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October 31, 2006

486.涙そうそう

Nadasousou ヒット曲「涙そうそう」をモチーフに、「血のつながらないふたりの兄妹」の恋より切ない愛の物語。

 "古いアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
  ・・・・・・・・・
  おもかげ探して よみがえる日々は 涙そうそう”

 森山良子が若くして亡くなった兄を想い書いた詞に、沖縄出身のBEGINが曲をつけた。そして夏川りみの唄ったレコードは、100万枚を超えるヒット曲となった。

 物語は、この詞の流れを追って、曲の生まれた沖縄を舞台に展開する。妻夫木聡と長沢まさみ、いま輝いている二人が兄と妹を演ずるのだから、映画もまたヒット間違いなしだった。
 さらに映画はTBSが全力をあげる。売れっ子プロデューサーの八木康夫が製作を、土井裕康が監督を務めた。数々のTBSドラマを演出してきた土井は、「いま、会いにゆきます」で映画デビュー、これが二作目である。
 湾岸シリーズ以来、次々とヒット作品を送り出すフジTVに対抗してTBSも銀幕に本格登場した。

 最近の純愛映画は、韓流も台流も香流も日流も必ずどちらかが世を去る。それが「泣かし」のテクニックなのだが、この作品はそれに沖縄の人々の死生観を加えた。「ニラカナイ」への憧れと夢である。それが、真っ赤なディゴと太陽と青い海をスクリーンに焼き付ける。
 「ちゅらさん」で全国区になった、「沖縄標準語」のイントネーションも観る人の心を癒す。
 平良とみ、「ちゅらさん」のおばばは、ここでもその存在感を見せる。

 沖縄の現実がすっ飛んでいることに、不満があるかも知れないが、これはただ「純愛物語」なのだから。

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October 30, 2006

485.東京国際映画祭・閉幕

 第19回東京国際映画祭が、昨夜閉幕した。クロージングは、「犬神家の一族」。巨匠市川監督が、再び横溝正史に挑んだ。
 探偵の金田一耕助もお馴染みの石坂浩二、この作品は日本映画界に対する市川監督の「遺言」ともいうべきか、華麗な映像美と緻密な構成で仕上がった作品だった。
 一般公開は、12月16日から。

 クロージング・セレモニーで、コンペティション部門に贈られる映画祭の最高賞「東京 サクラグランプリ」が発表された。

21 入賞したのは「OSS 177 カイロ、スパイの巣窟」、フランスで古くから作られているコメディー映画シリーズの最新作である。監督のミシェル・ハザナヴィシウス自身が当惑するほど、この受賞は意外だった。
 作品を見ていないので比較は出来ないが、本命は「リトル・ミス・サンシャイン」。こちらは、最優秀監督賞、観客賞、そしてアビゲイル・プレスリンが主演女優賞を獲った。こちらもコメディー映画だが、家族の絆をふかめるロード・ムービー。それなりに主題はあった。
 しかし、「OSS」のほうは「あまりにも漫画的、パロディーだけがウリ」と試写を見た記者が評していた。
 開幕直前になって、審査委員長がクロード・ルルーシュからジャン・ピエール・ジュネに変わったことが影響したのかもしれない。

 あと「アジアの風」部門の最優秀アジ映画賞は、香港の鬼才パトリック・タム監督の「父子」。日本映画・ある視点部門の作品賞は、ドキュメンタリー映画の「ミリキタニの猫」。主人公は日系人だが監督はアメリア人の作品が選ばれた。
 なお「黒澤賞」は、ミロス・フォアマン、市川崑の両巨匠に贈られた。

 映画祭のコンクールは、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞などと違って、一般公開前の作品が選考の対象になる。そのため審査員の嗜好や主催者側の思惑が、影響するという。また、12を数える国際映画祭のなかで、特徴を出そうとする余り、作品にバイアスがかかるともいう。

 今回選ばれた作品、特別に招待された作品は、今週以降次々と一般公開される。多くの観客と一緒に観ながら今後随時紹介していきたい。

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October 29, 2006

484.ブラック・ダリア

 胴体を真っ二つに割られたブラック・ダリア、1947年ロサンゼルスで起きた猟奇殺人事件の謎に迫ったこの作品は、四人の俳優が主人公だ。
Black5 寡黙な刑事を演ずるのは、ジョシュ・ハーネット。「シンシティー」「パール・ハーバー」でスターの座を確保した。
 彼とパートナーを組む悪徳刑事は、アーロン・エッカート。先週紹介した「サンキュウ・スモーキング」で主役を演じた彼である。前作と違ってハードな役を演ずる。
Black1Black3 二人の刑事と微妙な三角関係を持つ元ヤクザの情婦は、スカーレット・ヨハンソン。「ロスト・イン・トランスレーション」でハリウッドの若手女優No1の座に躍り出た。こちらも8月のブログ「マッチポイント」で紹介済みである。
 ハーネットと情交を結ぶ富豪の令嬢は、ヒラリー・スワンクス。「ボーイズ・ドント・クライ」でトランスセクシャルを、「ミリオンダラー・ベイビー」で女ボクサーを演じて二度のアカデミー主演女優賞を獲った彼女である。

 「ブラック・ダリア事件」は、未だ解決していない殺人事件である。この未解決事件を、作家のジョン・グレゴリー・ダンは「エンジェルズ・シティ」と題して書いた。この作品は、1981年に「告白」のタイトルで映画化された。
 マックス・アラン・コリンズも「黒衣のダリア」を書いたが、極めつけは今回の映画の原作となった、ジェイムズ・ロイの「ブラック・ダリア」である。
 ロイは、「L・A.コンフィデンシャル」や「血まみれの月」などロサンゼルスの暗黒史を描いた作家として有名だが、この迷宮入り殺人事件を題材に書いたのは、1987年である。彼自身、10歳のとき母親を惨殺されたというトラウマを持つ。この事件もまた迷宮入りのままである。

 監督はブライアン・デ・パルマ。学生のころから映画を作り始め、「黄昏のニューヨーク」(68)でベルリン銀熊賞。「愛のメモリー」「殺しのドレス」、そしてロバート・デ・ニーロ主演の「アンタッチャブル」で巨匠の座についた。「ミッション・インポッシブル」も彼の作品である。
 私と同年であるが、まだ現役として精力的に活動している。

 ショッキングな殺人事件がきっかけとなって、自分自身の過去や秘密に向き合わざるを得なくなった人間達の、業の深さが浮き彫りにされる「ブラック・ダリア」。
 数多くの映画を観て来たが、久しぶりにもう一度足を運びたい作品に出会った。

