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March 30, 2011

1782.ハーブ&ドロシー

 大震災の後、3度目の築地買出し。プロ以外の客も少し増えてきた。
 場内、「金目鯛」「天然平目」㌔3500円、「鯛」2400円、「サバ」1400円。こちらは「鰯」㌔800円と「赤貝」ひとつ200円を五つ買う。
 あと「玉子焼き」「豆腐」「漬物」「のり」「紅茶」「野菜」「シャケの切れ端」など購入、そう「茂助だんご」も。
 午後は映画館。

006_640_2  鑑賞したのは、個人として世界一のアートコレクターとして知られる老夫婦を追った、ドキュメンタリー映画。
 昨年秋に公開されたが、単館上映のため見る機会を逃していた。DVDでも借りようかと思っていたが、有楽町のミニシアターで再度公開されたので出かけた。

 主人公の夫妻はニューヨーク在住のハーバード&ドロシー・ヴォーゲル。
 88歳の夫(ハーバード)は高校中退の元郵便局仕分け係、76歳の妻(ドロシー)は大学院卒でブルックリン公立図書館の元司書。
 49年前にダンスパーティーで知り合い、結婚した。

 アーチストを目指して美術教室に通っていたハーブの影響で、ドロシーもアートに興味を持つようになる。しかし2人とも、プロのアーチストはあきらめて好きな作品を買い始めた。
 アパート(借家)暮らしの生活費はドロシーの給料で、ハーブの給料は全て作品購入費。

 2人が選ぶ作品は、無名な作家の「ミニマル・アート」や「コンスペチュアリズム・アート」。それから40年、買いに買った作品は4500点、ついに1LDKのアパートは埋め尽くされてしまった。

 そこで・・・・と話は展開していく。

 映画を撮ったのは、ニューヨーク在住の女性ジャーナリスト佐々木芽生。
 札幌出身の彼女は大学を卒業すると渡米、NHKのニューヨーク総局でキャスターやディレクターを務めながらドキュメンタリーを学び、2002年に制作プロダクションを設立した。
 その彼女が始めて出合ったのがハーブ&ドロシー、それから4年カメラを回し続けた。

337766_01_02_03_2   映画は微笑ましい夫妻の日常と、無名時代から夫妻との交流のあったアーチストたちの証言で綴る。
 クリスト&ジャンヌ・クロード、リチャード・タトル、チャック・クロースと、著名な現代アートの旗手たちが登場する。
 その中の1人、河原温(78歳)は日本を代表する「コンセプチュアル・アート」の第一人者。ニューヨーク在住の河原は、まだ無名の頃から夫妻と付き合っていた。

 「誰も見向きもされなかった頃から熱心に見てくれた。だからつい安く売ってしまう」
 「夫妻は、地下鉄やタクシーで持ち帰られないものは買わない」
 「夫妻は審美眼の天才、キュレーターであり美術評論家」
 「チャーミングなこの老夫妻の存在こそ『現代アート』なのだ」
 と、アーチストたちは語る。

 購入した作品は億万の値がつこうとも、一枚も売らない。コレクション全てが夫妻にとってひとつの「現代アート」なのだから。

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March 28, 2011

1781.再生の朝に

 大震災から2週間以上が過ぎた。地震・津波・原発の三重苦が続く。年寄りとしては、節電と義捐金が精一杯。
 節電と被害チェックのため、都内の博物館や美術館は休館が多い。江戸東京博物館は、来月末までの休館を決めた。
 そんな事で、行動範囲も狭まっている。せいぜい自転車で走れる都心の映画館ぐらいだ。
 当面は、このブログも映画の紹介だけか?ただ春休みのため、大人の映画は少ない。

004_640 今回紹介する作品は、今年初めて見た中国映画「再生の朝に」。

 ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した「北京の自転車」('01)の撮影を担当するなど、カメラマンとして有名なリウ・ジェが監督として撮った3作目である。
 初監督作品「馬上の法廷」('06)は、ヴェネチア国際映画祭で新人賞を受賞しており、この作品も2年前の同映画祭に正式出品された。

 原題は「透析」、あの腎臓透析の事だが監督はこのタイトルにもう一つの意味を込めている。
 そして英題は「Judge」、裁判・判決とストレート。邦題の「再生の朝に」は情緒過ぎてよく判らない。副題で「ある裁判官の選択」と説明する。

 広がる格差社会・中国の現実を直視し、人間の良心の在り方を問う作品である。

 娘をひき逃げで殺され、夫婦の間に亀裂が入った裁判官とその妻。
 自動車2台を盗んだ罪で、その裁判官に死刑を言い渡された青年と、貧しい家族。
 腎臓病を患い死刑囚からの臓器移植を目論む、会社社長とその愛人。
 この三組が絡み合いながら、ストーリーは展開していく。

 舞台は1997年の河北省の地方都市、世界一の死刑実施国と言われる中国が、ようや「刑法改正」に踏み切った時である。
 旧刑法最後の判決、裁判官は法に従おうとする。しかし、処刑は新法後・・・。

