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December 31, 2007

822.2007年データ忘備録

 「スイミング」 278km(-13)、例年に比べて、離京の日が多かったので。
 「旅」 24日(+13)、鹿児島、広島・山口、熊本・宮崎・大分・福岡・長崎・佐賀、北京、長野、長野・新潟、静岡、三重・和歌山・奈良。今年は九州・西日本を良く歩いた。
 「映画」 138本(-11)、旅で東京を離れる事が多かったので。
 「観劇」 22回(+3)、歌舞伎がほとんどだが、寄席にもたびたび通った。
 「魚がし」 86回(+28)、映画の帰りにここで昼食を。買出しは例年と同じぐらい。
 「ブログ」 289本(-19)、これも旅が多かったので。
 「読書」 71冊(-11)、これも在宅率が低かったので。
 「夜の在宅率」 62%(-7)相変わらずの夜遊び?
 そして「通院」22日、例年は健康診断と歯科医で5日ほどだが、秋に体調を崩して大病院に通った。「休肝日」は増えたが、要注意.。

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 「紅白歌合戦」、今年は白組の勝利。東京タワーがその結果を見せてくれました。
 よいお年を。そして穏やかな新年をお迎えしましょう。

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December 30, 2007

821.築地市場

07_64007_640_207_640_3 今年最後の築地市場。いつもより1時間早い9時ごろ場内を歩いた。
 プロの買出しが殆ど終わった後なので、案外歩きやすい。
 マグロの価格は5000円から6000円 (ミナミマグロ・キロ)、大間のナマで1万5000円と 昨年並みだった。
 これが小売に並ぶと100g1500~3000円になる。
 場内では、「赤貝」「タコ」「マグロ」を買う。

07_640_607_640_7 場外市場は大混雑である。市場移転問題で危機感を持つ組合が、様々なイベントを展開してPRするので、年毎に客が増えている。旅行会社の買出しツアーも企画されているとかで、車道まで人が溢れていた。
 人気の卵焼き屋はどこも行列、馴染みの店で予約してあったので待たずに買えた。あとは「黒豆」「つけもの」「野菜」など、正月料理の品々を仕入れて、今年の築地通いを終えた。

 日記帳を捲ると、この一年100回近く通っているようだ。ただ三分の一は、もっぱら昼飯を狙ってなので、場内には入っていない。   

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December 28, 2007

820.ベオウルフ~呪われし勇者~

Beowulf41024x768 オスカー女優アンジェリーナ・ジョリーの妖艶なヌードが見られる、というので劇場に出かけた。CG処理されているので、どこまでが彼女の素肌かは判らないが、産後間もないというのにボディは引き締まり、肌は美しく輝いていた。

 その彼女に誘惑されて、怪物を生ましてしまったのが同じオスカー俳優アンソニー・ホプキンスのデンマーク王。その怪物を退治したヴァイキングの勇者、レイ・ウインストンもまた彼女の魅力に坑じられずにドラゴンの胤をまく。
 古代デンマーク王国を舞台にしたイギリス最古の叙事詩「ベオウルフ」は、美女が生み出す邪悪な創造物と勇者のヒロイズムの物語なのだ。

Beowulf21024x768 古代ギリシャの叙事詩「ホメロス」などに比べ、その文学性が弱いとされていた「ベオウルフ」だが、近年「指輪物語」を書いたトールキンによって再評価され、ファンタジーの原点として今ではアメリカの高校教科書でも紹介されているという。

 5世紀頃から、ブリテン島(イングランド)に移住したアングロ・サクソン人は、スカンジナビアのヴァイキングの末裔と称し先祖の英雄を称える3000行にも上る叙事詩を書き連ねた。
 詩篇のなかには「サン・クリストファー物語」や「アレキサンダーの書簡」なども含まれているそうだが、中心の詩は勇者ベオウルフを讃えたもので綴られている。
 その壮大なストーリーを、ファンタジックなアクション映画に仕立て上げたのがロバート・ゼメキス監督である。

 ゼメキス監督は、「フォレスト・ガンプ/一期一会」でアカデミー賞をはじめ、その年のほとんどの作品賞・監督賞を獲った事で知られている。
 制作会社イメージ・ムーバーズを率いる一方で、南カルフォルニア大学にデジタル・アートセンターを設立、モーション・キャプターの教授として学生の指導にもあたっている。
 あの「フォレスト・ガンプ」で見せた、過去の映像に現在の俳優を融合させるデジタル映像技術は、多くの映画関係者にショックを与えた。
 今回の「べオウルフ」でも、デジタル・シネマの最進化形とも言うべき、驚異的な映像世界が 描かれている。

 3000行の大叙事詩を114分の物語に脚色したのは、ニール・ゲイマン。今回は製作総指揮も担当しているが、今アメリカで大活躍しているベストセラー作家である。またジャーナリストとしても有名で、「ニューヨーク・ポスト」や「ワシントン・ポスト」でコラム欄も持っている。
 彼は、「もののけ姫」の英語版を書いた脚本家として日本では知られている。

 冒頭紹介したジョーリー3人の他に、ジョン・マルコビッチ(「エラゴン」)、ロビン・ライト・ベン(「こわれゆく世界の中で」)、ブレンダー・グリーソン(「ハリー・ポッター」)など名プレイヤーが顔を並べている。

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December 27, 2007

819.ダーウイン・アワード

328825view009  所用で渋谷を歩いていた時目に付いた映画のポスター、撮影監督HIRO・NARITAとある。朝鮮からの引揚者、その後ハワイに移住して映画カメラマンとなった日本人、私と同年代だ。
 タイミングよく上映時間も近かったので、1000円払って見た映画がこの「ダーウイン・アワード」だった。

 最も愚かな死に方をした人に贈られる賞「ダーウイン・アワード」。バカな遺伝子がこの世から消えた事に感謝して贈られる、実在の賞なのだそうだ。
 そのバカバカしさを題材に仕立て上げ、バカバカしいコメディー映画を撮ったのが監督フイン・タイラーと先述のヒロ・ナリタのコンビである。

328825view001 バカバカしい映画だが、出演者は豪華だ。主人公の2人、左がジョセフ・ファインズ。イギリス出身の彼は「エリザベス」「恋におちたシェークスピア」「ヴェニスの商人」などに出演したスターである。
 右の女性はウイノナ・ライダー。「汚れた情事」「若草物語」などで知られるアメリカの女優、アカデミー賞にもノミネイトされた演技派だ。
 他にもクリス・ベン(「ダイアモンド・イン・パラダイス」)、ジュリエット・ルイス(「ナショナル・ボーン・キラーズ」)、デヴィド・アークエット(「ネヴァー・ダイ・アローン」)など個性派が並ぶ。

 粗筋はこうだ。
 2人のコンビが、「ダーウイン・アワード」を受賞した人を探して全米を旅する。1人は「バカをする遺伝子」を統計的に論理付ける事で、生命保険の無駄な契約を無くすための調査。一人はバカな死に方をした遺族に、生命保険給付を断る仕事。
 そして様々な、想像を超えるバカな死に方が再現され、観客はバカ笑いしてしまうというもの。
 
