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February 28, 2007

579.月島物語ふたたび

 四方田犬彦の傑作エッセイ「月島物語」が、地元月島にある工作舎から復刊された。復刊といっても、その後の文庫版補遺に加えて書き下ろしエッセイや対談も収録した、まさに「ふたたび」である。

 比較文学者、映画評論家として知られる四方田さんは、ニュヨークでの大学教授生活を切り上げて帰国、ひょんなことから月島の長屋に住むようになった。そして日々の身辺雑記を雑誌「すばる」に連載、それを母胎に1992年「月島物語」が刊行された。
 この本は、当時大変話題を呼び、新聞や雑誌の書評欄にもたびたび取り上げられた。そして第一回の斎藤緑雨賞も受賞した。
 その頃私も「月島物語」を手にしたが、その事が月島に居を移すひとつのきっかけになったことは、間違いない。

 エッセイの中身を、映画の予告編風にまとめると「・・・・1988年、ニューヨークかえりの批評家が、東京湾んに浮かぶ月島で、長屋暮らし始めた。植木が繁茂する路地、もんじゃ焼きの匂い漂う商店街、鍵もチャイムもいらない四軒長屋・・・・・。昔ながらの下町の面影を残すこの街だが、実は日本の近代化とともに作られた人工都市だった。モダニズムがノスタルジアに包まれた街ーーー批評家はそのベールを一枚ずつはがし、月島の全体像を浮かび上がらせていく。」(「月島物語ふたたび」の帯より)

 四方田さんが月島を「記録」してから、15年が経つ。その間月島はどう変わったか。消えたもの、頑固に残っているもの、このブログでも時々「都市論」「文化論」の視点からこの界隈について「記録」を残して置こう。

 月島を一度でも訪ねた人、まだ一度も足を踏み入れたことの無い人も、ぜひ「月島物語ふたたび」を読んでほしい。あなたの住む街でも、同じような変貌が起こっているに違いないから。

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February 27, 2007

578.リトル・ミス・サンシャイン

Desktop1 今年のアカデミー賞4部門にノミネイトされていた「リトル・ミス・サンシャイン」、そのうち「助演男優賞」(アラン・アーキン)と「脚本賞」(マイケル・アートン)の受賞が、昨日決まった。

 都心の映画館で上映されていなかったので、まだ観てはいなかったが、ららぽーと豊洲でようやく「封切」、さっそく駆けつけた。

 アメリカ好みのファミリー・ドラマとロード・ムービーをミックスした斬新な脚本、実は“新人”マイケル・アートンが5年前書いたものだ。
 ブラックな笑い、風刺に満ちた内容だが、深い人間性を備えた粗筋で、「勝者だけが語られる現代社会で、敗北することによって得られる」何かを伝えてくれる。

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 埃っぽい砂漠をひた走る黄色い車、小学生の娘が「ミス・コン」に参加するため一家が乗り込んでいる。映画は、バラバラだった一家がアクシデントに見舞われるたびに結ばれていく「家族再生物語」を綴る。

 「勝者論」をぶつ父(グレッグ・キニア)は、まさに売れない評論家という敗者。一食ひとり4㌦以下に抑える母(トニー・コレット)は、生活敗者。ベトナム帰りでヘロイン中毒の祖父(アラン・アキン)、自殺未遂のゲイの伯父(スティーヴ・カレル)、沈黙の誓いを立ててるオタクっぽい兄(ポール・ダノ)たちも社会的な敗者。ただひとり、ミス・コン地区代表に選ばれて全国大会に参加しようという娘(アビゲイル・プレスリン)だけが、勝ち組?

 作品は、東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞を受賞。サンダンス映画祭でのプレミア上映は、熱狂した観客のスタンディング・オペレーションで沸いたという。
 今回助演男優賞を獲ったアラン・アキンは、舞台演出家でもあり作曲家。最後は、薬物中毒死する役だが、なかなかの存在感がある。 
 残念だったのは、助演女優賞にノミネイトされていたアビゲイル・プレスリン。「プリティ・ウリンセス」などで評判の名子役だが、「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソンには負けてしまった。

 監督は、CMやTVドキュメンタリーで活躍しているジョナサン・デントンとヴァレリー・ファッス夫妻。初めての長編映画である。

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February 26, 2007

577.日本橋を楽しむ会(2)

 日本橋の老舗でおみやげを数点買ったが、生まれて初めて味わったお菓子がある。
 それが榮太樓本舗の「玉だれ」。前号で、初代が150年前に創った三つの銘菓を紹介したが、これだけは知らなかった。
 名前は、謡曲「鸚鵡小町」の中の一首から名付けられた。

   雲の上はありし昔に変らねど
   見し玉だれの内ぞゆかしき

 鸚鵡がえしの返歌として有名な句だが、お菓子の方もなかなか趣があった。白玉粉と砂糖・水飴を練り固めた真っ白な求肥、そして芯は天城の山葵。清楚な外観と上品な「甘辛さ」は、他に類を見ない。
 酒飲みの辛党にも、きっと受けるお菓子である。あえて写真は、掲載しない。

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February 25, 2007

576.日本橋を楽しむ会

0001 タウン誌「月刊日本橋」が主催する「日本橋名店さんぽ」に参加した。老舗の奥まで入って、ご主人のお話を伺い、お昼も老舗の割烹でいただくという趣向である。
 集合場所は、一石橋に近い「西河岸地蔵寺」。ここは、昭和13年「日本橋」(泉鏡花作)に出演した花柳章太郎奉納「板絵着色お千代の図」で有名な寺である。
07_320_23 今回参加したのは、およそ40人。まずここで江戸風俗研究家の秋山中彌さんから「江戸のお化粧」についてのお話を伺った。
 浮世絵を紹介しながら、当時の口紅、頬紅、爪紅、白粉、お歯黒の化粧法の解説。お歯黒を除いては、江戸と平成の女心は全く同じだった。お話しの詳細は省くが、川柳を二首だけ。
     口紅がときどき殿の耳につき   お歯黒をにわかにつけてとがが知れ

 「名店さんぽ」は、日本橋を挟んで北と南の2コースに別れてスタート、こちらは南のコースである。

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 最初に訪ねたのは「榮太樓本舗」。1857(安政4)年、河岸で引いていたお菓子の屋台をたたみ独立の店舗を開いたのが始まりで、当主の幼名を屋号にしたそうだ。
 「甘名納糖(あまななっとう)」「梅ぼ志飴」「玉だれ」を創製し、明治のはじめにはロンドン万国博覧会にも出品している。
 とくに有名な「梅ぼ志飴」は、紅を混ぜた飴を棒状に延ばしてハサミで切ったもの。その姿が酸っぱい「梅干」に似ている事から、江戸っ子の洒落で甘い「梅ぼ志」にした。