 中国で、実際に車2台を盗んで死刑となった青年のニュースを聞いて、リュウ監督は脚本を書いた。臓器移植も裁判官の娘のひき逃げ事件も、具体的なモデルがあったという。
 それだけに物語はリアルである。

20101227008fl00008viewrsz150x  出演者で顔なじみは、主役の裁判官役ニー・ターホン(「王妃の紋章」'06)と社長愛人のメイ・ティン(「追憶の上海」'98)だけである。
 死刑囚のチー・ダオは、「ココシリ」('06)に出演していたそうだが覚えはない。
 社長役は現役のビジネスマン、死刑囚が入れられた雑居房の囚人たちは、本物の囚人のエキストラ出演。
 本物の刑務所で撮影したというから、中国は面白い。

 物語が物語だけに、映像全体が暗いトーンで撮られている。そのカメラを担当したのが、今中国で活躍する大塚竜治だった。

 アムネスティ・インターナショナル日本が後援している。

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March 26, 2011

1780.納豆・卵・ヨーグルト

110305_001_640_2  昨日、2週間ぶりに「納豆」と「ヨーグルト」が買えた。震災前に比べると5割高だが、毎朝食べていた食品なので仕方が無い。

 「卵」のほうは、震災前に買ってあったものを利用していたが、それも切れたので一昨日購入。こちらは特売日に、10個98円で買っていたが値段はおよそ2倍だった。

 この2週間、日常の食料品を求める消費者のアクションには、色々と考えさせられた。地域によって異なるだろうが、高層マンションの多い都心の例を「ケーススタディー」してみよう。

 当日の夕方、夕食の買い物に近所のスーパーに出かけた。店は普段見かけない若いサラリ-マンやOLが目立った。「おにぎり」「弁当」「パン」「カップ麺」を山のように抱えていた。交通機関ストップへの対応、上司の指示か。
 ただ在庫に余裕があるのか、生鮮食品の棚は十分だった。普段通りの買い物をして、19階まで歩いて上った。

 翌土曜日は、エレベーターも止まっているので「あり物」で済ます。
 そして日曜日、昼過ぎというのにスーパー前は大行列。ようやく入っても棚はがら空き、納豆・卵・ヨーグル・牛乳は全て売り切れ。
 米やパンは個数制限の札。

 目立つのは年寄り、山のように買い込んだ籠を抱える。金・土・日(だいたい昼頃まで)とエレベーターが止まった事によるパニック買いの様子。
 パン袋を5個も抱えた女性が、個数制限とレジで取上げられてうな垂れている。

 新聞やテレビ、ネットが「買いだめ」を批判する。肝心の被災地への物資が滞ると。
 しかし阪神大震災で家族を失った社会学者のコメント、「情報過疎にあるお年寄りの『買いだめ』は自己防衛本能。一概に批判してよいのか」と。

 月曜日、大混雑のスーパーを避けて築地へ。場内・場外とも閑散としており、必要な生鮮食品は何でも手に入る。
 「貝類」や「ウニ」など高級寿司タネはもちろん、東北からの鮮魚が入荷してないのでプロの買出し人が激減。それが野菜や冷凍食材にまで影響し、仲買店や場外の小売店は売れ残りでギブアップ状況と嘆く。

110305_003_640110305_005_640_2   追い討ちをかけるように、「放射能汚染」と「節電」。福島はもちろん、関東各地からの生鮮食品に影響が出てきた。
 そして卵の大産地、千葉の「鳥インフルエンザ流行」のニュースは伝えられない。

110305_002_640_2110305_004_640_2   全国一を誇る水戸の「納豆」、昨日から販売を再開したようだが量は僅か。
 こちらが手に入れた「納豆」は、熊本・宇土の製品。九州で納豆!?
 ヨーグルトは、岐阜・美濃産。
 明日の食品スーパーの棚は、どう変わっているだろうか。

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March 24, 2011

1779.神々と男たち

 自宅に籠もっていると、電気を使う。そこで自転車をころがして都心へ。ふと目に付いたので覗いてみた。
 暖房を押えてあるので、ちょっと寒かったがダウンジャケットにくるまって鑑賞。
 素材もまた、寒さにシンクロしていた。

005_640  前号の「アレクサンドリア」が、女性天文学者をキリスト教修道士が虐殺した史実を描いたのに対し、今回の作品はキリスト教修道士がイスラム過激派に虐殺された事件の再現である。

 前者は猛々しい修道士たちだったが、今回は敬虔な老いた修道士たちが主人公。
 しかし4世紀末の史実と20世紀末の事件との間には、「人間の尊厳と使命」という共通のテーマが流れている。

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 昨年のカンヌ国際映画祭で、グランプリを受賞した作品。秋の東京国際映画祭の「WOLD CINEMA」でも、招待上映された。
 そのパンフには・・・。
 「北アフリカ山間の僧院。フランス人修道士が現地のイスラム教徒と調和を保って暮らしている。やがて、原理主義者による暴力が地域を覆い、修道士たちは選択を迫られる。使命と尊厳の意味を問う作品」