 何か訳も判らず映画館を後にしたが、心が軽くなって家路についたのは事実だ。

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December 26, 2007

818.もっと知りたいイギリス

012  銀行・証券・デパートのトップを務めた友人たちと、時折ワインを傾けながら懇談している。
 先日は、繊維会社で海外事業を担当された藤森さんをゲストに迎えたが、帰り際に表題の著書を戴いた。この夏出版された紀行文である。

 夜、賀状の準備が終わったので一息入れようと、机上の本を広げたが、これが滅法面白い。休むことなく一気に読み耽ってしまった。そしてその夜半には、彼のガイドでロンドンの街を歩く夢まで見てしまった。

 イギリスは、彼が30年ほど前に勤務した国である。定年後早稲田で「イギリス」を学び、ここ2年間仕事を離れて懐かしの地を旅した。この著作では、今も歴史が息づくイギリスの名所を舞台に、興味あふれる物語が展開する。

 いくつかの章を紹介しよう。いずれも映画ファンを自認する私が、ここ一年に見た映画の舞台となった場所だが。

 「ウエストミンスター宮殿」
 ここはイギリスの国会議事堂でもある。いや宮殿の中に、議会の常設会場が置かれているといったほうが良い。例えば下院(中世の時代は庶民院)には、宮殿内の「聖スティーヴンズ教会」が与えられた。だから議員達は、通路を挟んだ聖歌隊席に与野党が分れて座り、議長は祭壇の位置につく。19世紀の大火で焼けたが、再建後もこの伝統を守って、議場は教会を模した船底型になっている、と話は始まる。
 ウエストミンスター宮殿を舞台にした映画は「Vフォー・ヴェンデッタ」。主人公のガイ・フォークスは、カトリック教徒を弾圧するジェームズ一世を暗殺するため宮殿地下に爆薬を仕掛けるが、実行直前に逮捕され公開処刑された、というストーリーだった。
 著者はこの項の最後に、「(暗殺決行日の)11月5日は『ガイ・フォークスの日』、子供たちはガイ・フォークスの人形をつくり、引き回した後焚き火にいれて燃やし、それから花火を愉しむ」と紹介している。

 「バッキンガム宮殿」
 日本の皇居にあたるのがこの宮殿だろう。著作では、宮殿の誕生物語をジョージ4世の人生遍歴で語る。そして毎年夏、エリザベス女王がバルモラル城に避暑に出かけている間、バッキンガムが一般公開されるエピソードを綴る。入場料で、火事に見舞われたウインザー城の修復費用を捻出するためだそうだ。
 ここを舞台にした映画は、ご存知の「THE QUEEN」である。カソリック信者であるブレア首相夫人とエリザベス女王の謁見の間での微妙なやりとり、ダイアナ王妃を偲ぶ花で埋まったバッキンガム広場、自らジープを運転してバルモラルの森を駆け巡る女王、著書を読みながら思い浮かべた。

 「バースの街」
 イングランド南西部にある古い町バースの紀行は、著名な画家トマス・ゲインズバラと女流作家ジェーン・オースティンの紹介で語られる。
 オースティンといえば、彼女の原作を映画化した「プライドと偏見」である。18世紀のイギリスの田舎を舞台に、結婚という女性にとっての永遠のあこがれをモチーフにした5人姉妹の物語だった。昨年のアカデミー賞、主演女優賞にノミネイトされたキーラ・ナイトレイとジュディ・デンチ、若手・ベテランも2人の演技が見ものだった。
 著者はこの章で、「『プライドと偏見』は、サマーセット・モームが『世界十大小説』のひとつとして絶賛している」と紹介している。

 「イギリスという国」から「湖水地方」まで22章のエッセイは、著者が丹念に歩いて書いたもの。まるで読者自らが、その地を旅した錯覚に陥るほど楽しい読み物だ。正月休みの読書にお薦めする。

   藤森靖允著
   「もっと知りたいイギリス~歴史が生きる街をいく」(ぎょうせい)1714円  

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December 25, 2007

817.いのちの食べかた

Dl_07_sDl_03_s 衝撃的な作品だった。元ドキュメンタリストとしては声も出ない。
 「食」が作られる現場をそのまま写す。全てが「事実」である。一切のナレーションもない。ただ事実の音だけがかぶさる。
 そしてその映像のモンタジューから「いのち」の「真実」が生まれる。

 原題は「OUR DAILY BREAD」、「日々の糧」とでも訳せばよいか。また画面に象徴的に登場するサンドウイッチ=パンを示唆しているのか。
 邦題の「いのちの食べかた」は、映画監督でドキュメンタリー作家の著書から持ってきた。これをどう解釈するかは、人それぞれである。

 製作したのは、オーストリアのドキュメンタリー作家のコンビ。ニコラウス・ゲイハルター(監督)とウオルフガング・ヴィダーホーファー  (編集)が2年間かけてヨーロッパ各地の「食」の生産現場を撮影した。
 それは農場や漁場というより、ハイテク化された「食料生産工場」といったほうがよい。

Dl_09_s  そしてその「工場」はあまりにも残酷で美しい。ある映画批評誌は、フェルメールの絵画を思わせる美しさ、と評した。
 思わず噴出しそうなシーンもある。そしてそら恐ろしくなる。

 見方は様々だろう。初めて知った「食の生産現場」にただただ驚く消費者、ヨーロッパ農業の生産性の高さに驚く生産者、「命」が機械化されていく事を嘆く人、日本の零細農業にかえって救いを見る人・・・。
 ただこれだけは共通する。「私たちは生きるために、他の動物たちの『命』を『いただいている』という実感を。

 日本の食糧自給率は、40パーセントを切っている。そして年間11兆1000億円相当の「残飯」を捨てている世界一の国。
 世界中では8億の民が栄養失調の状況にあり、900万人が餓死寸前という現実。

 この作品は2年前に製作され、「パリ国際環境映画祭グランプリ」「アテネ国際環境映画祭最優秀作品賞」「アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭特別審査員賞」等々を受賞している。

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December 23, 2007

816.日本アカデミー賞(11)

 先日、日本アカデミー賞の優秀賞が発表されたが、メディアがあまり取り上げていないので、主な部門について紹介しておく。各部門5本(人)順不同。

 「作品賞」
 「ALWAYS 続・三丁目の夕日」 「キサラギ」 「それでもボクはやってない」 「東京タワー オカントボクと、時々、オトン」 「眉山~びざん~」
 「ALWAYS」以外は予想通り。昨年の「ALWAYS」に比べて・・・と思って「オリオン座からの招待状」を推したが。

 「アニメーション作品賞」
 「エヴァンゲリヲン 新劇場版:序」 「河童のクゥと夏休み」 「鉄コン筋クリート」 「ピアノの森」 「名探偵コナン 紺碧の棺」
 「コナン」は見てないので何とも言えないが、「ベクシル2077日本鎖国」が落ちたのが残念。

 「監督賞」
 犬童一心(「眉山」) 佐藤祐一(「キサラギ」) 周防正行(「それでもボク・・」) 松岡錠司(「東京タワー」) 山崎貴(「ALWAIS」)
 作品賞と同じだが、脚本賞は「眉山」に代わって「舞妓HAAAN!!!」の宮藤官九郎、「東京タワー」の松尾スズキ以外は、監督が脚本も。

 「主演男優賞」
 オダギリジョー(「東京タワー」) 加瀬亮(「それでもボク」) 吉岡秀隆(「ALWAIS」)が作品賞と同じだが、役所広司(「象の背中」) 阿部サダオ(「舞妓・・」)も。
 役所は「アルゼンチンババア」でも好演、「眉山」「Life」の大沢たかおも活躍したが。

