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September 30, 2010

1656.サザエさんの美術館

100926_005_640100926_006_640  田園都市線桜新町駅、地上に上がると「サザエさん通り」が目の前。

 この通りにある後輩が経営する店「かごしま」で、同郷の仲間の集りがあった。

100926_008_640100926_007_640   少々早く着いたので、思い立って入ったのが「長谷川町子美術館」。

007_640_2   7年前までおよそ四半世紀、世田谷に住んではいたがサザエさんの美術館は初めて。
 レンガ造りの瀟洒な美術館は、桜並木の住宅街にぴったりだった。

 この美術館は、漫画作家として知られる長谷川町子(1992年逝去)さんが、お姉さんの毬子さんと共に買い求めた美術品を、広く社会に還元しようとの思いで、25年前に開館したもの。

 案内のパンフレットにもマンガで解説してあったが、蒐集は特定の作家に拘ることなく、純粋に好きな作品を購入する方法で集められたもので、その種類は日本画・洋画・ガラス・陶芸など多岐にわたっている。

100926_015_640 訪ねた日は、「秋の彩り」と題した収蔵コレクション展。
 岸田劉生の「麗子像」をはじめ、小倉遊亀、速水御舟、奥田元宋、杉山寧、平山郁夫、加山又造と錚々たる作家の作品が並べられていた。

009_640_2   「デパート絵画展の前日、店員の出入口からまぎれこみまして、火事場のような展示最中の会場で、これぞとめぼしをつけ、よく日開店と同時に駆け込んで手に入れるという芸当もやりました」
 と、マンガで解説されている加山又造画伯の「月朧」を眺めていると、サザエさんが隣に佇んでいるような錯覚に陥る。

 帰りには「サザエさん」の絵葉書数点を求め、仲間の待つ「サザエさん通り」の店に戻った。

 長谷川町子美術館・東急田園都市線「桜新町駅」下車7分。
 入館料・65歳以上は500円。  

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September 29, 2010

1655.浜離宮

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100929_030_640100929_034_640  四季ごとに訪ねる浜離宮。
 「秋桜」を愛でる秋の散歩、今年は酷暑と雨天を避けたので、例年より2週間遅れた。

100929_022_640_2100929_021_640_3  お花畑を埋め尽くすコスモスは、「キバナコスモス」に「オオハルシャギク」「サニー・イエロー」の30万本。
 大正時代に日本に渡来した「キバナ」は、すっかり浜離宮の名物となった。

100929_016_640100929_017_640100929_010_640  「スイフヨウ」は午前中に白い花が咲き、午後になると酔ったようにピンクになるという。

 丁度午前10時、なぜかピンクの蕾が、白い花の中に埋もれていた。

 「オミナエシ」「ミヤギノハギ」「ヒガンバナ」・・・・、花々が秋の浜離宮を飾る。

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September 28, 2010

1654.ミレニアム2・3

020_640 スエーデンの左翼系ジャーナリスト、スティーグ・ラーソンが初めて書いた推理小説が原作。
 当初は5部作を予定していたが、3部まで書いて出版しようとした直前に、心筋梗塞で急逝した。まだ50歳という若さである。

Jacket3_2Jacket2_1_3  原作は2005年に刊行され、40ヵ国2600万部のミリオン・セラーとなり、ミステリー界では「ダ・ヴィンチコード」を抜いた。

 今年の1月に公開された第一部「ドラゴン・タトゥーの女」は、「ミレニアム社」の敏腕編集者と、鼻ピアス全身タトゥーの天才ハッカーのヒロインが組んで、40年前の富豪一族少女失踪事件の謎を追うミステリーだった。

336921_100x100_009_2336921_100x100_005  主人公の編集者役のミカエル・ニクヴィストは、スエーデンのベテラン俳優で「喜びを歌にのせて」('06)でお馴染みだったが、ドラゴン・タトゥーの女ノオミ・ラバスは新人だけに、強烈な印象を残した。
 身長150㎝体重は40k、少年のように引き締まった体、ヤマハのバイクで疾走する画は新鮮だった。

336921_100x100_004  今月同時公開された2部・3部は、「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」。

 前者は、旧ソ連からの亡命スパイとスエーデンの公安当局が絡んだ陰謀を追う主人公と、冤罪を着せられたタトゥーの女の物語。
 この作品によって、ヒロインの衝撃の過去が明らかになるというもの。

336922_100x100_003_2  後者の第3部はその解決編で、冤罪のヒロインを守るため編集者やその妹の弁護士たちが、インターネット・グループ「狂卓の騎士」を組織して闘うというストーリーである。

 全体を通して、近親相姦やサディズム、猟奇犯罪が描かれているのは、いま北欧で社会問題化している女性に対する性的暴力や少女売春問題という現実が作品に色濃く反映されているからである。

336921_100x100_001  第1部があまりにも面白かったので、2部・3部と期待を持ちすぎると少々がっかりする。
 ヒロインであるドラゴン・タトゥーの登場が、もうショッキングではなくなったからかもしれない。

 しかしハリウッドでは、デヴィッド・フインチャー監督、ダニエル・クレイブ主演でリメイク版が製作中だという。

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September 27, 2010

1653.食べて、祈って、恋をして

Italy_1_800x600India_2_800x600Bali_3_800x600  上の写真は、ソニー・ピクチャーズが提供している壁紙。

 左は「食べて」。
 ヒロインはイタリアで、カロリーを気にすることなくピザやスパゲッティーを食べ尽くす。

 真ん中が「祈って」。
 インドでは、「自分を許せるまで」ヨガと瞑想に耽る。

 右が「恋をして」。
 インドネシアのバリ島が旅の集大成、癒された心に再び情熱が・・・。

 アメリカのジャーナリスト、エリザべス・ギルバートが書いた自伝小説が原作。
 「昔はもっと輝いていた」と、離婚・失恋を経験したアラフォーのヒロインは自分探しの旅に出た。
 この「実話」は、多くの女性たちの共感を呼び、小説は40ヶ国700万部のベストセラーとなる。
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 そのヒロインを演じるのがオスカー女優(「エリン・ブロコビッチ」'00)のジュリア・ロバーツ。実年齢はアラフォー、まさにそのままの役である。

336557view011  別れた夫がビリー・クラダップ(「パブリック・エネミーズ」'09)、失恋したイケメンはジェームズ・フランコ(「ミルク」'08)と、それぞれ42歳と32歳。
 こちらも実年齢通りの配役である。

336557view003  そして最後に恋した大物は、スペイン出身のオスカー俳優(「ノーカントリー」'07)ハビエル・バルデムときた。

 映画は、ニューヨークを基点にイタリア・インド・バリ島とオール・ロケで綴る。
 歴史的な建造物からアジアの雑踏、美しい自然やのどかな農村風景が、都会人のヒロインの心を癒すのだ。

336557view001  240分とちょっと大味な作品だが、劇場内はアラサー・アラフォーの女性で埋まり、男性の観客はチラホラ。
 あるアラフォーの評。「『経験』した人にしか共感出来ない映画ですね」と。
 離婚や失恋した事のない幸せな女性にとっては、つまらない映画なのだそうだ。