338143_100x100_003  もう少し事件と背景について、紹介しておこう。
 
 北アフリカとは元フランス植民地だったアルジェリア。事件の起こった1996年当時は、アルジェリア政府と武装イスラム組織(GIA)が内戦中だった(現在も続いている)。

 政府の指示を拒否して帰国しなかったフランス人修道士たち7人が、GIAによって人質として誘拐され、2ヵ月後に彼等の「斬られた首」だけが発見された。

 事件の真相は今も謎で、政府によるゲリラ拠点空爆による犠牲説もあり、修道士の遺族たちは現在フランスで真相究明の裁判を起こしている。

338143_100x100_005_2  映画化は、事件発生から10年を機にフランスのメディアが再び取上げた事から始まった。

 カトリック信者であるプロデューサーのエティエンヌ・コマールは、俳優でもあるグザヴィエ・ボーヴァウ監督と組んで、隠れて助かった2人の修道士や残された日記を調べて脚本を書き上げた。
 そしてロケは、モロッコの廃墟となった修道院で行われた。

338143_100x100_002  修道士に扮したのは、院長のランベール・ウイルソン(「マトリックス」'03)ほかマイケル・ロンズヂール(「アレクサンドリア」'09)、オリヴィエ・ラブルダン(「96時間」'08)、フィリップ・ロダンバシュ(「ブルー・レクイエム」'04)などのバイプレーヤーたち、フランス映画ではよく見る顔ぶれである。

 彼等は一ヶ月間、カトリック・シトー会による聖歌の指導を受け、修道院生活も経験したという。
 それだけに、映画に度々登場する修道士たちの聖歌唱和が、作品のリズムを作る。

 誘拐直前の最後の晩餐に、不意に流れるチャイコフスキーの「白鳥の湖」は、テロの恐怖に直面した彼等の心の葛藤と、キリスト者としての心の安らぎをイメージ化しクライマックスを迎える。 

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March 22, 2011

1778.アレクサンドリア

 震災前に見た3本の洋画、最終回は、4世紀末のローマ帝国時代終期のエジプトが舞台。
 「古代ローマ史」再学習のきっかけとなった作品だった。と同時に、今北アフリカ・中東で起こっている紛争の背景を知る機会にもなった。

003_640_2  BC331年、アレクサンドロス大王が建設した伝説の都市アレクサンドリア。
 それから700年、ローマ帝国エジプト総督府が置かれた文化・芸術都市で、いったい何があったのか。
 このスペクタル史劇は、21世紀の今北アフリカや中東での現実と、オーバーラップする。

338395_100x100_008   作品は、実在した女性天文学者であり数学者・哲学者だったヒュパティアの悲劇的な半生が描かれる。

 この時代すでに「地動説」を唱え、惑星としての地球が太陽を楕円軌道で回っている事を、幾何学的に証明したヒュパティア。
 新興宗教キリスト教の独善性はそれを認めず、彼女の命を奪う。

338395_100x100_002  誇り高きヒロインを演じたのは、「ナイロビの蜂」('05)でアカデミー賞を受賞したイギリス女優レイチェル・ワイズ。

338395_100x100_005  彼女を慕う奴隷出身のキリスト教修道士に、同じイギリスの俳優マックス・ミンゲラ(「ソーシャル・ネットワーク」'10)。
338395_100x100_009  彼女の弟子でもあったエジプト総督に、グアテマラ出身のオスカー・アイザック(「ロビン・フッド」'10)という配役。

 スペイン映画であるが、「海を飛ぶ夢」('04)でアカデミー賞を受賞したチリ出身のアレハンドロ・アメナーバルがメガホンを執る。

338395_01_03_03_3  作品は、異文化・異教徒の対立による壮絶な殺し合い、宗教が持つ排他性・独善性・残酷さを余すところなく描く。
 まさにエジプトで、リビアで、イランで、バーレンで今起こっている騒乱そのものなのだ。
 そこにこの映画の今日性がある。

Wallpaper2_800x600  ヒュパティアの「地動説」は、1000年後コペルニクスによって再び世に問われる。
 ガリレイもまたこの説を支持したが、キリスト教による異端審問によって有罪とされた。
 「それでも地球は回っている」と。

 今もなお幾つかの国では、科学的真理が宗教や政治によって排撃されている。
 そうした意味から、映画は4世紀ローマ帝国末期という古い歴史ドラマではないのだ。 

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March 20, 2011

1777.スカイツリー634

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110101_033_640_2110201_007_640110318_005_640  上の写真は、一昨日のスカイツリー。
 
 この直前ツリーは、目標とする634メートルに達した。

 大震災でどうなるかと思っていたが、予定通りの到達。日本の「技術力」の水準の高さを見せた。
 こうした技術力は、震災の復興にきっと役立つだろう。

 次の写真は、元日撮影したもの。そして真ん中が2月1日、右は今回のアンテナ部分。
 このように写真を並べてみると、トップの延びていく様が良く判る。

 足元では、都鳥が暖かい日差しをあびていた。

110318_025_640110318_029_640110318_035_640110318_037_640  昨日は久し振りに渋谷に出かける。恒例の「塾」の集まりである。