 「主演女優賞」
 樹木希林(「東京タワー」)以外は作品賞とは異なる。寺島しのぶ(「愛の流刑地」) 中谷美紀(「自虐の詩」) 仲間由紀恵(「大奥」) 宮沢りえ(「オリオン座からの招待状」)
 仲間以外は予想通り。「アルゼンチン」の鈴木京香も良かったが。

 「助演男優賞」
 柄本明(「やじきた道中てれすこ」) 香川照之(「キサラギ」) 小林薫(「東京タワー」) 堤真一は「ALWAIS」と「舞妓・・・」の2作品で。

 「助演女優賞」
 掘北真希(「ALWAIS」) 松たか子(「東京タワー」) 宮本信子(「眉山」) もたいまさこ(「それでもボク・・」) 薬師丸ひろ子(「ALWAIS」)

 「外国作品賞」
 「硫黄島からの手紙」 「ドリームガールズ」 「バベル」 「ヘアスプレー」 「ボーン・アルティメイタム」
 本数が多いので票は割れたと思うが、「ヘアスプレー」だけは意外だった。

 アメリカのアカデミー賞で言えば、以上の「優秀賞」が「ノミネイト」と同じ。それぞれ5本(人)の中から会員の投票により、最優秀賞が決定する。
 発表は、来年2月15日、日本アカデミー賞授賞式の席上で。

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December 22, 2007

815.椿三十郎

326550view005 今回もまた大殺戮劇である。映画の原作、山本周五郎の短編「日日平安」 では1人の死人も出ない。それが45年前の作品では27人の犠牲者!、配給会社が「10秒に10人たたき斬る」というので黒澤明が渋々撮ったというエピソードもある。

 今回のリメイク版は、昔の脚本をそのままを使った。当時としては日本最高の脚本家たち(菊島隆三・小国英雄・黒澤明)の本である。面白くならないはずがない。
 さて今回の森田芳光監督、黒澤を乗り越える事が出来ただろうか。それぞれ意見は異なるだろうが。

326550view001   黒澤作品での主人公・椿三十郎は三船敏郎だった。三船・三十郎の活躍で大ヒットした「用心棒」の続編だったから当然だろう。今回は、織田祐二。これは貫禄負けである。眼光の鋭さ、ふてぶてしさ、一瞬の剣捌き、これは仕方がない。
 一方の敵役室戸半兵衛、今回は豊川悦司。こちらは前回の仲代達矢と互角である。その体から匂ってくる無常観には味がある。

  他の役も並べてみると面白い。どちらに軍配を上げるかは勝手だが。
 準主役クラス、若侍集団のリーダーは加山雄三から松山ケンイチに。城代家老伊藤雄之助は藤田まこと、その奥方入江たか子は中村玉緒、娘の団冷子は鈴木杏、チンケな侍だった小林圭樹は佐々木蔵之助という配役。
 一方悪役の方は、次席家老が志村喬から小林捻侍、大目付の清水将夫は西岡徳馬、用人の藤原釜足が風間杜夫である。
 既に鬼籍に入られた役者も多いが、黒澤・森田両監督の演出眼を知る上で面白い。

 今回のリメイク版の製作総指揮にあたった角川春樹は、「日本映画が生み出した傑作を、今の若い世代の観客はなかなか見ることが出来ない。この作品を通して、こんなに面白い映画があったのかと是非楽しんでほしい」と語る。
 この作品が45年前の黒澤版をもう一度呼び戻した、そんな意義もあったといえる。
 森田監督もまた、ラストの一瞬にして決まる決闘シーンをモノクロにして、黒澤へのオマージュとした。  

 モノクロ映像の中から「真っ赤なツバキ」が現れたあのシーンは、今をもっても忘れられない。錯覚だったかも知れないが。 

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December 21, 2007

814.焼酎バー「黒瀬」(89)

 最近の焼酎の話題を、新聞・HPから要約で。

 「夕張を鹿児島の蔵元が支援」
 
市の第3セクターから「めろん城」の運営を引き継いだ夕張酒造は、今月のはじめ、鹿児島で芋焼酎を扱う老舗の若松酒造から業務支援を受けると発表した。そして先週、石炭をイメージしたナガイモ焼酎「夕張TORAJIRO」の販売を開始した。
 夕張酒造は酒造業の経験者も少なく、販売ルートにも限りがあった。9月開かれた同業者の交流を機会に、鹿児島では出荷量2位を誇る若松酒造に支援を求めたもの。
 新商品は、樽で熟成したナガイモ焼酎と今年の新酒をブレンドしたもの。夕張再建の願いを英文でラベルに掲載、720m、25度の焼酎をl2万4000本限定販売している。
 なを両社では、来年3月にも新商品を販売する予定。(北海道新聞、日経ほか)

 「南薩限定焼酎も販売開始」
 
南薩摩地方の12の店舗でつくる「まちの駅南薩ブロック連絡会」では、地域限定の土産物として開発した「天地一杯」(720ml、1750円)を先週から売り出した。
 仕込を行ったのは、枕崎にある明治蔵でイモの苗植えから仕込みまで店舗の皆さんが関わった。
 昨年は春に販売したが好評だったので、今年はイモ作りを早め年内に出荷した。本数は、昨年の倍4000本を予定している。(373news.com)


 「焼酎学講座から初原酒誕生」
 
春開講した鹿児島大学の焼酎講座で、学生達による始めての焼酎造りが始まった。
 蒸留したもろみは、学生達が2週間かけて手造りしたもので、黒麹、白麹を使ってコガネセンガンを原料とした。
 学生達は、今日までに1人900mlの原酒を造るが。同じ材料を使っても個性あるものが誕生しており、どんな味になるか指導に当っている教授たちは楽しみにしている。(南日本)

 「黒瀬」 渋谷区渋谷二丁目14-4
       ℡5485-1313
 HP http://keida.cocolog-nifty.com/kurose/

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December 20, 2007

813.国立寄席

 前号に続いて「国立」である。地下鉄永田町から歩いて5分、国立劇場と背中合わせに国立演芸場がある。ここでは毎月2回の定席公演、国立名人会や花形演芸会、一門会など落語を中心に、漫才や奇術、漫談が上演される。

071220_027_640  今回楽しんだのは、「中席(なかせき)」と呼ばれる定席公演、林家木久扇・木久蔵の「親子ダブル襲名披露公演」である。とくに後輩の林家彦いちの登場する日を選んで、前売り券を確保した。
 彦いちは、木久蔵改め木久扇の二番弟子である。一番弟子がきく姫で、今公演では日替わりで出演して、きくお改め木久蔵の真打昇進と襲名を祝っている。(残念ながら昨日は都合で久蔵が代役)

071220_031_640 午後から始まった寄席は、丸山おさむの「ものまね」、林家正楽の「紙切り」をはさんで、6番弟子のひろ木、3番弟子の久蔵の落語、木久扇の友人代表として橘家円蔵が「火炎太鼓」を、本家からは林家いっ平が「痴話喧嘩」と並ぶ。

 落語では初めて見た「襲名披露口上」もあってその後は、木久扇が師匠の8代目林家正蔵=彦六を偲んで「新・彦六伝」を語る。木久扇は昔から師匠の物真似が上手く、本人より本人らしい?と言われている。笑いをはさみながらも、師匠の名人たるを聞かせてくれた。

