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August 31, 2007

722.初秋・志賀高原(2)

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 田の原湿原。標高1610mにある典型的な高層湿原である。ミズゴケやモウセンゴケ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲで湿原は覆われている。 

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 湿原の下はこれらの植物が腐らずに泥炭化し、数メートルにわたって堆積している。
 志賀火山の噴火口に出来た旧志賀湖の湖底に発達した湿原なのだ。

 志賀高原には、こうした自然を楽しむ19のトレッキング・モデルコースがある。体力や目的に応じて、それぞれを組み合わせて楽しめばよい。
 私が選んだのは、湿原と湖沼、原始林や季節の花を楽しむ「自然探勝コース」、バスで30分ほど下って木戸池からスタートした。ホテルのスタッフがガイドを務めてくれる。

07_640_1307_640_1407_640_15 木戸池は、信州から草津へ抜ける街道沿いの木戸口にあるので、こう名づけられた。志賀高原の湖沼では珍しく、魚の棲む池だという。
 木戸池から田の原湿原を抜けると三角池に着く。さらにクロベやコメツガの原生林を通って長池に。この一帯は、信州大学の自然教育園になっている。

07_640_1607_640_1707_640_18  上の小池は小さな沼。さらに下の小池と続く。ここは、シュレーゲルアオガエルの産卵地で、池の中には北方系冷水植物ミツガシワが生えている。
 近くの祠のなかに、ヒカリゴケを見つけた。気温や日照の具合で、コケが燐光を発する。なぜ光るのか、その謎はまだ解明されてない、とはガイドの説明。

07_640_1907_640_2007_640_21  出発してから約3時間、ワタスゲ平を経て終点の蓮池に着いた。
 池に咲いていたのは、睡蓮。昔の人が勘違いして「蓮池」と名づけてしまったそうだ。
 ここは、標高1400m、志賀高原の中心地。オリンピックの時は現地本部も置かれた。
現在は、記念館や自然保護センターとなっている。

07_640_2207_640_23  帰りは蓮池から発哺温泉までロープウエイで8分、さらにサマーリフトに乗り換えて4分、300m上って高天ヶ原に着いた。
 総行程5時間、晴天の清清しいトレッキングだった。        

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August 30, 2007

721.初秋・志賀高原

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 都心の茹だるような猛暑を避け、8月最終週は志賀高原で静養した。

 志賀高原は、志賀山(2036m)を中心に、1300m~2000mの起伏に富んだ地形を持つ高原。氷河時代の火山活動によって、志賀山のまわりには横手山・岩菅山・東館山・焼額山・笠岳・笠ヶ岳など2000m級の山々が誕生した。
 山々の間を流れる川は、度重なる噴火による火砕流や噴石で埋まり、湖沼や高層湿原となった。その周囲は、クロベやコメツガ、オオシラビソなど亜高山針葉樹の原始林やミズナラ、シラカンバ、ダケカンバの落葉広葉樹林(二次林)に囲まれる。
 高層湿原は、ミズゴケやワタスゲ、ツルコケモモなど高層特有の植物に覆われ、春から秋にかけて色とりどりの花が高原を彩る。

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 志賀高原は、古くからスキーのメッカとしても知られている。数多くのゲレンデがあるが、なかでも東西館山のスキー場は、長野冬季オリンピック・アルペンスキーの会場として使われた。
 写真向かって右が、大回転の会場。左は、主としてパラリンピックで使用された。
 高さ2000mの東館山とゴールの蓮池ジャイアントとの標高差は600m。豪快な大回転競技の残像は、今も残っている。

07_64007_640_207_640_4  その東西館山の尾根沿いにある高天ヶ原に宿をとった。志賀高原では、最も高い位置にある温泉宿で、1700mの高さに位置する。
 上の左の写真、尾根の左に見えるホテルがそうだ。
 都心との温度差は10度以上、朝夕は寒いくらいだ。ススキも穂を出し、高原はもう秋。ゆっくり温泉で体を休め、トレッキングで原始林と湿原を楽しむ。(続)

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August 26, 2007

ブログ休刊

 メンテナンスと夏休みで、29日までブログは休刊します。

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August 25, 2007

720.天璋院篤姫

 昨夜遅い入浴中、ラジオ深夜便で懐かしい声を聞く。鹿児島大学教授原口泉君が、「篤姫の故郷」と題してアナのインタビューに応えていたのだ。
 彼は、親しくしていた故原口虎雄(鹿児島大学名誉教授)氏の次男、そんなことで幼少の頃から知っている。父の跡を継いで、薩藩体制を政治・経済・社会と多角的に研究している。この分野の歴史学者としては、彼の右に出るものはいない。
 彼はまた、来年から始まるNHK大河ドラマ「篤姫」の時代考証も担当している。

002_2   篤姫は、薩摩藩家臣団の最上位にあった今和泉島津家忠重の長女。001_3 28代藩主斉彬公の従妹に あたるが、1853(嘉永6)年18歳の時、藩主の養女となった。
 さらにまた、3年後には近衛家の養女となって、13代将軍徳川家定の御台所として輿入れする。

 将軍家は、代々皇族や公家から御台所を迎い入れてきた。朝廷側と一定の距離を保つためである。家定もまた二度にわたって京都から公家の息女を迎えたが、いずれも病弱で先立たれた。そこで、健康な武家の娘をと側近が考えたようだ。
 しかしこの輿入れには、別な側面もある。当時国内は、ペリー来航で騒然としており、幕閣内も開国か攘夷で紛糾していた。それは、家定の後継者争いとからみ、一橋慶喜を推す島津斉彬の将来への布石でもあったようだ。

 結局、伊井直弼の大老就任、さらには家定・斉彬の死で、将軍は紀州家の家茂が継ぐこととなる。
 篤姫は24歳の若さで仏門に入り、天璋院と名を改め、家茂の御台所となった皇女和宮とともに大奥を束ねる。そして明治維新の動乱の中、16代の当主となった徳川家達を支えて徳川家の存続に力を尽くす。
 1883(明治16)年、天璋院は東京で亡くなるが、斉彬の養女となって江戸薩摩藩邸に移って以来30年、彼女は一度も故郷鹿児島の土を踏んではいない。

004 大河ドラマの原作、宮尾登美子の「天璋院篤姫」には、もう一人主要な登場人物がいる。それが小松帯刀である。ドラマでは、篤姫を慕う幼馴染として描かれる。

 篤姫と同じ年に生まれた小松は、その後9代藩主忠義の家老として藩政改革に取り組む一方、京都に駐在して朝廷や幕府、諸藩との交渉・調停の役を務めた。
 西郷や大久保を動かし、薩長同盟、王政復古を実質的に成し遂げたのが彼である。
 京伏見の寺田屋で襲撃された坂本竜馬を、薩摩藩邸に匿ったのも彼である。

003  竜馬はその後、小松帯刀の世話で新妻お龍と薩摩霧島の温泉に旅し、傷の手当てを兼ねた湯治の日々を過ごす。これが、日本での最初の新婚旅行と言われる由縁である。

 小松帯刀は、元々鹿児島の南・喜入の領主だった肝付兼善の三男。島津斉彬の命で、日置・吉利の領主小松家の養子になった人物。
 肝付家は島津家より古くから薩摩に在した一族。その流れに属する者の一人として、帯刀には昔から親近感を抱いていた。

 1870(明治3)年、36歳の若さで惜しくも命をなくした彼が、ドラマのなかでどう生き返るか、それが楽しみだ。

 篤姫・宮崎あおい、帯刀・瑛太、島津斉彬・高橋英樹、篤姫の父・長塚京三、生母・樋口可南子、近衛家当主・春風亭小朝、他。ドラマの出演者たちである。

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August 24, 2007

719.遠くの空に消えた

20070614003fl00003viewrsz150x326536view001  夏休みなので映画館は、こども向けの作品で埋まる。どうしようかと思ったが、避暑代わりに話題作のいくつかは覗いて見た。

