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May 05, 2009

1237.グラン・トリノ

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 タイトルの「グラン・トリノ」とは、1970年型のフォード車のこと。このヴィンテージ・カーが、主人公の人生の集約であり時代の象徴となる。

332286_100x100_002  クリント・イーストウッドが演ずる主人公は、朝鮮戦争帰還兵。その後半世紀にわたって、フォード自動車工場で組立工として働いてきた老・労働者である。
 トヨタ自動車のセールスマンである息子とはソリが合わず、孫娘のヘソ出しピアスには反吐が出る。
 イエロー移民や黒人には忌避感と偏見を持ち、差別主義そのもの。頑固で偏屈、老妻を亡くしたあとは老犬とビールを飲みながら暮らす。

332286_100x100_005  工場が無くなったのか、フォードで働く労働者たちが街を離れ、ヴェトナム戦争で故国を追われた山岳民族モンや、不法入国のメキシカンの棲家になってしまった隣近所。
 彼は、ただひとり玄関に星条旗を掲げ、狭い芝生の庭を手入れする。日課は「グラン・トリノ」を磨き上げる事だ。
 そんな彼が、隣家のモン族姉弟と関わりを持ってしまう。
 
 監督クリント・イーストウッドの、集大成ともいえる作品である。「マカロニウエスタン」からスタートし「ダーティー・ハリー」「許されざる者」、「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」、そして「硫黄島2部作」。
 俳優として監督として、彼が提起してきた様ざまなテーマが、この作品には集約されている。
 70代後半という実年齢通りの主人公の存在は、アメリカそのものである。正義、良心、懺悔、後悔、しかし希望もあるのだ。

 「俺は迷っていた、人生の締めくくり方を・・・・」
 「(モンの)少年は知らなかった、人生の始め方を・・・・」
 「そして、二人は出会った」

332286_100x100_015  モン族出身の役者、姉役のアニー・ハーと弟役のビー・ヴァン が上手い。映画初出演らしい。
 (ベトナム・タイ・カンボジアの山岳地帯に住むモン族は、ベトナム戦争時米軍に協力したため国を追われ、アメリカに移住した。作品の背景のひとつである。)

 悲劇ではあるが、ユーモアもある爽やかな作品に仕上がっている。
 今年の春の叙勲、クリント・イーストウッドに「旭日中綬章」が与えられた。 

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