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January 31, 2007

555.愛の流刑地

6006_320_1  冒頭から豊川悦司と寺島しのぶの濃厚な愛の交歓。絡み合う全裸の二人に、館内は固唾をのむ。裸体にオーバーラップする東京湾の夕景、「新人監督」鶴橋康夫が、テレビでは決して描けなかった性の歓喜を、見事に表現した。

 クライマックス、豊川の手が寺島の首に食い込む。「殺して」とむせび泣く寺島、そこにタイトルがかぶさる。映画の主題は、このシーンが全てを語った。

 原作は、渡辺淳一の同名小説。04年11月から06年1月まで、日経新聞に連載され「愛ルケ」現象を起こした。出社した社長が、上気した秘書から渡された日経でまず目を通したのが最後のページだった、と財界人の間でも話題となった。

 渡辺は、自らの愛欲の体験をベースに「男と女」の超えられない性(さが)、深遠な愛を書く。男はどこまで女を愛たか、女はどこまで男を愛たか、その「究極の純愛」を果たして法は裁けるのか。この作品は、渡辺が現実としては体験できない世界を描いたといえよう。

 豊川はもとより、寺島の演技が素晴らしい。淑やかな人妻が、目覚めた愛にのめり込んでいく。若い女優では決して演じられない役だ。例えば松雪泰子、鈴木京香、高島礼子も思い浮かべるが、「淑やかさとその裏に秘めた強さ、そしてエロス」を同時に表現できる役者は彼女だけといってもよい。

 寺島はこの作品で、母親冨司純子を超えた。しかし、この体当たりの演技に、父親尾上菊五郎は複雑な想いを抱いたに違いない。それが、役者の世界であっても。

 鶴橋監督は、テレビドラマの世界では巨匠。これが「日本映画界待望の映画監督第一作」である。出演は、他に長谷川京子、仲村トオル、佐藤浩市、陣内孝則、浅田美代子、津川雅彦。冨司純子が寺島の母親役で出演。

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January 30, 2007

554.Windous Vista

Listp001  今朝の午前0時、「Vista」が一斉に売り出された。有楽町のビッグカメラでは、マイクロソフト社の社長やパソコンメーカーの代表者等が参加して、カウントダウンイベントが行われた。

 昨年のパソコンの出荷台数は、前年比3%減の1233万台と、4年ぶりに前年割れした。これはビスタの発売が今年にずれ込み、買い控えで年末商戦が不振に終わったからだという。しかし、今日の動きを見ると業界の期待にくらべ市場は冷静だ、とニュースは伝えている。

 所要があって、昨日有楽町のビッグカメラに出かけた。カウントダウンイベントのチラシをもらって、5階のパソコン売り場を覗いてみた。当然ながら客は疎ら、ビスタ体験のイベントを行っていたが、注目する人は少なかった。

 昨年末、新しいパソコンを購入した。これまで使っていた機種のOSが「Windows98」、サポート体制が打ち切られたので仕方なく買い換えた。「WindowsXP」搭載機種が、最安値になるのを待っていたのである。当分はMS社の「Officeソフト」も買わずに、フリーソフトで間に合わせることにした。

 80年代のデータ処理中心のパソコンが、95、98とインターネットのパソコンになった。そして今回は、デジタルコンテンツのためのパソコンに進化したという。昨年秋の「WPC TOKYO 2006」で「Vista」の機能や操作性については、直接さわって経験した(ブログ476号)。画像保存など、確かに便利にはなったが、多くの人たちが使用する中で、どんな不具合が起こるかも知れない。そこでこちらとしては、当面「XP」でパソコンライフを楽しむことにする。幸いサポート期間も5年延長されて、2014年となった。そのころ「Vista」に乗り換える?

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January 29, 2007

553.鹿児島の夕べ(2)

0001_320 ホテルでの大パーティーの飲み物は、ウイスキーの水割りかワイン、というのが通り相場。しかし、鹿児島県主催だけに、飲み物は「本格焼酎」オンリー、若干の地ビールはあったが、乾杯も焼酎である。

 会場の真ん中には「ザ・天文館&焼酎カウンター」がドンと置かれている。鹿児島を旅した人ならご存知、天文館は市内一の歓楽街、この地にある有名クラブやバーからも美女達が会場に駆けつけてきた。官民あげての焼酎売り込みなのである。

 カウンターに並べられた焼酎の銘柄を数えてみると、何と124種類、「黒瀬」よりも多かった。そこで店に置いてない焼酎を中心に味わってみた。「天無双」「伊勢吉どん」「だんだん」「紅芋薩摩邑」「竜宮」「浜千鳥」等々である。ゆっくり比較している暇はなかったが、それなりに美味だった。

 会場でもらったパンフレットによれば、県の酒造組合連合会に加盟している蔵元は、117社だそうだ。それぞれが工夫をこらし、原料を選別し、競い合って、「本格焼酎」の品質向上に努めている。頼もしい限りだ。

 パンフレットの中に「本格焼酎に含まれているある成分が、血栓を溶かす酵素の働きを高る。そのため好きな焼酎を、適量ずつ飲み続けることは、血栓溶解機能を活発にする。」と書いてあった。これは決して関西テレビの「あるある」ではなく、研究者実名入りの実験結果である。