 トリは真打登場、そして2代目襲名の木久蔵の古典落語「ねずみ」。ちょっと硬い感じだったがそれなりの精進を見せてくれた。

 落語の世界では、江戸時代に家元や弟子の制度が確立したという。また「前座」「二つ目」「真打」と芸の制度も整った。
 これまでは「芸」によって名跡や家元を継いで来たが、最近は血統で継ぐ例が多い。一昨年の林家正蔵も柳家小さんもそうだし、一年後にはいっ平が三平を継ぐらしい。
 そういう意味では、木久蔵も含めて親の芸をどう乗り越えていくか普段以上の精進が求められる。
 林家一門をおおいに「ヨイショ」しながら、落語を楽しむ事にしよう。

 東京の5箇所の演芸場で行われた50日間にのぼる「ダブル襲名披露公演」、本日が千秋楽となる。来年は、全国各地を回ると言う。

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December 18, 2007

812.国立歌舞伎

011 恒例の「ひとまく会」とスケジュールがぶつかってしまったが、久し振りなので国立劇場に出かけた。月に二日ほど開催される「社会人のための歌舞伎入門」の公演だ。

 この催しは、日中仕事のために観る機会の少ないOLやサラリーマンが、歌舞伎に親しんでもらおうというもの。サントリー出身の日本文化振興会理事長が、経団連や商工会議所の協力を得て始めた。

 一般に歌舞伎は、複数の演目を並べて5時間弱公演する。だから日中か、夜の部でも16時過ぎには開演しなければならない。どうしても、社会人の足は遠のく。
 そこで19時開演、ただし演目はひとつ。料金も半額以下に抑え、新しい観客を集めようと試みたのだ。

 今回の演目は師走にふさわしく、「忠臣蔵」の外伝である「松浦の太鼓(まつうらのたいこ)」がかかった。
 この作品は、1856(安政3)年江戸森田座で初演された三世瀬川如皐の「新台いろは書始」の中から、大高源吾のくだりを明治になって独立させたもの。
 「松浦の太鼓」は、三世中村歌六によって何度も上演されたが、歌六の長男・初世中村吉右衛門が芸容の大きな傑作に練り上げ、彼の選定した家の芸「秀山(吉右衛門の俳名)十種」のひとつとなった。
 もちろん今回主演の、当代吉右衛門もこの家の芸を継承し、名品として高井評価を受けている。

 話は、俳諧の宗匠宝井其角(中村歌六)と弟子で赤穂浪士の大高源吾(市川染五郎)との出会いから始まる。そして別れ際宗匠は「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠みかけ、煤竹売りに身をやつした源吾は「あした待たるるその宝船」と付け句する。
 一方、吉良家の隣に住む松浦候(中村吉右衛門)は大の赤穂贔屓。しかし赤穂浪士の本意がわからずいらいらしている。其角から付け句を受け取り、意味を考える時山鹿流の陣太鼓が聞こえてくる。「あした待たるる」は、まさにこの討ち入りのことだった。

 短気な殿様が、太鼓のリズムにあわせて身を乗り出していく。ここが、この芝居の最大の見所。大石蔵之助と同じ山鹿素行の弟子だった松浦候、吉右衛門が気持ちよく演ずる。
 染五郎の源吾もまた、両国橋でのみすぼらしい姿から一転してさっそうたる装束姿。得な役である。

 会場は、歌舞伎座と異なり若い人が目立つ。1等席5000円、3等席は1500円。学生はさらに割り引かれる。次回は今週金曜日の19時から。 

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December 16, 2007

811.日本アカデミー賞(10)

 外国作品部門最終回は、アメリカ映画(年度後半)を紹介する。

 「あるスキャンダルの覚え書き」 アメリカ映画には珍しい緊張したタッチの作品。イギリスの作家がアメリカでの事件をもとに、舞台をロンドンに移して書いた本が原作、出演もオスカー女優のジュディ・デンチだからイギリス映画といってもいい。
 もうひとりオスカー女優ケイト・ブランシェット(「アビエイター」)も出演、女の孤独と嫉妬を描く怖い作品だった。

 「プレステージ」 この作品も前者と同じく配給会社はアメリカだが、ロンドンを舞台にイギリス出身のクリストファー・ノーラン監督が撮った。
 ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベール、スカーレット・ヨハンソンとハリウッドで売れっ子の若手スターが絡む、マジシャンの世界を描いた。イギリスでナイトの爵位をもつマイケル・ケインとロック界のカリスマ、デビット・ボウイも出演。

 「インランド・エンパイア」 3時間という長い映画だった。前半の60分は気持ちよい半睡状態に陥ってしまった事を思い出した。そして最後は、スタンディング・オベーションの気持ちになった。
 この映画を監督した巨匠デイビッド・リンチは、今年のベネチア国際映画祭で「栄誉金獅子賞」を授与されたがまさにクロウト好みの作品である。
 作品はリンチ監督の隣に引っ越してきた、女優ローラ・ダーンの発想から生まれ彼女が主演した。「映画は女の悩みを撮っただけ」と監督は言うが。

 「プラネット・エラーinグラインドハウス」 この作品は若い映画マニアにとってたまらない作品だっただろう。独立系のB級映画を2~3本立てで上映する場末の映画館(グラインドドハウス)、そこに入り浸っていたクエンティン・タランティーノ監督がこれでもか、これでもかとセックス・暴力・麻薬・黒人を描く。ゾンビ映画のロバート・ロドリゲス監督の「デス・ブルーフ」と2本立ての特別試写会もあった。

 「キングダム~見えざる敵」 キングダムとはサウジアラビアのこと。9.11の4年前、リアド外国人居留地で起こったテロ事件が話のベース。「ARI」でオスカーを獲ったジェイミー・フォックスが主役のFBI捜査官、企画したのは「ARI」を監督したマイケル・マンという組合せ。
 「パラダイス・ナウ」で自爆する主人公を演じた、パレスチナ出身のアシュラフ・パルフムがサウジの警官役で共演している。

 「グッド・シェパード」 聖書にある「善き羊使い」がタイトル。CIAの長官もまたそれを自認する。しかしそんな奇麗事では済まされない、CIA物語である。
 作品を企画したのは俳優のロバート・デ・ニーロ、そして出演はもちろんメガホンも執った。主役は「ボーン・アルティメタイム」でも大活躍のマット・デイモン、製作総指揮にフォード・コッポラがつくなどキャスト・スタッフはハリウッドの凄腕たちがずらりと並ぶ。
 今年のベルリン国際映画祭は、このアンサンブルに「芸術貢献賞」を与えた。

 ほか、ジョディ・フォスターの「ブレイブワン」、スカーレット・ヨハンソンの「タロットカード殺人事件」

 今年のアメリカ作品には、この他「不都合な真実」「シッコ」「特攻」「ミリキタニの猫」など優れたドキュメンタリー映画があった。ただ日本アカデミー賞では、記録映画は対象外なので省いた。

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December 15, 2007

810.日本アカデミー賞(9)

