662.狂言会
東急セルリアンタワーの能楽堂で、久し振りに「狂言」を楽しんだ。茂山忠三郎・良畼親子を中心とした狂言会である。
伝統芸能「狂言」は、同じ猿楽から発展した「能」と違って、セリフも理解しやすいし道化的な滑稽さ、風刺も効いて退屈しない。
出し物は、「逆さ言葉」のヤリトリの面白さを生かした「入間川」と、酔っ払っていく様を見せる「素袍落」のふたつ。
とくに四代忠三郎の太郎冠者が、主人の使いで伯父宅に出かけ、振舞われた酒に酔っ払っていく様が、なんともいえない可笑しさを見せた。一杯飲む毎に、少しずつ顔が赤く成っていく演技は流石である。
「狂言界」といえば、大蔵流と和泉流の2派がある。後者は、野村万蔵・万作、それにテレビや映画で大活躍の萬斎の流派。週刊誌を賑わす和泉元彌は、この世界から除名されたようだが。
大蔵流の方は、こちらもテレビ・映画で有名な茂山千五郎家と茂山忠三郎家が、江戸末期に分かれた兄弟弟子の流れを汲む。そして千五郎家は、彦根藩のお抱えとなったせいか派手で豪放磊落な芸風を伝え、忠三郎家は御所お抱えの伝統からひそやかな笑いを伝統としている。
ある雑誌で忠三郎は「忠三郎家の狂言は、舞台で大笑いをさせてはいけないのです。舞台を見ていただいて『くすくす』ぐらいがいいのです。家に帰えられてお酒でも飲みながら『きょうの狂言は面白いこと言うとったな』と思い出して笑ってもらう、それが忠三郎家代々の教えです」と語っている。
今年は、三世茂山忠三郎良一50年忌。秋には各地で追善の狂言会が開催される。


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