈な悪女のミュータント、レベッカ・ローミン。彼女は薬を打たれ人間にされる。三部作にて初めて、目の覚めるような美しいヌードを見せるシーンは、アンチ・テーゼか。
 加えて「ピアノ・レッスン」でアカデミー助演女優賞受賞のアンナ・パキン、それに「スタートレック」のパトリック・スチュワートと「ロード・オブ・ザ・リング」のイアン・マッケランのベテランが、ミュータントの両派の指導者を演ずる。

 5月のカンヌ映画祭で上映したあと、26日全米公開、一日で4500万㌦と「ダ・ヴィンチ・コード」「M:i:III」を抜いて今年上半期のトップに踊り出る。
 映画としての完成度も高い。例えば、人や車を乗せたままサンフランシスコの金門橋が空を移動、監獄で名高いアルカトラズ島への掛け橋になるアイデア。VFXと俳優自らのフジカル・アクションが見事に融合して、楽しめる。

 この作品が「最後」と宣伝してはいるが、ラスト近いいくつかのカットに「次ぎ」を予感させる。長い長いエンディング・クレジットの最後にも「ワンカット」がある。これから見る人は、最後まで席を立たない方が良い。

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September 27, 2006

457.赤と黒の芸術・楽茶碗

Raku1Raku2 左が「赤楽茶碗 銘鶴」、楽家三代の道入の作品。右が重要文化財「黒楽茶碗 銘俊寛」、楽家初代長次郎の作品である。

 三井記念美術館が開館1周年を記念して、楽焼をテーマにした特別展を開いている。会場には初代長次郎から十五代吉左衛門までの作品・70点余りの茶碗と、楽家に伝わる古文書他が展示されている。
 楽美術館を始め三井記念美術館所有の茶碗の他に、個人所蔵のものまでこれだけ揃えた展示は初めてだろう。

 「楽焼」は、始め「今焼き茶碗」とも「聚楽焼き茶碗」とも呼ばれた。千利休の創意によって太閤のための茶碗を焼き、秀吉から聚楽の「楽」の印字をもらいそれを「姓」にした。
 可能な限り装飾性を配排し、造形の個性的な表現を抑制した赤と黒のモノトーンの茶碗。それは、利休の「侘茶」の思想を直接的に反映し、禅における「無」にも通ずる美意識が見られる。
 初代から順を追って鑑賞すると、江戸・明治と降るにつれ個性的な陶技も見られる。しかし、轆轤を用いずに箆で姿を削り上げる陶法は一貫しており、赤と黒に表現される「侘茶」の精神は変わっていない。

 10数年前、裏千家の「初釜」に招かれたことがあった。もちろん「楽焼の茶碗」で薄茶をいただいたが、家元からひとつひとつの茶道具の話を聞き、そこに400年来の美意識をみることが出来た。
 「千家十職」といわれる伝統的な職人がいる。千家の茶道具を作る職人が十職に整理され、千家と深く結びついているのだ。
 釜師、塗師、刺物師、金物師、袋師、表具師、一閑張細工師、竹細工・柄杓師、土風炉・焼物師そして最も重要なのが楽家の茶碗師である。
 「十職」の言葉は明治になって生まれたものだが、夫々の技術は家によって代々引き継がれ今日に至っている。それは、千家だけのものではなく日本の伝統技術を背負っているといえよう。

 「楽茶碗」特別展 11月12日まで 三井記念美術館
             入館料一般1000円

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September 26, 2006

456.ひとまく会

 歌舞伎座の最後の一幕を、4階の立見席で観る「ひとまく会」。
 7・8月と休んだが今月の演目は「鬼揃紅葉狩」(おにぞろいもみじがり)、歌舞伎の舞踊劇のひとつである。

 「紅葉狩」といえば、観世信光作の「能」としてしばしば上演される。歌舞伎でも同じ題材を河竹黙阿弥が舞踏劇にして、「新歌舞伎十八番」の一つとなった。
 平家の公達が戸隠山で、美女に化けて紅葉狩する鬼女にめぐり逢い誘惑されかかるが、ついに退治する、というもの。義太夫・常磐津・長唄の掛け合いが面白い。

 その舞台をさらに捻ったのが、昨夜の演目。美女の侍女四人も最後は鬼になる。だから「鬼揃」、こうなると鬼退治は難しい。公達一家と鬼軍団、どっちが勝ったのか判らないうちに幕となる。
 「美女と鬼」を今売れっ子の市川染五郎、「公達」を中村時蔵の弟信二郎が演ずる。いずれも初演、そして初代中村吉右衛門の縁につながる若手役者である。

Hitomaku9 9月の大歌舞伎は「秀山祭」と銘打って開かれた。秀山とは、初代吉右衛門の名前、今年が生誕120年になる。

 初代は、3代目歌六の長男、次男が3代目時蔵、三男が17代目の勘三郎と昭和の歌舞伎を背負った名優たちである。なかでも吉右衛門は、9代目団十郎の芸風を継承し時代物役者の第一人者として、多くの功績を残している。昭和26年には文化勲章も授与され、芸術院会員として歌舞伎界の興隆に尽くした。
 彼は、昭和29年に68歳で没し、2代目を孫の現吉右衛門が継いだ。

 秀山祭は、初代と縁の深い役者が多く出演している。「寺子屋」と「籠釣瓶花街酔醒」を吉右衛門と兄の幸四郎が久し振りに共演した。昼・夜の4つの舞台を元気に務めた染五郎は、初代の曾孫である。昼・夜と必ず登場した歌六、歌昇、信二郎は、祖父の長兄が初代。
 このようにして歌舞伎の世界は、家の芸が伝えられていくのだろう。

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September 25, 2006

455.秋・花クルー・ツアー

Imgp1258Imgp1264 お彼岸の休日、トリトンの「花クルー・ツアー」に参加する。今回で6回目、常連になってしまった。
 5年前開発された晴海のトリトン、職・住・色・遊を一体化したゾーンである。とくに、建造物の上に人工地盤をつくり植栽して緑を増やした。その緑を生かすため、季節毎に様々な花が咲き乱れる。
 ツアーは、その花を巡る小さな旅である。

 5年目、230種の植物を植えて始まったトリトンの緑化は、600種の木と花のテラスとなった。
 今回は、面白い「和名」の花を紹介しよう。

Imgp1247Imgp1245Imgp1244 まず始めは、この日に因んだ「彼岸花」である。左の赤い花がポピュラーで、埼玉のある街では潅木の下を赤い色で埋めて、観光客をあつめている。
 しかしここでは3種の色が楽しめる。黄色の彼岸花、白色の彼岸花である。白色は植えつけた当初は、ピンクの色を付けていたが現在は真っ白、土質の影響らしい。

