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August 31, 2009

1138.HACHI 約束の犬

N_10_7D_10_7 「ベッドリッジ駅、午後5時。駅にはいつも君が待っていた。」
 このコピーを見るだけで、涙腺は緩む。日本中が誰でも知っている「ハチ公物語」のハリウッド版である。

 フジテレビが、開局50周年記念作品として大キャンペーンを展開しているので、夏休みはどこも子供達が行列していた。そのうえ、北大路欣也らスターによる吹き替え版である。ようやく字幕版も始まったので、「投票」を済ませて映画館に足を向けた。

M_10_7 この作品は、一人の日系3世の情熱から生まれた。
 ビッキー・シゲクニ・ウオン、十数年前に祖父の国・日本を訪ねた時、彼女は渋谷でハチ公の像に出会った。そして感動の実話を知る。
 帰国後もハチ公が忘れられず、彼女は秋田犬を飼って「HACHI」と名付けた。そして6年前に「ハチドッグ・プロダクション」を設立、映画化を目指したのだ。

332771_100x100_005 彼女が脚本を持ち込んだ相手がリチャード・ギア。愛犬家としても有名で、チベット仏教の強力な支持者、東洋人の感性への理解も深い。
 そして脚本に感動したギアは、愛犬家仲間のラッセ・ハルストムに監督を依頼したのだ。

 ハルストムは、スエーデン出身の巨匠。愛犬と男の子の物語「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」('88)を監督してアカデミー賞にもノミネイトされた。その後も、「ショコラ」('00)「シッピング・ニュース」('01)「アンフィニッシュ・ライフ」('05)など、ヒュマンな名作を生み出している。

332771_100x100_007332771_100x100_003 大学教授役のリチャード・ギアとその妻ジョーン・アレン(「ザ・コンテンダー」'00)も重要な役だが、主役はなんと言っても「HACHI」。子犬時代は柴犬だったが、あとはそれぞれの年齢に合わせて3匹の秋田犬が演じた。

 その「HACHI」たちが上手い。単なる「曲芸」ではなく感情表現という「芸」を演ずるのだ。ハリウドで名ドッグ・トレーナーとして知られるブーン・ナーが、6ヵ月かけて演技指導したという。

 愛犬家ギア、愛犬家ハルストレム監督、そしてこの作品の実現に20年以上もの情熱をかけたプロデューサーのビッキー。彼女もまた日本犬を誰よりも愛した人である。
 日本で生まれた感動の実話は、こうしてハリウッドで再現された。

 犬好きの連れ合いを映画に誘ったのだが、号泣してしまいそうで恥ずかしいと遠慮した。ラスト、場内が明るくなる前に、私もメガネをサングラスに替えた。

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August 28, 2009

1337.十二代三輪休雪展

2_640 日本橋三越で、「陶 愛と死の融合」と題した「十二代三輪休雪展」が催されている。この春パリで開催された個展の帰国記念である。
 2年前の中国、今回のフランスと、人びとに大きな衝撃を与えた休雪の「愛」と「死」をテーマにした作品が並べられた。

 休雪は萩焼の名門三輪家の長男。6年前に十二代を襲名したが、茶碗の名陶として知られる父親の十一代とは趣を異にした、陶芸の常識を破る大作を次々と発表している。

2_002_6402_001_640 左の作品は、彼が東京芸術大学院修了の際作陶した「愛の為に〔ハイヒール〕」。「陶」と「エロス」の融合として、関係者の注目を集めた処女作品である。

 右は「続・卑弥呼の書No5」、1992年の作品で長さは4mを超える大作である。真ん中に女王としての愛のシンボルを置き、書物の厚さと文字によって邪馬台国の文化の高さを表現する。また黄金色は富を象徴しているが裂けた陶片が、やがて滅び行く古代王国の運命を予感させる。

2_003_640 数々の乳房で表現した「摩利耶」、鋭い陶片で形づくられた「白雲現龍氣」、胎内を思い出させる「やわらかい海」、卵を割って現れる釈迦の「生誕」など、三輪芸術の最高作品80余点が見る者を圧倒する。

 冒頭のポスターの写真は「古代の人・王妃墓」。「王の墓」とともに、十年以上の歳月をかけて作陶している。掘り出された遺骸の胸に置かれた「墓碑銘」には休雪の妻の名が、王の遺骸は彼自身と、ユーモアたっぷりに見せる。彼女の副葬品は時計や鏡にハイヒール・・・・。
 そそり立つペニスを起立させた王の墓の柩と並んで、3メートルの棺は今回の個展のテーマ全てを語ってくれる。

 先代とは取材でお会いした事があるが、十二代は作品もふくめて初めて。彼とは同じ年齢だが若々しい。「エロス」に傾ける情熱の差であろう。
 

 「三輪休雪展」 日本橋三越7階ギャラリーで9月6日(日)まで。入場料は一般600円。

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August 27, 2009

1336.ひとまく映画会

 ひとまく歌舞伎の仲間で、映画フアンが開く「名画鑑賞会」。前回は所用で欠席したので、半年振りに参加した。
 鑑賞会はDVDによる再生だが、大きなスクリーンに投影するのでミニ・シアター並の迫力はある。

 11回目となる鑑賞会、初めて邦画の登場である。渥美清の「男はつらいよシリーズ」の中でも傑作と言われる「寅次郎 あじさいの恋」、マドンナはいしだあゆみ。
 もう一本はグレイス・ケリー結婚直前の作品「上流社会」。
 圓尾ナビゲーターの解説をもとに、思い出の作品を紹介しよう

171694_detailimage1 「あじさいの恋」は、49本ある「男はつらいよシリーズ」の29作目、1982年の夏に公開された。舞台は、京都・丹後・鎌倉そして葛飾である。

 140万人を動員したという話題作で、その年のブルー・リボン賞で最優秀映画賞・主演男優賞・助演男優賞を受賞した。
 もちろん監督は山田洋次、主演男優賞は渥美清、助演賞は柄本明、歌手だったいしだあゆみが大女優になるきっかけの作品である。
 話題はもうひとつ、先代の片岡仁左衛門が著名陶芸家の役で出演、渥美と楽しい絡みを見せる。
 また、これまで振られ続けた寅さんが、美人に惚れ抜かれる数少ない作品でもある。

 今日は寅さん記念日。映画「男はつらいよ」シリーズは、フジテレビの同名連続ドラマのイットを受け、1969年8月27日にスタートした。第1作のマドンナは光本幸子、志村喬が共演している。

 脚本・監督の山田洋次は、4本ぐらい撮ったら終りにしようと考えていたらしい。また製作会社の松竹も、それほど乗り気ではなかったという。
 だから次作は「続・男はつらいよ」」さらに「新・男はつらいよ」だった。
 ところが、これが大ヒット。翌年・翌々年に「望郷編」「純情編」「奮闘編」と続き、夏と正月の年2本興行となった。

 フーテンの寅さんが、なぜこんなに評判となったのか。多くの人たちが映画を見ているので、理屈は書かない。
 ただ、一人の役者が同じ役でシリーズを組むという、洋画にはない日本映画の伝統的な製作体制にうまく乗ったこと、さらにはメインキャストをほとんど替えなかったこと、そして山田洋次という優れた監督に全てを任せたことがその要因だった、といえる。

