1295.ディア・ドクター
河瀬直美と並んで国際的にも評価の高い女性監督、西川美和の最新作である。
7年前に「蛇イチゴ」で長編監督デビュー、3年前に監督した「ゆれる」は毎日映画コンクール大賞はじめ、数々の賞を受賞した。
深い心理描写と緻密な構成力は定評で、これからの日本映画界を背負う本格派監督と言われている。
今回も原作・脚本・監督の全てを手がけた作品で、僻地とニセ医者と村人の物語である。
無医村の村長たちが、ニセ医者に騙された事件は聞いた事がある。西川は、それを遠い何処かのお話で終わらせず、伊豆や熊野の僻村の診療所などを徹底的に取材、たった一人のお医者さんを「生命線」として生きるお年寄りたちの話を聞いた。
そして僻地医療という切実な問題をモチーフにしながらも、「一体ニセモノとはなんなのか、ホンモノとそんなに違うのか」と人間の本質に迫る。

配役がいい。ニセ医者に笑福亭釣瓶をもってきた。
テレビ「家族で乾杯」出演など、日本で一番顔を知られた男が、映画初主演。そのユーモアあふれたキャラクターが、ふと中年男の淋しさを見せる。
そのニセ医者を、赤ヒゲ先生並に尊敬してしまう研修医が瑛太。こちらも「篤姫」恋人役小松帯刀で全国区。
ベテランの看護師役もいい。「おくりびと」('08)で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞の余喜美子。
釣瓶に命を託す村の未亡人、八千草薫。その娘で都会の大病院の医師、井川遥。
ちょっと胡散臭い薬問屋のセールスマン、香川照之。
1シーンだけだが、町の救急医に中村勘三郎も顔を出す。
茨城県常陸大田市でロケした、棚田の風景が印象に残る。この「エメラルド色の棚田を求めて、全国をロケしたという。
小さな村で起きた大事件の顛末は?さすが笑福亭釣瓶である。


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