 制作費をつぎ込み、大宣伝した割りには期待はずれだったのが「西遊記新撰組近藤勇!が孫悟空になって、ただ喚いている作品だった。
 洋画では「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」も同様である。筋立てが判りにくいし、年取った常連の出演者たちに、可愛さがなくなった。
 ということで、それぞれ一本ずつ紹介するのは遠慮する。

327914view001327914view012  予想以上に面白かったのは、この作品。行定勲監督・脚本の「遠くの空に消えた」である。
 「世界の中心で、愛をさけぶ」で大ヒット。「北の零年」「春の雪」とジャンルの異なる作品に意欲的に取り組んでいる彼が、7年前に書いてこれまで暖めてきたオリジナル・ストーリーを映画化した。

 「"子供たちと大人たち"へ贈る児童ファンタジー」と行定は言う。「時が流れ、現実を知り、夢見ることをやめてしまった人こそ、この映画を見て欲しい」と、呼びかける。
 行ったことがない場所なのだが、故郷の様に懐かしい。日曜日のブログ(714号)で紹介した「天然コケコッコー」にも流れていたメルヘンの世界なのだ。

 主人公に、都会からきた子供の神木隆之介、孤独な少女が「SAYURI」の大後寿々花、田舎の悪ガキのささの友間の三人。神木は子役というより一人前の役者だが、悪ガキが上手い。それもその筈、日本が誇る名バイプレイヤー笹野高史の息子なのだ。
 さらに錚々たる顔ぶれが脇役として並ぶ。石橋蓮司、大竹しのぶ、三浦友和、小日向文世、鈴木砂羽、伊藤歩、長塚圭史、田中哲司、柏原崇・・・、そして香港の大スターチャン・チェンまでも。彼等もまた、3人の子供と同じようなメルヘンチックなエピソードを、見せる。

 十勝原野の廃屋をバックにセットが組まれる。劇画か西部劇に登場するような、国籍不明の酒場を舞台に「馬酔村楽団」が奇妙でなんとなく懐かしいジンタを演奏する。音楽は、めいなCo、主題歌がCocco。

 USENの宇野康秀とエイベックスの依田巽が仕切った、「空港建設反対運動」と「UFO」が同居する、田舎の田舎の物語である。

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August 23, 2007

718.かごしま検定

 ご当地「検定」流行だが、わが鹿児島でも4回目の「かごしまマスター試験」を行うと、案内状が届いた。今回は、県内各地以外東京でも受験出来るそうだ。

06_640  「かごしま検定」は、鹿児島の自然・歴史・文化・地域の特徴・産業・経済の5分野について、その知識や経験を試すもので、標準クラスのマスター試験に始まり、シニア、グランドと段階が上がっていく。
 マスターの場合、1時間30分の制限時間内に上記5分野から50問が出題され、35問以上の正解で合格する。
 シニアの場合は、マスター合格者が対象。さらに難しい50の設問を、1時間30分の制限時間内で、40問以上の正解で合格となる。
 グランドマスターは鹿児島に関する高い知識と提案力を問うもので、分野別小論文4題と提案型小論文1題について、2時間の制限時間内に記述しなければならない。

 案内によれば、分野別小論文の出題例として「天璋院篤姫の生涯について200字程度の文章で書きなさい。ただし、その生家、誰の妻となったか、を必ず含めること」とある。
 また提案型小論文の出題例は「下記の条件をもとに、お勧めする観光コース(行程およびポイント)を文章で提案しなさい。」とあり、条件として時間や予算、旅行者についての具体的な数が示されている。

 マスター・シニアの検定は、主催者が編集した公式テキストブック「かごしま検定」(南方新社刊・2000円)を熟読すれば、おおかた合格するが、グランドはかなりの知識と企画力がないと合格はおぼつかない。

 試験日は11月11日(日)
 受験資格は、学歴・年齢・性別・国籍は問わないとのこと。
 詳しくは、主催者である鹿児島商工会議所まで
               ℡099-225-9511
 申し込み締め切りは、10月5日(金)
 試験場は、県内各商工会議所 東京は受験票送付の際に指定する。

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August 22, 2007

717.マリリン・モンロー

003_3 名作映画鑑賞会は、毎回映画通の圓 尾講師からガイダンスを受ける。今回は、ハリウッドのデータ・ベースをもとにマリリン・モンローの出演作品についての映画談義だった。

 マリリンについては、デパートでの「写真展」にひっかけて、ブログ284号(06.3.9)でその生い立ちや男遍歴について書いた。
 そこで今日は、タイトルの「原題」と「邦題」のからみについて整理してみよう。

 マリリンが出演した作品は、1947年のデビューから亡くなる1962年の15年間で32本ある。死後「モンタン、パリに抱かれた男」など映像としてマリリンが登場している作品も3本あるがデータ・ベースからは除かれている。

 日本の映画配給会社のスタッフが「邦題」を考える時、そのまま翻訳するもの、ちょっとひねって訳すもの、外国語をカタカナ表記するケース、作品内容を勘案して全く新たな タイトルをつける、とだいたい4通りある。

Fxbqc1031_2  その分類でモンローの作品を見ると、「直訳」が結構多い。「Bus Stop」(バス停留所」’56)が代表的な例だが、「Let’s Make Love」(「恋をしましょう」'60)、「Some Like It Hot」(「お熱いのがお好き」'59)、「The Prince and the Showgirl」(「王子と踊子」'57)、「There's No Business Like Show Business」(「ショウほど素敵な商売はない」’54)、今回上映した「River of No Return」(「帰らざる河」'54)、「How to Marry a Millionaire」(「百万長者と結婚する方法」'53)、「Gentlemen Prefer Blondes」(「紳士は金髪がお好き」'53)等々、私が見た映画だけでも10本は超える。

D112024195_3  ちょっとひねって、洒落たタイトルで評判になったのが「The Seven Year Itch」(「7年目の浮気」’55)だ。地下鉄の排気口から吹き上がる風で、スカートがめくれるシーンを、60代以上のみなさんはきっと覚えていると思う。<Itch>とは、「かゆい」とか「渇望」という意味だが、「浮気」と訳したのは見事。
 「Dont' bother to Knock」(「ノックは無用」’52)も、その例のひとつと言える。
 ほか、カタカナ表記で見た映画は、「ナイアガラ」('53)「モンキー・ビジネス」('52)「アスファルト・ジャングル」('50)の3本。

Themisfits_2  左の作品は、マリリンの最後の主演映画といわれるもの。離婚した女と二人のカーボウイ、自動車修理工との交流を描いた。共演したクラーク・ゲーブルもこの後亡くなっているから、二人の遺作とも言える。
 一時期マリリンの夫でもあったアーサー・ミラーの短編を映画化したもので、原題は「The Misfits」('61)。「環境に順応できない人たち」とでも訳すのか、作品の内容は、その通りである。ところで邦題は!?
 同じく「O.Henry's Full House」('52)も、邦題とはなかなか結びつかない。O.ヘンリーの5つの短編のオムニバスだった。
 また「A Ticket to Tomahawk」('50)も同様である。

 これまでも、ブログで映画を紹介しながら「原題」と「邦題」について私見を述べた事がある。見事なタイトルに拍手を送ったケースもあり、ちょっと鼻白む事もあった。中には、何を言ってるのかさっぱり判らないタイトルもあった。
 このあたり、なかなか難しいものだ。

