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July 31, 2007

698.魔笛

07_640 「魔笛」は、アマデウス・モーツアルトが生涯最後に完成させたオペラ。
 豊かな娯楽性と華やかな音楽性を備えたこのオペラは、1791年ウイーンで初演。以来2世紀にわたって、世界中のクラシックファンを魅了してきた。
 序曲からフィナーレまで全22曲、アリアの間にセリフも多用、道化役も登場するなど、その後のミュージカルやオペレッタの原型になったとも言われる。

 映画はモーツアルトの描いた神話の世界を、第一次世界大戦の戦場に移したが、「魔法の笛」に導かれて出会った、恋人達のロマンチック・ファンタジーには変わりない。
 「光と闇」「憎悪と愛」の主題に、「戦争と平和」を加えた。それが、北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督の見せ所である。

 ブラナー監督は、舞台俳優から映画界に転じた才人。「から騒ぎ」「ハムレット」「恋の骨折り損」などシェイクスピア劇の映画化で知られている。また監督だけでなく、自ら主役も務める。
 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」にも脇役で出演していたが、アルトマン監督の「相続人」やウディ・アレン監督の「セレブリティ」では主演だった。

 「魔笛」の映画化にあたっては、当然メインはオペラ歌手。暗黒卿役は、ドイツ出身で当代随一のバス歌手ルネ・パーペ。深みのある歌声を響かせる。
 夜の女王役は、ロシア出身でコロラツーラ・ソプラノのリューボフ・ペドロヴァ。早いテンポの技巧的な旋律を見事に歌い上げる。

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 一方、若い恋人役にはブロードウエイで活躍しているテノールのジョセフ・カイザーとイギリスの新星イミー・カーソン。道化役にはミュージカル・スターベン・ディヴィスを配するなど、ブラナー監督は組み合わせを工夫している。

 舞台でのオペラ鑑賞は、高額出費を覚悟しなければならないが、映画だと10分の一いやシニアだと20分の1で済む。そのせいか、映画は大ヒットで、館内は満員に近い。
 ただオペラ初体験の人は、普段の映画に比べ少々退屈になる事を、覚悟しなければならない。映画のセリフだったら20秒ほどの掛け合いが、オペラのアリアだと1分以上はかかる。隣の席の男性などは、途中から鼾をかいて眠っていたが。

 映画だから写せるスケールの大きい戦場シーンと、まさにオペラの舞台そのものの室内シーンが、奇妙な調和を見せる作品だった。 

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July 30, 2007

697.焼酎バー「黒瀬」(80)

Photo 鹿児島県広報協会から、「グラフかごしま」が送られてきた。今月(459号)は、特集として「かごしまの本格焼酎」が特集されているので、その要旨を紹介しよう。

 1、焼酎学講座~人を創る~
 
ロックか水割りか、いやいやお湯割りか?!焼酎愛飲家には、それぞれの「焼酎学」があることだろうが、昨年4月、日本で初めて「焼酎」を学術的に深めるための正真正銘の講座が鹿児島大学に開設された。
 研究室は焼酎製造学と醸造微生物学。ここでは焼酎業界が喜んでくれる人材、即戦力となる人材を育てる。つまりこれまで、長い経験即に基づいて行われてきた焼酎造りに、科学的なメスを入れる。

 2、芋焼酎~本物を創り続ける~
 
40年ほど前に、鹿児島の焼酎を県外に売り出そうと、蔵元が共同出資して会社を作った。ここから売り出されたのが「さつま無双」。
 「さつま無双」は、県内のそれぞれの蔵から集められた焼酎をブレンドした商品。そのために出荷量の急激な伸びにも、柔軟に対応できた。
 各蔵から届く焼酎は、年により、また時期によっても味が違うが、ブレンダーの技によって、安定した味を届けている。

 3、奄美黒糖焼酎~本物を創り続ける~
 
黒糖焼酎の原料は、その名の通り黒砂糖。奄美諸島の各家庭で、数百年前から作られてきたが、奄美がアメリカから日本に返還される際に、特例として奄美諸島のみで製造が認められた地域限定の焼酎。
 くせが少なく、軽い飲み口でしかも糖分ゼロ!の黒糖焼酎は、初心者や女性の間で大ブーム。

 4、黒ぢょか~自分好みの一杯を創る~
 
どんな酒器で楽しむかも、焼酎の美味しさを大きく左右する。
 400年以上前に、島津義弘公が朝鮮から連れて帰った陶工たちによって始められた薩摩焼。庶民が愛用した黒薩摩の代表作品が「黒ぢょか」。
 黒ぢょかは、いろりの炭でじっくり温めるものだが、ガスコンロの直火にのせて割ってしまった人も多い。
 しかし最近は、直火対応の黒ぢょかも売り出され、都会の愛飲者も黒ぢょかが、コミュニケーションツールになった。

Imgp09112_640  5、焼酎バー~あなたが口にするその一杯のために~
 
「バー」といえばウイスキーやカクテルを頭に思い浮かべるが、数々の焼酎銘柄を取り揃える「焼酎バー」なるものがある。
 焼酎の飲み比べができ、焼酎に合うつまみを肴に、カウンター越しに焼酎バーテンダーと会話を楽しむ。
 焼酎の銘柄は1200種類はあるという。その中から、自分に合う1本との運命的な出会いのチャンスが「創」られるのが焼酎バー。

 焼酎バー「黒瀬」 ℡03-5485-1313
      
住所:東京都渋谷区渋谷2-14-4
       HP:http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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July 29, 2007

696.ふるさと会

070712_047  私の故郷は九州の西南端、日本三大砂丘に広がる村。この村に縁のある関東在住の人たちが、二年ぶりに顔を会わせた。
 出席者100人、父親が村の出身なので名誉会長を務める前総理は、参議院選投票日にぶつかったため出席できず、祝電を送ってくれた。

 シラス台地の上にある薩摩の国は、昔から貧しかった。一家の中から必ずと言っていいほど、誰かが関東や関西に働きに出た。そうした子供達の仕送りによって、村は支えられてきた。
 また上京した仲間達は、お互いに協力し支えあってきた。その所為か、長幼問わず絆は深く仲が良い。
 だから、二年に一度開くふるさと会には、毎回在住者の三分の一は出席する。

 明治22年の「町村制」の施行で誕生した私達の村は、昭和の半ば村から「町」になった。戦後の昭和大合併の時に、隣の町と合併して「市」となった。そして今回の平成大合併で、1市4町がひとつになった。その流れの中で、私達のレーゾンデートルだった「地名」が消えた。現在は母校である小学校名だけに、その名を留めている。

070712_048  ふるさと会では、地名を銘柄名に残す焼酎を酌み交わしながら、またふるさとから送られてきた「つけあげ」を肴に懇談の輪が広がった。話題はふるさとの近況から、この地での仕事の事と幅広い。
 初めて会う先輩でも、両親の名を伝えるだけで年代の差は一挙に縮まる。初めて顔を会わせる親戚もいる。

