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July 31, 2008

996.7月のシネマ(3)

 続いて外国映画に移る。

003  「帰らない日々」

 「ホテル・ルワンダ」で3部門のアカデミー賞にノミネイトされたテリー・ジョーシの作品。
 10年前アメリカで出版された同名の原作は、「胸が張り裂けるようなスリラー」と絶賛された。
 最愛の息子をひき逃げで殺された大学教授一家と、弁護士でもある犯人の家族。崩壊していく二つの家族を描いた作品である。

800x600_b_2  大学教授にホアキン・フェニックス(「ホテル・ルワンダ」)、その妻ジェニファー・コネリー(「ビューティフルマインド」でオスカー)、残された娘エル・ファニング(「バベル」)、弁護士マーク・ラファロ(「コラテラル」)、離婚した妻ミラ・ソルヴィノ(「誘惑のアフロティーチ」)。
 
 舞台となったコネティカット州ケイナンは、神がイスラエルの人に約束した理想郷カナンの英語読み。「約束の土地」での「贖罪」と「復讐」。寓話である。

004  「スピードレーサー」

 昨日紹介した日本のアニメーション映画監督押井守、その影響を大きく受けている「マトリックス」のウオシャウスキー兄弟が脚本・監督した作品。
 それも、原作は吉田竜夫の「マッハGoGoGo」と日本のTVアニメ。
 実写とCGアニメーションを上手くモンタージュして、マッハスピードの世界を描いた。

 実写の部分は、エミール・ハーシュやクリスティーナ・リッチ、スーザン・サランドン等の出演するレーサー一家のホームドラマ。自動車業界を牛耳る巨大組織と競う一家の活躍である。そして敵役の一人に真田真之が出演する。

 破天荒なサーキットコースでのカーレースや壮大過酷なロードラリーの方は、CGアニメとくる。これでウオシャウスキー兄弟は、これまで誰も描かなかった驚愕のスピード世界を見せてくれる。
 理屈も何もない。あり得ないエキサイティングな世界を体験するだけだ。

005  「ハプニング」

 「シックス・センス」の驚愕のどんでん返し、「サイン」「ヴィレッジ」と超自然現象をミステリーの題材とした鬼才M・ナイト・シャマラン。
 ふと思い浮かんだ「世界の終り」というアイディアを、驚くべき想像力で映画化したのがこの「ハプニング」。

 奇妙なサインから始まる「死」の連鎖パニック。その「見えない脅威」とは、一体何が原因で起こるのだろうか。
 「テロ」「新型インフルエンザ」「異常気象」など、21世紀の世相を反映する「脅威」をシャラマンは映像で警告する。

D01_800  生き延びる生物教師マーク・ウォールバーク(「デイパーテッド」)とその妻ズーイー・デシャネル(「テラビシアにかける橋」)。二人が守る友人の娘アシュリン・サンチェス(「クラッシュ」)とともに、観客は<直視不可能な恐怖>を体験する。

 ほかに「近距離恋愛」(ポール・ウエイランド監督、パトリック・デンプシー主演)。「庭から昇ったロケット雲(マイケル・ボーリッシュ監督、ビリー・ボブ・ソーントン主演)。

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July 30, 2008

995.7月のシネマ(2)

331000view001331000view003 「攻殻機動隊2.0」

 1995年に公開された「GHOST IN THE SHELL」の完全リニューアル版。
 最新のデジタル技術を駆使、3DのCGカットやデジタルエフェクト処理を加え、セリフや音楽、SEを全て新たに入れ直した。

 宮崎駿監督と並んで、日本のアニメーション映画をリードする押井守監督の作品。友人でもある宮崎監督とは全く手法を異にする、シュールな世界観で描かれた映画。日本のみならずアメリカでも記録的なヒットを飛ばした。
 その後製作されたウオシャウスキー兄弟の「マトリックス」は、押井の影響を大きく受けている。
 哲学的に語られる独特の長いセリフ回し、まず世界観ありきの作品は、宮崎作品とは対照的である。

 今週末には、押井監督の新作アニメーション映画「スカイ・クロラ」も全国公開される。既に上映中の宮崎監督の「崖の上のポニヨ」と見比べるのも面白い。
 来月27日開幕するヴェネチア国際映画祭に、この2作品はコンペ部門に参加する。

Photo  「山桜」

 「たそがれ清兵衛」('02 山田洋次監督)、「隠し剣 鬼の爪」('04 山田洋次監督)、「蝉しぐれ」('05 黒土三男監督)、「武士の一分」('06 山田洋次監督)そして篠原哲雄監督の「山桜」である。

 東北庄内藩をモチーフにした架空の藩「海坂藩」シリーズは、どれもがヒットする。監督もきちんと撮っているが、やはり藤沢周平の原作が、現代の日本人の心にピタリとくるからだろう。

 どの映画も、短編小説が原作である。その原作を監督と脚本家の手で膨らます。しかし、決して饒舌ではなく抑制をきかせ、滋味あふるるストーリーに展開する事で、藤沢文学の醍醐味を味あわせてくれる。

 武士の人妻・田中麗奈、密かに彼女を慕っていた寡黙な武士・東山紀之。彼女を優しく見守る両親・篠田三郎と檀ふみ。村井国夫、富司純子、高橋長英と実力派俳優が脇を固める。

001  「西の魔女が死んだ」

 小学館文学賞、日本児童文学者協会新人賞を受賞した、梨木香歩の大ロングセラーの映画化である。
 学校に馴染めない中学生の女の子と、自然に取り囲まれて過ごす「おばあちゃん」とのひと夏の生活の物語。
 この作品も、静かにヒットを飛ばしていた。

 素直に演技する中学生の高橋真悠も可愛いが、サチ・パーカーのおばあさん役が上手い。ちょっとバタくさいのは当然で、彼女はアメリカの名優シャリー・マクレーンの娘。日本での生活経験もあり言葉も不自由しない。
 ベテラン長崎俊一監督がそれをきちんと生かしていた。

 そういえば母親マクレーン主演の映画、「あの日の指輪を待つきみへ」も現在公開中。近々見に行く予定だ。

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July 29, 2008

994.7月のシネマ

 このところ遠出が出来ず、もっぱら有楽町あたりの映画館で「避暑」している。ブログの素材は意識して「映画」を避けてきたが結構溜まってきたので、忘備録としてまとめておく。
 まず「邦画」から。

026 「休暇」

 「静けさと暖かさ」が漂う作品。外国映画にはないタッチの佳作である。ノンフィクションの傑作を多数手がけてきた吉村昭の短編を、新鋭監督・門井肇が映画化した。
 子連れの女(大塚寧々)との結婚を控えた中年の看守(小林薫)。執行を目前に控えながらも、それを知らずに淡々と画を描く死刑囚(西島秀俊)。二人の接点を丁寧に描いた作品である。
 画を描くことだけが楽しみの死刑囚と、自閉症で画を描くことのみで外界とつながる再婚相手のこども、という暗示の構図。
 それがこの映画にこめた、監督のメッセージだろう。

027 「山のあなた 徳市の恋」

 70年昔の松竹映画、徳大寺伸と高峰三枝子主演、清水宏監督の「按摩と女」。この作品を石井克人監督がリメイクした。
 平成版の按摩は草薙剛で、女がマイコ。佐分利信の役は堤真一が演じる。
 フジテレビの亀山千広・大多亮コンビの製作・企画作品には珍しい、大正ロマンのしっとりとした作品に仕上がっている。
 「鮫肌男と桃尻女」で鮮烈なデビューを果たした石井監督が、4年前カンヌ国際映画祭オープニング作品「茶の味」に続いて、美しい自然をたっぷりと見せる。
 028         
 「花より男子 ファイナル」

