1395.さまよう刃
愛娘を、未成年の少年達に犯され殺された父親の復讐劇。
「最愛の人を奪われた時、あなたはどうしますか」
復讐では何も解決しないむなしい行為だと判っていながら、犯人を追う父親を通して、「法と正義」「命の意味」という重いテーマを描く。
東野圭吾の衝撃の問題作。'04年発表、これまで150万部のベストセラーとなった。「容疑者Xの貢献」('08)に次ぐ映画化である。
この作品は、「光市母子殺害事件」での元少年死刑判決と並んで、昨年の少年法改正にも大きな影響を与えた。
丁寧に描いている。徹底的に削ぎ落とした父親のセリフ、押えに押えた演出が光る。監督はプロデューサー・脚本家としても知られる松竹出身の益子昌一。「むずかしい恋」以来の2作目である。
撮影に中国の「レッドクリフ」のカメラマン、王敏を迎えたのも成功しているし、音楽はベテランの川井憲次が、自らキーボードを担当している。
しかしこの作品を、重厚なものにしたのは父親役の寺尾聡の演技である。たぶん彼以外に、この役に耐えられる役者はいまい。「半落ち」('06)の演技を思い出す。
「警察は市民を守るんじゃなく、法律を守るのか」と、悲痛な叫びを上げる若い刑事に竹野豊、コンビを組むベテラン刑事に伊東四朗。
菅平の民宿の経営者親子、山谷初男と酒井美紀の存在感が大きい。
作者自身「なぜこの小説を書こうと思ったかについては、ここで語らないことにする。じつは、自分でもよくわからないからだ。」と述べる。
寺尾が電話で吐露する最後の言葉に、作者すら答えられない「少年法」問題の難しさがにじみ出る。


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