Imgp1249Imgp1256Imgp1266 左から「山丹花」、英名イクソラ、アカネ科の常緑低木。
 真中が「猫の髭」、その名の通りの花が咲く。シソ科の多年草。
 そして「源平葛」、白い花びらのなかに赤い花、しゃれた名前を付けたものだ。正式名は「Clerodendrum Thomsoniae」、これでは覚えられない。クマツヅラ科の常緑蔓性低木である。

Imgp1272Imgp1273Imgp1274 「紅紐の木」、トウダイグサ科の多年草でアカリファが正式名だが、紅紐のような花が垂れ下がる。一見ふさふさ花のようだが、触るとしっとりとする。
 「玉簾」、優雅な和名である。白い花びらの中の黄色い弁が可愛い。ヒガンバナ科の植物で球根で栽培する。
 右は「金虎の尾」、黄色い花がそれである。虎の尾と呼ばれる植物は数種あるが、こちらはキントラノオ科。常緑の低木に咲く花である。

Imgp1277Imgp1282Imgp1283 左が「七変化」、こちらも洒落た和名だ。花の色が温度によって変化するという面白い植物である。正式名はランタナ、クマツヅラ科の常緑低木である。
 紫の葉の間から伸びる可憐な白い花、「片喰」。カタバミ科の多年草、英名はオキザリス、カタバミではちょっとイメージが狂う。
 最後が「熨斗蘭」、ユリ科の常緑多年草で割りとポピュラーな植物。
 こうして面白い「和名の秋の花」だけを追っても、結構楽しいものだ。

 トリトン、いつでも自由に草花を楽しめる。ぜひ一度出かけられたら。

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September 23, 2006

454.トリノ、24時からの恋人たち

Top_1 映画ファンとしては見落とせない作品。イタリア映画発祥の地、モーレ・アントネッリアーナにあるシネマ・ミュージアムを舞台に、三人の若者の恋を描いた洒落た映画である。

 冬のオリンピックが開かれたトリノは、ファイアットの企業城下町であり、また芸術の街でもある。
 この街に住むダヴィデ・フェラーリオは、映画評論家であると同時に自ら映画配給会社を経営して、インディペンデントの作品を広く紹介してきた。アンジェイ・ワイダの「大理石の男」、ヴェンダースの「さすらい」など彼の手によってヒットした作品は多い。
 フェラーリオはまた、ドキュメンタリー作家でもあるし劇映画も手掛ける。まさに映画のためにトリノに生まれた人といえよう。
 そして6作目の監督作品が、彼の愛してやまない「ヌーヴェル・ヴァーグ」へのオマージュとなった。

 話は、シネマ・ミュージアムで夜警をしているネクラな若者(ジョルジョ・バソッティ)と彼が密かに恋するハンバーガー屋の店員(フランチェスカ・イナウディ)、彼女の恋人で自動車泥棒(ファビオ・トロイアーノ)と全くタイプの違う若者の人生が「歴史的な映画」と絡みながら描かれる。
 それは、ひとりの女とふたりの男の三角関係を描いたフランソワ・トリュフォーの「突然炎のごとく」の世界であり、ラストはジャン=リュック・ゴダールの「勝手にしやがれ」がモチーフとなる。

 懐かしい映画のシーンが、数々と引用される。とくにサイレント時代の天才喜劇人、笑わぬフェイスのバスター・キートンのカットが象徴的に挟みこまれる。
 そしてラストタイトル、「マリア・アドリアーナ・ブローロとバスター・キートンに捧ぐ」と出る。ブローロは、トリノの国立シネマ・ミュージアムを創設した女性映画史家である。
 映画の父リュミエール兄弟の作品からハリウッドまで、古今東西の映画のフイルムから資料・セットを展示・保存している世界有数のミュージアム、トリノの象徴といわれる「モーレ・アントネッリア」をぜひ訪ねたいものだ。

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September 22, 2006

453.愛と死の間で

Aitoshi アンディ・ラウの最新作、見逃すわけにはいかないと、日比谷シャンテの最終日に駆け込んだ。

 原題は「All About Love」、中国語題は「再説一次我愛称」、こう並べると映画のイメージが見えてくる。最愛の妻の「体」を失い、そしてまた「心」とも別れる純愛の物語である。
 愛する人の心臓を移植した、その人にめぐり合う・・・・ハリウッド映画「この胸のときめきを」とプロットを同じくする香港映画といえる。

 アンディ・ラウ(劉徳華)、アジアの華人社会では「華仔」(ワー・チャイ)の愛称でよばれる香港のトップスター。今年45歳、「我等の健さん」の若き時代を彷彿させるイケメンで演技派、ジャッキー・チョンらと並んで「香港四大天王」ともよばれる大歌手でもある。
 また映画制作会社「フォーカス・ピクチャー」を経営する実業家であり、プロデューサーとしても腕をふるってきた。

 彼が出演した作品は100本を超えるというが、これまで10数本を観ている。ウオン・カーウアイ監督のデビュー作「いますぐ抱きしめたい」と「欲望の翼」、ジョニー・トー監督の「デッドエンド」と「ファイターズ・ブルース」「イエスタディ・ワンスモア」、チャン・イーモー監督の「LOVERS」、最近観たのがジェイコブ・チャン監督の「MUSA-武士」。香港、中国、韓国映画と幅広い。
 しかし何と言っても彼の代表作は「インファナル・アフェア」だろう。03年、04年、05年と毎年1本、それもストーリーを遡る形で香港のマフィアと刑事の戦いを描いた。トニー・レオンとの共演で。

 今回の作品は、ラウの共同経営者でもあるダニエル・ユー(余国偉)が初めてメガホンをとった。
 プロデューサーとしてラウの作品を支えてきた彼が、脚本も書いたのだ。ラウの全てを知り尽しているだけに、ラウの魅力を十分に引き出している。アクションシーンはひとつも無くても。

 共演は愛妻にシャーリン・チョイ(蔡卓妍)、香港のモーニング娘といわれる超人気のアイドル・デュオのひとり。そして「心」をもらったのが美人女優のチャーリー・ヤン(揚采)、ジャッキー・チェンの「香港国際警察」で最近カムバックしたベテランである。