 因みにアーサー・ミラーの作品は「荒馬と女」、O.ヘンリーが「人生模様」、最後は「彼女は二挺拳銃」。決して西部劇ではない。マリリンの西部劇は「帰らざる河」1本だけだ。

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August 21, 2007

716.帰らざる河

 歌舞伎を楽しむ「ひとまく会」の仲間のなかで、映画好きが集まって「往年の名作鑑賞会」を開いている。今回は「帰らざる河」(1954年)と「麗しのサブリナ」の2本立て。
 マリリン・モンローとオードリー・ヘップパーンの女優特集だったが、仕事の都合で前半のみを楽しんだ。

River2 「帰らざる河」はモンローの1954年の作品。彼女が最も油の乗り切った時代の唯一の西部劇である。またシネマスコープの初期作品として、大画面が売り物だった。
 ロバート・ミッチャムとトミー・レティグ(「名犬ラッシー」の子役)の

 ゴールド・ラッシュに沸くカナディアン・ロッキーの麓、テント張りのサロンに流れ者の歌手モンローの「ワン・シルバー・ダーラー」 の唱が流れる。
 映画は、懐かしいこんなシーンから始まる。

River3River5River1  カルホーンに馬と銃を強奪された開拓農民のミッチャム親子は、インディアンに襲われて筏で「ボー河」に逃れる。居残る羽目になったモンローを乗せて。
 見せ場は、このボウ河の激流筏下りである。そう、この河に乗り出したものは、二度と帰ることはない「帰らざる河」なのだ。
River  話しは、ミッチャムを殺そうとしたカルホーンを、息子のレティグが後ろから撃つという結末となるが、最後にモンローが歌う「River of No Return」が、映画の余韻をたっぷりと味あわせてくれる。
 そして「メデタシ メデタシ」のラストとなる。

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002_2  上の写真は、「帰らざる河」のロケが行われたカナディアン・ロッキーの麓。真ん中を蛇行して流れるのがボウ河である。また左の写真は、急流下りのロケ現場である。数年前、ここを訪ねた時の写真である。
 観光客も増えて、映画の撮影場所を示す標識がいくつかあった。ボウ河では急流下りも売り物となっていた。

 しかし、今回改めて映画を見て思ったのは、この一帯が50年昔と少しも変わっていなかった事だ。河にはダムひとつなく、針葉樹林の森は原始のまま残されていた。
 それは、カナダ政府や国民の自然環境保持に対する姿勢が、はっきりしている証左といえる。

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August 20, 2007

715.焼酎バー「黒瀬」(82)

Imgp1641_2 「dancyu」(プレジデント社)の9月号は、焼酎の特集号。「焼酎ほど楽しい酒はない。」と、鹿児島や宮崎の蔵元を訪ねる。
 とくに、若い蔵の後継者や杜氏の活躍ぶりを紹介、焼酎のおいしさの本質に迫る。

 特集記事のひとつに「本格焼酎&泡盛ガイドブック」がある。「芋好きが次に飲みたい焼酎は何か?好みの銘柄の位置づけは?」と、焼酎を原料別に分類して、香りと味わいを合わせた「風味」を銘柄ごとに分類している。
 この試みは、自分好みの銘柄や今ハマっている銘柄のポジションがわかるので、大変参考になる。
 そこで「黒瀬」で飲める銘柄を中心に、一部紹介しておこう。(レベル1~3ライト、4~7ミディアム、8~10フルボディ。レベル1に近いほど「風味が軽快、シンプル」、レベル10に近いほど風味が複雑、重厚」)

<芋焼酎>
 ③「海」「富乃宝山」「森伊蔵」「魔王」④「佐藤白」「かせだもん」「いも麹芋」「杜氏潤平」「黒霧島」「さつま司」⑤「八千代伝」「山ねこ」「紅鉄幹」「松露」「さつまの海」「八重桜」「黒わか松」⑥「鶴見」「千鶴」「黒伊佐」「一刻者」「さつま五代」⑦「さつま白波」「佐藤黒」「錫釜」「池の露」⑧「不二才」⑨「相良兵六」
<黒糖焼酎>
 ③「れんと」「里の曙」④「有泉」「喜界島」⑤「荒あらろか」⑥「朝日」「長雲」⑦「奄美」「昇龍」「天下一」⑧「竜宮」「まーらん船」「陽出る国の銘柄」

<麦焼酎>は、「いいちこ」「二階堂」など大分の焼酎が1~2のレベル。鹿児島の「神の河」など樽熟成が9~10。

<泡盛>は、全て6~9レベルで、古酒は10。 

 「黒瀬」 渋谷区渋谷2-14-4
       ℡5485-1313 

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August 19, 2007

714.天然コケッコー

Wallpaper2_1024_2 少年時代を何処で過ごしたかによって、この映画から受ける感動に差が生まれるだろう。私みたいに「田舎」で育ったものにとっては、映画のシーンが「原体験」であり、映像は「原風景」となる。

 監督自身がインタビューで応えているように、ものすごく微妙でファージーな映画である。特に物語としての起承転結はない。夏から春まで、「田舎」とそこでゆったりと暮らす少女の「日常」が、淡々と描かれるだけである。
 ただ、少しずつ成長していく少女の心のときめきが、50数年前の少年時代の疼きを思い出させる。

 原作者のくらもちふさこも語る。「二度と戻らないからこそ、かって存在したその世界は、記憶の中で輝き出す。そして映画には、そのきらめきが全て保存されている」と。

Wallpaper1_1024  出演した7人のこども達の、無邪気な演技が冴える。主演の夏帆(「ガアメラ~小さな勇者達」)16歳、淡い恋心を抱く転校生の岡田将生(「アヒルと鴨のコインロッカー」)18歳はともかく、あとの中学生2人と小学生3人が等身大の役を素直に演ずる。
 とくに小学1年生役の宮澤砂耶(「メタセコイヤの木下で」)の天真爛漫さが、この作品をファンタジーにした。

 監督は「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘、脚本渡辺あや(「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」)と、日本映画界のひとつの方向を担ってきた俊英たちである。

 風の音、虫の声、海のざわめき、自然の音がふんだんに取り入れられている。舞台は日本海をのぞむ島根の「田舎」、原作者のふるさとでもあるようだ。

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August 17, 2007

713,消えた天使

327741view003  この夏、鬼才アンドリュー・ラウ監督の2本の作品が並んだ。ひとつは「傷だらけの男たち」、もうひとつがこの作品である。

 原題は「THE FLOCK」。辞書をひくと、「群集」とか教会の「信徒」、さらには「毛くず」とあるが、どうも当てはまらない。そこで米語・俗語に強い友人に聞いたら、アメリカでは「登録者たち」をこう呼ぶという。

 「登録者たち」とは、アメリカで役所に登録されている性犯罪者たちのことを指す。とくに「快楽殺人者」は、再犯率が高いために身元公開が義務付けられており、監察官が絶えず彼等を訪問して再犯を防ぐ。
 この映画は、その監察官を主人公に、アメリカ社会が抱える「人間性の闇」を描く、サイコ・サスペンスである。

327741view002  監察官を演ずるのは、リチャード・ギア。「シカゴ」でゴールデン・グローブ賞に輝いたハリウッドを代表する名優である。
 監察官として、性犯罪者との長い期間の緊張感が心身を消耗させる。そして、彼の心もまた闇を抱える。それは、時として性犯罪者と同じような、残虐性を見せる。
 その後を継ぐ新人監察官役は、クレア・ディンズ(「幸福のポートレイト」)。彼女もまた心に闇を抱えて、この仕事に飛び込む。