 外国映画紹介の最後は、最も作品が多かったアメリカ。上映順で印象に残っている作品を並べる。

2007iwojima160120  既に昨年の話題作だった「硫黄島からの手紙」、日本では年末上映だったので選考対象に残っている。全編日本語のセリフ、出演者も渡辺謙ら日本人俳優。しかしクリント・イーストウッド監督によるハリウッド映画である。数々の賞に輝いているから再度ノミネイトしておく。

 「リトル・ミス・サンシャイン」も「硫黄島」と同じく、昨年のアカデミー賞にノミネイトされた5本のうちの1本である。そして「助演男優賞」(アラン・アーキン)と「脚本賞」(マイケル・アートン)に選ばれた。名子役のアビゲイル・プレスリンも「助演女優賞」にノミネイトされていたが、惜しくも選に漏れた。

2007dep200150 そのアカデミー賞で「作品賞」をとったのが、レオナルド・デカプロの「デイパーテッド」。香港映画アンドリュー・ラウ監督の「インファナル・アフェア」のリメイク版だが、完成度も高く緊張感のある作品だった。
 監督のマーティン・スコセッシも「監督賞」を受賞した。

2007dream160120  新人ジェニファー・ハドソンの4オクターブを越える圧倒的な歌唱力と迫真の演技で話題となった、ミュージカル映画は「ドリーム・ガールズ」。
 彼女はアカデミー「助演女優賞」だったが、現代最高の歌姫といわれるビヨンセ・ノウルズの歌も素晴らしかった。監督・脚本も前年数々の賞を獲った「シカゴ」のビル・コンドンなのだ。

 「ラストキング・オブ・スコットランド」は、独裁者を演じたフォレスト・ウイテガーで話題になった作品だ。ウガンダのアミンという実在の人物を主役に据え、エンテベ空港を重要な舞台としたこの映画は、ドキュメンタリスト・ケヴィン・マクドナルドが監督した。
 ウイテガーの演技は、アカデミー「主演男優賞」の他「ゴールデン・グローブ賞」など32の主演男優賞を獲った。

 不思議な感覚のミステリー「デジャブ」
 実在の知事をモデルにして、半世紀以上も前にアカデミー賞を獲った作品のリメイク版「オール・ザ・キングスメン」
 アフリカを舞台に国家崩壊・虐殺・少年兵・ダイヤの密輸、何でもアリの超娯楽大作は「ブラッド・ダイアモンド」
 同じ娯楽作品としては、大物プロデューサー・ジェリー・ブラッカイマーの「パイレーツ・オブ・カリビアン~ワールド・エンド」も挙げておく。ジョニー・ディップにキーラ・ナイトレイ、オーランド・ブルームと今が旬の俳優達の大立ち回りである。

 アメリカ映画、数が多いので年度前半はここまで。

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December 14, 2007

809.日本アカデミー賞(8)

 上記のタイトルを借りて今年1年の映画を総括しているが、洋画の半分以上を占めるアメリカは最後にして、今回は「その他の国」の名作を紹介しよう。

2007babel200150  何といっても年度前半の話題作は、メキシコの「BABEL」だろう。モロッコ・アメリカ・ニッポン・メキシコを舞台にしたこの作品は、アカデミー賞は逃したもののカンヌでは最優秀監督賞、ゴールデングローブでは作品賞を受賞した。
 日本からは役所広司、菊地凛子らが出演してたが、米・豪・メキシコ・日・モロッコと3大陸・4言語の役者が登場した。
 アメリカ作品と思われがちだが、監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニヤリトウをはじめ脚本・撮影はメキシコ人、音楽はアルゼンチンと正真正銘中南米の作品なのだ。

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 アルゼンチンといえば今年は1本だけ輸入された。カルロス・ソリン監督の「ボンボン」である。
 民話「わらしべ長者」のラテン版といえるストーリーで、素人役者たちが「地」そのままスクリーンに登場して沸かせた。

 お隣のブラジルからも1本届いた。「フランシスコの2人の息子」、ブレノ・シウヴェラ監督の作品で、ブラジル音楽界きってのトップ・アーティスト兄弟の実話である。ブラジルで500万人が涙したというこの映画は、日本でも多くの観客の心をゆさぶった。

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 南アフリカからは「ツォツィ」。イギリスとの合作であるが、アフリカ映画としてアカデミー外国語映画賞を受賞しているので今回紹介した。
 ストリートギャングとなった貧しい黒人の少年が、小さな命と出会う事で希望と償いの道を歩き始める物語である。
 カナダ・アメリカ・南アフリカなど各地の映画祭で、観客賞を受賞したのはうなづける。

 例年数は少ないが「問題作」を送り出している、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドからは目立った作品はなかった。
 ハリウッドに代わってアメリカ作品が製作されるカナダ・バンクーヴァーとトロント、多くの俳優ががアメリカ映画のスターになっているオーストラリア、美しい自然と優れた映画技術陣を抱えたロケ王国ニュージーランド。
 この秋に見た「キャンディ」(オーストラリア)だけを挙げておこう。ニーム・アームフィールド監督が詩人ルーク・デイヴィスの自伝を、本人と共同で8年かけて書き上げた作品である。

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December 13, 2007

808.日本アカデミー賞(7)

 元気のいいヨーロッパ映画界、共同制作も含めフランス28本、イギリス21本、ドイツ16本と倍増に近い。また名作・問題作が並ぶ。

4de4004_2  まずフランスは「トランシルヴァニア」。フランス人の父とロマの母親の間に生まれた、アルジェリア出身のトニー・ガトリフが監督・脚本を担当。全編に流れる哀調をおびた旋律と躍動のリズム、そのジプシー(ロマ)音楽も彼が作曲した。今もなお差別と迫害を受けている流浪の民を、ロードムービーで描いた作品である。
 ほかに「あるいは裏切りという名の犬」「サンジャックへの道」を上げておこう。

20070810001fl00001viewrsz150x_2   大ヒットしている「エディット・ピアフ~愛の賛歌」は、チェコ・イギリスとの共同制作。

 イギリスのトップバッターは「グアンタナモ、僕達が見た真実」。昨年のベルリン国際映画祭で監督賞(銀熊賞)を獲ったこの作品は、痛烈にブッシュのアメリカを批判する。監督のマイケル・ウインターボトムはBBC出身だけに、「ドキュメンタリー映画」と見間違う様な迫力あるタッチで問題に迫っている。
 ドイツと共同制作した「ルワンダの涙」、フランス・イタリアとの共同制作「クイーン」もドキュメンタリー・タッチ。エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンは、今年のアカデミー賞、ヴェネチア国際映画祭、ゴールデングローブ賞など数々のコンクールで、主演女優賞に輝いた。
20070621001fl00001viewrsz150x  もうひとつ北アイルランド出身の監督、ケネス・プラナーの「魔笛」を加える。

 ドイツもいくつかの問題作を見せてくれた。
 アメリカのアカデミー賞で外国映画作品賞を獲った「善き人のためのソナタ」は、東ドイツにおける一党独裁の恐怖政治と、おぞましい腐敗を暴露した映画。ソ連とイギリスで映画を学んだフロリアン・フォン・ドナースマルクの初監督作品。タイトルは、「ソナタを聴くと残虐な革命家になれない」とソナタを禁じたレーニンの逸話を逆手にとった。
 この映画とスタッフやキャストがだぶっている「素粒子」は、哲学的な作品。ほかに「パフィーム「ドレスデン」「4分間のピアニスト」。 オランダ製作の「ブラクブック」も、主要なスタッフ・キャストはドイツ人だった。