 余談だが韓国の俳優の名前は覚えにくい。しかし中国や台湾、香港は割りと記憶に残る。それは多分「漢字名」のせいだろう。ただ、なぜ「徳華」がアンディで「卓妍」がシャーリン、「国偉」がダニエルなのか判らない。この映画に登場するもう一人のベテラン俳優も「秋生」がアンソニーである。
 以前台湾の知人に聞いたところ、現地読みで発音がなんとなく似ている英語名を名乗る、と話していたが。

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September 21, 2006

452.浜離宮・秋

Imgp1229Imgp1230 今日までは「敬老週間」なので、「浜離宮」の入場料は無料。地方から出かけてきた団体のお年寄りたちが、喜んでいた。
 「ノウゼンカズラ」や「アメリカディゴ」など夏の花も残っていたが、秋の花も咲き始めている。

Imgp1224Imgp1225 浜離宮の秋の売り物はこれ、「キバナコスモス」である。築地川沿いのお花畑は、橙色に染まっていた。


Imgp1233Imgp1234Imgp1238 あと代表的な秋の花を挙げると、「ハギ」「キキョウ」「オミナエシ」「キンモクセイ」に「ヒガンバナ」「コスモス」「ジンチョウゲ」「ヒイラギモクセイ」と続く。

Imgp1242Imgp1231 面白いのは右の写真の花。「ヒトエスイフヨウ」(一重酔芙蓉)である。朝真っ白い花が咲き乱れるが、陽が昇るにつれ桃色に変わる。
 今日は朝、築地市場での買出しのついでに寄ったので、まだ真っ白のままだった。

 つぎは、晩秋に寄ってみよう。「イロハモミジ」がきれいな頃だ。

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September 20, 2006

451.キンキーブーツ

Kinky 先月末に封切されたこの作品、翌週覗いてみたら大行列、諦めて帰ったが4週目になっても満員の盛況である。
 座席数の少ない「シャンテシネ」ということもあるが、それだけではあるまい。閉塞感漂う昨今、「何かしっくりとこない」「自分らしくいきたい」人達へのエールが、この作品には込められているからだろう。

 [kink・y](キンキー)とは、①変態の、性的に倒錯した ②奇妙な、変わり者の 意味。
 イギリスのノーサンプトンの伝統的な家内工業的な靴屋が、生き残りをかけてニッチ市場に参入、史上初の「男性のための女性的なファッショナブル・ブーツ」を世に送り出したという実話の映画化である。

 デイリー・ミラー紙が「まさに『フル・モンティ』以来の英国のコメディー登場!」と評していたが、館内もクスクス笑いから珍しく爆笑の渦が沸いた。間違いなくヒット作品である。

 監督はイギリスTV界のベテランディレクター、ジュリアン・ジャロルド。映画初のこのは、イギリス・インディペンデント映画界に一大センセーションを巻き起こしているという。今年のサンダンス映画祭にオープニング上映されたのも、うなづける。

 出演は靴屋の跡取りにジョエル・エドガートン、オーストラリア出身の彼は「スター・ウオーズ」や「キング・アーサー」にも出演しているが、この作品で主役を演じた。
 もう一人の主役が、ドラッグ・クイーン(♂)のキウェテル・イジョフォー、アフリカ系イギリス人の個性派俳優として「ラヴ・アクチュアリー」にも登場した。筋肉隆々とした彼が、キンキーブーツをはいて舞台狭しと唄い踊るのだ。

 映画のもうひとつの主役は、この音楽とファッション衣裳。「Vフォー・ヴェンデッタ」のサミー・シェルドンが、その両方を担当して映画を盛り上げた。

 映画が終った後に、「気分が良くなる」作品である。

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September 19, 2006

450.北京故宮博物院展

Kokyuu 日本橋高島屋で「北京故宮博物院展」を見た。
 権力を愛した女帝・西太后慈禧と、運命に翻弄されたラストエンペラー・宣統帝溥儀、この2人にスポットをあてた展覧会である。
 「清朝末期の宮廷芸術と文化」と題し、2人にゆかりのある美術品や資料140点が並べられている。とくに「至宝」と呼ぶものはないが、あの時代の歴史を知る良い機会ではある。

Kokyuu2Kokyuu3 北京飯店のゲストルームから撮った世界遺産・紫禁城、現在の北京故宮博物院。まだ完全な整備が終っていない、20年前の光景である。

 南北1㌔、東西750m、敷地面積72万5千㎡、建物の数が700戸、部屋の数が9000室、世界一の規模を誇る王宮だった。
 元の時代に建てられた建物を、明の永楽帝が南京から遷都して王宮にした。以降明・清24代の皇帝がここで政務を執った。そして西太后をピークに、宣統帝がラストエンペラーとしてここを去るのである。

Kokyuu4Kokyuu5 紫禁城に残された歴代皇帝の御物は、117万点を数える。1925年から「故宮」とよばれる博物館となった。
 しかし国共内戦により、選びぬかれた60万点の「至宝」が、国民党政府の手によってここから運び出された。南京・重慶・四川省の山中、そして台湾と「至宝」は海を渡る。
Kokyuu6 そして今「至宝」は、台北の北、丘陵を背にして建てられた「台北故宮博物館」、その奥に掘られた洞窟の中に眠っている。
 博物館では数千点づつを、順次公開展示しているが、全てが公開されるまでには、あと数十年かかるという。
 結果として、重要な御物が台湾に運ばれたことで、文化大革命による損傷は免れたとも言える。

 ほとんどの宝物を亡くした北京は、紫禁城の建物そのものが「至宝」というわけで、中国文物局は整備を積極的に進めた。そして現在外朝の大和殿、中和殿をはじめ内帝の乾清宮など、半数以上の建物が開放されているそうだ。

 これまで北京故宮博物院、台北故宮博物館をそれぞれ3回訪ねているが、目にした建物と御物は1%にも満たないのではないだろうか。
 その規模と数があまりにも巨大なのである。

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September 18, 2006

449.ペルシャ文明展

Perusya3Perusya2 半世紀ぶりのペルシャ美術展である。副題が「煌めく7000年の至宝」、紀元前5千年の頃の土器から600年半ばの銀貨まで201点が展示されている。

 毎日ニュースに登場する「イスラム原理主義国家」イラン、その国立博物館を中心に5つの博物館からとっておきの秘宝を持ってきた。それもイスラム国家になる以前の文物だけを。他のイスラム諸国と異なるイランの懐の深さを見せた。

