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May 31, 2007

649.九州路・阿蘇草千里

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07_640_4907_640_50Kusasen35 国道325号線から南阿蘇登山道路に入る。群生しているミヤマキリシマの、可憐な花を楽しみながら山を登ると、大草原に出る。

 「阿蘇草千里ヶ浜」、烏帽子岳(1337m)の中腹に広がる草原で二つの池が美しい。冬は格好のスケート場となる。
 草原は、烏帽子の旧火口跡で、ここが阿蘇火口観光のベースでもある。
 レストハウスで昼食をとったが、観光ズレしてサービスも悪く美味しくない。熊本は米の産地でもあるが、とくに御飯が不味かった。

07_640_51MainKakou34  阿蘇は、世界でも有数規模の二重式火山、外輪山に囲まれた全てが旧火口であり、その中にいくつかの火山がある。そして中央の中岳は、今も活動中である。

 今回は時間がないので火口までは登らなかったが、直径600m、深さ130mの火口からは蒸気が吹き上がっている。40年昔ここを訪れたが、周りの退避壕を確認しながら、恐る恐る 火口に降りた事を思い出した。

 「阿蘇ライブカメラ」(http://www.rkk.co.jp) をクリックすれば、火口の現在の様子を1分間隔で更新された映像が見られる。

 滞在1時間30分、阿蘇パノラマライン、やまなみハイウエイを通って別府へ向かう。途中県境のレストハウスで休憩した。ここは、松岡農水大臣の出身地。亡くなる前日のことである。

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May 30, 2007

648.九州路・高千穂峡

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07_640_4307_640_4407_640_45 初夏の緑を訪ねて、九州路を旅する。

 ここ高千穂峡は、熊本空港から阿蘇外輪山に沿って東へ車で1時間30分、宮崎県に入った山中にある。

07_640_4607_640_4707_640_48  その昔、阿蘇火山活動によって噴出した溶岩流が、五ヶ瀬川に沿って流れ急速に冷やされたため、柱状節理の懸崖となった渓谷である。

Tadikara_jpgTaka2  高千穂峡はまた、神話と伝説の地でもある。
 渓谷の近くにある天の岩戸神社は、アマテラスオオミカミが乱暴な弟スサノオノミコトを怒って隠れた岩戸。アメノウズメノミコトが、面白可笑しく神楽を舞って、アマテラスを岩の中から引き出した。
 その「神楽」が村人達に伝承され、毎年秋になると夜通し33番が奉奏される。
 高千穂の夜神楽は、国指定重要無形民俗文化財の第一号なのだ。

 午前中の早い時間だったため、高千穂峡は静か。およそ1時間渓谷を散策、つぎの目的地阿蘇へ向かう。                                                   

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May 29, 2007

647,焼酎バー「黒瀬」(77)

Photo_7 前号に引き続き、今年の「酒類鑑評会」で優等入賞した焼酎の中から、「黒瀬」と縁の深い銘柄のいくつかを、コメント付で紹介しよう。

 「萬世」 (良質のさつま芋と杜氏の匠が響和し合った逸品。名の通り、世代を越え時代を超えて飲み継がれるにふさわしい本格焼酎。「黒瀬」の故郷南さつまに昨年新しい蔵、松鳴館が誕生した。)
 「貴匠蔵」(黒麹かめ壺仕込みのこの焼酎が、「優等賞製造場代表」を受賞。つまりグランプリである。同時入賞の「黒麹仕立て桜島」は、この2月に行われた鹿児島県の鑑評会で「総裁賞代表」も受賞。「黒瀬」と同郷だがこの銘柄は、隣の谷山にある醸造所で作られている。)
 「知覧武家屋敷」(先週のブログ642号で紹介した、特攻基地知覧にある蔵元の本格焼酎。この町には薩摩藩時代からの武家屋敷も残っており、薩摩の小京都とも呼ばれる。広大で肥沃な大地から、特産のお茶とコガネセンガンが生まれる。)
 「白波」(芋焼酎をローカルから全国区に育て上げたのが、この銘柄を造る薩摩酒造。鹿児島一の大醸造所で米・麦焼酎も生産するが、やはり黒瀬杜氏の仕込んだ芋焼酎が逸品。枕崎にある「明治蔵」では、5種類のサツマイモが試飲できる。)
「小鶴くろ」(この銘柄も全国区。新鮮な鹿児島県産のさつま芋と、シラス台地に磨かれた自然の地下水がコクと旨みを生み出す。伝統の黒麹仕込みと小正独特の単式蒸留器を「日置蒸留蔵」で見学できる。)
 「伝」(焼酎蔵 薩州 濱田屋が、清酒と同じ黄麹を使いかめ壺仕込み・木桶蒸留・かめ貯蔵と全てを古式製法にこだわって造った芋焼酎。江戸時代からの宿場町、海陸の交易地として栄えた市来町にあるこの蔵は、創業135年。手造りの技を見学しながらの試飲もOK。「黒瀬」ではカウンター奥の板戸の中に納まっている。)
 「奄美」(黒糖焼酎の中からただひとつ選ばれたのが、この銘柄。もちろん「黒瀬」にも置いてある。厳選された黒糖と、サンゴ層の硬水で丹念に造り上げた、風味豊かな徳之島の焼酎である。度数は30度、ロックでそのまろやかな旨みを味わってほしい。)

 「黒瀬」:東京渋谷区渋谷二丁目14-4 電話5485-1313

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May 28, 2007

646.焼酎バー「黒瀬」(76)

 各地の国税局は年に一度「お酒」を鑑評して、品質の優れた銘柄とそれを造った杜氏を表彰している。
 九州では熊本国税局が「清酒」「本格焼酎」「黒糖焼酎」を審査しているが、平成19年酒類監評会に「本格焼酎」の本場鹿児島から、244の銘柄が出品され、うち28点の本格焼酎と1点の黒糖焼酎が優等入賞した。

Imgp08962_640_1Imgp09112_640_1  入賞した銘柄のほとんどが、「黒瀬」でも飲めるので紹介しておこう。 (順不動)

 「さつま無双」「さつま無双黒」(さつま無双〈株〉)、「かめつぼ仕込み」(三和酒造)、「蔵の神」(山元酒造)、「鉄幹」(オガタマ酒造)、「晴耕雨読」(佐多宗二商店)、「さつま木挽」(雲海酒造)、「萬世」(萬世酒造)、「知覧武家屋敷」(知覧醸造)、「小鶴くろ」(小正醸造)、「田苑芋」(田苑酒造)、「さつま白波」(薩摩酒造)、「明るい農村」(霧島町蒸留所)、「伊佐錦」「黒伊佐錦」(大口酒造協同組合)、「黒麹仕立て桜島」「貴匠 蔵」(本坊酒造)、「海童」(濱田酒造)、「伝」(薩州濱田屋伝兵衛)、「龍門滝」「龍門滝黒麹仕込み」(さつま司酒造)、「さつま大海」(大海酒造)、「小鹿」(小鹿酒造)、「森伊蔵」(森伊蔵酒造)、「照葉樹林」(神川酒造)、「さつま黒若潮」(若潮酒造協同組合)、「島之泉」(四元酒造)、「三岳」(三岳酒造)、「黒糖焼酎奄美」(奄美酒類)。 

