« June 2010 | Main | August 2010 »

July 31, 2010

1613.骨董物語

040_640

 この春に銀座にオープンしたポーラ ミュージアム アネックスで、「桐島洋子・骨董物語」展が開催されている。

041_640_2   彼女が自らの目と財布で求めた、ガレの花瓶やアール・ヌーボーのグラス、明の赤絵や愛新覚羅家の家具、ローマの杯など、古今東西の骨董品の数々が並べられている。

 桐島洋子さんは、文春出身のエッセイストでノンフィクションライター。20代後半からフリーライターとしてベトナム戦争を取材するなど、世界各地を放浪。

 アメリカ滞在中の経験をまとめた「淋しいアメリカ人」(1972年)で、第3回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

 シングルマザーとしての生き方を書いた「渚と澪と舵」(文春文庫)「マザー・グースと三匹の子豚たち」(グラフ社)など、多くの著書を持つ。

B_05  今回の展覧会は、4年前に講談社から刊行したエッセイ写真集「骨董物語」を、実物で「読んでもらおう」というもの。

 「桐島氏自身の磨きぬかれた美意識と、そして重からぬ財布と軽やかなフットワークだけを頼みに収集した東西の貴重な骨董品の数々」
 「また、それぞれの骨董品がたどってきた歴史や様々なドラマを合わせて紹介」(パンフレットから)している。

 「桐島洋子・骨董物語」は、8月22日(日)まで。
 ポーラ ミュージアム アネックスは地下鉄「銀座一丁目駅」(7番出口)。 入場料は無料。  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 30, 2010

1612.ハングオーバー!

_640 どこも「3D映画」が並ぶ。しかしどうも性に合わない。
 第一、眼鏡に眼鏡は鬱っしい。勝手に映像が飛び出して、脳を刺激してしまう。映像のモンタージュを楽しむ余裕がない。結果、我々高齢者は疲れるばかりだ。

 という事で3Dは敬遠して、ミニシシアターを覗いてみた。B級映画「ハングオーバー!」である。
 これが頗る面白いのだ。

334235_100x100_003 とりわけ、ハリウッドの大スターが出演している訳ではない。
 個性派というか、ブラッド・クーパー(「バレンタインデー」'10)、エド・ヘルムズ(「ナイトミュージアム2」'09)、ザック・ガリフィアナキス(「マイレージ、マイライフ」'09)、ジャスティン・パーサ(「ニューヨーク、アイラヴユー」'08)の4人による、スリリングでパワフルなコメディーである。

 悪友4人が、バチェラー・パーティーを開こうとラスベガスに乗り込んだ。そして最高のドンチャン騒ぎをしたものの、翌朝は誰もそれを覚えていない。
 ハングオーバー!つまり二日酔いなのだ。
 その上、翌日結婚式を挙げる予定の花ムコが消えてしまった・・・・・・。

334235_100x100_002_2  ドキュメンタリー映画出身のトッド・フィリップス監督(「オール・ザ・キングスメン」'06)が、製作費3500万$だけで作った。メジャーの半分以下である。

 ところが公開されるや否や、口コミで評判が広がり空前のサプライズ・ヒットとなる。北米トータル7700万$、全世界では4億6200万$と、コメディ映画史上最高の興行成績となった。

 トンデモ珍道中を、ミステリータッチでテンポよく描き出したと、昨年のゴールデン・グローブ賞では最優秀作品賞を受賞、映画批評家協会賞のいくつか獲って、さらに大ヒットした。
 主役格のクーパーなどは、このヒットで「特攻野郎Aチーム」(近日公開)の役まで貰ったのだ。

334235_100x100_005334235_100x100_007   日本では、なぜかどの配給会社も敬遠してた様だが、映画フアンによるツイッターの呼びかけで署名運動が始まり、ようやく上映された。

 中国系チンピラ役ケン・チョンや、ストリッパー役ヘザー・グレアム(「愛を問う人」'06)など、久し振りの顔も見える。

 絶対に、最後まで席を立たないように。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 29, 2010

1611.ぼくのエリ

020_640 いじめられっ子の初恋の相手は、なんと12歳のヴァンパイアの「少女」。ところが「彼女」は、は200年もの時を超えて生きてきた。

 危ういほど美しい「恋の目覚め」は、血まみれのメルヘンとして私たちの目の前に現れた。

335935_100x100_007  原作は'04年に発表されたヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの「モールス」。
 シナリオ・ライター出身の彼が書いた処女作は、世界各国で翻訳されベストセラーになった。
 その彼が、原作を少し変えた脚本を書き映画化した。
 監督はテレビディレクター出身の、トーマス・アルフレッドソン。

 原題は「LET THE RIGHI ONE IN」、それを邦題は「ぼくのエリ」と変えた。エリとは少年の初恋の人の名前、そこまでは良いのだが副題を「200歳の少女」とした。
 これは多くの観客を裏切るクレジットである。

335935_100x100_005 もう一つ重大な裏切りがある。
 「少女」の「性器」が露出するシーンがある。邦画では、ここに修正を加えた。本来そこに見えたものが、この作品のキーポイントだったはずなのだ。
 原作者が作品に込めた意図が、誤解される。

 ヴァンパイア伝説を扱った作品には血なまぐさいものが多いが、この映画はそれをギリギリのところで押えている。
 ダーク・ファンタジーではあるが、あくまでも「小さな恋のメロディ」なのだ。
 そして北欧の国スエーデン映画らしい、透明感あふれる映像世界を見せてくれる。

335935_100x100_008335935_100x100_004  2人の子役に存在感がある。
 北欧系の金髪が素晴らしい少年は、カーレ・ヘーデブラント。
 しっとりとした黒髪の「少女」は、リーナ・レアンデション。
 撮影当時は11歳と12歳、いずれも映画初出演である。

 2年前に公開されたこの作品は、スエーデン・アカデミー賞で作品賞や監督賞など主要5部門を受賞、国際的にもニューヨークで開催されたトライベッカ映画祭でグランプリを受賞するなど、世界中で60もの賞を獲っている。

 そしてハリウッドでは、もうリメイク版の撮影が始まった。
 少年の役は、「ザ・ロード」で名演技を見せたコディ・スミット=マクフィー。「少女」を「500(日)のサマー」のクロエ・モレッツが演ずる。

 「人間も動物も植物も、自らが生きるためには他の生き物を殺さなければならない」という真実を、このヴァンパイア物語は哀しく教えてくれる。

 秋に公開予定のハリウッド版は、この「少女」のかぎ括弧をどう見せてくれるだろうか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 28, 2010

(号外)夕景

012_640

001_640008_640005_640

 

 梅雨があけて二週間、厳暑・猛暑・極暑・酷暑・炎暑・が続く。

 外出を控え読書の日々だが、窓から見る夕方の表情は刻々変わる。

 マジックアワーの数葉を。

010_640

| | TrackBack (0)

July 27, 2010

1610.必死剣鳥刺し

017_640

 藤沢周平原作の「隠し剣シリーズ」、映画化第3弾は「必殺剣鳥刺し」である。
 「隠し剣鬼の爪」('04)「武士の一分(盲目剣谺返し)」('06)は、松竹が山田洋次監督で撮った。
 今回は東映と平山秀幸監督である。

019_640  藤沢作品には、江戸市井もの、下級武士ものなど5つのジャンルがあるという。
 この作品は、そのひとつ「海坂藩もの」であるが、さらに分類すると「隠し剣シリーズ」となる。
 同じ海坂藩の「たそがれ清兵衛」('02)「蝉しぐれ」('05)とはちょっとタッチが違う。

 「隠し剣シリーズ」は、1976年10月から「オール読み物」に連載された短編で、その後「隠し剣孤影抄」「隠し剣秋風抄」の2冊に纏められた。
 「鳥刺し」は全17話の4話に当たり、シリーズの中では傑作との評判が高い。

