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December 31, 2009

1442.2009・忘備録

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 31日午前7時、朝焼け。
 今年一年の反省と新しい年への希望を込めて、データを纏める。

 健康維持のため始めたスイミングは、およそ30年になる。今年泳いだ距離は285キロ(昨年比+21)、朝7時から40分、1キロ泳いで数百メートルの水中ウオーキング。
 ウオーキングといえば、今年から「ひとまく鎌倉ウオーキング」を始めた。寺社めぐりが中心だが、時には山坂の古道も。計7回、1回でおよそ10キロ。

 一方、年相応に体調の不具合も。腹囲と高血圧でメタボ予備軍。中性脂肪やコルステロールはOKなのだが。頚骨の影響で手が痺れるので、整骨院通い。歯を割ってしまってブリッジに。という事で通院回数は増えて32回(+15)。

091228_049_640091228_050_640091228_051_640  気分転換の旅や、故郷での同窓会出席で旅行回数は5回15日(ー6)。
 瀬戸内(神戸・淡路・鳴門・小豆島・岡山・姫路)、三陸海岸(久慈~松島)、山形(米沢・蔵王・天童)、鹿児島(南さつま・栗野・霧島)、大阪。

004_640005_640   趣味の映画鑑賞は162本(+6)、日本で公開された作品の3分の1。他にテレビや名画鑑賞会、映画祭での鑑賞が若干。
 同じく芸能関係では、歌舞伎公演12回、寄席3回。今年は音楽会が一度も無かった。

 読書66冊(-6)。古代ヨーロッパのケルト文化や中世スペイン関係の分厚い本を図書館から借りて読んだが、その反動で小説は減。

 結局夜の在宅率74%(+2)と「内食」は増えた。だから魚がしにも89回通う。
 そしてブログは315本、半数が上記と関連して映画紹介となってしまった。

 それでは、良いお年を。

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December 30, 2009

1441.師走・築地

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091228_026_640091228_015_640091228_013_640    築地卸売市場は今日まで。今年最後の買出しに出かけた。
 例年より客は少ない。水産物の値段も安い。

 本マグロの場合、青森・大間の生マグロ中トロで㌔20,000~6,300円、鹿児島の養殖モノで7,000~5,500円と、昨年の価格を下回っているそうだ。
 ただデパートに並ぶと、大間のマグロは100g6,000~4,580円と跳ね上がる(新聞折込チラシ)。
 あとはモロッコやスペインなど、地中海マグロの解凍品が1,980~1,280円。スパーでは1,000円を切る。

091228_017_640091228_018_640091228_042_640  数の子の値段もチェックしてみた。
 築地の場内ではカナダ産㌔10,000~3,800円、折れ子で2,800円。
 これがデパートでは100g680~500円の値がつく。
 スーパーの折込チラシで比較してみたが、最も安いもので390円だった。

091228_033_640091228_040_640_2  本日、築地市場内・場外でのおせち用の買い物は、本マグロの冷凍品2,000円と、数の子(折れ子)500g1350円、赤貝10個1,000円、鯛1尾1,000円。
 他に玉子焼き(680円)、かまぼこ(1,050円)、丹波の黒豆300g(1000円)。そしてカミさんのたっての希望で大奮発、大定の伊達巻1,950円、築地で最も高い品だった。
 年金暮らしの身、だいたいこんなものだろう。 

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December 29, 2009

1440.牛の鈴音

009_640 老いた農夫と老いた牛が、韓国映画界に「奇跡」をおこした。

 今年の1月小劇場7館で公開したドキュメンタリー映画に、クチコミで観客が殺到。たちまち308館に拡大して、2月には他の劇映画を押えて2週連続興行成績トップとなった。
 観客総計300万人、大統領夫妻も観たこの作品のヒットは、「牛の鈴症候群」と呼ばれている。

 ないない尽くしのドキュメンタリーである。
 まずナレーションがない。聞こえるのは季節の音と牛の鈴音、老妻の「ボヤキ」だけである。
200x133_2  大きな事件も起こらない。政治的なメッセージもない。描かれるのは、腰の曲がった老農夫婦と、1頭の老牛だけ。
 春から翌年の冬まで、農村の四季を織り交ぜながら、老農夫と牛との営みが淡々と綴られていく。

 物語を綴る老妻のボヤキが面白い。
 田起しから畑の開墾まで、農作業は牛の力で。だから老妻も酷使されると。
 牛の食べる青草が毒になるので、農薬は使わない。だから草取りでも酷使される。
 牛が太るだけだから、購入飼料は決して買わない。だから餌の準備に酷使される。
 「なんで、こんな爺の嫁になったのだろうか。酷使される牛と私が可哀相」

Wallpaper02_1024x768 監督はテレビ・ドキュメンタリーのベテラン、イ・チュンニョル。農夫の息子が両親を思い浮かべて、初めての映画を撮った。
 「親不孝者がこの映画を観て、故郷の親に電話をしたくなってくれれば」と、監督。

Wallpaper03_1024x768  名優!たちも紹介しておこう。

 無口で頑固な老農夫、チェ・ウオンギコン79歳。お婆ちゃんの不平不満は聞き流すが、30年一緒に働いてきた牛の事では絶対譲らない。

 60年前の16歳の時、100㌔離れた村から駕籠に揺られて嫁いできたのはイ・サムスン。9人の子供を育て上げたが彼女が、青春を返せとグチるが、これが結構愛情表現。
 爺さんが可愛がる老牛に、焼餅やいて「牛は幸せ、不幸なのは私」。

 そして老牛、山のような薪を乗せて、よろよろと荷車を引き鈴の音を響かす。骨と皮だけになったが、優しい優しい顔に観客は涙す。

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December 28, 2009

1439.剱岳~撮影の記

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 久し振りにラストで拍手が広がった。
 ディレクター大澤嘉工が、クランクイン前から木村大作監督に密着、200日を超える剱岳山岳ロケ全てに同行して撮ったドキュメンタリーである。
 収録時間はのべ2340時間、それを113分に凝縮した。

005_640 木村監督には悪いが、本編「剱岳~点の記」より感動が深い。それは木村以下のスタッフ、浅野忠信、香川照之らのキャスト、それに富山の山岳ガイドたちの「苦行」の姿がそのまま映し出されているからだ。

 パンフにも書かれている。
 「これは、映画撮影の記録ではない。人生そのものの激闘の証しである」と。

006_640  多弁を要しない。さらにパンフを紹介しよう。
 「体感温度氷点下40度、標高3000メートル。撮影日数200日超。『前人未踏』の映画作りを支えたのは、愛か狂気か。仕事に、人生に、真摯に取り組んだ魂のドキュメントである」

003_640 「9時間歩いて険しい山に登り、2カットだけの撮影ですよ。そして9時間歩いて小屋に戻ってきたんだ」
 香川照之のボヤキが、活動屋たちの生き様を象徴する。