 製作・監督のアンドリュー・ラウについては、ブログ692号で紹介したので簡略に述べるが、香港の映画界に撮影助手として入り、ウオン・カーウイの「男たちの挽歌」でカメラマンとしての立場を確立した。
 その後は、アンディー・ラウ、トニー・レオンの2大スターによる「インファナル・アフェア3部作」で監督・プロデューサーとして香港映画界を支えてきた。
 この作品は、彼のハリウッド進出第1作なのだ。

 カメラマン出身だけに、室内シーンの照明、索漠とした荒野の色調に腕の冴えを見せる。
 また、目まぐるしいカットの連続、同一映像内でのカット飛ばし、さらにまたカットバックの多用で視聴覚を混乱させる。この編集技術によって、観客にサイコチックな緊張感を与えるのである。

Image 出演者の一人に、アメリカロック界の「スーパースター 」アヴィリル・ラヴィーンが名を連ねる。
 先週もプロモーションのために来日したが、「レット・ゴー](02)で2000万枚を超えるヒット、「アンダー・マイ・スキン」(05)ではオリコン2週連続トップを飾った。また映画「エラゴン・遺志を継ぐもの」の主題歌も歌っている。
 彼女は、この映画が本格出演の最初だが、性異常者に誘惑され手足を刻まれる犠牲者の役を、奇妙な存在感で見せる。

 日本でも、性犯罪者の出所後の情報公開について、議論が興っている。人間の心の中に潜む「闇」だけに、簡単に結論は出せないだろう。

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August 16, 2007

712.納涼大歌舞伎

Kabukiza200708b_handbill 歌舞伎座は昼・夜2部制の興行だが、8月だけは3部制の納涼歌舞伎となる。昔から、大御所たちは夏休みなので、若手中心それもユニークな出し物が並ぶ。
 今年は「ひとまく会」の有志で2部を鑑賞。そのあと暑気払いのビールパーティーという事になった。

 2部の演目は「ゆうれい貸家」と「新版舌切雀~花鳥の森・夏の星~」の2本立て。いずれも新しいユーモアたっぷりの出し物である。

 「ゆうれい貸家」は山本周五郎が1950年に発表した人情喜劇。
 歌舞伎では、二代目松緑により1959年明治座で上演以来と言うから、実に48年ぶりの上演となった。
 江戸京橋川の炭屋河岸近くの裏店に住む桶屋の弥六が主人公。とにかく怠け者で昼間から酒びたり。女房も実家に帰ってしまう。そこに現れたのが女の幽霊。元は深川の辰巳芸者というからなかなかいい女。そして仲間の幽霊達を集めて、怨みを抱いている人に「幽霊を貸す」商売を始める・・・・・・・。
 怠け者の弥六が面白おかしくて、それでいて人の生き方を考えさせる、周五郎ならではの作品である。

 出演は、弥六に「大和屋」阪東三津五郎、辰巳芸者の幽霊が「成駒屋」中村福助、幽霊仲間に「中村屋」勘三郎・勘太郎親子他。 

 「新版 舌切り雀」 中村勘三郎が十八代目の襲名直前、つまり勘九郎最後の舞台に「今昔桃太郎」を作・演出した渡辺えり子が、三年ぶりに新作を書いた。もちろん今回の演出も彼女である。
 話しは五大お伽噺の一つとして誰でも知っている「舌切り雀」。ところがこの噺を全く新しい視点から、シニカルでユーモアたっぷりの「ミュージカル風歌舞伎」に仕立て上げた。
 雀の舌を切り取った意地悪ばあさんが、雀のお宿でもらった大きなつづらの土産・・・・。

 出演は、意地悪ばあさんが勘三郎、舌を切られた雀のすみれ丸に福助、雀を助けた正直ものの夫婦を勘太郎・七之助兄弟、森の賢人こびとを三津五郎という組み合わせ。
 役者たちの子弟、小学生前後のこどもたちも小雀やペンギンの役。こちらもなかなか可愛い。

 劇中、三津五郎と勘三郎が踊りを競うシーンがあるが、さすが日本舞踊坂東流の家元三津五郎、華麗な舞を見せる。一方の勘三郎だって踊りの名手。意地悪ばあさんの「下手な踊り」をユーモラスに演ずるなど見事。

 十数年前から始まった「八月納涼歌舞伎」。当初から三津五郎と勘三郎が一座を率いて参加、歌舞伎ブームの火付け役となった。
 この日、いつもの四階立見席は満員。こちらは、事前に三階指定席を確保したので何とか楽しむ事が出来た。 

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August 15, 2007

711.終戦の日

 新聞は今日を「終戦記念日」と書く。「記念」は、多くが慶事の記憶なので使いたくないが、「広辞苑」を引くと「後々の思い出に残しておくこと」とあるので、間違いはない。
 今日を「敗戦記念日」と言う人もるが、これは歴史観の議論をよぶので、控えておく。

 62年前のこの時間、私は満州国新京市(現中国長春市)の郊外にいた。ソ連軍の攻撃を逃れて、昨日からここ満州軍官学校に避難していた。今日と同じ晴天の暑い日だった。
 一週間前、父は「招集」された。いわゆる「根こそぎ動員」だった。
 正午過ぎ、数発の銃声が聞こえた。それがきっかけとなって、ここは満州人将校の支配下に置かれる。
 その後、私たちは新京市内まで歩いて帰った。およそ5時間の道のりだった。夜、ようやく辿り着いた我が家は、暴徒に荒らされていた。
 母子家庭となった一家は、長春~四平~瀋陽~錦州~葫蘆島と、長く辛い引揚の旅を続ける。そして日本の港、博多に着いたのは翌年の8月20日。この日が、私の終戦「記念日」である。

 法律が改正されて、今年から戦没者の子供にも「弔慰一時金」が支払われる。10年国債で40万円。1年に4万円ずつ現金に換える事が出来る。
 この額の多寡は別として、もう戦没者の両親や妻の数が少なくなったからだろう。
 だから、戦争の体験も記憶も失われていく。この「国債」だけが、私にとっての「戦争の記録」になってしまった。

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August 14, 2007

710.オーシャンズ13

_640 ジョージ・クルーニー率いる「オーシャンズ」にとって、何よりも大切なのは「仲間」。その仲間を騙しおちょくった 相手に、ド派手なリベンジ。それが、今回のお話。
 そして最大の被害者が、ベガスのカジノ経営者アル・パチーノ。オーシャンズを甘く見た彼は、財産を無くし名誉を失う。

 前々作・前作に続いてハリウッドの映画界での主役級が、ズラリと並ぶ。ポスターに映っている6人だけでも、監督・脚本・プロデューサーそして俳優として活躍している面々。
 印象に残っているオーシャンズ以外の映画を、一本だけ付け加えて紹介すると、ジョージ・クルーニー(「グッドナイト&グッドラック」)、ブラッド・ピット(「Mr&Mrs.スミス」)、マット・デイモン(「デイパーテッド」)、ドン・チールド(「ホテル・ルワンダ」)、アンディ・ガルシア(「スモーキン・エース」)、バニー・マック(「キング・オブ・コメディー」)という豪華メンバー。

 オーシャンズのチームは、計12名。残りの6人が監督・脚本家としても有名な「60セカンズ」のスコット・カーン、同じく脚本も書く「グッド・ウイル・ハンティング」のケイシー・アフレック、中国雑技団出身で「オーシャンズ」でデビューしたシャオボー・クイン、コメディー界大御所カール・ライナー、俳優稼業35年のエリオット・グールドと続く。そしてもうひとり「バニッシャー」のエディ・ジェイミソンだ。

 加えて今回は、二人の大スターが敵役として登場する。一人は「ゴッドファーザー」ことアル・パチーノ、もう一人が「ボーイズ・ライフ」のエレン・バーキン。カジノの経営者とそのパートナーの役である。

 これだけのスターを並べる以上、監督も豪腕が必要だ。「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ・パルムドール、「エリン・ブロコビッチ」と「トラフィック」でアカデミー賞のスティーブン・ソダーバーグが、前々作・前作に続いて引き受ける。

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 さて映画の出来というと、これは異論が多いだろう。これまでの作品に比べて前半が判りにくいし、退屈する。
 天才的な頭脳犯、凄腕のハッカー、変化自在の詐欺師、爆弾のスペシャリストとそれぞれの役があるのだが、「11」「12」を見ていない人は、混乱する。
 そしてもう一つ、今回は「色気」が全然ない!