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 二店目は「はいばら」、1806(文化3)年創業の和紙の老舗である。左の絵図にもあるように「雁皮紙」を、江戸で初めて売り出した店として知られている。
 この紙は、滑らかで光沢、強靭さが特徴で、「文字がきれいに書ける」と江戸の文人墨客に好まれた。
 明治初めのウイーン、パリ万博にも出品され、イギリスのビクトリア・アルバート美術館、フランスのルーブル美術館にも、「はいばら」の和紙は保存されている。
 また、1951年のサンフランシスコ条約で署名した巻紙も、「はいばら」の和紙だったそうだ。

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Photo_4  三番目に訪ねたのは「山本山」、1690(元禄3)年創業した茶舗である。
 初代山本嘉兵衛は京都宇治の出身、活気溢れる江戸の賑わいのなかで、味と香りに優れたお茶を提供しようと、「煎茶」を開発して売り出し評判になった。
 また「玉露」の元祖でもあり、九代目の現社長が考えた「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」のキャッチコピーで知られている。
 現在ブラジルにも現地法人を設立、日本移住者たちの大農園で作ったお茶も輸入している。味もなかなかいけるそうだ

 最後は、歌舞伎十八番「助六縁(ゆかり)の江戸桜」からとった「日本橋ゆかり」で「松花堂弁当」のお昼。
 10時から14時までの「小さな旅」は、会費5800円。もちろんお土産付である。 

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February 23, 2007

575.DREAMGIRLS

Dg_07_800 1981年12月20日、N.Yブロードウエイ・インペリアル・シアターでオープニング以来、毎夜スタンディング・オペレーションによる喝采を浴びた伝説のミュージカル「ドリームガールズ」。
 「夢を掴んだとき、初めて失ったものに気がつく」・・・・女の友情、男の野望、男女の愛の物語。
 4年間で゙1522回の公演、トニー賞6部門に輝いたこのミュージカルがついに映画化された。

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 主役はジェイミー・フォックスとビヨンセ・ノウルズ。クセ者の音楽マネージャー役のフォックスは、「RAY/レイ」でオスカーを受賞したトップスター。ボーカル・グループのリード歌手役のビヨンセはグラミー賞など数々の賞に輝く現代最高の歌姫である。
 また彼ら若手に混じって、エディー・マーフイが時代に取り残されるベテラン歌手を演ずる。そして もう一人新人ジェニファー・ハドソンが4オクターブの圧倒的な歌唱力と迫真の演技力を見せた。この2人は、25日に発表されるアカデミー助演男優・女優賞にノミネイトされているのである。

 原作はオフ・オフ・ブロドウエイ運動の先駆者トム・アイン。彼は16年前に亡くなったが、ヘンリー・クリーガーがブロードウエイ版に引き続き音楽・作詞を担当している。そして監督・脚本は、アカデミー賞6部門を獲った「シカゴ」の脚本担当ビル・コンドンという豪華な組み合わせとなった。

 ここ数年、ブロードウエイ・ミュージカルの傑作が映画化されている。一昨日もテレビで放映されたが、レニー・ゼルウイガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズの「シカゴ」をはじめ、「プロデューサーズ」「RENT/レント」「オペラ座の怪人」「キャバレー」と、年に2~3本は上映されている。
 若いころ、「ヘアー」「ミス・サイゴン」など幾つかの作品をブロードウエイで見たが、語学に弱い者にとっては感動も半減だった。しかし、映画化によってミュージカルの持つ魅力を十分堪能できる事はうれしい。

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February 22, 2007

574.バブルへGO!!

Img_pamphlet 「浅田次郎は昭和30年代の新中野を書いたが(メトロに乗って)」「ホイチョイはバブル絶頂期の1990年の六本木を」と「バブルを知らない女の子がタイムマシンに乗って1990年の東京に行き、バブル崩壊を食い止めよう」という話。

 荒唐無稽で無理な辻褄合わせ、ご都合主義の筋立てだが、なんとなく懐かしい映画でもあるし、ここまで徹底して遊んだらそれもそれで良いだろう。

 実在の会社がそのまま出てくるのも、面白い。バブルが消えて倒産した「長銀」に、ヤフー、ダイヤモンド社、そして日立製作所。さすがドラム洗濯機式タイムマシンは、日立の架空の研究所製となっているが、長銀をリストラされた行員がヤミ金融の取立屋になっている設定など、さもありなんと思わせる。

 18年だけ過去に戻る設定だから、映像つくりはそう難しくはない。当時の映像はふんだんに残っているし、現在のVFX技術でもってすれば当時の再現はたやすい。
 それでも撮影所に、当時の六本木のセットを組んだそうだ。だが時代考証は不要、多くのスタッフがバブルの絶頂期には、ここでディスコを踊ったはずだから。

 監督は馬場康夫、脚本を書いたのは「踊る大捜査線」の君塚良一、亀山千広率いるフジテレビ映画のスタッフである。
 出演は、安部寛、広末涼子、薬師丸ひろこ他。銀行員を演じた劇団ひとりの変身ぶりが面白かった。本人ですら、自分の顔とは信じられなかったそうだ。

 それにしても、六本木のスクエアビルが全てディスコだった時代、銀座ではタクシーが拾えなかった時代、ボデコンの女性が闊歩していた時代、ボーナスが青天井だった時代が懐かしい。しかし、当時はまだ「ケータイ」が無かった事を映画で気が付いた。

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February 21, 2007

573.墨攻

Wallpaper3_1024 中国思想研究家酒見賢一の小説をベースに、森秀樹が小学館「ビッグコミック」に連載した「墨攻」、それを読んだ香港のベテラン監督ジェイコブ・チャンが映画化した。
 撮影監督は、「男たちの大和」の坂本善尚。音楽も「デスノート」の川井憲次と、日本勢が担当した。
 中国・日本・香港・韓国と東アジアの精鋭スタッフが製作した、合作映画である。