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May 27, 2007

645,神童

 ここ1~2年、空前のクラッシック音楽ブームが続いているそうだ。昨年のモーツアルト・イヤーの一連のフェスティバルや、有楽町で行われる「熱狂」のクラッシックイベントは若い人たちで超満員になるという。
 この映画の原作、さそうあきらの漫画「神童」(「漫画アクション」)の影響も少なからずある、と評する人もいる。

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 特にそれを意識したのではなく、会合のつなぎの合い間にふらっと入って見たのが、この作品である。それが思った以上に良質な作品だった。
 言葉より先にピアノを覚えた中学生の“神童”と、音大を目指す“落ちこぼれ”の浪人生との、恋人でもない、兄弟でもない、ぎこちなくて愛おしい関係を瑞々しく描く、ただそれだけの映画なのだが。

 出演者も良かった。神童役が成海璃子、TVドラマ「瑠璃の島」「1リットルの涙」で大ブレイクした14歳である。この作品が始めての映画出演だが、近々2本の主演映画が封切られる。相手の浪人生は松山ケンイチ、ご存知「デスノート」の彼である。
 そしてワキを固めるのが゙、柄本明、吉田日出子、串田和美、手塚理美、西島秀俊、甲本雅祐と映画・演劇界のベテランたち。それに貫地谷しほり(「スウイング・ガールズ」)。

 監督はテレビ・ドキュメンタリー出身の萩生田宏次、3年前初監督した「帰郷」で高い評価を受けた。そして脚本が「リンダ、リンダ、リンダ」の向井康介。

 クラッシク音楽のピアノが主題だから、演奏者も紹介しなければいけない。
 成海も小学四年までピアノを習っていたので演奏の演技は旨い。しかし「音」には、本物の「神童」が必要だった。
 成海の「ゆびと音」は和久井冬麦、5歳でウイーンの国立音楽大学に入学し「世界の神童」と呼ばれた少女である。そして松山の「指と音」は、一昨年のショパンコンクールで1位となった清塚信也が務めた。

 映画のクライマックスシーン、成海(和久井)がオーケストラをバックに弾いた曲は「ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K466」。奇しくも、昨年の「モーツアルト・イヤー2006フェステバル」のファイナル・コンサートで和久井冬麦が弾いた曲だった。

 イギリス出身のオルガニストで日本在住のモーガン・フイッシャーが、来日した世界のクラッシク大御所役で出演しているのも面白い。演奏のシーンは無かったが。

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May 25, 2007

644.ドレスデン、運命の日

Teasingmainimg   第二次世界大戦で、連合国軍から無差別空襲を受けて壊滅した街「ドレスデン」。
 17世紀から18世紀にかけて、ザクセン王国の首都だったこの街は、「エルベのフィレンツェ」「バロックの真珠」と呼ばれた古都である。また、白磁で有名な「マイセン」の街でもある。

 1945年2月13日夜10時13分、244機のイギリス空軍の爆撃機がこの街を襲った。翌朝1時23分、今度は552機の爆撃機が第二次の攻撃をかけた。1472トンの爆弾と1262トンの焼夷弾は、2万5千戸の建物を破壊した。空襲のあった翌日、街のシンボルでもあった「聖母教会」が強烈な熱風によって崩れた。それが記録に残された、事実である。
 当時ナチの宣伝省は、「20万人の市民が虐殺された」と連合国側を非難したが、死者の数はいまをもっても確定していない。

 広島・長崎、東京や大阪の空襲の悲劇は、いくつかの映画で後世に伝えられている。しかしドイツでドレスデンは、まだ語られていない。それは、ヨーロッパにおける「加害者としてのナチス・ドイツ」の負い目からかもしれない。

 ベルリンの壁の崩壊後、これまで封印されてきた「歴史的真実」の映画化が始まった。「ヒトラー~最後の12日間」「白バラの祈り」などの名作がそうである。この作品は、2年前倒壊した聖母教会が再建された事がきっかけとなって、映画「トンネル」を製作したスタッフたちが製作したものである。

 作品はフィクションだが、イギリス・ドイツ双方の歴史家たちの協力により綿密なリサーチを行い、脚本を書いた。主人公の看護婦と敵国イギリス軍兵士との「禁断の愛」を中心に、加害者・被害者の立場を超えた戦争悲劇を映像化した。

Bg_dresden_txt02_2  2時間30分の大作のクライマックスは、ドレスデンの街を再現した巨大セットが、燃え尽きるまでを映像化した地獄図である。それは、広島の平和記念館で見た平山郁夫の絵を思い出させる。

 監督:ローランド・ズゾ・リヒター(「トンネル」)、出演:フェリシタス・ヴォール、ジョン・ライト

 映画のラストで、復元された「聖母教会」が映し出されるが、当時の瓦礫をジクソーパズルのようにつなぎ合わせて再建したものだそうだ。およそ10年の歳月がかかったというが、それがドイツ人の根気強さか。

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May 24, 2007

643.焼酎バー「黒瀬」(75)

 焼酎の話題、最近の新聞・ホームページから要約で。

 「赤芋原酒の焼酎」
 
霧島町蒸留所は、鹿児島県産の赤芋アヤムラサキを原料に使った焼酎「赤芋原酒 明るい農村」を先週から発売している。
 甕壺で仕込んだアルコール度数36度の原酒を、赤土焼きのかめに入れたもので、1.8ℓ1万500円。「果物のような深い香りとやさしい甘さが特徴」だそうだ。

 「青色瓶の焼酎」
 
いちき串木野市の田崎酒造は、代表銘柄「薩摩七夕」を青色の瓶に詰め、七夕の季節に合わせて販売する。(6月~8月)
 アルコール度数25%。720ml998円。

 「サッカーチームを焼酎が支援」
 
西之表市の社会人サッカーチーム「FCコスモ」は、地区内で天皇杯予選に出場できる唯一のクラブだが、今回から地元の田崎酒造がスポンサーになった。そしてユニホーム代の半額を負担して、ユニホームの背中に同社の焼酎「甘露」のロゴを入れる。
 また、シニアチームの交流試合で、ペナント交換代わりに行われる「焼酎交換」も、同社から提供される「甘露」とした。
 「宣伝にもなるし、地元スポーツの支援にもなる。試合終了後のダイヤメに地元焼酎を酌み交わしてもらえれば」と同社の弁。(いずれも南日本から)