 パーティーで会った友人たちと、二次会は「黒瀬」へ。ここでも焼酎談義に花が咲いた。

  焼酎バー「黒瀬」 渋谷2-14-4 ℡5485-1313

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January 28, 2007

552.鹿児島の夕べ

 在京鹿児島出身者や観光・流通関係者を、知事が招待する「夕べ」が毎年開かれる。今年も芝のホテルにおよそ1000人を集め、特産品や県政・観光情報の紹介が行われた。

 来場者にとっては、鹿児島の食材をふんだんに使った料理が第一目的のようだが、故郷の新しい情報がここで得られるのも楽しみだ。

 今年、知事が冒頭に紹介したのは、鹿児島を舞台に展開される2本の映画と大河ドラマへの期待だった。これ生かして鹿児島の観光キャンペーンを図ろうというわけだ。

 映画の方は「北辰斜めにさすところ」と「俺は、君のためにこそ死ににいく」。前者は、七高(現鹿児島大学)と五高(現熊本大学)の野球対抗戦を軸に、激動の昭和の時代に青春を生きた男たちの想いが綴られる。監督は神山征二郎、主な出演者に三国連太郎、緒方直人、林隆三、佐々木愛、永島敏行等、鹿児島出身者から坂上二郎、三遊亭歌之介という顔ぶれである。「北辰斜めに・・・」は、七高の寮歌で私たちもよく歌ったものだ。後者は、知覧を舞台に、「特攻隊の母」として慕われた鳥濱トメさんが主人公。石原慎太郎の脚本を沖縄出身の新城卓が監督する。主人公トメを岸恵子、特攻隊の若者たちを徳重総、窪塚洋介、筒井道隆らが演ずる。いずれもこの初夏に公開される予定だ。

Atuhime 大河ドラマは、来年放送される「篤姫」。24年前日経に連載された宮尾登美子の「天璋院篤姫」が原作である。篤姫は、鹿児島出身者でも未知の人が多いので、少し紹介するが、幕末の徳川家を守りぬいた薩摩の女性である。

 1835(天保6)年薩摩藩今和泉島津家に生まれた篤姫は、その後島津本家の斉彬の養女、さらには近衛家の養女となって第13代将軍家定に嫁ぐ。家定亡き後は、14代将軍家茂の御台所和宮を助け大奥を束ねた。江戸城明け渡しのあとも、薩摩には帰らず、徳川家の人間として、16代当主家達の養育に力をつくした女性である。

 近々、主役の宮崎あおいも来鹿して、ドラマのロケが行われるということで、鹿児島市内はもとより出身地である指宿市今和泉では、観光大キャンペーンを企画している。

 今年は「いっきに南へ!ぐるっと鹿児島」だそうだ。 

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January 26, 2007

551.映画コンクール(邦画)

Hula3_1  日本アカデミー協会が選んだ、第30回優秀作品賞は「フラガール」「武士の一分」「明日の記憶」「男たちの大和」「THE有頂天ホテル」の5本、この中から来月最優秀賞が選ばれる。この5本がアメリカ流でいえばノミネート作品というわけだ。

 さてキネマ旬報のベスト・テンはどうなっているか、ブルーリボン、毎日映画コンクールの結果も加えて並べる。(括弧は当ブログの掲載号)

  1. 「フラガール」(465号)、毎日・優秀賞
  2. 「ゆれる」、ブルーリボン・大賞、毎日・大賞
  3. 「雪に願うこと」、2005年東京国際映画祭グランプリ
  4. 「紙屋悦子の青春」
  5. 「武士の一分」(526号)
  6. 「嫌われ松子の一生」(405号)
  7. 「博士の愛した数式」(265号)
  8. 「明日の記憶」(349号)
  9. 「かもめ食堂」(303号)
  10. 「カミュなんて知らない」

 映画担当記者や映画評論家が選ぶ新聞や雑誌のコンクール、業界関係者が選ぶ日本アカデミー賞と若干のズレはあるが、いずれも納得できる結果といえよう。

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January 25, 2007

550.映画コンクール(洋画)

Nom_annc ここ一両日、海外や国内の映画賞候補やベストテンが発表された。ほとんどの作品は、これまでのブログで紹介してきたが、一度整理しておこう。

 第79回アカデミー賞のノミネート作品は、「バベル」「ディパーテッド」「硫黄島からの手紙」「リトル・ミス・サンシャイン」「クイーン」の5本だが、「硫黄島からの手紙」以外はまだ観ていない。いくつかは、予告編でみたので近々出かけよう。

 国内でのベストテンについては、第80回キネマ旬報ベスト・テンを中心に、雑誌や新聞社のコンクール、日本アカデミー賞外国作品賞で整理してみたい。(括弧は、ブログ掲載号、Rは雑誌「ロードショー」、Sは「スクリーン」)

  1. 「父親たちの星条旗」(495号) R-3位、S-3位、毎日映画ベストワン、日本アカデミー賞優秀賞
  2. 「硫黄島からの手紙」(525号) R-5位、S-8位
  3. 「グエムル~漢江の怪物」(441号) R-6位、
  4. 「ブロークバック・マウンテン」(316号) R-1位、S-1位
  5. 「麦の穂をゆらす風」(541号) R-10位、S-7位
  6. 「太陽」(417号) 
  7. 「カポーティー」(475号) R-4位、S-2位
  8. 「グッドナイト&グッドラック」(360号) S-4位
  9. 「クラッシュ」(271号) R-2位、S-5位、日本アカデミー賞優秀賞
  10. 「マッチポイント」(429号) R-9位
  11. (次点)「ユナイテッド93」 R-8位、S-6位

 なお、「ロードショー」では「ナイロビの蜂」(355号)を7位に、「スクリーン」は「プロデューサーズ」(334号)9位、「ナイロビの蜂」を10位としている。

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January 24, 2007

ココログ障害

 先週行われた「ココログバージョンアップ」のための「メンテナンス」以降、いくつかの障害が起こっている。 「コメントスパム」による負荷などが原因のようだ。

 「かせだプロジェクト」の方も、19日以降(545号~)掲載した画像のサムネイル(縮小画像)をクリックすると、容量オーバーの巨大画像となってしまう。いろいろ設定の変更など試みているが、解決しない。パソコン初心者ゆえ、原因がよく判らない。元の画像の記録サイズが大きすぎることは理解したが、これまでは問題なかった。知人からサジェッションを受けているが、次号からは、画像の表示をサムネイルなしでページ内表示してみる。