 封切られてから1ヶ月、邦画ではトップを走り続けているヒット作品である。館内は若い女性で埋まっていた。
 井上真央を真ん中に、松本潤、小栗旬、松田翔太、阿部力と旬のイケメンが取り囲む。
 舞台もまたラスベガス、香港、石垣島と魅力たっぷり。
 神尾葉子が「マーガレット」に連載した、伝説的少女コミックが原作。3年前にスタートしたTBSのテレビドラマが、これまた大ヒット。日本中に「花男旋風」を巻き起こしたのだ。
 そして映画化、ファイナルである。
監督石井康晴、他に北大路欣也、AKIRA、藤木直人、加賀まりこ。

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July 27, 2008

993.’08花クルーツアー・夏の夜

080725_012_640080725_014_640080725_015_640  運河沿いに「花・緑・水」をテーマにしたテラス、晴海アイランド・トリトンスクエア。
 テラスの花と緑を楽しむ「花クルー・ツアー」が、久し振りに再開された。
 それも初めてのナイト・ツアー、日が落ちて涼しい海風がそよぐ頃スタートした。

 参加者はおよそ20人、それぞれ懐中電灯を手にしての散策である。鑑賞の邪魔にならないようにノーフラッシュで写真を撮ったが、手ぶれのため掲載出来るのは数葉しかない。
 上の写真、真ん中は「四川常葉柿」。まだ緑色だが、秋には色づくとの説明。右は「ムクゲ」、木槿とも言う。早朝から咲き始め夕方には花を閉じる。白色の花が懐中電灯の明かりで黄色く写る。

080725_017_640080725_019_640080725_026_640   左は「ガウラ」またの名を「白蝶草」とも言う。暗闇に舞う紋白チョウ?
 真ん中は「セロシア」と「ハイビスカス」。これも懐中電灯の明かり。
 右は「パイナップルリリイ」。花の形が、パイナップルそっくりだ。

080725_007_640080725_024_640080725_033_640   この3枚は、フラッシュを焚いて撮った写真。解散後、ひとりで舞い戻って撮る。
 左は「ブッドレア」。蝶が密を求めて集まるので、「バタフライブッシュ」とも呼ばれる。和名「房藤空木(フサフジウツギ)」。
 真ん中は「山丹花」。右は「コエビソウ」。花が赤いエビの姿に似ている。

 晴海トリトンの「花クルー・ツアー」については、これまで6回ブログで紹介している。600種を超える花木が育てられているので、なるべくダブらないように紹介している。
 次回は、秋・11月の予定だそうだ。トリトンスクエアのホームページを参照しながら、メールでも応募できる。参加費無料。今回はビールのサービスもついた
 http://www.harumi-triton.jp 

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July 26, 2008

992.焼酎バー「黒瀬」(98)

013 焼酎のお湯割りを片手に、市長との会話は弾む。
 途中から気鋭の建築デザイナーも加わった。市長と私の高校後輩である彼は、東京タワーのリニュアルを手がけ、次は横浜のマリンタワーだそうだ。彼はまた、「南さつま海道八景」の選定委員も務めた。

 「八景」を自然景観ブランドとして情報発信するため、「フォトコンテスト」を開く。全国から400点の応募があり、入選作品16点を決定、県内各地で展示した。
 今年に入って「海道八景モニターツアー」も2回開催、70人近くが参加する。
 そして市長が仕掛けたのが「広域的な通り名システムの有効性の検証実験」だった。

015016   この官僚的なネイミングから想像出来るように、これは国土交通省が予算を負担して行う実験である。
 財政の乏しい地方自治体の首長としてのアイデアだった。

・街道名(愛称)を通り名として活用し、「南さつま街道」と位置番号「#00」を標記した道案内板を、市役所を始点として5㌔間隔で設置。(終点枕崎市境まで15か所)

・ 海道沿いの主な施設には、通り名と位置番号と施設案内を設置。(杜氏の里笠沙や鑑真記念館など6か所)

・道案内板と施設案内に対応した「案内マップ」を各地で配布して、目的地へのスムーズな移動と景勝地を周遊させる仕組みの実験。

・「南さつま海道」を訪れた人たちへの、アンケートとヒヤリング。

・そして地域住民に対して、「社会実験」についてのアンケート調査、等々。

012  今回の市長の上京は、今年春まで実施した「検証実験」の総括を、国土交通省に報告するためだった。

 「検証結果を、今後の観光客誘致の施策に生かし、国道の整備も進めたい」と話す。
 しかし市長の本音は、単なる観光政策ではなく、地域に住む人々の意識改革にある様だ。
 自分達が生まれ育った土地と景観(自然)に、誇りと夢を持つ。
 それは、現在そこに住んでいる人たちだけでなく、今都会で働いている私たち出身者も、同じ誇りと夢を持ってもらいたいと。

 九州西南端、「すんくじら」の村の動きを、市長は熱く語った。

 「南さつま海道八景」いついて、詳しく知りたい方は「黒瀬」へお出かけください。
 「一どん」や「すんくじら」も味わえます。
  「黒瀬」:渋谷区渋谷2-14-4  ℡5485-1313
 

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July 25, 2008

991.焼酎バー「黒瀬」(97)

003_640010 ふるさとの市長が薩摩焼酎「一どん」を抱えて、「黒瀬」に顔を見せてくれた。そこで一献傾けながら、故郷の様子を伺う。

 市長は、「一どん」の蔵元「杜氏の里笠沙」の社長でもある。
 明治の頃から焼酎づくりの技術を伝承し、全国各地で活躍した「黒瀬杜氏」の技術を、文化遺産として 保存・継承するために設けられた3セクの蔵元だからだ。
 焼酎バー「黒瀬」もここに由来している。だから市長も、当店の名誉オーナーと言っていい。

 「杜氏の里」でつくられるもう一つの銘柄に、「すんくじら」がある。 「すんくじら」とは、鹿児島弁で「隅っこ」「はしっこ」、もう後ろがないことを言う。わが故郷は、まさに九州の西南端、「すんくじら」にあるのだ。
 「すんくじら」だから、皆が「前へ、中央へ」と出張った。農閑期の出稼ぎとして始まった「黒瀬杜氏」もそうなのだ。

_640_2  「すんくじら」は、どこでもいわゆる「限界集落」化という問題を抱える。そこで市長は考えた。マイナス思考をプラスにしようと。
 そのひとつが「南さつま街道八景」の選定だった。美しい自然、豊富な農林水産物、貴重な歴史・文化遺産を活用し、国内外の人々との交流を促進して、賑わいと活気あふれるまちづくりへの第一歩としたのだ。

 「八景」は、南さつまの「すんくじら」をぐるっとまわる、国道226号からの雄大な眺望を、景観ブランドとして発信する試みである。
 市では昨年、建築や観光、町づくりの専門家、画家や写真家を委員にお願いして現地調査を行い、以下のような代表的な景観を選定して「南さつま海道八景」を選定したのだ。

001002004  南さつま市の市街地を基点に、まず海道22㌔からの眺望は「高崎山から見る薩摩半島と崎ノ山一帯」。昔から眺めが良いので湊に出入りする船を見張る番所や魚見櫓が会った。
 続いて24㌔「谷山から見る段々畑」。耕地面積の少ない村々では、山の斜面を切り開墾した。
 右の写真は28㌔地点、「後浜から見る野間岬一帯」。ここからは野間岬に沈むスケールの大きい夕日を眺める事が出来る。

003_2005_2006_2 左が「笠沙美術館から見る沖秋目島」。35㌔地点のここは、黒瀬「杜氏の里」の目の前。空気が澄んだ日には、遠く南西諸島も眺望できる。
 44㌔地点は「落水から見る亀ヶ丘岸壁」。亀の形をした頂からは、日本三大砂丘の吹上浜や薩摩半島最南端の開聞岳を一望出来る。
 右の「丸木崎展望所から見る泊浦一帯」は市街地から55㌔。沖合いには瀬、そしてリアス式海岸の自然美が楽しめる。

008007 「輝津館から見る双剣石周辺」は59㌔地点。高さ27mと21mの双剣石は、名勝「坊津」として安藤広重の絵にも描かれている。
 62㌔の八景目は「耳取峠から見る枕崎市街地と開聞岳」。明治歌壇の巨匠八田知紀は、「むすぼれし旅の思いを大空に今日こそ開けひららぎの岳」とここで詠んだ。

