1292.愛を読むひと
日本でも海外文学としては異例のミリオン・セラーとなった、「朗読者」の映画化。
ドイツの法学教授ベルンハルト・シュリンクが、自伝的な要素を含めて書いた愛の物語である。
青春と時代の記憶が、人間の心にどんな痕跡を残したか。それを男の側から描いた。

だから主役は、朗読者を演じたレイフ・ファインズ(「イングリッシュ・ペイシェント」'96)であり、その少年時代役のデヴィッド・クロス(ドイツの若手俳優)である。
しかし本当の主役は、ケイト・ウインスレットといえる。36歳から66歳までを演じた彼女の演技力によって、この作品はベストテンに数えられる名作となった。
彼女はこの作品で、今年のゴールデン・グローブ賞で助演女優賞を受賞したが、アカデミー賞の審査では会員の要請で主演女優賞にノミネイトされ、その結果オスカーを受賞したのだ。
監督はイギリスの舞台監督出身スティーヴン・ダルドリー。「リトル・ダンサー」('00)「めぐりあう時間たち」('02)についでこれが3作目、いずれもアカデミー賞監督賞にノミネイトされた。
そのダルドリーをプロデューサーとして支えたのが、オスカー監督であるアンソニー・ミンゲラとシドニー・ポラック。10年前にこの原作の映画化権を得たミンゲラは、自分で監督する予定だったらしい。
惜しくとも二人は映画の完成を待たずに、昨年相次いで亡くなった。
お話は、偶然出逢った15歳の少年と36歳の女性の、切なく官能的な愛の物語から始まり、禁断の愛と悲壮な運命へと進む。
お話を繋ぐのは、情事の後に少年が読んで聞かせた古典「オデュッセイア」から「チャタレーの恋人」「ドクトル・ニバゴ」「犬を連れた奥さん」・・・。
その朗読は、少年が弁護士となった30年後まで続く。
映画はアメリカ・ドイツの合作で、主なロケはベルリン、ゲルリッツ、ケルンで行われた
イギリス出身の監督にイギリス出身の二人の俳優(ケイト・ウインスレット、レイ・ファンズ)、ドイツのスタッフにドイツの俳優たち(デヴィッド・クロス、ブルーノ・ガンツ)。
年齢や国境を越えて読まれた、映画の原作にふさわしい組み合わせとなった。


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