 かって映画王国と言われたイアリアは、このところ元気がない。今年は6本輸入されたが、印象に残ったのは、巨匠ジュセベッテ・トルナトーレの「題名のない子守唄」ぐらい。
 4本のスペインは「ボルベール<帰郷>」「サルバドールの朝」。後者は昨年話題となった「白バラの祈り」同様、権力の犠牲となった若者を描いた実話。
 ほか現在上映中の「君の涙ドナウに流れ」はハンガリーの作品(3本)。
 スイスも3本だが、作品を覚えていない。デンマーク、スエーデンの作品がないのが淋しい。

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December 12, 2007

807.日本アカデミー賞(6)

 今年国内で上映された外国映画は、273本。観る機会のあった作品は3分の1にすぎない。日本アカデミー賞では、この中から5本を優秀作品賞とする。
 配給の都合で、前年に製作された映画も多く、アメリカのアカデミー賞はもちろんカンヌ・ベルリン・ヴェネチアの国際映画祭で入賞した作品が並ぶため選ぶのが難しい。
 国別では半数以上がアメリカだが、今年はフランス・イギリス・ドイツなどヨーロッパ勢の活躍が目覚しい。
 地域別に、印象に残っている作品を並べてみよう。
 まずアジアから。

 ここ数年日本でのフアンを増やし続けてきた「韓流」が、テレビはともかく映画では陰りが見えてきた。恋愛物がパターン化したことと、南北の緊張感をテーマにした作品が少なくなった所為かも知れない。本数も他国との共同制作をふくめ25本と、前年より10本ほど少ない。
 時代物の「王の男」、「許されざるもの」「約束」ぐらいしか印象には残っていない。

 韓国に比べて今年は、中国の「華流」である。
 昨年のヴェネチアで金獅子賞に輝いた「長江哀歌(エレジー)」は、日本でも大ヒットした。監督のジャ・ジャンクーは、ベルリンで新人監督賞を獲ったあとカンヌやベネチアで7本も正式招待作品として上映され、今回見事グランプリを受賞した。
 「シネマトグラフィーの美しさ、物語のクオリティー、感動的な登場人物」と審査委員長のカトリーヌ・ドヌーヴに激賞された作品である。
 他中国作品としては、「孔雀 我が家の風景」「胡同愛歌」「雲南の少女」「白い馬の季節」を思い出す。

 香港映画界も元気が出てきた。今年は12本と倍増、カンフー物も健在だが、ハリウッドがリメイクする裏社会を舞台にした作品に名作が多い。
 「インファナル・アフェアーシリーズ」で国際的な名声を手にしたクルーが製作した「傷だらけの男たち」は、アンドリュー・ラウ監督がトニー・レオンを主役にもってきた。金城武もその相手役、浜崎あゆみがエンディングテーマを歌った印象強い作品である。
 他に中国との共同製作「女帝(エンペラー)」「ドッグ・バイト・ドッグ」がある。

 アジアではあと台湾2作品(「黒い目のオペラ」「花蓮の夏」)、タイ2本、フィリピン、シンガポール、ベトナムがそれぞれ1本づつ輸入されたが観てはいない。

 特筆すべき作品が「パラダイスナウ」。初めて観たパレスチナの映画だった。ナザレに生まれたハニ・アブ・アサド監督が、イスラエルのプロデューサーと組み、「自爆」を真正面から取り上げた。
 昨年のゴールデングローブ賞受賞作品だが、アカデミー賞にノミネイトされただけでアメリカでは物議をかもした。
 彼の国がパレスチナを国家として認めていないため、フランス・ドイツ・オランダとの共同制作となっているが、正真正銘のアジア作品である。
 そしてもう1本、イランの「オフサイド・ガールズ」。これは面白かったが、イラン国内ではまだ上映できない。

 次号は「ヨーロッパ」。

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December 11, 2007

806.日本アカデミー賞(5)

 今年はスタジオジブリが製作するような、大作のアニメーション映画はなかった。しかし数は少なかったが、制作者の想いをぶつけた数本の佳作を観た。
 「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ポケットモンスター」「アンパンマン」など、夏休み・冬休み恒例の子供向けを除いて、その幾つかを紹介する。
 日本アカデミー賞では、5本の作品に「アニメーション作品賞」が与えられる。

 「ピアノの森」 小島正幸監督、蓬莱竜太脚本、篠原敬介音楽。世界的なピアニスト、ウラディーミル・アシュケナージの演奏とファンタジックな森の映像が見せ所。

 「河童のクゥと夏休み」 「クレオンしんちゃん」の原恵一監督が、5年の歳月をかけて完成させた力作。舞台も民話の里・河童伝説の遠野から沖縄のヤンバルまで。

008  「ベクシル 2077日本鎖国」 「ピンポン」の曽利文彦が監督した近未来もの。音楽を「マトリックス リローデッド」のポール・オークンフォールドが担当した。

 「鉄コン筋クリート」 CGプログラマーとして活躍中のマイケル・アニアスが、田中栄子プロデューサーとして出会った事で、12年目にしてようやく作品化された傑作。

 他に「銀河鉄道物語」(監督大庭秀昭)、「エヴァンゲリヲン:序」(総監督・庵野秀明)等々。

 次号は、外国作品について。 

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December 10, 2007

805.日本アカデミー賞(4)

 「その他」に分類されているのは、洋画でいえばインディペンデント系の作品。製作委員会方式でプロダクションや出版、あるいは異業種も出資して作られた作品が中心になる。
 本数は122本と多いが、上映が「単館」だったりミニシアターのため見る機会を失ってしまったものが多い。
 少ない予算ではあるが、製作者の想いを込めた佳作も多い。また製作関係者に知人も多いのでやや身びいきになるが、印象に残った作品を列記しておく。

 「長い散歩」 俳優の奥田瑛二が企画・監督・出演した作品。監督は前作「るにん」に続いてこれで3本目。モントリオールでグランプリなど3冠受賞。緒方拳と高岡早紀が主演。子役の杉浦花奈がいい。

 「無花果の顔」 これも俳優の桃井かおりが監督した作品。初監督で脚本も書いている。本人が主役で山田花子、石倉三郎の異色コンビ。

 「子宮の記憶」 若松節朗監督、神山由美子脚本。昨年「フラガール」で主演女優賞を獲った松雪泰子と柄本明の息子佑が独特の存在感を。寺島進と余貴美子のベテラン脇役も。

「キサラギ」 佐藤祐市監督、古沢良太監督。今年売れっ子の小栗旬にユースケ・サンタマリア、香川照之の組み合わせ。狭い部屋で意外なドラマが展開する。カメラワークが面白い。

 「さくらん」 フォトグラファーの蜷川実花が初監督。漫画家安野モヨコの原作をタナダユキが脚本を書く。花魁の世界を土屋アンナが演ずる。菅野美穂らの若手に夏木マリも加わる。

20070123002fl00002viewrsz150x  「蟲師」 漫画家でアニメ映画で活躍する大友克洋の始めての実写作品。オダギリジョー、江角マキコ、大森南朗、蒼井優など話題の役者が、この一風変わった作品に出演。