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May 23, 2007

642.俺は、君のためにこそ死ににいく

001_1 現職の知事が脚本を書き、製作総指揮をしている事がひっかかって見るのを躊躇していた。日頃の言動から、戦争賛美になってしまう危惧からだ。主役の岸恵子もその事で、二年ほど出演を苦慮したという。
 しかし故郷が舞台だし、主人公の故鳥濱トメさんと亡母が同じ村の生まれで、お付き合いしていたので、先日劇場に出かけた。

 作品は、「特攻の母」として慕われたトメさんの視点から、若き特攻隊員の短くも熱き青春を、真実のエピソードで綴ったもの。
 作家時代からトメさとの交流があった「知事」が、聞き記した話がベースとなっている。8年前に企画され、脚本は出来上がっていたという。

200507010908511 作品については賛否両論あるだろうが、メインとなるエピソードは既にこれまで、映画やテレビ、本や雑誌で紹介されている。だから特に新しい事実はない。
 「ホタルになって帰ってきた」M軍曹、「アリランを唄って出撃していった」朝鮮出身のM少尉、「日本は負けるよ」といって三回も出撃して散ったU少尉、子犬を可愛がった少年兵、そして特攻に失敗して戦後を苦しんで生きた隊員・・・・・、戦局の敗勢を挽回する手段となった「沖縄特攻」だけでも1036人が亡くなっているのだ。

 特攻隊員の役は、徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆らが演じ、監督は「沖縄」に拘る新城卓が担当した。
 沖縄出身の新城は「家族や国を守るために沖縄の海に散華していった若者たちへのレクイエムを撮れたのは大きな喜びであり、誇り。」と、 特攻基地・知覧で開かれた試写会で語る。

 VFXの技術が格段に進歩したせいか、当時の記録フイルム、現存する米駆逐艦を使ったフィリピンでの撮影、5000万投じて実寸大で再現した「陸軍戦闘機・隼」などが上手く映像化され、衝撃的な特攻シーンを見せる。

 トメさんは、15年前89歳でなくなり、その母についての「語り部」となった次女も亡くなった。確かに戦争は遠い出来事のようだが、知覧をはじめ九州に十数か所ある旧特攻基地では、時間が止まったままである。

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May 22, 2007

641.過去を持つ愛情

 歌舞伎を楽しむ「ひとまく会」の仲間のなかで、映画好きが集まって「往年の名作鑑賞会」を開いている。今回は「007/ロシアより愛をこめて」(1963年)と「過去を持つ愛情」(1954年)の2本立て。
 仕事の都合で、007の後半からだったが若き日のショーン・コネリーに会えた。その後、ボンド役はいろいろ代わったが、コネリーに勝る役者はまだ出てこない。四年前N.Yのホテル・プラザで飲んだドライマティーニ「ジェームズ・ポンド」の味を思い浮かべながら、最後の見せ場を楽しんだ。

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 これは53年前のフランス映画、「過去を持つ愛情」のポスター。フランソアーズ・アルヌールとダニエル・ジュランの二人。
 リスボンを舞台に、暗い過去のため愛し合いつつも結ばれずに、別れ去った若き男女の悲恋物語である。当時私はまだ中学生、見せてもらえる筈はなかった。
 その後テレビの名作劇場等で放送されたようだが、見損なっている。それを今回は、スクリーンで初めて鑑賞できた。

 アルヌールは、1931年アルジェリア生まれのフランス女優。「ほのぐらい背徳的なかげりと、けだるい官能性をもつ美女」と、ある人が評していたが、12年前「リュミエールの子供たち」で会ったのが最後だ。
Francoiseheddo1sss  古い順に記憶を辿ればジャン・ギャバンと共演した「ヘッドライト」(56)、ジルベール・ベコーとの「遥かなる国から来た男」(57)、「パリジェンヌ](61)、「フランス式十戒」(62)、「ダイヤモンドに手をだすな」(66)ぐらいか。

 一方のジュランは、「カルタゴ」(60)と「エヴァの恋人」(66)しか記憶にない。なかなかハンサムなパリ野郎だが。

 監督のアンリ・ヴェルヌイユの作品は、たくさん観ている。手だれの職人監督で、「ヘッドライト」をはじめ、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの「地下室のメドレー」(63)、ジャン・ポール・ベルモントの「ダンケルク」(64)、ジャン・ギャバンにアラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラが出演した「シシリアン」(69)、ユル・ブリンナー、ヘンリー・フォンダ、ダーク・ボガートの「エスピオナージ」(73)、ジャン・ポール・ベルモンドの「追悼のメロディー」を思い出す。

 「過去を持つ愛情」は初め見たが、劇中に登場するアマリア・ロドリゲスの唄うファド「暗いはしけ」はよく聞いた。ポルトガルの浜辺で、海に消えた漁師の夫を待つ女のファド(唄)である。
 この曲のヒットで、彼女は来日してコンサートを開いたそうだ。

 もうひとり付け加えておこう。アルヌールの扮する富豪の未亡人を追う、ロンドン警視庁の刑事役トレーヴァー・ハワード。「第三の男」や「太陽に向かって走れ」など脇役で有名なイギリス俳優である。彼の存在が、悲恋物語のキーポイントとなる。

 リメイク版が出来てもおかしくない「名作」だった。

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May 20, 2007

640.東京みなと祭

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 浅草では「三社祭」、日比谷では「アフリカン・フェステバル」、築地では「ひもの祭」!と昨日土曜日は各地で祭りが開かれていた。しかし私は、やっぱり晴海の「みなと祭」にした。懐かしい「にっぽん丸」の展帆イベントが行われるからだ。

07_640_3807_640_3907_640_40  帆船の展帆は、そう簡単ではない。ベテランセーラーの指導の下、実習生達はラットライン(縄梯子)を伝ってマストによじ登る。そしてフットロープ(支え綱)を渡ってヤード(帆桁)に硬く包み込まれたセイル(帆)解く。
 解帆が終わると展帆となる。デッキの実習生たちは、「ワッセ!ワッセ!」と展帆綱を引き帆を展いていく。およそ1時間、24枚の帆が晴海の港に展がった。

07_640_41 今年も日本丸の元キャプテン、橋本進さんがボランティアで展帆のガイドを務めていた。
 「日本丸は4本マストのバーク型帆船。帆を展る順序は、各マストともロアー・トプスル(下から二番目の帆)、アッパー・トプスル、ロアー・ゲルンスル、アッパー・ゲルンスル、ロイヤルの順・・・・・・・」

07_640_42  展帆の後は、特設会場でキャプテンの「記念講演会」。
 30年前、アメリカ建国200年を記念してニューヨークで催された「世界帆船パレード」に参加した、「日本丸の航海」のエピソードを中心に、「海運王国・日本」の再生を語った。

0001_30003_30004_1  最後に紹介されたのは「日本丸航海」のドキュメント。私が30年前に制作した懐かしい映像だった。
 当時橋本キャプッテンも40代、私も30代と元気盛りの頃だった。

 「東京みなと祭」も、今年で60回。今日は「日本丸」の一般公開や「水の消防ページェント」、日の出会場、臨海副都心会場、野鳥公園会場の4か所で様々なイベントが行われている。
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May 19, 2007

