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February 06, 2008

852.ヒトラーの贋札

Book2 1959年、ナチスの元親衛隊員の証言でオーストリアのドブリッツ湖を浚ったら、大量のポンド紙幣が見つかった。その額1億3460万ポンド、全て贋札だったという事件があった。
 強制収用所で贋札をつくり、イギリス経済を混乱させようとした「ベルンハルト作戦」。これまでもたびたび映画などで紹介されたが、今回は収容所で直接贋札を作った印刷技師、アドルフ・ブルガーの著作の映画化である。

 著者自身も「正義感によって他人を危機に陥れるエゴイスト」として作品に登場するが、主役は贋札つくりのプロである。

20071031017fl00017viewrsz150x  この人物のモデルは、サロモン・スモリアノフ。1887年ロシア生まれの彼は、旅券や贋札の「ニセ作師」として国際的にも暗躍、1927年には50ポンド紙幣贋造の罪でアムステルダムで捕まり入獄したが出所後も仕事を続け、1936年ベルリンで捕まった後は、ユダヤ人でもあったので収容所送りとなった。そして「ベルンハルト作戦」の中心人物にさせられてしまう。
 戦後解放されてからも、贋造に手を染め国際手配されるもブラジルに逃亡、1978年彼の地で死去した。

 映画を撮ったのは「エニグマ奪還」「アナトミー」のステファン・ルツオヴィッキー、オーストリア映画界をを代表する監督である。
 彼は「理想主義を追うことで、反って他人の人生を狂わせてしまう」ことを、描く。それは主人公の話すこの言葉に凝縮される。
 「私は、今日の銃殺より、明日のガス室を選ぶ。今日は、生き延びられるからだ」
 つまり「不条理の世界でのよき行動とは何か、そこで生き延びる意味は何なのか」と理想主義と現実主義のハザマに生まれる緊張感を主題とした。

 キャストは、オーストリア・ドイツの役者達。顔なじみは少ないが、贋札づくりの主人公を、オーストリアのTV・舞台でも活躍しているカール・マルコヴィックスが演じた。
 手記を書いた印刷技師をアウグスト・ディール(「青い棘」)、それに主人公の彼と一夜を共にするカジノの女として、チャーリー・チャップリンの孫ドロレス・チャップリンが出演している。

 作品は、昨年のベルリン国際映画祭コンペテイションに正式出品されたが、今年のアカデミー賞外国語映画部門に、オーストリア代表としてノミネイトされている。

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