 10月には、ひとまく映画会仲間で秋の江戸川堤を散策、柴又に寄って「だんご」ならぬ川魚料理でいっぱい、と言う企画も進んでいる。

10856_100x100_00510856_100x100_007 ひとまく映画会では、グレイス・ケリーの作品に人気が集まる。「上流社会」で3本目だ。
 そしてこの作品が、彼女の事実上最後の主演映画となった。

 もともとはフィリップ・バリーの戯曲で、ブロードウエイで上演されていた舞台劇である。
 1940年には、ジェームズ・スチュワート、ケイリー・グラント、キャサリン・ヘップパーン主演で映画化(「フィラデルフィア物語」)され、第13回アカデミー賞で主演男優賞(ジェームス・スチュワート)と脚色賞を受賞している。

 1956年公開された「上流社会」は、そのリメイク版というかミュージカル化した映画である。
 上流社会のバツイチ令嬢ヘップパーンの役を、グレイス・ケリー。別れた彼女に未練たっぷり、ケイリー・グラントの役をビング・クロスビー。上流社会のゴシップネタ探しにやってきて、令嬢に一目ぼれしてしまったジェームズ・ステュワートの代わりが、フランク・シナトラという組み合わせ。
 グレイス27歳、クロスビー53歳、シナトラ41歳、美女にハンサムな2人である。

10856_100x100_010 結婚式前夜、再婚相手を前にして前夫や記者に「イチャつく」、酔っ払い令嬢のグレイス・ケリーの演技が見もの。 
 結婚直前の撮影、映画とはいえクロスビーやシナトラとディープ・キスや抱擁を交わすケリーに、レーニエ大公はさぞ焼餅を抱いただろう。

 特別出演としてルイ・アームストロングが本人その役で出演。しわ枯れた声とジャズの演奏を聴かす。
 舞台が、ジャズ・フェスティバルで有名なロード・アイランド州の避暑地ニュー・ポート。仕事で滞在した事があるので、懐かしい光景に出会えた。

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August 26, 2009

1335.「水墨画の原点」展

141_640 銀座の東京セントラル美術館で、「全日本水墨画秀作展」が開かれている。「水墨画の原点」と称した掛軸の公募展である。
 郷里の大先輩・橋口加寿さんの作品が出展され、受賞したとの案内をいただいたので見に行く。
147_640146_640 いま水墨画はブームだそうだ。高齢者から子供達まで、筆をとる人は多い。

 もともと東洋独自の技法と様式をもった絵画で、墨絵とも呼ばれてきた。余白の芸術、白と墨の芸術だそうだ。
 墨の濃淡で立体感・色感を表現するモノトーンの世界である。
 
 中国・唐代におこり、鎌倉時代に禅僧によって日本に伝えられた。室町時代の雪舟、江戸時代の狩野派など歴史の教科書で習ったことを思い出す。

 20年前から始まった公募による秀作展は、今回が34回目。春は国立新美術館、夏には東京セントラル美術館で開催される。
 今年の春の展覧会には郷里の同級生も入選したが、今回は81歳になる先輩だけ。「芳香」と題した彼女の作品は、百合の花を描いたもの。後援している新聞社の社長賞も受賞した。
 写真撮影が禁止されているため、ここでは紹介出来ないが、モノトーンの世界にありながら美しい色彩が目に浮んでくる水墨画だった。

 「全日本水墨画秀作展」は、30日(日)まで。入場無料。
 なを、公募展に合わせて近くの九つの画廊で、「銀座水墨画フェスティバル」も開催されている。新進気鋭の水墨画家たちの、個展・グループ展である。

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August 25, 2009

1334.映像詩・里山

334139_02_01_03 昨日に続いて「ドキュメンタリー映画」の紹介。 
 映画館の大スクリーンで観ると、テレビでは経験できない映像感覚の世界にひたれる。
 NHKのスペシャル番組でこれまで5回放送された、ハイビジョンスペシャル「里山」の劇場版である。
 
334139_100x100_003334139_100x100_002334139_100x100_009 10年ほど前から琵琶湖畔の村で、定点観測として撮り続けられた「里山」は、イタリア賞テレビドキュメンタリー部門で最優秀賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されてきた作品である。
 BBCなど、流行の「驚異の世界」的なドキュメンタリーとは違い、身近な里山の自然や動物達、そして人間との共生の世界を描く事で感動を呼び起こす。

 共生の世界を見せてくれたのは、琵琶湖畔にアトリエを持つ写真家の今森光彦。樹齢500年の大木やリス、イノシシ、アカショウビン、カブトムシなどをスチールで撮り続けながら、ハイビジョン撮影の監修をも任じてきた。

 劇場版は、昨年7月に放送された「ハイビジョン特集・里山~いのち萌ゆる森~今森光彦と見つめる雑木林」に、新たなシーンを加えて再構成したもので、人が支配者として自然を守るのではなく、「共生」する事を映像で訴えている。

 春夏秋冬、植物や動物の営みとともに、人びとの暮らしも色彩豊かに丁寧に撮った、高品質のドキュメンタリーである。
 ミツバチの分封、スズメバチとの戦い、カブトムシの一騎打ち、イノシシとカブトムシの幼虫、ドングリとリスなど、楽しい映像も満載だ。
334139_100x100_008334139_100x100_006334139_100x100_005334139_100x100_001 
 映画の配給はギャガ・コミュニケーションだが、製作は昔の仕事仲間達。気になって東銀座の東劇に出かけたが、予想以上に入場者もあってひと安心している。
 お時間があったら、ぜひ劇場へ。東京では、新宿ピカデリーでも公開中。

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August 24, 2009

1333.花と兵隊

006_640 未帰還兵をテーマにしたドキュメンタリーは幾つかある。70年代に今村昌平監督が撮った「未帰還兵を追って」が最も印象に残っているが、今回それを超える作品に出逢った。
 それも、今村が設立した日本映画学校の卒業生の手で作られたのだ。

 松林要樹29歳。映画学校卒業後フリーのカメラマンとして、アフガニスタンやインドネシアのアチェでテレビ取材に従事してきた。
 一方それと併行して、バンコックを拠点にタイ・ミャンマー国境付近に住む日本軍の未帰還兵を追ってきた。この作品のプロデューサーを務める映画学校の師、安岡卓治に勧められたからである。

 戦後65年、未帰還兵たちも80代後半から90代となった。その彼等が、戦争も革命も知らない孫の様な松林のインタビューに答える。
 そこから戦争によって、故郷を見失ってしまった「心の闇」があぶり出される。

 「シンガポール華僑虐殺」「泰緬鉄道建設捕虜虐待」「インパール作戦の失敗と餓死」「未だに山野に晒されている兵士たちの屍」・・・・。
 恋をして家族を持ち、密やかにそして誠実に、戦後を異郷で暮らしてきた未帰還兵たちが、重い口を開いたのだ。

 彼等と結婚したビルマやミャンマーの女性達が、可憐で美しいのに目を見張る。彼女達が見せる若い頃のカップルの写真、兵士達もまた皆ハンサムだったのに驚く。
 ここにもうひとつの「未帰還」の姿を見た。

 6人の未帰還兵の取材を始めてから3年、すでに2人が亡くなっている。彼等の生活に寄り添って撮り続けた映像と証言。たった一人で撮影し、インタビューして録音した記録、荒削りだがそこに「今どきの若者」の素直さを見る。

 タイトルの「花」の意味が、見終えた後の静けさの中で気づく。

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August 22, 2009

1332.人生に乾杯!