639.團菊祭・五月大歌舞伎

Kabukiza200705s_handbill_1  今月は応援している橘屋さんの「十七世市村羽左衛門七回忌追善狂言」があるので、「ひとまく」ではなく夜の部全幕を観る事にした。

 604号(「橘屋さんを偲ぶ会」)でも紹介したように、羽左衛門は6代目菊五郎の甥。彼亡き後は松緑をたてて菊五郎劇団を支えてきた。この「團菊祭」には最も縁のある役者なのだ。

 追悼狂言は「女暫」(おんなしばらく)、歌舞伎十八番で有名な祝祭劇「暫」の女性版。
 大掛かりな扮装をした荒事師が、危機一髪の時に「しばらーく」と声をかけて登場し、悪をこらしめ善人を助けるというもの。かって羽左衛門も主役を演じていたが、今回は次男の市村萬次郎が女方巴御前の役で「しばらーく」と登場する。
 追善狂言だけに、羽左衛門の3人の子息と3人の孫が出演するのも見ものだ。敵役蒲冠者範頼に長男の坂東彦三郎、木曽義仲の遺児で範頼の詮議を受ける清水冠者義高に三男の河原崎権十郎、そして亀三郎、亀寿、光の三人の孫が並ぶ。
 もちろん團菊祭だから、松緑、菊之助、海老蔵、團蔵と豪華メンバーが「腹だし」や敵役として登場する。
 見所は巴御前の萬次郎が、花道の七三に止まって長い「ツラネ」を言い立てるところ。一世一代の演技を楽しませてもらった。
 最後は舞台袖での「御礼」の口上、そして三津五郎とのユーモアたっぷりのやりとり、女方に戻って恥らいながら花道から消える。

 次の演目は舞踊劇。藤間流家元でもある松緑の「雨の五郎」と、坂東流家元三津五郎の「三ッ面子守」の二幕。
 三つの面を付け替えながら、三人の人物を瞬時に踊り分ける三津五郎、歌舞伎界を代表する踊りの名手だけに観客はうっとりと見惚れていた。

 最後の演目は「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)」、通称「め組の喧嘩」。1806(文化3)年芝神明の境内で起こった、力士と火消しの鳶の喧嘩を題材にしている。明治の中頃の初演以来、度々上演されている人気作品である。
 今回はその演目を、菊五郎劇団と成田屋一門オールキャストで見せた。火消し「め組」の頭・辰五郎を菊五郎、力士側のトップ四つ車大八を團十郎、以下時蔵、梅玉、松緑、田之助、海老蔵、左團次、萬次郎、團蔵、権十郎・・・・・・、ここでも羽左衛門の孫竹松が、イナセな火消し鳶で登場している。
 「火事と喧嘩は江戸の華」、1時間50分の四幕八場は最後まで飽きさせない。

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May 18, 2007

638.こわれゆく世界の中で

Judetop1 「コールドマウンテン」「アルフィー」「クローサー」「アビエイター」とジュード・ロウの主演映画は、よく見ている。最近でも、「ホリデイ」(ブログ616号)「オール・ザ・キングスメン」(ブログ618号)そしてこの作品である。
 ただ今回は、これまでのハンサムで格好いい 役ではなくヨレヨレのジュード・ロウである。いや、「格好」ではなく精神的に参っているのだ。

 監督はこの手の作品を得意とするアンソニー・ミランゲ。イタリア人だがイギリス映画協会会長を務める。
 “禁断の愛”を描いた「イングリッシュ・ペイシェント」では、9部門でアカデミー賞に輝いた。そして“究極の愛”を貫いた「コールドマウンテン」。今回は“真実の愛”である。

Image_bg  原題は「BREAKING AND ENTERING」。破壊そして始まり、とでも訳すのか、そう単純ではあるまい。そういう意味で、邦題の「こわれゆく世界の中で」はうまいネーミングだ。

 舞台はロンドンのキングス・クロス。日本では昔の新宿といった所。仕事で歩いた事があるが、かなりヤバイ雰囲気だった。この雑然とした地域を「壊して再開発」する巨大プロジェクトのリーダーが、ロウの役である。

326852_01_01_02326852_01_03_02   「誰もが愛を探し、求め、もがく中、運命は残酷なまでに全てを破壊し、彼等の心を試す。」
 ミンゲラは、街を壊すことで「愛を壊す」。それが「真実の愛へと至る、唯一の方法」だと映画で語る。だから主人公のロウは、ヨレヨレなのだ。

 壊される愛に絡むのは二人の女性。繊細な恋人がアメリカ女優のロビン・ライト・ペン(「フォレスト・ガンプ」「美しい人」)、もうひとりの美しい未亡人がフランス出身でオスカー女優のジュリエット・ビノシュ(「イングリッシュ・ペイシェント」「ショコラ」)。ロウがイギリス出身だから、この配役にもミンゲラの意図が隠されている。
 もう一人、ルーマニア人の売春婦役に「デイパーテッド」で注目を集めたアメリカ女優ヴェラ・ファミーガが出演している。これがなかなかの存在感をみせる。
 佳作である。

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May 17, 2007

637.新橋演舞場・歌舞伎

Zakan_top_photo 旧木挽町にある「新橋演舞場」。ここで初めて歌舞伎を観た。
 演舞場は1925(大14)年、芸者置屋森川家の発案で五業組合関係者が立した。新橋芸者の技芸向上を披露する目的だった。だから現在でも「東どり」は、ここで披露される。
 今は埋め立てられているが、築地川沿いにあるこの場所は、松平周防守の下屋敷跡。江戸時代の実話をもとに脚色された歌舞伎、「加賀見山旧錦絵」のお初が、主人の敵を討った舞台でもある。
 東京大空襲で焼けたが戦後復興、現在の建物は1982(昭57)年に新しい設備を取り入れ新装オープンした。

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 今回のお目当ては昼の部「鬼平犯科帳」だが、他の演目も楽しめた。

 先ず始めは、歌舞伎十八番の内「鳴神」(なるかみ)。1742(寛保2)年、大坂の佐渡島座で二代目市川団十郎が演じた「鳴神上人北山桜」の四幕目「岩屋の場」が独立したものだ。
 あらすじは、「朝廷の仕打ちに怒った上人が、三千世界の竜神を岩屋に閉じ込めた。日照り続きで困った朝廷は、美人の雲の絶間姫を遣わせて、色仕掛けで上人の神通力を破る」というもの。
 鳴神上人を染五郎が、姫を芝雀が演ずるが、上人が姫の色香に迷って堕落していく様と、騙されたと知って怒り狂う「荒事芸」の対照が面白かった。