Wallpaper2_1024 出演者たちも、東アジアのスター俳優が顔を並べる。「LOVERS」のアンディ・ラウ(香港)を主役に、「シルミド」のアン・ソンギ(韓国)、「始皇帝暗殺」のワン・チーウン(中国)、「花都大戦」のファン・ビンビン(中国)、「戦場の挑戦」のウ・チーロン(台湾)、「TV・春のワルツ」のチェ・シオン(韓国)と多彩な組み合わせである。

 時はBC370年、春秋戦国時代の中国。「10万人の敵にたったひとりで挑んだ墨者と呼ばれる男」の、「非攻」の物語である。中国解放軍兵士のエキストラ群が、得意の戦闘シーンを展開、壮大な人間ドラマを見せる。

 映画も面白かったが、「墨守」に引かれた。「墨翟(ぼくてき)の守」の故事からきた言葉で、周の人墨子(翟)が楚軍の攻撃を9回も撃退して城を守り通したことから、自説を固持して譲らない意味で使われる。
 墨子は春秋戦国時代の下級兵士出身、軍略家であると同時に思想家でもあった。戦乱に飽きて哲学による平和を確立しようと、思想集団「墨家」を創設した。そして「儒家」集団と古代中国の思想界を二分したという。

 彼等は「兼愛」(自己愛と同じく他者も愛する、つまり平和共存)や「非攻」(決して相手を侵略せず専守防衛に徹する)など10のテーゼを広げるために活動した。「墨者」はその布教師であり、農業指導者、乱立する小国に雇われた軍師の総称である。
 しかし秦の時代になると、彼等は忽然と歴史から姿を消し、その理由も謎のままだそうだ。

 因みに「墨家十論」の残り八つは以下の通り。

  • 「天志」(天帝は、侵略と他国の併合を禁ずる)
  • 「明鬼」(鬼人は、善人に味方して悪人を懲らしめる)
  • 「尚賢」(能力のある人材を登用せよ)
  • 「尚同」(優れたリーダーのもと、意思を統一せよ)
  • 「節用」(贅沢を止めて健全な国家財政を確立せよ)
  • 「節葬」(派手な葬儀などに無駄使いするな)
  • 「非楽」(音曲に溺れず、勤勉節約に励め)
  • 「非命」(宿命論に惑わされずに自己を確立せよ)

 アンディ・ラウの演ずる「墨者」はこの十論を頑に守って、巧妙かつ意表をつく戦術で、梁の国を助ける。
 そして映画は、このテーゼが、現代社会にも当てはまることを語る。

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February 20, 2007

572.築地見学

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 娘の友人達が台湾から来日した。彼の地は春節のシーズン、日本流に言えば正月休みである。
 東京に到着した彼女達、翌日の最初の訪問希望地が「築地市場」だった。
 確かに主婦には違いないが、東京の台所に深い関心をもっている。そこで、プロたちの買出しが終わった頃を見計らって、場内の仲卸の店をゆっくり案内した。マグロの値段、赤貝の値段、真鯛や鱸の値段を確認したりかなり細かい。

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07_320_22 ここ2~3年築地を訪れる外国人観光客は、トップが韓国人、続いて中国・台湾だそうだ。本国での日本紹介パンフレットには、必ず「築地」が紹介されている。場外市場では、韓国人や中国人の店員を置いているところもある。
 とくに買い物が目的ではない。せいぜい鮨屋かラーメン屋で軽く食事をするだけの様だが、場内・場外問わず興味深々と見てまわる。既に、豊洲移転の情報も持っており、わざわざ「ゆりかもめ」に乗って、まだ更地の「市場前駅」に出かける人もいるという。

 そういえば、私たちもソウルや台北に出かけると、観光コースに「市場」を入れる。ニューヨークでもカンヌでも、魚市場を訪ねた事を思えば、「食」は世界共通の人間の関心事である事には間違いない。

 彼女達ご一行は、月島でもんじゃ焼きを食べて、浅草・お台場・銀座・皇居・両国・横浜ランドマークそして鎌倉・日光を回る。なぜか、六本木ヒルズと表参道ヒルズは予定に入っていなかった。 

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February 18, 2007

571.東京マラソン2007

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07_320_3  3万人が都心を駆け抜けた「東京マラソン2007」。自宅のすぐ近くが、コースの一部なので応援に出かける。
 この大会には、娘も応募したが抽選に洩れた。競争率は何と3倍以上だった。
 幸い、友人夫妻一組だけは、参加できた。37キロ地点、最も苦しい距離、ぜひ応援しなければならない。  

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 11時前の佃大橋。先頭走者がやってきた。ケニア出身のダニエル・ジェンガ(ヤクルト)が軽い足取りで走り抜ける。カメラが追いつけないスピードだった。
 2~3分遅れて佐藤智之(旭化成)。さらに1分遅れて入船敏(カネボウ)。この順位は、ゴールまで変わらなかった。

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 およそ2時間後、今度は月島と晴海を結ぶ朝潮大橋に出かける。友人夫妻をふくめ市民ランナーがやってくる。
 こうした大会で面白いのは、仮装ランナーたちだろう。記録よりマラソンを楽しもうというわけだ。結構目立ちたがり屋が多い。

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 そして、制限時間がやってくる。午後3時20分、新宿都庁前をスタートしてから6時間、ここで関門が閉まる。あと6キロ足らず、ランナーたちは無念の涙をしぼり、バスに収容されるのだ。
 翌日の新聞によれば、優勝したジェンガの記録は2時間9分45秒、そして最終ランナーは、7時間。2万5130人が42.195キロを走りきった。

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February 17, 2007

570.日本アカデミー賞(9)

 昨日の夕刻、新高輪プリンスホテル国際館パミールで、2007(第30回)日本アカデミー賞授賞式が開催された。
 会場には、既に優秀賞が決定した監督や俳優、製作関係者のほか、映画ファンも多数詰めかけた。
 司会は関口宏さんと吉永小百合さん、艶やかな衣裳を纏った女優にスタイリッシュな男優たち、会場は華やかな雰囲気につつまれていた。