 監督ライアン・マーフィー。なぜかブラッド・ピットが、製作総指揮に名を連ねている。

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September 26, 2010

1652.さつま・すんくじらの恵み

100926_044_640100926_021_640100926_017_640   旧東海道品川宿で昨日から開催されている「第20回しながわ宿場まつり」。

 そのメイン会場である本陣跡の聖蹟公園では、「さつま・すんくじらの恵み~食と酒の祭典2010」が催されている。

100926_002_640  「すんくじら」とは、鹿児島弁で「隅っこ」のこと。九州の西南端にある我が郷里は、そう呼ばれている。

 その故郷に、昨年誕生したのが「さつま・すんくじらプロジェクト」。南さつまで育まれた「食」「自然」「人」を存分に活かしながら、地域の魅力と資源を都会に発信していこうという試みである。

 プロジェクトは、地元の商工会議所や農協・漁協と鹿児島大学が中心だが、それをサポートしているのが首都圏の若者たち。
 他県の同様な試みには見られない、ユニークな活動がここにある。

100926_024_640100926_030_640  実行委員会を作りイベントを支えているのは、、20代~30代の学生と会社員たち約80人のボランティア。

 地域開発への関心や、南さつまの自然と人情に憧れた人達がクチコミで集まり、ネットワークを築いた。

100926_027_640_2100926_032_640100926_039_640   リーダーの小暮祐一さんは、東大で公共政策を研究している大学院生、鹿児島とはこれまで全く縁のなかった北海道出身者である。

 同様にメンバーの半数以上が、鹿児島以外の出身者というのが、このネットワークの強みでもある。

100926_026_640100926_048_640100926_054_640_2  実行委員会では、11月13日~15日に南さつまを訪ね、地元の食材を生かした料理を創作する「モニターツアー」も企画、参加者を募集している。
 このツアーの費用の一部は「地域資源無限∞全国展開プロジェクト」が負担する。

 詳しくは、下記の「さつま・すんくじらPJ」のホームページを。
 
       http://www.sunkujira-pj.com/

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September 24, 2010

1651.終着駅~トルストイ最後の旅

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 ソクラテスの妻・クサンテッペ、モーツアルトの妻コンスタンツェ並んで、「世界三大悪妻」のひとりと喧伝されたトルストイの妻ソフィア。
 しかし「それは訛伝だった」と作家のジェイ・バリーニは、夫妻の知られざる愛の物語を書いた。

 「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」「復活」などで知られる、19世紀のロシアの大文豪レフ・トルストイ伯爵。
336801_100x100_002  1910年に領地の館を飛び出したが、途中体調不良で下車した南ロシアの小さな駅アスターポヴオで逝去した。
 享年82歳だった。

 家出の原因は、妻ソフィアとの確執と後世に伝えられているが、若き秘書が見た夫妻の強い結びつきは、そんな単純な事ではなかった。

336801_100x100_005  人類愛・反暴力・非私有制を唱え文豪を偶像化するトルストイ主義者たちと、一人の男として純粋に愛し続けた妻との軋轢が、その背景にあったのだ。

 作品はその若き秘書の目を通して、夫妻の真実の愛の姿を描いた。

336801_100x100_001  作品を重厚なものにしたのは、二人の名優に負うところが大きい。
 主役の「悪妻」は、「クイーン」('06)でエリザベス女王を演じてオスカーを受賞したイギリスの舞台女優ヘレン・ミレン。
 文豪トルストイは、カナダの俳優クリストファー・ブラマー(「Dr.パルナサスの鏡」'09)。
 この作品では、今年のアカデミー賞でそれぞれ「主演女優賞」「助演男優賞」にノミネイトされた。

336801_100x100_003  若き秘書役は、イギリスの若手俳優ジェームズ・マカヴォイ(「つぐない」'06)。
 妻ソフィアと対立したトルストイ主義者のリーダーは、ポール・ジアマッティ(「デュプリシティ」'09)という配役。
 監督はマイケル・ホフマン(「卒業の朝」'02)、そしてロシア映画界の巨匠アンドレイ・コンチャロフスキーが、製作総指揮を執った。

336801_100x100_011  「私はあなたの人生最大の作品だったし、あなたは私の人生最大の作品。それが愛というものよ。」
 トルストイとの間に13人の子をもうけた「悪妻」ソフィアは、こう叫ぶ。

 今年は、トルストイが「終着駅」で逝去してちょうど100年になる。

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September 23, 2010

1650.悪人

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 芥川賞作家・吉田修一を知ったのは、3年前に朝日新聞に連載された「悪人」だった。
 ほぼ毎日読んだが、話が途切れるせいか主人公とヒロインの心の襞にまでは没入出来なかった。

 凄い!と思ったのは、単行本を一気に読んだ時だった。毎日出版文化賞、大仏次郎賞のダブル受賞も、納得できた。
 そして映画化である。これは見ないわけには行かない。

 新聞や週刊誌で、脚本を原作者が書いたという事を知り、さらに興味が沸いた。
 「フラガール」('06)で日本アカデミー賞の最優秀作品賞・監督賞を受賞した李相日(リ・サンイル)が、共同脚本・監督というのも見逃せない理由のひとつ。
 そして期待を決して裏切らなかった。

 群像劇である。
 「ひとつの殺人事件」「殺した男と愛した女」「引き裂かれた家族」、この三つが錯綜して作品は展開し「いったい誰が『悪人』なのか」と観客に問う。
 だから上映が終わった後も、なかなか立ち上がれない。

017_640  6人の役者達が上手い。

 殺人犯を演じた妻夫木聡は、自ら手を上げた。これまでの「いい男」をかなぐり捨てた。原作者の吉田修一が脚本を書こうと思ったのは、彼のキャスティングだったという。

 殺人犯と逃避行を続けた女は、ベテランの深津絵里。この演技でモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞したのだから間違いない。

336818_100x100_008336818_100x100_006   殺された女は満島ひかり(「食堂かたつむり」'10)、醜さと可愛さを同じ表情の中で見せる。
 その彼女をナンパした大学生・岡田将生(「告白」'10)、その軽薄さがリアルだ。

 さらにベテラン二人。
 被害者の父親・柄本明と加害者の祖母・樹木希林。押えてはいるが、その迫力には脱帽する。

Wp_01_1024x768  吉田修一(原作)×李相日(監督)×久石譲(音楽)、至高の才能が贈る感動作が誕生!とチラシで謳うが、決して感動を無理強いさせる作品ではないところに、観客は感動する。

 キー・ビジュワルとなった灯台が美しい。

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September 22, 2010

1649.彼女が消えた浜辺

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 日本で公開されるイラン映画と言えば、「ペルシャ猫を誰も知らない」など反体制作品がほとんどだ。
 「彼女が消えた浜辺」のような、「普通の作品」は珍しい。

 作家の沢木耕太郎は、朝日のエッセイで
 「この舞台はイランのカスピ海のほとりであるが、それがアメリカの五大湖のどこかであってもいいだろうし、フランスのノルマンディーであってもかまわない」
 「この作品で、ついに『イラン』というレッテルなしの、『普通』の映画に触れた」と書く。

337058_100x100_006  密度の濃い舞台劇を思わせる、心理サスペンスである。
 カスピ海浜辺の別荘、3組の夫婦と一緒にヴァカンスに訪れていたひとりの女性。その彼女が忽然と姿を消した。
 この失踪事件によって、友人間や夫婦の間でこれまで隠されてきた不満や軋轢、エゴや不信がスリリングに炙りだされていく。

