1132.ワールド・オブ・ライズ
正月映画の中では、数少ないハリウッドらしい娯楽映画。難しい事は考えずに、サスペンスとアクションに浸ることができる。
といっても決して絵空事ではない。ジャーナリストが取材で知った様々な事実を、フィクションとして書き上げた「BODY OF LIES」が原作である。日本では「ワールド・オブ・ライズ」とストレートなタイトルとなったが、中東におけるCIAエージェントの「騙しあい」のお話である。
原作者のデイビッド・イグネイシアスは、ハーバードとケンブリッジを卒業した秀才。「ウオール・ストリート・ジャーナル」のワシントン駐在記者として、10年間中東・外交問題を担当。その後「ワシントン・ポスト」で外信部長とコラムニスト、「ヘラルド・トリビューン」では編集長と国際政治・中東問題の専門ジャーナリストとして知られる人物である。
彼の「フィクション」に飛びついたのが、映画屋そのもの、手だれのリドリー・スコットだった。イギリスBBCでテレビドラマの演出からスタート、3000本に上るコマーシャルを作って1977年「デュエリスト」で映画デビュー、これがカンヌで新人監督賞となる。
その後は「エイリアン・シリーズ」のSFものから、日本を舞台にした「ブラック・レイン」や「ハンニバル」、「グラディエイター」でアカデミー賞はじめ、あらゆる賞を獲って巨匠となった。
その後はご存知「ブラックホーク・ダウン]('01)「プロバンスの贈りもの]('06)「アメリカン・ギャングスター」('07)と、幅広い作品を撮っている。大英勲章ナイトの爵位をもつ大御所でもある。


出演者にも大物二人を揃えた。
CIA現地工作員にレオナルド・ディカプリオ、ワシントンの安全地帯から命令を下す上司がラッセル・クロウである。
ディカプリオは「タイタニック]('97)でスターの座を射止めた俳優だが、その後「ギャング・オブ・ニューヨーク」「デイパーテッド」「ブラック・ダイヤモンド」などアクション・スターとしても腕をあげてきた。ただアカデミー賞に3回ノミネイトされたが、受賞はまだ。
一方のクロウの方は、オーストラリアで活躍した後「グラディエータ]('00)でアカデミー賞主演男優賞受賞。「インサイダー」('99)「ビューティフル・マインド]('01)「アメリカン・ギャングスター]('07)と続く。
生傷耐えない現地工作員と、冷酷・困難な命令を出すマイ・ホームパパの上司との組み合わせが面白い。上司は工作員の動きを、映像でフォローし携帯で追いかける。
それにしても、CIAの電子監視システムは凄い。「イーグル・アイ」でも登場したが、無人機による映像監視とあらゆる電波の盗聴。隠しカメラや壁に仕込んだ盗聴器など前時代のお話なのだ。
一方アルカイダの方はというと、携帯電話は使わずクチコミで、洞穴に姿を隠して、指令書は手渡しと、前近代的連絡方法で対抗しているのだそうだ。
騙し騙されあう「ウソの世界」が世界を救う、とスコットは描く。


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