 また映画のなかで、「ニッポン」がおちょくられる。ボスのお好みは「センチャ」や「ホウジチャ」、カジノオープンの祝杯は「サケ」、それも「クボタ!」である。

 最後のオチは、クルーニーがピットと別れる際の挨拶、「早く子供を作れよ!」。「オーシャンズ13」のロケの頃、アンジェリーナ・ジョリーはもう身篭っていた?!

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August 13, 2007

709.東京湾華火祭(2)

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 昨日の「東京湾華火祭」について、コメントが届いた。「花火の種類」の薀蓄とアップの写真も添えられて。
 そこでまだ紹介してなかった一昨日の写真も加えて、その薀蓄を。

07_64007_640_2    上の写真も含めて、この花火が最も古典的でポピュラーな「菊」と呼ばれるもの。
 基本中の基本で、何処の花火大会でもまず打ち上げられるだそうだ。たしかに、東京湾でも最も多く打ち上げられた花火だ。

07_640_3  同じ菊でも、利くの花火がすぐには消えず、地上すれすれに長く垂れる「カムロ菊」。
 これが連発式に打ち上げられた。それが「スターマイン」と呼ばれる形式だそうだ。                                                       07_640_507_640_4      写真がロングで 判りにくいが、「虎の尾」と呼ばれる花火。
 空中で開花するのではなく、地上から太い火が吹き上がる。古い浮世絵にも登場する花火。

07_640_6T52  こちらは「椰子」。大きな円筒状の火薬を八方に飛ばすと、太く長く拡がり椰子の木のように見える。

 

T12_207_640_8  左は「千輪菊」のスターマイン。小さな火薬の玉をたくさん詰めて「大玉」にして打ち上げる。それが空中で飛び散る。
 右は「銀蜂」。蜂が飛び回るように、花火が四方八方に飛ぶ。火薬を詰めたパイプの噴出孔が、ランダムに回転するのだ。

 他に「型物」と呼ばれる花火も上がった。ハートやスペードの型が空中に開く。ただ私の小型デジカメでは、追いかけるのはむりだった。手ぶれによるピンボケで、お見出来るものはない。

 今夜は「関門海峡花火大会」。 下関市と北九州市が共催で、両方から打ちあがる。1尺5寸の大玉から尺球100連発と、計1万3000発が夜空を彩る。
 19時30分からNHK・BSハイビジョンでナマ中継。カメラの写り具合を気にせず、ゆっくり楽しもう。

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August 12, 2007

708.東京湾華火祭

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070810_101

 昨夜は20回目を迎えた東京湾大華火祭!中央区制施行60周年を記念して、1万2000発の花火が、レインボーブリッジの上空に打ち上げられた。                                                                07_640_307_64007_640_2 
 今年の見物客は、70万人を越えたと発表された。月島・勝鬨周辺は、駅も道路も大混雑で身動きとれない状況だった。
 幸いこちらは、マンションのテラスで花火を楽しむ事が出来る。
 友人たちもやってきて、楽しい一夜を過ごした。

07_640_407_640_507_640_6  東京湾の花火を見るのは、今年で4回目。しかし目の前に58階建てのマンション二棟が完成、三分の一が見えなくなった。
 さらに、左手に同じく58階建てのマンションが建設中である。となると、来年は8割方が隠れてしまう。ビルとビルの合い間、高く打ち上げられた花火しか見えなくなってしまうのである。

07_640_807_640_9 こっちのマンションだって、後方の方たちの楽しみを奪ったのだから、怒るわけにはいかない。
 友人達と、もっと高く打ち上げてほしいなと、かなわぬ希望を述べながら、「最後の花火見物」を終えた。
 来年は、晴海の方まで足をのばすか。

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August 10, 2007

707.焼酎バー「黒瀬」(81)

 最近の焼酎の話題を、新聞・HP・リリースから要約で。

 「鹿児島県産焼酎出荷量、最高15万kl超」
20070809n0002_2  鹿児島県の本格焼酎メーカー110社でつくる酒造組合連合会は、先日2006酒造年度(06.7~07.6)の出荷量と生産量を発表した。
 それによると、出荷量は芋焼酎が好調で、8年連続の増。計15万5937kl(前年比4.2%増)と初めて15万の大台を超えた。
 しかし内訳を見ると、芋のは麦焼酎は横ばい、米焼酎は10.5%減、そば焼酎は28.1%減、黒糖焼酎は2.5%減と振るわなかった。
 また生産量も7.8%減の23万5900klと、2年連続で前年度を下回っている。これは、前年度に製造した持ち越しがあったことや、大分などのメーカーに桶売りしていた麦焼酎が減った事が、原因にあげられている。因みに桶売りは7.2%減の6万1300klである。
 酒造組合連合会では、「今後は、東北や北海道、海外市場を掘り起こし、来年度は16万台に乗せたい」と話している。(NIKKEI NET、南日本ほか)

 「サントリー、今年の芋を原料に新酒発売」
 
サントリーは、獲れたてのさつまいもだけを使用した本格焼酎「黒丸新酒」を、10月23日から全国発売する。
 「黒丸」は、鹿児島県いちき串木野市の濱田酒造と共同で開発したもので、2003年発売以来、すっきりとした上品な味わいが評判となっている。
 今回販売する「黒丸新酒」は、これから収穫される鹿児島県産の「コガネセンガン」だけを原料に使用する。伝統的な黒麹で仕込むが、芋の甘く香ばしいかおり、若々しい豊かな味わいが特徴。お湯割りにすると、芋特有の甘くホクホクした風味が引き立つという。
 価格は、720mlで1.202円(希望小売価格)。度数は25%。(プレスリリース)

 「クボタ、焼酎かす燃料化システムを販売」
 
クボタでは焼酎メーカー向けに、廃棄物を発酵処理し燃料にリサイクルするシステムを積極的にすすめている。
 この設備は、菌で廃棄物をメタンガスに分解するもので、分解を阻害するアンモニアを独自開発の膜で水とともに抜き出し、安定的にメタンを取り出せる。
 1日20㌧の処理能力を持つ設備の価格は、約1億円。4月から廃棄物の海上投棄が、原則禁止になったことを機会に、各焼酎メーカーに売り込んでいる。(ECO・TOPICS) 

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August 09, 2007

706.三遊亭圓朝

Index_img006 友人の水墨画展を見に、初めて「国立新美術館」 を訪ねた。ちょうど今ここでは、「日展100年」も開催されている。文展から帝展、そして日展と続いた官展の系譜が辿られる。

 その中に、近代肖像画の名作といわれる鏑木清方の「三遊亭圓朝像」(重要文化財)がある。これから「怪談噺」でも始めようかと、まずは一服している圓朝の画である。
 そして明日、これを縁に館内では「桂歌丸が演じる圓朝怪談in日展100年」のイベントが開かれる。
 明後日の11日が、彼の祥月命日なのだ。