337058_100x100_004337058_100x100_002 消えた女性エリを演じたタラネ・アリシュスティ、バカンスを企画して彼女を誘った女性ゴルシフテ・ファラハニ、イランでは有名な美人女優だそうだが、銀幕で見るのは初めて。
 それだけに結末は想像できない。

 普通の映画とはいえ、舞台がイスラムの国だけに、女性の生き方の「規範」とか「建前」の厳しさが「真実」を見えなくしてしまう。

337058_100x100_007  監督のアスガー・ファハディも初めて聞く名であるが、この作品で昨年のベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀監督賞)を受賞している。

 「チェーホフ劇を思わせるような、胸えぐるドラマ」(Studio Cinelive),「荒れ狂う海を背に、恐怖と緊張が募る、正真正銘の見事な心理劇」(Figaroscope)と、映画批評誌の評価も高い。

 英題は「About Elly」。このAboutに監督の全てが込められている。 

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September 21, 2010

(予告)さつま・すんくじらの恵み

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 今週末の25日~26日、品川聖蹟公園で「さつま・すんくじらの恵み~食と酒の祭典2010~」が開催される。
 このイベントは、南さつまの旅・食・酒の魅力を都会の皆さんに知ってもらおうと、昨年から開催されているもの。
 地元の商工会議所や鹿児島大学が設立した「地域資源活用プロジェクト」と、地域開発に関心の高い首都圏の若者達が共同で主催している。

 会場は京浜急行「新馬場駅」徒歩5分、入場無料。
 詳しくは、下記のホームページで。

 http://www.sunkujira-pj.com/

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September 20, 2010

1648.敬老の日(2)

100913_003_640  今日は「敬老の日」、といっても昨日からの3連休、多くの方が行楽地で楽しんでるのでは。

100913_005_640_2  こちらは先週初め、中央区主催の「敬老大会」で明治座の芝居見物。そして週末は地元主催の「敬老のつどい」。

  この催しは、勝どき敬老館が春と秋に開いている演芸会。いわゆる「勝どき寄席」である。
 もちろん入場料は無料である。150人ほどが広間を埋めた。

100913_013_640_2100913_017_640   今回の出し物は、「紙切り」に「落語」と「新内流し」の3時間。
 高校の後輩である林家彦いち師匠からメールも届いたので、「冷やかし」かたがた出かけた次第。

 正楽の「紙きり」に続いて、彦いち師匠の落語は「ちりとてちん」。
 もともと江戸では「酢豆腐」と呼ばれた噺だが、上方では「ちりとてちん」。朝のテレビ番組のタイトルにもなったので、このお題の方が有名だ。
 「ちりとてちん」、師匠が持ちネタのひとつ。体育会系の彼、全身使って演じ会場は爆笑の渦に。

100913_018_640  中央区は、高齢者に対するこうしたサービスが手厚いとの評判だ。
 芝居や演芸会への招待のほか、区は70歳以上全員にお祝いとして「お買い物券」を配った。1万3千人を超えるのだから、これだけで4~5千万の予算だ。

 また町内会からは、「お赤飯と商品券」が届いた。
 わが月島一之部西町会は70歳以上が300人を超えると言うが、役員が一戸一戸直接訪ねて届ける。
 問題となっている「高齢者の安否」は、こうして確認される。これが下町の古くからの伝統なのだそうだ。

 因みに周辺の区のサービスを調べてみたが、ほとんどが「喜寿」や「米寿」、「100歳」への「長寿祝金」に留まる。
 隣の千代田区は、国立劇場を借り切って「歌謡ショー」を開催したが招待者は75歳以上。中央区と異なり、1日だけなので仕方がない。
 足立区は「米寿」1万円、「白寿」2万円。三鷹市は、77歳に5000円の敬老金だった。

 東京都在住の70歳以上は、1,787,097人。全人口の13.7%に当たる。最高年齢は113歳、しかしその所在は不明である。

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September 18, 2010

1647.君が踊る、夏

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 ガンや難病に罹った人が、物語のキーとなる作品は多い。
 最近でもハリソン・フォードの「小さな命が呼ぶ時」や「オカンの嫁入り」(主演・大竹しのぶ)、近々公開される映画でも「100歳の少年と12通の手紙」(フランス映画)や「おにいちゃんの花火」(主演・谷村美月)と続く。

 地域の祭りや踊りを、物語の背景に描く作品もまた多い。富山の「風の盆」や「ソーラン節」、徳島の阿波踊りが描かれた「眉山」('08)を思い出す。

336482_100x100_010  「君が踊る、夏」は、この二つのキーで観客にアピールする作品である。
 難病は小児ガンのひとつ「MRTK」、踊りが土佐の高知の「ヨサコイ」である。

 予告編を見た時は、小児ガンに罹った少女が主人公かと思ったが、そうではなかった。
 その少女のお姉さんと高校時代の恋人との、青春感動ストーリーだった。カメラマンの夢を追いかける青年、妹の看病のために地元に残った女性。
 青年と病身の少女は、「一緒にヨサコイを踊ろう」と約束していた。

336482_100x100_005336482_100x100_007 出演は、今売れっ子の若手ホープ溝端淳平(「NECK」('10)と木南晴夏(「20世紀少年シリーズ)。

 小児ガンの少女・大森絢音(「アマルフィ女神の報酬」'09)、溝端の恋敵でヨサコイ群舞のリーダーに五十嵐隼士(「ROOKIES」'09)。

 脇を固める役者はベテラン揃い。
 溝端の両親が隆大介と宮崎美子。木南の父親、本田博太郎。五十嵐の母親、高島礼子。
 そして溝端の師匠、カリスマカメラマンが藤原竜也。先輩はDAIGOである。

 高知城、桂浜、四万十川と随所に登場する土佐の風景が美しい。そして、元祖の「ヨサコイ」である。

336482_100x100_002_2  よさこい節は、そのテンポと鳴子のリズムが軽快なので人気が高い。これほど全国区となった祭りは、他にはないだろう。

 札幌の「YOSAKOIソーラン祭」は、200万の観客を集める大イベントとなったし、東京・原宿の「スーパーよさこい」も、年毎に踊り連と観客を増やしている。
 仙台・名古屋・京都もしかり、ついには「SURABAYA YOSAKOI」と海外でもヨサコイが踊られる。

 8月の本番を避け昨年秋に撮影のために再現された「ヨサコイ」も、地元のエキストラが踊っているためなかなかの迫力だった。

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September 17, 2010

1646.花と蛇3

002_640  官能小説の古典と言われている、団鬼六の同名著書が原作。
 「SM官能文学『花と蛇』を極限の映像で描く、待望の第3弾。注目のヒロインに、今最も危険な香りを漂わす女、小向美奈子を迎え、更なる禁断の領域へと踏み込んだ!」と、謳う。

  「花」と「蛇」は、それぞれの性のシンボル。1961年、花巻京太郎のペンネームで「奇譚クラブ」に投稿された作品は評判になり、足掛け11年にわたって連載された。
 これまで経済小説を書いてきた団鬼六が、青年期の性的妄想を主題として綴ったもので、ストレートな性描写が評判を呼んだ。