336273_100x100_006 物語は、藩政を篭絡する殿(村上淳)の愛妾(関めぐみ」を刺し殺した主人公(豊川悦司)が、謀略と裏切りの中で過酷な運命を辿っていくというもの。
 剣の使い手でもある下級武士の主人公が、最後に見せたのが「隠し剣鳥刺し」なのだ。

336273_100x100_003336273_100x100_010   フラッシュバックで描かれる亡き愛妻(戸田菜穂)と彼を慕う義理の姪が、悲運の武士の不条理の世界を包んでいく。

 山田監督作品も静謐さを見せたが、平山作品はさらに禁欲的に演出する。
 一切の装飾を排し、東北の四季折々の空気が描かれる。
336273_100x100_005  そしてクライマックスに「生の衝動」が爆発する。

 「舞踏的な美しい殺人ではなく、人と人との斬り合いを描くことにこだわった」と平山監督は話す。
 その殺陣を、藤沢作品にはほとんど関わった久世浩が指導する。

336273_100x100_008_2  この春庄内を訪ね、藤沢作品の世界を歩いた。「隠し剣鳥刺し」のロケ現場にも出かけた。
 昨日はその映画の中で、懐かしい光景と空気に出会った。

 酷暑に日々、家にこもって藤沢周平の「本所しぐれ町物語」を読んでいる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 26, 2010

1609.シスタースマイル

018_640  原題は「Sister Smile」だが、邦題は「ドミニクの歌」と続く。

 ’60年代、世界中で大ヒットした名曲「ドミニク」、日本でも「NHKみんなの歌」やペギー葉山、ザ・ピーナッツが「ドミニク、ニク、ニク・・♪♪♪・・・」と歌った。
 レコードは、プレスリーをも超える300万を売ったという。

336594_100x100_001  この歌を作曲したのは芸名シスタースマイル、ベルギーのドミニク修道院の実在の修道女だった。

 作品では、愛と自由、夢を追い続けた自我の強いヒロインの、悲劇とも云える人生ドラマが描かれる。

 主演したのは、ベルギーの女優セシル・ドウ・フランス。「スパニッシュ・アパートメント」('03)でセザール賞新人女優賞、「モンテーニュ通りのカフェ」('06)で助演女優賞も受賞した演技派女優である。

336594_100x100_002 親から逃げ出し、飛び込んだ修道院からも逃げ出し、現実の社会からも逃避する自意識過剰な女性を、見事に演ずる。

 誰も愛せないと自己弁護しながら、あらゆるものを拒否して辿りついた先は、「明るい歌」とは対称的な負け犬の世界だった。
 監督のスティン・コニンクスは、そんなヒロインをクールに描いていく。

336594_100x100_005_2 ベルギー・フランスの合作映画だが、出演者はほとんどベルギーの役者たち。
 だから見覚えのある俳優は、「サン・ジャックへの道」('05)に出演した従妹役のマリー・クレメールだけだった。

 シスタースマイルことセシルが歌う「ハート・ブレイクホテル」や「ピー・パップ・ア・ルーラ」など、60年代のポピュラーソングが懐かしい。

 「セシル・ド・フランスは、感動的な一人の女性の肖像を、誠実に創り上げた」(ル・モンド誌)と、ヨーロッパでの評判は高い。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 25, 2010

1608.江戸バス(2)

100719_010_640   昨年12月にスタートした、中央区のコミュニティバス「江戸バス」。南北ふたつの循環コースで運行している。
 運賃は100円、中央区役所など3ヵ所では無料で乗り継ぎが出来る。

  自宅の前の停留所から乗った「南循環」については、昨年暮れのブログ1434号(09.12.22)で紹介したが、今回は「北循環」を紹介しよう。
 暑い休日、街を歩くのは堪えるので、下町バスでのショート・トリップと洒落込んだ。

100719_015_640_2100719_017_640_3100719_009_640_3  10:40、中央区役所出発。乗客4名。「新富二丁目」「八丁堀駅」「八重洲通り東」「八重洲通り西」を経由して東京駅八重洲北口」へ。

100719_019_640_2100719_020_640_2100719_022_640_2  休日なので車も人も少ない。
 ブリジストン美術館前の「八重洲通り」もそのまま通過して、東京駅。
 ここまで10分ちょっと、予定より早いのでしばし時間調整停車。

100719_025_640_2100719_024_640_3100719_023_640_3  外堀通りの「呉服橋 」から日銀通りへ。
 「本石町一丁目」「本石町二丁目」「新日本橋駅」から、江戸桜通りの細い道へ。
 「室町二丁目」「日本橋保険センター」「掘留町一丁目」。

100719_032_640_2100719_033_640_2100719_001_640_2   地下を総武本線が走る江戸通りへ曲がると「小伝馬町駅」「馬喰横山駅」。
 清洲橋通りを「浜町一丁目」「明治座前」と向かう。
 ここまでが、出発してからおよそ35分である。

100719_004_640100719_003_640_2   持参したデジカメの電池が切れてしまったので、ここからの写真は携帯電話のカメラ。

 「浜町三丁目」「浜町敬老館」「「中洲」「箱崎町」と隅田川沿いに中央区の施設を回る。
 右の写真は清洲橋。向こうは江東区なのでバスは、水天宮通りへと曲がる。

100719_039_640_3100719_038_640_2100719_041_640_5   「水天宮前駅」「日本橋区民センター」「箱崎湊橋通り」「新川一丁目」「新川二丁目」と細い道を通って、出発時に通過した八重洲通りに戻る。

 
100719_042_640_2100719_043_640_3  「桜橋」「新富区民会館」を経由して、終点「中央区役所」に到着したのは、11:40。バス停の数は28、乗降客11人。
 きっかり1時間の「バス旅行」だった。

 全て車窓からの写真、それも運行中にシャッターを押したので、変わり映えのしないスナップとなったが、これが静かな都心の休日の光景である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 23, 2010

1607.プレデターズ

4_19128016_640 この作品は、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演した23年前の作品のリメイク版。

 南米のジャングルを舞台に、アメリカ特殊部隊と肉食異星人との戦い。
 体を透明化して周囲の風景に溶け込んだプレデターは、次々と隊員を襲う。
 最後は、シュワちゃんとの一騎打ちだった。

 今回は舞台そのものが、ある「惑星」のジャングルに変わる。そして複数の異星人の登場だ。だからタイトルも「プレデターズ」となる。
 そして異星人たちの狩の獲物となるのが、地球から拉致された「コロシのエリート」たちとの設定だ。

336307_100x100_004_2  20数年ぶりに新たなシリーズを「再起動」させたのが、「シン・シティ」('05)や「グラインドハウス」('07)を監督したロバート・ロドリゲス。
 ニムロッド・アーントルを監督に指名して、自らは製作を担当した。

 プレデターズに狩られる殺し屋たちを、個性派俳優がそれぞれ演ずる。

336307_100x100_005_2  主役の傭兵くずれを、「戦場のピアニスト」のオスカー俳優エイドリアン・プロディ。
 ヒロインのスナイパーは、アリシー・ブラガ。前々号の「レボゼッション・メン」でも紹介したブラジルの若手女優である。

336307_100x100_003 他に、テロリストがダニー・トレホ。ロドリゲスの従兄で「グラインドハウス」にも出演した。
 そしてウオルトン・ゴギンズ(「セントアンアの奇跡」'08)、マハーシャルハズベズ・アリ(「ベンジャミン・バトン数奇な人生」'08)、オレッグ・タクタッフ(「ボーダー」'08)らが、特殊工作員・死刑囚・マフィアの用心棒として登場する。