 最優秀賞についてはこの会場で発表され、本日のテレビや新聞で報道されているが、これまでブログでも経緯を書いてきたので、改めて記録しておく。

  • 作品賞「フラガール」(シネカノン=ハピネット=S・D・P)
  • アニメーション作品賞「時をかける少女」(角川書店)
  • 主演男優賞 渡部謙(「明日の記憶」)
  • 主演女優賞 中谷美紀(「嫌われ松子の一生」)
  • 助演男優賞 笹野高史(「武士の一分」)
  • 助演女優賞 蒼井優(「フラガール」)
  • 監督賞 李相日(「フラガール」)  脚本賞 李相日・羽原大介(「フラガール」)
  • 音楽賞 ガブリエル・ロベルト・渋谷毅(「嫌われ松子の一生」)
  • 撮影賞 長沼六男(「武士の一分」)  照明賞 中須岳士(「武士の一分」)
  • 美術賞 松宮敏之・近藤成之(「男たちの大和 YAMATO」)
  • 録音賞 松陰信彦・瀬川徹夫(「男たちの大和」)
  • 編集賞 小池義幸(「嫌われ松子の一生」)
  • 外国作品賞 「父親たちの星条旗」(ワーナー)

Hula3_2  なお受賞作品は、過去のブログで紹介しているので、参考までに号数を記載する。
 「フラガール」(464号)、「明日の記憶」(349号)
「嫌われ松子の一生」(405号)、「武士の一分」(526号)
「男たちの大和」(250号)、 「父親たちの星条旗」(495号)
 残念ながら「時をかける少女」は観てない。近々DVDを借りて、ゆっくり鑑賞しよう。

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February 16, 2007

569.どろろ

Dororo_wp09_s  ファンタジー映画「どろろ」がヒットしている。封切以来3週間連続で、興行ランキング1位だった。
 手塚治虫が発表してから40年、“甦った伝説の映画”である。当時は60年安保から70年安保の時代、学園紛争、安保反対闘争の学生達は、白土三平の「カムイ伝」と手塚の「どろろ」を読みふけった。

 話は、その肉体を48ヵ所48の妖怪に奪われた悲運の百鬼丸と、天涯孤独の夜盗の少年どろろとの宿命的な出会い、そして戦乱の荒野を駆け巡る2人の少年の物語である。
 その2人が、妻夫木聡と柴咲コウ。私生活でのロマンスも交えながら話題を呼んだ。 Ph_11         

 冒頭の戦闘シーン、600人のエキストラはニュージランド人と、日本人滞在者。この映画のほとんどはニュージランドの荒野で撮影された。
 それは、戦国時代を舞台にした原作を、「神話的世界」に変えるためだった。少年どろろもオキャンな少女に変えて、「いつでもない時代」「どこでもない舞台」での愛の物語とした。だから、「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影場所だったニュージランドを選んだ。この地の広大な自然環境が、これまでの日本の時代劇のイメージを覆したのである。

 映画のコンセプトをデザインした絵本作家の正子公成は語る。
 「原作の持つイメージを再現するには、よくある既存の世界観ではなく、日本人独自の感覚、日本人でしか創造できない新しい映像を第一に心がけた」
 欧米ファンタジー映画の持つドライな感覚ではなく、日本的情念がかもし出すウエットなファンタジー映画は、こうして生まれた。

 監督・脚本は「黄泉がえり」の塩田明彦、共同脚本を「ドラゴンヘッド」のNAKA雅MURAが担当した。
 百鬼丸と妖怪たちとの壮絶なアクションを描くため、世界屈指のアクション監督、「HERO」のチン・シトウを招いた。
 百鬼丸を妖怪に売り渡した父親役が、中井貫一。母親役は、原田三枝子。物語の語り部、ビワ法師中村嘉葎雄の存在感が大きい。

 時代劇であり、妖怪もの、古典悲劇、西部劇、伝奇ロマン、喜劇、お伽噺と映画評論家の山根貞男は書いているが、まさに多才な表情を持つ映画だった。

 既に、世界20ヵ国での上映が決まっている。

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February 15, 2007

568.二月大歌舞伎

Kabukiza200702_04b_handbill  国立劇場では、開場40周年を記念して「昭和歌舞伎・元禄忠臣蔵」(全10編)を三ヶ月に亘って通し上演したが、歌舞伎座では今月、「仮名手本忠臣蔵(かなてほんちゅうしんぐら)」を「通し狂言」として上演している。

 普段、歌舞伎座では、「義経千本桜」や「仮名手本忠臣蔵」など大狂言の場合はその一部を抜き出して上演している。(昨年3月「義経千本桜・吉野山」、10月「仮名手本忠臣蔵・五段目・六段目」など)
 これを「見取り狂言」と呼んでいるが、それだけで起承転結がしっかりと出来ているので、独立した狂言ともいえるのだ。

 さて今月の「通し狂言」、といっても二段目・八段目~十段目は抜けているが、昼の部から夜の部まで、「仮名手本忠臣蔵」で通した。
 この狂言は、ご存知元禄年間に起こった赤穂浪士47人による敵討を舞台化したもので、1748(寛延元)年に人形浄瑠璃として初演された。
 作者は、並木千柳・三好松洛・竹田出雲の3人。ご政道批判にならないように、時代を将軍足利尊氏の頃として舞台も鎌倉になっている。だから最後の討ち入りは、船で由比ガ浜に上陸して高家(実際は吉良家なのですが)の屋敷に乗り込む、という按配になる。

 今回見たのは夜の部。いはば「お軽勘平物語」といえよう。最後の幕に十一段目「高家表門討入りの場・奥庭泉水の場・炭部屋本懐の場」と、実録風の立ち回りがあるが、中心になるの勘平の苦悩、お軽との愛、再開した兄平右衛門との情愛である。そしてその心情全てを、義士の頭領由良之助(大石蔵之助)が引き受ける筋立てとなる。

 登場する主な顔ぶれは、菊五郎(早野勘平)、玉三郎(女房お軽)、梅玉(斧定九郎)、権十郎(千崎弥五郎)、左團次(不破数右衛門)、吉右衛門(大星由良之助)、児太郎(大星力弥)、仁左衛門(寺岡平右衛門)、歌昇(小林平八郎)、幸右衛門(高師直)ほか。
 吉右衛門の由良之助とお軽の玉三郎はまさに当り役で、これまでも度々歌舞伎座に登場している。
 歌舞伎ならではの配役の面白さだが、昼の部では由良之助を吉右衛門の兄幸四郎が、勘平を夜は敵役を務めた梅玉が演ずる。そしてお軽は時蔵。それぞれの幕が独立した一つの狂言というわけだが、昼・夜とほんとに通してみて、役者の演技力の違いを比較するのも面白いだろう。