 バージョンアップはされたが、これを使いこなすのが大変だ。ゆっくりトライを重ねながら楽しむことにする。 

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January 23, 2007

549.焼酎バー「黒瀬」(69)

 最近の焼酎の話題を、新聞やHPから要約で。

 本格焼酎 247点を審査
 先週末、鹿児島で本格焼酎鑑評会が開かれた。これは、昨年7月以降製造された本格焼酎を審査するもので、県内酒造メーカー各社から芋172点、黒糖43点、米8点、麦24点が参加した。
 審査にあたった熊本国税局鑑定官は「今年は全体的にレベルが高い。原料も厳選されており品質が揃っている。伝統の味を守りながらも、今までにない香りの焼酎もあった。神経を使った各メーカーの研究成果を感じる」と評している。
 審査の結果は、2月10日に発表される。(南日本)

 薩摩焼酎PR委員会動きはじめる
 同じ先週末、「薩摩焼酎」地理的表示PR検討委員会が開かれ、具体的なPRを詰めるための作業部会が設置された。
 「薩摩焼酎」は、2005年12月の国税庁告示で、鹿児島県産サツマイモを使って製造から容器詰の全工程を県内(奄美を除く)でした焼酎だけが、名乗れる。
 作業部会では①球磨焼酎やスコッチウイスキー、ボルドーワインなど地理的表示の成功例・失敗例の調査 ②薩摩焼酎の定義や品質保証を宣言する憲章やロゴマーク ③歴史や文化、特性を踏まえたPRの内容の検討 ④メディア選択などPR手段の検討をこの一年行うことを決めた。(373com)

 アサヒ、本格焼酎「刻の一滴」販売開始
 アサヒビールでは、プレミアム焼酎「刻(とき)の一滴(いってき)」2種類を、来月から全国一斉に販売する。一種類は芋焼酎を「フランスシャルドネワイン樽」で貯蔵したもの、もうひとつは麦焼酎を「フランスピノ・ノワールワイン樽」で貯蔵したもので、焼酎とワインの和・洋の文化の融合を目指している。
 価格は、芋焼酎が720ml/33°で2800円、麦焼酎は720ml/25°で2500円。(アサヒHP)

焼酎バー「黒瀬」

 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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January 22, 2007

548.大奥

Gallery_01 絢爛豪華、一億円以上をかけた打掛など数百点の衣裳が見もの。中年の女性が多い館内からは、たびたびため息が洩れる。
 フジテレビが東映の協力を得て製作した大型時代劇である。テレビ会社が、東宝や松竹など大手映画会社と肩を並べるようになった、象徴的な作品でもある。

 監督は「新人」林徹。といっても、テレビドラマ「大奥」全シリーズを演出した、フジテレビのベテランディレクターである。総指揮もこれまで数々のヒット作品を手がけた、フジテレビ映画事業局長の亀山千広。「フジは監督を抱えた制作集団を目指している。経験豊富な者が身近にいるなら、彼等を使うのは当然。気心が知れているし」と話す。

Gallery_12 脚本も、NHKの「純情きらり」を書いた浅野妙子とテレビ出身だが、メインの出演者も最近テレビで活躍した面々が並ぶ。
 大奥総取締役が「功名が辻」の仲間由紀恵、愛をかわす歌舞伎役者は「純情きらり」の西島秀俊、将軍生母も同じく井川遥、側御用人が「利家とまつ」の及川光博、それに浅野ゆう子、高島礼子等々。
Gallery_16 そしてこれはオチだが、大奥鈴の廊下に控える御女中衆の役は、フジテレビ系列28局を代表する女子アナが勢ぞろいというわけだ。

 話は、大奥史上最大のスキャンダルとされる「絵島生島事件」がベース。7代将軍家継の時代、幼君の生母派と前将軍正室派のドロドロしたバトルの中で、禁断の悲恋の物語が展開する。
 これまでも絵島・生島を描いた映画はあったが、大方が絵島の「役者狂い」という大奥の秘事を覗き見するスタイル、今回は真正面からラブストーリーとして描いた。

 一昨年信州高遠に桜を見に行き、城址公園の片隅にある絵島の陋屋も訪ねた。死罪を免れて、この地で生涯を終えた絵島の姿が仲間由紀恵の顔にダブる。
 もうひとり、役者狂いを見せる正室、高島礼子の妖艶な姿態も。 

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January 21, 2007

547.硫黄島

 鹿児島からの帰途、空港で友人と待ち合わせ食事を摂った。時々地元紙などに映画評を書く彼だけに、話題は「アカデミー賞」や「ゴールデン・グローブ賞」の予想。二人が一致したのはやはり「硫黄島からの手紙」の出来栄えだった。予想通り外国語映画賞に輝いたが。

 映画の舞台は、東京都小笠原村「硫黄島」だが、鹿児島県にも三島村「硫黄島」がある。そのためか勘違いした人からの問い合わせが、三島村役場に集まっているという。

061227_004 問い合わせのほとんどが、「硫黄島への行き方」。これは今度の旅で撮影した鹿児島港を出航する「村営定期船みしま」の写真。硫黄島に行くにはこの船に乗船するしかない。
 もうひとつ、こちらの硫黄島は別名「喜界が島」。歌舞伎や浄瑠璃で名高い俊寛僧正が流された地でもある。そこで役場では、丁寧に違いを説明した上で、ぜひ鹿児島の「硫黄島」にもお出でくださいと、答えているそうだ。
 ちなみに東京都の硫黄島には、現在自衛隊が駐留しているだけで、定期便はない。

