1134.英国王給仕人に乾杯!

60年代共産体制下のチェコ。その頃プラハの監獄からひとりの老人が出所した。その元ホテル給仕人が語る人生は・・・・。愛と笑いの20世紀のチェコ現代史が綴られていく。
大宣伝をしなくても、傑作は口コミで伝わる。「笑いに沸いて、劇場は熱気と拍手!」なのだ。
暮れに出かけた知人は、満員御礼で入れなかった。こちらは、ウイークデイの朝一番を狙う。
先月の「12月のシネマ」でも触れたように、チェコの巨匠イージー・メンチェルの久々の長編映画である。
私とほぼ同じ年代のメンチェルは、チェコ・ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として活躍、長編作品として初めて監督した「厳重に監視された列車」は1967年のアカデミー賞外国語映画作品賞を受賞、28歳の若さで一躍国際的なスポットを浴びた。
しかし「プラハの春」で自由化の先頭に立ったため、ソ連軍の弾圧を受けて作家活動は政府の厳重な監視下に置かれる。
雪解け後、'90年のベルリン国際映画祭で完全復帰を遂げる。上映禁止となっていた「つながれたヒバリ」が、最高賞である金熊賞を受賞したのだ。
そして現在彼は、プラハのみならずブルガリアやハンガリー、フランスでの舞台演出で活躍、映画の世界では俳優として出演している。
「英国王給仕人に乾杯!」の原作は、チェコの国民的人気作家ボフミル・フラバルの最高傑作と言われる作品である。
先述した「厳重に監視された列車」も「つながれたヒバリ」も彼の原作で、ソ連支配下密かに書かれた本を、盟友として尊敬するメンツエルが映画化した。
ナチス・ドイツが舞台となっているが、それはまさにソ連占領下の小国の現在を描いている。

若き頃の主人公を演じたイヴァン・バルネフ、老いた時代のオルドジフ・カイゼル、恋人のユリア・イエンチェほか、顔なじみではないがチェコやドイツを代表する役者達だそうだ。
ドリーブやワグナーの名曲、当時のジャズの原盤から流れる音楽が耳に焼きつく。


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