 土曜日だけに、公園通りやセンター街は若者であふれていた。テレビが伝える惨状と渋谷の光景、どちらかが白昼夢なのか。

 「塾」のテーマは「福島原発」。「何が伝えられていないのか」「何が隠されているのか」、海外専門機関の分析や欧米からのメディア情報を整理しながら、お互いの認識の共有化を図った。       

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March 18, 2011

1776.ツーリスト

 所用があって銀座まで出かけた。歩行者が少ないので、三越の地下駐輪場まで自転車で15分だった。普段より5分以上早い。
 デパートは開店しているが、ブランド品を扱う高級店はほとんど休業。外資系の店などは、拠点を関西に移したそうだ。「原発」を恐れて、支配人ら幹部は「逃亡」したわけ。
 レストランも半分ぐらいが休業。計画停電で従業員のやりくりに困るらしい。
 銀座に残る唯一のキャバレー「白バラ」、開店時間は午後5時30分~10時!!

 という事で今日のブログは、大地震前に見た洋画の第2弾。

002_640  アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップ、ハリウッドを代表するトップ・スターの夢の競演だから見逃すわけにはいくまい。
 監督が「善き人のソナタ」を撮った、ドイツのフローリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクというから、これも面白い。

 舞台はパリとヴェネチア、それに二つの都市を結ぶ国際列車。
 大金を横領してマフィアに追われ、脱税で国際指名手配されている男。その愛人がアンジェリーナ・ジョリー。

337899_100x100_003  男の指示でヴェネチアに逃げるアンジェリーナが、カムフラージュのため列車の中で拾った男がジョニー・デップ。
 アメリカの片田舎の冴えない数学教師、休暇旅行でたまたま列車に乗り合わせた「ツーリスト」だった。

 妖艶な彼女の誘惑に負けてよろめいてしまったジョニー、マフィアの殺し屋に追いかけられたりイタリア警察に逮捕される羽目に陥ってしまった・・・・。

337899_100x100_001  華麗で極上なミステリーと予告編ではPRしていたが、むしろコメディタッチのラブストーリーといった趣。
 オードリー・ヘップパーンを思い出す、ひと時代前のサスペンス映画のムードだ。

337899_100x100_006  アンジェリーはもちろんだが(「17歳のカルテ」でオスカー受賞)、主要スタッフが皆アカデミー賞受賞経験者というのも凄い。

 ドナースマルク監督は「善き人のためのソナタ」で外国語映画賞、製作のグレアム・キングは「ディパーテッド」で作品賞を受賞。
 脚本は「ゴスフォード・パーク」で脚本賞受賞のジュリアン・フェロウズ、撮影は「イングリッシュ・ペイシェント」で受賞したジョン・シール、衣裳デザインは「シカゴ」「SAYURI」で2回受賞のコリーン・アトウッド、編集のジョー・ハッシングも「JFK」「7月4日に生まれて」と2回受賞している。

 なぜかジョニー・ディップだけが、3回ノミネイトされているが受賞歴はない。

 飛びつきたくなるようなアンジェリーのスタイリッシュな後姿と、セクシーな唇にアイシャドウ。体ぴったりのフォーマルスーツにフェラガモのハイヒールは、舞踏会での華麗なファッション。
 「高齢者」も結構楽しめる映画である。

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March 16, 2011

1775.英国王のスピーチ

 大震災から6日目、被災地の惨状をテレビで見続けるのつらい。原発の大危機とその対応に苛立っても、年寄りとしては何も出来ない。せいぜい節電に努め、外出を控えているがこれも限界がある。自転車で近所に出かけてはいるが・・・・。
 そんな事でブログで紹介する話題も、あまりない。
 
 そこで、大地震前に見た3本の洋画を今週は紹介するに留める。

001_640  久々の満員札止めの劇場だった。(鑑賞したのは、先週の大地震前日)
 「ソーシャル・ネットワーク」との一騎打ちに勝って、今年のアカデミー賞作品賞に輝いた「英国王のスピーチ」である。
 さらに12部門にノミネイト、監督賞・主演男優賞・脚本賞の主要4部門を獲得した。

 ある批評家は「吃音が早口に圧勝」したと書く。吃音に悩む英国王ジョージ6世の実話だからだ。
 「ソーシャル・ネットワーク」の方も実話だった。こちらは主人公のザッカーバークが、機関銃の如くしゃべりまくった。

338127_100x100_004_3  タイトルの「スピーチ」とは、ナチス・ドイツとの宣戦布告に際してジョージ6世が国民に向けて行った演説である。
 吃音の障害を乗り越えて行ったこのスピーチは、歴史に残る名演説といわれている。