 会の歴史はもう40年を超える。参加者の中には、ふるさとを知らない二世・三世も増えてきた。しかし、「かごしま弁」のなまりだけは引き継いでいるようだ。

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July 27, 2007

695.私たちの幸せな時間

 このところ韓国映画は遠慮してたが、昔一緒に仕事をした韓国の若い友人からメールを貰ったので、久し振りに観た。
 レディス・デイでもないのに、映画館は相変わらず中年以上の女性で埋まっていた。見回すと、150人ほどの観客の中で、男性はたったの4人。
 いつも困るのは、その中年女性たちの「声高なおしゃべり」である。予告編の最中だったから仕方が無いとしても、これだって配給会社のスタッフが、苦労して制作しているのだ。
 「静かにして貰えませんか!」と、ついに注意する羽目になった。

 余談はさておき、作品は佳作だった。「デッドマン・ウオーキング」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」ほどの感動は無かったが、単なるお涙頂戴のラブ・ストーリーとは異にしている。

327632view001  男は3人を殺した死刑囚、女は3回自殺未遂した元歌手。人生に絶望して、孤独を抱えた二人の出会いから、「幸せな時間」が流れる。
 それは、「男女の恋」というレベルを超えた「人間の愛」が二人を包んだからだ。

 原作は、韓国で若い女性に支持されている人気作家コン・ジョンの同名小説。刊行して2年も経つのに、今でも韓国のベストセラーリスト5位以内を維持している。
 日本版は、あの蓮池薫さんが翻訳して、新潮社から刊行されている。

 その原作を映画化したのは、「力道山」を監督したソン・ヘソン。これまでも、世界に馴染めず孤独で寂しい人物を主人公にしてきたが、今回は「堕ちようの無い所まで堕ちた二人の人物を」暖かく見つめた。

327632view002327632view003  死刑囚役はカン・ドンウオン(「デュリエスト」)。ハンサムすぎるのが難だが、この作品でアイドルを脱皮して、俳優に成長した。人生に絶望した青年が、子供のような純粋な姿に変わる様を、素直に演じた。
 元歌手はイ・ヨナン(「小さな恋のステップ」)。モデルからトップスターとなった女優である。

 日本での配給は、7年ほど前韓国映画を輸入して今日の「韓流ブーム」を作ったアミューズ・ソフト。若い友人は、そのソウル・アミューズで働いている。

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July 26, 2007

694.憑神

Img_990215_10280183_1  とてつもない厄災をもたらす「貧乏神」「疫病神」「死神」にとりつかれ、災厄から逃れようと必死になる主人公と、どこか憎めない災いの神たち。
 両者は互いに歩み寄り、その運命を受け入れようとする最後のサムライのお話。

 「鉄道員(ぽっぽや)」から8年、原作・浅田次郎、監督降旗康男のコンビが、幕末の変革期を舞台に、自信の誇りと武士の本分を取り戻していく若い侍の生き様を描いた。
 経済格差、凶悪犯罪、いじめ、自殺という殺伐とした現代社会。やむ得ずニートやフリーターになった人、正社員になれない派遣社員など、ツイてない人たちに贈る二人のメーセージが込められる。
 「悔いを残して死ぬな」「誇りを持って生きよう」と。

070327_tsukigami_sub4070327_tsukigami_main  主人公の若きサムライは、妻夫木聡。憑神にツカれながらも、片意地はらずに楽しそうに演ずる。
 涙もろくコミカルな貧乏神は西田敏行、ドスコイドスコイトツイテいく疫病神を赤井英和、可愛い死神は「ちびまる子ちゃん」の森迫永依と、それぞれユニークな組み合わせ。
 そして、ちびまる子ちゃんの「死神」に惚れられてしまう主人公が、また可愛い。

 全てのツイていない人に幸せを呼ぶ「大型時代活劇」。だから、ツキに見放されて裁判で実刑を喰らってしまった人や、公務員からはずされる人、来週月曜から浪人生活を送らざるを得ない人たちは、選挙が終わったらすぐ劇場へ。

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July 25, 2007

693.サイドカーに犬

Sidecar_blog_thumb 「猛スピードで母は」で芥川賞を受賞した、長島有のデビュー作が原作。 文学界新人賞を受賞した原作は、文芸春秋刊の上記本に併掲されている。
 それを映画化したのが、数少ないカツドウ屋のひとり根岸吉太郎である。

 根岸監督は日活出身、藤田敏八らの助監督を務め、数々の賞を獲った「遠雷」で本格デビューした。一昨年秋には「雪に願う事」で東京国際映画祭のグランプリ、ほかキネ旬や毎日、日刊スポーツ映画賞など06年度の映画コンクールで賞を総ナメした。
 この作品は、それ以来の新作である。

 作品のキーワードは、「夏休み」と「謎の女」だという。不動産屋で働く真面目な30歳の女。彼女が20年前、ヨーコさんという「謎の多い女」と過ごした「ひと夏の思い出」が映画のすべてである。
 父子家庭の甘え下手な10歳の少女が、おおらかでそして毅然とした「ヨーコ」との出会いの中から、自己をありのままに開放していく姿が描かれる。

 その「ヨーコ」が竹内結子。男勝りで懐の深い「女」をカッコよく演じて、これまでとは全く違うキャラクターを見せた。人の心の痛みを知る女性ならではの演技である。
 20年前の生真面目な少女が松本花奈。自然の動きそのものが、抜群の演技力といってよいだろう。
 妻に逃げられた父親は古田新太。つかみ所の無い男の優しさを、独特の魅力で際立たせる。

 どの世代にとっても懐かしい80年代、まだ駅舎の残る国立が舞台。山口百恵の「プレイバック」やキヨシローの唱が口遊さまれる。そんな時代を丁寧に描いた。
 今年の日本映画を代表する一作かも知れない。

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July 24, 2007

692.傷だらけの男たち

  「なぜ彼の心は、これほどまでに傷ついてしまったのだろうか」
 映画の原題は広東語で「傷城」。舞台は香港、「SARS」に見舞われ街は傷ついた。 レスリー・チャンが自殺し、アニタ・ムイが亡くなった。
 映画に登場する主人公たちの心の傷だけではなく、香港人たちすべてが負った「心の傷」を、アンドリュ・ラウは「傷城」と比喩する。

 「インファナル・アフェアシリーズ」で国際的な名声を手にしたクルーが、今回も手を組む。製作・監督・撮影のアンドリュー・ラウと共同監督・脚本のアラン・マック 、共同脚本フェリックス・チョン、音楽チャン・クオンウイン、そして主役はもちろんトニー・レオンである。

Pic2sPic1s  監督の二人は、レオンにまだ一度も経験した事の無い役を与えた。それは、見る人すべてが納得する「傷ついた悪人」刑事だった。
 その悪人とコンビを組む刑事を、同じく傷ついた金城武が演ずる。日・台・中・広東・英語に堪能でウオン・カーウイに見出された彼は、香港映画でも違和感はない。

 傷ついた彼等を癒す女性達は、中国四大スターのひとり北京出身のシュー・ジンレイと、台湾映画界のトップスタースー・チーである。スー・チーは、リュック・ベンソンのフランス映画「トランスポーター」で有名になったあの若手女優である。
 この二人の登場は、「女」を描くのが苦手なアラン・マッ監督の初挑戦でもある。