 シュワちゃんの作品でも、プレデターとの戦いのひとつの見せ場に、日本の「武士道」が登場したが、今回もヤクザの「殺し屋」が登場する。
 異性人と日本刀での戦いは、一刀流である。
 演ずるのはルイ・オザワ・チャンチェン。台湾人の父、日本人の母親、ニューヨークで育つ。今回オーディションでメジャー映画の大役を射止めた。

 「殺す」本能を持つ異性人と、「生きる」本能の人間との戦い。
 果たして生き残るのは誰か。
 ロドリゲスらしい、「B級映画」のテイストを楽しめる作品である。

| | TrackBack (0)

July 22, 2010

1606.ACACIA

015_640  「心優しい元プロレスラーと孤独な少年。家族を見失ったふたりは、互いの存在に励まされて、真実と向きあう勇気を得てゆく・・・。」
 昨年の東京国際映画祭で、ワールド・プレミアとして上映された作品。

 芥川賞作家の辻仁成が自作「アカシアの花のさきだすころ」を、脚色してメガホンを執った。

335130_100x100_002_2  作品の「売り」は、主役に「ほんもの」の元プロレスラー、アントニオ猪木を起用した事だ。

 役者としては全くの素人、もちろん演技力には疑問がつく。
 しかし彼が「あるがままに」演ずる事で、その存在感は画面を圧倒している。

 物語の主人公と猪木自身の人生が、オーバーラップしている事が、作品を豊かにしているのかも知れない。
 ブラジル移民の2世として来日、苦労してプロレス界の王者になり参議院議員まで務めた。
 しかし若い頃に実の子どもを亡くし、離婚も経験している。
 映画もまた、そうした初老の元プロレスラーの孤独と哀愁を描いている。
 335130_100x100_003_2
 ひょんな事から、元プロレスラーとひと夏を過ごす事になった子役が光る。
 林凌雅クン、「歩いても歩いても」('09)に出演した時よりさらに演技が上手くなった。
 素人の猪木とプロの林のアンサンブルである。

335130_100x100_004335130_100x100_005    猪木の別れた妻は石田えり(「たみおのしあわせ」'09)、少年の実父が北村一輝(「容疑者Xの貢献」'08)、少年をおっぽり出して男の元に去った母親は坂井真紀(「ノン子36歳」'08)と、それぞれ芸達者が出演している。

 猪木と同じ公営住宅に住む孤独な老人、川津裕介がすっかり変わった風貌で登場する。あの「青春残酷物語」は、半世紀も前の作品。彼も75歳なのだ。

335130_100x100_008  作品は、辻仁成が青春時代を過ごした函館で全てを撮った。

 ロシア正教の教会など観光地は避けて、風の渡る草原や津軽海峡を臨む廃墟などが舞台。
 市内を走る電車も、風情がある。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 21, 2010

1605.レポゼション・メン

014_640 レポゼッション・メンとは、人工臓器回収人のこと。古い英和辞典には出ていない。新造語なのだろう。

 映画冒頭の臓器回収シーンから、マンボの曲が流れる。そうなのだ!原作名は「The Repossession Mambo」、なぜマンボなのかはその後明らかになる。

 アメリカの若いベストセラー作家エリック・ガルシアが、原案をプロデューサーに提案した後、小説と映画化のための脚本を同時に書いた。

336631_100x100_004  ストーリーは20年後の世界。高額なローンによる人工臓器が売られるが、支払いが滞るとレポゼッション・メンが臓器の回収にやってくる。
 二つある腎臓はともかく、心臓や肝臓となると命との交換になる。

 腕利きの回収人でもある主人公が、人工心臓を植えつけられて逆に回収人に追われるというSFサスペンス映画なのだ。

 人工臓器ローンをサブプライムローンに置き換えれば、決して絵空事ではない。
 ヤミ金の返済を迫られて腎臓を売った話や、東南アジアから子どもの心臓を買った話など、わが国でも現実にあった事だ。

336631_100x100_002  追いつ追われつを演じるレポ・メンが、ジュード・ロウとオスカー俳優のフォレスト・ウイッテカー の2人。
 元々戦友のコンビだったが、ビジネスとなるとそうもいかなくなる。

20100416004fl00004viewrsz150x 7つもの人工臓器ローンを抱えて、ロウと一緒に逃げる恋人がブラジル出身の若手スター、アリシー・ブラガ。
 「正義の行方」('09)で不法移民役を演じた彼女である。

 そして人工臓器会社の支配人にリーヴ・シュレイバー(「X-MEN ZERO」'09)、ロウの本妻がオランダの人気女優カリス・ファン・ハウテン(「ワルキューレ」'08)と、ハリウッド映画にしては国際色豊かである。

336631_100x100_003 監督は、ミュージック・ビデオ出身のミゲル・サポチニク。長編デビューである。
 そのせいか肩に力が入りすぎ、血なまぐさいシーンが多い。グロテスクで目を背けたくなる腑分けなど、ホラー映画もどき。
 肉食系の欧米人ならともかく、草食系の我々にはたまらない。

 「人は、肉体をも売買されるこの消費社会から、自由になれるのか」という、監督の問題意識は買うが。  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 20, 2010

1604.執権北条、史跡を歩く

100716_017_640100716_016_640100716_013_640_3   鎌倉幕府の執権北条氏の屋敷跡「宝戒寺」。
 参道に敷き詰められた石は、屋敷の礎に使われていたもの。

 今月の「ひとまく鎌倉ウオーキング」は、130年続いた執権北条氏の史跡を辿った。

100716_009_640100716_003_640   鎌倉八幡宮の西側、小町・雪ノ下には「幕府」の屋敷跡や、北条氏を初めとする御家人達の屋敷が並ぶ。

 右の「宇津宮辻子」は、頼朝の妻・政子が亡くなった後気分一新を図ろうと、大蔵の地から4代将軍九条頼経(8歳)を迎えての幕府跡である。
 しかし地震や将軍夫人の死など、不吉な事件が多発したので執権・泰時は1236(嘉禎2)年に引っ越す。わずか11年間の幕府跡である。

 その隣の写真が「若宮大路幕府跡」。ここは親王(将軍)屋敷とも呼ばれ、4代将軍から9代守邦親王まで、つまり鎌倉幕府が滅びるまで(1333年)の97年間国政が行われた場所である。
 その奥まった場所に、冒頭の執権屋敷跡「宝戒寺」があるのだ。

100716_021_640100716_019_640100716_020_640

 宝戒寺は「はぎ寺」とも呼ばれる。
 秋になると境内は萩の花で埋まる。

  1333(元弘3)年、後醍醐天皇に呼応した新田義貞が鎌倉を攻め幕府が崩壊した。天皇は、北条一族の霊を慰めるために足利尊氏に命じて建立させた。
 
 最後の執権・守時は、尊氏の義兄でもある。尊氏は2年後天皇に背き、将軍となって新田義貞らを討ち、室町幕府を開くのである。

100716_032_640100716_033_640100716_029_640   宝戒寺の裏山に、国指定史跡「東勝寺跡」がある。

 ここは3代執権・泰時が北条一族の菩提寺を建立した場所だが、発掘調査の結果石垣なども見つかり城砦としての機能も持っていた、

 事実、1333年の新田軍勢の鎌倉攻めの時、北条の当主・高時はここに一族郎党800人を集めて立て篭もった。
 最後は東勝寺に火をかけて壮絶な最後を遂げている。
 写真右2枚は、高時が最後に籠もったと伝えられる「腹きりやぐら」である。

100716_045_640_2100716_036_640_2100716_042_640   「やぐら」といえば、今回のウオーキングの目玉が未公開の「唐糸・日月やぐら」の拝観だった。