Head 年金暮らしの81歳と70歳の老夫婦、滞納した家賃のカタに思い出のイヤリングを没収される。腰痛の旦那は考えた、「よし銀行強盗だ!」と。

 「ハンガリー老人版・ポニーとクライド」。しかしアメリカ版のそれと異なり、ピュアでカッコイイ。
 次々と銀行や宝石店を「紳士的」に襲う老夫婦、いつも警察の鼻を明かす。さすが年の功、その心温まる展開を見せながら、ハンガリーの抱える社会問題を提起する。

20090417010fl00010viewrsz150x 2年前のハンガリー映画週間で、観客賞と部門賞を受賞した作品。
 監督のガーボル・ロホニは、ドキュメンタリーやビデオクリップのディレクター出身。「人生に乾杯!」は、初監督作品である。

 ハンガリー映画はめったに見たことが無いので、出演者達も馴染みはない。ちょっと調べてみたら、いずれもハンガリーのトップスターたちだった。
 81歳のギャング!は、本人も81歳のエミル・ケレシエ。60年以上も、ハンガリー映画界を背負ってきた現役俳優だそうだ。
 彼を支える老妻役、日本でいえば森光子さん。大女優のテリ・フェルディが演ずる。
 追っかける女刑事は、ユーデイト・シェル。モンテカルロ映画祭で最優秀主演女優賞を受賞したこともある、今最も輝いている女優なのだ。

333197_01_03_03333197_01_04_03 追つ追われつの逃避行だから、ロード・ムービーでもある。
 ハンガリーの田舎町や森、田園風景も見せながら、老夫婦の幸せの道を見せてくれる。

 「人生に乾杯!」は、6月20日以来もう2ヶ月も上映されている。しかしまだ、大勢の観客が映画館に詰めかけている。「年金だけでは食えない」話は、決して他人事ではないのだ。

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August 21, 2009

1331.築城せよ!

333260_01_08_02 名古屋在住の知人から、「ぜひ見てほしい」とのメールが届いた。
 新聞の映画欄や広告にも出てはいない。ネット検索の結果、豊洲のシネコンで午前中1回だけの上映だった。

 前号「山形」同様、こちらは「愛知」のご当地物である。武将の亡霊が登場する奇想天外のコメディ、という共通点があるものの案外真面目な作りである。絶叫は無いので、落ち着いて見られる。

 400年昔の戦国時代、部下の裏切りで滅亡した殿様の亡霊が再び城を築こうと、愛知工業大学の女子学生に棟梁を頼むというお話。
 そして築かれたお城は、段ボール1万2000枚使った高さ25mの天守閣だった。

333260_01_03_03 愛知県、豊田市、名古屋市が全面的にバクアップした、「愛知工業大学創立50周年」記念映画である。

 エキストラや美術部門の製作応援等に、愛知工大の学生・教職員が総動員されている。製作費も前記ほか愛知県内の企業がメセナで拠出している。
 お城造りは清水建設が、段ボールの拠出はレンゴーが特別協力した。
 不況で「元気の出ない愛知」にカツを入れ、「ものつくり」「ひとつくり」「地域つくり」の愛知を再生させよう、というのが映画のコンセプトなのだ。

20090413003fl00003viewrsz150x 創立記念映画といっても、アマチュア作品ではない。
 出演者も、スタッフも肝心なところはプロが押えている。
 まず出演者。若い役場の下っ端役人と彼に乗り移った殿様を、上方歌舞伎のホープ片岡愛之助が演ずる。トロイ若者と精悍な武将を、見事演じ分けたのはさすがだ。
 構造建築を学ぶ女子学生を海老瀬はな(「犬と私の100の話」)、大工棟梁の父親で殿の軍師の霊が乗り移った侍を阿藤快、殿を裏切った家老の末裔で現町長が江守徹という組み合わせ。
 この江守も渋い悪役を演ずる。お城などぶっ壊して、城跡に工場誘致をと叫ぶ。

 監督は、長編作品初監督の古波津陽。戦国武将のロマンを現代に甦らせた短編「築城せよ!」を作って、海外コンクールで最優秀外国映画賞を受賞している。
 今回はその作品をベースに、スケールを大きくして作り上げた。

 舞台となったのは、瀬戸市に隣接する旧猿投町。現在は豊田市に属するが、愛知高原国定公園に含まれる自然豊かな村である。

 昨日今日と、ご当地映画を2本見た。入場料1000円に価するかは人それぞれだが、名古屋の知人の粋に感じて、カンパしたつもりだ。
 ただ豊洲のシネコン、100余りの席に観客はたった3人だった。

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August 20, 2009

1330.山形スクリーム

005_640 「ギャー!」「ガワー!」「フォオオー!」と、ほぼ全編が、女子高校生たちの絶叫(スクリーム)で埋め尽くされた映画。
 平家落ち武者の祟りを、ゾンビの登場するハリウッドホラー風に脚色した映画。
 しかし、少しも怖くないのがこの映画の持ち味。

332897_100x100_002 監督は竹中直人。俳優・ミュージシャン・エッセイスト・絵本作家など多彩な分野で活躍する異能の人物だが、これが6本目の監督作品である。
 18年前の初監督作品「無能の人」は、ベネチア国際映画祭で批評家連盟賞を受賞したが、今回の作品は監督はじめスタッフ・キャストが「ノー天気」状態で作り上げたようだ。
 キャラクターもぶっ飛んでいたし、衣裳デザインもポップでど派手、ギャグは絶叫の合い間に次々と飛び出す。

 舞台はタイトル通り山形。ロケもまた庄内を中心に、全編山形で行っている。「蝉しぐれ」など一連の藤沢作品、アカデミー賞を受賞した「おくりびと」と、山形でのロケ作品は多い。そう、庄内は日本のハリウッドになったのだ。
 
332897_100x100_009 なぜまた「山形」が舞台?
 「山形の神様が降りてきて、山形でホラーを撮れとおっしゃった」(竹中直人)。
 ロケ開始直前には、スタッフ100人全員が、出羽三山の神社にお参りしたそうだ。
 
332897_100x100_001332897_100x100_006 ハチャメチャな映画にしては、キャストは揃っている。竹中さんの映画ならと、はせ参じたようだ。

 絶叫高校生は、成海瑠子(「神童」'07)、波璃(「守護天使」'09)、紗綾(「征服サバイガー」'08)、桐谷美玲(「同級生」'08)。ゾンビになってしまった引率の先生はマイコ(「山のあなた徳市の恋」'08)。
 村の床屋さんにAKIRA(「花より男子ファイナル」'08)、そのオバアチャンが由紀さおり。
 落ち武者の大将が沢村一樹(「カフーを待ちわびて」'09)、そして石橋蓮司、斉木しげる、デビッド伊東、竹中直人。
 ほか温水洋一、赤井英和、生瀬勝久・・・・。

 「鉄腕アトム」の御茶ノ水博士、「死霊のはらわた」と同じシーン、「ブレードランナー」のセリフ、「フランケンシュタインの花嫁」の髪形、「牡丹灯篭」のシーンなどなど、竹中直人の「愛する」映画作品へのオマージュがこめられる。