 「八景」は、国土交通省が推進している地域活性化事業に連動している。南さつま市では、この8か所に展望所や駐車場を整備する「とるぱ226」事業を進めている。「とるぱ」とは「写真を撮るパーキング」で、点在する観光資源や施設を「線」で結んで回遊性を高めようという試みなのだ。
 「市街地から〇㌔」の意味は、次回に紹介しよう。        

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July 24, 2008

990.祭りの前夜

045  街中がお祭り気分でざわめいている。「祭りの前夜」といっても明日ではない。あと1週間、8月1日から佃・住吉神社の3年に1度の本祭りが始まるのだ。                                                080718_010_640_2 080718_011_640            本祭りに欠かせないのは六ヶ所に建てられる「大幟(おおのぼり)」。
 幟用の柱や抱木(だき)は、空気に触れて柱が腐らないように、3年の間神社裏手の船溜まりに埋められる。
080718_005_640_3080718_008_640_3  先日、水の引く干潮時を狙って堀り起された。

 046_2 右の絵は、浮世絵師歌川広重が描いた「佃しま住吉の祭」。「名所江戸百景」の一枚である。
 祭りの初日午前10時、「大幟旗揚げ」から大祭は始まる。

080718_003_640080718_002_640_2   佃島はもちろん、清澄通りには神輿や獅子頭を安置する小屋が作られている。
 町内毎に、祭りの寄付を競う看板も立ち並ぶ。
 これではもう皆、落ち着いてはいられない。

 1日から始まって、2日(土)は「獅子頭出し」「各町神輿連合渡御」、3日(日)「宮神輿宮出し」「船渡御出船」そして御旅所(勝どき)に神様は一泊。4日(月)には「宮神輿」が各町内の担ぎ手にリレーされて、住吉神社に戻る。
 佃住吉講の若衆が、雌雄一対の獅子頭を奪い合う「獅子頭の宮出し」は勇壮な行事で、「八角神輿」と呼ばれる宮神輿の「海中渡御」とともに見ものだ。

 今回の佃・住吉さんの本祭りでは、朝の連続テレビドラマ「瞳」のハイライトも、撮影されるはず。ぜひ、佃・月島にお出で乞う。神輿担ぎでご案内は出来ないが。

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July 23, 2008

989.発掘された日本列島2008

080720_013_640080720_015_640 各地で行われている遺跡発掘調査の成果を、出土品400点を中心に紹介する「発掘された日本列島2008」が開催されている。
 文化庁が主催して毎年各地で開くものだが、スタートとなった江戸東京博物館に出かけた。

080720_028_640080720_026_640 今年の売り物は、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の紹介と特別史跡「高松塚古墳」石室解体と発掘調査の成果の紹介。
 展示物は数少ないのだが、現在も進行形である調査研究の動きが、よく理解出来た。

080720   石見で銀の鉱脈が発見されたのは、1526(大永6)年室町時代の後期のこと。やがてここで産出した銀は、アジア各地に送られた。そして大航海時代といわれた16世紀、せかいに流通した銀の三分の一を占めたという。
 遺跡としての特徴は、銀山だけでなく鉱夫や生産を管理する幕府の役人達の生活の跡、さらには銀の輸出港までの街道が、今も昔のままの姿を留めていることだ。
 そのため「世界遺産」としては、「その文化的景観」も含めて登録されている。

080720_030_640080720_024_640  高松塚古墳は、1972(昭和47)年に石室内で国内初とる大陸風極彩色の壁画が発見され、特別史跡となった。
 しかしその後、カビの発生や壁画の劣化が進行し、昨年古墳石室を解体して、修理と新たな保護を図ることとなった。
 展示では、失敗を許されない石室解体の技術などが紹介されている。

080720_017_640080720_018_640   16の展示のなかで面白かったのは、秀吉の死から落城の間に催された大阪城三の丸の大宴会の、食材や食器の遺物である。大皿、お箸はもちろん、鹿や猪の骨をはじめ、鮑に蛤の殻、鯛や河豚などの骨が昨年発掘された。
 三の丸といえば、淀君、秀頼が落城を前に自刃した場所。「豊臣家最後の晩餐か?」とのタイトルだったが、豪華な山海の珍味を想像することが出来る。

 鹿児島・種子島や奄美大島、喜界島の遺跡の出土品にも興味がわいた。これらの遺物を辿ることで、古代における物と文化の流れを知る。

 「発掘された日本列島2008」は、江戸東京博物館が8月31日まで。続いて兵庫県立考古博物館、千葉県立中央博物館、沖縄県立博物館と来年まで開催される。

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July 22, 2008

988.東京オリンピック

080720_038 昨夜のBS2、東京オリンピックの公式記録映画、市川崑監督の傑作ドキュメンタリーを40数年ぶりにに見た。
 全編2時間50分、聖火リレーからマラソンまで、時間が過ぎるのも気づかず映像に没頭した。

 富士山をバックに聖火の煙が流れる。旧い町並みを俯瞰で撮った聖火リレー、国立競技場での入場行進、そして71,715人の大観客が見守る中での点火。
 砲丸投げ、雨の中のハンマー投げ、胸元をまさぐる選手の手元のアップ、腕の筋肉、顎、足元のアップ。エロスの女神のようなチャスラフスカの体操演技、アメリカ・ハンセンとドイツ・ハインハルトの9時間にわたる棒高飛びの死闘。体操の金メタル、遠藤、小野、ウエイトリフティングの三宅。渡辺、吉田 、上武の金メタルレスリング。猪熊の一本背負い投げの金メタル、ヘーシングに敗れた神永。
 そしてハイライトは、女子バレーの日本優勝、青梅街道を走るマラソンと続く。アベベの独走、カモシカのような足のアップと長いカットの横顔、スローモーション。

 140台のカメラで撮ったフイルムは、40万フィートにも達した。市川監督は、競技の勝敗ではなく、人間の精神性を撮った。
 カメラマン達は望遠レンズを駆使し、競技に集中する選手たちの表情や細かい動作を記録した。
 それを1カ月懸けてモンタージュする。
 カンヌ国際映画祭では国際批評家賞を受賞し、映画作品としても国内では13億の興業収入をあげた。この記録はそれまでのトップ作品の4倍だったという。

080720_034_2080720_036  左の写真は、駒沢体育館でのレスリング会場。日の丸が掲揚され、表彰式が行われている。
 右の写真は、新宿南口青梅街道のマラソン、円谷が写っている筈なのだが良く判らない。
 私が撮ったカラー写真も、44年の歳月がセピア色にしてしまった。開会式のカラー写真も撮ったのだが、散逸して見つからない。

 東京オリンピック、まだ駆け出しの放送マンが始めて経験した大舞台である。
 開会式は、実況中継のアシスタント・ディレクター。レスリングは幾つかの試合をディレクターとして演出、そしてマラソンは、新宿駅南口での中継ポイント担当だった。 

080720_035  しかし、もうほとんど記憶に残ってはいない。市川監督の映画を見て、44年前を想い浮かべているだけだ。
 ただ、この映画が、その後のテレビ・ドキュメンタリー創りの教科書になった事は間違いない。とうてい、敵う事はないのだが。

 ひとつだけ、面白い事を発見した。あの聖火リレーが、旧い町並みを走る俯瞰ショットは、市川監督最後の作品「犬神家の一族」で金田一耕介が走るシーンとして再現された。同じ場所だという。

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July 20, 2008

987.最後の大銀座落語祭

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080720_004_640080720_011_640 猛暑の銀座、13ヶ所のホールや劇場で17日から「大銀座落語祭」が始まった。明日21日まで、大小合わせて80を超える催しが展開される。