Kansha20071

 圓朝の命日と言えば、毎年8月彼が葬られた谷中の全生庵で、「圓朝忌」が開かれる。これは落語協会が主催するもので、今年からは「感謝祭~圓朝記念~」と名前が変わった。
 地元の三崎坂商店街も、この一ヶ月を「圓朝まつり」銘打って色々なイベントを行う。
 全生庵はこの期間、圓朝が収集して納めた「幽霊画」を公開する。

 5日日曜日に開かれた今年の「圓朝忌」は、大変な人出だった。境内には落語家達が屋台をならべ、庵では法要・奉納落語が行われた。切符が手に入らず聞けなかったが、六代目春風亭柳朝が「お菊の皿」、四代目の隅田川馬石が「お初徳兵衛」を語ったらしい。

 今年は「圓朝ブーム」だという。先月末、恒例のイイノホールでの「盛夏吉例圓朝祭」は、発売と同時に切符は売り切れた。金馬「大仏餅」、圓蔵「死神」、小さん「会談虎の子」、歌丸「お札はがし」と圓朝の作品、前夜祭でも喬太郎「にゅう」、正蔵「心眼」だった。

 圓朝原作の映画「怪談」もヒットしている。これについてはブログ683~4号で詳しく書いたので省くが、彼の「真景累ヶ淵」から新吉と豊志賀の因果応報を映画化した。そう、歌丸の新国立美術館での演目はその前編で、新吉の弟深見新五郎が主役になる。

 落語フアンはご存知のことだが、圓朝について簡単にまとめておく。
 彼は幕末から明治にかけて活躍した落語家で、伝統的な話芸に新しい可能性を開いた人として知られている。
 お笑いというより、自作自演の怪談噺、取材に基づいた実録人情噺で独自の境地を築いた。さらに海外文学を翻案した落語を作るなど、彼の作品は二葉亭四迷等の作家にも影響を与えている。
 また井上馨(外務大臣)や益田孝(三井財閥)など朝野との交友も深く、禅を通じて知遇を得た山岡鉄舟とは死の直前まで交流が続いた。圓朝が鉄舟の開いた谷中の全生庵に葬られたのも、そうした縁からである。

 圓朝の有名な作品には、上記の他「怪談牡丹灯篭」「怪談乳房榎」「塩原太助一代記」「文七元結」等がある。

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August 08, 2007

705.夕凪の街 桜の国

Sound_track  「ピカを落とした人は『また一人殺せた』と、喜んどるね」。 主人公の若い女性は、こう呟いて原爆症で死ぬ。この言葉に、映画の主題は集約される。
 8月にふさわしい、唯一の日本映画がこの作品なのだ。

 原作は、メディア芸術祭大賞を獲ったこうの史代の漫画「夕凪の街」「桜の国1・2」(双葉社刊)の三部作。それを「半落ち」「出口のない海」の佐々部清が一本に結んだ。こうのは広島生まれ、佐々部は下関生まれ。

 「夕凪の街」とは広島のこと。この街に住んだ人しか判らないが、夏の夕方になると街から風が消える。そして、じわーっと熱が地から上る。瀬戸の夕凪なのだ。
 「桜の国」は、「美しい日本」であり「散華の地」である。伯母と姪、二人の女性が普通の人々の目線で「平和の尊さ」と「生きる喜び」を語る。

327271view003327271view001  「夕凪の街」の主人公は麻生久美子。原爆で妹を死なせ、自分だけが生き残ってしまった罪悪感を抱える。
 被爆してから13年後、彼女も母(藤村志保)、弟(伊崎充則)、恋人(吉沢悠)に見守られながら原爆症で死ぬ。

 現代に生きる女性は田中麗奈。父(伊崎の老後・堺正章)を通して伯母麻生の想いを知る。彼女にとってもヒロシマは、かけがえのない地となった。

 広島は、私にとってもかけがえのない土地である。映画の舞台となった昭和33年は、広島で学生生活をスタートさせた年である。主人公の麻生や藤村が暮らす本川の右岸「基町」 、このバッラック長屋には週3回通った。四年間ここで子供達に勉強を教えた。
 忘れられない友人も、原爆症で亡くした。恩師が育てた、若い被爆者グループのスポークスマンを務めた。8月が近づくとやってくるマスコミに、「被爆者をモルモットにするな!」と食って掛る役だった。原水爆禁止運動にも情熱を捧げた。そして・・・・・・・・・。

07_64007_640_207_640_3 今年の春、久し振りに広島を訪ねた。基町のバラック長屋は、すっかり姿を消していた。平和記念公園を除けば、もう被爆の跡は見つからない。

 しかし「その記憶」だけは、伝えていかなければならない。この作品はそうした試みのひとつである。
 大学の後輩でもある原作者のこうの史代、68年生まれの戦後派ではあるが、彼女もまた「語り部」 の一人である。

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August 07, 2007

704.フリーダム・ライターズ

Fw_wallpaper2_800 「人は、人生を変える“教師”と何人出逢う事が出来るのだろうか」
 この作品の主人公は、ロス郊外にある高校の203教室の生徒達。新米だが情熱だけはひと一倍持った国語教師に出逢った事で、人生と尊厳を取り戻した。
 これは13年前、ロス暴動直後のある高校であった感動的な実話である。

 その教師役は、芯の強い女性役を得意とするヒラリー・スワンク。「ボーイズ・ドント・クライ」「ミリオンダラー・ベイビー」で二度アカデミー賞主演女優賞を獲った。今回は、それに加えて、父親との関係、夫との関係で難しい悩みを抱える女性の弱さも見せる。

 彼女と対立する上司の教師役イメルダ・スタウントンが上手い。イギリスの名女優でもあるスタウントンは、「ヴェラ・ドレイク」でスワンクとアカデミー賞を競った。
 もう一人、元公民権運動家の父親役は「羊たちの沈黙」のスコット・グレンが演ずる。運動に挫折して、小市民的な日々を過ごす父親の、娘に対する複雑な想いは我々中高年の想いにも通ずる。
 そして主人公達、人気シンガーマリオの他はオーディションに応募した実際の高校生達が、等身大の自分を演ずる。

 監督・脚本は「マディソン郡の橋」を書いたリチャード・ラグラヴェネス。ヒラリー・スワンクも製作総指揮も担当、プロデューサーとしての手腕も見せた。

 「ロングビーチでは、肌の色が全て。浅黒いか、黄色いか、黒か、一歩外に出れば戦場なの」
 「誰もが18歳まで生きられれば十分だ」と思っていた高校生達「フリーダム・ライターズ」が書いた日記から、ストーリーは展開する。
 人種対立、貧困、暴力、ドラッグ。高校生達が抱える重荷は、日本の「荒れた教室」のレベルを遥かに超える。
 単なるベテラン教師が貧しい生徒を救う、という美談ではなく、教師と生徒がお互いから学び支えあい尊敬する話である。

 生徒達の日記を、一冊の本「フリーダム・ライターズ」にまとめた実在の教師エリン・グルーウエル。彼女は今も、カルフルニアの大学で若い教師達を育てている。
 日本でもそんな「美談」を持つ教師もいたが、すでに「国会」へと消えてしまった。

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August 06, 2007

703.アニメーションの世界

 夏休みに入ると、映画館は漫画とアニメで埋まる。「ポケモン」や「仮面ライダー」「アンパンマン」と常連が並ぶ。その中から、大人も楽しめる作品を探すのは難しい。
 昨年は、細田守監督の「時をかける少女」とか宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」という話題作があった。
 さて今年はどうだろう。とりあえず「ピアノの森」と「河童のクゥと夏休み」を見た。