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October 27, 2006

483.ワールド・トレード・センター

 もし黙っていたら、誰もオリバー・ストーンの作品とは信じなかったであろう。
 あの「プラトーン」(86年)でアカデミー賞を獲った彼は、これまで政治的なメーッセージを強く打ち出す作品を創ってきた。「JFK」しかり、「ニクソン」「ナチュラル・ボーン・キラーズ」など。
 ベトナム戦争の従軍経験がそのバックボーンにある。

Photo_2 今回の作品は、5年前の世界貿易センター崩壊に巻き込まれた警察官と、その家族の感動的なドラマである。たった二人だけ生還した、港湾警察救助隊の実話に基づいている。

 映画化は、プロデューサーのデブラ・ヒルが二人の話を新聞記事で見つけたことが、きっかけだった。その記事をもとに二組の夫婦から聞き書きし、アンドレア・バーロフが脚本にした。本を読んだストーンは「シンプルでエモーショナルな内容」に打ちのめされて監督を引き受けた。
 ただプロデューサーのヒルは、映画の完成直前に亡くなりこれが彼女の遺作となった。

 生還した二人の主人公にニコラス・ケイジ(「アダプテーション」)とマイケル・ベーニア(「クラッシュ」)、その妻にマリア・ベロ(「ヒストリー・オブ・ビオレンス」)とマギー・ギレンホール(「モナリザ・スマイル」)という組み合わせ。
 瓦礫に埋もれたままの二人の演技、悲劇的な状況に追い込まれた妻たちの抑制をきかした演技、この二つのシーンの切り返しがサスペンス生む。
 9月11日、夜明けからあの瞬間までのニューヨークの街の表情、カットバックによる導入はうまい。

 映画のキーワードは「勇気」と「生還」。背景はすさまじいが、シンプルなストーリーをここまで盛り上げたのは、さすが巨匠オリバー・ストーンである。

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October 26, 2006

482.平成の仏を彫る

61025_00461025_00161025_007 日本橋三越本店の美術特選画廊で「向吉悠睦木彫展」が開かれている。
 木曽桧をはじめ、独特の香りを持つ白檀や楠など、厳選した素材を用いて彫りあげられた平成の仏像25点が展示されている。
 今回はとくに奈良・壺坂寺に納める巨大な観音像の製作途中の頭部が展示され、仏師悠睦のノミの技と心を見ることが出来る。

 仏師悠睦は、同郷の知人である。伝統工芸品の「川辺仏壇」で有名な、鹿児島県川辺町で生まれた。生家は、代々仏壇装飾の彫刻を家業としており、彼も高校を卒業すると同時に京都仏像彫刻研究所に入門、松久朋琳・宗琳師に学んだ。
 そして16年前、大阪に「あさば仏教美術工房」を設立して、仏師の道を歩んでいる。

61025_00361025_011 仏像には木彫りだけのものもあるが、多くは繊細で華麗な裁金が施されている。また色鮮やかに彩色されてるものも多い。
 あさば工房の場合は、夫人である中村佳睦が裁金・彩色を施す。彼女は悠睦と同門で、仏像彫刻からスタートしてその後仏画・裁金の道に進んだ。15年前には、カンヌで開かれた日本文化祭に仏画を出品、高野山根本大塔の菩薩画修復などこの分野の第一人者である。
 今回の三越でも、多くの仏画が展示されているし、仏像も糸のような金箔で縁取られ飾られている。
 だからこの展覧会は、悠睦・佳睦の二人展といってもよい。

 悠睦はまだ45歳と、この世界では若い。しかし、大徳寺総見院や高野山、根来寺愛染院などに仏像を納め、法楽寺から「大仏師号」が賜れたように、平成を代表する仏師となった。
 5年前に出版された西宮正明写真集「現代の仏像~向吉悠睦」、「Art of M.Yuboku」の中に、私は「平成の仏像」が生み出す真の尊さと清らかさを見た。

 「向吉悠睦木彫展~平成の仏を彫る」は、来週月曜日30日まで日本橋三越で。

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October 25, 2006

481.ひとまく会

 歌舞伎座の最後の一幕を、4階の立見席で観る「ひとまく会」。10月の演目は「梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)~髪結新三」、一幕ではなく三幕をたっぷり2時間1300円で楽しんだ。

 江戸情緒あふれる世話物のこの芝居は、河竹黙阿弥の代表作のひとつ。明治6(1873)年、東京中村座で初演された。
 小悪党でありながら、どこか憎めない粋で小気味よい新三が主人公。江戸下町の深川・永代橋あたりの長屋を舞台に、市井の風俗をみごとに活写する。
 同じ黙阿弥の「白波五人男」や「弁天娘女夫白浪」の弁天小僧のゆすり、あれと同じ七五調の美しいせりふが、客を酔わせる。

 甲高くて耳障りだったが、「高麗屋」「澤潟屋」「大和屋」の掛け声が飛び交う。
 主人公の新三が高麗屋の松本幸四郎、彼に誘拐された大店の娘が同じ高麗屋の市川高麗蔵、ヤクザの親分が澤潟屋の市川段四郎、老獪な家主が大和屋の坂東弥十郎だった。

 この屋号というものが、もうひとつピンとこない。歌舞伎役者の家の通称だそうだが、養子に入ったり部屋子として代を継いだり、新しく「家」を創設するなど兄弟でも屋号が違う例がある。
 この芝居では、幸四郎は白鸚の長男、高麗蔵は白鸚の部屋子、血筋は違うが兄弟扱いだから同じ屋号なのだろう。ただし、幸四郎の弟吉右衛門は、祖父の初代の養子となったので播磨屋、しかし中村又五郎も播磨屋。
 弥十郎の大和屋は、坂東三津五郎や玉三郎と同じだ。養子のつながりで弥十郎は玉三郎と従兄弟になる。新派の二代目水谷八重子もそうだ。
 歌舞伎通は、このあたりをきっちり覚えていて声を掛けるのだろうが、素人の私には、無理がある。

 「髪結新三」、幸四郎にとっては初挑戦だそうだ。もともとは先代の中村勘三郎が得意とする役で、この時は当然「中村屋」の声が飛び交っただろう。十八代目にも是非一度演じてもらいたいものだ。 

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October 24, 2006

480.焼酎バー「黒瀬」(62)

Photo 
 最近の焼酎の話題を、新聞・HPから要約で。

 「『松鳴館』が本格焼酎で一位」
 南さつま市の蔵元・萬世酒造の芋焼酎「松鳴館(しょうめいかん)」が、今年の「秋季全国酒類コンクール」の本格焼酎総合部門と芋焼酎部門で一位に輝いた。
 このコンクールは、大学の醸造研究者や酒類業界紙、酒類メーカーの研究者達が「日本の酒を世界にPRしよう」と結成した全日本国際酒類振興会が主催、日本酒・本格焼酎・泡盛・ビール4部門で専門家が審査した。
 審査員によると「『松鳴館』は、非常にいい芋を使い、芋焼酎の自然の香味を残しつつ、しっかりとしたつくりで風格も備えている」と評している。(日経、南日本)