 「やぐら」とは崖壁を削って作った横穴式墳墓で、幕府が平地の墓地を禁止したため、鎌倉には「やぐら」が多い。

 上の写真は北条時政の屋敷跡と伝えられている「釈迦堂口」。この一帯には64ものやぐらがある。

 上の写真は、御伽草子にも書かれている木曽義仲の家臣の娘・唐糸のやぐら。頼朝暗殺を謀って捕らえられ、ここに幽閉された。

100716_048_640100716_051_640100716_053_640  また「日月やぐら」は、内部の壁面に納骨のための穴が掘られており、それぞれ日輪と月輪の形をしているんで、こう名付けられた。
 ただ、誰の墓かは定かでない。

 今回の「鎌倉ウーキング」、暑い盛りなので午前中3時間で終わった。それでも歩数は1万歩を超え、山坂越える少々きつい6キロの散策だった。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 19, 2010

1603.踊る大捜査線

012_640 13年前にテレビでスタートした「踊る大捜査線」、お台場に移転したフジテレビが地元を舞台に、笑いと涙の刑事ドラマを連続放送した。

 テレビの平均視聴率は18.2%と大好評、そこで翌年同じキャストで劇場版「THE MOVIE」を製作、こちらも700万人を動員して101億円を売り上げる大ヒットとなった。

4_50023  5年後劇場版の第2弾「THE MOVIE 2 レインボウブリッジを封鎖せよ」を公開、観客数1260万人、売上げ173.5億円と、日本映画史上最高の興行成績をあげる。

 この実績で、フジテレビの映画製作部門はテレビ部門と並ぶ独立した組織となり、次々と映画製作に乗り出す。
 「踊る・・・」のスピンオフ作品として、'05年には共演者を主人公にした「交渉人・真下正義」「容疑者・室井慎次」も公開、それぞれヒットした。

013_640 満を持して、7年ぶりに製作したのが第3弾「ヤツらを解放せよ!」である。

 製作(亀山千広)監督(本広克行)脚本(君塚良一)も12年前のテレビ時代と同じなら、出演者も御馴染みの顔ぶれが並ぶ。

335874_100x100_001   主役の青島はもちろん織田祐二、所轄(湾岸署)の同僚・上司は深津絵里、ユースケ・サンタマリア、小泉孝太郎、寺島進、松重豊など。
 本社(警視庁)の管理官・柳葉敏郎も相変わらずである。

335874_100x100_007  12年もたったので青島は係長に昇進しているが、署長・副署長・刑事課長のスリーアミーゴス(北村総一郎、斉藤暁、小野武彦)は、昇任なしというのが面白い。
 ただし今回、どうも署長は勇退の気配だ。

335874_100x100_002 この映画(ドラマ)では、老刑事役の故いかりや長介の存在が大きかった。
 そこで考えたのは、彼の残した手帳を持って甥っ子(伊藤淳史)が新人刑事として赴任してきたというエピソードで生かす。

 ほかに本庁管理官補佐(小栗旬)と若い婦警(内田有紀)が加わった。

335874_100x100_004  ストーリーは、
 インターネットを使った犯罪予告、オカルト教祖(小泉今日子)など現代風の世相をはさむ。
 相変わらず、警察機構を皮肉って大いに笑わせてくれるところが、売り。

 ただ前2作に比べて、ハラハラドキドキのレベルは落ちた。
 テンポ良く進んだ前半は面白かったが、スロー気味の後半に不満を抱いた観客も多かったようだ。

 興行収入「100億円」が必須だけに、フジテレビの製作陣もハラハラドキドキしているのではないだろうか。   

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 17, 2010

1602.ボローニャの夕暮れ

003_640_2  思春期の娘を溺愛する高校教師の父親、その偏愛ぶりに疎外感を感じ娘と距離をおく母親、美しい母親に劣等感と反発心を抱く自閉症気味の娘。
 昨年のイタリア映画祭で好評を博した作品である。

 舞台は、第2次世界大戦前夜のイタリアの古都ボローニヤ。父親が勤め、娘が通っている高校で美貌の女子生徒が殺された。
 娘の数少ない親友で、ムッソリーニが支配するファシスト政権の有力議員の子どもだった。

 監督・原案・脚本はイタリアの名匠プーピ・アヴァーティ、このボローニア出身の72歳。
 子どもの頃の実体験をもとに、何処にでもある市井の家族の愛憎を通して、「人間の弱さ」「可笑しさ」「いとおしさ」を巧みに描き出した。
 それはファシズムという世相を背景に、平凡な家庭の崩壊と再生の物語でもある。

011 出演したのは、父親役にイタリアの名優シルヴィオ・オルランド(「息子の部屋」'01)、娘がアルバ・ロルヴァケル、母親は国際女優のフランチェスカ・ネリ(「ハンニバル」'01)。

 オルランドはこの作品で、ヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞し、娘役のロルヴァケルもイタリア・アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞している。

 原題は「ジョバンナの父」。ジョバンナとは娘の名前で、「ボローニャの夕暮れ」と情緒的な題名にしたのは、日本の配給会社。
 タイトルにつられて見に行った人は、その内容の厳しさに戸惑うだろう。
 決して、甘美な郷愁を覚える作品ではない。

 最後まで、幾つかの謎やもどかしさを残したまま映画は終わるが、それがアヴァーティ監督の持ち味でもある。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 16, 2010

1601.ことばの説得力

039_640  友人のアナウンサー、加藤昌男さんから2冊目の著書が届いた。
 「管理職なら磨きたい『ことばの説得力』~職場で役立つ30のヒント」、組織のコミュニケーションの要である中堅層を念頭に、説明力・報告力・スピーチ力・聞く力など、職場で役立つヒントを30項目にまとめたものである。

 加藤さんは、現在NHK日本語センターで「ビジネストーク」や「プレゼンテーション」など、企業の管理職向けの研修を担当している。
 前回の著書は「先生にこそ磨いてほしい『言葉の伝達力』」、このブログ1226号('09.04.22)でも紹介した。

 30のヒントは「管理職はコミュニケーションの要」「ビジネスの基本は『説明力』」「ビジネスに欠かせない『聞く力』」など九つの章に括られる。

 個々の内容については、本を手に取って読んでいただくとして、内容のポイントを本の「帯」から紹介しよう。

 「『説得力』とは、『相手が納得できる ように話したり、聞いたりする力』です。
 指示でも、説明、報告でも、相手がなるほど、もっともだと納得し、共感して動いてくれなければ組織ア機能しません。
 相手の共感を得られるように伝えるためには、状況に応じた的確なことばと論理立てが必要です。説得力を磨くためには一定のトレーニングと日ごろの心がけが必要です。
 明快な伝え方、適切な聞き方、説得力を持った話し方を、30項目に整理してみました。」

 会社勤めを終えて6年、ビジネスの世界でのノウハウは必要ないが、時々講演を頼まれる。
 そこで「第8章 さすがと言わせる『スピーチ力』」の項を、繰り返し老いた頭に叩き込んでいる。

 加藤昌男著「管理職なら磨きたい『ことばの説得力』~職場で役立つ30のヒント」(NHK出版刊) 定価1000円(税別) 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 15, 2010

1600.アデル

008_640_2  ヨーロッパコープのオーナー兼プロデューサー、監督・脚本作品も多いリュック・ベッソンは、「時代のミューズ」を送り出すのが上手い。

 「ニキータ」('90)ではアンヌ・バリロー、「レオン」('94)ではナタリー・ポートマン、そして「フィフス・エレメント」「ジャンヌ・ダルク」('99)でミラ・ジョヴォヴィッチをスターにした。