 来月の歌舞伎座、今度は「義経千本桜」の通し狂言である。こちらは、舞台も登場人物も実録通り。菊五郎と福助、梅玉、仁左衛門が見もの、藤十郎も一幕登場する。

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February 14, 2007

567.旅情

 歌舞伎を楽しむ「ひとまく会」の仲間のなかで、映画好きが集まって「往年の名作鑑賞会」を開いている。今回は「情婦」と「旅情」の2本建て、仕事の都合で「情婦」は後半の法廷のシーンだけだったが、久し振りにディートリッヒの艶姿を堪能した。

Venezia_95_007_m ご存知のように、「旅情」は水の都ヴェネチアを舞台にしたラヴ・ロマンス映画。といってもアメリカ人の中年女性(キャサリン・ヘップパーン)とハンサムなイタリア男(ロッサノ・ブラッツイ)のほろ苦い恋物語である。
 随所にヴェネチアの美しい街が登場、ラスト・シーンのヴェネチア駅・「白いくちなしの恋」の別れは、半世紀たった今でも印象に残っている。

 この作品を監督したのは、巨匠デイヴィッド・リーン。高校生時代、田舎の古い活動写真館で見た「旅情」以来、彼の作品はほとんど見ている。
 1908年イギリスで生まれたリーンは、「逢びき」(45)などメロドラマを得意としてきたが、その後はハリウッドで大作に取り組むようにもなった。
私の観た作品を、思い出すまま年代順に並べて見ると(一部はTV・ビデオで)、「大いなる遺産」(46)、「戦場にかける橋」(57)、「アラビアのロレンス」(62)、「ドクトル・ジバコ」(65)「ライアンの娘」(70)、「インドへの道」(84)と続く。

 キャサリン・ヘップパーンは、リーン監督よりひとつ年上のアメリカ女優。4年まえに96歳で亡くなったが、アカデミー・主演女優賞に12回ノミネートされ、4回も受賞した演技派の大女優である。
 「旅情」のなかで「50歳以下の女はまだ少女よ」のセリフがあるように、この時が48歳だった。飾り気のない個性的な魅力、この作品でも中年女性の孤独感、恋に戸惑う少女の様な気持ちを見事に魅せた。
 私がこれまで観た彼女の作品は、「アフリカの女王」(51)、「去年の夏突然に」(54)、「招かれざる客」(67)、「冬のライオン」(68)、「オレゴン魂」(76)、「黄昏」(81)。オスカーを受賞したのは、「招かれ・・」「冬の・・」「黄昏」それに「勝利の朝」。この作品は、彼女が26歳の時のもので、まだ観てはいない。
 昨年TVで久し振りに「冬のライオン」を観た。ショーン・コネリーとアフリカの砂漠を舞台に演じたこの作品、ヘンリー・フォンダと共演した「黄昏」とともに、強い印象を残した作品である。

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February 13, 2007

566.輝く夜明けに向かって

Wallpaper_1_800 「遠い夜明け」「サラフィナの声」等、南アフリカのアパルトヘイトを舞台にした名作は多い。アフガンやイラクを描きにくいアメリカのメジャーも、20年という時間を経たこの事実は、ストレートに扱う。製作者たちは、南アフリカを取り上げることで、ブッシュに「NO!」を突きつけているのかも知れない。

 テーマは、「正義の闘士」と「テロリスト」が鏡の両面だということだ。例えば、アラブの民衆はアルカイダを「聖戦の闘士」と讃え、西側は「テロリスト」として攻撃する 。そして歴史もまたその時間によって、「テロリスト」を「正義の士」に変える。

 この映画は、南アフリカの反アパルトヘイト闘争の中で「自由の闘士」として賞賛され、また「テロリスト」として投獄された実在の人物を描いている。映画のラストに、本人も登場するがどこででも見られる好々爺である。その彼、ノンポリで浮気もする普通の黒人青年が、なぜ「後戻りの出来ない世界」に身を投じたのか、それをサスペンスとして描いた。

 作品が、単なるプロパガンダではない人間ドラマとなったのは、脚本の力が大きい。書いたのはショーン・スロヴオ、両親が反アパルトヘイトの活動家で、母親は、ボーア人政府側に暗殺されている。
 また映画にも登場すANCの軍事部門の指揮官、主人公のかっての上官は彼女の父親である。残念ながら、彼はこの映画を観ないういちに、亡くなっている。

 監督が「裸足の1500マイル」「ボーン・コレクター」の名匠フイリップ・ノイス。彼をシドニー・ポラック(「愛と哀しみの果て」)とアンソニー・ミンゲラ(「イングリッシュ・ペイシェント」)の2人のオスカー監督がプロデューサーとして支えた。
 主人公は「君の帰る場所」で数々の賞に輝いた新鋭デレク・ルーク。彼を追う捜査官を、これもオスカー俳優ティム・ロビンス(「ミスティック・リバー」)と手堅い出演者を揃えた。

 全編に解放賛歌「フリーダム・ソング」がパワフルに流れる。今も南アフリカで活躍するフイリップ・ミラーが担当した。「歴史の重さ」「人権の重さ」「真実の重さ」を音楽も主張する。

 「人は人を許すことでしか本当の自由はつかめない」。
 実在する主人公が、ロッベン島の監獄からネルソン・マンデラ等と共に釈放された時の言葉である。

 映画の原題は“CATCH A FIRE”、製作者たちの想いが込められたタイトルである。「輝く夜明けに向かって」は、あまりにも日本的な情緒に頼ったネーミングではないか。

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February 12, 2007

565.マリー・アントワネット

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 フランス革命のなか、ギロチンで処刑されたマリー・アントワネット。昨年はその生誕250周年にあたり、それを記念してフランス政府の全面的な協力の下、ヴェルサイユ宮殿で大規模な撮影を行った作品である。
 とくにこの作品はこれまでの映画とは異なり、教科書に出てくる様な王妃ではなく、生身の女が描かれているところに魅力がある。

 その魅力を作り上げたのは、監督と衣裳デザイナーと音楽監修の3人の力と言って良い。
 監督はソフィア・コッポラ。東京での異邦人を描いた「ロスト・イン・トランスレーション」で、アカデミー脚本賞を受賞した。写真家でもありデザイナー、女優としても活躍しているソフィアは、フォード・コッポラ監督の娘。シャネルでファッションを学んだ彼女の独特な映像感覚は、「新しい世代」の誕生といわれる。今回は、脚本もプロデューサーも担当している。