 萬世酒造は、焼酎バー「黒瀬」のオーナーたちの故郷にある蔵元。今年の4月、吹上浜の砂丘の松林の中に新しい蔵を開業した。代表銘柄は「萬世」、新工場の限定販売品として甕壺仕込み、木樽蒸留の手作り焼酎「松鳴館」を製造した。
 また新しい蔵は醸造工場の見学も可能で、美術館も併設している。

 「サッポロビール、本格焼酎『からり芋』を発売」
 サッポロビールは、鹿児島県の小正醸造と共同で開発した「からり芋」を来月下旬に発売する。
 この焼酎は、県内の契約農家から仕入れた芋を使用。甘みがあり、からりと切れの良い後口が特徴。720mℓ瓶で1260円(税込み)。(西日本)

 「種子島で紫いもの焼酎仕込み」
 種子島特産の紫いもを使った焼酎の仕込みが先週、西之表市の蔵元「高橋酒造」で始まった。
 この焼酎は契約栽培の「種子島ゴールド」を使った「しまむらさき」。真っ白な米麹が入っていた仕込みタンクは、蒸して細かく砕かれた紫いもが入ると、赤紫色に染まった。
 この後、9日間醗酵させたあと、蒸留、熟成などを経て来年春には、市場に出回る予定。(373Com)

 「鹿児島の焼酎が一同に」
 日置市の西酒造は、鹿児島市の宝山ホールに焼酎展示コーナー「鹿児島焼酎百選」を設けた。県酒造組合連合会に加盟する蔵元の協力を得て、代表銘柄103本を展示、観光客や県民に情報を発信している。
 西酒造は、県民ホールの命名権をこの春に取得、ホール名に自社銘柄をつけた。
 鹿児島の代表的な食文化である焼酎を良く知ってもらおうと、飲み方や製造工程なども紹介、酒器や蔵元マップも展示してある。(373Com)

焼酎バー「黒瀬」 渋谷2-14-4 ℡5485-1313
 詳しくは下記のホームページを。
 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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October 23, 2006

479.庭園美術館

061022_005061022_008061022_010 白金台にある東京都庭園美術館、1933年に建てられた旧朝香宮邸である。戦後の一時期外相や首相官邸、国の迎賓館として使われた後、西武グループが買収した。
 1930年代のヨーロッパの美術装飾様式「アール・デコ」を取り入れ、内装もフランスから輸入されたものを多く使っている。 広い庭園も洋式和式をうまく組み合わせて作ってあり、それだけでも一見の価値がある。

 都の美術館として生まれ変わったのは1983年だが、40年ほど前に友人達を招いて、ここで結婚披露パーティーを開いた。一昨日がその記念の日に当たるので、久しぶりに訪ねた。

061022 美術館では「アール・デコ・ジュエリー」の展覧が催されていた。20世紀前半カルティエで活躍した「宝飾デザインの鬼才シャルル・ジャコーと輝ける時代」展である。
 宝石にはさほど関心はないが、「コルセットから開放された"新しい女性”」のおしゃれのために、ジャコーがデザインした180点余りの「宝飾画」は見事である。
 絵のように筒型のストレートのドレスを身に纏った女性達は、指輪・ブローチ・ネックレス・イヤリング・髪飾りにジャコーのデザインしたカルティエの宝飾を付けた。
 アール・デコの建物の中でのアール・デコの宝飾、おしゃれな展覧会だった。

061022_013061022_016 帰りに隣の「自然教育園」を散策する。65歳以上は入園料無料の国立科学博物館付属の森で、全域が天然記念物および史跡に指定されている。
 4~500年昔白金長者と呼ばれた豪族の館からはじまり、江戸時代は讃岐松平の下屋敷、明治時代は火薬庫、そしてその後は白金御用地となった場所である。
 長い間一般の人が入れなかったため、都内としては稀にみる豊かな自然が残っている。周囲の高速道路の音さえ気にしなければ、小鳥たちの囀る森林を体験することができる。
 武蔵野の代表的な植物を植栽してあるコーナー、水生植物園、樹木園とゆっくり歩いて一時間は楽しめる。

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October 22, 2006

478.東京国際映画祭

 昨日から「東京国際映画祭」が六本木と渋谷を会場に開催されている。
 今年の参加作品は300本、オープニングは、特別招待作品の「父親たちの星条旗」。
Seijyouki ジョー・ローゼンソールがピューリッツア賞を獲った写真「摺鉢山の頂上に星条旗を掲げる6人のアメリカ兵」を追った作品である。スピルバークが製作、クリント・イーストウッド監督のこの映画は、今週末には封切られるがこれに先立って渋谷のオーチャードホールで上映された。
 会場には出演者のジェーシ・ブラッドフォードも駆けつけ、オープニングに色を添えた。

 東京国際映画祭は、1985年東急グループの総師だった故五島昇氏が「渋谷に映像文化を」との呼びかけから始まった。私も主催団体のひとりとしてこのイベントを手伝ってきたが、現役を降りた今でもオープニングとクロージングの上映作品だけは観ることにしている。
 300本の作品の中には、すぐにでも観たいものもあるが後の楽しみがなくなるので遠慮している。

 映画祭は「コンペティション」「特別招待作品」「アジアの風」「日本映画・ある視点部門」の四つに分かれているが、いわゆる映画コンクールであるコンペが中心となる。
 この部門は、66の国と地域で製作された614本の候補作品のなかから予選を通過した15作品を上映。この中から映画祭の最高賞「東京サクラグランプリ」(賞金は10万ドル)が選ばれる。他に審査員特別賞(2万ドル)、最優秀監督・主演女優・主演男優賞の四つがある。日本からは阪本順治監督の「魂萌え!」と山下敦弘監督の「松ヶ根乱射事件」の2本が参加しているが、どうなるか。
 審査委員長は、フランスの監督ジャン=ピエール・ジュネ(「アメリ」)。女優の工藤有貴、監督の柳町光男ほか海外のプロデューサー等5人が審査に当たる。とくにどの映画祭でも、審査委員長がウリで、昨年のチャン・イーモウ(監督)はじめ、コン・リー(女優)、リュック・ベンソン(製作・監督)など著名人が務めた。
 因みに昨年は日本映画「雪に願うこと」がグランプリ、監督、主演男優賞を獲った。

 特別招待作品は、公開前の話題作を上映するもので、映画祭の評判はこれによって決まる。今年は冒頭の「星条旗」他、クロージングの「犬神家の一族」など22本が上映される。

