1287.真夏のオリオン
潜水艦を舞台にした映画に、「眼下の敵」という名作がある。1957年のアメリカ映画、ドイツUボートの艦長クルト・ユルゲンス、アメリカ駆逐艦艦長ロバート・ミッチャム。二人の艦長が繰り広げる、息詰るような戦いとシーマンシップは、今も忘れない。
「真夏のオリオン」の企画の出発点には、この作品があった。と同時に「インディアナポリス」を轟沈させた日本海軍潜水艦イー58と、最後まで人間魚雷「回天」を出撃させなかった橋本艦長という実在人物の存在があった。
さらに橋本艦長をモデルにした、池上司の「電撃深度一九・五」という著作があった。そして福井晴敏が「60年を経て届いた一枚の楽譜・真夏のオリオン」で物語りを結ぶ。
物語の舞台は、第2次世界大戦の末期、沖縄南東海域。
日本本土上陸を目指すアメリカの補給船団を阻止するため、最後の砦となったのは潜水艦イー77。その潜水艦に挑むのは巨大戦力を誇るアメリカ駆逐艦。
日本海軍潜水艦イー77の若き艦長と、アメリカ海軍きってのサブマリン・ハンター、パーシバル艦長との戦いは始まる。
真夏の夜明けに輝くオリオンは船乗り達にとっては吉兆のしるし。その「真夏のオリオン」にこめた願いが、敵味方を超えた誇り高き男たちの絆を繋いだのだ。

出演はイー77艦長に玉木宏、軍医長・平岡裕太、航海長・吹越満、機関長・吉田栄作水雷長・益岡徹、回天乗組員・黄川田将也ほか。
楽譜「真夏のオリオン」を書いた艦長の恋人に北川景子、その兄で潜水艦イ-81艦長が堂珍嘉邦、元水雷員の現在を鈴木瑞穂が演ずる。そして米軍駆逐艦パーシバル艦長は、デイビッド・ウイニングという配役である。
監修および脚本を書いたのは、作家の福井晴敏。映画化された「亡国ノイージス」('99)で大藪晴彦賞、「終戦のローレライ」('03)で吉川英治文学賞を得ている。
監督は篠原哲雄(「地下鉄に乗って」'07)、音楽岩代太郎(「レッドクリフ」'09)。
シーンの大部分を占める潜水艦内部の撮影は、東宝スタジオに「イー77潜水艦」の巨大セットを組んで行った。
また駆逐艦パーシバルは、第2次世界大戦に参戦し現在ニューヨーク州に保存されている「DE766」で撮影。また海上のシーンは、メキシコ海軍の協力を得てアメリカから譲りうけた「D-111」をメキシコ湾に航行させて撮っている。
この「D-111」もまた、サブマリン・ハンターとして戦時中活躍した駆逐艦だそうだ。
クライマックス、イー77艦長が生み出した「フェイク」というべき作戦、それが「深度一九・五」である。


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