 映画「硫黄島の手紙」については、525号で書いたので省略するが、激戦地硫黄島と鹿児島は縁が深い。
 1945年2月にアメリカ軍の上陸が始まり、約一ヶ月の戦闘で日本人2万人が戦死した。ところがその一割以上、2200人は鹿児島県出身の兵士なのである。硫黄島守備の中核となった陸軍145連隊の多くが、鹿児島出身の兵士で編成されていたからである。
 映画にも登場したバロン西こと西竹一戦車連隊長もそのひとりで、鹿児島市出身の彼は、1932年のロサンゼルスオリンピックの馬術大障害で金メタルを獲った。

 硫黄島で戦死した兵士の多くの遺体は、まだ発見されていない。地下壕や洞窟の入り口は、強力な火炎放射器で焼かれ、さらには爆破されて埋まってしまったからだ。鹿児島の知人の叔父も、そのひとりだった。

 映画は鹿児島でも大ヒットしている。

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January 20, 2007

546.石踊達哉展

070119_005 親戚に不幸があり、先月に続いてまた帰省した。葬儀のあと帰京の便までに時間があったので、鹿児島市立美術館を訪ねた。「平成の琳派」と呼ばれ、日本画壇で脚光をあびている石踊達哉さんの特別展「色彩の雲水よ 永遠に 鹿児島が生んだ日本画家」が開催されていた。 

070119_013 これは代表作のひとつ「卯波」。彼には「青海波」(せいがいは)など、海をモチーフにした作品が多い。小学時代を過ごした枕崎の、空と海のイメージが強烈だったからだという。
 独自の自然観と宇宙観、きらびやかな日本画とモダンアートが融合した彼の作品は、見る人々の心に平安と希望を植えつける。

 石踊さんは隣の高校出身で5年後輩。旧満州引揚と境遇が同じだったこともあって、親近感を持っている。だから都内で開催される展覧会は、欠かさず見てきた。
 東京芸大大学院終了したのちの1988年、彼はパリのリュクサンブール公園の前に、アトリエを持った。そしてここから次々と大作を生み出す。
 パリに住むことで、日本の伝統美の良さに気づいたという。そして彼は、人物画から花鳥風月の世界へと転換していった。

070119070119_012 もうひとつ、彼が大きく転換するきっかけとなったのは、瀬戸内寂聴現代語訳「源氏物語」全10巻の装丁画54帖を描いたことだ。装丁画といっても、一枚一枚が屏風にもなる大作である。

 源氏物語をモチーフにした絵は、古くから土佐派の画家たちが描いてきた。石山寺にある国宝級の絵については、前々号にも書いたが、それを乗り越え石踊の「源氏」を描かねばならないという重圧があったに違いない。
 しかし彼は、2年かけてそれを描ききった。「寂聴さんは自由にに描かせてくれて、ありがたかった」と話す。そして本は250万部という大ベストセラーとなった。

 日本画家として40年、4年ぶりの故郷での個展である。「ヨーロッパ的なものも取り入れながら、世界に通用する独自のスタイルの現代日本画を目指していきたい。」と石踊達哉は語る。
 我が郷里の芸術家にエールを送る。

070119_006070119_010 観光案内ではないが、PRを。
 鹿児島市立美術館は、鶴丸城二の丸の跡地にある。
 常設展示は黒田清輝、藤島武二、和田英作などの油絵、木村深元、狩野芳崖などの日本画、新納忠之介、安藤照などの彫刻と鹿児島出身の芸術家の作品が並んでいる。
 そして、美術館の隣には安藤照の西郷隆盛像がある。同じ作者が彫った上野公園の西郷像と違って、こちらは軍服姿なのだ。今年がちょうど没後130年になる。

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January 19, 2007

545.国立寄席

070117_019 久し振りに「寄席」に出かけた。それも国立の「演芸場」である。
 寄席といえば、江戸の頃から盛り場にあったもので、平成の今日でも「新宿末広亭」「池袋演芸場」「鈴本演芸場」(上野)「浅草演芸ホール」と、下町の庶民の集まる街にある。
 その寄席が、大名屋敷跡の千代田区隼町にあるのだから面白い。

 ここは40年前、国立劇場を開場したとき、大衆芸能の振興と発展のためと、落語や講談・浪曲、漫才に漫談・コント、奇術・俗曲などを公開する小劇場を併設した。これが「国立演芸場」で、毎月二つの定席公演と名人会や花形演芸会等を開いている。
 入場料の方は、歌舞伎や文楽に比べて安く一般が2000円。65歳以上のシルバー料金は、映画並みの1100円、これで3時間は楽しめる。ただし名人会や独演会は3500円、シルバーは無い。

 今回楽しんだのは、正月「中席」の番組。落語は三遊亭遊喜、桂平治、雷門助六、柳亭楽輔、三遊亭遊三と若手からベテランまで、その間を奇術の大泉ポロン、コントのチャーリーカンパニー、歌謡漫談の東京ボーイズ、音曲の松之家扇鶴がつなぐ。
 なかでも面白かったのは、チャーリーカンパニーのコント。政治家や高級官僚をコテンコテンにやっつける。だからテレビ出演はご法度らしいが、「国立」でやるだけに満場大笑い。ほとんどシニアの客、このところ税金をがっぽり取られっぱなしだから、彼等のコントは拍手喝采である。
 助六が落語の後演じた「踊り」も見ものだった。あやつり人形に扮して「かっぽれ」を踊る。見事なお座敷芸だった。

 さてこの後は、ブログでもたびたび紹介している、我らが林家彦いち師匠の「独演会」。来月5日(月)18:30開演、お代は全席指定で3500円。「トークに落語に、体感重視、熱血漢ヒコイチの気持ちがぶつかるまっすぐワールド。」である。