 映画化は1974年が始めて。日活ロマンポルノの一環として、団が推薦した谷ナオミがヒロイン、小沼勝が監督した。
 谷はこの後も団原作作品に出演、「SMの女王」と呼ばれる。

 その後10年ほどして、「花と蛇」は様々なバリエーションで日活ロマンポルノに登場する。
 西村昭五郎らが監督した作品は4篇、麻生かおりや小川美那子、長坂しおりが主役となる。
 しかしアダルトビデオに押されたポルノ映画は衰退し、1988年日活は製作を中止した。

 今世紀に入って「花と蛇」は、東映によるVシネマとして再登場する。
 '03年石井隆監督が、杉本彩を主役に野村宏伸・石橋蓮司・遠藤憲一らベテラン俳優を使って撮った作品は異例の大ヒット、ビデオも10万本売れたという。
 そして2年後2本目のリメイク版、そして今回が3回目となる。
 末尾の「3」は、続編というより今世紀リメイク3回目という意味だそうだ。

Pic_photo03trans_3 今回は前2作と異なり、「キャタピラー」の若松孝二監督の弟子だった成田裕介が監督、ヒロインにも若い小向美奈子を起用した。
 グラビアアイドルからストリッパーに転じた彼女は、数々の週刊誌に登場し話題となっているタレントである。

 ヒロインの心を調教によって内面から変え、羞恥心を快楽に導いていくという団鬼六作品の狙いは変わらない。
 今回の「ウリ」はクライマックスに登場する、緊縛師有末剛の本編オリジナル「緊縛絵巻」だそうだ。その役を、火野正平が演じている。   

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September 16, 2010

1645.セラフィーヌの庭

010_640 フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞で、作品賞・主演女優賞など主要7部門を受賞した作品。
 フランスだけでなくアメリカやエジプトの映画祭などでも、主演女優賞を受賞している。

 20世紀初頭、フランスでも知られるようになった実在の女性画家セラフィーヌ・ルイの貧しくともピュアな人生。
 第1次世界大戦・世界大恐慌という激動の時代を背景にして、壮大に描いた伝記映画である。

 貧しい家政婦生活の中で、守護天使の啓示を受けて絵を描き始めた41歳のセラフィーヌ。
012  森の草木や花々に語りかけ、自ら工夫して作った絵の具を使って黙々と絵筆を執る。

011_640 そのヒロインを演じているのが、ヨランド・モロー。 監督・脚本家としても知られ、「アメリ」('01)「パリ、ジュテーム」('06)などに出演したフランスきっての実力派女優である。

 アンリ・ルソーやルイ・ヴィヴァンなど「素朴派」の画家たちを発掘し、ピカソを世に広めたドイツ人画商ウーデは、「善き人のためのソナタ」('06)「アイガー北壁」('10)のウルリッヒ・トゥクール。
 セラフィーヌが家政婦をしている館で彼女の非才の腕を知り、パトロンとなった画商の役である。

 監督のマルタン・プロヴォストが、「彼女はセラフィーヌの化身となった」と評するように、モローの演技は素晴らしい。
 パリ郊外のサンリス、その美しい自然と田舎の生活。底辺に生きながらも、おおらかで天衣無縫のヒロイン像を、見事に演じきる。

013 素朴派とは、20世紀初頭にかけて硬直したアカデミックな絵画への反発から評価された絵画。
 プロの画家と言うよりアマチュア、とくに美術教育を受けずに描いた絵画の一群をさす。
 その素朴さと力強さが特徴で、日本では山下清の絵がそう呼ばれている。

 セラフィーヌは、世界大恐慌後の不景気で絵が売れなくなったショックもあって、精神に異常をきたし療養病院で亡くなる。
 絵を描き始めてから37年、78歳という年齢だった。

 彼女の作品は、日本でも「アンリ・ルソーと素朴派の画家達展」などでたびたび紹介されている。

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September 15, 2010

1644.敬老の日

 昔は今日が「敬老の日」だった。ところが祝日法が改正されて、毎年日にちが変わり忘れてしまう。

  私の住む中央区は、9月1日現在の人口は11万6188人。そのうち70歳以上は、1万3630人と12%を占める。この数は今話題となっている戸籍上のそれではなく、住民基本台帳に登録されている実在住民である。
 111歳が最高、100歳以上も44人が健在だそうだ。

004_640005_640_2   この1万数千人全員に声をかけて、中央区は毎年「敬老大会」を開いている。
  今年は私にも案内状が届いたので、会場の明治座に足を運んだ。

 43年前から始まったこの催しは、年々参加者が増え今年は7600人を超えたという。一堂に集まるのは当然無理、そこで大会は6回に分れて開催される。

 「敬老大会」といっても実態は「観劇会」。区長や高齢者クラブ代表の挨拶の後は、明治座9月公演の「女は遊べ物語」が始まる。

009_640 面白い芝居だった。
 原作は司馬遼太郎の「一夜官女」(中公文庫)、彼にしては珍しい喜劇である。

 お話は戦国の世。浪費家で遊び好きの女房の借金返済のため、戦場で必死に働く信長の家臣。
 その大奮闘の結果が出世に繋がった、というお目出度いお話。

 心優しい戦国武将を中村梅雀が、したたかだが可愛い女房を菊川怜が演じる。

 小谷城攻め、三好攻め、本能寺の変と、司馬遼得意の時代。「銃後!」を守る女たちの逞しさである。

 梅雀の母親を音無美紀子、先代からの爺やがなべおさみ、遊び仲間だった秀吉を石倉三郎、信長は青山良彦。
 休憩を挟んで、たっぷり3時間半の大舞台だった。

014_640_2  場内、普段なら1万2.000円もするA席は80代・90代の高齢者が中心。われわれ「若者」は5000円の3階席だったが、送られてきた指定席券は最前列だったので楽しく観覧できた。

016_640   第1幕終了後には、区が用意したお弁当とお茶も配られるという大サービス。初体験の「中央区敬老大会」は、こうして無事終了した。

017_640_2  幕間、孫達へのお土産買いで売店は大賑わい。こちらも、人形町名物をちょっと求めて帰宅する。

 中央区には、改装中の歌舞伎座を始め新橋演舞場に明治座と、名だたる大劇場が多い。
 敬老大会は、こうした劇場を順繰りに廻って開催されるそうだ。

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September 14, 2010

1643.オカンの嫁入り

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336089_100x100_001  評判がいい。開演20分前に入ったら、もう8割方が埋まっていた。
 宮崎あおいと大竹しのぶの初共演に、期待が高まったようだ。それに昨日見た「BECK」の桐谷健太である。

 「日本ラブストーリー大賞・ニフティ/ココログ賞」を受賞した、咲乃月音の「さくら色オカンの嫁入り」が原作。
 それを脚色・監督したのが呉美保。「酒井家のしあわせ」('06)で、サンダンス・NHK国際映像作家賞を受賞した女性クリエイターの第2作である。

336089_100x100_005  母(大竹)ひとり娘(宮崎)ひとり、仲良く暮らしてきた二人の生活の中に闖入した若い板前(桐谷)、それは母の婚約者だった。
 ちょっと奔放な母への戸惑いと反発、そんな親子と周囲の暖かい人たちが繰り広げる人間模様である。