009_640_9   今回の作品のニュー・ヒロイン「アデル」は、フランスのTV「キャナル+」のお天気姉さんこと、ルイーズ・ブルゴワン。

336194_100x100_002_2  給食女から弁護士・尼僧・看護士に警官と次々に変装しては、敵地に乗り込むジャーナリストの役である。

 アデルの名前は、今回初めて聞いたが、フランスでは知らぬ人はいないという。
 人気劇画作家ジャック・タルディが、30数年前から書き続けているコミック・シリーズの主人公で、すでに9巻が発行されている。
 ドライでアイロニカル、ダークな画風はフランス人好みのようだ。

  リュック・ベッソンは、10年前から「アデル」の映画化を構想していたが、気難しいタルディのこと、なかなか許可が下りず製作には時間がかかった。

336194_100x100_007_4336194_100x100_001  ストーリーは、双子の妹の命を救うためにエジプト王の秘薬を手に入れようというもの。
 だから邦画の副題には「ファラオと復活の秘薬」とつく。
 原題は「アデルの驚異の冒険」。

 共演として、「潜水服は蝶の夢を見る」('07)に主演したフランスの演技派俳優マチュー・アマルリックが彼女の宿敵として怪演している他、妹役にロール・ド・クレルモン(「潜水服は蝶の夢を見る」)、まぬけな警部役にジル・ルルシュー(「パリ」'08)など、フランス映画の御馴染みが顔を見せる。

336194_100x100_009_4  フランス映画には珍しいモーション・ピクチャーを使った「復活ミイラ」のパリ市街散歩や、ジュラ紀の翼竜「プテロダクティルス」の登場など、子どもたちも楽しめる作品だが、少々グロっぽい場面もあって「PG12」となっている。

336194_100x100_003_5  ラストは、ヒロインが次の冒険に旅立つシーンだが、その豪華客船の名は「タイタニック号」。

 ベッソン監督、これが当たったらシリーズ化を目論む?
 ヒロインも美人で色気もあるので、観客の賛同もきっと得られるだろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 14, 2010

1599.ロストクライム~閃光

007_640 闇に葬られた「三億円事件」の真実を、命懸けで暴く刑事。
 威信にかけてもそれを阻止しようとする警察組織。
 事件に翻弄された人間達の底知れぬ闇を、彼等の生きた時代とともに描いた作品。

335848_100x100_006 原作は、元週刊誌記者でノンフィクションライターの永瀬隼介が書いた「閃光」。
 彼の学生時代に発生した東京・府中での「三億円強奪事件」を、真っ向から取上げた作品である。

 事件の背景に警察組織や関係者が存在していた、との噂は当時からあった。
 地方勤務を終え、東京に転勤した翌年の事件だけに良く覚えている。担当分野では無かったが、同じジャーナリズムの世界の人間として強い関心は持っていた。
 かなりの期間、ニセ白バイ警官の「モンタージュ写真」が街頭に貼られていた事を思い出す。

335848_100x100_001 映画の主役は、2人の刑事である。
 ひとりは野心溢れる若手の所轄刑事、渡辺謙の息子・大。
 もう一人が定年真近かの本庁刑事、奥田瑛二。
 奥田には、若い頃「三億円事件」を手がけ、「ロストクライム」にしてしまった苦い経験がある。

335848_100x100_005  時は2002年、隅田川に絞殺死体が揚がる。それは、34年前に奥田が追った3億円事件の容疑者のひとりだった。

 作品を撮ったのは、伊藤俊也監督(73歳)と鈴木達夫カメラマン(75歳)。
 伊藤は紫綬褒章も受章した映画界の長老、東条英機を扱った「プライド~運命の瞬間」('98)以来12年ぶりのメガホンだった。

 2人は筋金入りの昭和の映画人だけに、時代を描くのが上手い。モノクロのニュース映像が流れる。

 1968年・・・、時代はアングラ、反戦運動、グループサウンズ、東大紛争に全共闘、そして高度経済成長。
 エネルギーを持て余した若者達が、「國際反戦デー」の夜、新宿西口を占拠し山手線になだれこんだ。
 三億円事件は、その2ヵ月後に発生した。

335848_100x100_003  3人の女が登場する。刑事・渡辺の同棲相手、元ヘルス嬢の川村ゆきえ。元全共闘の闘士で今はクラブのオーナー、かたせ梨乃。ガンで亡くなった刑事・奥田の妻、中田喜子。

 伊藤監督は、3人それぞれのセックスシーンをストレートに描く。観客に戸惑いがあったようだが、それは監督のサービス精神でもあり、「世代」を表現するシーンでもあった。

 犯人は誰か。動機はなにか。3億円の行方は。
 映画は、大胆な「仮説」でそれに迫る。

335848_100x100_004  昭和最大のミステリー「三億円事件」。
 映画製作に関わった朝日新聞とテレビ朝日は、「三億円事件・封印された真相」と題した5日間の連続企画(広告特集)を組んだ。
 事件を知らない世代にとって、それがガイダンスとなる。

 ご近所でロケした映画だけに、見慣れた光景が多い。そのせいか、身近な事件と錯覚してしまう。    

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 13, 2010

1598.アウトレイジ

004_640 「その男、凶暴につき」('89)で監督デビュー、「HANA-BI」('97)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞、そして「BROTHER]('01)と続いた北野武の、久し振りのバイオレンス。
 タイトルを初回作に因んで「アウトレイジ=凶暴」とした。

335747_100x100_001  ただこれまでの様な、寡黙なアウトローが主役ではない。壮絶な暴力描写の中に無常観を漂わせた「北野美学」を排し、アウトレイジ=極悪非道をとことん描く。
 ヒーロー不在、全員悪人である。

 従来のヤクザ映画に見られる、ロマンも義理人情もない。だから単純明快に本質を突く。
 それが日本の縦社会の縮図を炙り出すのだ。

Outrage_wp_01_1024x768 これまでの北野作品とは縁の無かったベテラン俳優達が顔を並べる。

335747_100x100_006  巨大暴力団の会長(北村総一郎)と若頭(三浦友和)、傘下の組長(國村隼)に 若頭(杉本哲太)。

335747_100x100_007  その系列三次団体の武闘派組長(ビートたけし)と若頭(椎名桔平)、部下には英語もペラペラのインテリヤクザ(加瀬亮)がいる。

 権力争いでシマを獲られた組長(石橋蓮司)には、忠実な若頭(中野英雄)がいる。

335747_100x100_004  そして最もワルが、若頭三浦とつるむ暴対刑事(小日向文世)。
 女優の存在は薄い。

 巨大暴力団を、大企業の持ち株会社と比喩すれば話は判りやすい。

 傘下の子会社社長・國村の立場、孫会社のビートの役割、乗っ取られた会社社長・石橋の無念。
 馴れ合い、裏切り、騙しあい、派閥抗争に巻き込まれる中間管理職の悲哀が、全体のストーリーを繋ぐ。

335747_100x100_003 生残りをかけた下克上と報復の連続、そしてほぼ全員が死に絶える。
 最後に笑ったのは誰か、しかし彼もやがて下克上の世界に巻き込まれる事が暗示される。

 一様に黒い背広を着込み、黒い車を連ねる。空はまさに「キタノブルー」の世界だ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 12, 2010

1597.咸臨丸、大海をゆく

033_640  「咸臨丸のサンフランシスコ航海といえば勝海舟(麟太郎)が指揮し、日本人のみによる快挙として喧伝されていた。・・・・・・・ところが、咸臨丸の航海を調査すればするほど、その宣伝とは裏腹な"勝海舟像"が浮んでくる。」

034_640  今年は、咸臨丸が太平洋を往復してから150年の年。
 それを記念して帆船「海王丸」が、当時の乗組員の子孫等を乗せて、同じ航路を辿った。

 そんな折、元帆船「日本丸」のキャプテンで、東京商船大学教授も勤めた橋本進さんが、表題の著書を刊行した。
 航海術のプロフェッショナル、帆装・艤装の第一人者による「サンフランシスコ航海の真相」である。