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January 17, 2007

ココログ休刊

 ブログのバージョンアップのため15日からメンテナンス中です。
 ブログを読むことは出来ますが、新しい記事の掲載、コメント、トラックバックは、もう暫くお待ちください。
 ココログを主宰しているNIFTYは、昨年も12月にもバージョンアップを試みましたが、うまくいかず再度の挑戦です。
 「かせだプロジェクト」の再刊は、週末を予定しております。

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January 14, 2007

544.デパートの美術展

0714 新年に入って2ヵ所、デパートで開催されている美術展に出かけた。ひとつは銀座・松坂屋の「石山寺と紫式部展」、もうひとつが日本橋・三越の「川崎小虎と東山魁夷展」。

 石山寺は、琵琶湖湖畔というか瀬田川沿いに建つ名刹。大阪勤務時代に数回訪ねたし、琵琶湖マラソンのコース沿いなので、テレビ中継の際にもよく紹介される。
 ここからの眺めは素晴らしい。近江八景のひとつ「石山の秋月」さらに「瀬田の夕照」の地、「唐橋」も眼下に望める。
 紫式部が時の中宮に頼まれ「源氏物語」を起草したのも、琵琶湖に映える美しい月から構想を得たとの伝承が残っている。
 会場に展示されていたのは、この石山寺が所蔵する紫式部関連の絵画など文化財70点、なかでも土佐派の絵師たちが描いた大和絵「石山寺観月図」が多かった。
 「源氏物語」に描かれる王朝文化の香りは、いつの時代でも作家や画家、歌人達の心を引き寄せるようだ。

 三越の美術展は、大正から昭和にかけて日本画壇を支えてきた二人の日本画家の軌跡を辿るもの。この展覧会で川崎小虎と東山魁夷が義理の親子であったことを、初めて知った。そして小虎の子息たちが、また素晴らしい現役の画家であることも知った。
 小虎の「春の訪れ」「「小梨の花」「うどんげの花を植える女」など、大和絵に洋画の手法を取り入れた幻想的な絵が素晴らしい。
 魁夷は、唐招提寺の御影堂障壁画で初めて出会った。以後幾つかの展覧会で、その「青」を基調とした作品を鑑賞した。今回は、ヨーロッパの風景を描いたいくつかの絵にも出会った。これまでと違う静謐な透明感あふるる風景画である。

 デパートで開催される催事は、期間が短いのでよく見逃してしまう。松坂屋は8日、三越は14日といずれも最終日に駆け込んだ。

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January 12, 2007

543.鉄コン筋クリート

324734view001 原作に惚れ込んだ様々な分野のプロたちが、「仕事」ではなく「情熱」だけで創り上げた作品といえよう。
 そうしたプロたちを見事に結びつけながら、長い時間をかけて作品の完成度を上げていったプロデューサーが偉い。その人が、「STUDIO4℃」の田中栄子。
 そしてプロ達とは、監督・マイケル・アニアス(「アニマトリックス」)、脚本・アンソニー・ワイントラープ(「カポーティー」)、演出・安藤裕章(「スチームボーイ」)、美術・木村真二(「スチームボーイ」)、作画監督・西見祥示郎(「下妻物語」)、CGI監督・坂本拓馬(「アニマトリックス」)の面々である。

 原作者松本大洋が、「鉄コン筋クリート」を小学館の「ビッグコミック」に連載し始めたのは、13年前である。3巻に纏められた単行本は、100万部売れた。そして12年前田中プロデューサーは、映画化の構想を抱く。
 CGプログラマーとしてニューヨークで活躍していたアリアスが、この本に出会ったのが11年前、仕事に失敗して日本の友人宅に居候していた時だったという。その田中とアリアスの出会いが、「実現不可能」といわれた大友の作品の映画化に結びついた。

 「自分の人生が、そのまま本になっている。自分の住んでいる街が舞台になっている。リアリティーのある作品だった」とアリアスは言う。
 「暴力を通してしか描ききれない子供の不安定な心、もろさのなかにある狂気、そのバランスが純真さによって保たれる。だから希望はあるのだ」

 アニメーション映画であるが、登場人物の顔に声優の顔がダブる。
 二人の主人公は、「硫黄島からの手紙」でパン屋の兵士・二宮和也と「フラガール」の蒼井優。年老いたヤクザは、「たそがれ清兵衛」で真田に切られた田中泯、街を乗っ取ろうとするマフィアが本木雅弘、ふたりの子供を心配する警官が伊勢谷友介と官藤官九郎等々。画面で彼等がそのまま出演している、そんな錯覚に陥る。

 「これは愛、友情、変化についての物語です」
 初めて監督として作品を撮ったマイケル・アリアスから、観客へのメッセージである。

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January 11, 2007

542.NANA2

 「生まれた環境も性格も違う二人のNANA。一人は自分の夢の実現、一人は女としての幸せをつかまえよう」とするお話。原作は少女マンガのカリスマ作家矢沢あいの「NANA」、集英社「クッキー」に連載されたマンガである。
325714view003_1 第一作はその二人を中島美嘉と宮崎あおいが演じて、「大人の鑑賞」にも耐え得る映画だった。とくに宮崎あおいの演技は光っていたし、中島美嘉もこの作品で日本アカデミー賞新人賞を受賞した。
 今回は、宮崎に代わって市川由衣が素朴な方のNANAを演じた。この事が前作との差を明らかにしてしまった。その後映画「初恋」で3億円事件の犯人?、連続テレビ小説の主人公、来年の大河ドラマでは「篤姫」と、大スターへの道を歩む宮崎を、再びNANAでは確かにイメージを壊す。しかし、所詮市川は宮崎には敵わない。