 「剱岳の頂上に立ったら、木村監督を胴上げして山から投げ飛ばそうよ」と、浅野忠信もボヤク。

 本編「点の記」については、ブログ1290号('09.07.04)で紹介したので省く。
 しかしこのドキュメンタリーが単なる映画のメイキングではなく、質の高い作品となった事を喜ぶ。
 その昔、ドキュメンタリー制作に関わった者の一人として、大澤ディレクターに拍手を贈りたい。

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December 26, 2009

1438.スノープリンス

Sp_wallpaper_normal_6 333963view001_7  「フランダースの犬」と「小さな恋のメロディー」を下敷きに、「おくりびと」の小山薫堂が書いた子供達へのクリスマス・プレゼント。
 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の松岡錠司が、メガホンを執った。

 時代は昭和初期、舞台は雪深い北国の寒村。炭焼きで生計をたてている老爺(中村嘉葎雄)の孫と、町の大金持ち(香川照之)の一人娘との淡い恋物語。秋田犬のチビがもう一人(匹)の主役でもある。

 主役の貧しい子供を演じたのはジャニーズJrの森本慎太郎、映画初出演である。
 金持ちのお嬢さんは、テレビ「ちりとてちん」で貫地谷しほりの子供時代を演じた桑島真理乃。
 他に香川の妻役・檀れい、森本の実の父親役・浅野忠信、お嬢さんの現在が岸惠子とベテランが顔を並べた。

 「現代に欠けている無垢な夢や気持ちを、子供達に伝えたい」と、小山薫堂は美しく、美しく2人の純愛を書き上げたが、子供達の反応はどうだっただろうか。
 大人の映画フアンからは、「ピュアすぎて、かえって感動が薄くなった」との声も聞かれる。

 中村や浅野、そして香川など大人の役者たちは、それなりに昭和を表現しているが、肝心の森本慎太郎があまりにも美少年で、貧乏人の子のリアリティがない。
 ジャニーズ・フアンにとっては、その可愛さがたまらないのだろうが。

 時代劇によく使われていた山形・庄内映画村のオープンセット、こちらは昭和初期の寒村を上手く見せていた。 

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December 25, 2009

1437.ミッドタウン・クリスマス

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091223_025_640091223_015_640 「誰もがサンタクロースになれるクリスマスの夜」
 六本木・ミッドタウンは、今日までイルミネーションの街となる。

 2000㎡の芝生広場は、スターライトガーデン、銀河の庭となった。17万球のLEDが星屑となり、そこを流れ星が軌跡を描く。

091223_003_640_3091223_009_640  左はプリズムアベニュー。全長500mの光のプリズムが、白や青、緑と変幻自在。

 右はシャンゼリゼ・イルミネーション。雪が舞うような「スノーフォール」が、パリのシャンゼリゼを再現する。

091223_013_640091223_008_640091223_006_640   幻想の世界から現実に戻されたのは、あるテレビ局のイベント。
 「鳩山さん、来年は良い年になりますか?」

 ミッドタウン名物になっ「クリスマスイルミネーション」、毎年11月中旬からクリスマスの日まで開催される。

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December 24, 2009

1436.ジュリー&ジュリア

007_640 「料理好き」そして「食べることが大好き」な人にとっては、必見の映画。観客は女性がほとんどだったが、「料理好き」を自認する私にとっても美味しい映画だった。

 60年昔、外交官の夫とパリに引っ越してきたジュリア・チャイルド。名門「ル・コルドン・ブルー」で料理を学び、そのフランス料理を524のレシピにまとめてアメリカの一般家庭に紹介、食卓に一大革命をもたらした伝説の料理家である。

 そして現代(2002年)、彼女のレシピを1年にわたって毎日作り続け、それをブログで紹介した作家志望のアラサーOLジュリー・パウエル。

 実在の人物がそれぞれ書いた自伝を原作に、女流監督ノーラ・エフロン(「めぐり逢えたら」'93)がユーモラスでチャーミングに撮った作品である。

334915_100x100_001_2334915_100x100_006_2  出演者たちもチャーミングである。
 1m85を超る体、甲高い声、食べること大好き、好奇心旺盛でテレビでも人気者だったジュリア。演じたオスカー女優のメリル・ストリープは、「本物そっくり」とアメリカでは大評判だった。

 一方のジュリーは、エイミー・アダムス。「ダウト~あるカトリック学校で~」('08)でストリプと共演した女優である。

334915_100x100_004334915_100x100_012  それぞれのハズバンドたちも優しい。
 当時の「赤狩り旋風」で任地を転々とさせられるながらも、ジュリアを支えた夫は、これまたストリープと「プラダを着た悪魔]('06)で共演したスタンリー・トウッチが軽妙に演ずる。
 ジュリーの方は、クリス・メッシーナ(「それでも恋するバルセロナ」'08)。

 監督・脚本のエフロンは、この手の作品を得意とする。新聞記者・脚本家そして'92年に監督デビューした。3年前の「奥様は魔女」も面白かった。

 ジュリアが通った「ル・コルドン・ブルー」、今や世界17ヵ国に30以上の教室を持つ。
 日本の代官山校では映画の上映を記念して、来月11日(祝)にはフェスティバルを開く。映画に登場した料理を、シェフがミニ・デモストレーションする他、菓子講座の卒業生らが卒業制作作品を再現する。

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December 23, 2009

1435.国立歌舞伎

_640 今年最後の歌舞伎鑑賞は、国立劇場。近代の歌舞伎が生んだ歴史劇や舞踏劇の名品ー「新歌舞伎」の傑作3作品である。

 「頼朝の死」

 謎に包まれた源頼朝の死に迫る、若き将軍頼家の孤独な姿を描く台詞劇。真山青果が書き上げ、1932(昭和7)年に歌舞伎座で初演された作品。
 中村吉右衛門が24年ぶりに頼家を演じ、若い頃から真山劇に多く出演してきた中村富十郎が母親の尼御前政子という役である。

 まず第一場・法華堂の門前の場で「頼朝の死」の真実が明かされる。
 女装して侍女・小周防(中村芝雀)の部屋に忍び込んだ頼朝を、警護の畠山六郎重保(中村歌昇)が誤って殺したという事実。源家を守るため政子と大江広元(中村家六)が、事故死としてそれを隠す。

 第二場・将軍家御館の場は、主君殺しを悩んで出家を申し出る畠山と、疑念をもって死の秘密に迫る頼家との激しいやりとり。その秘密を守り通そうとする政子が言い放つ言葉は「家は末代、人は一世」。
 源家を守るために弟の義経を奥州で、範頼を伊豆で殺した頼朝、その父義朝もまた自ら父・為義を殺したという源氏の血の歴史を思い出させる。