 今年で5回目、上方も含めほとんどの噺家が銀座に集まった。主宰しているのは「六人の会」、春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑と今売れっ子の師匠たちである。そして銀座の商店会が支える。もちろん地元中央区も支援して、文化庁が助成する。

 入場料は無料のものから7350円と幅があるが、5000円の「究極の東西寄席」(ブロッサム中央会館)などは、2ヶ月前に全席売り切れた。
 因みに出演者を紹介すると、笑福亭鶴瓶・笑瓶親子会、桂文珍の会、林家正蔵・風間杜夫二人会、三遊亭園歌・桂小金治二人会、桂三枝の会、春風亭昇太の会、桂歌丸の会、立川志の輔の会など5ステージが、3日間に渉って催される。そして、コロッケやラサール・石井、清水ミチコ、ケーシー高峰など噺家以外からも参加する。

 この落語祭には、毎年高校の同窓が集まって、後輩の林家彦いち師匠の応援に出かけることにしている。
 今年は、昨夜時事通信ホールで開かれた「映画と新作落語の会」。6時から10時までたっぷり4時間の公演だった。

 最初の映画は、落語家の林家しん平が監督した「深海獣レイゴー」。2~30分の落語家のお遊びと思っていたら、なんと1時間30分近い大作!だった。
 杉浦太陽や蛍雪次郎などプロの役者に五街道雲助、春風亭一朝など噺家が加わって「戦艦大和」と怪獣との壮絶な闘いをドラマチックに描いている。予算の都合もあってか、CG部分などは弱かったが、お遊びではなく「商業映画」を撮っているのだという、林家しん平の意気込みだけは伝わる。

 落語の方は、その林家しん平に月亭遊方、関西からは師匠格の笑福亭福笑と女流の桂あやめ、トリが林家彦いちという組み合わせだった。
 とくに桂あやめの「私はオジサンにならない」は面白かった。40歳を超える大ベテランらしく、40代のキャリアウーマンたちの生態を「子宮(地球)環境のオジサン(温暖)化」と笑い飛ばした。テレビ「ちりとてちん」のモデルのひとりでもある彼女の落語を、大阪以来久し振りに聞いた。

 わが林家彦いち師匠は、この夜NHKラジオ「今夜も大入り!渋谷極楽亭」のナマ放送。21時に終わって30分で銀座に滑り込んだ。そんな事でトリを務めます、と謙遜しながら相変わらずの「肉体落語!」で、場内を沸かせた。
 師匠も、テレビ土曜時代劇「オトコマエ!」のナレーター役で出演するなど、日頃の精進が実ってきた。うれしい限りだ。

 さてこの「大銀座落語祭」は、今年でお終い。「今年でファイナル、大銀座!!ファイナル、どうナル、気にナル、シグナル・・・落語の明日は、ますます良くナル!!・・・」のだそうだ。 

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July 19, 2008

986.焼酎バー「黒瀬」(96)

044_640 秋に開催する「ふるさと会」の打ち合わせの後、仲間達の作った郷土料理と、薩摩焼酎を楽しんだ。
 とくに今回飲んだのは、会員の兄弟が栽培したさつま芋「コガネセンガン」を原料とした焼酎2種。これがなんともいえない美味だったので、紹介しよう。
 産地偽装など「ニセモノ」流行の昨今、原料生産者や杜氏をはっきり明記した「薩摩焼酎」だけに、我々の鼻も高い。

039_640041_640  左が「眞酒(まことざけ)」、右は「蔵の師魂(くらのしこん)」。いずれも鹿児島県日置市の「日置蒸留蔵」(小正醸造)が仕込んだ焼酎である。
 そして原料芋の「コガネセンガン」は、隣の南さつま市金峰町「土つくり百姓」東馬場伸さんが丹精込めて作った。

 東馬場さんは、いわゆるUターン「百姓」。東京から故郷に帰った彼は、早生の米「コシヒカリ」を導入するなど、常に地域の農業振興の先頭に立っている。これまでも国の褒章や天皇杯を受章するなど、その実績は高く評価されている。

 「眞酒」を仕込んだ杜氏は、笠野美好さん。自然の風味を出来るだけ残すために、最小限のろ過おして、素焼きのかめ壺で熟成した。黒こうじ、単式蒸留、コクがあって旨味が生きている。
 先日は、この焼酎をお湯割りでいただいた。

 「蔵の師魂」の方の杜氏は、薗田一幸さん。同じく黒こうじ菌を、もろぶたを使った自然の換気で麹に。もろみは木樽蒸留器で蒸留、出てきた原酒を地下の貯蔵がめで3年間熟成させた。
 こちらは、その微妙な味を楽しむためオンザ・ロックにする。

 もし酒屋でこの銘柄を見つけたら、ぜひ試してほしい。
  

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July 18, 2008

985.入谷の朝顔市

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 「桔梗咲き」「牡丹咲き」「斑点紋」「縞」、そして評判の「大輪団十郎」。歌舞伎・成田屋のシンボルカラー、柿茶色の大輪は今大ブーム。

 朝顔の種を中国では「牽牛子(ケンゴシ)」と呼ぶ。その名に因んで「牽牛星」と「織姫星」が年に一度会う、七夕を挟んで朝顔市は開かれる。
 ところが今年は今日が初日。無粋な事に、洞爺湖サミットで警備の手が足りないからと、延期させられた。
 そのため生産農家は、種まきから育成まで日時の調整に手間をかけたとボヤく。

080718_018_640_2080718_027_640_2080718_029_640 朝顔市が開かれるのは、入谷の仏立山真源寺の境内と参道。
 「恐れ入谷の鬼子母神」と大田蜀山人が狂歌でうたったあの境内である。

080718_024_640080718_023_640080718_035_640  もともと入谷の田圃の土が、朝顔作りに適していたので、近くの御徒町に住んでいた下級武士たちが内職として「奇品つくり」をしていた事が由来らしい。

 嘉永・安政の頃には、この地の植木師・成田屋留次郎が江戸のみならず上方の朝顔の珍品をふくめ「図説」を出版してPRしたそうだ。
 彼はまた、各地で「花合わせ会」を企画するなど、朝顔普及のプロデューサーとして活躍したという逸話が残っている。

 明治に入ると、入谷には10数軒の植木屋が軒を連ねて朝顔つくりを競い、大輪朝顔のほか変種や珍花を咲かせて陳列した。「評判を聞いて早暁より見物人が集まった」と、「下谷繁盛記」には記されているが、都市化とともに廃れ大正期には姿を消した。
 今日の姿の朝顔市が復活したのは、戦後の1948(昭和23)年からである。

080718_041_640080718_044_640  朝顔市の店の数は120軒。「朝顔4色咲き」が2000円、「団十郎のみ」が3000円。この3日間で2万鉢が売れるそうだ。

 首都圏に住む皆さんは、今夜6時からのNHKテレビ「首都圏ネット」をご覧になると、「入谷の朝顔まつり」に出会える。テレビのキャスターが、朝から取材していたから。

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July 17, 2008

984.奇跡のシンフォニー

Img00Img10Img20 「WallPaper」用の三枚の写真を見ているだけで、目がうるうるしてくる方がいるかも知れない。
 「ネバーランド「チャーリーとチョコレート工場」に登場した可愛い少年、イギリス出身のフレディ・ハイモアが主役の映画である。

 そしてもう一つの主役が、スクリーンに流れる40曲を超える音楽である。有名なミュージシャンたちがレコーディングに参加、クラッシック、ロック、ゴスペルの名曲がクロスオーバーした。
 そしてテーマミュージックは、アカデミー賞主題歌賞にノミネイトされた。

 この二つの主役が、観る人の胸をいっぱいにして、ピュアな涙を流させる。よほどの「ヘソ曲がり」か「居眠りしていた」人を覗いて、その涙を止めることは出来ない作品だった。

Img70Img60   チェロ奏者の美女(ケリー・ラッセル「ウエイトレス~おいしい人生の作り方」)とハンサムなロック歌手(ジョナサン・リ-ス=マイヤーズ「マッチポイント」)の、一夜の情熱で生まれた少年。
 2人は引き裂かれ子供は孤児院に。
 そして11年と16日、両親を探す少年の一途な想いが「音楽の魔法」によって再会の奇跡を呼び起こす。