 映画は、そこにいたるまでの家族愛と、異端のスピーチ・セラピストとの身分を越えた友情を、シリアスではあるがユーモアたっぷりに描いていく。

338127_100x100_002_2  ジョージ6世を演じて主演男優賞を受賞したコリン・ファースが上手い。
 「シングルマン」で前回も主演男優賞にノミネイトされたイギリスの俳優ファースは、今回ゴールデン・グローブ賞や各国の映画祭など男優賞を総なめした。

338127_100x100_009  エリザベス王妃はヘレナ・ボナム=カーター。
 ティム・バートン監督夫人としても知られているが、彼女自身貴族出身で曽祖父は元イギリス首相という名門である。
 彼女もまた今回アカデミー賞助演女優賞にノミネイトされた。

338127_100x100_005_2 異端のセラピストはオーストラリア出身のジェフリー・ラッシュ。
 「シャイン」('96)でアカデミー賞主演男優賞を受賞したベテラン俳優、今回ももちろん助演男優賞にノミネイトされた。

 監督賞のトム・フーバーはオックスフォード大学出身でTVディレクターとして活躍、脚本賞のデヴィッド・サイドラー(「王様と私」'99)は幼児期の戦争体験で吃音の障害を持つ。

338127_100x100_018  作品は、英国王室の近代史とも云える。ポイントだけを述べておこう。

 ヨーク侯爵(のちジョージ6世として即位)を厳しく躾け、吃音障害をもたらした父王ジョージ5世はヴィクトリア女王の孫。

 ヨーク侯爵の兄エドワード皇太子は、1936年父王逝去でエドワード8世として即位したが、離婚歴のあるアメリカ女性シンプソン夫人との「王冠を賭けた恋」によって退任する。
 そして最も嫌がっていた「王冠」が、ヨーク侯爵に回って来てしまったのである。

338127_100x100_003  ジョージ6世(ヨーク侯爵)は、スコットランド貴族出身のエリザベス王妃の献身と内助の功もあって、「よき王」としてイギリス国民の敬愛を集めた。
 第二次大戦中もロンドンを離れず、ドイツの空襲に脅える国民を励まし続ける。

 若い頃は「あまり言葉を用いずにすむ」海軍に身を投じ、第一次大戦で数々の戦功をあげている。
 できれば兄王の裏方として英国王室を支えていこうと考えていたからである。

 イギリス国王は英国国教会の首長でもある。プロテスタントの長が離婚歴のある女性とは結婚できない。
 だからエドワードは王冠を捨てた。在任はわずか11ヶ月だった。

 現在のイギリス女王エリザベス2世は、ジョージ6世の長女。父王が戴冠した時は11歳だった。
 映画でも可愛い女の子として、妹のマーガレット王女と一緒に登場する。

 ジョージ6世が逝去した1952年即位、その彼女を全力で支えたエリザベス皇太后は、9年前に101歳の長寿を全うして亡くなった。
 そして今年、ジョージ6世の曾孫ウイリアム王子がめでたく結婚の儀を迎える。

 「エリザベス女王」「クイーン」と、なぜか英国王室を描いた作品はヒットする。

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March 14, 2011

1774.築地・浜離宮

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 近所のスーパーマーケットは買いだめのせいか品薄、そこで築地に買出しに出かけた。
 次々地伝えられる大震災の惨状を知り、気持ちは萎える。気分転換をと浜離宮まで足をのばしてみた。
 梅の花はそろそろ終りだが、30万本の菜の花は咲き乱れていた。

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 さすがに観光客の姿は見られず、園内はひっそりとしている。

 この季節、庭園で見られる花は「寒緋桜」に「藪椿」など種類は限られる。
 110314_032_640_2110314_033_640110314_026_640                                           
 しかし来月に入ると「桜」が「ソメイヨシノ」から「ヤエザクラ」「サトザクラ」、「花桃」「山吹」「花梨」「白木蓮」と、園を彩る。

 自然は「美しさ」をもたらすが、また「残酷さ」も見せるという事実に思いを馳せた。

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 一方「築地市場」のほうだが、場内・場外ともに普段の賑わいは見られない。

110314_003_640110314_001_640  観光客はもちろんだが、プロの「買出し人」も3割減だと仲買店は話す。
 築地市場の水産物の2~3割を占める、東北各地の港が壊滅的な被害を受けたからだ。

 冷凍ものは何とか値段を維持できるが、ナマものは急激に値上がりしそうだ。
 当面の生鮮食料品を買い求めて、自転車で帰宅した。   

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March 12, 2011

1773.大地震

110312_010_640  今朝の東京は快晴。東北地方の被災地の惨状をテレビは伝えているが、窓から眺める都心は平穏そのもの。
 ただ余震は、30分間隔ぐらいに起こっている。

 マンションのエレベーターは、昨日の午後2時46分以後止まったまま。夕刊・朝刊を取るため19階から1階まで往復した。
 結構体力勝負だ。

110312_004_640110312_001_640_2   友人達から、地震見舞いのメールや電話をいただいた。
 被害は積み上げた本が崩れたり、一部の家具が倒れた程度と些少。