 アンドリュー・ラウの「インファイナル・アフェアシリーズ」は、昨年ハリウッドでリメイク(「ディパーテッド」)されアカデミー賞作品賞ほか、四部門を獲得した。
 この作品をプロデュースして主役を演じたレオナルド・ディカプリオは、既に「傷城」のリメイク権を買っている。
 彼の役がレオンなのか金城なのか。本人は前者を選ぶだろうが私は金城の演じた役がふさわしいと思っている。

 エンディングテーマはラウのたっての望みで、浜崎あゆみの「Secret」が使われている。

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July 23, 2007

691.警視庁捜査第四課<暴>刑事

070712_046  同郷の後輩が近々本を出す。タイトルは「警視庁捜査第四課刑事(デカ)」、多分出版社が命名したのだろうが、決してキワもの・暴露ものでは無い。極めて真面目な、ひとりの警察官の成長の記録である。

 著者は、4年前警視正として警視庁を勇退した狩集(かりあつまり)紘一君。珍しい苗字と思われがちだが、鹿児島のわが村では割と多い姓である。
 「ノンキャリアの警視庁捜査第四課刑事(デカ)が、竹の塚警察署長に上り詰めるまでの壮絶な暴力団との戦いとデカ魂を描いたノンフィクション!」、本の帯にはこう紹介されている。
 高校を卒業して上京、18歳で警視庁巡査に。渋谷署交番勤務の後、21歳であこがれのデカに、24歳には難関の巡査部長昇任試験に合格してデカ長、30歳を前にして警部補、そして警部、警視と昇進していく。

 彼は、警視庁刑事部捜査第四課に異動して以来、一貫として暴力団壊滅に全力を尽くす。渋谷の繁華街でクダを巻いていたチンピラを、背負い投げで取り押さえた新米巡査、最後は暴力団対策課理事官として広域暴力団の跋扈に目を光らすのである。

 この本には、彼を鍛え一人前のデカに育て上げていくエピソードや事件が、淡々と記述されている。
 「マニラけん銃密輸殺人事件」「中日スタジアム恐喝・連続殺人事件」「信組支店長、暴力団不正融資事件」「大物総会屋を解散」「アメリカルートけん銃密輸事件」「アサヒビール総会屋脅迫事件」等々、70年代から80年代にかけて新聞紙上を賑わした暴力団からみの事件に彼は関わり、その解決に尽くしている。
 そして90年代、広域暴力団対策官、理事官として警視庁管内全般を取り仕切る。
 たしかこの頃、私は彼から貰った名刺をいつも定期券に入れ、いざと言うときの用心にしていた。

 退官して4年、彼はいま反社会的勢力(ASF)対策のアドバイザーとして、企業や地域の相談を受ける仕事を続けている。彼にとって反社会勢力の排除と暴力団の壊滅が、ライフワークなのである。

 狩集紘一著「警視庁捜査第四課〈暴〉刑事」(音羽出版) 1500円。今月25日発刊。

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July 22, 2007

690.それでも生きる子供たちへ

 「大人は誰も、昔は子供だった。でも、そのことを忘れずにいる大人はほとんどいない。」(アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリ「星の王子様」)
 スクリーンからこのメッセージが届く。7つの国の子供たちの現実を、7つの国の巨匠たちが、子供の目線でドラマチィックに描いたオムニバス映画である。

 原題は「All the Invisible Children」。“Invisible”(目に見えない)がキーワードだ。
 大人たちが気付かなくなってしまった世界、見えなくなってしまった子供たちの感受性、今この瞬間にも生き延びるために「タタカッテいる」子供たち。映画は観客達の問題意識を揺さぶる。

 発端は、イタリアの二人の女優と(マリア・グラッチア・クチノッタ、キアラ・ティレシ)と友人の監督(ステファノ・ヴィネロッソ)が、世界中の子供たちの窮状を救うための映画を作ろうと呼びかけた事に始まる。
 この企画に、国連機関ユニセフとWFP国連世界食料計画が協力、多くの企業も資金を出して実現した。

 それぞれのテーマは、少年兵士、ストリートチルドレン、両親の離別、HIV体内感染、貧困と差別等々。
 ルワンダ(メディ・カレフ「ケルトウムの娘」の監督)、イギリス(ジョーダン・スコット&リドリー・スコット「グラディエーター」)、ブラジル(カティア・ルンド「シティ・オブ・ゴッド」)、アメリカ(スパイク・リー「マルコムX」)、セルビア(エミール・クストリッア「ライフ・イズ・ミラクル」)、中国(ジョン・ウー「M:H-2」)、そして総合プロデューサーも務めたイタリアのヴィネルッソと、7カ国の著名な監督たちが20分弱の短編を綴った。

327442view001327442view003  最も印象に残った作品は、ジョン・ウーの「桑桑と小猫」だった。
 北京を舞台に何不自由もない大金持ちの一人娘桑桑(ソンソン)、しかし父親の浮気で両親が離別した孤独な娘と、捨子でゴミ拾いの老人に育てられた小猫(シャオマオ)が運命的な出会いをする、という物語。

 今ハリウッドで大活躍のウー監督は「文化的・経済的に劇的な変化が起こっている中国。こども達はそれをどう思っているのか、を描きかった。」と話す。
 始めは香港あたりが舞台かと思うほど、中国人の金持ちの家と生活の豪華さに目を見張った。そして貧しいこども達との度し難い格差。最近北京を訪ねたばかりだったので、強く印象に残ったのかも知れない。

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 次に考えさせられた作品は、ルワンダのメディ・カレフの「タンザ」。
 自由の名の下に、強制的にゲリラ部隊に入隊させられた12歳のタンザの物語。
 時限爆弾を抱えて進入した場所、無垢な瞳の目の前に映った標的は、憧れの教室だった。彼は銃を置き、黒板に書かれた問いに答える。

327442view007  他、HIV胎内感染した少女をめぐる差別と、それを乗り越える勇気を描いたアメリカのスパイク・リー監督の作品など、佳作が並ぶ。

 映画は2年前に作られた。日本人監督が参加していなかったからかも知れないが、ようやく日本の配給会社の目に留まった。そういう意味では、ギャガ・コミュニケーションは偉い。
 ただこの作品が、映倫によってPG-12に指定されてしまったのは残念だ。保護者同伴で、多くのこども達にも観てもらいたい。

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July 20, 2007

689.ラストラブ

Lastlove_p テレビマンたちが「洒落た」映画を作った。中身はシリアスなラブストーリー だから語弊があるかも知れないが、やはり洒落た映画と言っておこう。
 
 製作したのは、このところ「確かな」映画を送り出している共同テレビ。20年ほど前、TVドラマ「ニューヨーク恋物語」を製作したスタッフが再結集、ニューヨークを舞台に新たな「恋物語」に取り組んだ。

 最近の映画には、不治の病によって別離する若い男女の「悲恋物語」が多い。日本映画もしかり、特に「韓流」はその傾向で、「お涙頂戴」が食傷気味だ。
 「ラストラブ」も、最後は主人公がガンで亡くなる。しかし、この作品を「大人の映画」にしているのは、愛の描き方がしっかりしているからだろう。それは、情熱的な愛ではなく静かに寄り添う大人の愛なのだ。