Img90Img30 バイプレイヤーは、児童福祉職員のテレンス・ハワード(「クラッシュ」)と興行師ロビン・ウイリアム(「グッド・ウイル・ハンティング」)の豪華配役。

 監督は、アイルランドの巨匠ジム・シェリダン監督の娘、カースティン・シェリダン31歳。
 父親の作品の脚本を書く傍ら長編映画の監督も務め、ヤング・ヨーロピアン映画祭で受賞するなど期待の才媛である。
 その瑞々しい若さと女性らしい優しさが、無垢な少年の心に乗り移った。 

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July 16, 2008

983.八重洲パリ祭展

080715_006_640 「パリ祭にちなんで開催する、たのしい絵画展です。パリゆかりの方も、そうでない方も、どうぞお気軽にボン・ジュール!」
 こんな案内状をもらったので、東京駅八重洲地下街にあるギャラリーに出かけた。

 「パリ祭」といえば、フランスの建国記念日。かの国では、もっとも盛大なイベントが開かれる。
 バスチューユ監獄が襲撃され、フランス革命が勃発したのが1789年の7月14日。この日を記念して制定された国民の祝日である。
 因みに「パリ祭」と呼ぶのは日本だけ。映画「巴里祭」からきたもので、フランスでは単に「Quatorze Juillet」(7月14日)。

 さて本題の絵画展だが、プロからアマチュアまで44人の画家たちが描いたパリである。
 それぞれの思い出の1点なのだろう、一同に並べるとそれなりに壮観である。
 趣味であれ本業であれ、洋画を志す人たちにとっては、やはりパリが原点のようだ。

 下の2枚は、これまでもこのブログで紹介した職場の先輩、2人の画伯の「パリ」である。

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                       (画・久米 和雄)                     
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                       (画・武田 光弘)

 「パリ祭展」は、20日(日)までギャラリー八重洲・東京で  

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July 15, 2008

982.美しすぎる母

025 原題の「SAVAGE GRACE」をどう解釈するか、日本の配給会社の担当者は首をひねったに違いない。
 「savage」は、「野蛮な」とか「残忍な」という意味だが、優雅とか優美を意味する「grace」の形容詞となると翻訳は難しい。何となく感じは判るのだが。

 「美しすぎる母」の邦題は、担当者のひとつの見方が示されていると言える。美しすぎたから彼女は、殺されたのだと。
 そう、この映画は「なぜ、母は息子に殺されたのか?」という疑問に、監督が答えた作品なのだ。それが果たして「美しすぎた」という理由だけなのかは、観客の「解釈」にゆだねられる。

 実話である。1972年11月17日、イギリスのロンドンで起こった事件である。プラスチックの基となる合成樹脂「ベークライト」の発明で財を築いた、アメリカの大富豪ベークランド家の当主夫人が、25歳の一人息子にナイフで刺殺された。
 彼は精神障害者として医療刑務所に収容されるが、8年後に釈放。その直後引き取った祖母を再びナイフで傷つけ、刑務所に再収容。その翌年独房内で自殺した。

 映画の原作は、彼女の友人・知人へのインタビューを基に書かれた「SAVAGE GRACE」。
 サンダンス映画祭に出品された「恍惚]('92)でデビューした、奇才トム・ケイリンが映画化した。
 この作品も第27回サンダンス映画祭ニプレミア出品された他、昨年のカンヌ国際映画祭監督週間でも上映されている。

20080225003fl00003viewrsz150x  「美しすぎる母」を体当りで演じたのはジュリアン・ムーア。「エデンより彼方]('02)でヴェネチア国際映画祭など、各地で主演女優賞を受賞、「めぐりあう時間たち」ではベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた、47歳の大ベテラン女優である。今年47歳、優美で仇っぽく妖しい色気を見せる。
 母を愛してしまった息子は、イギリスの新鋭エディ・レッドメイン(「エリザベス・ゴールデンエイジ」)。
 息子のガールフレンドを盗んで母の元を去った父、イギリス出身のスティーヴン・ディレン(「めぐりあう時間たち」)。
 そのガールフレンドはスペイン7女優のエレナ・アナヤ(「トーク・トゥ・ハー」)。

 70年代、ヒッピーがもてはやされた時代。同性愛、薬物使用、売春、母子相姦、何でもアリの上流階級社会の「愛」は、美しくスキャンダラスだった。

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July 14, 2008

981.月島草市

046_640048_640 12日土曜日から今日まで、月島のもんじゃ通り(西仲通り)のおよそ500mが露店で埋まる。
 大正の頃から続いて来た「草市」である。

 都内では珍しいこの「季節市」は、もともと盆具(麻幹、筵、溝はぎなど)や佛前の花を売る市だったが、ついに今年はそうした店も消えた。

049_640050_640062_640 商店街の組合も「草市と露店大会」と名前を変えて、子供たちを呼び込む努力を続けている。
 今年は、朝のテレビドラマ「瞳」の影響もあってか、例年より5割も客が増えたという。
056_640057_640   もうひとつ、今年は「佃の大祭」が行われる年である。3年に1度の住吉神社の祭りには、ここを多くの神輿が練り歩く。
 8月1日から4日まで、月島は祭り一色となる。祭り半纏や足袋に半タコ、襦袢の店は大賑わいだった。

 昨夜からは、「佃の盆おどり」も始まっている。  

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July 12, 2008

980.クライマーズ・ハイ

024 1985年8月12日。群馬県御巣鷹山にJAL123便墜落。死者520名、生存者はたったの4名。
 この世界最大の航空機事故を追った、地元新聞社1週間の記録である。

 原作は、この新聞社社会部記者として大事故を直接取材した体験を持つ、ベストセラー作家横山秀夫が5年前に書いた同名小説 。
 モラル、真実、新聞の役割、そして命の重さをどこまで伝えられるのか。大事故を前に露呈した、一人一人の赤裸々な人間像が群像ドラマとして描かれる。
 「クライマーズ・ハイ」とは、登山家が興奮状態の極限に達し、恐怖感がマヒしてしまう状況を言う。
 ジャンボが堕ちてからの1週間、記者たちは「クライマーズ・ハイ」の状況だった。

330008view007 大事故を前にした、新聞社の社内描写が生き生きしている。多彩な登場人物、上司や同僚に部下、セクションの対立など生々しい人間の相克が巧みに描かれる。

 事故取材の責任者・全権デスクを任された、一匹狼の遊軍記者の主人公(堤真一)。
  彼にあからさまな対抗意識を見せる社会部長(遠藤憲一)。地元で発生した古い事件(大久保連続殺人事件、連合赤軍事件)の取材体験だけを誇る編集局長と次長(中村育二・蛍雪次郎)。編集局と対立する広告局に販売局長(皆川猿時)。

330008view011  そして、全権デスクの意図を冷静に受け止めて現場を取材した、県警キャップ(堺雅人)に特ダネを追う女性記者(尾野真千子)。政経部デスク(田口トモロヲ)、整理部部長(でんでん)等。

 なかでも地方新聞社の社主(山崎努)の存在感は大きい。ワンマンで助べえな社主だが、肝心なところで地方新聞社の存在意味を見せ付ける。
 他に、主人公の登山仲間の販売局部員(高島政宏)。その遺児で現在の主人公をサポートして谷川岳にアタックする登山家(小澤征悦)と芸達者な顔ぶれが並ぶ。

 監督は、「金融腐敗列島」('99)や「突入せよ!あさま山荘事件」('02)など骨太な社会派ドラマに強い原田真人。原作をほぼ忠実に辿りながらも、監督自らの「内なる日航機事故」を描く。
 原作者の横山秀夫は「私は書かされ、原田監督は撮らされた。そう読み解いてこそ、あの巨大事故がもたらした衝撃の一端が見えてくる。」と話す。