 東京国際映画祭は、財政難や人材不足のため一時期不振を極めた。上海や釜山の国際映画祭にも追いつけなかった。それを文化庁の援助やオフィッシャル・パートナー・協賛団体を増やすことで乗り切った。
 とくに3年前、角川歴彦氏が主催団体の総合プロデュサーに就任してから、「映像コンテンツ」の国際見本市を併設したり、大物の映画人を招聘、また六本木にも会場を広げて試写会の積極的な一般開放に努めることで、名実ともにアジアを代表する映画祭となった。

 現在国際機関が認める「国際映画祭」は、世界で12ヶ所。東京もヴェネツィア、カンヌ、ベルリンの三大映画祭に次ぐところまでに成長した。
 「どの国がどれだけ、『映像文化』」の振興に金を注ぎ込んでいるか」、映画祭の人気は、そうした各国の文化政策のバロメーターでもある。

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October 20, 2006

477.サンキュー・スモーキング

Wp800_3 館内は映画の冒頭から終りまで笑いの渦、こんな経験は始めてだった。

 「<ウソを売り物にする業界>を軽妙かつシニカルに暴く傑作コメディ!」(VOGUE)
 「アメリカ政府のなりふり構わないスピン(情報操作)カルチャーを愉快かつ痛烈に皮肉っている」(NEWSWEEK)

 この二つの批評を読めば映画の中身は、想像がつくだろう。ともかくおかしいのだ。しかし痛烈な皮肉や笑いだけ出なく、作品の根底には作者の怒りがある。短編映画で数々の賞を獲ったジェイソン・ライトマン監督が、初めて撮った長編映画なのだ。

 主人公は「日に1200人を殺している」タバコ業界の顔、広報マン。「エリン・ブロコビッチ」でジュリア・ロバーツの恋人役を演じスターとなった、アーロン・エッカートが演ずる。
 バツいちの彼の息子が、先日も紹介した「記憶の棘」のキャメロン・ブライト。ニコール・キッドマン相手に亡夫の生まれ変わりを演じたあの少年である。
 「取材は飛行機の中でも、レストランでも、ヤリながらでも、私には同じこと」と、主人公の秘密をベッドの中からスクープする女性記者が、ケイト・ホームズ。今年の4月、トム・クルーズとの間に女の子を出産した彼女・・・らしい演技である。
 主人公の戦う相手はウイリアム・H・メイシー(「シービスケット」)。「1年以内に全てのタバコの外箱に“ドクロマーク”を!」と議会聴聞会で喚く上院議員。
 この顔ぶれが「笑いと皮肉と怒り」の原因を作った。

 「この映画には<本物のユーモア>がある」とL.A TIMEも書いた。

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October 19, 2006

476.WPC2006

Wpc 有明のビッグサイトで「WPC TOKYO 2006」が開かれている。このイベントは、パソコン関連製品やサービスの展示会で、日経BP社が毎年開いている。
 初日のせいか、例年の様な混雑ではなかったが、目玉であるマイクロソフト社のブースだけは人で埋まっていた。

 話題は、MS社の次世代OS「Vista」である。当初年内発売とされていたが準備が遅れ、来春となった。そして今回はじめて一般向けに公開されたのである。
 ブースには、「Vista」を搭載したパソコン250台が並んでいた。さっそく操作性を試してみたが、面白いのは「Windous Aero」である。ウインドウの枠が半透明になっていて、背後のウインドウが透けて見える。また開いているウインドウは、3D表示になる。つまり目的のウインドウが探しやすい。
 そしてウイルスやスパイウエア対応、インターネットやパソコン内部の検索機能が強化されているとのことだった。
 
 さて問題は価格である。来年春メーカー各社は、「Vista」搭載のパソコンを一斉に発売すると思うがどうなるか。「Office system」のソフトも2007版が売り出されるが、この価格も、である。

 最近新しいパソコンを購入した。敢えて来春を待たずに、OSは「XP」搭載のものにした。それは、このOSが現時点で最も完成度が高く、バグや不具合が出にくいからだ。「98版」を6年使い、MS社のサービスが切れたこともある。
 さて文書ソフトや表計算ソフトはどうしよう。Googleの無料ウエブサービスを待ってみようか。

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October 18, 2006

475.カポーティ

 「アメリカ社交界の頂点に君臨していた人気作家人気作家トルーマン・カポーティが、最高傑作『冷血』執筆中に見たものとは!」
 この伝記映画を紹介するには、この一文で十分だ。そして、映画を見終わった後、誰もがもう一度「冷血」を読みたくなる。新潮社から「新訳」が出版されているそうだ。

 オードりー・ヘップパーン主演で評判になった「ティファニーで朝食を」の原作者トルーマン・カポーティーは、数々のスキャンダラスなゴシップで彩られた「伝説の作家」として知られている。ゲイを隠さずマリリン・モンローのただ一人の友人を自称し、60年代を駆け抜けた。
 その彼が、ノンフィクション文学の新しい地平を切り開こうと、田舎町の「農家一家惨殺事件」を追った。そして殺人犯の一人を知る。6年間にわたる取材のなかで、彼は殺人犯の心の中に自分の姿を見てしまう。そして愛する。
 殺人犯が死刑にならない限り、本は完成しない。しかし愛する殺人犯の死は、自らの死でもある。
 そして「冷血」が完成した時、彼の心は崩壊した。その後は、一冊も書けず、アル中、ドラッグ中毒で59歳の人生を閉じた。

 カポーティーを演じたのはフィリップ・シーモア・ホフマン。「彼が演じなければ、この作品は存在しない」とベネット・ミラー監督は語っているが、この映画を重厚にしたのは確かに彼の演技力である。
 カポーティーの独特のジェスチャー、クセ、声を徹底的に研究、パーフェクトなカポーティー像を作り上げた。
 今年のアカデミー主演男優賞を始め、ゴールデン・グローブ、各映画批評家協会賞を総なめしたが、誰も異論はないだろう。
 「コールドマウンテン」や「M:i:lll」でトム・クルーズ相手の敵役で見せた演技は、本物なのである。

 共演者は、「アラバマ物語」を書いた女流作家で取材の助手を務める友人をキャサリン・キーナー(「マルコヴィッツの穴」)、事件を追う保安官がクリス・クーパー(「ジャーヘッド」)、殺人犯はクリフトン・コリンズJr(「トラフィック」)。
 監督のベネッット・ミラーはドキュメンタリー映画出身で、劇場映画はこの作品が初めてである。 

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October 17, 2006

474.元禄忠臣蔵(2)

 昨日の国立劇場の余韻がまださめない。そこで岩波文庫「元禄忠臣蔵」を久しぶりに手に取った。最初に読んだのは、NHKの大河ドラマ「赤穂浪士」(大仏次郎原作)が放送されていた頃だった。長谷川一夫が内蔵助、宇野重吉の雲の陣十郎が印象に残っているが、これは全くの創作だそうだ。