 原作はYoshi。携帯サイトの小説で、若い女性に圧倒的な人気のベストセラー作家である。この企画を受けて、長編小説「LAST LOVE」を書き上げた。
 プロデューサーは中山和記、監督はTVディレクター出身の藤田明二。「アジアンタムブルー」に続く二作目となる。
 主役を演ずる田村正和は、14年ぶりの映画出演である。中山・藤田とは20年前に、「ニューヨーク恋物語」を作ってきた仲であるから当然だろう。この企画自体が、田村を想定して立てられたものだ。

 その田村が好い。ニューヨークで活躍していた元サックス奏者の役。ここで妻(高島礼子)をガンで亡くし、今は横浜で可愛いひとり娘(森迫永依)と静かに暮らしている。その彼がひょんな事から伊東美咲に出会い、「静かに寄り添う」ような恋が始まる。しかし、彼もまたガンに侵され余命は3ヶ月、ラストラブなのだ。

 田村三兄弟の中で、演技力は亡兄高廣に負けるが、阪妻ゆずりの「ダンディズム」は彼に敵うものはいまい。それも「正統派ダンディズム」を演ずる役者は。
 その彼がテナーサックスを奏す。劇中6ヶ所のシーンを、吹き替えなしで奏した。さすが役者である。日本のジャズ界では第一人者と言われるサックス奏者、稲垣次郎の指導は受けたが、驚くほどの腕を見せる。
 撮影が終わった後正和は、「もうサックスは見たくない」と呟いたそうだが、大変な努力だったのだろう。プロのミュージシャンと一緒に、演技ではなく「ビギン・ザ・ビギン」を演奏するのだから。

 田村・伊東のコンビも良かった。設定では57歳と27歳、実年齢でも二人の差は30歳である。だからこの映画は、団塊の世代に大いに自信を持たせてくれる。64歳の田村が恋をした。私もまだまだラブストリーが書ける・・・・・。

 映画の舞台のひとつに、ニューヨークの老舗ジャズクラブ「バードランド」が登場する。5年ほど前、ここでジャズを聞いた事があるので懐かしかったが、実はこれが撮影所に作ったセット。実物そっくりの雰囲気が出ている事を、付け加えておこう。

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July 19, 2007

688.ゾディアック

07_640_149  1969年8月7日、サンフランス近郊バレーホのタイムス・ヘラルド紙にゾディアックと名乗る男から、「殺人犯行声明」と「暗号文」が送られてきた。この声明文を掲載しないと、さらに殺人が行われると。
 
 そして4件の殺人事件、5人の犠牲者。犯人は、テレビのモーニングショーにも電話ナマ出演、「俺は人を殺すのが好きだ」と警察お挑発する。
 ゾデアックはメディアを巻き込んだ「全米史上初の劇場型殺人」の主人公となった。

 この事件をモデルにした映画作品は数多くある。事件から2年後公開された「ダーティー・ハリー」の殺人鬼も、ゾデアックがモデルとなった。
 また、彼の犯行を真似た連続殺人事件も次々と起こる。「サムの息子」事件、「BTKキラー」事件等々。これ等の事件の犯人は逮捕されたが、ゾデアックだけは今もなお捕まってはいない。

 今回の作品は、「セブン」「パニックルーム」の監督デビッド・フインチャーが、徹底したリサーチを重ねて、この未解決殺人事件に攻法で挑んだもの。
 「緻密なストーリー展開と、鬼気迫る役者達の演技で、観る者から時間の感覚を奪い去る“魔術的”雰囲気を持った傑作」(エル・ジャポン)となった。

326201view001326201view003  ストーリーは、事件の謎に魅入りられて人生を狂わされた4人の男を中心に展開する。

 舞台となった新聞社の敏腕記者(ロバート・ダウニーJr)、新聞社の風刺漫画家(ジェイク・ギレンホール)、サンフランシスコ市警の二人の刑事(マーク・ラファロ、アンソニー・エドワーズ)。
 事件にのめりこみ長年にわったての執念の追跡は、彼等の健康を奪い、キャリアを奪い、平穏な家庭さえも奪ってしまう。

 「その暗号を解いてはいけない。その男を追ってはいけない。追えばあなたも必ず嵌る。」
 ゾデアックは、実在したのではなく、今も実在しているからである。

 2時間37分の長尺の映画、しかし決して退屈はさせない。

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July 18, 2007

687.ボルベール<帰郷>

325137_01_01_02 近親相姦、尊属殺人と背景にある話は暗いが、映画そのものはそれを突き抜けて明るい。
 赤を基調とした色彩美と、タンゴの名曲「ボルベール」のせいもあろうが、母・女・娘とめまぐるしく表情を変えながら、たくましく生きる主人公が映画を温かくする。

Wp_1024_768_04  「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トウ・ハー」とアカデミー外国語映画賞や最優秀脚本賞を受賞した、スペインの名監督ペトロ・アルモドバルの女性賛歌三作目。
 監督が故郷のラ・マンチャに<帰郷>し、久々のコメディに回帰し、コメディの女王カルメン・マウラとは19年ぶり、ベネロス・クルスやロラ・ドウエニャスと再会した「ボルベール」である。

 そのベネロス・クルスが主役を演ずる。ハリウッドでも活躍するスペインのトップスターは、「オール・アバウト・マイ・マザー」でアルモドバルの期待に応えた。
 クルスの姉役が、ロラ・ドウエニヤス。「トーク・ツー・ハート」に出演した。
 二人の母役が、カルメン・マウラ。監督は、彼女に亡き母の面影を見る。
 娘役は、今スペインで大活躍の若手女優ヨアンナ・コパ、そして隣人ブランカ・ボルティージョ、伯母チェス・ランプレアベ。
 この6人は揃って、昨年のカンヌ国際映画祭の「女優賞」に輝くのである。

 映画のテーマは、「帰郷そして死」である。
 「生まれて初めて、恐怖感なしに“死”を直視できた。未だに納得はしてないが、死が存在している事を」。アルモドバルは、故郷ラ・マンチャを舞台に作ったこの作品で、ようやく母の死を受け入れたのだ。それは、自分が最も愛した時代だった。

 この映画には、男の影が少しも見えない。

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July 17, 2007

686.寄席・上野鈴本

07_640_14407_640_145 この連休は「落語三昧」。予定通り、林家彦いち師匠が「主任」を務める上野鈴本7月中席・夜の部に出かける。
 主任とは 、その「席」の番組責任者 。だいたい「トリ」を受け持つ。
 寄席の場合、落語を中心に漫才や漫談、マジック、曲芸、紙きりなど15分刻みで進行し、トリが3~40分の落語で締める。

 ブログ545号(「国立寄席」)でも紹介したが、東京には新宿、浅草などに寄席の常打館が5ヶ所ある。その中では、上野の「鈴本演芸場」が最も歴史がある。
 ここは1857(安政5)年、初代鈴木龍助が始めた講釈場「軍談席本牧亭」。明治になって苗字の「鈴」と本牧の「本」をとって現在の名になった。
 幕末の当時は寄席最盛期で、軍談席 220、噺席70を数えたという。つまり、町内には必ず一軒あったのだ。
 大正・昭和になると、演芸場や芝居小屋は映画館に変わる。落語・漫才はともかくマジック・曲芸・紙きりなどは、TVの世界で時々お目にかかれる存在になってしまった。