 高層マンションに住み始めてから、最大規模の地震。高層建造物特有の長周期の揺れは想像以上だったが、耐えられない事はない。
 ただ余震のたびに大きく揺れるので、連れ合いは船酔い状態。

110312_007_640110312_008_640  たしかに建物内にいたら、津波や火災は免れるだろう。
 マンションの防災室からは、建物内に留まるよう指示された。

 近くのお台場で火災が発生したようだが、延焼せず鎮火した。

 夜、四谷に勤務する娘が、2時間歩いて辿りついた。自宅の川崎までは無理だというので。

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March 11, 2011

1772.時代小説ブーム

009  ここ数年、「時代小説ブーム」が続いているという。
 先週久し振りに「黒瀬」に集まった大学同級生との、懇談会の席上での話題である。
 友人のひとりは、佐伯泰英の「文庫書き下ろし長編小説」全てを読破したと話す。読んだ後は、マンションの図書室に寄付して皆に喜ばれているらしい。

010  私もまたブログ1950号(11.01.28)で紹介したように、佐伯泰英や山本一力、宇江佐真理、平岩弓枝などの時代小説を読みふけっている。

 特に欧州を舞台にした謀略小説を書いてきた佐伯が、はじめて時代小説として手がけた「密命シリーズ」はこの1カ月で21巻まで読んだ。
 私の場合は、友人のように書店で新しく購入するのではなく、区立図書館に通って借りるのだが。

 過去にも、「時代小説」がその「時代状況」を敏感に捉えて、ブームとなった時期が2回あった。それは「昭和の初期」と「昭和30年代」のこと。

688daibosatsu  先鞭をつけたのは、1927(昭和2)年都新聞に連載された中里介山の「大菩薩峠」。
 ニヒルな机竜之介が主人公、1941年まで毎日・読売と連載は続いたこの小説は、大佛次郎著「赤穂浪士」の堀田隼人、林不忘著「大岡政談」の丹下左膳を生み出す。
 昭和の初期、政治・外交・経済が行き詰まり、時代は重苦しい空気に支配されていた。
 介山は、この閉塞感のなかに無形異端の主人公を投じた。

510a3hhewtl__sl500_aa300__2  私が「大菩薩峠」を知るのはもちろん戦後のことで、大河内伝次郎や片岡千恵蔵の机竜之介だった。
 そして近年、市川雷蔵の映画に接し改めて中里介山の小説そのものを手に取った。
 書かれた頃の時代状況が、現在と全く相通ずるだけに新鮮な気持ちでページを捲ったことを思い出す。

  「侍ニッポン」(郡司次郎正著)の新納鶴千代、「人間飢餓」(村松梢風著)の平手造酒も、現代に通ずるニヒルなアンチ・ヒーローである。

61z726vc1bl__sl160_pisitbstickerarr  次のブームが昭和30年代になる。
 まずは五味康祐の「柳生武芸帳」と、柴田錬三郎の「眠狂四郎無頼控」を思い出す。
 この作品は、1956(昭和31)年創刊された「週刊新潮」に連載され、大衆の喝采を浴びた。「剣豪小説」のブームとも云える。

 評論家の江藤淳はこれらの作品を、「『戦後』という時代に否定的な、ひとつの戦後思想の象徴としての意味を荷った存在である」とする。
 つまり、アメリカから輸入された擬似民主主義を核とした戦後思想を、五味や柴田の「剣」は切って捨てたのである。

 その頃愛読した「時代小説」は、司馬遼太郎・池波正太郎・山本周五郎・藤沢周平の諸作品。

 さて現在の「時代小説ブーム」である。冒頭に紹介した作家達が、それを荷っている。
 時代を、どう切り取っていくのか。文庫本を手に取るたびに、楽しみにしている。

 時代小説+剣豪小説+捕物帳+歴史小説+武士道物語+股旅もの+忍法帳+市井人情もの)=江戸小説は、文庫本に始まりテレビへと展開し、歴女の登場、「歴史ウオーク」のブームとして展開している。

 この週末も、私は文庫本と「江戸切絵図」を手にして界隈を歩く予定だ。

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March 09, 2011

1771.戦火の中へ

_640  役者もスタッフもほとんどが兵役経験者なので、韓国の戦争映画の迫力は凄い。
 実弾射撃も体験しているので戦闘シーンもリアル、日本映画は到底真似できない。

 「戦火の中へ」は「ブラザーフッド」('04)に続く、朝鮮戦争を舞台にした戦争アクション大作である。
 昨年が朝鮮戦争勃発60周年だったため、韓国では大反響を呼んだ。

337960_100x100_001  朝鮮戦争最大の攻防戦となった韓国南部の洛東江。
 朝鮮人民軍の進出を少しでも遅らすため、浦項に残された71人の学徒兵の物語である。
 「拠点を死守せよ」と命じられた中・高校生、銃を持ったことさえ初めての素人学徒兵たちに、数千人の人民軍の兵士と戦車が襲い掛かる・・・・・・。