 「鬼平」はご存知、池波正太郎の原作。今回は「大川の隠居」で、映画やテレビの「鬼平シリーズ」とは違って、殺陣や十手捕り物が一切出てこない「人情物」。
 フジテレビの「鬼平シリーズ」のビデオは全部揃えているが、池波の原作にこんなにホロリとさせる話があったことを、初めて知った。テレビと違って、歌舞伎だからこそ生きるのだろう。
 主役の火付盗賊改め長谷川平蔵は、もちろん中村吉右衛門。池波が彼の父八代目松本幸四郎をイメージして本を書いただけに、吉右衛門以外にこの役はありえない。老盗人・船頭の友五郎役、中村歌六との酒を酌み交わしながらのやり取りに、場内は静寂につつまれる。そして決まったとき、「播磨屋!」「萬屋!」の掛け声。これが歌舞伎の醍醐味である。
 他の出演は、妻久栄に福助、同心たちが段四郎、錦之助、松江、密偵に歌昇。平蔵の友人、剣客の左馬之助を冨十郎が勤める。

 最後の演目は「釣女」。狂言の「釣針」を、河竹黙阿弥が歌舞伎に変えた舞踏劇である。
 美女を釣り上げた大名と、醜女を釣ってしまった太郎冠者のユーモアたっぷりの舞踏である。
 終戦直後、先代吉右衛門の太郎冠者と先代勘三郎の醜女で話題を呼んだ作品だそうだが、今回は歌昇が冠者、吉右衛門が醜女。巨漢の女形の吉右衛門に、場内は爆笑につぐ爆笑で幕。 

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May 15, 2007

636.BABEL

Babel_morocco_1024x768_1Babel_rinko_1024x768_1 菊池凛子が広告塔になって、「バベル」は封切前から様々なメディアでパブリシティが行われた。だから、ストーリーはほぼ周知されている。とすれば、「映像」がどんなに新鮮な「感動」を呼び起こすかが、勝負だった。

 評価は割れた。「スゴイ映画」と感動した人と、「予想したほどでは」と呟く人。私は後者である。
 作品は、カンヌ国際映画祭では最優秀監督賞、ゴールデングローブ賞では作品賞を受賞したが、アカデミー賞は逃した。つまり「クロウト」受けする作品なのだ。

 監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニヤリトウ自身、評価されたのが7年前のカンヌだった。「アモーレス・ペロス」で批評家週間のグランプリをとり、映画界にデビューした。メキシコ人の彼は、アンチ・ハリウッドの象徴となり、各地の国際映画祭などで53もの賞をとる。そして次作の「21グラム」、3作目の「バベル」と衝撃的な作品を投げかける。
 スタッフも、これ等3作品を作った中南米の「同志」たちである。イニヤリトウと共同で脚本を書いたギジエルモ・アリアガ(「メルキデス・エストラーダ・3度の埋葬」)カメラを回したロドリゴ・プリエト(「ブロークバック・マウンテン」)もメキシコ人、音楽のグスターボ・サンタオラヤ(「ブロークバック・マウンテン」でアカデミー賞)だけが、アルゼンチンである。

 「21世紀の今、この星(地球)全体が“バベル”のようになってしまった。世界のあちこちで争いが絶えないばかりか、言葉の通ずる隣人や親子の間でさえも、心が通じなくなった。」
 この主題を、イニャリトゥ監督はモロッコ・アメリカ・ニッポン・メキシコを舞台に、四つの物語で描く。そして時間を巧妙に交叉させることによって、一本に纏め上げる。これは、「アモーレス・ペロス」で見せた彼独特の作法でもある。

325136view001_1325136view015_1  出演者は、プラッド・ピット(「Mr&Mrs」)、ケイト・プランシエット(「アビエイター」)、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司そして菊池凛子ほか。米・豪・メキシコ・日・モロッコと3大陸・4言語を話す人々である。

 日本でのロケは、渋谷・新宿と佃のリバーサイドで行われたようだ。すぐ隣の高層マンションが、役所・菊池親子の自宅に設定されたため、いつも見る都心の夜景が重要な心象風景となっていた。
 しかし、全体からみると「日本の物語」だけが浮いていた。メキシコ人のイニャリトゥにとって、日本はどこよりも「言葉」が通じない「バベルの塔」なのだろう。 

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May 14, 2007

635.渋谷おはら祭

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 祭りの季節。江戸時代から続く神田明神の本祭りは、今日まで。新しい「渋谷・鹿児島おはら祭」は、この土・日と道玄坂~文化村通りで繰り広げられた。
 新しい祭りといっても、今年で10回目。当初から企画に参画していたが、年毎に賑やかになってきた。

07_640_3007_640_3107_640_32  同郷の仲間たちも、「おどり連」を組んで 毎年参加している。日ごろの練習の成果もあって一昨年は「準グランプリ賞」、昨年は「グランプリ」に輝いた。

07_640_3307_640_34  郷里からも毎年「ふるさと連」が上京してくる。もともと鹿児島で古くから続いている「おはら祭」を、渋谷に持ってきたのだから彼女達が先輩だ。
 在京・在郷が列をつないで踊るのが恒例となっている。

07_640_3507_640_3607_640_37   今年、ハイライトのパレードに参加したのは、60連2000人。地元渋谷の民舞グループや在京の「村の会」や「高校同窓会」のほか、鹿児島からは18組のおどり連が参加した。

 渋谷でなぜ鹿児島の祭が?の疑問には、昨年ブログに書いたがおさらいしておこう。
 中世の頃この地を治めていた豪族・渋谷氏が、源平合戦の功で薩摩に所領を得て一族挙げて移住した史実。その渋谷氏の末裔である東郷平八郎が、渋谷に居をもうけ、死後東郷神社が建立されたこと等々、鹿児島と渋谷の縁は深い。
 そうそう、渋谷駅前にある「忠犬ハチ公」像も初代・二代とも、作者が鹿児島出身の安藤照・武士だった。

 今年は10回目ということもあって、パレード・コンクールの表彰式が「氷川きよし」のアトラクションを加えて、NHKホールで開かれた。
 その後、郷里からの皆さんを慰労する会が「黒瀬」で開かれ、在京の諸兄たちは久し振りのかごしま弁を堪能していた。

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May 11, 2007

634.東京道産酒の会(17)

 前号に続いて「道産酒の会」スピーチの概要を。

 「焼酎ブームは、20年ほど前の『下町のナポレオン・いいちこ』に始まる。
 この頃『減圧蒸留』という新しい技術が導入された。これによって、焼酎独特の臭み(フーゼル油)が除去された。またイオン交換樹脂を使って、華やかな香りを生み出して軽くてまろやかな飲みやすい焼酎が誕生した。
 これが若者に評判で、炭酸割りや水割り・ロックで飲まれた。麦焼酎が中心だったが、米焼酎・ソバ焼酎にもこの蒸留方法が普及した。」