325714view001 登場人物の交代はまだある。NANA(中島)の恋人役が松田龍平から姜暢雄に、ロックバンド仲間の松山ケンイチが本郷奏多と若返らした。こちらも演技力の差は歴然としている。
 敢えてそのことに踏み切った監督大谷健太郎の勇気も買うし、こうして若い役者も育っていくのだから、仕方はないだろう。
 ただ中島美嘉だけは、前作よりさらに光った。まさにNANAそのものだった。

 昨日、映像関係業界の新年会があり、その席でこの話を東宝のトップにした。「犬神家の一族」は別として、ベテランを使って安全パイを振るだけでは、映画界は伸びない。若い役者の持つ荒削りな素材から、何を見つけるかが、監督の腕。「最近の若い監督は、それは上手い」との話だった。
 松竹のトップには、さすが「武士の一分」でしたねと話したが、「これ一本だけではまだまだ」と今年に賭ける意欲を語っていた。

 今年に入ってまだ3本しか観てはいない。うち2本が日本映画だが、昨年に続いてぜひ洋画を凌駕してほしい。

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January 09, 2007

541.麦の穂をゆらす風

Muginohowobt1 昨年5月、カンヌ国際映画祭でこの映画を観た審査員や批評家たちは、イラク、アフガンそしてチェチェンを思い浮かべたに違いない。そして私は、130年前の「西南戦争」で兄弟・同族が殺しあった悲劇を想った。

 カンヌで最高賞のパルムドールを受賞したこの作品の舞台は、1920年代のアイルランド。占領軍英国に対し、自由と独立を賭けて戦った若者の生と死である。歴史的には、今もなお「テロリスト」と非難され続けている「IRA」(アイルランド共和国軍)の誕生と悲劇の物語である。
 それだけに「愛するものを奪われる悲劇を、なぜ人は繰り返すのだろう。」と、今日的問いかけを観客に迫る。

 タイトルは、アイリッシュの伝統音楽、レジスタンスに身を投じる青年の悲劇を歌った曲の名前。イギリスから独立したものの、今度は同じ民族同士、兄弟までが殺しあう悲劇は、この歌の詩のとおりなのだ。

 監督はケン・ローチ、BBCでドラマの演出を担当してきた生粋のイギリス人である。「大地の自由」や「明日へのチケット」など労働者や移民の生き様を描いてきたローチは、これまでもヴェネチア、ベルリン、カンヌの各映画祭で批評家連盟賞などを受賞してきた。その彼が、母国を敵役にしてまでも世界へメッセージを送った。
 主人公の義勇兵は、「真珠の首飾りの少女」「バッドマンビギンズ」のキリアン・マーフィーが演ずる。彼はまた、生粋のアイルランド人である。

 日本での公開で、アイルランド大使館が後援するのは当然だが、ブリティッシュ・カウンシルも名前を出している。国の侵した歴史的罪は、隠さず見せておこうというのだろう。
 IRAが背景にある映画作品は、これまでも数々上映された。しかし、IRAが生まれざるを得なかった背景を、キチンと描いた作品は、これが初めてだろう。

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January 08, 2007

540.焼酎バー「黒瀬」(68)

061227_001 鹿児島のいも焼酎「逸品」紹介は、昨日に続いて大隈半島北部・大崎町にある三つの蔵元の焼酎を紹介する。また今回も、地元鹿児島で飲んだものも加える。

 「さつま老松」
 黒瀬でも評判だったが、現在品切れ。白麹で造った原酒に黒麹の焼酎をブレンドして、二つの麹の特長を出している。まろやかさと旨みがほどよくミックスミックスしている。タンクで3月貯蔵して出荷。ロックがお勧めだ。
 蔵元は明治34年創業の老松酒造、この地では最も古い。他に有機栽培のイモだけを使い、黒麹で仕込んだ「ゆうのこころ」もある。

 「華奴」
 いもの卸問屋でもある蔵元が、自家栽培のコガネセンガンだけを使って、白麹・甕壺仕込みと拘って造った名品。すっきりして飲みやすいので、女性にに人気がある。ラベルも、銘柄名にふさわしい艶やか。
 「国粋華奴」は、その黒麹版。名水「御前の水」を割り水に使っている。他に地元の食用イモベニオトメとシロサツマを使った「杜の妖精」、原酒「甘宝」もある。
 蔵元の大久保酒造は、15年前創業。地元の久保醸造を引き継いだ。

 「大金の露」
 この焼酎も、鹿児島で始めて味わった。新平酒造が蔵元で、コガネセンガンを原料に伝統的な方法で仕込む。お湯割りで飲んだら、フルーティーな味と香りがした。麹は、白と黒の両方。大隈北部の焼酎には、麹をブレンドして仕込むところが多いのは、なぜか。

 「焼酎バー・黒瀬」については、下記のホームページを。
 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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January 07, 2007

539.焼酎バー「黒瀬」(67)

Photo_3 イモ焼酎1000を超える銘柄のうち「黒瀬」で味わえる逸品シリーズ、鹿児島県の薩摩半島を一巡りしたところで休止していた。というのも東半分の大隈半島の蔵元の焼酎は、少ない。「森伊蔵」「八千代伝」「さつま大海」「小鹿」は置いてあるが、「さつま老松」「華奴」等は現在品切れである。
 一応全ての蔵元を紹介したいので、先月鹿児島で味わったものも含めて紹介する。今回と次回は、大隈半島北部・曽於地区から。

 「一人蔵」
 曽於市(旧末吉町)にある木場商店は、小さな蔵元。四代目が社長兼杜氏として一人で造るので「一人蔵」。白麹、黒麹の両方を使ってコガネセンガンを原料にして仕込む。およそ半年寝かして市場に出すが、鹿児島中央駅のコーナーで飲んだ焼酎は、ふくよかな味と香りだった。ロックで味わったが、弱い人は水割りにするといい。
 甕仕込み、白麹の「丹宗」もあるが、まだお目にかかってない。
 また旧大隅町の岩川醸造が造る「おやっとさあ」もロックが旨いと聞くが、これも次の機会にトライする。