   「一休禅師」

 一休禅師(中村富十郎)と遊女・地獄太夫(中村魁春)が、この世の夢と真実をめぐって舞う坪内逍遥作の舞踏劇。
 富十郎の娘、渡辺愛子の禿が可愛い。まるで孫と一緒に舞う表情の富十郎。

   「修禅寺物語」

 岡本綺堂が書き、1911(明治44)年に明治座で初演された演目。歌舞伎の類型を脱皮した新鮮な作品として高く評価された。

 能面の作師夜叉王(中村吉右衛門)の芸術家魂と、伊豆に流された頼家(中村錦之助)と夜叉王の娘かつら(中村芝雀)の恋物語が描かれる、新歌舞伎の代表作のひとつ。
 若い頃の富十郎は、夜叉王と頼家を当り役としており、今回は監修役。
 吉右衛門が、気迫を込めて夜叉王に挑んだ。

 話は歌舞伎から離れるが、ブログ1352号('09.9.17)で紹介した「比企の乱」が、「頼朝の死」と「修禅寺物語」の二つの作品を歴史で結ぶ。

 頼朝の死が北条家の策略とみた頼家は、側室若狭局の父・比企能員と組んで北条追討の旗を揚げるが完敗、比企一族は皆殺しにされる。
 頼家だけは伊豆・修禅寺(現在の修善寺)に幽閉されるが、1年後に北条の手で殺される。

001_640_2002_640_2  左の写真は比企家の屋敷跡に建てられた鎌倉・長興山妙本寺にある一族の墓と、頼家の子供を祀る塚である。

 鎌倉幕府は三代将軍を弟の実朝が継ぐが、彼も親の敵と思った頼家の子・公暁によって殺される。
 源家は、政子の言う「末代」ではなく、三代で滅びてしまったのだ。

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December 22, 2009

1434.江戸バス

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091216_001_640_2091216_002_640_2091216_004_640_2  マンションの前に停留所が出来た。今月1日から運行が始まった「江戸バス」、中央区コミュニティバスである。

 運行は朝7時から20分間隔、最終はマンション前が19時1分となる。
 料金は大人も子供も100円均一、パスネットも使えるので便利だ。

091216_019_640091216_021_640  路線は中央区役所を基点に、八重洲通り~東京駅~日本橋~小伝馬町~浜町~箱崎~新川と廻る「北循環」、築地~佃~月島~晴海~豊海~勝どき~聖路加を廻る「南循環」の二つがある。

091216_011_640091216_009_640091216_013_640  今日はその「南循環」に、マンションの前から乗車してぐるりと廻ってみた。

 座席数10人、立ち席を含め定員20名ほどの小型バス、およそ1時間の試乗は快適だった。

091216_008_640_2091216_024_640_2  ただ逆コースはないので、出かける場所によっては利用しづらい。
 しかし、1日乗り放題300円を利用して、ショート・トリップする観光客には便利だ。
 あまり知られていない穴場や名所に、出会うことが出来る。

 まだスタートしてひと月たらず、中央区民以外には知られていないので、車内はゆっくりしている。築地や日本橋にお出かけの時、試乗してみてははいかが。

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December 21, 2009

1433.マルシェ・ド・ノエル’09

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091219_002091219_003091219_009  「マルシェ・ド・ノエル」とはクリスマス・マーケットのこと。
 ヨーロッパでは最大の市が開かれるストラスブールから、はじめて日本にやってきた。

091219_007091219_005091219_028  アルザス雑貨にジャムやハチミツ、クリスマスビールやオー・ド・ヴイなどのお酒、パンやチーズなどの屋台が、丸の内の東京国際フォーラムの広場に並んだ。

091219_032_640   ストラスブールは、フランス北東部のアルザス地方にある都市。中世から交通の要所として栄え、現在も欧州議会やユーロの主要機関が設置されている。

 街の中心にあるノートルダム大聖堂、その前に広がるアルザス伝統建築街はユネスコ世界遺産に登録されている。

 この街が最も賑わうのが、400年の歴史を持つマルシェ・ド・ノエル。モミの木のクリスマスツリー発祥の地でもあるここには、毎年200万以上の人たちが訪れるそうだ。

091219_640091219_015_640091219_026_640  東京国際フォーラムの会場には、フランス・アルザスからも職人が来日。帝国ホテルがプロデュースした料理が味わえるほか、ホットワインを片手にクリスマス音楽などのナマ演奏を楽しむことが出来る。

 ストラスブールのマルシェ・ド・ノエルは、今月25日(金)21時30分まで。JR有楽町駅、地下鉄有楽町線・有楽町駅。 

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December 19, 2009

1432.キャリア・ガイダンス

091218_009_640_10 091218_010_640_6 鹿児島の母校の後輩達のためにと、「キャリア・ガイダンス」の講師を依頼され、昨日早朝舞浜のホテルに出かけた。

 修学旅行で上京した高校2年生、最終日の朝の研修時間である。

 出席したのは、石油精製会社の元トップ、医療機器会社の元トップ、現役の建築設計事務所の所長、そして私の4人。
 理系コースと文系コースの2クラス、およそ200名の生徒たちを相手に、大学の選択、職業の選択、長い人生の体験を中心に語った。

 これまで母校の修学旅行は、関西が中心だった。そして今回はじめて関東が目的地になった。
 同行した校長の話によれば、人生に一度は「首都」を体験させたいという希望が強くなったからだそうだ。それに加えて、ほとんどの生徒にとっては、生まれて初めての経験であるスキーを志賀高原で実施した。

 母校は、現役の大学合格率が県内3位という進学校である。ところがほとんどの生徒が県内の大学を選び、遠くても九州圏内で、関東や関西を目指す人は僅かだという。
 この傾向は年々高まり、昔のように大志を抱いて中央で勝負する生徒は減ってきている。

 優秀な人たちが地元に残り、地域の発展に尽くす事は大切だが、少子化の影響で親が手元に子供を残したがる事がその背景にある点を、教育者たちは心配しているのだそうだ。
 能力のある生徒には、相応しい活動の場を与えてやりたい。そんな事情もあって、修学旅行の機会を利用してのキャリアガイダンスとなった。

091218_005_640_7  私達にとっては、高校生は孫の世代。はたして経験談が、彼等の将来の選択に役立ったかどうかは別である。

 生徒達はこの後、東大、早稲田、慶応のキャンパスを訪ねる。私達の後輩で、現役の大学教授たちがガイダンスしてくれるそうだ。

 3泊4日の修学旅行、彼等の今後のキャリアにどんな思い出を残すのだろうか。昨夜20時40分、全員無事に故郷に到着したとの報告を受けた。 

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December 18, 2009

1431.近代工芸の名品

_640  左のポスター、上が富本憲吉の「色絵金銀彩羊歯文八角飾箱」1959年の作品、中は藤田喬平「飾筥 菖蒲]('73)、下は生野祥雲斎「竹華器 怒涛」('56)。