 「今世紀に入って『第二次焼酎ブーム』が起こる。今度は芋焼酎がリードする。そのきっかけは、増税である。
 この年から焼酎の税率は、ウイスキーとほぼ同じになった。焼酎ブームでスコッチの売れ行きが減ったイギリスの圧力だった。
 増税は、小規模な蔵元が多い南九州に危機感をもたらした。起死回生、そのためには品質の向上、消費者の声を取り入れた個性ある銘柄創りである。例えば、これまで一般に使われてきた『白麹』だけでなく、明治・大正時代に使われた『黒麹』を使ってキレと深みのある味を工夫した。黒麹は、沖縄の泡盛に使われている麹である。また、江戸・明治初期の『黄麹』にもトライする。これは、日本酒の麹と同じでフルーティーな風味が特徴だ。
 こうした試みは、その頃農大を卒業した蔵元の後継者達がリードした。日本酒再興に賭ける長野や新潟出身の同級生たちに刺激されたこともある。また、大学で、醸造技術だけでなくマーケッティングなど、経営について学んだこともあった。彼等が故郷に帰ってきて、これまで地元消費中心あった焼酎を、全国区にした。
 製造手法で差別化を図る蔵元も出てきた。木桶による蒸留、甕壺仕込みなど、手間はかかるが昔ながらの手作りで、個性を出した。原料になる芋の品種改良も大きい。でんぷん質を多く含み、甘みのある『コガネセンガン』の登場である。
 この結果が、爆発的なブームである。しかし原料不足、出荷量の制約などで『プレミアム焼酎』が生まれた。」

 「焼酎ブームを支えたのは、若い女性と中高年。ロハス・スローフードに健康志向である。
 本格焼酎や泡盛には、血栓を予防して溶かす酵素『ロキナーゼ』の増加をうながす働きがある。焼酎を飲むと酵素が2倍になる、という結果が医学界で評判になった。ワインの1.5倍である。善玉コレステロールの増は、以前から言われていた。またプリン体がビールの100分の1、日本酒と違って糖分がゼロ、カロリーも低いしストレス解消には最適なのだ。二日酔いも少なく目覚めが良いというのも、愛飲者が証明している。
 ただしこれらは、あくまでも適量を飲んだ場合のことである。
 しかし何よりも、ブームを支えているのは『値段が安い』につきる。だから、プレミアム焼酎は問題なのだ。」

 「芋焼酎の大半を生産する鹿児島、昨年『薩摩焼酎』の名称がWTOによって国際的なブランド名に登録された。ブルゴニュー・ボルドー・シャンパン・コニャック・ハイランドなどと並ぶ。フランス・中国・ブラジル・香港・アメリカへの輸出も始まった。
 北海道でも、焼酎の生産が増え始めている。『たんたかたん』は紫蘇の風味を利かたもの。昆布や若布、牛乳など特産品を生かしたユニークな焼酎も多い。ぜひ試飲してほしい。」

 昨夜の「東京道産酒の会」は、前回に引き続いてジャズを楽しんだ。「五つの銅貨」「メモリーズ・オブ・ユー」など、北海道出身のクラリネット奏者後藤雅弘さんを中心にトランペット下間哲、ピアノ中山育美のトリオの演奏である。
 料理の方は、ラム・行者にんにく・イクラ・鰊・するめいか・雲丹・ほっけ・新玉葱・じゃがいもなど道産の素材が並んだ。締めくくりは、塩鮭の三平汁。 

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May 10, 2007

633.東京道産酒の会(16)

 月に一度、北海道を慈しむ仲間達が集まり、地元の酒と料理を楽しむ「道産酒の会」、今夜は186回目の集まりである。
 恒例のスピーチは、予定のゲストの都合が悪くなり、急遽ピンチヒッターとして世話人の私が担当した。中身は「THE焼酎」。

 「少しは納まったが、焼酎ブームは続いている。銀座のクラブで数万円、JALのファーストクラスだけで飲める焼酎、ネットオークションでは10万円もする焼酎が登場している。こうしたプレミアム焼酎は、酒造業界にも問題を投げかけている。」
 「最新の国税庁のデータでは、焼酎の消費が100万klを超えた。日本酒が73万、ビールが340万、発泡酒170万。焼酎と発泡酒以外は、前年を割っている。今や、焼酎専門蔵元だけでなく、ビール会社、洋酒メーカー、大手の日本酒メーカーまで焼酎を生産している。因みに、北海道の日本酒メーカーでは、私が飲んだだけでも、北の誉の『羆』「ピリカ伝説』、国稀の『初代泰蔵』、合同酒精の『北海男爵』『たんたかたん』、札幌酒精の『サッポロソフト』、一昨年味わった夕張石炭記念館の『琥珀の梟』、今はどうなっているか。」

 「お酒とは?実は酒税法で細かく定義されている。日本酒やビール、ワインは醸造酒。原料の糖分を酵母の働きでアルコールにしたもの。ウイスキー・ブランデー・ラム・ウオッカ・焼酎などは蒸留酒。アルコール発酵させたものをさらに蒸留して造る。例えば、ワインを蒸留すればブランデーになる。」
 「蒸留酒である焼酎には、甲類と乙類に分かれる。これは製造法の違いで、甲類は明治時代以降導入された『連続式蒸留器』で、何回も蒸留するのでよりアルコールに近くなる。原料の不純物が除去されるので、質には拘らなくていい。チューハイや梅酒のベースに使われているのがそれである。『宝』『大五郎』韓国の『真露』などがそれである。
 乙類は、古くからの『単式蒸留器』で一回しか蒸留しないので、原料の味・香り・風味・が残る。
 法律が制定された頃は、『連続式』による焼酎の生産量が多かったので、こちらを甲とした。いわば税法上の区別だったが、乙は品質的に劣るとの誤解もあり、鹿児島を中心に九州の蔵元などの運動で36年前『本格焼酎』の名前が使われるようになった。
 この半世紀、甲類の生産量が乙を圧倒していたが、数年前に本格焼酎(乙)が追い抜き現在は逆転している。これが焼酎ブームの結果なのだ。」

 「蒸留酒のひとつである『本格焼酎』も、米・麦・芋・黒糖と原料でも分類される。泡盛は、米だがタイ米。ほかに、ソバ・カボチャ・ニンジン・ジャガイモ・アズキ・アロエなど様々な原料を使った焼酎がある。これ等50種を財務大臣が認定して『本格焼酎』の名称を使う事が出来る。大根、紫蘇、昆布、牛乳、抹茶、昆布、若布などでんぷんを含んでいるものは、アルコール発酵する。しかし多くは米や麦などの穀類に混ぜ、香り付けに利用している。」(続)

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May 09, 2007

632.東京タワー

Obto_sora_1024 封切されておよそ一ヶ月、丸の内ピカデリーを覗いたら結構お客も多かった。私は先月東劇で観たが、松竹にとっては久し振りのヒット作だった。
 日本テレビに読売新聞社そして電通、その宣伝にかけるカネとパワーは凄まじい。

 始めからヒットは予想されてた。原作が200万部を超え、本屋大賞を受賞した国民的ベストセラー、リリー・フランキーが亡き母への思いを時代状況とともに真っ正直に書き綴った。
 すでにテレビが、連続ドラマとスペシャルで放送、いよいよの真打登場なのだ。

