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February 13, 2008

857.母(かあ)べえ

327619view001  「家族」は、山田洋次監督が時代に応じて、大切に描いてきたテーマ。
 1970年「家族」、1972年「故郷」、1975年「同胞」、1991年「息子」、そして今平和を危うくする風潮のなかで、山田は「母」を描いた。

 昭和15年の東京、父と母二人姉妹の野上家は、仲睦まじい家族。この小さな家庭の穏やかな日常は、ドイツ文学者である父が治安維持法で検挙された朝から一変する。
 戦争に反対する事が罪となった時代・・・・・・、母は明るく懸命に生き抜いた。

327619view004  原作は、黒澤明監督のスクリプターを長く努めた野上照代の「父へのレクイエム」。自身の家族の思い出を綴ったノンフィクションである。
 ここのところ、「たそがれ清兵衛」など時代劇三部作を製作してきた山田監督が、時代に異議を申したてて昭和を描いたのだ。

327619view005   主演は吉永小百合。今回で112本目、久々の山田作品である。文学者の夫は歌舞伎界から坂東三津五郎。「武士の一分」に引き続いて山田組に参加する。またその妹が、同じく「武士の一分」の檀れい。
 夫の教え子で留守家族を支える編集者は、若手個性派俳優の浅野忠信、変わり者の叔父が笑福亭鶴瓶と芸達者が並ぶ。
 2人の姉妹は志田未来(倍賞千恵子)と佐藤未来(戸田惠子)。母の臨終の場、作者の分身でもある大人になった妹役の戸田惠子が泣かせる。

 脚本平松恵美子、撮影長沼六男、美術出川三男、音楽冨田勲と、「たそがれ清兵衛」「武士の一分」などを撮った山田組の息のあった取り組みが、佳作を生み出した。
 日本映画界の「良心」ともいうべき作品である。

 「母べえ」は、現在開催中の「ベルリン国際映画祭」のコンペティション部門に出品されている。国内では抜群の人気を誇る山田監督と吉永小百合が、世界でどんな評価を受けるか楽しみだ。

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