 有楽町での映画の帰りに、銀座の和光ホールに寄ってみた。ここで今、東京国立近代美術館所蔵の「工芸名品展」が開催されている。

 近代美術館は、明治以降の国内外の優れた工芸品やデザイン作品を収集し、千代田区・北の丸公園にある旧近衛師団司令部跡の工芸館で展示している。

001_640_2  所蔵数は、陶磁、ガラス、漆工、金工、木工、竹工、染織、人形、グラフイックデザインなど、2840点。常設展では、それらをテーマごとに入れ替えながら見せている。

002_640  今回和光ホールでは、伝統工芸の秀作を中心に、徹底して芸術性を追及したオブジェや伝統や前衛の枠組みを超えた新しい世代の作品など、104点を並べた。

 左上の大場松魚の「金銀平文鶴文箱」('73)、右上の初代宮川香山の「鳩桜花図高浮彫花瓶」(明治初期)をはじめ、十三代今泉今右衛門や三輪休雪の陶磁器など、見応えのある作品が展示されている。

 和光ホールは、地下鉄銀座駅。来週水曜日(23日)まで、観覧料は無料。

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December 17, 2009

1430.パブリック エネミーズ

006_640 ブログ1407号('9.11.20)で紹介したジャック・メスリーヌが、フランスの「パブリック エネミーズ No1」だとすると、ジョン・デリンジャーはアメリカのNo1。
 ただ時代は、デリンジャーの方が30年古い「アメリカ大恐慌」の頃になる。

 実在したアウトローの生き様を極上のラブストーリーに描いたのは、名匠マイケル・マン。
 「コラテラル」('04)「マイアミ・バイス」('06)など、この手の作品では右に出 るものはいないと言われる、名監督である。

334507_100x100_005334507_100x100_002  今回は主役のデリンジャーに、ジョニー・ディップを持ってきた。'30年代の禁酒法時代、大恐慌時代の風俗の中で、彼のセクシーな魅力をたっぷりと楽しもうというのである。

 その相手役、彼が死ぬまで愛した女性ビリーは、「エディット・ピアフ/愛の賛歌」('07)でオスカー女優となったマリオン・コティヤール。フランス人の父とアメリカ先住民の母の間に生まれた美女の役である。
 そしてデリンジャーを追い詰めるFBI捜査官を、「ダークナイト」('08)のクリスチャン・ベイルという配役。

147pxjohn_dillinger_mug_shot  1934年に創設されたFBIのフーバー長官が、パブリック・エネミーズ(社会の敵)第1号に指定したのがアウトロー・デリンジャー。議会から予算を取ろうというのが目的だった。

 一方デリンジャーの方は、その紳士的な振る舞い、鮮やかな銀行強盗の手口、庶民からは決して奪わないという行動が評判で、大恐慌に苦しむ大衆にとっては、「ポニー&クライド」と並ぶカリスマ・ヒーローだった。

 インディアナポリス出身の彼は、21歳で食料雑貨店を襲い刑務所へ。8年の懲役で仮釈放されたのち、囚人仲間を脱獄させギャング・グループを結成、アメリカ中西部で12件の銀行強盗を働く。
 2回逮捕されるが脱獄、1934年7月22日シカゴ近郊の映画館を出たところで、待ち伏せしていた捜査官らに射殺された。享年31歳。

 彼が最後に観た映画は、クラーク・ゲーブル主演のギャング作品「男の世界」だったという。

 殺される直前彼は叫ぶ「GーMEN、撃つな!」と。Gとはgovernmentつまり政府のこと。以来FBI捜査官は、映画や小説の中で「G-men」と呼ばれるようになったという逸話を残す。

334507_100x100_006  これまで彼を主人公にした映画は「犯罪王デリンジャー」('45)主演ローレンス・ティアニー、「ギャング・デリンジャー」('65・ニック・アダムス)、「デリンジャー」('73・ウオーレン・オーツ)と、日本では3本公開されている。
 なかでも今回の作品は、事実を忠実に追いながらもエンターテインメント性の高いラブストーリーとなった。

 大恐慌時代を思い浮かべる世界不況の今、マイケル・ムーアはカメラで銀行を襲ったが、デリンジャーはマシンガンそのものだった。
 「汚れた金しか奪わない」という彼の信念そのままに。

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December 16, 2009

1429.脳内ニューヨーク

004_640 何が何やら判らないうちに終了。映画館を出て、渋谷の公園通りを歩いている時「脳内」が閃いた。「そうなんだ!人生なんて・・・」
 何か物凄い作品を観たようだ。清々した気持ちで帰途につく。

 「マルコヴィッチの穴」('99)でアカデミー賞脚本賞にノミネイト、「エターナル・サンシャイン」('04)でアカデミー賞脚本賞を受賞したチャーリー・カウフマンが、初めて監督した作品。もちろん脚本も製作も、異才カウフマンの一人三役である。

 原題は「SYNECDOCHE,NEW YORK」とよく判らない。Syne・・・とコンサイス英和辞典で引いてみるとこう訳されている。
 「提喩(法)、代喩《一部〔全体〕で全体〔一部〕を表す法》」

 ますます判らなくなったので、広辞苑で「提喩(法)」と引いた。
 「修辞法の一。全体と部分との関係に基づいて構成された比喩。全体の名称を提示して一つの名称にかえ・・・・・」

 よく判らないが、夢か現実か、お芝居か実生活か、演技のセックスか愛のセックスか、昔か今か、それらが錯綜し混沌して・・・脳の活性化につながる?そんな作品なのである。
 ともかく「脳内ニューヨーク」とは、上手い邦題をつけたものだ。

330932_100x100_006330932_100x100_007 出演者もまた凄い。主人公の劇作家を「カポーティ」('05)のオスカー俳優、フイリップ・シーモア・ホフマンが演じる。
 まさに彼の演技力が、この作品をエンタテインメント!にした。

 彼を取り巻く個性的な女たち。
 最初の妻はキャスリーン・キーナー、「カポーティー」でもアカデミー賞助演女優賞にノミネイトされたし、最近は「路上のソリスト」にも出演している。
 2番目の妻がミシュエル・ウイリアムズ(「アイム・ノット・ゼア」'07)。
 生涯の愛人役は、イギリス出身のサマンサ・モートン(「コントロール」'07)。さらにエミリー・ワトソン。

 ニューヨークにある巨大な倉庫の中に、主人公は脳内にあるもうひとつのニューヨークを創りあげ、永遠に上演されない芝居稽古が続く・・・と書けば簡単だが「脳内カウフマン」は、私のイマジネーションを遙かに飛び越えて行ってしまった。 