 「中年」の才人たちが集まって作った映画である。
 イラスト・デザイン・エッセイ・コラム・写真・音楽そして小説、マルチ・アーチストのリリー・フランキー43歳福岡出身。
 脚本を書いたのが同じ福岡出身の松尾スズキ44歳。劇団「大人計画」を主宰する彼は、劇作家・演出家・映画監督・俳優・エッセイストの顔を持つ。
 監督は45歳の松尾錠司、高校時代から映画を撮り日大芸術に進む。「バタアシ金魚」で映画賞を総ナメ、最近作は「さよならクロ」。
 カメラは、ベテランの笠松則通49歳。松岡と多くの作品でタッグを組む。
 音楽が最も若い上田禎39歳。「NANA」の音楽担当で知られる彼は、リリーと楽曲アレンジで共同作業を行った。
 そして製作プロダクション「リトルモア」を率いるのが、46歳の孫家邦なのだ。

Sp_photo 役者については詳しく述べることもないだろう。
 主人公“ボク”つまりリリーはオダギリ・ジョー、そのオカンを内田也哉子と樹木希林のダブルキャスト。ご存知のように也哉子は、内田裕也と希林のひとり娘。この起用が、作品にぬくもりを与えたことは間違いない。
 あとオトンが小林薫、恋人が松たか子となる。 
 うれしいのは我々世代の名優たちの登場である。佐々木すみ江、渡辺美佐子、原知佐子、千石規子・・・、それぞれパートナーたちとの交遊があるので懐かしい。

 最後に、「今年の流行語・キーワード」は、きっと「オカンとボクと、時々、オトン」。時代にふさわしい癒しのフレーズである。 

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May 08, 2007

631.ママの遺したラヴソング

Bobbylong_intro_i05Bobbylong_intro_i04 母の日が近いので先に紹介しよう。その日にふさわしい作品だから。

 生きる事に不器用な等身大の女の子を演ずるスカーレット・ヨハンソンと、亡き母の恋人、文学教授崩れの中年がジョン・トラヴォルタという組み合わせ。それを女性ドキュメンタリー作家で、長編は初めてという シェイニー・ゲイベルが4年かけてシナリオを書き監督した。

 ストーリーは別として、元文学教授が度ある毎に呟く名著からの引用が、この作品の主題を語っている ので幾つか再録しよう。
 「幸福とは、長さの不足を高さであがなうもの」(ロバート・フロスト)
 「人生の1ページは破れないが、丸ごと一冊は焼き捨てられる」(ジョルジュ・サンド)
 「100年生きるつもりで働き、明日死ぬがごとく祈れ」(ベンジャミン・フランクリン)
 「人生は冒険をやめてはならぬ。長い冒険の果てに出発点に辿り着くのだから。そして初めて居場所を知るのだ」(TS・エリオット)

 ロケは、最も暑い夏にニューオ-リンズで行われた。青空と濃い緑の映像にヨハンソンの無気力さがうまく表現されている。「真珠の首飾りの少女」「ロスト・ン・トランスレーション」「マッチポイント」と演じてきた彼女のセクシーなイメージは、この作品で一新される。4年前というから18歳の時から、この映画に出演できる事を渇望していたという。
 30年前「サタデー・ナイト・フィーバー」で見せたタッチを、貫禄をもって演ずるトラヴォルタ。ギターを弾きながら唄うブルースには、哀愁が漂う。
 その音楽は、ブルース界の新星グレイソン・キャップスが作曲した。彼は原作者の息子でもある。
 「クラッシュ」の個性派女優デボラ・カーラ・アンガーが、存在感ある演技を見せる。

 3年前に完成した映画が、ようやく日本でも上映された。 

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May 07, 2007

630.善き人のためのソナタ

 五月の連休を「ゴールデンウイーク」と名づけたのは、映画会社の宣伝部。遠出をあきらめたひとたちの足を劇場にと、話題作や子供向けの作品を並べる。多くのお客さんに楽しんでもらう為に、招待券などで入場する映画関係者はこの期間は遠慮する。
ということもあって、先週は映画とご無沙汰だった。そこで、4月に観た映画のなかからまだ紹介してなかった作品をいくつか。

20070131yokihito1 今年のアカデミー賞、外国映画部門で作品賞を獲ったのが「善き人のためのソナタ」。「素粒子」や「パヒューム」などこのところ話題の多いドイツ映画の先頭を走る作品だ。オランダ代表作品としてノミネイトされた「ブラックブック」も主要なキャスト・スタッフは、ドイツ人だった。

 この作品は、「ベルリンの壁」が崩壊する5年前の東ドイツを舞台に、シュタージュ(国家保安局)という監視システムにメスを入れ、一党独裁の恐怖政治とおぞましい腐敗を暴露した。愛し合っている恋人同士が、信じ合える筈の家族が、そして友人同志が相手を密告したという監視国家、9万1千の局員と17万人の非公式協力者(密告者)の存在は、現在もドイツ社会に深い亀裂を残しているという。

20070131yokihito2  主人公のシュタージュ大尉を演ずるのは、本人自身も以前監視の対象とされた東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエ(上の写真)、セックスもふくめ私生活の全てを盗聴され記録された恋人同士を、セバスチャン・コッホとマルティナ・ゲテックが演ずる。
 ミューエは「ホロコースト」で強制収用所死の医師メレンゲを、コッホは「ブラックブック」で諜報部大尉、ゲティックは「素粒子」で<破棄された子供>の恋人をと、今ドイツで最も話題を呼んでいる俳優たちが出演している。

 監督は、レニングラードとオックスフォードで学んだというフロリアン・フォン・ドナースマルク。若干33歳、初監督である。彼は現存するシュタージュの責任者たち、密告者たち、そして監視された人たちを徹底的に取材、脚本を書いた。
 その脚本執筆から参加して、主題となった「善き人のためのソナタ」を作曲したのは、ガブリエル・ヤレド。「イングリッシュ・ペイシェント」や「コールド・マウンテン」などの音楽を担当したオスカー受賞者である。
 「この曲を聴いた人は悪人にはなれない」と、ソナタを禁じたレーニンの逸話を逆手にとって「人間の哀しみと人生の理不尽さ」をピアノ・ソナタに託した。

 横浜や仙台など全国数箇所では、まだ上映されているが、東京は終わった。単館上映だったので見損なった人も多いようだ。どこかで、再上映の機会はないだろうか。もう一度観たい作品である。 

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May 05, 2007

629.築地春まつり

07_640_28  毎年恒例の「築地春まつり」。連休の4日、場外市場の280店が特別にオープンして目玉商品を半値で売る。当然混雑するので、躊躇したのだが、ここ数日の食材も切れていたので出かけてみた。
 予想とおりの人の波だった。特に今回は「親子で楽しむ端午の節句」がテーマで、はじめて市場を経験するこども達が多い。だから、寿司屋などは大行列である。
 玉子焼きの「大定」、マグロの「国虎」、鮮魚の「齋藤水産」など馴染みの店も大混雑、今回はパスして場内での買い物に切り替えた。