 「蓬の露」
 志布志市(旧有明町)の丸西焼酎合資会社の焼酎。地名が蓬原なのでこの名を付けた。白麹、甕仕込み。しっかりとしたイモの香りが郷愁をそそる。これも鹿児島中央駅で、お湯割りにして飲んでみた。
 同じ蔵元から限定品として「丸西」がある。野井倉の湧水を使い、黒麹で仕込む。これは、ほとんどの焼酎を揃えている駅のコーナーにも置いてはなかった。

 「さつま若潮」
 以前「黒瀬」にも置いてあったが、今は品切れ。志布志の若潮酒造協業組合が蔵元。地元で愛飲されている、黒麹・コガネセンガン・常圧蒸留というポピュラーなつくりの焼酎である。口当たりはまろやか、後口もすっきりしており、お湯割りに合う。
 甕仕込み、木桶蒸留と古式に拘ったのが「千亀女芋」という面白いネーミングの焼酎。こちらは、さらにコクがあり、ロックが似合う。

061227_002 「岩いずみ」
 聞きなれない銘柄だったが、鹿児島の新名所「ドルフィンポート」の「薩摩酒蔵」でお目にかかった。麹は白・黒両者を使い3~4年貯蔵した上で出荷するそうだ。そのせいか大変まろやかで、お湯に注ぐとフワッと甘い香りが流れる。志布志の白露カンパニーが蔵元。

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January 05, 2007

538.犬神家の一族

 「映画は所詮、光と影だと思います。光と影がドラマなのです。その光と影は、尽き果てることのない永遠のものだと思います。」(市川崑)
 元日の新聞で市川監督が、新藤兼人監督と「犬神家の一族」と映画にかける情熱を語っていた。お二人とも90歳代、既に次の作品も検討中だという。

 市川監督の作品に出会った最初は、50年代の「ビルマの竪琴」だった。続いて「炎上」「黒い十人の女」「鍵」「細雪」と続く。もちろん「金田一シリーズ」の各編、1976年の「犬神家の一族」、二度目の「ビルマの竪琴」そして「どら平太」である。
 偶然にも、東京オリンピックの現場で一緒になった。こちらはテレビ、監督は35mを回していた。そのエネルギッシュな仕事振りに若造だった私は、ただ見惚れていた。

 今回の「犬神家の一族」も、話の筋書きは熟知していたので、ただただ映像のワンカット、ワンカットに見惚れた。隅々までキチンと照明が行き届いたセットシーン、光と影それに風を計算し尽したロケシーン、「芸術」と「娯楽」が見事に一体化していた。
20060928012fl00012viewrsz150x325321view002325321view005 出演者も豪華である。前作同様に、主人公金田一耕助に石坂浩二を配し、早トチリの警察署長い加藤武をもってきた。
 役は違うが、草笛光子と三條美紀も前作に「続き出演している。冨司純子と尾上菊之助親子が、親子役で親子共演しているのも話題だ。
 彼等を、市川監督は前作の脚本のカット割り通りに動かした。

 この企画が誕生したのは、「リング」や「THE JUON 呪怨」でハリウッドをも席捲している一瀬隆重プロデューサーの「本物の映画を創りたい」という情熱だった、と聞く。1961年生まれのプロデューサーが、1915年生まれの監督の情熱に火をつけたのだ。

 ここで閑話をひとつ。横溝正史原作の「金田一探偵シリーズ」は、これまでに20数本の映画が製作されている。主人公を演じた役者は12人、あの高倉健も扮した。そして出演回数が最も多いのは片岡千恵蔵の6本、そして石坂浩二が今回で6本とタイ記録を作った。

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January 04, 2007

537.日本橋七福神めぐり

0714_0170714_0030714_004 日本橋をスタートする「七福神めぐり」に参加した。三越など「七福会」が主催するこの催しは、今年で22回目。年毎に参加者が増え、最初の小網神社に参拝するのに30分以上も行列した。
 「小網神社」は550年も前に鎮座した古社、福禄寿と弁財天が祭ってあるが、ここは秋の「どぶろく祭」で有名だ。東京銭洗い弁天としても知られている。
 次の「茶の木神社」は布袋尊、昔は大老堀田家の中屋敷。神社の周囲を茶の木が囲んでいたそうだが、今はビルの奥の露地に窮屈そうに建つ。

0714_0060714_0090714_010 人形町通りに出ると「水天宮」がある。「恐れ入谷の鬼子母神、そうで有馬の水天宮」と囃されるように、久留米藩主有馬家の筑後川守護の神さま。6代藩主が綱吉から拝領した犬を連れ歩いたことから、安産の神様にもなった。今日は「戌の日」、大変な人出だったので客殿には上らず、通りの向こうから参拝。ここは、弁財天が祭られる。
 新大橋通りをちょっと曲がって「松島神社」へ。昔はこのあたりは海、松の茂った小さな島があったので、この名がついた。明暦の大火前は歓楽街、人形細工の職人、呉服商、歌舞伎役者、芸妓の信仰を集めた。別名大鳥神社、大黒さんを祭っている。
 甘酒横丁を渡って地下鉄人形町駅の方へ歩くと「末廣神社」、この地にあった遊郭「葭原」(吉原)の守り神で毘沙門天を祭る。ここもビルとビルの隙間に埋もれている。