 Perusya1 イランの歴史といえば何といっても「アケメネス朝ペルシャ」だろう。紀元前550年、イラン高原を南下した遊牧民族のアーリア人がオリエント地方を平定し、史上初の「世界帝国」を打ち立てた。
 世界遺産にも指定されているペルセポリスを中心に、西はエジプト、東はインドに広がる巨大帝国は、東西文明の交流の核となった。
 帝国内の諸民族の交易が活性化するなかで、ペルシャにはきらびやかな金銀製品が集まった。冒頭の「有翼ライオンの黄金のリュトン」は、アケメネス朝の栄華を象徴する酒器である。

 アケメネス朝ペルシャ帝国は、マケドニアのアレクサンドロス大王の東征によって紀元前331年に消滅する。そして600年後、ササン朝ペルシャとして復活するのである。
 ササン朝はガラス器が有名だ。韓国慶州の国立博物館、奈良の正倉院でも同じガラス器を見た。シルクロードが結んだのである。

 7000年の歴史を追いながら、現代のオリエントに思いは至る。アフガン、イラン、イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、イスラエルと宗教と民族が争い血を流している現実。その地に誕生した文明の「煌らく至宝」を見ながら複雑な気持ちを抱く。

 上野・東京都美術館で10月1日まで。

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September 17, 2006

448.日本丸30周年

 1976年、アメリカ建国200年を記念した「オペレーション・セイル’76」が大西洋で開催された。参加した世界の帆船はおよそ250隻、史上空前の催しだった。参加した帆船は、記念日の当日ニュヨークのハドソン川をパレードした。
 日本からは、航海訓練所の帆船「日本丸」が、東京・神戸両商船大学の卒業航海訓練を兼ねて、このイベントに参加した。

 「日本丸」は、「太平洋の白鳥」と称賛される4本マスト・バーク型の帆船。
 この年帆船には、乗組員69名、実習生82名、取材班7名が乗り4月15日に東京・晴海を出航、9月22日の帰港まで太平洋~大西洋の2万浬のわたる航海を続けた。
 数年後引退が予定されているだけに、これが最後の大航海となった。

Imgp1193Imgp1204 横浜「みなとみらい」のドックに係留されている初代の「日本丸」。
 昨日、ニューヨークまでのオペレーション・セールに参加した乗組員・実習生が集まった。30年ぶりの再会である。
 当時20代前半だった実習生たちも今や50代、それぞれ社会の中核となって活躍しており、なかには白髪頭で、乗組員と区別がつかない人もいる。
 また海外からも駆けつけた仲間も加わり、30年昔の航海の思い出に花を咲かせていた。

Imgp1202Imgp1203 係留されている「日本丸」は、当時の姿そのままである。多くのボランティアの手で船体は整備され、時々セールも張られる。法律的には現役の船であり、資格をもった船長が管理している。
Imgp1200Imgp1201 船尾にある操舵輪と羅針盤、帆船ならではの装置もきれいにみがかれていた。ここでキャップテンが風を読みながら、指揮をとっていたのだ。

 「Station for tacking!」(上手まわし用意)
 「Ease the wheel up!」(舵静かに風上)
 「Let go and haul!」(フォアヤードまわせ)
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 「Ease the wheel down!」(舵を風下に)
 「Set all sails」(総帆かけ方)
 「Steer her by the wind!」(一杯開きに)

Imgp1208 当時若かった船員たちも、今やそれぞれの部門でリーダーを務めている。
 一昨年の富山湾で姉妹船「海王丸」が台風に襲われた時、13時間胸まで海水に浸りながら船を守った人もいる。また現役の船長として、実習生を鍛えている当時の若手航海士もいる。
 しかしあれから30年、キャップテンや機関長、上級船員たちはもう70代、引退はしたがいたって元気である。
 キャップテンが持ち帰った「200年祭記念のバーボン」を、30年ぶりに空けた。
 さすが海の男たちの集まりである。

 横浜からの帰途、晴海桟橋に寄る。改装なった「海王丸」が、航海実習を終え帰港していた。

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September 15, 2006

447.東京道産酒の会(10)

 月に一度、北海道を慈しむ仲間が集まり、地元の酒と料理を楽しむ「道産酒の会」。私も5年間生活した北海道が忘れられずに、発足の時から仲間に加わっている。
 昨夜は、第180回の集い。7~8月と夏休みで休会したので、久し振りに顔を会わせる方が多い。

 今月のスピーチは盛沢山。始めに世話人の原田達夫さんが、「人間・安倍晋太郎」と題して同郷の先輩のエピソードを話す。今時の人である「安倍晋三」ではなく、父親の人となりである。晩年の晋太郎氏と行動を共にした原田さんらしい思い出の数々が語られた。

 つぎは「知って得するビールの話」、ビール会社に勤める会員の今井俊之さんが「PRではなく本当の話」をと。
 ①中世ヨーロッパでは、ビールは「液体のパン」、栄養たっぷり。
 ②ビール350mlのカロリーは、御飯7分目相当の140カロリー。ビールで太るより食欲が進み食べ過ぎるのが原因。
 ③ビールの健康効果は「肥満予防」!、「動脈硬化・乳がん・骨粗しょう症・高血圧・大腸ガン・老化・認知症の予防」「美容効果に更年期障害改善」の数々。
 ④プリン体は麦芽にある。痛風予備軍は麦芽ゼロの「第3のナマ」を。
 ⑤ビールは生き物。「光」「熱」「振動」が敵。飲み頃は4C~8C。ビールと泡は7:3。
 ⑥ビールの酒税は77円(350ml)、発泡酒47円。第3のナマ28円。
 ⑦飲み残したビールは、シチューやすき焼きなど肉料理に入れると柔らかくなる。またぬか床にも。

 最後は、「街角で会った昭和」絵画展を、会員の土肥正文さんが紹介。(ブログ437号既掲載)

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September 14, 2006

446.二科展

Nika 毎年秋になると、郷里の友人から「二科展」の招待状が届く。著名画家から一般の公募作品まで、力作を見るのが楽しみだ。絵だけでなく、彫刻、デザインと上野の二つの美術館を占める。
 
 二科会は、1914年に結成された在野の美術団体。梅原龍三郎、有島生馬、坂本繁二郎等フランスで新しい絵の世界を学んだ若手画家が、当時の文部省の束縛から離れた美術運動体として会を結成した。流派を超えた美の価値の創造を求めたのである。
 戦後、絵画・彫刻に加えデザイン、写真部門も加わり現在では500人を超える美術団体となった。
 そして今年は92回目、おそらく日本では最も伝統のある美術展といえよう。