337960_100x100_005  フィクションではなく実話に基づく。
 「お母さん、ボクは人を殺しました・・・・・・」に始まる、当時中学3年生だったイン・ウングの手紙が発見された事から、映画化は始まった。
 戦いの中で命を失った少年は、手紙の中に「戦争の悲惨さ」と「同じ民族同士が戦うことの理不尽さ」を綴っていた。

 監督にオファーされたのは、イ・ジョハン。日韓合作映画「サヨナライツカ」('09)で、日本でも知られるヒット・メーカーである。
 ラブストーリーの名手の彼にとって、戦争映画は初めてである。
 「少年達はなぜ銃を捨てて逃げなかったのか」と、この作品に想いを賭けた。

337960_100x100_002  主人公は、学徒兵たちのリーダーにされてしまった真面目な少年。アイドル・グループBIGBANGのT.O.Pことチェ・スンヒョンが映画デビュー作ながら、朴訥に演じる。
 彼と対立するのが少年院出身のチンピラ、クオン・サンウ(「美しき野獣」'05)たち。


337960_100x100_007_2  ほか、少年達は兵士ではないと攻撃をためらう朝鮮人民軍の隊長にチャ・スウオン(「シークレット」'09)。
 少年達を置き去りにせざるを得なかった韓国軍隊長に、キム・スンウ(「アイリス'10)とベテラン俳優が顔を見せる。

337960_100x100_003_3  戦闘シーンは、これまでの韓国映画では最もスケールが大きいものとなった。
 「ブラザーフッド」('04)「戦場のレクイエム」('07)「レッドクリフ」('08)などの特殊効果を担当したデモリションは、2トンを超える爆薬を使ったという。

 先週の日本映画「太平洋の奇跡」と見比べると、韓国映画人の戦争に対する「距離」の違いが良く判る。
  ラスト、学徒兵のなかで生き残ったたった2人の老人が証言する。事実「朝鮮戦争」は今も続いているのだ。

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March 07, 2011

1770.ジーン・ワルツ

006_640  現役の医師でもある、海堂尊の「医療ミステリー」が原作。昨年秋に文庫化され、40万部を売り上げたベストセラーである。

 閉鎖予定の小さな産科クリニック、そこに通う4人の訳ありの妊婦。その主治医が勤める大学病院が舞台。
 崩壊の一路をたどる産科医療に、衝撃の計画を仕掛けた女医が主人公である。

338079_100x100_004   その女医が管野美穂、彼女を愛するエリート医師が田辺誠一。
 クリニック院長浅丘ルリ子、その息子で医療事故により収監された産科医が大森南朋。

 四人の妊婦が桐谷美玲(「君に届け」'10)、南果歩(「海炭市叙景」'10)、風吹ジュン(「最後の忠臣蔵」'10)、白石美帆(「半次郎」'10)。
 「NANA」シリーズの大谷健太郎が、メガホンを執った。

338079_100x100_005  原作とはニュアンスが異なり、ミステリー色は薄い。序盤でネタバレとなる。
 むしろ医療現場からの告発を背景に置いた、ヒューマンドラマと云える。
 「医学」と「医療」の違い、「医の倫理」と現実。生命の尊さが基調となる。

338079_100x100_002_2  そして「妊婦タライまわし死亡事件」「産科医手術ミス事件」「実母による代理妻問題」「アジア女性の借り腹」など、ここ数年問題となっている産科医療の現実が抉りだされる。

 タイトルの「ジーン」とは「遺伝子」のこと。「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」に続く海堂尊の新しい世界である。 

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March 05, 2011

1769.KOGEI~Art Fair

Photo_2  日本を代表する工芸作家53人が一堂に会した「現代工芸アートフェア」が、有楽町・東京フォーラムで開催されている。

 この催しは世界に誇れる「日本の美」、深く日本の風土に根ざした「工芸アート」を世界の人々に知ってもらおうと開かれたもので、個性豊かな陶器や磁器、漆器、錫器が並ぶ。

006_640_2004_640  主催団体の友人から、内覧会のレセプションに招かれ昨夜会場を訪ねたが、それぞれの作家の知人・友人やメディアの取材で場内は熱気に溢れていた。

 地下2階ガラス棟の広い展示場には、30代から70代まで、大学で美術を学んだ工芸家や著名な作陶家の後継者など、53人の作品がそれぞれのコーナーに5~10点づつ展示されていた。

003_640_2   場内での撮影は禁止されているので、個々の作品は紹介出来ないが、招待券を送っていただいた鈴木五郎さんだけを紹介しておく。(左の写真)
 愛知県出身の鈴木さんは、私と同年代。海外での企画展で活躍している工芸作家である。

001_640  会場では、工芸作家と草月流の明日を担う作家たちによる春の花のインスタレーション「いけ花とうつわの春のコラボレーション」、出展作家が熱く語る「現代工芸をトーク&ディスカッション」など、多彩な催しも行われている。