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December 15, 2009

1428.カティンの森

329921_100x100_008_3  ポーランド映画「カティンの森」、岩波ホールは満席である。
 観客は私と同世代の人たちがほとんど、半世紀前「灰とダイアモンド」を見てアンジェイ・ワイダ監督を知った人たちだ。
 上映前の観客同士の会話が、そうだった。

 映画は、1940年の「カティンの森」事件を、ソ連軍に囚われたポーランド軍将校たちと、彼等の帰還を待つ家族達の姿を通して描く。

 「カティンの森」は、社会主義国家時代のポーランドでは、決して語る事の出来なかった事件だっ329921_100x100_010_2た。そして今、真実は明らかにされる。

 1939年、ナチス・ドイツのヒトラーとソ連のスターリンとの密約によって、ポーランドは両方から侵略された。宣戦布告もない突然の侵攻に、ポーランド軍は戦うことなく降伏する。
 囚われた兵士たちは、ソ連領内に連行される。そして1万数千人の将校だけが行方不明となった。

 1943年ソ連に侵攻したドイツ軍はカティンの森で、銃殺された数千人のポーランド軍将校の遺体を発見する。
 しかし戦後、戦勝国ソ連はそれをナチス・ドイツの仕業とし、英米も黙認した。真実を知っているポーランド国民も、国家によってタブーを強いられた。

 事実は、1940年ソ連共産党政治局が採択した、スターリンによる「将校虐殺」命令の犠牲者たちだったのだ。

 ワイダ監督の父親、陸軍中尉だった彼もカティンの森の犠牲者である。母親はその死を信じず、1950年逝去するまで夫の帰還を待ち続けた。

 監督はこの作品について、こう語る。
 「作品は、永遠に引き離された家族の物語であり、カティン犯罪の巨大な虚偽と残酷な真実の物語である」

 アンジェイ・ワイダ83歳。第二次世界大戦中は、対独レジスタンス運動に参加。戦後大学卒業後、映画制作に入る。
 「地下水道」('57)カンヌ国際映画祭審査員特別賞、「灰とダイアモンド]('58)ヴェネチア国際映画祭批評家連盟賞、「大理石の男」('79)カンヌ国際映画祭批評家連盟賞、「鉄の男」('81)カンヌ国際映画祭パルムドール賞。

 「カティンの森」も昨年、アカデミー賞外国語映画賞にノミネイトされ、ベルリン国際映画祭でも特別上映された。
 ロシアでの映画祭でも受賞されたが、まだ国内では一般上映されてはいない。

 ラストのシーン、カティンの森で、父親、夫、兄弟、息子である将校たちが、赤軍将校によって一人ずつ処刑されていく。ワイダのカメラは、それをクールに感情を排して映していく。
 それが、人間の仕業なのだ。

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December 14, 2009

1427.師走・餅つき

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091213_006_640091213_010_640091213_015_640  マンション恒例の「師走の餅つき」。
 お向かいさんが米屋なので、そこから臼や杵を借り、昔ながらの蒸篭でもち米を蒸す。

091213_013_640091213_037_640091213_043_640   始めたのは4年前から。
 住吉神社の神輿を担ごうと集まった老若男女30人、年代も仕事も違うが共通するのが祭り好きという人たち。
 自腹を切って師走の餅つきを始めた。

091213_026_640091213_020_640091213_038_640  昨年からは、管理組合行事となって予算も付くが、餅つきも調理の方も、「祭りの会」がボランティアで担当している。

 住人同士の交流が薄いと言われる都心のマンションだが、何となく下町気分が残っているのがうれしい。
 搗いた餅は50キロ、マンションの住人だけでなくご近所の皆さんにも、お裾分けした。   

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December 12, 2009

1426.パイレーツ・ロック

003_640_2  1966年のイギリス。ローリング・ストーンズ、ビートルズ、キングス、ザ・フー、プロコル・ハルム・・・・、「ブリティッシュ・ロック」が世界中を席巻(インヴェイジョン)していた頃が舞台。

 なぜか保守党「ゼントルマン」政府は、不健康な音楽(「ロック」)が青少年を不道徳にすると、普及を規制 していた。
 唯一のラジオであったBBCでは、ポップミュージックは1日45分以内、あとはクラッシックかジャズに限るとした。

20090907008fl00008viewrsz150x  そこに現れたのが、イギリス領海外から電波を流す「海賊放送」船。1日24時間カリスマDJたちがロックを流し、イギリスの大衆を熱狂させた。

 60年代に実在した海賊ラジオ局をモデルに、少年時代に親に隠れてロックを聴いていたリチャード・カーチス監督(「ラブ・アクチュアリー」'03)が青春音楽映画を撮った。

 ロックは、'50年代のアメリカで「ロックンロール」として生まれた音楽。60年代になるとイギリスが中心になる。
 ロックは、既成のジャズやクラッシックに対するカウンターカルチャーとして、若者たちの間に広がり反体制的な生き方と結びつく。
 国による規制(弾圧)は、これを先読みしたのだ。
 その後、ビートルズが女王陛下から勲章を貰うなんて、想像も出来なかった次代である。

Wpspecial1_small 出演者の顔ぶれは、イギリスの演技派俳優の面々。
 海賊局のオーナーが、ビル・ナイ(「パイレーツ・オブ・カビリアン」シリーズ)。
 アメリカ帰りのスターDJは、リス・エバンス(「エリザベス・ゴールデンエイジ」'07)。
 モテモテのデブDJは、ニック・フロスト(「グラインドハウス」'07)。
 海賊局を潰そうとする大臣が、ケネス・プラナー(「ワルキューレ」'08)。
 ハイスクールを退学処分、親代わりの船のオーナーを頼って乗り組んだ童貞少年はトム・スターリッジ(「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド]'05)。
 その彼の童貞を破ってくれたのが、オーナーのキュートな姪のタルラ・ライリー(「プライドと偏見」'05)。

Wpspecial2_small  そしてただ一人のアメリカ人カリスマDJが、なんとフィリップ・シーモア・ホフマン。「カポーティー」のオスカー俳優が、ヒゲモジャで登場していたので最後のクレジットタイトルまで気が付かなかった。

334324_01_02_02  最後に、映画のもう一つの主役である50曲にも及ぶ「ロック」から、思い出した曲のタイトルの幾つかを。

 「オール・オブ・ザ・ナイト」(ザ・キングス)、「夜をぶっ飛ばせ」(ザ・ローリング・ストーンズ)、「青い影」(ウロコル・ハルム)、「素敵じゃないか」(ビーチ・ボーイズ)、「恋のマジック」(ザ・フー)、「レッツ・ダンス」(デヴィッド・ボウイ)・・・・・・。