 咸臨丸は、日米修好通称条約締結(1858年)による遺米使節の随伴艦として、サンフランシスコへ航海した。
 それは新見豊後守ら3人の使節が、迎えに来たアメリカの軍艦で渡米したからである。

1e549f05d3678c94_6  幕府の軍艦操練所の教授方頭取だった勝麟太郎らは、この機会を捉えて、日本人たちにも遠洋航海を経験させようと、「別船仕立て」を幕閣に願い出て実現させた。

 当時、社会情勢は複雑だった。天皇の許可なく開国した事、それに反対する人たちを弾圧した「安政の大獄」、さらに将軍継嗣問題の対立、使節の人事もたびたび変更された。

 それ故か「咸臨丸」は、多くの知られざる「事実」を乗せてサンフランシスコに向かう。
 キャプテン橋本は、その謎をプロの眼で解き明かしていく。

035_640  我々が知らなかった多くの「謎」と「事実」がある。いくつか列挙してみよう。

 ・随伴艦決定までに、三度も艦は変更された。それはなぜか。

 ・乗艦者のトップは、使節副使でもある軍艦奉行・木村摂津守(29才)。彼はいったい何者?航海の経験はあったのか。
 ・二番手は勝麟太郎(37才)、教授方頭取。勝の役割は?歴史的には彼がキャプテンとされているが、それは事実か。

Photo_2  ・通弁役として、幕臣となったジョン万次郎(33才)~写真左~が乗艦している。彼は勝より遠洋航海の腕は確かだ。単なる通訳だったのか。
Image  ・幕臣でもない福沢諭吉(25才)~写真右~が、軍艦奉行の従者の名目で乗艦している。彼の目的は?

 ・アメリカ海軍大尉のブルックス(33才)と、彼の部下10人も乗艦しているがその役割は?

 1860年(万延元)年正月19日、咸臨丸は浦賀を出航した。既にその日から、艦は暴風雨に遭遇、日本人乗艦者は木村・勝を始めほとんどの士官(幕臣たち)が船酔いでダウンした。
 仕方なく艦の操船はブルックス大尉とその部下、ジョン万次郎の手に委ねられる。

 それ以来、勝はほとんど部屋に閉じこもり、デッキには現れていない。
 日本人のうち、万次郎と同じく船酔いしなかった福沢が、それをクールに記録している。
 そして艦は、太平洋の荒波を往く。その先には・・・・・・・。

 キャプテン橋本はこの著書で、航海日誌や乗艦者たちの手記をもとに、浦賀出航以後帰国までの「航海の真相」を書き綴る。
 それは、まさにミステリアスなドラマだった。

031_640  橋本さんとは、34年前の「アメリカ独立200年記念・ニューヨーク航海」以来、交誼が続いている。
 彼が船長だった帆船「日本丸」に、私も「航海ドキュメンタリー」と「写真集」制作のために乗船したからである。

029_640_3 退任後の彼は、海事普及のボランティアとして活躍している。
 今年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」の海事監修も、彼である。

 毎年開かれる東京・晴海の「港祭り」で、来航する帆船の解説も彼が担当する。
032_640  私も毎年出かけて、その後彼と盃を交わすのを楽しみにしている。
 話題はもちろん往時の航海の思い出。「日本丸も太平洋を横断するのに35日。咸臨丸もまた同じ日数だった」と。

 橋本進著「咸臨丸、大海をゆく」(海文堂刊)は、今月19日に出版。定価1500円(税別)。    

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 10, 2010

(号外)月島草市

038_640  入谷の「朝顔まつり」が終わると、月島の「草市」が始まる。
 今日と明日、もんじゃ通り(月島西仲通り)500mに露店が並ぶ。

100710_019_640100710_020_640   
 「草」とはお盆のための道具や仏前のお花のこと。
 大正の頃から、近郊の農家がこうした品を月島の通りに並べた。

 東京では珍しい「市」だったが、いまでは子供たちの縁日となった。

 ブログ1298号(09.07.14)や981号(08.07.14)でも詳しく紹介しているので、この行事も写真中心の「号外」とする。

100710_008_640100710_023_640100710_041_640

100710_032_640100710_016_640100710_021_640


100710_010_640_4

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 09, 2010

1596.ザ・ロード

002_640_2   天地異変によって文明が崩壊した社会。人びとは狂気の獣となって互いに喰い合う。
 その世界にあって人間としての心を失わずに、南へ向かう父子の苦難の旅が描かれる。

 原作は「ノーカントリー」を書いたコーマック・マカーシー。この「ザ・ロード」で、2007年度ピューリッツアー賞を受賞した。

1024b  わが息子を命懸けで守りきる父親を、「イースタン・プロミス」('07)でアカデミー賞主演男優賞にノミネイトされたヴィゴ・モーテンセンが演ずる。
 その名の通り北欧系の血筋をひく、モーテンセンの迫真の演技が素晴らしい。

 そしてもう一人、息子の役コディ・スミット=マクフィー。オーストラリア出身の子役が、天使のような少年をみずみずしく演じる。

1024d 息子に人としてのモラルを語り伝える父親、その教えを胸に「希望の火」を南へと運ぶ息子。
 そこにある人間としての優しさ・温もりが、見る人の感動を呼ぶ。

1024c 回想で登場する妻・シャリーズ・セロンとのシーンも美しい。
 「モンスター」('03)でオスカー女優となったセロンの「絶望」が、モーテンセンの「老い」を引き出す。

 他にオスカー俳優ロバート・デュヴァル(「テンダー・マーシー」'83)とガイ・ピアーズ(「ハート・ロッカー」'10)が、まだ人間の心を持った旅人として登場する。

1024a 終末の世界を描いた作品は多い。
 「マッドマックス・シリーズ」('79)「アイ・アム・レジェント」('07)そして先週紹介した「ザ・ウォーカー」もそうだが、これまではSFの世界でありアクションの世界だった。

335576_100x100_006  「ザ・ロード」の様に、「人間性」そのものを描けたのは、ジョン・ヒルコート監督(「プロポジション」'05)の腕だろう。
 彼はCGに頼るのではなく、実在のロケーションに拘った。ペンシルバニアやオレゴン、ハリケーン・カトリーナで荒廃したルイジアナ州などが主な撮影場所となった。

 この作品は、鋭い社会批評をはらむ「現代の寓話」なのだ。
 だから西へと向かった「ザ・ウオーカー」のデンゼル・ワシントンと、出会う事は無い。  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 08, 2010

1595.イエロー・ハンカチーフ

_640_2001_640_2

 「もし、俺を待っていてくれるなら、庭の竿の先に黄色いハンカチを結んでくれ・・・」
 自分を信じる「強さ」、人を思いやる「やさしさ」、それは世界共通の人間の姿である。

 '77年に公開され、日本アカデミー賞をはじめ、国内の映画賞を総なめした不朽の名作「幸福の黄色いハンカチ」が、アメリカでリメイクされて日本に戻ってきた。

 6回もアカデミー賞を受賞している名プロデューサーのアーサー・コーンが、山田洋次監督に懇願して権利を得、山田監督を尊敬するインド出身の監督ウダヤン・ブラサッドがメガホンを執った。
 カメラもまた、ミッション」など2回のカデミー賞受賞者のクリス・メンゲスだかr、そのカメラワークは冴える。

Yellow01_1920 「誠実なリメイク」と山田監督が評するだけに、ストーリーは全く同じ。
 刑期をを終えて出所した男が、偶然に出会った若い男女と「約束の地」に向かう話し。
 ロードムービーのなか、フラシュバックで男の過去が語られる。