336089_100x100_007_2  脇を固める二人が上手い。母親が勤める病院の院長・国村隼と大家さんの絵沢萌子、家族の様に親子の間に立つ。

 オール関西の映画である。
 京阪電鉄・大阪郊外の駅、天満橋、新世界、たこ焼き、2年間暮らした経験があるだけに懐かしい。

336089_100x100_006 セット撮影も、太秦東映京都撮影所で行った。
 親子の部屋も、大家さんの部屋も、「銭形平次」のセットを利用したそうだ。だから時代!?を感じさせる。

 もちろんセリフは、オール関西弁。
 東京出身の宮崎と大竹が完璧な関西弁を使っているのは、呉監督の指導の賜物だそうだ。

 呉監督は大阪芸大出身、原作者の咲乃月音も大阪。出演者も桐谷・国村は大阪出身、絵沢は兵庫だから、まさに「オカン」となる。

Okannoyomeiri_hachi8_1024_2  要所要所に顔を出して、ストーリーを紡ぐのが名優「ハチ」。黒いバグは、呉監督の分身なのかも知れない。
 「人の生き方、生きる姿を丁寧に書きたい」と、彼女は話す。 

 ニフティ/ココログ賞を受賞した作品を、ニフティのブログ「ココログ」で紹介した。

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September 13, 2010

1642.BECK

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 2年前まで「月刊少年マガジン」に連載されていた、ハロルド作石の人気漫画の映画化。
 コミックは、ほとんど目にした事がないので知らなかったが、映画の予告編が面白く監督が堤幸彦だというので覗いてみた。
 想像以上の作品に仕上がっていた。

  •  堤幸彦といえば多才な監督である。テレビディレクター出身だが、早くから映画にも進出した。
     「明日の記憶」('05)というシリアスな作品を撮ったり、「まぼろしの邪馬台国」('08)から「20世紀少年三部作」('08~'09)、「トリック」シリーズなど毛色の違った作品を次々と手がけている。
     この青春音楽映画も、新しいジャンルへの挑戦だった。

335785_100x100_005  落ちこぼれの高校生が、ひょんな事からニューヨーク帰りの天才ギタリストと知り合い、仲間を集めてロック・バンドを組みメジャーデビュー目指して奮闘する、というお話。
 時には激しく衝突しながら、苦難と挫折を乗り越え、夢に向かって突き進む。

335785_100x100_002  バンドを組んだ5人は、いまテレビ・映画で活躍する旬の若手キャスト。
 落ちこぼれの高校生は、大河ドラマ「龍馬伝」で岡田以蔵役だった佐藤健。
 天才ギタリストは、「ドロップ」('08)の水島ヒロ。ラップとボーカル担当は「オカンの嫁入り」('10)の桐谷健太。ドラムは「パーフェクトブルー」('10)の中村蒼。
 そしてバンドをまとめるベーシストに、「ゲゲゲ~」の向井理が登場する。

 ハイライトは、「ロック・フェスティバル」のシーン。
 苗場スキー場で開催された昨年の「フジロック・フェスティバル」、翌日から2日間を会場だけでなくスタッフも丸ごと借り切って再現した、彼らの演奏である。
 土砂降りの中1500人を動員して撮影、堤監督らしいスケール感の大きい感動の舞台が生まれた。

335785_100x100_003  ひとつだけ不思議だったのは、落ちこぼれの高校生のヴォーカルが「無声」だったこと。「世界を変える奇跡の声」という設定なのだが、観客はその声を想像の世界で聞くことになる。
 もちろん、歌詞だけは字幕に登場するが。

 それが原作:ハロルド作石と監督:堤幸彦の「TRICK」だった。

 オープニング・テーマ曲がレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「Around The World」、エンディング・テーマ曲がオアシスの「Don't Look Back In Anger」と贅沢に飾った。 

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September 11, 2010

1641.小さな村の小さなダンサー

004_640  旧ソ連のミハイル・バリシニコフと並んで、亡命ダンサーとして知られる中国人のリー・ツンシン。
 少年時代から世界のトップダンサーになるまでの半生を書いた、自叙伝「MAO’S LAST DANCER」の映画化である。

   邦題は「小さな村の小さなダンサー」と少年時代を強調しているが、ハイライトは亡命後の舞台である。

Img02_2  文革時代の中国、毛・江清の文化政策によって、貧しい村からスカウトされたリー・ツンシン。
 337091_100x100_004 北京舞踊学院の研修生として厳しい指導を受けるが、その柔軟な体を生かしダンサーとしての素質を延ばす。

 望まれてアメリカへの短期留学、やがて帰国の命を受けたがリーはそれを拒んだ・・・・。

 監督は、「ドライビングMissデイジー」('89)でアカデミー賞作品賞を受賞するなど数々の名作を残しているブルース・ペレスフオード、リーが現在住んでいるオーストラリアの作品である。

337091_100x100_005_2337091_100x100_002 主人公のの幼少期を演じたのは、中国体育学校生のホアン・ウエンビン。1万人のオーディションで選ばれた。
 青年期は北京舞踊学院出身で、現在オーストラリア・バレエ団に属すグオ・チャンウ 。プロのダンサーである。

337091_100x100_003_2  そして渡米以降の主人公は、バーミンガム・ロイヤル・バレエのツァオ・チーが演じた。彼は、花形プリンシパルとして世界的にも知られるが、映画は初出演だった。

 ほか、母親役は中国の名優ジョアン・チェン(「ラスト・コーション」'07)。主人公をアメリカに呼び寄せたヒューストン・バレエ団芸術監督役、ブルース・グリーンウッド(「カポーティー」'05)。最初の妻、アマンダ・シュル(サンフランシスコ・バレエ団員)が出演している。

Img04_2 オーストラリア映画だけに、主人公の出身国中国と亡命先アメリカの「芸術」に対する寛容・非寛容をクールに描いている。
 それは「芸術」がビジネスとなるアメリカと、「芸術」が政治の道具となった中国の描き方である。

 亡命によって永遠の決別をした母国と家族達。ベレスフォード監督は、ラストにその答えを示す。

Img02_3  「ジゼル」「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」、最後がストラヴィンスキーの「春の祭典」。バレエ・シーンは本物のダンサーたちだけに迫力があり、美しい。

 クライマックスで、場内に感動の一体感が生まれた最近では珍しい佳作である。

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September 10, 2010

1640.焼酎バー「黒瀬」(111)

024_640 このところ、焼酎についてのブログが途絶えていた。
 猛暑のせいか、黒瀬に足を運ぶ方も鈍りがちなので、半年振りに111回目の話題を届ける。

 Imgp08962_640 先日、元国税局に勤めていた知人と久し振りに焼酎を酌み交わした。彼は現役時代、清酒や焼酎の鑑評にも携わってきたオーソリティーである。
 話題は、最近の焼酎の味わい。

 本格焼酎(単式蒸留・旧乙類)の品質を競う「鑑評会」は、30数年前から行われており現在は独立行政法人「酒類総合研究所」が主催している。

091103_038_640091103_032_640   鑑評は、製法の違いによって3部門に分れる。
 まず、軽くて飲み安さを重視した「減圧蒸留分野」。米や麦、酒粕などを原料とした焼酎が多い。
 次が、伝統的な香味を重視した「常圧蒸留分野」。さつま芋原料が主流だ。
 そして長期貯蔵酒の「特殊製造分野」。沖縄の泡盛や芋原料の甕貯蔵となる。