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August 19, 2009

1329.鎌倉山・らい亭

090818_006_640090818_012_640090818_016_640 昔の職場仲間で久し振りの暑気払い、という事で鎌倉に集まった。
 お昼の懇談には少し時間もあったので、扇ヶ谷の海蔵寺を訪ねる。

 海蔵寺は臨済宗建長寺派の古刹。鎌倉時代の1253年、将軍宗尊親王の命で建立された。日蓮が鎌倉で説法した年、建長寺も建立された年である。
 鎌倉幕府滅亡の折この寺も烏有に帰したが、のち関東公方足利氏満の命で再建された。関東管領の一族扇谷・上杉家の菩提寺でもある。
 
090818_017090818_018 懇談の場は、鎌倉山にあるお蕎麦で有名な「らい亭」。看板の文字は木偏に雷と書いて同音符の「ライ」と読む、つまり「擂りこぎ」を意味するのだが、漢和辞典にもなく、パソコンでも変換できなかった。

 店は鎌倉駅からバスで20分、長谷の大仏を過ぎて山を登った林の中にあった。
 もともと、昭和の初めに開発された分譲別荘地だそうだが、ここに江戸時代の豪農の旧宅を移転して料理屋にした。
 鎌倉山の斜面を上手く生かして、桜や梅、芙蓉、萩など四季折々の花木を配す。原生の雑木林を残す事で、人工の庭園とはまた違った趣を見せる。

 入り口の山門は、鎌倉西御門にあった古刹・高松寺の山門。寺が移転した折、残された四脚門を運んできた。また由緒ある茶室や十六羅漢群などを山林の中に配して、静かな佇まいにした。

 090818_019 山門をくぐった時に、入門料500円を徴収されたのでちょっと驚いたが、これは食事代と相殺される。
 生ビールに「そば前肴」でしばし懇談、締めに「せいろ」をいただく。せいろ882円、そんなに高くは無い。「そば定食」だと、天麩羅・お刺身等が付いて2625円だそうだ。
 クーラーもない店だが、相模湾からの風が心地良かった。

 帰途、ご近所に住む友人宅に招待されたが、ここ10年鎌倉山別荘地の変貌は激しいとのこと。旧近衛別邸の跡地は庭木も全て切り倒され、10数区画に分けられ分譲地となっている。女優の田中絹代旧宅、憲法学者松本丈治宅も人出に渡って荒地となっていた。

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August 18, 2009

1328.団十郎

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 七夕の日、「入谷の朝顔市」で買った鉢に11輪の花が付いた。この5年、毎年夏には朝顔を楽しんでいるが、一朝に11の開花は新記録である。
 買ったときは40センチ3段の行燈作りだったが、ツルが伸びてきたので輪を継ぎ足して6段80センチにした。そして芽摘んで、脇芽を伸ばしてみた。多分、これが上手くいったのだろう。

090807_156_640001_640 品種は「団十郎」がメインである。
 正式には「黄蝉葉栗皮茶大輪」という名だそうだが、花の色が歌舞伎の市川団十郎家が好んだ「団十郎茶」に似ていることから、こう呼ばれている。
 江戸の頃から、この渋い茶は人気を集めたそうだ。「入谷の朝顔市」でも、売り子の掛け声は「団十郎」である。

 花の数は少ないが、あと2種類も同居している。種のカタログには、「蛍狩」「鳴海潟」と書かれているが定かではない。濃い紺無地で中央が白い花と、淡い藤色の二つである。

 7月下旬の10日ほどは花が咲かなかったが、これまでトータル68輪の記録である。何とか9月上旬までは咲かせたいと、今朝も肥料を撒いた。

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 朝顔についての「薀蓄」をひとつだけ。

 朝顔の英名はJapanese Morning Glory、欧米では日本からの「外来種」植物と位置づけられている。しかし日本にとっても「外来種」である。

 というのは、奈良時代に遣唐使が、朝顔の種を下剤・利尿剤の漢方薬として持ち帰ったのが始まりなのだ。
 中国名は「牽牛子(けんごし)」、牛を引いて種と交換した事が名の由来。それほど貴重な薬だった。

 日本では七夕の頃に花を付けるので、織姫の相手の名から「牽牛花」とも呼ばれた。またその朝顔、園芸品種の中では最も突然変異が多く、花型が多種多様に変化する。
 江戸時代には、御家人達が内職として「牽牛花」を育てて、高価で取引したらしい。「入谷の朝顔市」も、その名残といえる。

 漢方薬として渡来した朝顔の種だが、麻薬成分も含まれており、決して口にしてはいけないとの事。

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August 17, 2009

1327.コネクテッド

004_640 面白いサスペンス・アクション映画だった。あまり宣伝されないが、クチコミなのか観客席は結構埋まっていた。

 先日に続いて今回も香港映画である。
 市街で繰り広げられるカーチェイスは、アメリカやフランスのそれと違って泥臭いが、ユーモアたっぷり。迫力もハリウッドに負けない。
 夜景しか知らなかった香港の山岳地帯、昼間の崖っぷちのサバイバル・アクションもスリル満点である。
 最後は香港国際空港でのドンパチ。それなりに見どころは押えてある。

 5年前に公開されたデヴィッド・R・エリス監督のハリウッド映画、「セルラー」のリメイク版。あの時は、キム・ベイシンガーが誘拐されるシングルマザーの主役を演じた。

 香港版は、見知らぬ女(誘拐されたシングルマザー)からの電話を偶然携帯で受けてしまい、重大事件に巻き込まれてしまった冴えない中年男の方が主役となる。
 それに「携帯」が、各所で重要な小道具となる。700万の人口なのに、1000万台以上の携帯電話が普及している香港ならでは、である。
 
20090602003fl00003viewrsz150x 監督は、この手のアクション映画を得意とするベニー・チャン。「香港国際警察」('04)や「インビジブル・ターゲット」('06)を撮った監督だ。

 冴えない中年は、ポスター左のルイス・クー(「プロジェクトBB」'06)。シングルマザーにバービー・スー(「シルク」'06)
 誘拐犯を追う羽目になった降格された刑事、ニック・チョン。誘拐グループの冷酷なボスは、中国からリウ・イエ(「王妃の紋章」'06)が参加した。

 強力な個性を持つ作品やスターを輩出してきた香港映画界。アンドリュー・ラウの「インファナル・アフェア」は、ハリウッドで「デパーテッド」と題してリメイクされ、アカデミー賞作品賞に輝いた。
 今回は、その逆をいって、ハリウッドに負けない傑作を作ったのだ。

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August 16, 2009

1326.さそり

Postcard お盆休みのせいか、何処の封切館も家族連れが行列。そこで先月から「名画座」も開幕したという「銀座シネパトス」に足を運んだ。
 「人間の条件」「野火」「軍旗はためく下に」「白日夢」「さそり」・・・・とポスターが並ぶ。上映時間のタイミング合った「さそり」の切符を買って中へ。

 映画の冒頭、キャスト・スタッフ紹介が英語・中国語・・・???梶芽衣子の「さそり」ではない!!
 そうなんです。これは「女囚701 さそりシリーズ」のリメイク、旧作の名画ではなく新しく製作された香港映画だったのです。