327389view009  「ピアノの森」は「週間モーニング」(講談社)に連載中の一色まことの漫画が原作。
 「神童」の紹介でも触れたが、今クラシックブームが最高潮という事で、アニメにも登場することとなった。生まれも性格も正反対の天才型少年と努力型の少年が、ピアノを通じて友情の絆で結ばれるストーリー。
 世界的ピアアニスト、ウラディーミル・アシュケナージの演奏とファンタジックな森の映像が見せ所。監督は小島正幸、「時をかける少女」のマッドハウスが制作した。

327496view001 「河童のクゥと夏休み」 の方は、「クレオンしんちゃん」の原恵一監督が5年の歳月をかけて完成させたもの。
 河童と少年のひと夏の交流を、美しい日本の風景の中で描いた。舞台も民話の里・河童伝説の遠野から沖縄のヤンバルまでと拡がったが、2時間18分は長かった。
 人間と自然、都会と田舎、いじめ、週刊誌とワイドショーと、言いたい事は判るけど詰め込みすぎで饒舌。

 海外のアニメ作品も2本見た。
S3_p4_800 「 シュレック3」はドリームワークスアニメーションの作品。フルCGで描くおとぎの国のバトル・オイヤル、シリーズ第一作はアカデミー賞に輝いた。
 CGアニメは、人物の表情がノッペリとしてしまうが、動物や怪物を多用することで、動きに変化をもたらす。
 一作ごとに制作費は高騰しているとの事だが、CGの技術だけは高度化している。
 声優にキャメロン・ディアスやエディ・マーフイなど、スターを配することでヒットを狙う。ロマン・ヒュイとクリス・ミラーが共同監督。

326246view002_2 「レミーのおいしいレストラン」 は、ドリームワークスと並ぶアニメプロダクションの雄ピクサーの作品。「ファイティングニモ」や「モンスターズ・インク」などディズニー映画の話題作を作ってきた。
 今度は、一流シェフを夢見るネズミと料理が苦手の見習いシェフのお話。もちろん舞台がパリだから、「おいしい街角」が楽しめる。
 監督は、「Mr.インクレディブル」のプラッド・バード。制作スタッフもほぼこれまでと同じ。 
 「シュレック」と同様のフルCGだが、動物の描き方を比べると面白い。

 大量のセルを描く日本のアニメの質感と、CGに頼る欧米のアニメ。制作手法の違いもまた比べる事が出来る。

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August 04, 2007

702.魔笛(3)

569pxsquare_compasses  映画の紹介からは離れるが、オペラ「魔笛」のバックボーンとなったフリーメイソンについて、さらに話を進める。

 左のシンボルマークは、フリーメイソンの紋章である。日本はもちろん世界中のロッジには、この印が掲げられている。
 このマークは、男と女、陰と陽、天と地、精神と物質など世界の二元性の融和を表現している。コンパスは真理、定規は道徳、コテは結束と友愛、槌は知識を象徴する。
 そしてGはGeometry(幾何学)、Glory(栄光)、God(神)を示しているとも言われるが、Great Areatect Univerce(宇宙の偉大な建築家)の頭文字と彼等は言う。
 フリーメイソンが、建築家(石工)ギルドを起源とするシンボルなのだ。
 さらに、三角形は「三位一体」、全体が「ダビテの星」と宗教的な解釈をする研究家もいるが、そのあたりが陰謀史観に繋がるらしい。

070712_049 アメリカ合衆国は「フリーメイソンの理想郷として建国された、擬似宗教国家だ。」という説もある。
 建国の父、初代大統領ワシントンはフリーメイソンだった事は、周知の事実である。「独立宣言」に署名した56人のうち53人(別の資料では19人)がフリーメイソンだった、という記録もあるそうだ。
 上記の1ドル札、表はワシントンの肖像、裏の左はフリーメイソンの秘儀シンボルと解釈する人もいる。万物を見通す目、つまりピラミッド・アイと下の巻物に書かれたラテン語「新たな世俗の秩序」は、フリーメイソンのスローガンだそうだ。
 このエピソードをベースに製作された映画が、ニコラス・ケイジ主演の「ナショナル・トレジャー」である。

 事実としては、ワシントンの他にもモンロー、ジャクソン、ブキャナン、ジョンソン、二人のローズヴェルト、タフト、トルーマン、フォードなど歴代14人の大統領がフリーメイソンである。また合衆国の連邦制や憲法はフリーメイソンの組織や憲章に基づいて作られたという。
 ひとつのエピソードだが、メキシコと争ったテキサスの独立戦争は、サム・ヒューストンを指揮官にデイヴィー・クロケット、ジェイイムズ・ボウイなど「厳格戒律派ロッジ」のフリーメイソンの義勇兵が、アラモ砦に篭って戦っている。
 他、アメリカでは、著名人としてマッカーサー元帥や作家のマーク・トウエイン、ベニー・グッドマン、カウント・ベーシー、ナット・キングコール等音楽家も会員だったという。

 ヨーロッパでも芸術家の会員が多い。アトランダムだが、モーツアルトを筆頭ハイドン、バッハ、ゲーテ、ベートーヴェン、リスト、シベリウス、ケプラー、カサノヴァ、コナン・ドイル、オスカー・ワイルド、プーシキンと並ぶ。
 また王侯貴族では、ジョージ4世、エドワード7世、エドワード8世、ジョージ6世の名が見られる。フリーメイソンを否定しているイギリス国教教会の長がフリーメイソンだというのも面白い。フランスでは、ナポレオンも有名だ。
 そしてイギリスでは、現在ケント公がグランド・マスターに就任している。

 最後に日本について紹介しておこう。
 日本にフリーメイソンの思想を持ち込んだのは、哲学者の西周(にしあまね)と林薫伯爵である。彼等はイギリス留学から帰国後、日本にロッジを設けた。その後、津田正道や終戦処理内閣を作った皇族の東久邇稔彦首相等が中心となる。
 代表的な人物としては、政治家の鳩山一郎元総理が有名である。彼は、フリーメイソンの旗印のひとつ「友愛主義」を政治信条とした。民主・自民と分かれているが一郎の孫、由紀夫・邦夫の兄弟も良く「友愛」を口にする。会員であるかどうかは別として、彼等も祖父の影響を受けている。

 秘密結社と言っても日本では、オープンの部分もある。日本グランド・ロッジを中心に全国15~6のロッジ、慈善事業団体として(財)東京メソニック協会を持つ。
 組織のHPを見ると、入会の資格として「男性に限る。定職を持ち、定収入、家族扶養、信仰を持つ事」とある。また複数の会員の推薦も必要だし、ある程度の出資も覚悟しなければならない。
 しかしHPだけでは、その実態はわからない。こちらは、入会資格にいくつかの欠格条項があるので会員にはなれないし、これ以上の情報は持ち得ない。

 全世界で300万、日本には2000人の会員がいるという「フリーメイソン」。映画「魔笛」からはかなり脱線したが、組織の歴史と理念を少しでも理解した上で鑑賞すれば、また別な面白さを味わえるだろう。

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August 03, 2007

701.魔笛(2)

Gloj1b_3degrees 「『魔笛』は、フリーメイソンの思想を具現化したオペラ。その点に触れるべきだ。」
 ブログ698号の映画「魔笛」の紹介に対して、こんな指摘をいただいた。その事については、こちらも迷ったのだが、混乱を避けるため敢えて省いた。
 しかし、フリーメイソンの歴史や教義を理解した上で映画を観ると、確かに感動の度合いは高まる。