 1985年8月12日の夕刻、私もある報道機関のデスクの一端にいた。機体がレーダーから消えた第1報から墜落のニュース、そして翌日の生存者救出を伝えるフジテレビのスクープ映像。
 「阪神大震災」と並んで忘れられない「体験」の一つである。

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July 11, 2008

979.焼酎バー「黒瀬」(95)

Imgp08962_640 久し振りの焼酎の話題、最近の新聞記事から数点要約で。(いずれも南日本新聞)

 「三宅島 焼酎復活」
 東京都三宅村から村長等が指宿を訪れ、島の焼酎復活への協力を感謝した。
 JAいぶすきは、三宅島の全島避難が解除された2005年から、サツマイモの苗2万本を提供している。また枕崎の薩摩酒造も、同島で取れた芋を原料に「喜島三宅(きとうみやけ)」を醸造するなど、島の焼酎復活に協力している。
 三宅島では、島内唯一の蔵も再開するなど、着実に復興が進んでいる。今後はJAいぶすきなどの協力によって、販路拡大に努めていく。

 「焼酎造りから環境づくり」
 鹿児島大学の焼酎学講座では、先月末「焼酎造りと環境保全」をテーマにシンポジュウムを開催、「焼酎造りを環境づくりにつなげる」方策について討論した。
 シンポジュウムでは、同大客員教授の小泉武夫さんが「中国ではコーリャンから造る白酒のかすを豚のえさにし、ふん尿を堆肥にするリサイクルが確立している」ことを紹介、「日本でも焼酎かすを田畑や森に戻せば、海も川もゆたかになる」など持論を述べた。
 また宮城県でカキ養殖を営む漁業者からも、漁民による森造りが海を再生したとの紹介があり、焼酎カスに含まれるクエン酸に鉄分を加えると海が豊かになる、などの報告がされた。

 「公募イラストで限定焼酎販売」
 大海酒造協業組合(鹿屋市)では、看板焼酎「さつま大海」のラベル・イラストを公募、614点の応募の中から、佐賀県在住の中村稔さんの作品を選び、近々1万本を全国販売する。
 作品は、同酒造の「海」のイメージを基に「楽しく、ゆかいな海の生き物」が見栄えある色で描かれている。

 「黒瀬」 東京都渋谷区渋谷2-14-4
              ℡5485-1313 

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July 10, 2008

978.インディ・ジョーンズ~クリスタル・スカルの王国

329623view005 帽子に皮ジャン、カバンを「幼稚園掛け!」にしてムチを持つ。あのインディー・ジョーンズ教授の四度目の登場である。

 ハリウッドを代表するヒットメーカー、ジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグ、それにお馴染みのハリソン・フォードとくれば、面白くないわけはない。
 相変わらずのスピード感あふれるアクション、ユーモアとスリル、斬新なアイディアは、飽きる事はない。

 「パトリオット・ゲーム]('92)「逃亡者]('93)「エアフォース・ワン」('97)と、ともかくスピーディーに駆け回る役のハリソン・フォードを横において、この作品だけ手を結ぶ2人を追ってみよう。

 ルーカス64歳とスピルバーグより3歳年上だが、いずれもカルフォルニアの大学で映画を学ぶ。監督としてのデビューもルーカスの方がちょっと早い。そしてルーカス・フイルム、ドリーム・ワークスと製作プロダクションを経営する。監督・プロデューサーそれに脚本も手がけるという共通点がある。
 ルーカスは「スター・ウオーズ」シリーズでヒットメーカーとなったが、スピルバーグは「ジョーズ]('75)でブレイク、「未知との遭遇」('77)「ET」('82)「A.I」('01)「宇宙戦争]('05)などの宇宙物、「ジュラリック・パーク」シリーズとヒットを飛ばした。
 またスピルバークは、「シンドラーのリスト]('93)「プライベイト・ライアン]('98)「ミュンヘン」('05)でアカデミー賞受賞またはノミネイトされている。
 2人の最も大きな違いは、ルーカスがノンリニア編集などを取り入れたデジタル・シネマ派とすれば、スピルバーグはいまだにフイルムに拘っていることだけだ。

329623view001  今回の「クリスタル・スカルの王国」は、ルーカスが原案を書いて製作総指揮に、スピルバーグは監督という役割分担だった。
 そして第1作目、27年前の「失われたアーク<聖柩>」の若き考古学者ハリソン・フォードを実年齢にふさわしく、父親とした事だ。
 さらには昔の恋人とよりを戻させて、最後は子持ち結婚させる。

329623view004329623view002  その息子役は「トランスフォーマー]('07)で大ブレイクしたシャイア・ラブーフを抜擢、元恋人も第1作目のヒロイン、カレン・アレンを持ってきた。
 そして右の写真、敵役で滅法強いソ連のエージェントに「エリザベス ゴールデンエイジ」でアカデミー賞にノミネイトされたケイト・ブランシェットを起用している。

 タイトルになっている「クリスタル・スカル」とは、その名の通り水晶で造られた頭蓋骨の事で、世界には10数個存在しているという。
 マヤ文明などと関係があるとされているが、映画公開を前に大英博物館が所蔵している水晶のドクロを調べたところ、それは19世紀ドイツで彫られた彫刻である事が判明した。

 東京ディズニーシーのアトラクション「インディ・ジョ-ンズ・アドベンチャー~クリスタル・スカルの魔宮」は、映画企画以前からあった出し物で、そのスカルが売り物である。

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July 09, 2008

977.歩いても 歩いても

023_2  小津安二郎、成瀬巳喜男そして向田邦子が描いてきた、日本の家族劇(ホームドラマ)の伝統を、きっちりと引き継いだ作品。
 「ぐるりのこと」が夫婦を描いた作品だとすれば、こちらは三代の家族という集団を描く。

 欧米の家族劇が明るくほのぼのと描かれ、ハッピーエンドで終わるのに対し、日本のそれは愛おしさやいたわりはあっても、家族というものの厄介さ、その奥にある残酷さを浮かび上がらせるものが多い。

 この作品は、15年前に亡くなった長男の命日に集まった家族の24時間を綴る。特に事件が起ったり、いがみあいや争いが生ずるわけではない。三代の家族の会話とちょっとした仕草のなかに、誰もが「我が家のホームドラマ」の一端を見つけるのである。

328747view004328747view007  跡継ぎに期待した長男に先立たれた父母(原田芳雄・樹木希林)の、無念と痛恨。
 兄に対するコンプレックスと反発心をもつ次男は、子連れ再婚家族(阿部寛・夏川結衣・田中祥平)。
 陽気な姉一家は、ノー天気な夫と2人の子供(YOU・高橋和也)。
 何気ない会話の中に、いたわりと反目、ユーモアと毒舌をホロ苦く受け止める。

328747view002_2328747view009_2 それにしても樹木希林は上手い。専業主婦として一家を支えてきた自信を、女特有の怖さとちょっとした残酷さで見せる。樹木の得意とする演技だ。
 原田の演技は、若い頃からぎこちなかったが、今回はそれが生きている。元開業医としてのプライドが抜け切れず子供や孫との応対にも戸惑う。
 阿部はこの作品で大きく脱皮した。脚本をキチンと読み込み「落ち着く場所のない」息子の役を見事こなした。

 この阿部の役が、原作者で脚本・編集・監督を務めた是枝裕和の姿だったようだ。
 テレビマンユニオンのドキュメンタリー番組からスタート、初監督映画「幻の光」('95)で海外からの注目を集め、「誰も知らない」はカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した。
 この作品は「花よりもなを」に続く6作目である。