4_5784 1972年から翌年にかけて、東映製作4本の女囚映画「さそりシリーズ」が公開、いずれも大ヒットした。
 無実の罪で収監されたヒロインが、女囚バトルに巻き込まれたりリンチで半殺しにされるなど酷い目に会う。また刑務所長に強姦されるなど、看守にも痛めつけられる。そして脱獄、警察に追われながらも復讐を遂げていく。
 愛憎・反権力・エロス、ヒロイン梶芽衣子の唄う「怨み節」が70年代の社会状況おあぶりだした。
 そして梶芽衣子の熱烈なフアンだったクエンティン・タランティーノ監督は、「キル・ビル」を撮って「怨み節」を流した。

 今回のリメイク・香港版は、女囚バトルやリンチ、所長のセクハラはあるものの、我々の記憶に残る「サソリ」とは異質だ。むしろ「キル・ビル」やカンフー映画のイメージが強い。
 「インファナル・アフェア」などのプロデューサーとしても知られる監督のジョー・マは、「復讐に燃えるヒロインの生き様」だけでなく、「『殺し』に快感を覚えるヒロイン」像を作り上げてしまった。ここに違和感がある。

20090716012fl00012viewrsz150x ヒロイン「女囚701」だけは、日本人俳優を持ってきた。「踊る大捜査線」など、映画・ドラマでアクション女優として活躍する水野美紀である。梶芽衣子ほど色気やクールな凄みはないが、ワイヤー・アクションによる体当たり演技はこなしている。

 恋人役は、187㎝の長身を活かした台湾モデル出身のディラン・クオ(「夜の上海」'07)。
 復讐相手が香港俳優のサム・リー(「ドッグ・バイト・ドッグ」'06)にエメ・ウオン(「傷だらけの男たち」'06)。それにブルース・リー、ジヤッキー・チェンと並んで「スリー・ドラゴンズ」と呼ばれた武術家俳優ブルース・リャンが格闘技を見せる。

 軽い役だが、バーのオーナー役に国際派俳優といわれる石橋凌(「MW」'09)も。もうひとり、女囚のボスでヒロインと闘って殺される役は、テレビ・リポーター出身の夏目ナナ。

 街並みは香港だったが、セリフが全て日本語だったので「アレッ」と思ったが、これは全て吹き替え。
 最後に流れる「怨み節」はもちろん日本語。中村中(アタル)の演歌は良かった。

 香港・日本合作映画で、フランス・イギリスなど海外7ヵ国でも近々公開される。

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August 15, 2009

終戦の日(番外)

 8月15日12時、この時私達は満州国新京(長春)郊外の満州軍・軍官学校の校庭ににいた。数十発の銃声を聞く。
 日本人軍顧問らが拘束された。私達も、満州人士官らの指揮下の中、新京市街に送り返された。
 64年前の記憶である。

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August 14, 2009

1325.納涼大歌舞伎

Kabukiza200908b いつもなら4階席で最後の一幕を観る「ひとまく会」。8月だけは第2部を楽しんだ後、ビアホールで暑気払いをする。
 演目の方は、「真景累ヶ淵」と「船弁慶」の2本建て。昨日は3階A席の指定席券(3500円)を買った。

 「8月の納涼歌舞伎」は、20年前中村勘三郎(当時は勘九郎)が、若手の三津五郎や福助、橋之助らに声を掛けて始めたもの。大物役者達は、昔からこの月が夏休みだった。
 現歌舞伎座最後の「納涼」とあって、演目には20年前に上演した「真景累ヶ淵」と「怪談乳房榎」(第3部)を持ってきている。


   「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」
         ~豊志賀の死

 三遊亭円朝の怪談噺代表作のひとつ「真景累ヶ淵」の一節を、二世竹柴金作が「豊志賀の死」として歌舞伎台本に仕立てた。

 円朝の口演は、江戸の初め下総国羽生村で実際に起こった事件、いわゆる「累(かさね)伝説」をもとに語ったもの。全部で15時間を超える超大作である。
 累(るい)という女が夫に殺されて、鬼怒川(累ヶ淵)に沈められたのがきっかけとなり、代々亡霊騒ぎが起こる。目黒・祐天寺の開基、祐天上人が累の霊を弔って鎮めた、というお話である。
 円朝は、それに多くの登場人物を絡ませて因果応報の物語として展開していった。

 「豊志賀の死」も、若い愛人新吉と若い娘の仲を嫉妬した豊志賀が、顔に腫れ物を作って幽霊となる怪談劇である。
 一昨年夏には、松竹が豊志賀を黒木瞳、新吉を尾上菊之助で映画化している。(ブログ684号「怪談」'07.7.14)
 
 今回の歌舞伎では、富本節の師匠・豊志賀を中村福助、弟子の新吉を中村勘太郎が演じ、たっぷりと怖がらせてもらった。

 なお昨年秋に、新橋演舞場で観た舞踊劇「色彩間苅豆~かさね」も、祐天上人の霊験譚「死霊解脱物語」いわゆる「累伝説」を元に、鶴屋南北が脚色している。(ブログ1037号、08.9.16)

 落語、歌舞伎、戯曲、舞踊と人気者!の「累」。目黒祐天寺には累一族の霊を弔う塚があり、この怪談話を演ずる歌舞伎役者や落語家達は、上演前に必ず詣でるという。そうでないと、累が幽霊となって出てくる?そうだ。


   「船 弁 慶(ふなべんけい)」

 河竹黙阿弥が作詞、三世杵屋正次郎が作曲した舞踏劇である。1885(明治18)年に東京・新富座で九代目市川団十郎が初演した。その事から「新歌舞伎十八番のうちのひとつ」に数えられる。

 能の「船弁慶」が原典で、頼朝に追われた義経と愛妾静御前の別れ、そこに平知盛の幽霊が現れるというストーリー。
 義経を中村福助、静御前と平知盛の二役を中村勘三郎が演ずる。女と男の愛憎を、勘三郎が見事に演じ分けた。
 他に、弁慶・中村橋之助、舟長・坂東三津五郎。

 この舞台、勘三郎が静御前で纏った衣裳は、祖父である六代目菊五郎が80年前「船弁慶」で踊った時のものだそうだ。骨董屋で偶然に見つけたという。「縁」である。

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August 13, 2009

1324.ココ・シャネル

003_640 現在でも世界トップブランドの「シャネル」。
 母を亡くし父に捨てられ、修道院で育てられたガブリエル・シャネル(愛称ココ)が、お針子からスタートして大ファション・ブランドを築き上げるまでの、伝記映画である。

333635view004333635_100x100_005 そのココを演ずるのがオスカー女優シャリー・マクレーン。美貌と芯の強さを武器に、ファッション界を勝ち抜いてきたシャネルが、まさにスクリーンに甦った。
 若き頃のココは、チェコ出身でイタリアで活躍するバルボラ・ボブローヴァ(「見つめる女」'04)が演ずる。ビジネス・パートナーでもあった最愛の恋人を失っても、自立を目指すけなげなシャネルを見せる。
 そして「シャネルブランド」を不動のものにした後のパートナーが、イギリス出身のベテラン俳優マルコム・マクダウエル(「時計仕掛けのオレンジ」'71)である。