 真山青果は膨大な資料に基づき、歴史的な事実を大事にしながら彼の歴史観、人間観を十篇の中に書き込んだ。それは、単なる復讐劇ではなく時代と体制をきちんと批判している。
 元禄という時代状況の中で、いかにして人間としての尊厳を取り戻すか、を描く。そのことは、昭和の時代での生き方でもある。

 象徴的な一節がある。
 「我々47人がこのたび御城下を騒がしましたのは、ただ内匠頭最後の一念、さいごの欝憤を晴らさんがためにございます。三寸足らざりし小刀の切っ先を、我ら47人の力にて怨敵吉良どのの身に迫っただけにござります。あともございません。先もござりません。」

 内蔵助以下47人の義士たちは、まさに自分のために「仇討ち」をした。
 「御政道に反抗する気だ」
 最後のセリフを爆発させて、花道を去る吉右衛門に青山青果の姿がオーバーラップする。

 11月は「伏見棟木町」「御浜御殿綱豊卿」「南部坂雪の別れ」、12月が「吉良屋敷裏門」「泉岳寺」「仙石屋敷」「大石最後の一日」と続く。

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October 16, 2006

473.元禄忠臣蔵

Kokuritugekijyou 東京・国立劇場は創立40周年を記念して、今年9月から来年3月まで伝統芸能の各ジャンルにわたって、記念公演をおこなっている。
 その記念公演の目玉が、歌舞伎の「元禄忠臣蔵」全10編。今月から12月まで3ヶ月かけて完全通し上演となる。

 「元禄忠臣蔵」は、真山青果が昭和の初期に発表した史劇、昭和歌舞伎の代表作品である。
 膨大な資料を基にしたダイナミックなストリー、華麗なセリフの応酬による訓練深みのある心理描写、「刃傷」や「討ち入り」を直接舞台に登場させずに見事な復讐劇を展開した。
 最初に発表されたのは、昭和9年の「大石最後の一日」。これは最終編に位置する。初代吉右衛門が大石内蔵助を演じた。しかし「元禄忠臣蔵」は、未完の作品である。机上プランで終わったものや、執筆途中で中断した作品もあるという。

 「赤穂事件」を題材にした歌舞伎は他にもある。事件後50年、人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」が歌舞伎化されて人気をよんだ。
 こちらは幕府をはばかり、舞台を室町時代に設定した。大石内蔵助が大星由良助とされているように、名前も全て変えてある。また「お軽、勘平」など脇筋の人物にスポットを当てたものが多い。 
 両者を比べると、「元禄忠臣蔵」のほうが感動する。浄瑠璃や歌舞音曲もなくセリフが理解できるので、歌舞伎初心者でも舞台にのめりこめる。
 そのうえ今回は役者が揃っていた。

 内蔵助は二代目吉右衛門である。もう何も言うことはない。彼の口跡にただただ感動し涙した。「江戸城の刃傷」の二幕は、梅玉の内匠頭と歌昇の多門伝八郎が光る。「第二の使者」は吉右衛門の独壇場。「最後の大評定」は、井関徳兵衛を演じた富十郎が舞台を引き締めた。

 来月11月には、大石内蔵助を坂田藤十郎が演ずる。京都茶屋などが舞台、上方を代表する役者ならではの芝居になろう。
 そして討ち入りから切腹までの12月は、松本幸四郎である。
 幸四郎、吉右衛門兄弟の父初代松本白鸚は、昭和54年に「元禄忠臣蔵」を初日だけ勤めて病気のため休演した。因縁の舞台でもある。
 またこの時演出にあたった真山青果の長女美保は、今年3月に逝去した。83歳であった。

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October 15, 2006

472.夢フェスタ2006

Fesuta1 一昨日から日比谷公園で「全国合併市町村・夢フェスタ2006」が開かれている。総務省とローカル紙の連合組織が主催して、新しいまちをPRしようというイベントである。
 公園内には105の市町村がブースを設置して、まちの魅力や観光名所の紹介、地域自慢の特産品の試飲や試食、即売を行っている。
 また屋外ステージでは、地域のお祭りや伝統芸能を紹介していた。

 平成の大合併により、5年前に3329あった市町村が、1820と激減した。広島県などは、86あった地方自治体が23に、愛媛県は70が22となっている。
 大合併は、市町村の財政力や行政力に力をつけ、地方分権の受け皿を強固なものにしようと、国が強力に進めてきた。その結果、これまで平均人口4万人弱の自治体が7万人となった。
 しかし、規模の拡大によって行政サービスが低下したり、地域の住民のネットワークが崩れつつあるとの指摘もある。
そして、福島県の矢祭町のように「合併拒否宣言」をした町や、「自主自立宣言」を出した岡山県新庄村、周囲の大きな町からの誘いを断り、全国6つの町村で「日本でもっとも美しい村連合」を発足させた岐阜県白川村・北海道美瑛町など、ユニークなアンチ・大合併の動きもある。
 また、平成の大合併によって、歴史的・伝統的な地名が消えてしまうという、文化の破壊もあった。今回「夢フェスタ」に出展した町村の中にも「みどり市」とか「美里町」と地域とは縁の薄い普通名詞の名称、さらには「東北町」「甲州市」「南アルプス市」などオーバーな地名も見られる。

Fesuta2 会場で「薩摩川内市」のブースを見つけた。住んだことはないが父祖の地である。 ここでパンフレットをもらい、焼酎を試飲した。
 薩摩川内市は、9つの市町村が合併して昨年10月に発足した。甑島という離島の四つの町も加わっている。最も近い島まで高速船で50分かかる。一方旧川内市街地からは、鹿児島まで新幹線でわずか13分で行ける。
 こうした地域が、どう一体感を持って生きていくのか気がかりでもある。


 全国地名保存連盟
 http://www.geocities.jp/chimeihz/

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October 13, 2006

471.東京道産酒の会(11)

 月に一度北海道を慈しむ仲間たちが集まり、地元の酒と料理を楽しむ「道産酒の会」、今月のスピーカーは会員の菅原操さん。菅原さんは、元国鉄北海道総局長。日本の高速鉄道技術の第一人者で、現在でも海外の鉄道技術協力に携わっている。
 タイトルは「鉄道技術の海外協力」~イラン・台湾・中国高速鉄道~

 日本の海外での技術協力のなかで、鉄道技術分野の第一号が「イラン国鉄増強計画」だった。
 かなり古い話だが、当時のイラン・パーレビ国王は「1000キロの新幹線」という壮大な計画を建てて、日本に協力を求めてきた。
 第一段階は、首都テヘランから遺跡都市マシャド300㌔だった。このルートは、トルクメニスタン国境に近い土漠地帯を抜けるもので、45人のチームで調査を行いマスタープランを作り上げた。
 しかし、その後イラン革命が起こり中断されたままになっている。