0714_0110714_0130714_015 清洲通りに向かって歩くと「笠間稲荷神社」が見える。日本三大稲荷のひとつ、常陸笠間のお稲荷さんの江戸分社。笠間藩主牧野家がここに建てた。長寿の神様寿老神が祭られている。
 日本橋堀留町にある「椙森神社」は、一千年以上も前の創建、江戸名所図会のも書かれ、秋の例大祭恵比寿祭は有名。平将門を破った俵藤太が杉林だったこの地に社を築いたという。江戸富くじの発祥の地でもある。
 最後の神社は「寶田恵比壽神社」、ここもビルの谷間にある。もとは、皇居前広場にあった寶田村の鎮守で、馬込勘解由が家康から恵比寿神を受け祭った。毎年秋には、商売繁盛を祈って「べったら市」が開かれる。

 今年の「恵方参り」の方角は「北北西」、日本橋・人形町はピッタリである。ともかく、日本橋三越前をスタートして2時間、4.5㌔・9000歩のウオーキングだった。

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January 03, 2007

536.浜離宮・鷹狩り

0713_0080713_0110713_013 江戸時代から催されてきた浜離宮の鷹狩り、今年も昨日・今日と四回にわたって行われた。
 練習中の暮れには都心に飛び去ったり、昨日はカラスに追われて行方不明と、ハプニング続出の鷹狩りだったが、今日は無事成功した。

0713_0240713_028 鷹狩りは1600年ほど昔、中央アジアから伝わった猟法。飼いならした鷹を放って、野生の鳥獣を捕まえる。
 日本では、天皇家など貴人のスポーツとして好まれ、江戸時代には鷹匠が幕府に召抱えられた。

 今日の実演は、鷹匠の挙から別の鷹匠の挙に飛び移らせる「振り替え」、樹上にいる鷹を挙に呼び戻す「渡り」、細紐をつけ投げ上げられた鳩を空中で掴む「振り鳩」など、将軍家お抱え・諏訪流の放鷹術が披露された。

0713_0300713_0310713_032 ハイライトは、高さ240mの電通カレッタの屋上から放されたハヤブサが、浜離宮の獲物を掴まえる「振り鳩」。呼子の合図により、上空を滑空してきたハヤブサは、急降下して見事に獲物を仕留めた。

0713_034_10713_039_1 左は見事な技を見せた「長距離ランナー」のハヤブサ。この名は、戦前の日本陸軍戦闘機「隼」の由来として知られる。
 右は、技巧的な狩の技を見せたオオタカ。ハヤブサ科とワシタカ科と種類は違うが、いずれも「伝統文化・鷹狩り」の担い手として、十数羽が育てられている。

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January 02, 2007

535.初春ひとまく会

0712_0080712_009 歌舞伎座で最後の一幕を観る恒例の「ひとまく会」、新年の初日だけは、毎年最初の一幕を4階の幕見席で楽しむ事にしている。
 ところが昨年からは松竹の方針なのか、二幕セットで入場券が売られる。急ぎと用事のない方は、およそ2時間たっぷり観ることが出来る。ただし料金の方もアップして、今回は1300円だった。

0712_0050712_006 今年の演目は「松竹梅」と「平家女護島・俊寛」。

 「松竹梅」は、初春を寿ぐ祝儀舞踊。この度新たに作られた三段返しの長唄舞踊である。三段返しとは、松、竹、梅の各巻毎に背景がパラリと変わる舞台演出。松を梅玉と橋之助が踊り、竹を歌昇、信二郎、松江、高麗蔵が、梅を魁春、孝太郎、芝雀と若手女形俳優が美を競った。
 長唄は唄7人、三味線7人、太鼓・鼓6人の組み合わせ、新春らしい長唄にのった踊りだった。

 「俊寛」は「平家物語」にも出てくる、俊寛僧都の島流しの物語。近松門左衛門が、能「俊寛」をもとに人形浄瑠璃として書いたもの。赦免船が迎えにきたのに、京に残した妻の自害を知り、俊寛は絶望して自ら島に残る事を決意する。しかし船が遠くに去るのを見送るにつれ、「思い切っても凡夫心」と心情を吐露して慟哭する。
 俊寛を演ずるのは、当り役中村吉右衛門。最後の廻り舞台を駆使した演出は、見所の一幕であった。
 他に、福助、東蔵、歌昇、冨十郎。憎たらしい役人、瀬尾太郎兼重を演ずるのも当り役の市川段四郎である。
 場内、「播磨屋」「成駒屋」「加賀屋」「萬屋」「澤潟屋」「天王寺屋」の掛け声が飛びかわった。

 月末の「ひとまく会」は、ご存知「切られお富」の二幕。

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January 01, 2007

534.2007年・初春

0711_0010711_009 6時51分初日の出。今年は久し振りの晴天、7時過ぎにはビル陰からお日様が顔を出し、川面を照らした。
 昨年は身内を亡くしたので、「謹賀新年」のタイトルは遠慮したが、供養も兼ねて初詣でには出かけた。

0711_0120711_0130711_014 いつものジョギングコース、自転車で走る。最初はご近所の「住吉神社」。ここで交通安全を祈願して「富岡八幡宮」へ。関東一の八幡さまだけに、朝早くから初詣の客でごった返す。

0711_0150711_0160711_022 八幡さまのすぐ隣が「深川不動尊」。豆まきで有名な成田山新勝寺の江戸出張所というべきお寺さん。もともとここは「永代寺」の境内である。
 永代橋を渡って「鉄砲洲稲荷神社」「波除稲荷神社」、最後が「築地本願寺」。ここでは本堂に上がって、読経を聞く。

0711_0270711_024 神社4ヶ所と寺院2ヶ所の初詣。それぞれ宗教・宗派は違うが、これが日本のやり方。宗教や宗派に対する寛容さ、いい加減さが、かえって「命」を大切にしてくれる。
 一神教が殺しあう、イラクやパレスチナに想いを馳せながら、都鳥が待つ我が家へ向けてペタルをこいだ。

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