333635_100x100_001 ココが生まれたのは1883年、そして1971年に住んでいたパリのホテル・リッツで生涯を閉じた。享年87歳である。

 修道院を出て酒場の歌手やお針子で暮したのが10年。1910年にはイギリス貴族の恋人の援助で、パリに「シャネル・モード」店をオープンシして自らデザインした帽子を売り出した。
 彼女が服飾に「スタイル」という概念をもたらして、シンプルな黒いドレスや労働者用の布地ジャージーを使った女性のドレスを売り出したのが1914年、第一次世界大戦直後である。
 以後、ツイード・スーツやツートン・カラーの靴、カメリアやチェーン・ベルト、チェーン・ネックレスへと、「スタイル」は拡がっていく。

 「夜寝る時は、いつもNo5」と、マリリン・モンローが愛用した香水の「シャネルNo5」は、1921年に誕生する。
 映画は、その「シャネル歴史的アイテム」の生まれた背景も描いていく。

 死ぬまで気概と自立心を失わなかった「ココ・シャネル語録」を。

 「流行は色退れるが、スタイルだけは不変」
 「20歳の顔は自然の贈物、50歳の顔はあなたの功績」
 「流行とは流行遅れになるもの」
 「私は流行を作っているのではない。スタイルをつくっているのだ」

 昨年は、ココ・シャネルの生誕125周年。ワーナー・ブラザーズでも「ココ・アヴァン・シャネル」という映画を製作している。こちらは、オドレイ・トトウの主演で来月公開される。

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August 12, 2009

1323.G.I.ジョー

Gijoe_12_1024_640 ポスター上が世界最悪のテロ組織「コブラ」の面々、下が世界最強の国際機密チーム「G.I.ジョー」の勇者たち。
 この両者の戦いが、2時間近く繰り広げられる。

Gijoe_10_1024_640 もともとはアメリカのコミック。1980年代にテレビアニメ「地上最強のエキスパートチーム・G.I.ジョー」として放送され、人気を集めた。
 今回はそれを元に、時代を近未来として「ハムナプトラ・シリーズ」のスティーブン・ソマーズ監督が撮った。
 製作陣が「トランスフォーマー」グループだけに、超メカの兵器や飛行体それにハチャメチャなカー・アクションが登場する。

 お話は、どんな金属でも腐食させてしまう「ナノマイト」という化学物質、それを兵器化した武器商人が、「コブラ」と手を組んで世界制覇を目指す、というもの。
 その危機に立ち向かったのが御馴染み「G.I.ジョー」。加速装置付きのハイパースーツや特殊メカ、ガジェットを駆使して闘う。

333700_100x100_001 映画の売りは、ナノマイトに侵されたパリのエッフェル塔が崩れるシーン。ゴジラに折られた東京タワーよりは、確かに迫力がある。
 それだけ、この手のCG技術が高度化したと云える。

333700_100x100_001_2 出演者には若手人気俳優たちが顔を並べる。
 「G.I」側はチャニング・テイタイム、レイチェル・ニコルズ、マーロン・ウエイアンズ、レイ・パーク。統率する司令官はベテランのデニス・クエイド(「バンテージ・ポイント」'08)。
 一方「コブラ」の方はシエナ・ミラー、ジョセフ・ゴードン・レヴィッド、それに韓流スター・イ・ビョンホン(「HERO」'07)。悪の武器商人はクリストファー・エクルストンの役。
 
 ワシントンから始まって、エジプト・パリ・東京・北極と舞台にも変化があるが、東京の部分だけはいただけない。アメリカ映画によく登場する「どうでもいいアジア」そのものだ。

 「荒唐無稽」もここまで徹底すると、なんとなく許してしまう。先週に日・米同時公開されたそうだ。

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August 11, 2009

1322.真夏の夢

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4_47984 文豪シェイクスピアが書いた祝祭劇「真夏の夜の夢」、シュテライ・ライ監督、アンドレア・ホルン主演の1913年作品をはじめ、1999年のマイケル・ホフマン監督、ケビン・クライン主演作品など、海外ではこれまでも4~5本映画化されている。
 そして今回の作品は、初めての邦画それも琉球が舞台となった。

333126_100x100_001 シェイクスピアの原作の基本は、「妖精」と「惚れ薬」に「恋の狂騒曲」。
 琉球を舞台に「ナビイの恋」('99)や「ホテル・ハイビスカス」('02)を製作してきた中江祐司監督は、この三つをきちんと踏まえて、現代の物語に翻訳した。

333126_100x100_002 琉球のとある離島。里帰りしたOL(柴本幸)と追ってきた不倫相手(和田聡宏)、彼女を助ける島の精霊キムジン(蔵下穂波)、個性豊かな島びとたちが繰り広げる「惚れ薬」を浴びての大騒動、こんなお伽噺である。
 もちろん現代風の味付けはある。「環境破壊」「少子化」、沖縄を利用する本土資本と「伝統の喪失」などなど。

333126view003 セリフは全て英語ならぬ「琉球語」である。あのNHKTV「ちゅらさん」のような、アクセントだけでなく語彙そのものが琉球語。だから「日本語!」の字幕がつく。

 ということで、これまでの中江監督作品にも登場してきた「沖縄スター」が、総出演している。
 キムジンの親分は、平良とみ・進夫妻。島人には吉田妙子、照屋政雄、玉城満、普久原明、津波信一、島袋寛之・・・・。
 それだけではない。ロケを行った伊是名島の島民もまた総出演しているのだ。

 そして琉球民謡の大御所、登川誠仁も唄三線で特別出演する。彼は、「ナビイの恋」「ホテル・ハイビスカス」と、中江監督の作品には必ず顔を出す。

333126_100x100_006 島の自然が美しい。ガジュマルの森に伊是名ビーチ、そして三角山は今にもキムジンが現れそうだ。
 この島、琉球王朝の尚円王が生まれた所だけに、遺跡や文化財も残っていた。

 映画の完成度は決して高くはない。めちゃくちゃな演技に、賛否両論もあろう。しかし、観客も真夏の夢を見て楽しく酷暑を乗り越えればいいのだ。

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August 09, 2009

1321.東京湾大華火祭

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 夏の夜空に光の華を咲かせる「東京湾大華火祭」。今年で22回目、70万人の見物客で賑わった。
 晴海埠頭沖で打ち上げられる1万2千発の花火、6年前に引っ越してきた時は遮るものなく見えたが、今は高層マンション越しに半分しか見えない。

 毎年「薀蓄」を書いてきたので、今回は写真中心のブログに。コンパクト・カメラ「PENTAX・Optio 6.0」でベランダ越しに撮った写真をダウンサイズにして掲載。

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August 08, 2009

1320.怪談・牡丹燈篭

139 松竹・東劇のシネマ歌舞伎は、先月から「怪談・牡丹燈篭」が上映されている。 入場料が一般の映画より高い2000円、それに高齢者割引もないのに評判がよく、連日満席に近い混雑振りだった。

 ようやく落ち着いた様なので出かけたが、3時間弱の長編。ナマの舞台と同じく一幕目とニ幕目の間に20分の休憩があるので助かる。
 それでもお昼にかかるので、近くの築地でブランチをとって入場する。