 現実に進んでいるのは「台湾西部高速鉄道計画」である。
 台北と高雄を結ぶこの高速鉄道は、工事も終わり来月1日の開業を目指している。ただこれまでも、たびたびスタートが延期されており、予断は許されない。
 というのも、この計画は仏・独・日の三カ国が関係しており、日本が担当している車両設計・製造、運行システムは完成しているが、フランスが担当した運転方式による訓練が遅れているからである。
 日本が全てを引き受けていたら、早い段階で開業出来ただろう。

 中国の場合も複雑である。250㌔の新線計画は各国に割り当てられたが、なかなか計画が進まない。オリンピックを目指した北京~上海の新幹線も、天津までは繋がったものの後は未着工である。
 日本は、車両設計・製造、信号システム、運転方式全てをセットで引き受けたいと交渉しているが、難行している。
 一方、重慶の軌道交通網は日本の円借款で進められており14キロのモノレールが、既に市街地を走っている。
モノレールは、他の交通システムに比べて音が静かなため、市街地の中を走っても騒音が少ないと重慶市民たちに喜ばれている。


 (本日の献立)
 ・小鉢 馬鈴薯のトビ子和え
 ・前菜 烏賊塩辛 海老揚げ 焼鳥
 ・造り 烏賊浅月和え 菊花 土佐醤油
 ・サラダ 玉子サラダ
 ・鉢物 揚げ出し豆腐 磯部飴
 ・焼物 北海道産鮭塩焼
 ・煮物 秋刀魚紅梅煮
 ・御飯 イクラおにぎり
 ・汁物 鮭汁

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October 12, 2006

470.記憶の棘

Kiokunotoge_b_1024 「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞を受賞、今やハリウッドの頂点に立った女優ニコール・キッドマン。彼女の魅力と演技力を最大限に引き出した作品。
 夫の生まれ変わりだと主張する少年の出現、それによって夫との愛の記憶を呼び覚まされるヒロインを演ずる。

 脚本・監督は、イギリスの巨匠ジョナサン・グレイザーだが、共同脚本にフランスのジャン=クロード・カリエール(「存在の耐えられない軽さ」)とニューヨーク生まれのマイロ・アディカ(「チョコレート」)が加わったことが、作品の完成度を高めた。
 とくに、グレイザーはチベットのダライ・ラマと「輪廻」についての共著をもつ作家だけに、サスペンスを持った「愛についての物語」に、「誕生と死」「家族の物語」の要素をうまく溶け込ませた。

 キッドマンを愛する子役キャメロン・ブライトがうまい。カナダ出身の10歳の少年は、成熟した大人の男の色気を見せる。キッドマンとヌードで見せるバスタブのシーンである。
 大女優ローレン・バコールがキッドマンの母親役として貫禄ある演技を見せる。
 ヒロインの婚約者は、ダニー・ヒューストン(「ナイロビの蜂」)。巨匠ジョン・ヒューストンの息子で監督のキャリアが長いが、今や俳優として有名である。
 58年も昔、バコールは夫のハンフリー・ボガートとジョン・ヒューストン監督のもとで「キー・ラーゴ」を撮った。不思議な縁である。

 映画は、少年が夫の生まれ変わりであったかどうかは、観客の想像にゆだねる形で描かれる。
 作品の公式ブログの投票によれば、6割が「輪廻」を信じて生まれ変わりとする。

 しかしこの作品は、超自然的なもの、オカルト的なものとは無関係な物語である。

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October 11, 2006

469.レディ・イン・ザウォ-ター

Lady_wall3_800x600 「子供部屋の窓越しに映る景色に目が移る。あのプールに秘密があることを知っていた?」
 M・ナイト・シャラマン監督は、眠る前の子供たちへのおとぎ話、娘たちから物の名前やフレーズをもらって即興で作った物語を映画にした。彼自身が子供のころ、母親や祖母から聞かされた昔々のインドの水の妖精のお話でもある。

 シャラマンは、インド系アメリカ人。10歳の頃から短編映画を作り始め、5年間で45本になったという。
 この作品は、7作目。1999ネ年、ブルース・ウイルス主演で「シックス・センス」を発表、サイコスリラーの傑作としてヒット、その後メル・ギブソンの「サイン」、「ヴィレッジ」「アンブレイカブル」などでハリウッド屈指の若手映画作家の地位を築いた。
 今回も製作・脚本・監督を担当した。

 ただ今回の作品は、これまでと趣を異にしている。「世界が初めて出会う、新しいM・ナイト・シャラマン」とコピーにもあるが、こども達に聞かせたおとぎ話が壮大な大人の美しいドラマへと展開した。
 これまでの作品に比べて、わかり難い部分もあるが、シャラマンの生み出す映像美がそれを超える。

 出演は水の妖精に、「ヴィレッジ」でスクリーンデビューし「マンダレイ」で女優の座を確実にした、ブライス・ダラス・ハワード。シャラマンとはこれで二回組んだ。
 冴えないマンション管理人に、ポール・ジアマッティー。「シンデレラマン」や「サイドウエイ」などで多くの賞を獲った名優である。
 あとボブ・バラバン、ジェフリー・ライト、サリータ・チョウダリー、フレディー・ロドリゲスなどベテランが脇を固めていr。
 プロデューサーのサム・マーサは、これで5作品をシャラマンと撮った。

 この秋、眠れぬ夜に贈る映画だそうだ。

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October 10, 2006

ココログ休刊

 新しいパソコンに移設中のため、休刊します。
 近日中に再刊します。

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October 09, 2006

466,焼酎バー「黒瀬」(61)

 最近の焼酎の話題を、新聞やHPから要約で。

 「焼酎ヌーヴォー青で勝負」
Syoutyuuburogu 鹿児島県内10社の蔵元でつくる「薩摩本格芋焼酎生産者協議会」は、今年も自主基準をクリアした芋焼酎の新酒「薩摩ヌーヴォー2006」を、来月発売する。
 とくに今年は統一デザインを一新、ボトルの色を透明から青色に変えた。
 「薩摩ヌーヴォー」は、本格芋焼酎を他県の焼酎と差別化して普及を図ろうと、2年前から始めた。ワインのように解禁日を設定、さらにボジョレ・ヌーボーの1週間後の第4木曜日を発売日と決め、今年は来月23日に店頭に並べることにした。
 自主基準は、今年7月以降鹿児島県内で獲れたサツマイモを使用、100%新酒で、生産地や、芋の品種、杜氏や仕込み年月の表示など16項目からなっている。
 完全受注制で、県内の酒屋で今週末まで申し込みを受けつける。小売り価格は720mlで1100円(消費税込)。(西日本、南日本)