07_640_29 場内は店仕舞いが始まっていたが、最近は一般客が増えたせいか品物を並べている仲卸店も多い。場外と違って 単位当りの量は多いが、値段は確かに安い。この日は、「赤貝」小8個900円、「穴子の開き」8枚1000円、ほか玉子焼きや漬物を仕入れて帰宅した。
 新聞によると、昨日の築地の人出は約6万人。都知事選で、豊洲移転が話題になっただけに、これからもますます賑わうだろう。

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May 04, 2007

628.亀戸天神

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 北野天満宮(京都)太宰府天満宮(福岡)と、天神様(菅原道真)を祭る神社には、梅の木が多い。ここ亀戸は、ウメはもちろんだが「フジ」でも有名だ。
 この連休は、フジ棚が満開というので参詣客で賑わっていた。

07_640_1707_640_1807_640_19  お社の創建は、そんなに古くはない。1663(寛文3)年、大宰府天満宮の宮司が菅公信仰布教のため諸国を行脚、この地に大宰府をモデルとした社殿や太鼓橋、心字池を築いた。
 そして江戸時代には、庶民の身近な行楽地として、深川の富岡八幡宮とともに賑わった。

 菅原道真といえば平安前期の公家。学者・文人としても優れ、権勢を誇る藤原氏を抑えるために天皇に重用された。しかし、藤原時平の中傷により太宰府に左遷。そこで没した。
 その頃から京は異変が相次ぐ。道真のたたりと恐れられたことから、霊を鎮める為に北野天満宮が創建された。(946年)
 有名な国宝「北野天神縁起」は、道真の一代記とこの神社創建の由来、霊験を大絵巻物に綴ったものである。また浄瑠璃・歌舞伎で有名な「菅原伝授手習鑑」は、これを脚色して1746(延享3)年竹本座で、初演された。

07_640_2407_640_25   亀戸天神には、三遊亭円朝の落語で有名な「塩原太助」が奉納した石灯篭や自由民権運動の中江兆民の碑もある。


_640_2  参詣の帰りには、江戸時代から続く「船橋屋」の「くず餅」を、ぜひおみやげに。
 (JR総武線亀戸駅下車10分、半蔵門線錦糸町駅下車10分)

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May 03, 2007

627.旧芝離宮恩賜庭園

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 連休なので映画は遠慮して、都心の公園を歩く。
 浜松町駅から下車1分の「旧芝離宮恩賜庭園」は、いまフジやハナショウブが見ごろだった。
07_640_1507_640_16 その名のとおり、宮内庁が管理する離宮だったが、関東大震災で消失、翌年(1924年)昭和天皇のご成婚記念として東京市に下賜された。

 もともとは大名の庭園だった。
 徳川の譜代で小田原城主の老中大久保忠朝が、1678(延宝6)年江戸湾を埋め立てたこの地に上屋敷を建てたのが始まりである。その折、小田原から庭師を呼び「回遊式泉水庭園」を築いた。

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 庭園の要は、9000㎡の広さを持もつ池。当時は、隣の浜離宮と同じように海水を引き入れた潮入りの池だったが、現在は淡水池になっている。
 池には中島と浮島を築き、中国の杭州にある西湖の包みを模した石造りの堤を設けた。また、大山や枯滝など、大名庭園らしい造園である。

 この庭園は、その後紀州徳川家の芝御屋敷、明治維新後は倒幕大総督だった有栖川家、そして皇室の離宮と変遷したが、石川後楽園とともに、最も古い大名庭園として、ビルの谷間に残されている。

 ここから西へ歩くとすぐに竹芝桟橋、北へ歩くと東新橋の「イタリア街」を経て汐留シオサイト。ここは近世と現代を同時に楽しむ散歩道である。

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May 02, 2007

626.焼酎バー「黒瀬」(74)

06_640 先日、新聞情報として掲載した「鹿児島大学シニア短期留学」。第二回の今年は、6月3日(日)~16日(土)の14日間、鹿児島市を中心に行われる。
 この催しをPRして欲しい、と資料が送られてきたので少し詳しく紹介する。

 主宰するのは、同大学の生涯学習教育センター。その責任者である原口泉教授は、ジャーナリストの駆け出しだった私に、「歴史は、地方からそして民衆の立場から伝えるべし」と教えてくれた故原口虎雄教授のご子息。彼もまた、父の後を継いで「鹿児島から世界へ」の視点で歴史を教えている。

 シニア留学の講義は、以下の内容で一日2講座の計20講座。
〔大学教授による特別講座 〕
①鹿児島の歴史文化を学ぶ
②鹿児島の伝統産業や食文化のルーツを辿る
③鹿児島の豊かな自然と人間の共生を理解、など
〔学生向け講座の受講〕
・一般学生にまじって講義を受講

 午後は、NPO法人「かごしま探検の会」などの協力のもと、体験・交流型の巡検プログラム。例えば、「農学部演習琳での研修」「水産学部練習船への乗船」「大河ドラマ『篤姫』縁の地めぐり」など。

 ・参加資格:50歳以上の男女 20人
 ・参加費用:一人239,000円(ホテル二人利用228,000円)
 ・締め切り:5月11日(金)
 ・申し込み:日本旅行システムトラベルセンター
        ℡03-3614-3625
 詳しくは http://www.kagoshima-u.ac.jp/

 焼酎バー「黒瀬」のホームページ
 http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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May 01, 2007

625.東光展

 今年も上野の美術館に、東光展を観に行った。高校の先輩と大学の後輩が会員で、毎年出展している。

P251is03842 会場で偶然先輩の阿久根律子さんに会った。結婚後絵を描き始め、今はプロの画家としてたびたび個展も開いている。
 カメラを忘れたので「携帯」で撮ったスナップだが、今年の彼女の絵は、静かだ。いつもは、赤や黄色など原色をカンパスに叩きつけるような、エネルギッシュな絵を描く。
 水辺の睡蓮やユリ、淡い色調。こんな絵も好きなんですよ、と彼女。

P251is03595  後輩の木原容子さんの「やすらぎ」。大病で生死の境をさまよって以来4年、やっと落ち着いた彼女の気持ちが、絵に表れている。これまで、モノトーンの絵が多かったが、明るくなった。
 彼女は大学で美術を学び、高校の教師をしながら絵を描いてきた。もう40年を超える。

 東光会の会員には、絵画の教師出身者が多い。1932(昭7)年に、熊岡美彦、齋藤与里、高間惣七らによって結成された洋画団体で、「光は東方より輝かしい夜明け」から名づけられた。
 全国規模の公募展が中心だが、今年から「小品部門コンクール」が始まり、アマチュア画家も参加しやすくなった。

 5月7日(月)まで上野公園・東京都美術館で。

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