 秘密結社の代名詞ともいわれるフリーメイソンだが、モーツアルトは1784年に会員になっている。その後父親や友人のハイドンも誘っているから、単なるお付き合いの入会ではない。
 この頃、フリーメイソンは「冬の時代」だったといわれる。神聖ローマ皇帝は、オーストリア国内にフリーメイソンを禁止する勅令を出し、激しい弾圧を加えた。
 モーツアルトは、それを強く意識して「魔笛」を書き上げた。映画にも出てくるが「沈黙と握手」はフリーメイソンの秘儀であるし、「火と水」の試練や「光と闇」「憎悪と愛」の二元論は教義そのものである。
 最初は悪役と思われた暗黒卿も、実は多くの民を愛で包み込むフリーメイソンのグランドマスター だったのである。

 フリーメイソンは、世界最古の秘密結社と言われている。しかし、「アサシン」や「アルカイダ」のようなテロ組織でもなく、「コーサ・ノストラ」や「三合会」「やくざ」などのような犯罪者・暴力集団でもない。また「オーム」等の狂信的宗教団体でもない。
 現代では、ロータリークラブに近い上流階級のサロンまたは慈善事業団体といっても良いだろう。ただ活動実態や、入会儀式、組織内の階級が非公開なため秘密結社として扱われる。
 また構成メンバーの顔ぶれや活動の非公開性が憶測を呼び、世界の政治経済を支配する闇の組織とか、シオニストたちの隠れ蓑などとも言われている。
 そしてローマ・カソリック教会は今でも「異端」として、信者の入会を禁じている。

 フリーメイソンの起源は、その言葉(「自由な石工」)が言い表すように、ヨーロッパで巨大なカテドラルを建築してきた技術者たちのギルドというのが定説となっている。それまでは地域の領主に仕え専属的な技術職人だったが、高度な技術力を生かして国や領地を越えヨーロッパ内を渡り歩いた。いわゆる自由職人となったのだ。
 現在も、フリーメイソンの組織では、集会所を昔の職人の溜まり場ロッジと呼ぶし、徒弟とか職人、親方と呼ばれる階級もある。また入会の儀式、昇進の儀式等も当時の「秘儀」を守り伝えているからだ。

  もうひとつ12世紀始めに結成され、200年後フランス王フイリップ四世によって壊滅させられたテンプル騎士団の残党という説もある。
 テンプル騎士団は、「キリストの貧しき騎士たち」と称した軍事・宗教組織である。もともと十字軍帰国後、聖地エルサレムを訪れる巡礼たちの安全を守った。
 映画にもよく出るが、純白のマントに緋色の十字架を縫いつけたユニホームは、イスラム軍兵士を恐れさせた。
 その後てヨーロッパに戻ると、彼等はフランス国内に「独立国」を築き、フランス王と対立する。そして騎士の一斉検挙、異端諮問によってリーダー達は拷問・火あぶりにされるのである。

 近代のフリーメイソンは、18世紀初頭のイギリスに始まる。ロイヤル・ソサエティーの知識人たちが中心になって、ロンドンの四つのロッジを集めて「グランド・ロッジ」を結成、マスターに貴族のモンターギュ公を戴いた。この時からフリーメイソンは、技術集団から知的・精神的向上を求める人たちのサロンとなる。
 その後「組合憲章」がまとめられるが、これは古代の神秘主義と近代の啓蒙主義・科学主義との融合である。フリーメイソンの最終目的は「真実で善良な人間」を求め続ける事になる。(続)

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August 02, 2007

700.ブログ

 三年前にスタートした「ブログ」が、今日で700号になった。半数以上は「映画の紹介」だが、これは仕事のようなものだし、頼りにしていらっしゃる方も多いのでいたし方ない。

 「焼酎バー『黒瀬』」は80回掲載した。友人達と行っている事業なので、PRに努めている。ただ、このブログで、ストレートに店の宣伝は行わないよう気をつけている。故郷薩摩の本格焼酎についての話題を紹介して、もうひとつのブログ「焼酎バー『黒瀬』」に結び付けている。
 これはまた、「むらと都市」との情報交流のトライでもある。

 四年前に、山の手から「下町」に引っ越したので、その話題も時々書く。住んでる「月島」は下町ではない、と四方田犬彦は書いているが(「月島物語ふたたび」)、住民の気質はすっかり「下町」である。
 江戸東京博物館館長の竹内誠さんによれば、明治時代までは「京橋、日本橋、神田、下谷、浅草の五区」が下町と呼ばれ、隅田川を渡った本所・深川は入っていなかった。
 深川は辰巳の心意気を持つ、下町ではない「水の町」としての誇りを持っていたと言う。
 そして戦後、江戸川・足立など矢切の渡しまでが「下町」と呼ばれるようになった。

 野崎左文の「日本名勝地誌」には、「・・・・の五区は俗に下町と称し、市中最も殷賑を極むるの地」「本郷、小石川、牛込、四ツ谷、赤坂、麻布等の諸区は俗に山ノ手と称する部に属し、土地高燥、阪路随て多く、其繁昌下町には及ばざるも、貴顕紳士の邸宅は最も此地に多し」と書かれている。
 この頃、渋谷や世田谷は府下何々郡何々村だったから、もちろん山ノ手ではない。

 「R25」によると、世界には7000万のブログが存在し、1日あたりの投稿数は150万。そのうち日本語によるブログの投稿数は、全体の37%を占めているという。英語が36%というからすごい事である。
 ただ海外のブログが、ニュースを自分なりに読み解くジャーナリスティックなものが主流なのに対し、日本はほとんど日記だそうだ。日本人の、日記やメモをしたためる文化とブログがマッチした事らしい。また携帯電話との連動で、若い人たちが毎日大量に投稿するので、世界一になった。
 因みに、世界一言語人口の多い「中国語」は、8%だそうだ。

 「日本人の場合は、情報発信ではなく、放電だ」と、ブログブームを揶揄する人もいるが、せいぜいその点にだけは気をつけよう。

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August 01, 2007

699.キサラギ

07_640_2  映画のタイトル「キサラギ」とは、売れないアイドル・如月ミキの事。その如月が謎の死を遂げて一年、ネットで知り合ったオタクっぽい5人の男が開いた彼女の一周忌が話のすべてである。
 だから舞台は一周忌が行われる部屋ひとつだけ。登場人物もその5人だけという密室サスペンスなのである。

 本を書いたのは、「ALWAYS 三丁目の夕日」で日本アカデミー賞を受賞した古沢良太。7年前に書かれた緻密で巧妙な脚本「キサラギ」、その面白さに惚れたプロデューサーたちが駆け回って、映画が誕生した。
 5人の出演者たちもまた、その脚本に惚れて参加した。

 5人の出演者とは小栗旬(「ウオターズ」)、ユースケ・サンタマリア(「交渉人真下正義」)、小出恵介(「パッチギ」)、菊地武雄(「間宮兄弟」)の若手に香川照之(「ゆれる」)のベテラン。この5人の持ち味を上手く引き出したのが、「シムソンズ」の佐藤祐市監督である。

 ワンセットという、限られたカメラアングルの中で「芝居の動きやテンションが、ちゃんとしていれば必然的にアングルは生まれてくる」と、絵コンテも用意せず現場の雰囲気を生かした演出を試みる。役者もまたより自由度の高い演技を、発揮する。

 限られた密室のなかで、それぞれが見せる巧妙なアクションと緻密な会話。そこからひとりひとりの出自と「キサラギ」との距離が見えてくる。そして謎は。
 このドラマトゥルギーは、アガサ・クリスティーのサスペンス戯曲「ねずみとり」を思い出させる。だから、決して退屈させない。

 当初この映画は、それほど宣伝されなかった。ところが、ネットと口コミで一気にブレイクした。制作した共同テレビの幹部さえ、びっくりしている評判なのだ。
 本物の如月ミキが登場する、最後のオチは不要だと思うが、それがギャグだと、若い人たちが喜ぶのかも知れない。

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