 館内は、中年以上の女性が殆どだった。樹木のセリフと原田の戸惑いに笑いが起こる。多分それぞれ身に覚えがあるのだろう。それを恐れてか、中高年の男の姿は少なかった。

 タイトルとなった「歩いても 歩いても」は、ある時代にヒットした「ある歌謡曲」の一節である。

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July 08, 2008

976.告発のとき

019 イラクの戦場から帰国した若い兵士が失踪し、元軍人の父親が独自に捜査に乗り出す。一方地元警察の女刑事も・・・・。
 その捜査の中から浮かび上がってきたのは、父親の知らない息子の「心の闇」だった。それは、父親の信じ続けてきた世界の全てを揺るがす衝撃的な事実となる。
 映画のラスト、逆さに結ばれた星条旗が揚る。もうひとつの「父親たちの星条旗」である。

 映画を製作し脚本を書いて監督したのは、その「父親たちの星条旗」を書いたポール・ハギス。クリント・イーストウッドと組んで硫黄島の2作に「ミリオンダラー・ベイビー」を書いた。
 「ミリオンダラー・ベイビー」はアカデミー賞作品賞を受賞したが、続いての「クラッシュ」は脚本だけでなく監督も手がけ、6部門でノミネイトされ作品賞と脚本賞を獲る。ハギスは類い稀なる才能を持ったカナダの映画人といわれる所以である。

 「告発のとき」は、米プレイボーイ誌に掲載された実話が基となっている。
 原題は「In The Valley of Elah」、つまり「エラの谷」。旧約聖書サムエル記に登場する土地で、ここで幼いダビデは巨人ゴリアテをパチンコ玉で打ち破った。
 クリスチャンなら誰でも知っているエピソードで、始めから勝敗が判っている闘いの例として用いられる言葉である。
 ハギスは、これをイラク戦争に例えた。つまりフセイン(ゴリアテ)を倒すため若者(ダビデ)を「エラの谷」(イラク)に送ったのは、いったい誰だったのか、と。それは「ブッシュ」だったと矮小化するのではなく、アメリカの善良なる大人たちの責任をも問うのだ。

020 出演者たちも、アカデミー受賞者が顔を並べる。
 元MPだった父親にトミー・リー・ジョーンズが扮する。ハーバード大出身でアメフトのスター選手だった彼は、「逃亡者」の冷酷な保安官役でアカデミー賞助演男優賞のほか数々の賞を受賞した。最近では「ノーカントリー」で渋い保安官を演じた。
 セクハラに遭いながらも毅然として捜査を続ける女刑事は、シャーリーズ・セロン。南アフリカ出身の彼女は、「ノイズ]('99)「コール]('02)などサスペンス映画に出た後「モンスター」で主演女優賞を受賞する。
 若い兵士の母親、つまりジョーンズの妻にスーザン・サランドン。「依頼人]('90)などでアカデミー賞に4回もノミネイトされ5回目の「デッドマン・ウオーキング」で主演女優賞を獲った。

 映画に登場する若い兵士役に、ハギスは実在の兵士それもイラク戦争帰還兵たちをキャスティングした。
 「イラクでの戦いは、何がノーマルなのか判らなくなってしまう」その「魂を失った男達」の存在感が、作品に衝撃を与える。

 クリント・イーストウッドが全面的に製作を支えたこの作品には、撮影監督ロジャー・ディーキンス(「ノーカントリー」「デッドマン・ウオーキング」「ジャーヘッド」)や音楽のマーク・アイシャム(「大いなる陰謀」「クラッシュ」「ホテル・ルワンダ」)などベテランたちが加わっている。  

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July 07, 2008

975.念佛ノ源流

 連れ合いの骨折は完治したが、今度は腰を痛めて思うように動けない。夏の旅行は全てキャンセルしたので、もっぱらご近所のイベントを楽しんでいる。

080706_036_640080706_038_640   「有楽町歌碑除幕」に続いて昨日は、「築地本願寺寺基移転350年記念・念佛ノ源流」の催しに出かけた。
 すでにこのブログでも紹介したように、「明暦の大火」で「江戸浅草御坊」を焼失した本願寺別院は、幕府より八丁堀の海上を下付された。
 そして佃の門徒衆が、そこを埋め立てて本堂をたてたのが、築地本願寺である。350年前のことだった。

080706_009_640080706_020_640  記念行事の「念佛ノ源流」は、「魚山聲明(ぎょざんしょうみょう)」と「節談説教(ふしだんせっきょう)」からなる。

 「魚山聲明」は、天台宗・比叡山に中国から伝えられたものである。
 そして比叡山の麓、大原の魚山来迎院で研鑽した僧が、「魚山法師」としてその聲明をこんにちまで伝えてきた。
 今回公演された「如法念佛作法」は、昭和8年まで京都の西本願寺で唱えられたもので、今回始めて東京での公開となった。

 光りを落とし灯明のもとで、導師水原夢江率いる天台・浄土23人の僧侶の聲明が、本堂に響く。「五体投地礼」「行道詠唱」、ソロ、合唱、ハミングと豊かな旋律が流れる。
 聲明はまた日本の伝統音楽の源流でもある。
 最後に「南無阿弥陀佛」が8回唱和され、本堂いっぱいに蓮の花びらが撒かれて一時間の法要は終わった。

080706_031_640080706_025_640  「語るが如く、歌うが如く、話が節になり、節が話になり。」
 「節談説教」は、言葉に節をつけて人々の情念と感覚に訴えるもので、インドの釈尊の時代から行われてきたものだといわれている。
 日本では、平安から鎌倉にかけて浄土宗が広まり、法然や親鸞といった優れた説教師が現れて、仏の道を物語や和讃の形で説いた。
 浪曲や講談・落語の源流ともいわれ、歌舞伎にも取り入れられている。

 今回は、能登の萬覚寺住職・廣陵兼純師による「仏説観無量寿経」の説教。罪悪深重の凡夫が念仏を称えることによって極楽往生する逸話を、能登弁でわかりやすく語り歌ってくれた。

 午前・午後2回に渉って開かれたこのイベントは、入場無料。指定席だけは昼食付で3500円。

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July 05, 2008

974.幻影師アイゼンハイム

021 都内では2つの映画館だけで上映され、昨日で終了した。このあと8月にかけて札幌や名古屋など、全国各地での上映が始まる。

 いわゆるインディペンデント系の映画。アメリカでも当初は51館だけの上映だったが、出来の良さが口コミで広がり最後は1438館、22週にわたるロングランを記録した。そして2年ぶりにようやく日本での上映となった。
 ハリウッドのメジャー作品でないために宣伝も少なく、日本の配給会社の目に留まらなかったのだろう。

 作品の舞台は19世紀末のウイーン。公爵令嬢と幻影師の、身分を越えた愛の物語である。
 幻影師、当時のハプスブルク帝国末期の芸術文化を、その妖しいイルージョンで席巻した芸人である。手品師や奇術師を超えた芸術家ともいえよう。
 その命を懸けたイルージョンが、作品の結末を「爽快」にする。

 原作は幻想文学の大家、ピューリッツア賞作家のスティーブン・ミルハウザー。彼の「バーナム博物館」に所収されている短編を、TVCM監督出身のニール・バーガーが映画化した。
 原作をもとに、ハプスブルグ帝国末期の種々の事件を織り込んで、より時代の空気を表現する。
 「この映画が見せるトリックとは、“その仕掛け”ではなく、“目に見えるものばかりが全てではない”という不思議な感覚なのだ」(ニール・バーガー監督)

022  主役の幻影師は「レッドドラゴン」('02)のエドワード・ノートン。名門エール大学出身で「真実の行方」で映画デビュー、脚本家・監督も務める異才である。
 彼のトリックの秘密を探る警部が、エール大学後輩のポール・シアマッティ。「シンデレラマン」('05)でアカデミー賞助演男優賞にノミネイトされた名脇役である。
 幻影師の恋人で皇太子の許婚、公爵令嬢はジェシカ・ビール。「エリザベスタウン]('05)や「ネクスト](''07)で準主役だった美人俳優。
 敵役となる皇太子は、イギリスの舞台俳優ルーフアス・シーウエルが演ずる。