 「パッチギ!LOVE&PEACE」 4年前数々の賞に輝いた井筒和幸監督の続編。「在日」を日本人役者が演ずるのが異色。井坂俊哉、中村ゆりが初主役。舞台は京都から東京へ。

 「サイドカーに犬」 昨年「雪に願う事」で数々の賞をとったカツドウ屋根岸吉太郎監督作品。脚本は田中晶子と真辺克彦。謎の女竹内結子に主人公は松本花奈。

 「殯の森」 これだけは封切前にテレビで見た作品。カンヌでグランプリに輝いた河瀬直美の監督作品。主役のうだしげきも、奈良在住の素人。相手役の尾野真千子も河瀬が10年前奈良で発掘した女優。

 「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」 CM界のトップディレクター吉田大八の長編初監督作品、脚本も自ら書いた。話題の佐藤江梨子と「蝉しぐれ」のヒロイン佐津川愛美が姉妹役の異色作。

 「夕凪の街 桜の国」 「半落ち」の佐々部清が「被爆」を真正面から描いた作品。田中麗奈が主人公だが、父親役の堺正章がベエランの味を出す。

20070802001fl00001viewrsz150x  「めがね」 前作に続いて監督・脚本荻上直子と主役小林聡美のコンビ。今回ももたいまさこが名演技を。今年活躍の加瀬亮もよい。

 「クワイエットルームにようこそ」 才人松尾スズキが原作・監督・脚本という作品。出演も内田有紀に宮藤官九郎、蒼井優、りょう、妻夫木聡、大竹しのぶと話題の俳優が並ぶ。まだ上映中。

 次回はアニメーション作品を。

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December 08, 2007

804.焼酎バー「黒瀬」(88)

071203_023_640071203_024_640 上野公園の噴水広場に大きなテントが張られ、「薩摩黒彩市」が開かれている。
 この催しは西郷南州翁生誕180年を記念して、鹿児島の生産者たちで作るNPO法人「結」が、「西郷さん」の銅像があるこの地を選んで開いたもの。

071203_029_640071203_030_640071203_033_640 テントの中では、焼酎をはじめ、さつまいもや黒豚、錫やガラスの工芸品が展示即売されていた。
 鹿児島の産物を通じて、東京(首都圏)と情報や人・物の交流を活発にしていこうという生産者たちの試みである。

071203_026_640071203_032_640  デパートなどで開かれる展示即売会と違って、テントの中では「講演」や「薩摩琵琶」の演奏なども行われている。
 初日の今日は、来年のNHK大河ドラマ「篤姫」の監修を務める鹿児島大学原口教授が、「幕末の江戸と薩摩」をテーマにドラマ・ロケのエピソードを交えながら、午前と午後2回にわたって講演、明日は飲食文化が専門のジャーナリスト立山雅夫さんが「薩摩焼酎の歴史」について話す事になっている。

 焼酎バー「黒瀬」でも、店で「薩摩黒彩市」のパンフレットを配って、生産者たちの初のイベントを応援した。 

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December 07, 2007

803.日本アカデミー賞(3)

 今号は「東映」と「角川映画」から。

 「俺は、君のためにこそ死ににいく」 都知事が製作総指揮を執った特攻隊もの。沖縄出身の新城卓が監督、石原慎太郎が脚本を書く。賛否両論の作品だが、岸惠子が主人公。

 「憑神」 ちょっと変わった時代劇。ベテラン降旗康男がメガホンを執り、妻夫木聡が主役、西田敏行や赤井英和などが貧乏神を。

 「包帯クラブ」 監督堤幸彦、脚本森下佳子の組み合わせ。高校生達が主役なので、柳楽優弥、石原さとみ、貫地谷しほり、田中圭などアカデミー新人賞クラスが並ぶ。

 「オリオン座からの招待状」 NHK出身の三枝健起が久々の監督を、いながききよたかが脚本を書く。宮沢りえ・加瀬亮のコンビ、宇崎竜童が存在感を示す。

 「サウスバンド」 角川歴彦が製作総指揮を執り、脚本・監督が森田芳光。豊川悦司と天海裕希が主役の夫婦役。松山ケンイチも顔を出す。

 「鳳凰 わが愛」 監督金琛、脚本甲捷以下中国のスタッフで製作した作品だが、角川映画としては邦画部門に登録した。プロデューサーに中井貴一が入り、もちろん主演も。

 次々号で、「その他」のプロダクションが製作し配給した作品のうち、印象に残ったものを列記する。

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December 06, 2007

802.日本アカデミー賞(2)

 続いて「東宝」。

 「犬神家の一族」 市川崑監督が昔の台本を使って再び撮った作品。国際的の活躍している一瀬プロデューサーが、巨匠市川を口説く落とした。石坂浩二・加藤武も再登場。

 「愛の流刑地」 「アイルケ」の流行語を生んだ渡辺淳一の原作を、テレビ出身の鶴橋康夫が監督した。豊川悦司と寺島しのぶの大胆なセックスシーンが話題に。

 「それでもボクはやってない」、周防正行の久々の監督作品。綿密な取材によって作られたシナリオが良い。主演の加瀬亮がこれでブレイクした。

 「眉山」 犬童一心監督がさだまさしの原作を映画化。脚本は山室有希子。松嶋奈々子と大沢たかお、宮本信子がいい味を。

 「舞妓Haaaan!!!」 宮藤官九郎の脚本を水田伸生が監督したコメディー。読売グループが総力挙げた。阿部サダヲ、堤真一、柴咲コウがメイン。植木等の最後の出演作品。

 「HERO」 木村拓哉が売り物のフジテレビ・ドラマの劇場版。本多亮が企画して監督鈴木雅之、脚本福田靖、スタッフもテレビ組。松たか子に松本幸四郎と親子共演。

326551view001  「ALWAYS続・三丁目の夕日」 一昨年数々の賞を独占した映画の続編。VFX技術を駆使した昭和の東京は懐かしいが・・・。山崎貴が前作に引き続いて監督、出演者もお馴染み。

 見る機会がなかったが、「Life天国で君に逢えたら」「クローズZERO」「クローズド・ノート」の評判はいい。「恋空」はこれから見る予定。    (続)

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December 05, 2007

801.日本アカデミー賞

 12月に入ると各分野で「今年の回顧」が始まる。映画の世界でも、新聞社や専門誌によるベスト10が発表される。
 昨年の映画界では、「フラガール」や「ゆれる」「武士の一分」など数本の話題作が各コンクールの上位を占めた。
 今年の場合は、超話題作は少ないが佳作が多く、入賞作品が散らばるかも知れない。

 「日本アカデミー賞」の第一次選考も、今週末が締め切りである。
 「キネ旬」や「ブルーリボン」、「毎日映画コンクール」の場合は、少数の映画評論家や映画記者が審査委員となって順位を決めるが、日本アカデミー賞の場合は映画業界の会員全員が投票して選ぶ。
 こうした選考方法は、しにせのアメリカやイギリスと同じである。直接製作した監督や俳優、美術や編集、録音のプロたちが、自分の作品も含めて選ぶのである。

 この一年(正確には昨年12月2日から今年の11月30日まで)に、有料で初公開され1週間以上継続して上映された40分以上の作品が対象である。
 この規定に当てはめると、邦画188本、洋画272本となる。その中から、洋画は外国作品賞のみだが、邦画は作品賞(アニメも別枠)をはじめ監督・脚本・音楽・撮影照明・美術・録音・編集の10部門、主演・助演など出演者6部門を選ばなくてはならない。
 第一次選考は、各部門3人(作品)を投票するのだが、結構難しい作業となる。
 結果は優秀賞として今月18日に発表されるが、その後最優秀賞決定投票が行われ、2月15日の日本アカデミー賞受賞式を迎える。