 「焼き芋焼酎が人気」
 最近「焼き芋焼酎」がブームとなっている。普通の焼酎は、原料の芋を蒸して仕込むが、焼き芋を使うと甘味が増し香りもよい。
 焼き芋焼酎の先鞭をつけたのは、鹿児島県いちき串木野市の田崎酒造。15~6年前焼酎の売れ行きが落ちたので「苦肉の策」で始めてみた。 
 焼き芋焼酎「鬼火」、当初は珍品扱いだったがその後評判になり、今では前年比2~30%の伸びとなっている。
 また幾つかの蔵元でも、焼き芋焼酎を新たに発売するところも出てきており、「農家の花嫁」「さつま諸白」等さらに人気を呼びそうだ。(共同ほか)

 焼酎バー「黒瀬」・渋谷2-14-4
           ℡5485-1313

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October 08, 2006

465,冨士・初冠雪

Imgp1302Imgp1309 昨日のニュースで「冨士山頂は雪」とあったが、こちらから見ると丁度山頂だけ雲に覆われ見ることは出来なかった。
 今朝は快晴、デジタルカメラで冨士山頂をズームアップしてみると、確かに「初冠雪」していた。平年より6日遅く、昨年より4日早いという。
 そんな冨士山を眺めているうちに、体を動かしたくなりウオーキングに出かけた。目指すはレインボーブリッジである。

Imgp1320_1Imgp1317 レインボーブリッジは春にも歩いたが、その時は霞みがかかり眺めはもうひとつ。しかし今日は風が強いせいで、塵がなく空気が澄んでいる。絶好のウオーキング日和である。
 今回は春とは逆に芝浦側から渡ることにした。JR田町駅(地下鉄三田駅)から出発だが、今回始めて気がついた。全然「案内表示」がないのだ。こちらは二度目だから見当はつくが、初めての人は迷ってしまうのではないか。
 とくに芝浦一帯のベイエリアは再開発途上で、運河に新しい橋が架けられたり、高層マンションの工事で道路がストップしたりと、1本道を間違えると橋の袂に着くまで遠回りしなければならない。

Imgp1326Imgp1327Imgp1328_1 レインボーブリッジとお台場側の終点にある「品川台場」については、前回詳しく述べた(ブログ343号・May 16,2006)ので省略するが、橋の遊歩道は一般道路とゆりかもめが走る下層部分、およそ1.7㌔、30分の距離である。
 澄みきった青空、台場の緑も冴えていた。

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October 06, 2006

464.フラガール

Hula3 今年の日本映画ベストスリーの1本と言って良いだろう、丁寧に仕上げた作品である。アカデミー賞外国映画部門の日本代表にも選ばれた。

 製作したのはシネ・カノン。「シュリ」や「JSA」など韓国映画を日本で配給し、「韓流ブーム」の先駆けとなった在日韓国系の配給会社である。
 代表は在日二世の李鳳宇、4~5年前から自ら製作にも乗りだし、「月はどっちに出ている」や「パッチギ」等で各賞を総なめしている。
 今回は村上竜原作の「69」で注目された李相日が監督、脚本を「ゲロッパ」「パッチギ」の羽原大介と共同で書いた。
 その他のスタッフも錚々たる顔ぶれである。撮影が「パッチギ」の山本英夫、美術を「有頂天ホテル」の種田陽平そして音楽は、スーパーウクレレスト・ハワイ出身のジェイク・シマブクロが担当している。
 上質の映画がつくられた所以である。

 物語は、「ウオターボーイ」や「スイングガール」に共通する若い人達の直向な努力と師弟愛、貫徹の感動である。
 しかしこの作品にはそれだけでない実話の重みがある。
 以前にもこのブログで紹介(84~85号・05.7.8~9)したが、日本のエネルギー革命に翻弄された炭坑労働者と家族の生き様が、常磐炭鉱(常磐ハワイアンセンター)を舞台にして描かれているのである。

 出演は、「抗夫の娘」たちにフラダンスを教える松雪泰子とプロデューサーの岸部一徳、フラガール達は蒼井優(「ハチミツとクローバー」)、山崎静代(お笑い“南海キャンディーズ”映画初出演)、池津祥子、徳永えり。炭鉱労働者に豊川悦司や富司純子、高橋克美と若手・ベテランの組み合わせ。

 ハワイアンセンターがいわきに誕生してから40年が経つ。
 映画で松雪のモデルとなったのはポリネシア民族舞踊の第一人者カレイナ早川。現在も常磐音楽舞踏学院の最高顧問を務めながら、早川舞踏塾などで高齢者にもフラダンスを教えている。
 今、日本のフラダンス愛好者は50万人、空前のブームだそうだ。

 現在のスパリゾートハワイアンズのドームで、800人のエキストラを入れて撮影した常磐オープン初日のシーンは「感動した!」の一言に尽きる。

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October 05, 2006

463.続・老老介護

 老老介護が終った。
 2週間ほど病院に入院したが、人工的な延命治療は辞退して自宅に戻る。チューブに繋がれるより自然のままでありたい、と本人が希望した。
 再び保健制度の応援を得ながら介護が始まったが、四日目に静かに息を引き取った。家族に囲まれての大往生だった。

 先週、仲間達との勉強会でも「老老介護」が話題となった。
 友人のケースは、体はいたって丈夫だが痴呆が進み、目が離せない。別居していた頃は、部屋にカメラを設置、電話線を使ってリモート介護をしていた。昨年暮れから同居したが、外出好きな母親に世話をする奥さんが参っている、とのことだった。
 そこで母親のベッドにセンサーを取り付け、ベッドから離れると隣の自分の寝室に音楽が流れる仕掛けを作ったそうだ。右の手すりを越えると「君が代」が、左は「さくらさくら」が流れる。深夜朦朧としながらも、どちらに向かったかを判断して連れ戻す毎日という。

 彼は先々月、招かれてブラジルに出かけた。移民関連の記念行事で、制作したドキュメンタリーを日系1世、2世に見せて講演した。
 ある日、政府高官との昼食会でスピーチを頼まれ「老老介護の七転八倒」を話した。かの国は、まだ日本ほど高齢化は進んでいないが関心は高く、出席者は爆笑しつつ興味深く聞いてもらった。
 隣席の産業大臣曰く「大変役に立つ話だった。ただひとつ、判らないのは貴兄ほどの方が、なぜ直接介護をなさるのだろうか」
 かの国では、それは雇ったメイドか看護婦の仕事なのだ。

 世界中のどの国も経験したことのない超高齢化社会へと、日本が先頭になって走っている。医療制度・システム・財政的裏付け、そして高齢を生きる人々の心の問題、世界が日本をモデルにしようと、じっと見ている。 