Nika1 これが古くからの二科会員でもある、友人西健吉君の作品「浜の娘」。高校の美術教師として奄美大島で過ごした日々が、モチーフとなっている。
 ここ数年、彼は常に奄美の漁村とそこに暮す人々を描いている。彼にとって、島での生活は強烈な印象として心の中に残っているのだろう。

Nika2 「会員賞」を受賞した向井實さんの作品「港」。彼も鹿児島在住である。
 二科会の会員には、意外と鹿児島関係者が多い。創立メンバーの有島生馬から始まって、先頃逝去された前会長の吉井淳二画伯まで、団体の中心となって活躍した人は多い。現メンバーの東郷たまみさんの父東郷青児もまた鹿児島である。
 一見無骨に見える「薩摩人」が、明治維新によって芸術の分野でも羽ばたいたといえる。

 今年の絵画公募入選者854人、ほとんどが関東在住者だが鹿児島からは24名が入った。西君たちがリーダーとして後輩たちを育てているのだ。

 なお「二科展」、来年からは六本木にオープンする国立新美術館全館を使用して、4部門の作品を一堂に展示する。

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September 13, 2006

445.焼酎バー「黒瀬」(59)

 「薩摩焼酎・逸品シリーズ」18回目は、前回に続いて霧島地方から。

 「さつま国分」
 「花は霧島、たばこは国分」とおはら節にも唄われる国分には、古くから蔵元が集中している。たばこ畑はいも畑に変わり、コガネセンガンを生み出している。
 老舗の蔵元数社が集まって発足させたのが「国分酒造協業組合」、その代表銘柄がこれである。白麹を使った最もポピュラーな焼酎、甘口ですっきりした味わいは、まさに地元の酒。
 5年前、焼酎ブームに先駆けて新しい味に挑戦したのが「芋麹 芋」、酒販店のアイデアで生まれたこの焼酎は、米を全く使わないサツマイモ100%の本格焼酎である。ふかしたサツマイモのような風味でピュアな味に仕上がっている。
 日本酒に使う黄麹を使って芋臭さを押さえたのが「黄麹 蔵」、フルーティーな香りは都会向けの焼酎といえよう。
 他に「大正の一滴」「黒石岳」も。

 「蘭」
 国分酒造から海岸寄りに下ると黄金酒造がある。ここでも芋麹を使ったサツマイモ100%の焼酎を造っている。熟した南国の果物、または蘭の花の香りがこの焼酎の「売り」である。
 ある人は、これまでにない芋焼酎の世界と評した。
 その「ハナタレ」だけをじっくりと熟成させたのが、「蘭 芋 グラッパ」である。濃厚でしかもまろやかな味は、まさにイタリアのグラッパそのものである。もちろんこれはストレートで。度数は44度だが。

 「なかむら」
 中村酒造場の造るこの銘柄も、「プレミアム焼酎」となってしまった。なかなか手に入らない。昨夜ようやく「黒瀬」で飲むことが出来た。数年かけて残留農薬を徹底的に排除、独特の栽培方法で作ったカルゲン米を麹に使い精魂込めてつくりあげた。
 ストレートで飲んだが、しっかりとした味わいとだけしか言いようがない。杜氏の心が味わえる焼酎である。
 他に黒麹を使った手造り焼酎「玉露 黒」、コガネセンガンを掘ったその日のうちに加工して造った「玉露 本甕仕込み」がある。

 「アサヒ」
 最後は、お隣隼人の日當山醸造の焼酎。40年前鹿児島に勤務していた頃、行きつけの小料理屋で毎晩飲んだ懐かしい焼酎である。コクもありキレもあり、アキのこない焼酎だった。黒チョカで澗つけてキビナゴの刺身を肴にチビチビ飲んだ。 東京でも探してみたがなかなかお目にかかれない。
 そのかわり、減圧蒸留で芋臭さを押さえた「千秀」に出会った。ソフトでまろやかメロンのような味わいである。その弟分にあたるのが常圧蒸留の「百秀」、いずれも白麹、コガネセンガンが原料、お湯割り飲み比べてみるとよい。

 「黒瀬」 渋谷区渋谷2-14-4
      ℡03-5485-1313

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September 12, 2006

444.焼酎バー「黒瀬」(58)

Kajikitiku_1 1000を超える「薩摩焼酎」の銘柄、黒瀬で楽しめる逸品シリーズ17回は、霧島地方の芋焼酎から。

 霧島市は昨年秋、「平成の大合併」で国分、溝辺、横川、牧園、霧島、隼人、福山の7市町が合併して誕生した。それだけに蔵元も多く、8ヶ所の醸造所が霧島連峰から涌き出る良質の水を生かして、美味な酒を造り出している。
 山麓から錦江湾への順で、2回にわたって飲み比べしよう。

 「さつま」
 温泉の町牧園地区、湯上りに地元で飲まれるのが佐藤酒造のこの銘柄。コガネセンガン、白麹、霧島山系の超軟水で仕込んだ焼酎は、甘口で素直な香りがする。
 しかし東京で評判なのは、この蔵元が造るプレミアム焼酎「佐藤 黒」。黒麹仕込みのしっかりした甘味が特徴、地下100mボーリングして汲み上げた、やわらかい水がまろやかさのもと。
 「佐藤 白」も「黒瀬」の棚には置いてあるので、飲み比べてもらいたい。
 
 「明るい農村」
 昔見た朝のNHKテレビ番組のタイトル、霧島町蒸留所が村の発展を願って命名した。白・黒麹両方使って甕壷に仕込む。コクもありすっきりした甘味が特徴。お湯割りでどうぞ。値段の方は少し高い。

 「萬膳」 
 この銘柄もプロの間では評判の焼酎。霧島山麓のやまあいの山小舎風の醸造所で造られる。コガネセンガン、黒麹、ムロ蓋を使って麹をつくり、甕で一次仕込み、タンクで芋を加えて二次醗酵させた後は、木樽蒸留器で焼酎にする。
 蔵元の万膳酒造は、先代が亡くなった後30年間途絶えていた。しかし、現当主が黒瀬杜氏のもとで修行し10年ほど前に蔵を再開した。
 他に「真鶴」「万膳庵」があるが、原酒に近い「流鶯 黒麹」、ハナタレだけ集めた「喚火萬膳 黄麹」の逸品は、蔵元に出かけても手には入りにくい。