 鑑評は、「官能評価」と発酵管理などの「化学分析」で行われる。
 官能評価は、香り・味・原料特性・総合の4項目について、32名の審査員が5段階評価法で採点する。

 例えば「香・特性」は、「華やか」「芳香」「さわやかさ」「上品」「ソフト」「油香」「香ばしさ」「樽香」「バニラ香」「熟成香」「その他」と細かく点を付けていくのである。

 今年の本格焼酎鑑評会は、全国から119の蔵元288点が参加して行われた。ただ最近は、鑑評会に参加する蔵元が減っており、出品点数もここ10年減少傾向にあるのが問題だという。

019  地域別には鹿児島(59点)、福岡(38)、沖縄(32)、長崎(19)、宮崎(17)、大分(17)、長野(17)と圧倒的に九州勢が多い。
 原料別では、鹿児島・宮崎のさつま芋、福岡・長崎・大分の麦、沖縄の米(泡盛)、長野は蕎麦と米と、その傾向は変わらない。

 元鑑定官だった知人は、本格焼酎ブームが減速したことや、製造技術が一定の水準に達したこと、全国区で売り出すより「少量多銘柄」のプレミア化を狙う蔵元が増えてきた事が、参加蔵元の減の背景にあると話していた。

Photo   さてわが「黒瀬」で飲める地元の焼酎、「さつま白波」「萬世」「小松帯刀」「桜島」「貴匠蔵」「利右衛門」などは、毎年高い評価を受けている。
 来月には、今年の「新酒」も出回る。ぜひ「華やか」な「芳香」、「さわやか」で「上品」な「香ばしさ」を味わって欲しい。

  (速報)
 鹿児島県酒造組合が昨日発表した「09酒造年度(09.7~10.6)」の焼酎出荷量は、14万4800klと前年より3.2%減少した。
 この結果、生産量も調整が行われ19万6400klと、6年ぶりに20万を割り込んでいる。
 原料別では、芋3.8%減、黒糖5.3%減、大分に送られる麦は1.8%と若干増えている。 

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September 09, 2010

1639.東京島

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 直木賞作家・桐野夏生の同名ベストセラー小説の映画化。「アナタハン女王事件」をモチーフに、現代社会から失われた原初の欲望を書いた。

 無人島に漂着した日・中22人の若者と、ただ一人の女性である40代の「おばさん」が織り成す、サバイバル生活が描かれる。

336508_100x100_003_2  その「おばさん」を演じるのは、木村多江。エルメスのブランドを纏って刹那的に生きる。

336508_100x100_004 彼女を取り巻く男達は、福士誠治、柄本佑、窪塚洋介、染谷将太など草食系男子。
 ただテイ龍進をリーダーとする中国人たちは、生活力がある。
 そしてその結果は?

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  「アナタハン女王事件」とは、マリアナ諸島のアナタハン島に取り残された元日本兵たちが、島の農園主の若妻(沖縄出身)を巡っての、鮮烈なバトルロワイアルとなった実録。
 1951(昭和26)年アメリカ軍によって彼女が救出された時(右の写真)、30人ほどいた残留日本兵は19人になっていた。

 この事件は、極限状況における人間の本能、性欲・食欲がむき出しになったスキャンダルとして、世界中から注目を集めた。
 ハリウッドの映画監督ジョセフ・フォン・スタンバークは、根岸明美を主役に映画化。日本人監督による本人出演の作品も、同時に公開されるなど話題を呼んだ。

336508_100x100_001 そういう意味では、今回の「東京島」はスタンバーク版「アナタハン」のリメイクとも云えるが、篠崎誠監督の撮る「性表現」は淡白で、島の暮らしにも絶望感は描かれていない。
 何か大学サークルのイケメンたちが、キャンプ生活を楽しんでいる風情なのだ。

336508_100x100_007  島の様子がどこかで見た光景と思ったら、ここはあの米軍ヘリ基地を拒否した徳之島だった。
 リゾートホテルから通ってのロケでは、役者たちからもスタッフからもサバイバルの緊張感は生まれないのだろう。
 予告編に騙された、との声も むべなるかな。

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September 08, 2010

1638.トイレット

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 「かもめ食堂」('05)「めがね」('07)など、女性らしい感覚で多くのファンを持つ荻上直子監督が、前2作と同じ堀越絹代(衣裳)・飯島直美(フードスタイリスト)と組んで撮った作品。

 留学から帰国して10年、彼女が「里帰り」してカナダ・トロントで全編を作り上げた。
 撮影・美術・音楽・編集など、主要スタッフは全てカナダ人。出演者も一人を除いてカナダ・アメリカの俳優という異色作である。

336358_100x100_005 たった一人の日本人俳優は、この作品のヒロイン!「ばーちゃん」こと、もたいまさこ。荻上監督のミューズである。

 自分の殻に閉じ篭るバラバラの三兄弟妹、日本からやってきた「ばーちゃん」の登場で、やがて心を開き「家族」が再生する、というストーリー。

336358_100x100_004336358_100x100_003  ピアニストだが引き篭もりの長男をデェイヴィッド・レンドル、プラモデルオタクの次男アレックス・バラス、生意気な末娘タチアナ・マズラニーと、オーディションで選んだ。
 いずれも、カナダの映画・テレビ界で活躍している若手俳優である。

336358_100x100_007 もう一人懐かしい顔、シャーリー・マクレーンの娘でアメリカの女優サチ・パーカー。「西の魔女が死んだ」('07)に主演だった彼女が、「妙な服を着た女性」として、数カット登場している。

 「トイレット」は異文化の象徴であり、グレイト・ジャパニーズ・テクノロジーの象徴、そして家族の絆となる場所でもある。

 そのトイレットから毎朝出てくるばーちゃんは、無表情で深い溜息をつく。そのナゾと無口が次第に存在感を増して、家族の再生に繋がっていく。

336358_100x100_006 もたいまさこの、仕草と表情だけの演技がこの作品を支えており、最後に初めて発する二言のセリフが作品の全てを語る。

 静寂・センチメンタル・沈黙・ほっこり・透明感と、荻上監督フアンが拍手を贈る。

 長男が弾くピアノ曲はリストの「ためいき」ほか。最後に特別協力のクレジット「TOTO」、場内から笑いが拡がる。
 みんなお世話になっているのだ。

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(号外)台風接近

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100908_013_640_2100908_014_640_2   有楽町で映画を見て、地下街だけを利用して帰宅したので、全く気が付かなかった。
 台風9号襲来。午後3時、見る見るうちに暗くなり、外の景色は見えない。
 都心は29日ぶりの雨である。

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September 07, 2010

1637.特攻野郎Aチーム

_640 連日の酷暑によるストレス解消には、この映画がお薦め。B級アクション・エンタテインメント、理屈なしに楽しめてハラハラドキドキすっきりするので、「B級」と言われる。