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October 04, 2006

462.ららぽーと豊洲

Imgp1285Imgp1299 運河を渡ったお隣の街・豊洲。明日ここに大規模商業施設「アーバンドック ららぽーと豊洲」がオープンする。
 今日は「ご近所さまご招待・プレオープン」というので、自転車に乗って出かけた。

 もともとここは、石川島播磨の造船所の跡。昭和になって佃島の隣からここに移転、そして10数年前には横浜に再移転、その広い跡地を三井不動産が再開発した。
 高層ビルを中心とした住宅群、大学などの教育施設、さらにオフイスビルを整え、今回核となる公園と大規模商業施設を整えた。

Imgp1293Imgp1289Imgp1295 五層三つの分かれる建物の間には、往時を偲ばせるモニュメントが残されている。船舶・航空・重機など日本の近代産業を築いた重工業施設が、文化と消費の殿堂に変わったのだ。
 それは、昭和から平成に至る「日本」の変わり様を象徴している。

Imgp1301Imgp1286 建物の面積は6万2000㎡、中には183の店舗と文化施設がある。ファッション・服飾雑貨・生活趣味雑貨、それにグルメ・フード、とくにキッズ関係の店が充実しているのが目立つ。
 都心に近い豊洲に住みはじめた層が、30代中心のサラリーマン家庭ということかららしい。
 「東急ハンズ」「紀伊国屋書店」「HMV」「無印良品」「ユニクロ」などの出店も、それを狙っている。

 文化施設としては、美術館「UKIYO-e TOKYO」、ユナイテッド・シネマ豊洲の12スクリーン、ドゥ・スポーツプラザ、インターネット放送スタジオ「Tokyo jaja」が置かれた。

 ここ5年、急速に人口が増えてきた東京湾奥のベイ・エリア地区。イオン、イトーヨーカ堂等の総合スーパー、そして住友系の大商業施設トリトン、明日オープンする新しい施設が既存の人の流れをどう変えていくのか、銀座の後背地も競争は激しくなる。

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October 03, 2006

ブログ

 cocologメンテナンスのため、本日は休刊。

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October 02, 2006

461.イルマーレ

 「イルマーレ」とはイタリア語で「海」を意味する。
 予告編を見ながら何かが引っかかる。そう、韓国映画「時越愛」が確か「イルマーレ」のタイトルで上映された。2001年頃だったと記憶している。
 海辺に立つ1軒家「イルマーレ」、2000年に生きる女と1998年に生きる男が、手紙のやりとりをして愛し合う話だった。
 出演がチョン・ジヒョンとイ・ジョンジェ、監督がイ・ヒョンスン、パステルトーンの絵画のような美しい映像だった。

Ilmare1 こちらはハリウッド版、原題は「The LAKE HOUSE」、海辺の家でなく湖畔に立つ家が舞台だった。
 映画のプロデューサーはロイ・リー、韓国系アメリカ人である。5年前から日本・香港・韓国・インドネシア映画のリメイク権を買い集め、ハリウッドでは「リメイクマン」(雑誌「ニューヨーカー」)と称されている。
 共同プロデューサーのダグ・デイビソンと組んで、日本ホーラ映画のリメイク、「リング」「ダーク・ウオーター」「呪怨」で大ヒットを飛ばした。
 今度は4年前50万㌦で買った韓国映画である。

 「イルマーレ」は多分日本の配給会社が付けたタイトルだろう。劇中にイルマーレという名のイタリア・レストランが登場するだけである。韓国映画を見てはいない観客だろうか、しきりに首傾げていたが。ただ、「イルマーレ」の語感はたしかにロマンチックだ。

 ロイ・リーはアメリカ人以外の監督をよく使う。先述のホーラ映画は日本人監督だった。そして今回は、アルゼンチンの著名な監督アレハンドロ・アグレスティを起用した。
 そして役者は、サンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスと今をときめくスター俳優を持ってきた。
 サンドラは、「評決の時」そしてオスカー受賞作品「クラッシュ」にも出演した女優、映画・テレビのプロデューサー、監督としても活躍している。
 リーブスはレバノン出身の俳優、「マトリックス」3部作でアクション・スターの地位を築いたが、コメディー・SFなど幅広い演技力で知られている。
 この二人が「未知の世界の壮大な愛の物語」(サンドラ・ブロック)を綴るのである。

 「会えない人を愛したことはありますか?」と宣伝するが、映画では、二人は直接会って愛を交歓する。ちょと、無理な設定もある。ラストもまたハッピーなのだ。
 初々しい俳優が演じた韓国版は、確か会うことの出来ない不条理が胸を締め付け余韻を残した。その意味では、韓国に軍配をあげたい。

 韓国版「イルマーレ」はDVDで発売されている。見比べてみると、米・韓の恋愛観の違いが判るかも知れない。

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October 01, 2006

460.焼酎バー「黒瀬」(60)

 最近の焼酎の話題を、新聞・HPから要約で。

 「『焼酎出荷量』鹿児島県が全国一」
 熊本国税局によると、2005酒造年度の本格焼酎の出荷量が、2年連続で鹿児島県が全国1位であると発表した。
 それによると、鹿児島の出荷量は前年比8.9%増の14万9000klと過去最高を更新したが、3年前まで1位だった大分は2.6%減の12万2000kl、宮崎は0.1%増の9万kl、福岡は3.1%減の4万2000klとなっている。
 国税局によると、「酒税収納額は、14年ぶりに減少した。これは、麦やそばの焼酎が伸び悩んでいるのが原因で、芋だけは相変わらず好調だ」ということだ。(西日本、南日本)

 「アサヒ、黄麹仕込みの焼酎発売」
 アサヒビール㈱は、本格焼酎「さつま司・黄麹仕込み」を、今週全国で発売する。
 「黄麹仕込み」は、「可変蒸留法」によって仕上げたプレミアム芋焼酎で、華やかな香りと原料のさつまいもの甘味が際立つまろやかな味わいが特徴、すでに発売している「さつま司・黒麹仕込み」とは違ったワンランク上の焼酎として位置つけている。
 黄麹は、古来より清酒づくりに使用されてきた麹で、淡麗な味わいを醸し出すのが特徴とされている。しかし白や黒麹に比べてクエン酸を生成する力が弱く、温暖な南九州では「もろみ」の段階で傷みやすく、取り扱いが難しいとされている。
 製造元のさつま司酒造では、デリケートな黄麹をあえて使い、蒸留の最中に釜内の圧力を変化させる方法で、丁寧に香りやコクを引き出した。
 アサヒビールでは、今年から本格焼酎市場に力を入れ始めているが、「黄麹仕込み」をメインに本年度は25万ケースの販売を目標にしている。(NIKKEI NET)

 「黒瀬」のホームページ
 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

 渋谷区渋谷2-14-4
    ℡ 5485-1313

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