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December 11, 2009

1425.垂水からの贈物

Corp_topimg_1_3  錦江湾を挟んで鹿児島の対岸にある街・垂水。その名の通り、「名水の地」として知られている。

 焼酎バー「黒瀬」で人気の薩摩焼酎「八千代伝」は、桜島の右・高隈山麓の猿ヶ城渓谷の名水、プレミアム焼酎「森伊蔵」も垂水の産である。

048_640_2  この垂水から先日、「飲む温泉水・寿鶴」が届いた。ブログ1419号('09.12.04)で紹介した友人の店「焼肉・かごしま」で使用しているミネラルウォーターなのだ。
 この「寿鶴」を割り水に使った焼酎がまろやかで、美味しかった。そこで同席した「寿鶴」の東京営業所長の計らいで、送ってもらった。

051_640 「寿鶴」は、地下797mから湧出する50℃の温泉水から造られる。源泉から湧き出た温泉を、空気に触れないようにして冷却する。

 健康に良い水溶性ゲルマニュウムが通常の温泉水の100倍以上、また水の分子構造が微細なため柔らかいのが特徴だ。
 PHは9.4のアルカリ性、硬度は16.1の超軟水。よく利用している谷川岳の天然水がPH7.2・硬度67だから、その差は大きい。

 桜島火山帯の上に広がる垂水は、花と温泉と渓谷の町がキャッチフレーズ。そして「飲む温泉水」を、市は特産品としてPRしてきた。
 現在垂水市では、「寿鶴」をはじめ「財宝」「天水翔」「美豊泉」「潤命」「高隈霊泉」など9社の温泉水が販売されている。

 「寿鶴」製造元:垂水温泉鶴田 電話0994-32-7850
 詳しくは http://www.jyukaku.co.jp/ 

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December 10, 2009

1424.キャピタリズム

002_640  右のチラシに書かれているのは「100年に一度の世界同時不況!?失われたおカネを取り戻すために、あの男が帰ってきた!!」
334483_100x100_005  そう、あのマイケル・ムーアの突撃取材によるドキュメンタリー映画である。

 といっても、昨年の9月15日の「リーマンショック」が企画のスタートではない。それ以前、もっと遡れば20年前から、彼はこの問題意識を持って取材を続けていたのだ。

 その問題意識とは、「なぜ金持ちだけは益々富み、貧乏人はさらに貧しくなって行くのか」という事。それは、社会のシステムに原因=カラクリがあるのではないか。そのシステムとは?
 こうしてタイトルの「キャピタリズム」に到達する。

334483_100x100_003 ムーアの最初のドキュメンタリー映画は、1989年レーガン政権末期に製作した「ロジャー&ミー」。40億$稼ぐGMが数万人の労働者をリストラした事実を、故郷・ミシガン州フリントを舞台に取材した。ムーアの父親も、自動車工場で働く労働者だった。
 この取材の中で、ムーアはGM会長を突撃インタビューする。彼の取材スタイルが、喝采を浴びるようになったきっかけだった。

 「どうしてアメリカは、こんな社会になったのか」
 疑問を持つと、いきなり政治家や金持ちなど偉い人に聞きに行くのが、彼の流儀である。

334483_100x100_012  アメリカ銃社会を鋭く抉って、カンヌ国際映画祭特別賞とアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「ボーリング・フォー・コロンバイン」('02)。
 全米ライフル協会会長で、元大スターへのインタビューは面白かった。

 同じカンヌで最高賞のパルムドール賞を受賞した「華氏911」('04)では、ブッシュ政権の実態に迫り、「シッコ」('07)では、アメリカの医療問題を追った。

334483_100x100_001334483_100x100_014   今回の「キャピタリズム」、不況対策・投資銀行救済策として7000億の予算を強引に議会で承認させた「政治」に対して、ストレートに疑問を投げかける。
 国民の税金を取り戻そうと、ウオール街に突撃したマイケル・ムーア。アメリカ人口の99%を占める「貧乏人」たちが、彼の後ろに控えている。

 映画は、東京と大阪の2館で限定公開中。来年1月9日から全国拡大ロードショーの予定。  

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December 09, 2009

1423.サイドウェイズ

_640 冴えないアラフォーの男2人の1週間を、カルフォルニアのワインの聖地ナバ・バレを舞台に丁寧に描いたロードムービー。

333887_100x100_005  主演は売れないシナリオライター、不器用男を小日向文世が演ずる。
 もう一人はチャランポランなレストランの店長、女に目の無い男の生瀬勝久というコンビ。

333887_100x100_004  対する相手役はワイナリーで働くキャリアウーマン、小日向が昔想いを寄せていた女性・鈴木京香 。
 そして生瀬が口説いた画家志望の日系4世、菊地凛子という配役である。

 邦画なのだが、日本人俳優はこの4人だけ。というのも、ハリウッドの20世紀フォックスが製作した映画なのだ。
 もちろんフジテレビが共同制作に加わっているが、監督も撮影・美術・音楽などスタッフはアメリカ側である。

515jcy0xf5l__sl160__2 もう一つの話題は、この作品が名作のリメイク版だと言う事。

 4年前に、アレクサンダー・ペイン が脚色・監督した「サイドウェイ」は、アカデミー賞作品賞・監督賞など多部門にノミネイトされ、脚色賞を受賞している。
 レックス・ビケットの原作をもとに、ワインを題材にしながら恋・友情・結婚・自由など、人生の素晴らしさを語った。

 今回もペイン監督の脚本で、「トランスフォーマー」('07)などの助監督を務めたチェリン・グラックが撮っているので、大筋は変わらない。

333887_100x100_002333887_100x100_007   ワイン通には興味が尽きないと思うが、カルフォルニアでのオールロケした映画には、11のワイナリーが登場する。
 地元の人気カフェやレストランでも撮影され、「カベルネ・ソーヴィニヨン」「ピノ・ノワール」「メルロー」「ソーヴェニヨン・ブラン」が次々と空けられる。
 ワインが物語を綴る、もう一つの主役なのだ。

 ハワイのウクレレ奏者、紅白歌合戦にも出演したジェイカ・シマブクロが音楽を担当。80年代のなつかしい音楽が、カルフォルニアの空に流れる。
 グラック監督も母親は日系二世、ハリウッドが製作した作品だが日本色は濃い。

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December 08, 2009

1422.2012

001_64020081113004fl00004viewrsz150x  エイリアンの地球侵略を描いた「インディペンデンス・デイ」('96)、氷河期再来を描いた「デイ・アフター・トゥモロー」('04)、「ディザスター(災害)映画」監督の第一人者と言われるローランド・エメリッヒが撮った、三度目の「地球の終り」である。

 古代マヤ文明が残した世界終末予言は、2012年12月21日。エメリッヒ監督は、これをヒントに地殻変動による地球の崩壊を、最先端のVFX技術を駆使して描いて見せた。