Ma_wp04s_1  衣裳デザインがミレーナ・カノネロ。これまで5回もアカデミー賞にノミネイトされ、「炎のランナー」と「パリ・リントン」でデザイン賞を獲った。イタリア出身の彼女は、パリ・ロンドンでファッションを学びウイーンやメトロポリタンのオペラ劇場の衣裳デザインから、映画の世界に入った。この作品では、第二の主役ともいえる「リュクスな衣裳」で、時代考証に従いながらも「究極のセブレ」マリーをファンタスティックに飾った。

 音楽監修・スコアは、ブライアン・レイツュエル。「ロスト・イン・トランスレーション」でもソフィアと組み彼女の過激な演出を音で支えた。今回も「香港庭園」や「フールズ・ラッシュ・イン」など、80年代のポップ・ミュージックを巧みに選んで「18世紀の宮廷物語」の背景を浮き立たせた。彼自身、ポップ・バンドのドラマーでもある。

 マリー・アントワネットの役は、「スパイダーマンシリーズ」で売り出し中のキルスティン・ダンスト。14歳でオーストリアの運命を背負わされ、フランスに身売りされたお姫様。ブルボンの血を再生産するための「機械」とされたマリーが、妻として母として恋に焦がれる女として成熟していく姿を、けなげにそして美しく演じた。                                         

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February 11, 2007

564.焼酎バー「黒瀬」(70)

 最近の焼酎の話題を、新聞・HPから要約で。

 「いもづるの会」焼酎の将来を議論

 焼酎の蔵元、酒販店、愛好家で作る「焼酎文化・いもづるの会」では、先月末新年の研修会を開催、焼酎の現状や将来について話し合った。冒頭、IPA日本酒情報研究所長が、市場動向を報告。06年の数量は、甲類が対前年比3%減ったのに対し、本格焼酎は2%増で、一部銘柄の好調な動きに支えられた。ただ全体の伸びは鈍化し、大手卸の寡占化が進んでいるとのこと。
 一方、リキュールやその他の雑種が伸びており、すきまを埋めるような新しい商品の開発が必要だ、との意見が出された。(南日本)

 「サントリー、本格焼酎をリニューアル」

 サントリーでは、これまで販売してきた「それから」「八重丸」を、原料由来の旨みやコクを強化して、今月末から全国に一斉販売する。
 両銘柄とも「麦」「米」「芋」のラインナップをそろえているが、「それから 芋」は、鹿児島県大隈地方の新鮮なコガネセンガンを使用することとし、黒麹仕込み、常圧蒸留という伝統的な製法で、より芋焼酎らしいしっかりとした味わいと、豊かな香りを実現した。
また「八重丸 芋」の方は、コガネセンガンのふくよかな甘みとやわらかな味わいが特徴の、まろやかな本格芋焼酎。
 蔵元はいずれも曽於市の大隈酒造、140年近い歴史をもつ岩川醸造の第二の蔵として、昨年設立された。(日経他)

 「メルシャン、桜焼酎を発売」

 芋焼酎を中心として伸びてきた本格焼酎市場は成熟し、焼酎ブームのなかで消費者の嗜好は多様化してきている。そのため“おいしそう”で“めずらしい”新素材への期待が求められている。
 そこでメルシャンは、米焼酎の伝統と技術を生かしながら、若い蔵人たちの新しい挑戦から生まれた「桜焼酎 桜薫る」を、来月全国で新発売する。
 この焼酎は、米麹のもろみの中に桜の葉を加えることで、桜の華やかな香りとすっきりとしたまろやかな口当たりの酒質が出来上がった。
 価格は720ml25°1200円(税別)           (日経他)

 焼酎バー「黒瀬」のホームページ
 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/                         

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February 09, 2007

563.東京道産酒の会

 月に一度、北海道を慈しむ仲間達が集まり、地元の酒と料理を楽しむ「道産酒の会」。私も昔5年間北海道に勤務していたので、発足の頃から出席している。183回にあたる今月のスピーカーは、会員の三石知左子さん。

 三石さんは、札幌出身の小児科医。現在葛飾赤十字産院の院長、90を超える日赤関係の病院では、初めてのまたたった一人の院長を勤めている。お話のテーマは「医療界の絶滅危惧種」

  • 動物の世界で、絶滅が心配されている代表的な種は、パンダとオラウータンと言われている。これを医療の世界に当てはめれば、パンダが産婦人科医、オラウータンが小児科医。
  • 例えば小児科医、現在1万4688人いるがこの3年で688人しか増えてはいない。そして20代の医師の、2人に1人が女性である。
  • 産婦人科医になると、1万163人と753人減っている。そして20代では、3人に2人が女性である。
  • つまり20代の女性の医師は、この5~10年の間は結婚して出産、育児で手をとられるケースが増えるので、医師の数が急減する心配がある。
  • だから育児支援や夜間保育、復職支援を制度的に充実させないと、産婦人科医と小児科医の絶対数が不足してしまう。
  • 勤務している葛飾産院は、92ある日赤病院のなかではただ一つ産科と小児科だけの専門医院。13名の常勤医師がいるが、出産件数はは2000人と大学関連病院では日本一の数である。月に直すと160人から180人、分娩室からは、休むまもなく赤ちゃん誕生の声が聞こえるのである。
  • 葛飾では、自然のお産を心がけている。そのため助産師の役割を重視している。ローリスクのお産は助産師に任せ、早産などハイリスクな分野を医師が担当する仕組みだ。また、生み方もフリースタイル、産婦の望む姿勢や畳の間での出産が出来るよう施設を整えている。
  • 出産は、父親の役割が大事だ。現代の出産は、生まれた赤ちゃんは、すぐ母親の胸に抱かせておっぱいを飲んでもらう。これをカンガルーケアーと呼んでいるが、ここにパパカンガルーが居るか居ないかが、その後の赤ちゃんと母親の精神的な安定に大きな影響を及ぼす。
  • 出産は女だけの、また「機械」が生産するような単純な出来事ではない。

 

 今回テーブルに並んだ「北海道料理」は、以下の通り。

 「数の子西京漬け」「行者ニンニクお浸し」「蟹コロッケ」「じゃがいもチップ入りのじゃこサラダ」「豆乳冷奴」「身欠き鰊つけ焼き」「蕪雲丹若布入り射戸込」「塩昆布梅御飯にぎり」「鮭粕汁」

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February 08, 2007

562.それでもボクはやってない

325423view001 「Shallweダンス?」の周防正行監督が、11年ぶりにメガホンを執った作品は、「裁判」がテーマ。今回も大ヒットである。日比谷のシャンテシネに出かけたところ、当日の指定席券は売り切れ。2日後をようやく確保した。