 80年代に日本でも大ヒットした、アメリカのテレビ・シリーズ「特攻野郎Aチーム」全98話。
 20数年ぶり初めて映画化された。

20100414005fl00005viewrsz150x ハメられて10年の刑に、軍籍を剥奪されてムショに閉じ込められた元特殊部隊の4人が大脱走、ハンニバルをリーダーに国家を相手に汚名を雪ぐ大作戦。
 命知らずの男達の、派手なアクションが見どころ。

336061_100x100_005  テレビではジョージ・ペパードやダーク・ベネディクトが主人公だったが、映画の方は全員チェンジ。

 写真右から、百戦練磨の指揮官大佐リーアム・ニーソン(「96時間」'09)、イカレ野郎だが凄腕パイロット大尉シャールト・コプリー(「第9地区」'09)、怪力タフガイだが飛行機に弱い空挺軍曹クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン(元ライト・ヘビー級チャンピオン)、女性に強い二枚目中尉ブラッドリー・クーパー(「ハングオーバー!」'09)の面々。
 それぞれが、クセはあるがユーモアもたっぷりという役者たちである。

336061_100x100_007_2  そして紅一点が、脱走した4人を追っかける国防犯罪調査官のジェシカ・ビール(「バレンタインデー」'10)。クーパーに惚れてしまったセクシー女優が、お話の鍵を握る。

 監督・脚本が子供時代に「Aチーム」を見て育ったジョー・カナハン(「スモーキン・エース」'07)、製作はヒットメーカーのリドニー&トニー・スコット兄弟である。

336061_100x100_009  映画の展開は、「Aチーム」が誕生するまでのそもそものお話を第1部に、続いてイラク戦争での特殊作戦が第2部、陸軍刑務所脱獄後の大作戦が3部と判り易い。
 テレビではベトナム戦争時の特殊部隊だったが、映画は現代風にイラクを舞台にした。

 4人の頭脳+イケメン+タフネス+ユーモア、それが化学反応して奇想天外な作戦が生まれるストーリーはテレビと同じだ。

336061_100x100_008  メキシコの砂漠、イラクのアメリカ軍基地、ドイツのフランクフルト、ロサンゼルス港・・・と展開する各シーンが、総てカナダのヴァンクーバーとその周辺で撮影できたというから面白い。

 ヴァンクーバーには、優れた映画技術スタッフが大勢集まっており、ハリウッドに比べるとコスト・ダウンが可能。
 アメリカ映画の多くが、この地で製作されている。 

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September 05, 2010

1636.日本橋クルーズ

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 常盤橋から望む外堀。左には元「金座」、現在の日銀がある。朝9時、この橋の袂に集合した。

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 「中央水の都フォーラム」が主催する日本橋クルーズ、猛暑を厭わずこの催しに参加する。

 「フォーラム」は、日本橋川や下町に多い運河の賑わいを創出して「水の都」を再生しようという市民運動。

 観光クルーズとは異なり、河畔の建築物や都市景観について法政大学院エコ研の阿部彰さんの講義を聞きながらのクルーズだった。
 参加者は30人、学生など若者が多い。こちらもメモ帳片手にカメラ構えて、船の前席に座る。

002_640003_640   私が参加したもう一つの目的は、最近愛読している佐伯泰英の「鎌倉河岸捕物控」や宇江佐真理、藤沢周平の短編の舞台を、川と運河から眺めてみようというものだった。

 コースは、江戸城外堀の常盤橋(中央区防災船着場)を起点に墨田区の北十間川までの往復、およそ2時間である。

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 常盤橋~一石橋~日本橋~江戸橋、そして豊海橋で大川(隅田川)に。

 永代橋を右手に望みながら大橋を過ぎると、清洲橋が前に見える。
 いずれも国の重要文化財、講師の阿部さんはそれを「文化在」と名付け、周囲の建造物と共に愛しむべきだと話す。

100904_036_640100904_043_640100904_051_640001_640_2    広重の「亀と欄干」の浮世絵で有名な萬年橋へと大川を右折、小名木川へ入る。

_640_2  この川は、江戸城への物資の搬入を図るため徳川家康の命で開削されたもので、行徳からの塩が第一の目的だった。
 掘削を指導した小名木四郎兵衛の名を、後世に伝える。

 また「明暦の大火」(1657年)以後は周囲の低湿地を開発して、寺社・町屋だけでなく武家屋敷も建設した。いわゆる本所・深川である。

 高橋・東西の深川橋・大富橋を超えると新扇橋の閘門に着く。ここには、パナマ運河のミニチュア版がある。

100904_052_640100904_055_640100904_058_640   この先の旧中川と大川は、水位に差がある。
 そこで小名木川の中間地点に閘門を設け、調整する仕掛けを作った。

 まず前門をくぐると扉が降りて川の水の流入を止める。その後次第に川の水が減り始め、船は降下する。およそ2m近く下がったところで、後門の扉が上がり船は進むことが出来る。
 時間は約5分、帰りはその逆で船はエレベーターのように、上がっていく。

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 運河ならではの川の十字路。
 江東区と墨田区、四つの町を四葉クローバー形の橋が繋ぐ。

 船はクローバー橋で小名木川を右折、横十間川に入る。
 さらに北十間川へ曲がると、見えてきたのが下記の写真。

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 東京スカイツリー、現在の高さは438m。知る人ぞ知る写真スポット、北十間川からの眺めである。
 「水の都」の再生を目指す「日本橋クルーズ」、今回の最終目的地がここだった。

100904_078_640100904_088_640100904_080_640   

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September 04, 2010

1635.Colorful・カラフル

021_640 昨日に続いて「カタカナ」のタイトル、こちらはアニメーション映画である。
 直木賞作家・森絵都のベストセラー小説を、原恵一が映画化した。

 原監督といえば、1992年以来「クレヨンしんちゃん」シリーズの演出・絵コンテを手がけてきた人。
 アニメ映画「河童のクゥと夏休み」('07)では、日本アカデミー賞作品賞を受賞するなど日本を代表するアニメーション制作者である。

Book3  原作の「カラフル」(文春文庫)は、10年前に産経児童出版文化賞を受賞した作品。

 陰湿ないじめ、集団暴力、家庭の崩壊、引きこもり、援助交際、自殺と、今も中学生や高校生と無縁でではない状況をテーマに、それでも生きていく事をポジティブに伝えていくストーリー展開となっている。

 そして社会を拒否したこどもが、もう一度自分を取り戻す姿を描く事で、「ひとりひとりに、違ったカラフルな生き方があるのだ」とのメッセージを送る。

335873_100x100_002  お話の舞台は、世田谷の二子玉川から等々力。昔この一帯を走っていた「玉電」が、キーとなる。
 
335873_100x100_004_2  死んだはずの「ボク」が、天使から再チャレンジのチャンスをもらって地上に戻る・・・、自殺した少年の体を借りて。

 その一家、父親は偽善家、母親は不倫、エリートの兄からはシカト、憧れのクラスメートは援助交際中、変な子がまとわりつく。
 しかしクラスに友達はいない。
 さて「ボク」は、どうしたら良いのだろうか。