332430_100x100_007  銀河系宇宙の直列、太陽の活動が活発化、ニュートリノが地球を直撃、地球のコアの温度上昇、地殻が変動、大地震、断層破砕、地割れ、大噴火、大津波、大洪水・・・・。
 一応は科学的根拠を示しながら、これまで人類が体験した自然災害を見せる。ただ現実と違うのが、その規模の大きさだった。

 地震のマグニチウドは現実の数倍、大洪水はカルフォルニア州を水没させ、大津波の高さは8000mを越えてエベレストの北壁まで迫る。
 地球の極軸も変動し、ワシントンは南極になるというサービス!まで。

332430_100x100_011332430_100x100_002332430_100x100_003_2   災害映画であっても、人間を登場させなければ感動は生まれない。

 今回は、地球の危機を知りサバイバル計画を密かに進めるアメリカ大統領(ダニー・グローヴァー)とその側近たち(タンディ・ニュートン、キウルテ・イジョフォー)、そして売れない作家(ジョン・キューザック)と別れた妻(アマンダ・ピート)と子供達一家を軸に置いた。

 さらに現代の「ノアの方舟」を持ってくる。しかし乗船できるのは、金持ちと権力者たちだけだったという問題提起も。そう、優れた遺伝子をもつ動物たちも運ばれた。

332430_100x100_006332430_100x100_005   エメリッヒ監督は「ディザスター映画は、今回で全てやりつくした」と語る。
 「現代のVFX技術は究極まで進化しており、金と時間さえあれば誰でも映像化が可能」なのだそうだ。

 その昔、テレビで「核戦争後の地球」('84)という名作が放送され話題となった。イタリア賞や芸術祭大賞を受賞したドキュメンタリーだが、この番組を制作した先輩ディレクターは、核で壊滅する東京の映像など苦心を重ねて手作りで特撮した。
 CG技術誕生以前の現場だった。

 「2012」は、今日の映像表現の基準値・限界値を考えさせる作品である。  

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December 07, 2009

1421.晩秋・木場

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091206_052_640091206_058_640  仙台堀川を挟んで南北に広がる都立・木場公園。
 暖かいお日さまに誘われて、隣の江東区まで足を延ばした。

 面積24.2ha、下町にある公園としては大きいほうである。江戸時代から栄えた木材の集積地跡、1969年に貯木場が新木場に移転したので、都は江東区の防災拠点として総合公園を造った。
 地下の一部にはメトロの車庫、北側には都立現代美術館が設けられている。

091206_031_640091206_035_640091206_038_640091206_028_640 

091206_041_640_2091206_044_640091206_048_640091206_054_640   

     公園は秋一色である。イチョウ、モミジ、ムクロジ、プラタナス、花もオスチオスやセージ・サルビアと、その色を競っていた。
 陽光を浴びて、晩秋のひと時を楽しんだ。

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December 05, 2009

1420.理想の彼氏

Wallpaper011024  「理想の彼氏」だった浮気夫と別れた、アラフォーの子連れヒロイン。グリーンカード目的の結婚で、フランス女性に騙された草食系男性のフリーター。
 バツ一同士の2人が出会った時、新しい恋の物語が始まる。果たしてそれは「理想の彼氏と彼女の恋」だったのか。

 原題は「The Rebound」。(感情の)反動とでも訳すか、こちらの方が内容にはピッタリである。
 邦題は、ヒロインに重きを置いて「婚活」ブームを当てにしたようだ。年上・キャリア・高収入そして背が高くハンサム・・・・、それが「理想の彼氏」と。観客の中には違和感を抱いた人ともいた。

Wallpaper021024  ジュリアン・ムーアの夫で、いつもコンビを組むバート・フレインドリッチが監督(「NOセックス、NOライフ」'06)。
 今回は初めてオスカー女優のキャサリン・ゼタ=ジョーンズを主役にもってきた。
 そして相手役は「ナショナル・トレジャー」シリーズのジャスティン・バーサである。
334776_100x100_003  40歳の彼女と25歳の彼氏のロマンチック・コメディーは、ストレートなセックス会話やきわどいシーンもあるが、監督としてはいたって真面目に撮っている。
 「ずっと笑いながらも、そこにしっかりした現実を感じてほしい」という監督のメッセージ。

 このところアメリカのコメディ映画は、年上のキャリアウーマンと可愛い青年というパターンが多い。サンドラ・ブロックの「あなたは私の婿になる」が典型的だが、「そんな彼なら捨てちまえ」も同類。
 社会生活の中で、女性達が主導権を握りつつある、とくに恋やセックスで・・・、という現実の反映か。

 キャサリンの子供役、ケリー・グールドとアンドリュー・チェリーが上手い。際どいセリフを連発してハラハラさせる。だからこの映画は、PG12と映倫が指定した。

 観客の多くがアラフォーらしき女性達。彼女達も色々と学んだようだ。 

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December 04, 2009

1419.焼酎バー「黒瀬」(109)

031_640032_640033_640  「黒瀬」のオーナーの一人が、今夜新しい店を世田谷・桜新町のサザエさん通りにオープンした。

 焼肉の店「かごしま」、経営は別だが「黒瀬」にとっては姉妹店になる。
 鹿児島県産の黒牛と黒豚を中心に、鹿児島特産の食材を東京の皆さんに味わっていただこうというのが、店の狙いである。

027_640028_640 プレオープンした先日には、店主の高校の後輩にあたる落語家の林家彦いち師匠も駆けつけ、激励した。 

040_640041_640    店の経営は、戦後鹿児島の山間地や高原に入植した、開拓農民の協同組合を母体にした株式会社「かいたく」。
 地元の牧場で育てた黒牛・黒豚の肉を東京に直送して提供する。

 鹿児島は全国1位の和牛生産地(32万頭)。豊かな南国の自然の中で大切に育てられた黒牛は、きめ細やかな肉質で味も抜群。
 「かごしま黒豚」の方は、全国から注目を浴びている鹿児島を代表する畜産物。都会の肉屋さんも一目置く逸品だ。
 現在も140万頭が飼育されており、2位の宮崎の86万頭を引き離している。

043_640_2025  さてお店の方、焼肉を肴に飲んでいただくのはもちろん「薩摩本格焼酎」。ハウスボトルの「よかばんなぁ」も置いてある。
 ビビンバ、クッパなどお食事も鹿児島一美味しいといわれる「伊佐米」使用。
 吹上浜特産の塩らっきょうも置いてある。

 営業は平日が午後5時から、土・日・祝日前日は午後4時。火曜日が休日。詳しくは下記のホームページを。
 焼酎バー「黒瀬」同様、ぜひご贔屓に。

http://www.yakiniku-kagoshima.jp/

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December 03, 2009

1418.戦場でワルツを

12_001_640 昨夕のNHK・BS「アジアクロスロード」でも紹介されていたが、イスラエル軍の元兵士だったアリ・フォルマン監督の自伝的ドキュメンタリーである。
 今年のアカデミー賞で外国語映画賞にノミネイトされ、日本の「おく りびと」と競って注目を集めた。