 館内は、シニアから学生、男女を問わない。このように幅広い層の支持を受けている映画は珍しい。「シコふんじゃった」や「Shallwe・・・」など、その切り口の意外性でフアンが多い周防監督だが、今回のテーマが「痴漢冤罪事件」を克明に追うことで、今関心の高い「裁判のありよう」を「怒り」をもって描いているからだ、と思う。

 痴漢事件も多いが、冤罪のケースも多々ある。罪を認めれば、刑はともかく早期釈放されるし、時には示談で済む。否定でもすると長期拘留そして裁判、助けてくれる人がいないと、社会から抹殺されてしまう。今や日本の裁判制度には、「推定無罪」はないのだ。

 「バッチギ!」や「硫黄島からの手紙」で繊細な演技をみせる加瀬亮が、痴漢に間違われた何処にでもいそうな青年を演じる。彼を助ける友人と母親が山本耕史ともたいまさこ、若い女性弁護士が瀬戸朝香そしてベテラン弁護士役所広司の組み合わせ、となる。

 舞台は、事件現場となった電車の中と取調室、留置所。あとは、地裁の法廷の中と限られているが、個性ある役者達の表情・仕草・語り口が見る人を厭きさせない。

 そういえば、このところ「法廷シーン」の多い映画を3本も観ている。「愛ルケ」に「ゆれる」、なぜかそこに登場する裁判官が、皆同じようにのっぺりとしているのが面白い。今回は、正名僕蔵と小日向文世。そう、検事も「揺れる」の木村祐一に今回の尾美としのりと。「愛ルケ」だけは長谷川京子と、シャロン・ストーンばりのチラリズムだったが。

 最後に、今の刑事さんたちは、皆パソコンが上手いという事を知った。取調べ調書は、みなパソコンからアウトプットされたものなんですね。これなら供述がくるくる変わっても、簡単なのだ。3本の映画とも、取調室で容疑者を脅し賺しながら、パソコンのキーを叩く刑事さんたちが、特に印象的なのです。

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February 07, 2007

561.ゆれる

 「失ったものは、もう取り戻すことが出来ない」。人間の残酷さ、悲しさ、そして痛み、「兄弟」という強い絆の脆さの中に、心の「ゆれ」を見る。

 06年の日本映画は、この作品に代表される。カンヌ国際映画祭のも正式出品されたが、この春「毎日映画コンクール・大賞」「ブルーリボン賞・監督賞」「東スポ映画大賞」「大阪シネフェステバル・1位」「ヨコハマ映画祭・作品賞・監督賞」「高崎映画祭・最優秀監督賞」「朝日ベストテン・1位」「キネ旬ベストテン・2位」、そして数々の主演俳優賞、助演俳優賞、新人賞を受賞した。

 製作したのは、寡作だが日本では最高の映像制作集団テレビマンユニオン。5年前、「蛇イチゴ」で新鮮な演出力を見せた西川美和が、再びオリジナル脚本で人間の深淵に迫った。彼女は、学生時代に「誰も知らない」の是枝祐和に見出され、彼のスタッフとして働いてきた。そして是枝のプロデュースの下で、前作と今回の「ゆれる」の脚本・監督を務めた。

Ph01 出演者もいい。オダギリジョーの弟と香川照之の兄、この二人に挟まれて「ゆれる」真木よう子、父親の伊武雅之と伯父の蟹江敬三。都会で生きる弟と田舎に残った兄、ある「事件」をきっかけにこの兄弟の絆が崩れ行くのである。

 作品は昨年夏に公開された。ただ「単館」上映だったため、見そびれてしまった。すでにDVDも発売されているのでそれを買う予定だったが、「毎日映画コンクール特別鑑賞会」が開催され、幸いにも大スクリーンで観ることが出来た。

 評判に違わぬ作品だったことを、記録に留めて置く。映画のラスト、刑務所を出所した香川が、オダギリジョーを認めてかすかに微笑むシーンは絶妙だった。

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February 06, 2007

560.エラゴン・遺志を継ぐ者

324286view005_1324286view003_1  「ロード・オブ・ザ・リング」「スター・ウオーズ」「ハリー・ポッター」と、次々に製作されるファンタジー・アドベンチャーに「大人の観客」は少々食傷気味かもしれない。この「エラゴン」もその系譜を継ぐ作品。

 昨年の映画興行収入で、邦画が洋画を抜いたのもこうした「超大作」が、日本では大ヒットしなかったからだ。もうこの手の作品に、私たちは驚かなくなったのだ。だから、どう楽しませてくれるか、どう感動させてくれるか、が勝負になる。

 この作品にも「売り」はある。原作者クリストファー・パオリーニは十代の少年。主役は18万人の中から選ばれた17歳の学生エドワード・スペリーア。脇を固めるのが「運命の逆転」でオスカーを獲った舞台俳優のジェレミー・アイアンズとジョン・マルコヴィッチ。そして監督は、「超新人」のシュテフェン・フアンマイアーである。

 フアンマイアー、一般には馴染みが薄いがその世界では有名人。ジョージ・ルーカスのVFX工房「ILM」に15年在籍し、彼から「視覚効果の天才」と呼ばれた男である。「ターミネーター2」でCGのスーパーバイザー、「プライベイトライアン」「パーフェクトストーム」などでVFXを担当した。今回も空を飛ぶ「ドラゴン」などに冴えを見せたが、「ロード・オブ・ザ・リング」などで体験済みの観客は、もう驚かない。

 同じ頃上映されていた「シャーロットのおくりもの」も、ファンタジー映画。豚とクモと少女(ダコタ・ファニング)が織り成す楽しい物語だったが、こちらの方が感動した。「視覚効果」が、素直に受け入れられたからだ。

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February 05, 2007

559.ラッキーナンバー7

71_320_1 あまり話題にはならなかったが、洒落た映画である。なかなかスタイリッシュでスリリング、新しいアメリカ・エンターティンメントの息吹を感じた。

 2年前の作品ということは、大手配給会社が見落としていたということか。アートポートという会社が輸入した。

 出演者が凄い。並べてみよう。“ついてない男”(主人公)ジョッシュ・ハーネット(「ブラック・ダリア」)、“殺し屋”ブルース・ウイリス(「シン・シティ」)、“検死官”ルシー・リュー(「チャーリーズ・エンジェルス」)、“刑事”スタンリー・トウッチ(「ブラダを着た悪魔」)、そして二人のオスカー俳優モーガン・フリーマン(「ミリオンダラー・ベイビー」)とベン・キングスレー(「ガンジー」)が対立する“マフィアのボス”、この6人が、騙しあい殺しあうのだ。そして20年の“時”が、サスペンスをよぶキーワードとなる。

 作品のアイデアは、ABCテレビ等で活躍するジェイソン・スミイロヴィクが、10年前に考えていた。それが熟して「ホワイト・ライズ」のポール・マクギガンが映画化した。サスペンス、クライム、ラブ、ミステリー、コメディーと全ての要素が凝縮した作品、キレのいい演出でカメラワークも上手い。

 騙されたと思って、劇場に足を運んでみたら?

