1098.その日の前に
「その日」を宣告された妻(永作博美)と、「その日」まで一生懸命に生きる夫(南原清隆)と子供たち。
誰にでもいつかはやってくる「その日」を前にした母親(柴田理恵)と一人息子。
「その日」を覚悟した男(筧利男)と友人(今井雅之)。
妹(原田夏希)の「その日」を綴った宮沢賢治の詩。
「死」に直面した家族と交錯する、様々な「生と死」が織り成すシンフォニーが、この映画の見どころである。
原作は直木賞作家・重松清の連作短編小説「その日をまえに」。「涙が止まらず、通勤電車では読めない」と、TBSの「輝く!ブランチBOOK大賞」を受賞した。
「・・・・・・この映画の中の人たちは、自分が死ぬ日(その日)を知って了った人たちだ。だから彼らは今、むしろ切実に生きている。・・・・・・死に向うロードムービーとは、つまり生きる悦びに彩られた断章の連続である。」(監督大林宣彦)
夫婦役の永作博美と南原清隆がいい。
永作は大河「功名が辻」などTV・舞台で活躍している女優。映画では「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」('07)で女優賞を総ナメ、「人のセックスを笑うな]('08)「クローンは故郷をめざす」('09公開予定)など話題作に出演している。
南原は、お笑いコンビ「ウツッチャンナンチャン」の内村光良の相方。一人立ちして映画「七人のおたく」('92)に出演、現在では演劇・落語・狂言・スポーツキャスターとして大活躍している。
冒頭で紹介しなかった他の出演者は、風間杜夫・村田雄浩・山田辰男・小日向文世・根岸季衣・左時枝・入江若葉のベテランに、宝生舞・寺島咲らの若手。
先月亡くなった峰岸徹が南原の祖父役で出演している。大林作品常連の峰岸だが、病身の彼の「その日」を予感した大林監督が、「見舞い撮影」と称して台本にないカットを撮ったのだそうだ。
脚本は大林監督とは20年ぶりのコンビ、市川森一。
不条理な殺人事件が多い殺伐とした今日、「その日のまえに」悲しみを乗り越えていく人々の営みは尊い。


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