 「てんからもん」
 鹿児島空港近くにある錦灘酒造が造るこの焼酎は、コガネセンガンを原料とする「本格焼酎」には違いない。しかし特殊な麹を使い減圧蒸留することで、芋焼酎とは思えないフルーティーな酒になった。焼酎が苦手な人は、これをロックで飲めばよい。焼酎党はがっかりするので、手は出さないほうが良い。

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September 11, 2006

443.シネマ観て歩き

 先月末で107本の映画を観た。昨年より20本ほど多いペースだ。邦画4割、洋画6割だが、昨年に比べると邦画が1割増ほど増えている。
 大手配給会社の役員をしている知人に聞くと、この5年間は邦画のシェアが少しづつ伸び、今年上半期の興行収入は邦画49%、洋画51%とほぼ肩を並べたそうだ。
 映画評論家の間でも、最近の洋画は莫大な製作費を投じている割りに大味なものが多いとの声がある。それに比べて例えば「かもめ食堂」や「佐賀のがばいばあちゃん」など、口コミでヒットした独立系の邦画が健闘しているという。
 またTV局が、出資だけでなく制作にも参加して、若い才能を生かしているのも邦画盛況の要因のひとつのようだ。とくに「踊る大捜査線」シリーズのフジテレビが、その先鞭を切った。

 さて上半期、邦画の売上ベスト10は①「海猿」71億 ②「有頂天ホテル」61億 ③「男たちの大和」51億 ④「デスノート」33億 ⑤「ドラえもん」33億 ⑥「名探偵コナン」 ⑦「明日の記憶」 ⑧「トリック2」 ⑨「県庁の星」⑩「あらしのよるに」
 洋画の方は、①「ハリー・ポッター」110億 ②「ダ・ヴィンチ・コード」90億 ③「ナルニア国物語」69億 ④「Mr.&Mrs.スミス」47億 ⑤「フライトプラン」31億 ⑥「チキン・リトル」 ⑦「キング・コング」 ⑧「SAYURI」 ⑨「ポセドイン」 ⑩「Vフォー・ヴェンデッタ」の順である。

 「ドラえもん」「名探偵コナン」を除いて、残りの18本はこのブログでも紹介したが、これから秋~冬、正月作品でベスト10にくいこむ作品がどれだけあるか、楽しみだ。

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September 09, 2006

442.スーパーマン リターンズ

Super2Super_1 「この夏、真打は、最後にやってくる!!」と宣伝してたので、夏休み映画の最後に見ることにした。しかし、「前座」に過ぎなかったようだ。「パイレーツ・・・」「ユナイテッド93」「マイアミ・バイス」さらには「M:i:III」にも負けた。「マッチポイント」や「ハードキャンディー」には最初から敵わない。

 なぜなんだろう。それは世界中の人口に膾炙した、不滅のヒーローのリターンにしては、驚きがないのだ。「X-メン」で腕の冴えを見せたブライアン・シンガー監督にしては、エンタテインメントに徹しきれていない。
 もうひとつ、数千人の若手俳優の中から選びぬいたとしても、ブランド・ラウスにはオーラがない。190㌢の身長が生きていない。

 「スーパーマン」は、78年前アメリカのコミックで誕生した。その後新聞に30年以上も連載され、現在でも40ヶ国25の言語でコミック誌を飾っている。また人気TVシリーズとして35のタイトルを持つ。
 映画も65年前に短編で登場、その後5本の長編映画が製作されている。そして20年ぶりの登場なのだ。それだけに期待は大きかった。

 しかしその間の映画技術の進歩は、凄い。その画期的な視覚効果(VFX)は、今回の作品に十分生かされている。映像も、35㍉や70㍉のフイルムカメラではなく、ソニーとパナビジョンが最近開発した「ジェネシス・デジタル・カメラ」を使った。それまで1台しか生産されてなかったカメラが、この撮影のため10台も作られたそうだ。

 出演は、ヒーローに新人のラウスの他、生涯の恋人役がケイト・ボスフル(「綴り字のシーズン」)。そして作品を締めたのがスーパーマンの永遠の敵役、ルーサーに扮するケビン・スペイシーである。
Super3 スペイシーは、「アメリカン・ビューティー」などで二度もアカデミー主演男優賞を獲った名優。「C.Aコンフィデンシャル」「シッピング・ニュース」など数々の名作を残している。
 自ら脚本・監督もこなし、製作プロダクションやウエブサイトを経営する他、ロンドンでは舞台で若手の養成にも携わっている。
 彼と相対するとなると、スーパーマンもかなりの力量を要するのだ。

 もうひとり懐かしい人物が出演している。半世紀も前の映画、エリア・カザンの「波止場」でマーロン・ブランドの相手役を演じたエヴァ・マリー・セイントである。彼女は、この作品でアカデミー主演女優賞に輝いた。
 今回はヒーローの養母役だったが、ヴィム・ヴェンダーズ監督の「アメリカ・家族のいる風景」でも確か主人公の母親役だった。

 「スーパーマン」、これまでヒーローを演じてきた故クリストファー・リーブスをブランド・ラウスがいつ乗り越えられるか、次回作に期待したい。

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September 08, 2006

441.グエムル

Guemuru1 在韓米軍によって、大量の毒薬がソウルの漢江に破棄される。それから6年、漢江に「グエムル=怪物」が誕生、その怪物に翻弄される貧しい庶民一家の物語である。

 韓国では封切られてから20日目、観客が1000万人を突破した。史上最速の記録である。
 「今年のカンヌ映画祭で最高の映画だ!」とニューヨーク・タイムスも激賞した。

 監督は韓国のスピルバーグといわれる、奇才ポン・ジュノ、若干37歳。実在の猟奇殺人事件をテーマに描いた「殺人の記憶」で多くの批評家を虜にした。独特のブラック・ユーモアで政治と社会に切りこむ。

 ジュノの世界観に惚れたケヴィン・ラファティがVFXスーパーバイザーを引き受けた。「スターウオーズ」や「ジュラシック・パーク」「メン・イン・ブラック2」など手掛けたプロ中のプロである。そして「怪物」の開発は、「キング・コング」のニュージーランド・WETAワークショップである。

Guemuru3Guemuru2 主演は人気・実力ともに韓国一の俳優ソン・ガンホ。「JSA」や「シュリ」の彼である。
 全く頼りにならなかった男が、娘(コ・アソン)を救うために勇敢な父親へと変わっていくという初めての役柄である。

 漢江の河畔で売店を営む祖父(「火山高」のピョン・ヒボン)、洋弓の銅メタリストの叔母(「子猫をお願い」のペ・ドウナ)、学生運動崩れのフリーターの叔父(「殺人の記憶」のパク・ヘイル)、ごく普通の人達が国に反旗をひるがえして、命がけで強大な怪物と闘う。娘を取り戻すために。