 選考のため、この一年のブログを読み返している。全ての作品を見るのは不可能だが、業界の集まりや仲間たちとの飲み会で、見る機会のなかった佳作についての情報は得ている。
 映画会社、上映順に印象に残った作品を並べてみよう。

 まず松竹。
 「蒼き狼~地果て海尽きるまで」 角川春樹が総指揮を執り大々的にモンゴルロケを敢行した作品。監督は、澤井信一郎、脚本は中島丈博・丸山昇一。反町隆史がチンギス・ハーンだった。

 「アルゼンチンババア」 長尾直樹監督作品。彼の前作に製作者として参加したので身びいきもあるが、面白い作品。役所広司、鈴木京香が上手い味をだす。

 「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」 松岡錠司監督と脚本松尾スズキのコンビ。オダギリジョーと樹木希林、日刊スポーツが樹木に主演女優賞を。

 「大日本人」 松本人志の話題作だが、業界人はどう評価するか。

 「ラストラブ」 藤田明ニ監督に脚本龍樹。久々に田村正和が映画出演。伊東美咲が大人の女を。

070707_044  「怪談」 中田秀夫監督に脚本奥寺佐渡子。尾上菊之助に黒木瞳のコンビ。松竹迫本社長自ら先頭に立った作品。

 「自虐の詩」 これも松竹が力を入れた。堤幸彦監督に中谷美紀、阿部寛のコンビ。話題作の一つではある。遠藤憲一も大活躍。

 「象の背中」 井坂聡監督に遠藤察男脚本。役所広司と久し振りの今井美樹。泣かせた作品である。

 「やじきた道中てれすこ」 平山秀幸監督と中村勘三郎、柄本明の三人で作った映画。勘三郎、実質的には映画初出演というのが話題。小泉今日子も面白い。

 「ミッドナイト イーグル」 東京国際映画祭オープニングを飾った作品。成島出監督に大沢たかお、竹内結子。日本では珍しいスケールの大きな映画だった。  (続)                         

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December 04, 2007

800.紀州路(2)

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 旅の終点は和歌山、紀伊徳川55万5000石の虎伏城である。
 豊臣秀吉の弟秀長の築城に始まり、後の芸州藩主浅野氏、そして紀州徳川家が完成させた。

071126_204_640071126_206_640071126_210_640  紀州藩初代藩主・徳川頼宣は家康の10子。尾張・水戸と並ぶ御三家として幕府を補佐し、将軍徳川の血統維持に努めた。
 なかでも5代藩主吉宗は、その後8代将軍となり実学の奨励、殖産興業、新田開発など「享保の改革」を進め、幕府の支配体制の強化を行った。
 また自らの嫡子・嫡孫に田安・一橋・清水の家を立てさせる事で、御三卿の名のもと将軍家血脈の補強にあたった。
 皇女和宮が嫁いだ家茂も、紀州13代藩主(慶福)から14代将軍になっているし、徳川最後の将軍として、初めて水戸藩から出た慶喜も、系統としては紀伊~一橋に連なる。

071126_201_640071126_211_640071126_212_640 ここは城内西の丸御殿にある「紅葉渓庭園」。
 初代藩主が築いたこの城郭庭園は、その名の通り秋が美しい。
 池に浮ぶ「鳶魚閣(えんぎょかく)」は、「鳶飛戻天 魚躍千淵」から引用した木造宝形造り檜皮葺の建物。
 中央には巨大な御船石が浮び、渓流には紅葉渓橋が架かる。

 数年前のNHK大河ドラマ「吉宗」で、西田敏行の演ずる吉宗が生母と別れるシーンは、ここで撮影された。

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December 03, 2007

799.晩秋・紀州路

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 那智勝浦を出発して30分、「ここは串本 むかいは大島 仲を取り持つ巡航船・・・」と、唄に歌われた串本の「橋杭岩」。
 対岸の紀伊大島へ橋を架けようと、弘法大師が天邪鬼と賭けをして一夜にして造った橋桁、という伝説の岩柱である。071126_173_640_2
 橋の方は右の写真かすかに見えるように、およそ1200年経った8年前にようやく架けられたというわけだ。
 本州最南端、潮岬はさらに右に連なる。

071126_182_640_2071126_184_640   串本から紀州路を1時間ほど走ると白浜に着く。日本最古の温泉として有名なこの一帯は、リアス式の断崖が続く。
 千畳敷、三段壁。風と浪が千古の歴史を刻んで岩を削った。

071126_185_640071126_189_640071126_188_640   三段壁の奥深くにある大洞窟。
 第50代桓武天皇の頃というから今から1220年程昔、この洞窟を隠れ家にした海賊「多賀丸」が、沖を通る船を襲っていたという。
 また源平の時代になると、ここは熊野水軍の「船隠しの洞窟」となった。源平最後の合戦の折には、2000人の熊野水軍の兵士たちを乗せた200余の軍船が、ここから壇ノ浦に向かったと地元の記録は伝えている。
 現在、三段壁の上から洞窟の下までエレベーターで降りて、往時を偲ぶ事ができる。

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December 02, 2007

798.熊野路(3)

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 那智の滝、熊野一番の見所である。「熊野古道」大辺路・大門坂を上ると滝に会う。

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 大雲取山(966m)から流れ出る川が、原生林を切り裂くように落下する。水柱132m、滝壺の深さ10m、日本一の名瀧である。071126_132_640
 銚子口の岩盤に三つの切れ目があって三筋に落下するので、「三筋の滝」とも呼ばれる。

 那智の滝は、熊野那智大社のご神体でもある。
神社は滝を背に、社を築く。

071126_148_640071126_147_640  熊野三山のひとつ那智大社は、牟須男神を主神とする神社。この「八咫烏」が神社のシンボルなのだ。
 かって神武天皇が、日向の国から勝浦に上陸、大和に向けて進軍した時、道案内をしたのがこの「烏」だったという。
 サッカーの日本チームの旗もまた、この「八咫烏」。世界に向けて進めというわけだ。

071126_138_640 那智大社の隣にあるのは、青岸渡寺。天台宗のお寺である。
 その昔熊野三山は、熊野三所権現と呼ばれていた。浄土信仰の地と言われるように、ここは神仏習合の代表的な聖地だった。
 本宮大社の主祭神家宮古御子神は阿弥陀如来、新宮速玉大社の速玉男神は薬師如来、那智大社の牟須美神は千手観音、それぞれ仏が神に姿を変えたと伝えられる。

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 ここでガイドから、面白いエピソードを聞いた。
 日本一多い「鈴木さん」の本貫は、ここ熊野だそうだ。鈴を手に神武天皇を大和に案内した豪族に、神武は「すずのき」の姓を賜ったそうだ。その鈴木一門は、熊野三山の神官を務め、全国に布教の足を延ばした。そして、各地で胤を授け鈴木を名乗らせた。日本中に鈴木の姓が存在する所以だ。
 ここ近く海南市には鈴木総本家があり、毎年一回全国の鈴木さんが集まるという。                                 

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