 27年前19歳だったフォルマンは、イスラエルによるベイルート侵攻作戦に一兵卒として従軍した。
 しかし彼の記憶からは、この事実がすっぽりと抜けていた。2年後除隊した彼は、自分の記憶を意識的に消し去ったのだ。
 それは、新しい人生を生きるためだったという。

20090806004fl00004viewrsz150x_2  5年前、突然「戦場の記憶」が甦る。それはベイルートの沖合いに漂う、全裸の自分自身の姿だった。
 夢か現実か、フォルマンは心理セラピーを受けながら、記憶をたどる旅を再現ドキュメンタリーとして綴っていく。

 友人、学友、当時の戦友3人、従軍TV記者、PTSD専門家、友人で映画制作者でもあるセラピストなど、インタビューした関係者は9人。
 証言は本人たちの声だが、映像はアニメーションで描く。それは、語られる事の生々しさを削ぎ落とす。感情的な個人の体験記ではなく、客観的な事実を甦らすためだった。

E0191711_1216432_2  「客観的事実」とは、1982年にレバノンで起きたパレスチナ難民キャンプ襲撃事件「サブラ・シャティの虐殺」である。
 レバノン・キリスト教マロン派の指導者ジェマイエル暗殺がきっかけとなり、マロン派の私兵(ファランヘ党)がキャンプを襲い、老人や女性・子供ら3000人を虐殺した。
 ベイルートに侵攻したイスラエル軍は、虐殺を予測しながら制止せず傍観し、国際的な非難を浴びた。

 ポーランドでのホロコーストで、祖父たちを虐殺された記憶を持つフォルマンは、レバノンでの「虐殺」を傍観していたのだ。
 彼のドキュメンタリーは、「生きるために失くした記憶を、生き続けるために取り戻す」作業となったのである。

 アニメーション「戦場でワルツを」、ラストは衝撃的なドキュメント映像で締めくくる。
 ショパンのワルツが流れる場面は、映画史上に残るワンシーンとなるだろう。

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December 02, 2009

1417.黄金花

12_640 日本映画史上最高齢監督・木村威夫と、その仲間「花座」が製作した「芸術作品」。
 副題は世阿弥の「秘すれば花、死すれば蝶」からとった。

 京都の養護老人ホームを舞台に、様々な人生を送ってきた孤独な老人達の奇妙で不思議な日々を描く。
 そこから、「老いと若さ」「生と死」「希望と絶望」「明と暗」「静寂と喧騒」があぶりだされる仕掛けだ。

 老人達を演じたのは、(かっての)名優たち。
335060_01_02_03  年齢順に紹介すれば三條美紀、川津裕介(75)、野呂圭介(73)、絵沢萌子、原田芳雄(69)、松原智恵子・・・・。
 さらにホーム長役は長門裕之(76)、介護士長・松坂慶子、森の行者・麿赤児(67)という配役。

 監督・木村威夫は今年91歳。16歳の時美術界の大御所、伊藤喜朔に弟子入りしてドイツ表現主義を学ぶ。23歳で映画美術の世界に進み、以降これまでに230本を超える劇場公開作品の美術監督を務めてきた。
 5年前からは、自らメガホンを執って短編映画を製作。昨年「夢のまにまに」で長編映画監督デビュー、最高齢現役監督としてギネスブックにも登録されている。

 監督は、先週末のNHK「おはよう日本」にも出演して、映画に対する飽くなき情熱を語っていた。
 今回の作品についても、「私は芸術をつくっている。見世物=商品を作ろうとしているのではない」「自らの辿ってきた映画人生を、『世阿弥』の幽玄と『シェークスピア』の猥雑さと重ねあわせた」と話す。

20090918012fl00012viewrsz150x 「黄金花」の製作には、京都造形大学の学生と講師陣で作っている映像集団「北白川派」が全面的に協力している。
 大学映画学科長の林海象(「暗号」'09の監督)は協力プロデューサーとして参加。作品の重要なシーンとなった「能舞台」では、シテ役「葛城の神」を大学講師でもある能楽師・河村博重が演じている。

 蛇足かも知れないが、懐かしい顔に出会った。石原裕次郎や赤木圭介、小林旭らの日活黄金時代に、バイプレイヤーとして活躍していた野呂圭介である。
 鹿児島出身の彼は役者を引退、現在は郷里で薩摩焼の陶芸家として活躍している。
 今回は、鹿児島弁丸出しの頑固な老人役として、久々の登場である。

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December 01, 2009

1416.アンナと過ごした4日間

020_640 アンジェイ・ワイダ、ロマン・ポランスキ、クシシュトフ・キェシロフスキと並ぶポーランド映画界の巨匠の一人、イエジー・スコリモフスキ。
 スターリン批判や「連帯」で国を追われ、ベルギーやイギリスで監督・俳優として活躍してきた。

 その彼が、17年ぶりに故国ポーランドを舞台に撮った作品が「アンナと過ごした4日間」である。

 レイプ事件を目撃したばっかりに、誤認逮捕されて服役した朴訥な中年男が主人公。
334374_01_04_02  事件の被害者だったグラマーな看護師・アンナに心を奪われた彼は、夜毎自宅の窓から看護師寮の彼女の部屋を覗き見してきた。
 しかし彼は、ついにアンナと4日間だけの夜を過ごせるようになる。それはどうして?!

334374_01_03_03  異色のラブ・ストーリーである。究極の片想いでもある。切ない中年の男の物語である。
 婚活中の中年男が見たら、きっと落ち込んでしまう映画なのだ。

 セリフを極端に排し、サスペンスタッチで描く。絵画を想起させる映像美で描く。奇怪な音響が人間の「深淵」を抉り出す。
 人が人を愛する事の難しさ、愛の不確実性を描きながらも、人は誰かと繋がれていかないと生きてはいけない、と監督は主張する。

20090812009fl00009viewrsz150x  作品は、昨年の東京国際映画祭で、審査員特別賞を受賞した。
 「出発」('67)でベルリン・金熊賞、「ザ・シャトウ]('77)でカンヌ・審査員特別賞、「ライトシップ」('85)でヴェネチェア・審査員特別賞、そして東京である。

 俳優としてのスコリモフスキは、「イースタン・プロミス」で見た。詩人であり、小説家、戯曲、脚本を書く彼は、若い頃はボクサーに憧れジャズを楽しんだ。
 今年72歳、ほぼ同年代である。

 これまで日本では「早春」と「出発」しか上映されていない。私にとっては、はじめての監督スコリモフスキとの出会いだった。
 出演した主役の2人は、ポーランドの優れた舞台俳優だそうだ。

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