 パニック・エンタテインメントには違いないが、そこに鋭い現代文明批判を秘めているのは、さすが鬼才だけのことはある。明快な主題を持った作品だった。

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September 07, 2006

440.マイアミ・バイス

Miami 20年前、日本でも放送されたテレビシリーズの映画版。
 青い海、白い砂浜、輝く太陽のマイアミを舞台に、潜入捜査官が国際麻薬コネクションと闘う話。テレビでは製作総指揮をとったマイケル・マンが、今度は製作・脚本・監督の三役をこなした。

 マイケル・マンといえばアクション映画の巨匠。「ヒート」「コラテラル」「インサイダー」「ALL/アリ」と、戦う男たちの美学を描いては右に出るものはないといわれる監督だ。
 今回もマイアミからウルグアイ、パラグアイと中南米をロケして、ドラッグ・SEX・銃撃戦の華麗なアクションを見せた。

 もうひとつ、この映画はほとんどを「ハイビジョン・カメラ」で撮影した。「SAYURI」でアカデミー撮影賞を獲った、ディオン・ビーブがこだわったのだ。
 「映画を観ている人が、その場にいるように感じさせる事が出来るんだ、目の前で起こったことが。今日、今夜、もしくは早朝、まさにその時ボートにのっているように」(ビーブ)

 フイルム撮影と異なり、ハイビジョン・カメラはまだ機動性に弱いし故障も多い。しかし長時間撮り続けられるという長所もある。なかでも、その臨場感、映像の鮮やかさは他に敵うものはない。
 30年前、私が日本で初めての長時間のドキュメンタリーを、ビデオで制作した時も論争があった。その映像の持つ臨場感が、かえってモンタージュを殺す。質感を失うと。
 だから現在でも、ビデオカメラによる撮影を拒否する巨匠監督は多い。しかしスピルバーグをはじめ、新しい映像表現を求める人達は、技術革新にトライする。

Miami1 出演は、潜入捜査官のコンビをアイルランド出身のコリン・ファイルとアメリカ出身のジェイミー・フォックスが演ずる。
 ファイルはBBCのTVからハリウッドへ、そして「S.W.A.T」でブレイクした。フォックスの方は、「Ray/レイ」でレイ・チャールズを演じてアカデミー主演男優賞に輝いた。マイケル・マンの「コラテラル」にも出演している。スタンダップ・コメディアン出身で歌手でもある。

 この映画で妖艶な魅力を見せたのは、国際麻薬組織の黒幕の情婦役コン・リー。「紅いコーリャン」でチャン・イーモーに見出された中国の女優、「さらば、わが愛/覇王別姫」から昨年の「SAYURI」とすっかり国際女優に成長した。闇金のロンダリングを担当する、国際ビジネスウーマンでファイルに恋する。
 そしてその黒幕は、スペインの名優ルイス・トサル(「月曜日にひなたごっこ」)と役者も国際色豊かである。

 タイトルの「VICE」、マイアミ警察の一部署「特捜課」の意味らしいが、辞書を引くと「悪徳」「悪玉」または「NO2」「万力」しかない。アメリカの俗語辞典でも探してみよう。

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September 06, 2006

439.ハードキャンディ

Hado グリム童話「赤ずきん」の現代版である。といっても子供向けではなく、成熟した大人のための映画、15歳以下の子供は入場禁止でもある。

 14歳の少女が、たったひとりで仕掛けるゲームによって大のおとなが吊るし上げられる。彼は「赤ずきんを食べようと企てたオオカミの悲惨な結末」のように、肉体的にも精神的にもギリギリの状態に追いこまれていく。

 イギリスのジャーナリスト出身のデイヴィッド・スレイド監督が、テレビ・舞台の脚本家ブライアン・ネルソンと組んで作った、初めての長編映画である。
 「密室の中の2人の男女」という極めてシンプルなシチュエーションを基に、緻密な構成と丁寧な人物描写を積み上げることで、観客を釘付けにする。
 たったの18日間で撮った低予算映画は、昨年のサンダンス映画祭に招待され批評家たちの絶賛を浴びた。

 監督の発想は、日本の女子高校生による「おやじ狩り事件」だった。
 「誘ったほうが悪いのか、誘いに乗った方が悪いのか」。善悪の判断を混乱させる不条理が魅力的な作品にした。そこには、未成年者の非行と大人の愚行、出会い系に見られるインターネット犯罪、デジタル社会のモラルに対する作者の痛憤がある。

 14歳少女を演ずるエレン・ペイジ(「X-MEN」)が巧い。幼さをもつ少女の顔と、残忍な悪魔の顔の二面性を見事に演じた。17歳のカナダの役者である。
 オオカミはパトリック・ウイルソン(「オペラ座の怪人」)、アメリカ出身のミュージカルスターである。

 彼が少女の手で「去勢手術」をされるシーンが圧巻だ。ウイルソンの恐怖と絶望の表情、少女のシニカルな言葉と上半身だけの動き、カメラは決してパンダウンしない。しかし、それだけで下半身は疼く。

 タイトルの「ハードキャンディ」とは、①沸騰したコーンシロップから作ったキャンディ ②堅いけど砕けやすいキャンディ ③勃起したペニス ④ヘロインの俗語
 この映画は、その全てに当てはまる「怖い作品」だった。

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September 05, 2006

438.焼酎バー「黒瀬」(57)

 最近の新聞・HPから、焼酎の話題を要約で。

 「焼酎を学ぶシニア短期留学」
 鹿児島大学では11月下旬から12月にかけての2週間、シニアを対象にした短期留学を実施する。市内のホテルに滞在して大学に通い、鹿児島の歴史や自然、焼酎や温泉などについて学ぶ他、学外での現地研修も行う。
 講義数は20。鹿児島大学の教授達が「薩摩藩の歴史ー徳川家と島津家」「焼酎と薩摩の文化」などを講義し、一部は一般の学生とも机を並べる。
 大学では「総合大学ならではの多彩なプログラムを提供して、新しい学びの形を作り上げたい」と意欲を示している。
 この事業は地元NPOと共同で行うもので、全国では初めての試みだという。
 詳しくは、日本旅行システムトラベルセンター(03-3614-3625)へ。(JANJAN)