20100308008fl00008viewrsz150x_2Kiiro01_1920_640  高倉健が演じた寡黙な男を、オスカー俳優(「蜘蛛女のキス」'85)のウイリアム・ハートが演じる。
 健気な妻・倍賞千恵子の役は、ベテラン女優のマリア・ベロ。
 マリアとウイリアムは、「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」('06)でも共演しているので、息が合う。

Yellow02_1920 若い男女はクリスティン・スチュワート(「トワイライト~初恋」'08)トエディ・レッドメイン(「ブーリン家の姉妹」'08)。
 日本では当時売れっ子の桃井かおりと映画初出演の武田鉄矢だった。

 このリメイク版ではその桃井が、モーテルのおかみさん役でカメオ出演している。撮影を見学に行ったら、ブラサット監督に引っ張り出されたそうだ。

 「幸福の黄色いハンカチ」、北海道・釧路から網走・阿寒、そして夕張の風景は美しかった。
 今回はミシシピー川沿いに、南へ南へと下る。約束の地は、ニューオリンズなのだ。

330597_01_02_03  廃坑となった夕張、ハリケーンに襲われて荒廃したニューオリンズ。そのどちらにも、幸せの黄色いハンカチが翻る。

 結末が判っているだけに、33年前の感動を同じくするのは無理だったが、初めて見るアメリカの人たちにとっては、涙が止まらないラストだろう。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 07, 2010

1594.トロッコ

7_001_640

 篠田正浩監督の助監をしていた川口浩史が、芥川龍之介の不朽の名作「トロッコ」に想をえて、台湾を舞台に撮った作品。

336111_100x100_001  急逝した台湾出身の父の遺骨を持って、故郷の祖父を母親と訪ねた兄弟の、ひと夏の「冒険」の物語である。

 兄弟は、トロッコに乗って鬱蒼とした森への未知の旅を経験する事で、新たな家族の絆を取り戻す。

336111_100x100_006  描かれるのは、失われつつある日本の原風景であり、異郷の祖父の日本への想い、失った息子への祖母の想い、そして亡き父への母の想いである。
 兄弟は、その想いに包まれながら少しずつ成長していった。

 脚本も書いた川口は、幼い頃に教科書で読んだ芥川の「トロッコ」の映画化を、長い間暖めてきた。
 トロッコの風景を探して台湾を訪ねた折、日本統治時代を経験し、流暢な日本語を話すお年寄り達に会い、オリジナル脚本を書き上げた。

336111_100x100_004 その川口を支えたのは、台湾の映画人たちである。
 撮影を担当したのは「花様年華」('00)のリー・ビンビン。「春の雪」('05)や「空気人形」('09)など日本映画でもカメラを執った、ホウ・シャオシェン監督の片腕である。

 出演者も祖父をホン・リュウ(「大地の子」'06)、祖母をメイ・ファン(百年恋歌」'05)と2人の名優が、叔父や森の青年をチャン・ハン、ブライアン・チャンら台湾の若手スターが演じている。

336111_100x100_005 日本からは、カンヌ国際映画祭でグランプリを獲った「殯の森」('07)の主演女優・尾野真千子が母親、原田賢人(12歳)と大前喬一(10歳)が子役で出演している。

 また音楽とソロ演奏を、日本を代表するヴァイオリニストの川井郁子が担当し、詩情豊かな曲を奏でる。

 地味な地味な作品であるが、なぜか郷愁を覚える。   

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 06, 2010

(号外)入谷の朝顔

007_640017_640004_640 

 下町の夏の風物詩「入谷朝顔まつり」が、今日から始まっている。

 江戸時代から武士の内職で育てられてきた江戸の朝顔、明治に入ると入谷が有名になる。
 その由来や歴史は、毎年このブログで紹介してきたので今回は省く。という事で写真中心の「号外」で。

 朝顔まつりは、明後日8日まで。およそ7万鉢が並ぶ。
 地下鉄日比谷線「入谷駅」下車。鬼子母神前。

013_640015_640003_640   

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 04, 2010

1593.水のまちの記憶(2)

Imgp1442_640_2013_640  中央区と江東区を結ぶ永代橋。1698(元禄11)年に架かったこの橋は、当時の隅田川最下流にあった。

 本所松坂町の吉良邸で、主君の仇を討った赤穂浪士が、泉岳寺に引揚げる時この橋を渡った。
 完成した4年後のことだった。

 右の広重の画は、その橋桁から佃島を望んだものである。
  「月も朧に白魚の、かがりも霞む春の空・・・・」
  歌舞伎「三人吉三」でのお嬢吉三の名台詞は、大川端のここが舞台。

Imgp1451_640 その大川端側からの光景。
 カメラの位置は、「リバーシティ21」の再開発によって、1993(平成5)年に架けられた中央大橋。
 向こうにスカイツリーが見える。

 明治末の東京郵便局の記録によれば、京橋区・日本橋区(現中央区)に架かる橋の数は、117あった。
 隅田川には両国橋・新大橋 ・永代橋・相生橋、神田川に左衛門橋・浅草橋・柳橋。

012_640  日本橋川には、日本橋(右の画)・江戸橋・鎧橋・湊橋・一石橋・西河岸橋に豊海橋があった。

Imgp1443_640  左の写真はその豊海橋、別名乙女橋。
 日本橋川が隅田川に流入する河口にある橋で、ここは新堀河岸と呼ばれていた。

 上方から運ばれる酒の蔵が並んでいた場所で、現在でも近所には、ビール会社の本社や蔵元の東京事務所が並んでいる。

Imgp1445_640  江戸中期に架かった豊海橋も大震災で崩壊、ドイツの橋梁を手本に1927(昭和2)年に、再建された。

014_640 右の画は、江戸湊・鉄砲洲からみた京橋川の稲荷橋。

 上方からやってきた桧垣廻船や樽廻船は、ここで米や醤油、味噌などの商品を瀬取船や茶舟に積み替え、張り巡らされた掘割を抜けて江戸市中奥深くまで運んだ。

 京橋川には、紺屋橋とか炭屋橋など卸問屋に因む橋の名が今も残っている。

Imgp1428_640Imgp1436_640Imgp1431_640 明治末117あった橋は、現在40に減っている。

 川の流れはなく、道路の片隅や交差点の名前だけに残っている橋も多い。

Imgp1448_640Imgp1452_640015_640_2    石川島と佃島を結ぶ佃小橋。
 1644(正保元)年、佃島誕生時に創架された橋の下には、住吉神社大祭で建てる大幟の柱が水中保存されている。

 次の大祭は、来年の8月。今年は、天保時代から担がれてきた「八角神輿」だけが、最後の渡御巡行を行う。

023  藤沢周平の小説に「ささやく河」(1985年刊)がある。江戸の下町を舞台にした「捕り物控え」。
 作家の関川夏央が、その書の解説にこう書く。
 「伊之助(主人公)は江戸の町をたゆみなく歩く。多くの通りを歩き過ぎ、多くの橋を渡る。江戸の空に季節を読んで、水面に屈託やあきらめ、それから希望を溶かす。この小説を読むとき、江戸は水の町なのだとわかる。」 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 03, 2010

1592.水のまちの記憶

_640_2  かっては「水のまち」だった東京・中央区。その後は次々に埋め立てられ、現在は隅田川・外堀川・神田川・日本橋川そして若干の支流と運河だけになった。

 中央区の郷土天文館では、水辺豊かだった往時を偲び、掘割の歴史を辿る特別展「水のまちの記憶」を催している。

001_640 右は、1643(寛永20)年頃の江戸の地図。現存する最古の精細な全図で、現中央区部分だけを抜き出した。

 中央左の青い部分が、隅田川と江戸湊。築地一帯はまだ埋め立てられてなく、佃島も見えない。
 ただ幾つもの掘割が、縦横に走っている。

 江戸のまちづくりは、徳川家康の入府(1590年)から始まった。町割りを決め、日比谷の入江から埋め始めた。
 諸大名を動員した「天下普請」である。
 Imgp1434_640
 まちづくりのため、掘割がつくられた。それは建築物資や江戸に住む人たちのための生活物資の輸送に欠かせなかった。