 ご存知三遊亭円朝原作の怪談である。古くは三世河竹新七が、円朝の口演をもとに狂言「怪異談牡丹燈篭」を書いて、1892(明治25)年歌舞伎座で初演された。
 今回の作品は、大西信行が脚本を書き戌井市郎演出で、一昨年歌舞伎座で公演したものをハイビジョン収録したもので、河竹の作品とは若干登場人物が違う。 
 
20090706007fl00007viewrsz150x しかし、主役がならず者の伴蔵(片岡仁左衛門)と女房お峰(坂東玉三郎)であることには変わりない。
 そして浪人新三郎(片岡愛之助)に恋焦がれて死んだ旗本の娘お露(中村七之助)と侍女お米(中村吉之丞)が、牡丹燈篭を手に幽霊となって登場するのも同じだ。
 もう一組のワルが、叔父を殺した源次郎と不倫相手のお国(上村吉弥)。
 トチ狂った夫に殺されたり、幽霊に執り付かれて死んだり、最後に残ったのは伴蔵ひとり。
 「三組の男女の業が、幽霊よりも怖い」というのが、円朝の語りである。

334376_01_02_03 三つの場で円朝に扮した坂東三津五郎が登場する。
 落語の語りを通して、話の展開や人物を紹介する。長い長い噺を、プロの落語家並に語って見せる三津五郎、こちらもやはりプロである。

 歌舞伎座と違って、ゆったりとした座席でオペラグラスなしで楽しめるシネマ歌舞伎。ちょっぴり儲かった様な気分だった。
 歌舞伎座の方も今月は納涼大歌舞伎として、円朝原作の「真景累ヶ淵」と「怪談乳房榎」がかかっている。

 また明日は、円朝師匠の命日。谷中・全生庵では法要や奉納落語など、恒例の「円朝まつり」が行われる。

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August 07, 2009

1319.泉屋博品館分館

138 六本木にある「泉屋博古館分館」。住友コレクションで有名な、京都の美術館の東京分館である。住友家の屋号が「泉」なので、「せんおく」と名付けられた。

 ここで先月から、大阪の高島屋史料館にある「所蔵名品展」が開かれているので出かけた。
137_640 展示されているのは「洋画」と「日本画」、高島屋美術部が買い揃えたものである。
 洋画では、1920(大正9)年の第2回帝国美術院美術展覧会に出品された岡田三郎助の「支那絹の前」(ポスター写真左)をはじめ、小出猶重が1930(昭和5)年の第17回二科展に出品した「六月の郊外風景」、第3回独立美術協会展(1933年)出品の川口軌外「花束」が並ぶ。
 また、たびたび美術展で鑑賞したことのある梅原龍三郎の「桜島」「薔薇図」(2点)、藤島武二の「風景」等が展示されていた。
 
 日本画の方は数が多いので、前期と後期で作品が変わる。私が見たのは前期なので、著名な作家の名前だけを紹介しておこう。
 竹内栖凰、上田萬秋、都路華香、山元春挙、鏑木清方、前田青頓、川端龍子、小野竹喬、山本丘人、東山魁夷、吉田好彦、森田曠平。
 後期には、富岡鉄斎や横山大観そして平山郁夫らの日本画が展示される予定。
 
Exhibit0101aExhibit0106a 住友コレクションは、中国の古代青銅器所蔵で世界的にも
有名である。
 住友家15代の当主、吉左衛門友純(雅号・春翠)が30年に亘って蒐集した。
 これ等の所蔵品は、京都・鹿ケ谷にある泉屋博古館で展示されている。

 中国古代王朝の殷(商)の時代(BC16~11)から、西周、春秋戦国、漢・唐まで。なかでも高度な青銅器文化を築いた殷の器(上記の写真)は素晴らしい。
 以前、青銅器文化の取材で館長の樋口京大名誉教授と一緒に北京や上海を旅した事がある。その縁で、鹿ケ谷には何回も足を運んだ。
 京都を訪ねる機会のある方は、ぜひ「泉屋博古館」をお奨めする。

 六本木分館の「高島屋所蔵名品展」は、前期が今月の23日まで。後期は26日から9月27日まで。

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August 06, 2009

1318.そんな彼なら捨てちゃえば?

Wallpaper_5_1024 5人の美女と4人イケメンが交錯する、6つの恋の物語。男のホンネ、女の勘違い、恋愛、結婚、同棲、別居、離婚、浮気、失恋そして婚活なんでもあります。

 ただし映画の前半は、俳優達が同じタイプなので、誰と誰がどうくっついているのか混乱してしまう。テレビ・ドラマ6回シリーズを、2時間で一度に見てしまった感じ。

 原作は、テレビシリーズでヒットした「セックス・アンド・ザ・シティ」の脚本家グループ、グレッド・ベーレントとリズ・タシーロが共同で執筆した「He's just not that into you」。
 ドラマのため取材した様々な「恋の物語」を、一冊の本にまとめて大ベストセラーに。アメリカでは、「恋愛講座」の教科書として社会現象化した。
 邦題は翻訳本も同じだが、原題を女性の側から受け止めた反語?

Wallpaper_0_1024Wallpaper_1_1024Wallpaper_3_1024 主役9人は、インディペンデント系、コメディ系で活躍し今やメジャーとなった以下の俳優たち。

 7年の長期同棲カップルは、「グッド・ウイル・ハンティング」('97)で一躍スターとなったベン・アレックとブラッド・ビットの元夫人ジェニファー・アニストン(「マーリー」'08)。

 やや倦怠期に入った夫婦が、オスカー女優(「ビューティフル・マインド」'01)のジェニファー・コネリーとブラッドリー・クーパー(「恋するレシピ」'06)。
 
Wallpaper_4_1024Wallpaper_2_1024 そのクーパーの浮気相手が、今大活躍のスカーレット・ヨハンソン(「それでも恋するバルセロナ」'08)。
 ヨハンソンには、またセックスフレンドのケビン・コノリー(「きみに読む物語」'04)がいる。

 結局ヨハンソンにフラれたコノリーは、ドリュー・バリモア(「ラブソングができるまで」'07)と結ばれる。彼女は、映画一家で有名なバリモア一族の令嬢。今回は製作総指揮も執った。

 コノリーとお見合い?したジェニファー・グッドウイン(「ウオーク・ザ・ライン」'05)が、この恋愛講座の案内役。恋を夢見る彼女、婚活が成功してやっとジャスティン・ロング(「ダイ・ハード」'07)にたどり着く。
 
 男のホンネを読み誤っては、失敗を繰り返す女性たちの苦労と不満を癒す、ロマンチック・コメディ作品。婚活中の女性は必見の映画。
 監督したのはテレビ・コメディーシリーズのベテラン、ケン・クワビスである。

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August 05, 2009

1317.ハリー・ポッターと謎のプリンス

Action1 イギリスの作家J・Kローリングが、この1作だけで大財産を築いたという「ハリー・ポッター・シリーズ」。
 原作の方は読んでいないが、映画は全て見ている。
 2001年の「賢者の石」に始まって、'02「秘密の部屋」、'04「アズガバンの囚人」、'05「炎のゴブレット」、'07「不死鳥の騎士団」、そして今回の「謎のプリンス」と続く。