 「豪雨災害を乗り越えて焼酎の仕込み」
 豪雨災害を受けた鹿児島県北部の町さつま町の蔵元で、今月1日から焼酎の仕込みが始まり、被災から40日ぶりに本格操業が再開された。
 この蔵元は、小牧醸造。7月末の記録的な大雨による川内川の氾濫で工場が水に浸かり、仕込みを終えたばかりの焼酎6300本が被害を受けたのをはじめ、製造ラインの機械も動かなくなるなど2億円の損害を出した。(KTS)

 「豪雨被災の焼酎原料、蔵元が買い取り」
 鹿児島県北部にある湧水町では、ブランド焼酎向けの米麹の原料「有機焼酎用米」を、原料のイモとともに栽培している。
 しかし7月の豪雨により水田も畑も冠水、「有機栽培」が不可能となった。しかし契約している蔵元は、被災した原料を全て買い取り、農家の損害を押さえることにした。
 この原料は、小正醸造(日置市)が造る「天地水楽」用、有機ブランド焼酎として有名なこの銘柄を支えてきたもの。湧水町の40戸の農家と契約して75トンを出荷する予定だった。
 蔵元では、当初の契約通り一般栽培より高値で米とイモを買取り、他の焼酎の原料に回すことにしている。(373)

 焼酎バー「黒瀬」 渋谷区渋谷2-14-4
             ℡5485-1313

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September 04, 2006

437.ワインと絵画展

Doi1 旧知の土肥正文さんの絵画展が、神楽坂のワインバーで開催されている。
 タイトルは「街角で会った昭和」、街角で見つけたちょっと懐かしい風景や建物の水彩スケッチ十余点が、バーの壁に飾られている。

 土肥さんは、ブログ341号(5月13日)でも紹介したように、現役の銀行マン。仕事の合間をみては「消えていく昭和」を追う。以前勤務していた北海道では、閉山した炭坑跡のスケッチを画き綴った。

Doi2Doi3 会場のワインバーも素敵だ。場所は毘沙門天の脇の路地を入ったところ、店の名前は「ルバイヤート」。
 「ルバイヤート」とは、ペルシャの四行詩のことで、美酒と美女を謳った詩が多いことから自家製ワインの名前にした。
 というのもこのお店は、山梨の勝沼で1890年に誕生したワイナリー・丸藤葡萄酒の直営レストランなのである。現在は四代目にあたる兄弟三人が、葡萄農園、ワイナリー、ワインバーを夫々分担して経営しているのだそうだ。

 ワインと美味しい地中海料理、そして懐かしい「街角で会った昭和」。秋の宵を楽しめます。

 ・絵画展は10月31日まで。
 ・「ルバイヤート」 17時30分~ 日・祝休み
    ℡5228-3903

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September 02, 2006

436.UDON 

Udon2_1 「観てから食べるか、食べてから観るか。」有楽町の映画館は、午前も午後も行列だった。
 本篇前のコマーシャルも、もちろん「UDON」。讃岐うどんの「はなまる」に「まるちゃん」の讃岐風うどん、フジテレビ!とローソンが共同開発した「オリジナルうどん」まで登場する。

 ウソかホントか知らないが、「笑いは消化を助ける。胃散よりははるかによく効く。」とドイツの哲学者カントが宣ったそうだ。
 そこで亀山千広(製作)×本広克行(監督)の「踊る大捜査線」チームは、「ソウル・フード」をテーマに新たなエンタテインメントを手掛けた、という。
 そして舞台は、本広監督の故郷・讃岐うどんの聖地香川県となる。なぜか最初と最後にニューヨークが登場するが。これは観客へのサービス?

Udon1_1 話しはうどん屋の息子と愛すべき仲間達、そして父親と息子の物語である。
 ネタ本は新潮文庫の「恐るべきさぬきうどん」(麺通団著)だが、監督自身香川県内のうどん屋200軒以上を取材、その中から笑いと涙のエピソードを綴ったという。

 主演のうどん屋の息子はユースケ・サンタマリア。もともとロックバンドのヴォーカリストだった彼は、10年前から始まった「踊る大捜査線」シリーズにレギュラーとして出演、その後「交渉人真下正義」で主役に抜擢される。そして昨年の日本アカデミー賞では、この作品で優秀主演男優賞をとった。
 コンビを組むのは、小西真奈美。「阿弥陀堂だより」で映画初出演、その年のキネ旬・ブルーリボン・日本アカデミーなど新人賞を総なめした。
 他、鈴木京香、トータス松本、小日向文世、升毅、片桐仁、要潤、木場勝巳。江守徹がちょい役で顔を見せるなど贅沢な作りである。あとは、香川県民総出演。

 本広克行は、今最も旬の監督である。今村昌平に映画作りを教えてもらい、テレビドラマからスタート。「踊る・・・」で一躍脚光を浴びたあとは、「ローレライ」「スイングガールズ」「海猿」など次々にヒットを飛ばした。そして第1回渡辺晋賞をもらう。エンタティメント分野で最も活躍した人に贈られる賞である。

 そういえば「食べ物」をタイトルにした映画が、次々と上映される。「西瓜」そして「ハード・キャンデイ」、ジャンルは全く違うが問題作ばかりである。

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September 01, 2006

435.焼酎バー「黒瀬」(56)

 1000を越える薩摩焼酎の銘柄、その中から「黒瀬」で楽しめる逸品シリーズ16回目は、錦江湾奥深くにある姶良地方から。

 「白金乃露」
 創業明治2年、鹿児島では古い蔵のひとつ白金酒造の代表銘柄。西郷どんも愛飲したこの焼酎は、「登録有形文化財」に指定された最古の石蔵で造られる。
 コガネセンガンを原料に白麹で丁寧に仕込まれた焼酎は、キレのよいすっきりとした味。黒瀬杜氏の熟練した技と伝統が心地よくする。
 「芳醇白金乃露」は、木桶蒸留された原酒がブレンド。しっかりした重厚な味が特徴。他に「白金乃露 黒」、文化財登録を記念して造られた「石蔵」がある。

 「白玉の雫」
 女性に人気があるのがこの銘柄。帖佐醸造がコガネセンガン、白麹で造る。タンクで1年寝かせてから壜に詰める。ソフトですっきりした味わいになる所以である。

 「龍門滝」
 加治木町の名所・龍門の滝から名付けたこの焼酎は、さつま司が造る。そして販売はアサヒビールが全国に展開する。
 昨夜初めてロックで飲んだが、白麹らしいまろやかで深い味わいを楽しめた。「龍門滝黒麹仕込み」もあるが、こちらは次回飲み比べてみよう。

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