 声の出演、ボク(冨澤風斗)、変な子(宮崎あおい)、憧れの子(南明奈)、母親(麻生久美子)、父親(高橋克実)、天使(まいける)。

 玉電・砧線を走る電車の白黒写真、一瞬にしてカラフルな映像となって動き出す。アニメーションならではの、表現である。
 この映像の中に「ボク」の変貌がある。 

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September 03, 2010

1634.ハナミズキ

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 北海道在住の旧友からの残暑見舞いに、「懐かしい風景が全編に映し出されます。ぜひご覧を」とあった。
 「ハナミズキ」、釧路や白糠、浜中でロケした作品である。
 若い頃、私もこの地で1年にわたる長期ロケを経験した。ドラマではなかったが。

 道東に住む高校生カップル、男は漁師の道を、女は早稲田大学からニューヨークへ。
 この遠距離恋愛を、10年にわたって描いたラブストーリーである。

335875_100x100_001  ジャニーズ出身のイケメン(生田斗真)と可愛いタレント(新垣結衣)のアイドル映画と思ったが、意外としっかりした構成の作品だった。
 さすがTBSの製作である。

 主題歌にもなった一青窈の「ハナミズキ」がモチーフとなる。
 この音楽を前にして「涙そうそう」('06)トリオの、吉田紀子(脚本)土井裕康(監督)八木康夫(製作)が話を膨らませていった。

 1996年から2006年、「9.11」が起こりアメリカのイラク侵攻となった。「ハナミズキ」の歌が、あのテロをきっかけとして生まれただけに、映画が語るのもこの10年となる。
 

 漁師役の生田は「人間失格」('09)で知った役者だが、さらに一皮むけた演技だった。それに北海道弁が上手い。調べてみたら彼自身が北海道出身でもあった。
 そういえば、昔サケ・マス漁を取材した時も、結構ハンサムな漁師に会った。だから違和感がない。

 沖縄出身の新垣は別として、その母親役の薬師丸ひろ子も北海道弁が上手い。「写真家の夫と世界各地を放浪し、彼が亡くなった後は北海道に定住する」、そんな一歩先を歩む女性はこの地に多い。だからこちらも違和感がない。

335875_100x100_004 儲け役は、ゲゲゲの向井理だった。新垣の先輩で早稲田大学の6年生、こちらも世界を放浪するフリーカメラマン。新垣に求婚するがイラク・バクダッドで・・・という役である。

 ほか木村祐一(薬師丸に惚れた男)、松重豊(生田の父親)、ARATA(新垣の父親)らが脇を固めた。

335875_100x100_003_2  昆布漁、昆布干し、シャケの定置網漁、網起こし、釧路湿原、根室本線、釧路の海霧・・・と懐かしい光景が現れる。
 そして霧多布岬の灯台、それと対をなすカナダ・ノバスコシア州ペギーズ・コーブの灯台。
 道東、東京、ニューヨーク、カナダと贅沢なロケを敢行した映画である。

 「ハナミズキ」、別名を「アメリカヤマボウシ」ともいう。
 1915年、桜の木の返礼としてワシントンD.C.から東京に送られた。代々木公園や都内各地で、5月ころには白や淡いピンクの花を咲かせる。
 花言葉は「返礼」「感謝」。

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September 02, 2010

1633.第95回記念「二科展」

100901_023_640_2     第95回記念二科展 浜の朝 F130 会員 西 健吉

100901_021_640100901_001_640  旧友の西君から招待状が届いたので、今年も初日に六本木の国立新美術館に出かけた。
 彼は27年前に二科会会員に推挙され、現在は評議員・鹿児島支部長の要職にあって、若い画家たちを育てている。

100901_004_640_2100901_003_640_2100901_002_640   会場入り口の部屋に展示されていた西君の作品は、何時ものように漁村の風景を描く。

 昨年は「浜」と題して浜辺で靴ヒモを結ぶ娘だったが、今年は以前の作品に戻って娘の横顔を描いた。
 若い頃、奄美大島で美術教師をしていた頃の体験が、絵のモチーフとなっている。

100901_640_2  二科会は、在野の美術団体としては最も古い。
 1914年、フランス留学組を中心に石井柏亭・梅原龍三郎・有島生馬・坂本繁二郎ら新進芸術家たちが設立、のちに安井曽太郎・熊谷守一らも加わった。
 戦後になってデザイン部門や写真部門も発足、今日に至っている。

 前会長吉井淳二や前々会長の東郷青児など、鹿児島出身者がリーダーとなって会を運営してきたせいか、会員には鹿児島関係の画家達が多い。
 西君たちより大先輩の長老たちも、元気な作品を出品していたので紹介しておく。

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 左から犬童次男(88歳)の「伊佐の棚田で」、鳥取政昭(83歳)の「阿蘇」、文田哲雄(77歳)の「娘たち」。
 文田さんは、現在鹿児島市立美術館の館長も務めており、鹿児島の美術界の発展に尽くされている。

100901_016_640100901_017_640   今年の「二科展・美術部門」、応募総数は3007点。うち入選者は689名。

 タレントの木村拓哉夫人・工藤静香さんの「瞳の奥」が特撰に選ばれていた。
 午前中に見た映画が、アルゼンチンの「瞳の奥の秘密」だったのは偶然である。

 「二科展」は、13日(月)まで。六本木国立新美術館。
 観覧料は1000円。

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September 01, 2010

1632.瞳の奥の秘密

014_640 今年のアカデミー賞で、最優秀外国語映画賞を受賞した作品。前評判も高かったのだが、都内では1館だけでしか上映されていない。
 8月半ばに公開され、一度足を運んだのだが大行列で諦めた映画だった。

337041_100x100_005337041_100x100_010   日本では上映される機会の少ないアルゼンチン映画。
 アルゼンチン・アカデミー賞でも主演男優・女優賞を受賞した二人の主役、リカルド・ダリンとソレダ・ビジャミルも初めて見る俳優なのだ。

337041_100x100_004  25年前の未解決事件を題材に、小説を書き始めた元刑事裁判所書記官(リカルド・ダリン)。
 政治的な背景によって葬られた事件を改めて調べていくうちに、封印してきた上司の検事補(ソレダ・ビジャミル)への愛が甦る。

 過去と現代を巧みに交差させながら、サスペンスとロマンスを描いたのは、アルゼンチンを代表する監督ファン・J・カンパネラ。
 原作者エドゥアルド・サチェルと、共同で脚本も書いた。

 作品を理解するためには、舞台となった1970年代アルゼンチンの政治状況を知る事が必要となる。
 70年代はじめペロン大統領が急逝、権力を引き継いだのが夫人のイサベルだったが、指導力の弱さが仇となって数年後には軍事クーデターで職を追われる。
 その後の軍事政権はペロン派の労働者や若者を弾圧、3万人が殺されたという。

337041_100x100_006  ハビエル・ゴディーノ(スペインの俳優「彼が2度愛したS」'08)が扮する容疑者が、軍事政権側のテロリストだったという経緯。
 彼に若妻を暴行されて殺された夫(パブロ・ラゴ)が、警察を頼らず自ら事件を裁こうとする背景が、そうした政治状況だった。

 「瞳の奥の秘密」は、上手いタイトルである。
 書記官たちが犯人を割り出したのは「写真に写っていた瞳」だったし、白状させたのも「異常な瞳」だった。
 愛した女性の「瞳の奥」を、なぜ理解出来なかったのか。犯人を追い続ける夫の「瞳の奥」に見えた秘密は何だったのか。
 映画は、衝撃的なラストを迎える。

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