07_640_146  台風一過の昨夜は、大銀座落語祭の最終日。上野・鈴本の席が半分しか埋まらないのも仕方ない。夕方5時半から始まった寄席は落語が7席、間に太神楽曲芸とギター漫談、マジック、漫才が入る。
 前回の「国立寄席」に比べ、出し物が少々小粒だったのは致し方無い。主たるンバーは皆銀座に出かけているのだから。

 しかし、久し振りに彦いちの古典落語を聴くことが出来た。上方では桂米朝、関東では古今亭志ん生が得意としたあの「天狗裁き」である。
 「色っぽい夢でも見ているのかニターッとした顔で目覚めた旦那に、焼餅焼いたカミさんが夢の中身を迫る。それがもとで夫婦喧嘩、それを止めた仲間に夢を聞かれてひと悶着。大家にご奉行、ついには天狗にまで夢を教えろと迫られる・・・・・」
 もともと京都鞍馬山が舞台だが、これを江戸にもってきて彦いちが語る。

07_640_148 ここでPRをひとつ。
 林家彦いち落語独演会DVD・BOX「彦いち噺」全二巻が、この20日(金)に発売される。
 新作落語編「創(sou))」は、大学空手部出身武闘派の彦いちが得意とする体育会系 の人物描写の数々。
 古典落語をまとめた「礎(isizue)」は、古典を忠実に再現しながらも彦いちの解釈と口調で新しい世界を描く。もちろん昨夜の「天狗裁き」も、キチンと納められている。
 竹書房刊 7980円(税込み) 申し込みはお近くのDVD販売店。
 詳しくは下記の彦いちホーム・ページで。
      http://www.hikoichi.com/

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July 15, 2007

685.大銀座落語祭2007

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 2004年に始まった「大銀座落語祭」。翌年からは上方の芸人も参加、年毎に規模が大きくなった。
 主催者も「六人の会」だけでなく、銀座の商店街組織も加わった。そして文化庁と中央区が後押しする。

 評判が高まると、入場券の確保が難しくなる。メインの出し物が並ぶ銀座ブロッサム(中央区のホール)「究極の東西寄席」などは、2ヵ月以上も前に前売り券(S席5000円)を売り出、即日完売している。

 この会場では5日間3部構成8ッのイベントが開かれているが、確かに豪華な顔ぶれである。
 因みに、一部出演者を紹介すると、上方落語協会会長の桂三枝をはじめ人間国宝の桂米朝、桂春團冶に桂ざこば、桂文珍などの上方勢。落語芸術協会の桂歌丸、林家木久蔵に三遊亭園楽、橘家園蔵、柳家小三冶、三遊亭小遊三など関東の重鎮たち。

07_640_143  もちろん主催者の小朝、正蔵、昇太、志の輔、花緑も顔を出し、大トリは笑福亭鶴瓶が務める。
 さらに風間杜夫、ケーシー高峰、小沢昭一、加藤武など話芸の名人たちが、噺家にからむ。

 こちらは毎回高校同窓の仲間達と、後輩の林家彦いち師匠の舞台に押しかけ、エールを送る事にしている。ところが今回は、チケットを手に入れるのに苦労した。
 先行販売日に手分けして電話を掛け続けたが、半分しか確保出来ない。一般発売日に、インターネットで手配してようやく揃えた。このため1000円の入場券が、手数料等で300円以上も余分にかかった。

 前売り券は全て完売だというのに、初日の「オープニングスペシャル」では50席ほどが空席だった。それも中央前席と絶好の席が空いていた。
「ダフ屋まがいが、インターネットで買いあさったらしい。オークションにかけて一儲け企んだのだ。こんなの困るんだよなー」と主催者の小朝がボヤイていた。

 彦いち師匠の舞台は、14日の博品館劇場「爆笑新作らくご会」。若手の噺家に混じってベテランの味を出していた。この彦いち、ただ今上野鈴本演芸場では7月中席夜の部の主任。「お客さんが銀座へ行っちゃって、上野は閑古鳥が鳴いている」との泣きのメール。
 明日あたり、彼のトリを聞きに行く事としよう。

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July 14, 2007

684.大銀座落語祭・怪談(2)

1024_768_b_31024_768_c_2 築地から夜の銀座を迂回して、バスは新橋・日比谷から有楽町マリオンへ。「丸の内ピカデリー」では「オープニングスペシャル第2部」、映画「怪談」の試写会が夜の8時から始まった。

 解説は落語界の文化人?鈴々舎馬桜、「映画は円朝の原作のハイライト、新吉と豊志賀の因果応報のくだりを2時間に構成したもの。語りでは3時間相当を、脚本家奥寺佐渡子が上手く 書いた。ちょっと原作と異なる部分もあるが、ご了承を」とはじめに紹介。

 美しい顔立ちと、やさしい心を持った男ー煙草売りの新吉(尾上菊之助)。
 あでやかな姿と、凛とした心を持った年上の女ー三味線の師匠、豊志賀(黒木瞳)。
 出会ってはいけない、愛し合ってはいけない運命のふたり。
 ・・・・・・・とだけ紹介しておこう。実は、新吉の父親が、豊志賀の父親を惨殺して累ヶ淵に沈めていたのだ。

 監督は「リング」の中田英夫。ハリウッドでも活躍しているJホラーの鬼才が、5年振りに日本映画を撮った。そして仕掛けたのは、「THE JUON」をプロデュース、アメリカで1億1000万㌦の興行収入をあげた一瀬隆重というコンビである。
 主演の菊之助・黒木の他には、井上真央(「げげげの鬼太郎」)と麻生久美子(「どどろ」)が呪われて惨死する女に、木村多江(「大奥」)が黒木の妹、瀬戸朝香(「デスノート」)が落ちぶれた芸者という役。

 親の因果が子に報う「かさね伝説」の怖さは、愛憎と情欲など人の心が生み出す不条理なのだが、映画「怪談」はそれが弱い。
 ドロドロとした情念を描くのが不得意なのかも知れないが、菊之助にからむ女も黒木を除いては清純派、その黒木でさえも濡れ場のシーンは淡白に描かれる。だから死後の怨霊に恐怖がない。
 美しい日本映画に仕上がってはいたが。

 ひとつだけ物知りになった。「四谷怪談」のお岩さんは右目がドス黒く腫上がるが、かさねの豊志賀は左目が腫れる。前段の落語家は、それを間違っていた。

 映画「怪談」は、来月4日からロードショー。前売り券を買えば、深川不動の「浮気封じ文香」が付くそうだ。

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July 13, 2007

683.大銀座落語祭・怪談

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 「大銀座落語祭」 が開かれている。来週の月曜日16日までだが、銀座周辺のホール・劇場11ヵ所で大小合わせて80を越える催しが展開する。
 勧進元は花禄、正蔵、昇太、志の輔、小朝、鶴瓶と今時めく噺家が集まる「六人の会」。彼等の音頭で、江戸・上方の大師匠から若手までが銀座に参集した。

