1290.剱岳 点の記


ニッポンの映画人たちが、本物の「日本映画」を撮った。この言葉に間違いはなかった。
「こんな時代だからこそ、挑むべき『真実の物語』『本物の映画』がある。」
そして木村監督は言う。「これは撮影ではない。"行"である」と。
日本映画界を背負ってきた名カメラマン木村大作、この13日で70歳になる。「八甲田山」('77)「駅STATION」('81)「鉄道屋(ぽっぽや)」('99)など名作の数々を撮ってきた。その数は50本になるという。
「剣岳 点の記」は、その彼が50年の映画人生全てをかけて撮った、初めての監督作品なのだ。
原作は「八甲田 死の彷徨」「富士山頂」などを書いた新田次郎。「日本地図完成」という使命をはたすため、立山連峰27の頂に三角点を設置した、明治人の高潔な生き様を記した新田文学の白眉である。

日本海を私的旅行中の木村が、ふと思い立って「剱岳」を見に行った事から、企画はスタートした。その年すぐにシナリオハンティング、ロケハン、そして翌'06年4月にはわずか5人のスタッフで実景の撮影が始まった。
同年の夏に2日目の撮影、この時木村は始めて自力で剱岳の頂上に立ったという。

今回の作品を撮るため、翌年秋まで200日のロケを行っている。100年前に測量隊が実際に登り三角点を設置した立山連峰の峰々を、一つずつ忠実にに登って撮影した。CGなどは使わず、ストーリーを追って順に撮って行くという、徹底したリアリズムを追求してる。
ある人は、俳優を使ってはいるが、ドキュメンタリー映画そのものだという。
機材や荷物の運搬も、ヘリなどは一切使っていない。キャストもふくめスタッフたちは大きな荷物背負い、歩いて山を目指す。泊まる場所も天幕か山小屋、全員が明治の測量隊を追体験しながら製作したのだ。

ともかく立山連峰の自然が美しい。そして厳しい。
決して名誉のためでもなく、利のためでもない。仕事に誇りをもって挑む男たち。
物語に登場した人物たち同様、キャストもスタッフも本物の日本映画に挑んだ。
ラストタイトルに紹介される「仲間たち」。浅野忠信、香川照之、松田龍平、宮崎あおい、仲村トオル、小沢征悦、井川比佐志、国村隼、夏八木勲、役所広司・・・・・・・。音楽・池辺晋一郎。



Comments
日曜の朝この剱岳のブログを読み、すぐに観にいきました。
オーソドックスな日本映画でしたね。なんだか安心して観ていました。出てくるどの俳優もなじみのある人達で、みんな名カメラマンのもとにはせ参じたのでしょうね。
素晴らしい光景の連続、かなり知っているアングルもあり、スクリーンの隣の光景も浮かんできて興奮させられました。
個々のショットが短くてもうちょっとゆっくり眺めたい光景も多々ありましたが、2時間半の映画が5時間になってしまうか・・・
最近山行きをサボっている私達としては、座ったままでこんなに山の風景を堪能させて頂き申し訳ない気すらしました。
最後の陸軍の陳腐さには(笹野高史適役!)いま某省との仕事にどっぷり漬かっている身には、笑う代わりに未だ同じかとガックリという余計な付録もありました。
テレビを見ないもので、情報ありがとうございました。
Posted by: 巡礼人 | July 07, 2009 at 10:25 PM