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February 03, 2007

558.特別展・江戸城

EdoEdo2  江戸東京博物館で開催されている特別展、「これを見ずして江戸は語れない」というので昨日出かけた。午後の遅い時間だったが、結構混んでいる。

 戦国時代の1457(長禄元)年、相模国守扇谷上杉氏の重臣・大田道灌が江戸に城を築いてから、今年は550年になる。この特別展はそれを記念して、江戸城の全貌を明らかにしようというものである。

 上の絵は左から「武州州学十二景図巻」(部分)、江戸城の天守閣が描かれた珍しいもの、右は広重の「東都名所 霞ヶ関全図」(部分)。こうした画や絵図・屏風、書状のほか、出土品や大判・小判など、200点を超える資料が展示され見ごたえがある。

 印象に残った展示物をいくつか紹介すると、まず「江戸城御本丸天主百分ノ壱建地割」。江戸城建築の棟梁を代々務めた甲良家の文書で、天守閣の設計図である。これは国の重要文化財にも指定されている。また棟梁のひとり中井家の「御天主軸組図」も面白い。江戸城の天守閣は、三回火災で焼失しており、明暦の大火以後は建てられていない。かっての姿は、この建築図面で想定する他はない。

 安土・桃山時代の「太閤分銅金」から「天正大判金」に「永楽通宝」、「慶長大判・小判金」「一分金」に「丁銀」「豆板銀」などの通貨も歴史を語る。これらの品々は、確か旧三和銀行が収集していた。現在は、江戸博が保管しているようだ。

 このブログでも紹介した映画「大奥」。この大奥に関する書状にも興味が引かれる。1844(天保15)年5月10日、大奥から出火した火事で本丸は炎上したが、この時焼死した奥女中衆の名簿一覧もあった。

 また二年に一度、城内を練り歩いた「山王御祭礼練込図」(1860・万延元年)や「老中・若年寄御用部屋への経路図」も面白い。前者は、神田明神の祭礼と交互に町衆が城内に入れた唯一の機会、後者は今で言えば、会社の幹部が社内各部署をチェックしている姿を想像させる。

 江戸城の本丸跡は、現在公園として公開されているが、今回の展示を頭に入れてもう一度辿ってみよう。

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February 02, 2007

557.ディパーテッド

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 アイルランド系マフィアのボスがジャック・ニコルソン、組織に潜入する覆面刑事がレオナルド・ディカプリオ、警察にもぐりこんだネズミがマット・デイモン、そして最後はタイトル通りにみんな「死者」になる。

 アカデミー賞にノミネートされたこの作品は、「ギャング・オブ・ニューヨーク」のマーティン・スコセッシが監督した。イタリア系移民出身の彼は、「ギャング・・・」でもアイルランド移民を扱い、差別されるカソリックとプロテスタントとの対立を描いた。今回もまた底流にそれがある。単純な警察とマフィアとの抗争ではないのだ。そのことを象徴するのが、冒頭のニコルソンのセリフなのだ。

 「ケネディが大統領になる前は、アイルランド系は職にも就けなかった。黒人だけが差別されていたのではない」

 ご存知のとおりこの映画は、香港メディア・アジアの「インファナル・アフェア」が下敷きになっている。アンドリュウー・ラウ監督の三部作は、アンディー・ラウとトニー・レオンが主役だったが、リメイク権を買ったワーナー・ブラザースはそれを一本にまとめ、ディカプリオとデイモンを配した。そして舞台はボストンである。

 作品の完成度は高い。リアルで綿密な計算に基づいた複線が張られる。携帯電話が小道具としてうまく使われ、緊張感を生む。

 映画は全世界に公開されているが、中国だけが上映を拒否している。広東マフィアも登場するがそれだけが理由ではない。それも映画の楽しみのひとつ。 

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February 01, 2007

556.グアンタナモ、僕達が見た真実

Top_img_01  こんな「ドキュメンタリー」映画を見せられると、ほとんどのドキュメンタリストは脱帽せざるを得ない。

しかしこの作品は、俳優と多くのエキストラによる「再現」映画である。真実を伝えるためには、この方法しかないのだ。日本ではすぐ「やらせ」というが。

 タイトルで判るように、この映画はテロリスト容疑者として米軍基地に送られた、無実のイギリス国籍の若者達の真実の記録である。

 作品は、昨年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)をとった。それはニュース性のあるテーマだけでなく、「目を覆うばかりの残酷な現実とその被害に遭いながらも、生き抜く若者達の友情と成長の物語」が高く評価されたからだ。

 監督はマイケル・ウインターボトム。イギリスBBCなどで数多くのドキュメンタリー作品を撮り、10年ほど前から映画監督となった。02年にはパキスタンの難民の少年を描いた「イン・ディス・ワールド」で、ベルリン映画祭グランプリ他3部門を制覇した。今回は、これまで彼の作品の編集やユニット監督を務めてきたマット・ホワイトクロスも共同監督、主に三人の若者本人のインタビューを担当した。

Intro_img_01Intro_img_02  映画は、若者へのインタビューを軸に、実際のニュース映像も挿入、主人公の若者たちと尋問するCIAや虐待する海兵隊兵士を俳優が演ずる。グアンタナモ基地は、イランでセットを組んで撮影、ニュース映像と寸分違わぬ露天の牢獄を再現している。

 アフガンで捕らえられ、グアンタナモに収容されている人は、現在でも500人以上を数える。「捕虜でもない。犯罪者でもない。敵性戦闘員である」というブッシュの理屈で、ジュネーブ条約を適用せず、弁護士も付けられない密室で虐待が続いているという。

 「華氏911」でブッシュ批判のドキュメンタリー映画を作り、カンヌでパルムドール賞を獲ったマイケル・ムーアのコメント。

 「アメリカの有権者は皆、この映画を観るべきだ。」

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