 昨夜は浜離宮朝日ホールで、「オープニングスペシャル・怪談『真景累ヶ淵』~落語と映画で楽しむ会」。ちょっと足をのばして楽しんだ。

 「真景累ヶ淵」は三遊亭円朝作。江戸の始め下総国羽生村で実際にあった事件、いわゆる「累伝説」をもとに、多くの登場人物と因果を絡ませ、壮大なスケールで構成された物語である。この噺は、全てを語るには15時間もかかるといわれている。
 昨夜は古今亭菊之丞が、ほんのさわりの部分「豊志賀」を1時間ほど噺した。そして300人ほどの観客はバスに分乗して移動、有楽町マリオンでこの夏公開する松竹映画「怪談」を鑑賞した。

 「累伝説」の事件は、累(るい)という女が夫に殺されて鬼怒川に沈められた事が発端だが、この場所は累の兄が幼児の頃、親に殺されて沈められた所。
 その後夫の後妻が次々と不審な死を遂げ、最後の後妻に生まれた菊という娘にも累の亡霊が執り付き村中が大騒ぎになった。
 結局、江戸から高僧祐天上人を招き供養を行い、累一族の墓を丁寧に祀って一件落着したというもの。
 この鬼怒川の淵は、今でも「累(かさね)ヶ淵」と呼ばれている。

 「累伝説」はまた、通称「かさね」と呼ばれる歌舞伎や狂言の演目にもなっている。
 事件の経緯を説話風にまとめた、祐天上人の霊験譚「死霊解脱物語」をもとに、鶴屋南北が「法懸松成田利剣(けさかけまつなりたのりけん)」を書いた。
 その一節を、清元斎兵衛が歌舞伎舞踊にした。「色彩間刈豆(いろもようちょっとかりまめ)」と題した演目は江戸時代に初演されたが、大正になって六代目尾上梅幸、十五代目市村羽左衛門が復活し今日の流行となった。

 祐天上人が開基した「祐天寺」には、梅幸・羽左衛門らが建立した「累(かさね)塚」がある。これは、茨城県羽生村から分骨した累一族の墓で、芸能界が「かさねもの」を興行する際は必ずここに参拝して、無事と盛況を祈願することになっている。

 さて映画の方の「真景累ヶ淵」については、次回紹介しよう。

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July 12, 2007

682.腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

Main_img  ながーいタイトルだが、原作となった本谷有希子の戯曲の題(講談社文庫)がこの通りなので。

 女優を目指している自意識過剰な勘違い女の姉(「口裂け女」に主演したサトエリこと佐藤江梨子)、サディスティックな姉に怯えつつ罪悪感に苛まれながら劇画を書く妹(「蝉しぐれ」のヒロイン佐津川愛美)、家族の秘密に翻弄される連れ子の兄(「隠し剣 鬼の爪」で日本アカデミー主演男優賞の永瀬正敏)、度を越したお人好しが哀れなコインロッカー・ベイビー出身の兄嫁(「空中庭園」の永作博美)。

 出演者をこう紹介したら、作品の内容も想像つくだろう。「ブラックでクールなユーモア、これまでの日本映画にはないエキセントリックな作品」なのだ。人間の奥ゆかしさなんて、裏を返せば毒々しい感情の表れ、というわけだ。

 原作者は、自ら「劇団・本谷有希子」を率いる新進気鋭の劇作家。声優・モデルから舞台演出家、そして作家としても活躍している。第10回鶴屋南北戯曲賞を受賞したほか、芥川賞にもノミネイトされた。
 妄想過多な人間を主人公にした戯曲・小説が多く、この作品は彼女の代表作と言えよう。
 それを映画にしたのが、CM界のトップディレクター吉田大八。長編映画初監督である。

Int_funuke_p12  「この映画は、カンヌ国際映画祭“批評家週間”のレベルを引き上げた」(仏ル・モンド紙)。
 「殯の森」「大日本人」と、今年のカンヌに参加した三本の日本映画のひとつ。こちらは批評家週間に正式に招待された。
 一触即発の人間関係を赤裸々に描いたこの作品は、ブラックユーモアを好むヨーロッパの映画人とって格好の作品だったようだ。

 カメラは「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」を撮った阿藤正一。田舎の田園風景の奥に潜む魔物を写すのが上手い。主題歌をチャットモンティー、女性3人のロックバンドが歌う。
 日本映画エンジェル大賞受賞作品である。

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July 11, 2007

681.パッチギ!~ラブ&ピース

070707  一昨年数々の映画賞に輝いた井筒監督の作品「パッチギ!」は、1968年の京都を舞台に描いた青春映画の名作だった。
 そして今度は、舞台を1974年の東京に移し、親子の絆と愛を描く人間ドラマとして再登場する。

 「パッチギ!」とは、ハングル語で頭突き。突き破る、乗り越えるの意もある。今回も「何を突き破り、何を乗り越えていくのか」、主人公一家の熱いパッチギが描かれる。

 主人公一家は当然「在日」。それを以下の「日本人俳優」の面々が演ずるから面白い。井坂俊哉(TV「純情きらり」)、中村ゆり(「天国からのラブレター」)、キムラ緑子(「舞子はーん」)、風間杜夫、米倉斉加年、馬渕晴子、村田雄治、手塚理美、国生さゆり・・・・・。
 そしてスターであっても、またスターだからこそ「在日」で在ることを隠さざるを得ない、日本の「芸能界」を痛烈に批判する。
 批判を受ける「日本人」の代表選手役は、西島秀俊やラサール石井。オモニの側につく「日本人」は藤井隆。この構造が作品を重厚にする。  

 1974年という時代状況も、重要な伏線となる。この年、「佐藤元総理にノーベル賞」「国労ゼネスト」「朴大統領狙撃事件」「三菱重工爆破事件」「田中首相ロッキード汚職で辞任」、そんな一年だった。

 冒頭とラスト、「ガクラン右翼」と朝鮮高校生との「バッチキ!」が見もの。国士舘大学の応援団がコテンコテンにやっつけられるのだから、OB達は面白く無いだろう。
 この映画には、文化庁の藝術振興基金から助成金がでているが、ある右翼雑誌曰く「反日映画に国の金が・・・・」。彼等も、この映画が好評で悔しいのだろう。

 紅白にも出場した韓国のトップ・テノール歌手イム・ヒョンジュの歌が、作品を盛り上げる。

 「ゲロッパ!」「のど自慢」「フラガール」「パッチギ!」と話題作を次々と送り出す李鳳宇のシネカノンは元気だ。

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July 10, 2007

680.焼酎バー「黒瀬」(79)