Action2 魔術師の両親を邪悪な闇の帝王に殺された主人公(ハリー・ポッター)が、魔法魔術学校に入って様々な経験を重ねて成長していく、というストーリー。
 火を噴く棒や空中サッカーなど、始めは面白がったが6作目ともなれば、目新しいものがない。 
 
Action4 そこで今回は、「泣ける!師弟ドラマ」「ハマる!ライバルの謎」「トキめく!ラブロマンス」の3本立てとした。

 シリーズのウリは、監督は交代しても役者が変わらないことだ。だから、役者たちの実年齢に応じたストーリーが必要になる。

Action3 ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフは1989年生まれ。先月20歳になった。1作目は11歳の可愛い子供だったが、今回は分別もある青年でなければならない。
 友人3人組のルバート・グリントは21歳だし、少女だったエマ・ワトソンも19歳になる。胸も膨らむし恋もしないとお話にならない。ということで、トキめくラブロマンスも誕生するのだ。

 それに比べて、大人たちは不思議と年齢をとらない。
 魔術学校の校長マイケル・ガンボンは69歳だが、60歳だった第1作目とほとんど変わらない。副校長のマギー・スミスだって75歳だが、60代で通用する。
 ヒゲ面の門番ロビー・コルトレーン59歳は、最初から老け役だったので今回実年齢に追いついたようなものだ。

 常連の役者に加えて毎回ゲスト出演があるが、今回はオスカー俳優ジム・ブローベントが校長の親友役で登場する。ストーリー上ではキーマンと言える役、次の7作目にも登場するか。
 また第1作目からの敵役、「闇の帝王」(役はレイフ・ファインズ)の少年時代を、甥のヒーロー・ファインズが演じているのも話題だ。

 映画の内容からは離れるが、ラストに紹介されるスタッフやキャストのクレジットを見て気が付いた。
 前作に続く監督はデイビット・イエーツ。そして製作がデイビット・ヘイマンにデイビット・バロン、そして出演者にもデイビット・シュリースがいる。
 この英語圏の男性名に多い「デイビット」は、旧約聖書にも登場する古代イスラエルの王「ダビテ」の英語読みである。
 日本の「太郎」みたいなものだが、スコットランドの王様やハワイの王様から音楽家、スオーツ選手、政治家など石を投げれば必ず当たるほど、多い。
 そういえば、ロック歌手デイビット・ボーイもそうだし、サッカーのベッカムも名前はデイビットだ。
 「六芒星」ダビテの星は、ユダヤの民のシンボルだった。 

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August 03, 2009

1316.佃・千貫神輿(続)

090802_106_640090802_109_640090802_111_640 「千貫神輿」月島巡行、復路の夕方には雨も上がり、恒例の「水掛け祭り」となる。
 午前中、担いだ神輿は確かに重かった。左の「老骨」はミミズ腫れ、そこで復路は水掛け係とカメラマンを引き受ける。
090802_126_640090802_121_640090802_114_640 
 びしょ濡れになりながら撮った写真を数葉。

 老若男女、「月島壱之部」の元気を「千貫神輿」に託し、午後5時佃島の住吉講へお返しする。
 肩はまだ痛いが、清清しい一日だった。

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August 02, 2009

1315.佃・千貫神輿

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090802_026_640090802_029_640090802_018_640 佃・住吉講の「宮元大神輿」が、50年ぶりに佃の地を出て月島へと渡御した。

 その大きさから「おばけ神輿」とも「千貫神輿」とも呼ばれたこの神輿は、もともと千葉の寒川神社のもの。
 台寸と胴寸を間違えて造られたため手に負えず、日本橋人形町の末廣神社の宮神輿となった。ところがここでも持て余してしまい、50年前に佃の住吉講に譲られた。
 この年は、今の天皇・皇后がご結婚した年。それを祝って佃~月島~勝鬨へと「千貫神輿」は巡行した。
 そして今年は、ご結婚50年・即位20年。そこで再び「記念巡行」となったわけだ。

090802_041_640090802_011_640090802_040_640 佃島と月島を繋ぐ「初見橋」。今は運河も埋め立てられ、陸続きとなった。
 ここで神輿を待ち受けるのは、「月島壱之部」の「青睦」と「町会」。いよいよ月島巡行の始まりである。

090802_071_640090802_017_640_2090802_050_640 幸いというか残念というか、今年の祭りは雨時雨。
 例年だと、水を掛けて担ぎ手の熱を冷ますのが慣行。それがまた、住吉神社の夏祭りのウリだった。
 汗をかくこともなく西仲通りを30分担ぎ、「月島弐之部」に引き渡した。

 「千貫神輿」はこのあと、「参之部」「四之部」と引き継いでいく。
 そして夕方、もう一度「復路」を担いで、佃・住吉講に引き継ぐ。

 因みにこの住吉講、1694(元禄7)年に佃・住吉神社の「氏子中」として設立された由緒ある組織なのだ。

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August 01, 2009

1314.佃・佃煮

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090801
240pxtsukada_island_in_the_musashi_ 佃島が誕生して今年は365年。遠く摂津の国からやってきた漁師達が、隅田川河口の中洲を埋め立てて築いた。
 本能寺の変で、三河に脱出しようとした徳川家康を漁船で運んだ佃村(現・大阪市西淀川区佃町)の漁師達。その恩に報いようと、家康は江戸開府のおりに佃の漁民33人を招き、この地を与えた。

 江戸時代には名所として、広重(「名所江戸百景」)や北斎(「冨嶽三十六景」)が描いたこの島も、隣の石川島や月島と繋がって昔の面影はない。

090801_037090801_036 ただひとつ、佃の歴史を今に伝えるのが「佃煮」である。佃島で煮て作ったからそう呼ばれる。
 
 家康が呼んだ漁師達には、江戸前の漁業権が与えられた。彼らは、白魚などを獲って江戸城内の台所を賄い、残った小魚類を塩辛く煮込んで保存食とした。
 やがて銚子から醤油が渡り、現在の佃煮になる。江戸市中の庶民達は、こぞってこれを買い求めた。

090801_017_640090801_011_640090801_028_640 江戸時代、どこの家でも作っていた佃煮も現在は三軒だけで売られる。1837(天保8)年創業の「天安」、1859(安政6)年創業の「丸久」、そして「佃源田中屋」である。
 昆布、海老、あみ、わかさぎ、アサリ、シラス、はぜ、かつおの角煮、でんぶ、葉唐辛子など「お品書き」は同じだが、それぞれの店によって味の方は微妙に違う。界隈の人たちは、好みによって店を選ぶのだ。

090801_024_640090801_021_640090801_023_640 私の店は住吉神社に近い「丸久」、もう30数年のお付き合いである。
 先代の「おかみさん」を、テレビ番組に登場させたのがきっかけだった。以来盆暮れの贈物はもちろん、旅行先へのお土産は「丸久の佃煮」と決めている。
 この7月、店を改装してモダンな江戸風の構えになった。

090801_008_640090801_035_640090801_003_640 丸久での買い物の帰途、佃島の船溜まりを通る。ちょうど「住吉講」の「千貫神輿」の飾りつけが、行われていた。
 明日の日曜日、50年ぶりに「宮元神輿」が月島を巡行する。天皇即位20年、ご結婚50年を記念しての渡御である。
 もちろん私も担ぐつもりだ。

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