 隅田川河口の湿地帯に土を入れ、水路の部分だけを埋め残す。
 こうして江戸のまちは、「水の都」となった。

002_640  右の地図は江戸時代後期(1842年)のもの。
 赤い印は、大名や旗本の屋敷。築地や佃島も造成され、掘割はさらに増えている。

Imgp1441_640  霊岸島にあった福井藩主松平越前守の屋敷廻り(右下赤い矢印)は「越前堀」と通称され、ここからは江戸城外堀の石垣に匹敵する巨大な石材(写真左)も発掘されている。

 掘割が埋められ始めたのは、関東大震災以後である。
 水運が陸上輸送にかわり、震災復興のため昭和通りや晴海通りが開通する。(西堀留川・入船川・鉄砲洲川消滅)

006_640_2007_640   戦災復興によって、さらに埋め立ては進む。東京駅前の外堀川が埋め立てられ外堀通りに、三十間堀川は三原通り、新川・浜町川も埋め立てられた。

 そして完全に「水のまち」の光景を消し去ったのが、東京オリンピックだった。

011_640_3010_640_2   有楽町に残っていた外堀川・京橋川が完全に埋め立てられ、「君の名」で有名な数奇屋橋(右の写真)や京橋が消えた。

Imgp1430_640Imgp1425_640  さらに築地川・楓川・汐留川が高速道路や公園となった。

Imgp1395_640  現在築地川で残っているのは、浜離宮と築地市場に挟まれた船溜まりだけである。
 ここだけが水上バスなどの発着所として、江戸時代からの水運の伝統を引き継いでいる。

005_640  「水のまちの記憶」を見た後、近所の掘割や橋を散歩した。広重の描いた江戸百景絵と並べながら、次回紹介する。

 来週末の9日の夕方には、郷土天文館で「水のまちの記憶を語る集い」も開催される。入場料は無料。

(左の地図クリックすると拡大します。青い部分は現在の川と運河。黄色が東京オリンピックでの埋め立て、緑が戦災復興~特別展のパンフから)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 02, 2010

1591.SEX AND THE CITY 2

7_640_4  日本でも大ヒットしたアメリカのテレビシリーズ。2年前に劇場版が公開されたが、今回はその第2弾である。

 前作では、主役のベストセラー作家がゴールインするほか、4人のヒロイン全員がメデタシ、メデタシだった。
 しかし今回はその4人が、それぞれの人生の岐路に立たされるが、ひょんな事から中東アブダビへ超ゴージャスな旅に行くお話。

 4人のヒロインと彼女たちを取り巻く男は、テレビシリーズ・前作と全く同じ出演者である。

Satc2_wallpaper_1024x768_3_2 まず主役、結婚2年目にして、もう夫(クリス・ノ-ス56歳)との間に倦怠ムードが流れる作家は、サラ・ジェシカ・パーカー。
 アブダビで元カレ(ジョン・コーベット49歳)と偶然に出会って、心がトキメク。

Satc2_wallpaper_1024x768_2_2Satc2_wallpaper_1024x768_6_2 若い恋人を捨ててフリーセックスの道を選ぶPR会社の社長は、キム・キャトラル。
 魅力的な若い男(ジェイソン・ルイス39歳!)と出合って、砂漠でのアバンチュールを楽しむが、これはイスラムの国ではご法度。

 前作で再婚(相手はエヴァン・ハンドラー59歳)に成功して子宝にも恵まれたが、子育てに振り回される主婦がクリスティン・デイヴィス。

Satc2_wallpaper_1024x768_5_2  セックスレスの夫(デヴィッド・エイゲンバーク46歳)に悩まされた前作と違って、今回は仕事と家庭の両立に悩む弁護士がシンシア・ニクソン。

 ゲストとしてライザ・ミネリが出演、ビヨンセの「Single Ladies」を歌って踊る他、ペネロス・クルスがスペインの銀行副頭取としてワンシーンだけ登場するなど、サービスも十分。

Satc2_wallpaper_1024x768_4_2 監督・脚本は、テレビシリーズからのマイケル・パトリック・キング。コメディ作家、舞台演出家でもあるだけに、笑いと涙のツボはきちんと捉えている。

20100205004fl00004viewrsz150x_2 前半の大都会ニューヨークは見慣れた光景だが、アブダビのゴージャスな美しさは見ものだ。

 30年も昔、私もアブダビでロケした経験があるが街の変貌振りには驚いた。
 首長国連邦では、最大の石油国だけにドバイを完全に抜いている。

 ただ旧市街のスークと砂漠だけは変わってはいない。
 ロケの時、砂丘の彼方からキャスターがリポートしながら登場するトップシーンを撮ったが、今回全く同じ砂丘から4人のヒロインが、カラフルなファッションで登場したシーンに、思わずニヤリとした。

335926_04_05_03  それにしても、4人のヒロインたちは若々しい。テレビシリーズの頃は30代だったが、今回キムは50代半ば。あとの3人も40代半ばという実年齢の役である。
 彼女たちが、年を忘れてハジケちゃうところがさすがアメリカ。たびたび露出される皆さんの太ももは、まだまだ魅力的である。

 先月公開以来、興行成績はベスト5を維持している。日本の女性たちの支持も高い。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

July 01, 2010

1590.闇の列車、光の旅

018_640 この1作で、フクナガ監督が鮮烈なデビューを遂げた映画。
 「"本物の称号"を与えられてしかるべき映画」(ニューヨーク・タイムス)
 「壮大な風景の中で描かれる物語は新鮮である」(ウオールストリートジャーナル)
と、評価は高い。

 キャリー・ジョージ・フクナガ32歳。日系3世の父親とスエーデン系アメリカ人の母親のもとカルフォルニアで生まれた。
 ニューヨーク大学で映画を学んだ後、短編作品など撮り続けてきた。

 この作品は、コンテナの中に閉じ込められた不法移民の窒息死を知って製作した短編が基となる。
 サンダンス映画祭で上映され評価を集めたので、さらにリサーチを重ねて初の長編作品を撮った。

335745_100x100_005  不法移民、ギャング団という闇の世界に生きざるを得ない中南米の若者を描いた、感動の人間ドラマである。

 ホンジュラスからアメリカを目指して、闇の列車に乗った少女。その少女を襲ったギャングのボスを殺してしまったチンピラ。
 2人の偶然の出会が、淡い恋ごころとなってロードムービーを生む。

335745_100x100_004335745_100x100_002  国境警備隊の目をかいくぐり、危険な旅を続ける少女は、メキシコで活躍する女優バウリナ・ガイダン。
 組織に追われながらも、少女のアメリカ入国を助ける少年は、ホンジュラス出身のエドガール・フローレス。
 9歳の子役時代から映画やテレビに出演しているバウリナと、生まれて初めて映画にトライしたエドガールの組み合わせが新鮮だ。

335745_100x100_003 新人監督フクナガの才能にほれ込んだガエル・ガルシア・ベルナルが、製作総指揮として彼を支える。
 ベルナルは、「バベル」('06)にも出演したメキシコの大スター。最近は監督としてもその名が高い。

335745_100x100_006  27時間、不法移民たちと貨物列車の屋根に乗って書いたフクナガの脚本は、決して「フィクション」ではなく現実の中南米の実態なのだ。

 メキシコのギャングたちが、エキストラとしてこの映画に出演しているのだから、お話もリアルになる。

 作品は、昨年のサンダンス映画祭で監督賞・撮影監督賞を受賞したほか、数多くの映画賞に輝いた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« June 2010 | Main | August 2010 »