 本格焼酎についての最近の話題を、新聞・HPから要約で。

 「国際コンテストで焼酎・梅酒が金賞」
 
先月開催された食品の国際コンクール「モンドセレクション」(本部・ベルギー)で、オガタマ酒造(薩摩川内市)の本格焼酎「白黄吟味 二天一流 鉄幹」と、山元酒造(薩摩川内市)の「にごり梅酒 梅太夫」がそれぞれ金賞に選ばれた。
 「鉄幹」は、白麹と黄麹の二種類を使いのどごしのあわやかさと芋本来の旨味をだした。また「梅酒」は、南高梅の果実をすりつぶし芋焼酎(「さつま五代」)に漬け込んだもの。
 蔵元では、これを励みにさらに品質の向上に努めたい、と話している。(焼酎.com)

 「映画もヒット、焼酎もヒット」
 
南さつま農協のプライベートブランド焼酎「紅ほたる」が評判を呼び、この3カ月で1万本も売れた。
 この焼酎は、地元ブランドの「知覧紅」を原料とする焼酎で、5年前農協の合併5周年を記念して造られたもの。
 今年は、地元でロケのあった映画「俺は、君のためにこそ死にいく」にちなんで、東映t契約のうえラベルに一式戦闘機「隼」が飛び立つシーンを入れた。
 知覧町の平和公園にある農協の物産館では、映画公開後から購入する観光客が増え、県外からも「特攻隊の焼酎を」との注文が相次いでいる。(373news.com)

 「本格焼酎13年ぶりに値上げ」
 
今月から来月にかけて、本格焼酎の蔵元が次々と値上げしている。
 これは「原油価格高騰によるダンボールや焼酎瓶の等の仕入れ値の上昇」「原料サツマイモ価格の高騰」「輸送コストの増」、そしてこの4月から始まった「焼酎カスの海洋投棄原則禁止」による処理コストが要因で、蔵元では「コスト吸収の自助努力も限界、価格転嫁せざるをえない」と話している。
値上げの幅は、1.8ℓ瓶(アルコール度)でおよそ100円。ただ大手の酒造メーカーは、今の所価格はこれまで通りとしているところが多い。(南日本ほか)

 「黒瀬」:渋谷区渋谷2-14-4 ℡5485-1313

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July 09, 2007

679.大日本人

Dnj_pst_01 「天才松本人志」が監督した作品だから、凡才の私など理解できる筈はない。「何だこりゃ?!」と唖然として劇場を後にした。築地の「井上」で中華そばを啜りながら反芻してみたが、何が何だかさっぱり判らない。
 つまり「訳が判らなくても、オレが書いて監督して出演する映画だから、客がくるのだ!」。なるほど、そうだったんだ。ホントに松本人志は、大日本人なのだ・・・・・・。

 この25年間、お笑いの世界に革命を起こし続けたカリスマ松本人志が、満を持してついにメガホンを執った作品はまさに「松本ワールド」。5年前に企画し、練りに練って昨年クランクイン。8ヶ月かけて 四季をきっちりと撮った。始終インタビュー形式で進行させた「ドキュメンタリー」が生んだ独自のビジュアル世界は、「世界」を驚愕させた。
 そしてカンヌ国際映画祭・・・・・・とだけ紹介しておこう。

 キャストは、個性豊かな面々である。竹内力、UA、神木隆之介、板尾剣路、海原はるか。彼等がどんな演技をみせているかが、この映画を見る楽しみのひとつ。
 「出演している人も、何やらされているか、わからんかったと思います」(松本人志談)

Dn_ogbook 「わからんかった人」のためのアトフォローは、キチンと出来ている。
 まずは、日経BP社発行の「大日本人オフィシャルガイド」1575円を読む。これで、「 大日本人の謎」が解ける。
 それでもまだ理解出来ない人のために、「大日本人アート&シナリオブック」がつい先日発売された。同じ日経BP社からだが、こちらは税込み4830円と値が張る。
 この本には、松本監督による全キャラクターの解説や「大日本人」のルーツについて説かれているそうだ。
 そうそう、今週の金曜日(13日)には、NHKの「プレミアム10」で松本人志が「笑いの原点」について語るそうだ。こちらは無料。

 これでもまだお手上げだったら、「日本人」を廃業するしか無い。 

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July 07, 2007

678.朝顔市

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 毎年7月の最初の週末に開かれる「入谷の朝顔市」。「恐れ入谷の鬼子母神」の参詣客への土産にと、近郊の園芸農家に呼びかけて始まった。

07_640_13007_640_131 もともと入谷は朝顔で有名。土地が栽培に適していたらしく、明治の中頃には十数軒の植木屋が朝顔を作っていた。
 そして腕を競うように、大輪の朝顔や変種・珍花を咲かせては軒に陳列した。

07_640_13207_640_133  しかし、大正に入って都市化が進み植木屋は廃業、入谷の朝顔も姿を消した。そして埼玉や千葉など近郊の園芸農家に呼びかけて、朝顔市を復活させたのは、戦後になってからである。

07_640_13407_640_13507_640_136  朝顔は、1200の系統がある。江戸時代から明治・大正とブームのたび毎に、新品種が生まれた。
 大輪咲き、丸咲き、牡丹咲き、桔梗咲きと花と葉の形も様々で、色も変化に富んでいる。

07_640_137  毎年買うのは「大輪咲き・団十郎」をメインに、4種類の花が楽しめる行燈造り。歌舞伎の成田屋のシンボルカラー、柿茶色の大輪が咲くのを楽しみにしている。(写真は、8日朝撮影、中央の花が団十郎) 

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July 06, 2007

677.世界遺産・天檀公園

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07_640_12807_640_129Tenndan4 北京再訪、世界遺産の最後は広大な敷地に広がる「天檀公園」。1998年に文化遺産として登録された。

 公園の中心にある「祈念殿」は、明・清両王朝にわたって皇帝が五穀豊穣を天の神に祈った場所。
 故宮を造営した明三代の皇帝永楽帝が築き、清の乾隆帝が現在の姿に改築した。

 三層の白大理石の基壇の上に、釘や梁を使わずに建てられた木造の建築物、内部には四季を表す龍井柱と呼ばれる柱があり、天井には極彩色の画が描かれている。
 巧妙で調和のとれた色彩、巨大な祭祀用の檀廟建築は芸術的価値が高いとして、世界遺産に登録された。

Tendan06Tendan08 . 北京には、故宮を中心として東西南北に日檀、月檀、天檀、地檀とそれぞれの神に祈る聖地がある。
 現在は、公園として市民の憩いの場となっているが、この天檀は「天帝」を祭るだけに最も規模が大きく、故宮の四倍もの広さの森林公園として整備されている。

 敦煌、莫高窟、秦の始皇帝陵、兵馬俑、チベットのポタラ宮、九寒溝、黄龍など中国国内で世界遺産に登録されている所は、30ヵ所に上る。西安のいくつかは、10年ほど前に訪ねたが、まだまだ未知のところが多い。
 次は何処に出かけようか。 

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July 05, 2007

676.世界遺産・頤和園

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001_640_107_640_123002_640  王朝を滅ぼしたもう一つの世界遺産「頤和園」。
 北京郊外にあるこの庭園は、中国最大のもの。18世紀の中頃清の乾隆帝が、離宮として築いた。
 その後英仏連合軍による北京侵攻(1860年)で破壊されたが、西太后が膨大な経費を投じて現在の姿にした。
 費やした金は、中国を伺う英・仏・露・日など列強に対する防衛費の流用。結局その事も要因のひとつとなって、辛亥革命により清朝は滅びる。