 映画は、アメリカとチェコの合作。石畳の道、そこに並ぶガス灯、そして馬車。ロケをしたプラハの街だけに、現在も世紀末のウイーンが残っているという。
 

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July 04, 2008

973.有楽町で逢いましょう

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 洞爺湖サミットを前にして、警備の厳しい有楽町界隈。その有楽町マリオンには、本場「仙台七夕」が飾られた。10日(水)まで、ここでは「東北夏祭りin有楽町」が開催されている。
 千代田区観光協会などが宮城県や岩手県に呼びかけて、七夕飾りを展示したり、東北地方の物産展やこけしの実演販売など様々なイベントを開いた。

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  イベントのメインは、今日の午後マリオンの前で行われた「有楽町で逢いましょう」歌碑建立&除幕式。
 1952(昭和32)年、作曲家吉田正に見出されたフランク永井が歌って大ヒット、有楽町が待ち合わせの場所として全国に知れ渡った。そして宮城県出身のフランク永井もスターの座に上ったのだ。
 それから50年、有楽町もその街並みを変えた。

 イベントには、映画の帰りに偶然ぶつかった。多くのカメラマンがカメラの放列を敷くので、こちらは反対側からデジカメでパチリ。だから碑に書かれた譜面や歌詞のアップは撮れない。
 そのうえ「そこの一般の人!邪魔だ!」と、特殊な人たち(報道カメラマン)に叱られた。
(こちらも、ブログカメラマン?なのだが。30分も炎天下で続いた区長や区議のご挨拶に、皆さん苛立っている様子)

 30度を超える暑い暑い有楽町のワンシーンである。

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July 03, 2008

972.蔵王・さくらんぼの旅

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 山形市街から望む蔵王連峰、宮城県と山形県にまたがる樹氷で有名な山である。主峰は標高1841メートルの熊野岳、蔵王ラインを登ると有名な「お釜」に到着する。
 梅雨のシーズンだけに、山頂は霧に閉ざされ「お釜」は見えなかった。もし晴れていたら、コバルト色の湖水と荒々しい火口壁が見えるのだが。
 途中高山植物を楽しみながら、山を下る。

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 山形は「さくらんぼ」の季節。県内いたるところで、たわわに実ったさくらんぼの摘み取りが見られた。
 ジューシーな「佐藤錦」はほぼ終り、「ナポレオン」や「南陽」の出荷が始まっていた。
 今年は例年にない豊作で、甘みもたっぷり乗っているとのこと。「佐藤錦」と「南陽」は、キロ4000円、「ナポレオン」はキロ3500円。庭先で分けてもらって帰京。
 ショートトリップを楽しむ。   

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July 02, 2008

971.リボルバー

Wallpaper01_1024_2 渋谷で人と会うまでに時間があったので、ふらりと入って見た映画。これが凄かった。
 帰る途中改めてポスターを見て納得。監督があの「伝説のクリエイター」、イギリスのリッチーなのだ。

 ガイ・リッチー40歳、歌手マドンナの夫、パブリックスクールを中退して映画スタジオの雑用係りからスタート。25歳でプロダクションをつくり、短編映画を製作。10年前に初の長編映画「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」を撮る。
 場末にある、一軒の映画館で上映したところ大評判に。たちまち全英で上映されて、英国史上第3位の興業成績を挙げた。そして次作「スナッチ」も大ヒット、数々の賞に輝く。

 「リボルバー」は3作目である。今度は「伝説のプロデューサー」、フランスのリュック・ベッソンと組み英・仏合作とした。ベッソンは「ニキータ」「レオン」の監督としても有名だが、「TAXI」「トランスポーター」などヒットメーカーとして知られるヨーロッパコープの社長でもある。

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 主演のジェイスン・スティサムも2人とは深い絆を持つ。イギリス出身の元オリンピック水泳選手だったスティサムは、ガイ・リッチーに見出されて「ロック、ストック・・・・」「スナッチ」に出演、俳優の道を歩む。そしてベッソンの「トランスポーター」でスターの座を確保し、いまやハリウッドでも大活躍だ。

Wallpaper02_1024  さて映画の中身の方だが、映像・音楽ともにカッコよい。「ダイナミック・
スタイリッシュ・サスペンス・アクション」とポスターは謳うが、まさにその通り。
 「辣腕のギャンブラー」「サギの達人」「チェスの天才」「狂気のカジノ王」「情緒不安定なヒットマン」たちの運命が、回転式拳銃=リボルバーのようにクルクル回って話を複雑にしていく。
 「誰が誰を操っているのか、それはワナなのか真実なのか」と、観客を混乱させる。
 そしてラスト! 事実私も訳が判らなくなって呆然としたのだ。

 「人は自分を完全にコントロールしていると思っているが、実は霊的な存在に支配されているのだ」という、恐ろしく哲学的な命題が作品に一貫として流れている。
 このカルト的聖書的な命題は、クリスチャンでないとなかなか理解出来ないのだそうだ。
 主要な3人の人物名が、ユダヤの始祖ヤコブ、アブラハム、イサックを縮めたものだったり、「13」の数字が象徴的に使われたり、一度も画面に登場しない「ミスター・ゴールド」の存在など、脚本も書いたリッチーの哲学臭がプンプンする。

 映画は3年前に完成して、イギリスを始めヨーロッパでヒットしたという。日本への輸入を躊躇させたのもこのオカルト的な哲学臭だったのかも知れない。

 「ハンニバル」の怪優レイ・リオッタ、アメリカのヒッフホップ歌手で服飾デザイナーのアンドレ・ベンジャミン、NYのナイトクラブオーナー出身のヴィンセント・パストーレ、イギリスの俳優「オリバー・ツイスト」のマーク・ストロングなど個性的な役者が怪演する。

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July 01, 2008

970.ひとまく会

Kabukiza200806b_handbill  歌舞伎座の四階席で、最後の一幕を楽しむ「ひとまく会」。集まりは先週だったが、翌朝早く旅に出かけたので掲載が遅れた。
 「六月大歌舞伎」は、先週金曜日で千穐楽を迎えているので、このブログは忘備録としての記録。

 いつもなら「最後のひとまく」だけだが、今回は新歌舞伎の「生きている小平次」と常盤津舞踊「三人形(みつにんぎょう)」がセットとなって800円だった。

 「生きている小平次」は、江戸時代の読み物「山東京伝」を題材にした歌舞伎狂言「木幡小平次物」を、近代戯曲に創作したもの。
 作者は鈴木泉三郎、案外新しい作品で1925(大正14)年の新橋演舞場が初演。一人の女を挟んで、旅回りの役者と囃し方が殺しあうお話。不倫している女が結構したたかで、2人の男の愛情の強さを確かめ合うという新しい解釈。振られた側(殺された側)が、その後は幽霊となって付きまとう。

 第16回山本周五郎賞を受賞した、京極夏彦の「覗き小平冶」もこの幽霊が主人公。「押入れで死んだように生きる木幡小平次は、天下随一の幽霊役者。ある時、旅巡業の声がかかるが、それは凝り続けた愛と憎しみが解き放たれる修羅の幕開けであった」というのが、作品の帯。

 歌舞伎の方は、この幽霊役者が市川染五郎、囃し方が松本幸四郎と親子で演じる。囃し方の女房が中村福助という配役。
 幽霊ものの怖さより、女のしたたかさが笑いを誘う。歌舞伎ファンの友人は、それが気に食わないと不満のメールを送ってきたが。

 「三人形」は、新吉原(明暦の大火で、人形町から浅草の先に移ってきた遊郭)が舞台。評判の傾城(中村芝雀)と、馴染みの若衆(中村錦之助)、その供の奴(中村歌昇)が常盤津にのって華やかに踊る。
 この踊りは、三人の人形に見立てた役者、それも人気・技量の伯仲した三人が競って踊るところが見所。10年前の「ひとまく会」で見た、「平成の三之助」による「三人形」を思い出す。
 その時の辰之助は松緑を襲名、新之助は海老蔵、菊之助だけは父親の菊五郎が元気なのでそのままの名前で活躍している。
 

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