 頤和園(イーホーユエン)は、290万㎡という広大な敷地に作られた人口庭園である。昆明湖と呼ばれる巨大な池は、人力によって掘られたもので、その土は万寿山を築いた。その山上には、数々の楼が建てられている。

 西太后は、毎年夏になると暑い紫禁城を逃れて、ここで静養した。その際には、京劇や雑技の役者たちも引き連れてきた。夜な夜な演舞場で上演された催しによって、京劇や雑技の芸は洗練され、中国伝統芸術の基をなしたという。

Iwaenkairo07_640_127 昆明湖から万寿山へと続く回廊。700mを越える長い回廊の天井と柱には、無数の絵が描かれている。京劇の演目である「三国志」や「西漢演義」「西遊記」などの絵物語である。
 ここは、贅をつくした西太后の避暑地だった。

 「頤和園」はまた、私の子供時代の記憶に残っている唯一の場所である。度々ここで遊んだのだろう。昆明湖に浮かぶ「石舟」がなぜ沈まないのか、いつも不思議に思っていたのだ。

 「頤和園」、1998年世界文化遺産に登録。   

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July 04, 2007

675.世界遺産・明の十三陵

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 ここは北京から北西に50キロ、天寿山の南麓に点在する「明の十三陵」のひとつ「定陵」。河北省から湖北省にかけて六ヶ所ある「明・清の皇帝陵墓群」は、まとめて世界遺産に登録されている。

07_640_11907_640_120  明の十三陵のうち、発掘調査が終わり一般に開放されているのは三ヶ所だけだが、この「定陵」は、1954年地下10数mに地下宮殿がある事が判った。
 墓主は16世紀に在位した、14代皇帝神宗萬歴帝。18歳で即位した帝は、生存中に6年かけて地下宮殿・陵墓を構築した。日本でいえば、秀吉の時代である。

07_640_12107_640_122  地下宮殿は、壁とアーチ型の天井を大理石で、床は磚で敷き、一枚岩の大理石の扉でいくつかの部屋を分けていた。
 各部屋には皇帝や複数の皇后の玉座が置かれ、発見当時は膨大な副葬品と棺が安置されていたという。

 「ただ一人が、誰にも見せずにそして権力の誇示という政治上の効果にも全くならない建造物を、国家の経常費の倍もかけて地下に作り、あとは土を盛り上げて埋めてしまうという異常さは、古代ならばともかく、16世紀の中国では平気で行われていた。」(司馬遼太郎著「長安から北京」)

 萬歴帝の後、二代の皇帝で明は滅びるが、この定陵建設による財政圧迫が農民暴動を引き起こし、李自成の乱となったとも言われている。

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July 03, 2007

674.世界遺産・故宮

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 故宮の入場口「牛門(ウーメン)」、中央の門は皇帝のみが許された入り口。ここを通って「紫禁城」に入る。
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 故宮は、「万里の長城」とならんで中国を代表する世界遺産。
 1406年、南京から都を北京に移した明の第三代皇帝永楽帝が、15年の歳月をかけて造営した。
 東西735m、南北960m、およそ72万㎡、高さ10mの塀に囲まれた敷地には、700を越える木造建築物と8707の部屋。世界最大規模の宮殿は、清の滅亡まで24人の皇帝が居を構えた。

07_640_11107_640_11207_640_113 太和殿、中和殿、保和殿など皇帝が政務を執った外朝。乾清宮、交泰殿、坤寧宮など皇帝・皇后の生活の場であった内定と、見学しながら通り抜けるのに、2時間はかかる。

07_640_11407_640_11507_640_116 「故宮」は、紫禁城と呼ばれる。紫とは、古代中国の天文学による天の中央にある星・紫微垣(北極星)のこと、永遠に動くことの無い天帝の支配を意味する。
 禁とは、民にとっては禁断の皇宮。そして様々な動物たちが、宮を守る。

07_640_11707_640_118_640_3  紫禁城の中を初めて見たのは、ベルナルド・ベルトリッケ監督の映画「ラストエンペラー」 。ジョン・ローンの扮する宣統帝溥儀は中央の写真の道を、自転車で駆け抜けた。20年昔のこの映画が、紫禁城を余すことなく紹介してくれた。

 今、故宮は至るところで修復工事が行われている。宮殿の壁や天井は極彩色に塗り替えられている。来年8月のオリンピックまで、膨大な経費と職人が注ぎ込まれる。。
 その経費を賄うため、故宮の見学料は近々2倍以上になるらしい。

 康煕帝、西太后、ラストエンペラー薄儀 そして弟の愛新覚羅薄傑と娘の慧生、天城山心中をも思い浮かべながら、北の端・神武門から故宮を出て景山に向かった。

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July 02, 2007

673.世界遺産・万里の長城

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 「万里の長城・八達嶺 (バーダーリン)」

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 「八達嶺長城の監視塔」

07_640_10607_640_107 万里の長城・八達嶺の監視塔から臨む慕田峪長城(ムーティエンユーチャンチェン)。1450年前の南北朝・北斉の時代に建造された万里の長城の一部。

 このように、万里の長城は春秋戦国時代から各地の諸侯が、北方騎馬民族の進入を防ぐためにそれぞれ築いた砦である。
 その砦を最初に繋いだのが、中国を統一した秦の始皇帝で、現在は渤海湾の山海関から甘粛省嘉峪関まで6350㌔、中国の換算で1万里の距離に連なる。

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 もともとは、こうした土塁(版築)の繋がりだったが、明の時代になると北京北辺の長城は、日干しレンガを焼いた磚を使った頑強な城壁に改築された。

07_640_10807_640_109  とくに、北京から高速道路を北西へ1時間、河北省との境にある八達嶺長城は、城壁の高さが7.8m幅5.8mという巨大なものに改造され、当時は騎馬が5列になって行進したという。

 万里の長城(ワンリー・チャンチョン)は、20年前、世界遺産・文化遺産に登録されたが、現在指定されている世界遺産851件のうち、唯一月からも見える建造物といわれている。

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July 01, 2007

672.北京寸描

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07_640_9407_640_9507_640_96  北京の朝、天安門広場。日中の暑さを避け早くから観光客が集まる。彼等は湖南省からのご一行。北京は晴天だが、彼等の故郷は、大洪水のニュース。

07_640_9707_640_9807_640_99  都市戸籍を持つ若者たちは楽しげだが、農村から出てきた「物乞い」は哀れだ。それでも月に2000元稼ぐ乞食もいると、上海デーリーは伝える。

07_640_10007_640_10107_640_102 ウイークデーなのに、木陰や路上で遊んでいる人を見かける。聞いてみると、肉体労働者の定年は、45歳?とか。失業者が増えるので、早々に若手と交代。ただし、頭脳労働者は60歳。
07_640_10307_640_10407_640_105  7年前に比べてすっかり変わった北京。
 天安門広場に近い王府井にある北京ダックの「全聚徳烤鴨店」 だけは、相変わらず混んでいた。
 1羽130元。荷葉餅にネギとキュウリを併せ、甘い味噌ダレで食す。    

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