 なおこの展覧会は、今年の秋にヨーロッパでも開催する予定だそうだ。

 「第1回現代工芸アートフェア」は、明日日曜日までの2日間開催。有楽町・東京国際フォーラムB2展示ホール。入場料1000円。  

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March 03, 2011

1768.琳派芸術(第2部)

_640  桃山時代の終末期に誕生した「琳派芸術」、その祖と歴史についてはブログ1744号('11.01.16)にて紹介した。
 今回は、出光美術館で開催されている「琳派芸術展第2部・転生する美の世界」のご案内。

 俵屋宗達と本阿弥光悦、尾形光琳・乾山と続く「琳派芸術」が、江戸で本格的に花開いたのは文化・文政の時代(1804~30)。
 その江戸琳派のリーダーが、酒井抱一だった。

 抱一(ほういつ)は出家名、江戸・下谷金杉に庵を構え鶯村、雨華庵と号した。
 彼は250年前の宝暦11年、姫路藩酒井雅楽頭家の15代藩主の次男として江戸で生まれたが、若い頃から浮世絵や狂歌、俳諧など通俗的な町人文化に親しむ。
 しかし松平定信の「寛政の改革」によって、これら「悪所文化」が弾圧を受けたため、抱一は出家する。若隠居の身ながら、生家の酒井家や姫路藩に累を及ぼさないようにとの配慮だった。
 そして宗達、光琳・乾山兄弟を慕い琳派の使徒となった。

008007_22_3   左の屏風絵は、今回の展示作品の目玉のひとつだが、それは俵屋宗達が描いた「風神雷神図」(右)の模写とも云える作品である。

370pxkorin_fujin_raijin_2   宗達の画は現在京都国立博物館にあって国宝に指定されているが、東京博物館にある尾形光琳の同じモチーフの画(右)は重要文化財となっている。
 模写とはいえ、抱一の俳諧への耽溺が画風ににじみ出ている。

009  左は抱一の描いた「八ッ橋図屏風」。
013  右は、現在アメリカのメトロポリタン美術館が蔵している尾形光琳の「八ッ橋図屏風」。
 構図は似ているが、橋の杭や花の描き方に俗に傾斜するところが大きい。

014  また、根津美術館蔵の国宝「燕子花(かきつばた)図屏風」(光琳筆)と比べても面白い。
 なお、光琳のふたつの金屏風は、4月16日から根津美術館で「KORIN展・ニューヨーク・東京100年ぶりの再会」として公開される予定。

011_2012    「琳派芸術第2部展」はこのほか、銀地に描いた「紅白梅図屏風」(酒井抱一筆)や、抱一の高弟・鈴木基一の「四季花木図屏風」など、江戸琳派を中心とする作品33点、第1部からの光悦・仁清・乾山の工芸品が展示されている。

 「琳派芸術・転生する美の世界」は、3月21日まで出光美術館で。入館料は1000円。 

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March 01, 2011

1767.男たちの挽歌

Wp_thumbs_all 「香港ノワール」の記念碑的な作品、ジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」。
 25年ぶりにリメイク版、いやリウエイク(再覚醒!)版が韓国で製作された。
 それもジョン・ウー自身が製作総指揮を執った映画である。

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  中国語の原題は「英雄本色」、それを日本では「男たちの挽歌」とした。このタイトルはジョン・ウーも気にいったらしく、続編でもないのに彼の「香港ノワール」は、日本で「男たちの挽歌」のパートとして上映される。

Scr_thumbs という事で、リウエイク韓国版「無敵(籍)者」も邦題は「男たちの挽歌」である。
 因みに英語のタイトルは、「A BETTER TOMORROW」。今回の日本上映では、これが副題として付けられた。

 「男の友情と兄弟愛」という作品の基調は、今回もきちんと守られている。
 韓国作品としては今日的状況を生かして3人の主人公たちを、「脱北者」とした。
 先に逃れた男二人は、韓国マフィアの幹部になった。脱北の時生き別れた弟は、その後韓国に逃れてきて警察官になる。
 兄弟がマフィアと警官に別れるのも、「香港版」通りなのだ。

Wp_thumbs_cast_songseungheon_2Wp_thumbs_cast_joojinmo_2Wp_thumbs_cast_johansug   役者の方は、チョウ・ユンファの演じた友情のため命を賭ける男を、「ゴースト」('10)で松嶋奈々子の相手となったソン・スンホンが、マフィアの兄貴、ティ・ロンの役をチュ・ジンモ(「愛サラン」'07)と、韓国売れっ子の俳優二人が登場する。

 また生き別れとなった弟レスリー・チャンはキム・ガンウ(「シルミド」'03)、敵役の裏切り者レイ・チーホンはチョ・ハンソン(連理の枝」'06)と、こちらも韓国人気スターたちである。

 ジョン・ウーのスタイリッシュなアクションと数々の名シーンを再現したのが、「力道山」('04)のソン・ヘソン監督。
 自らの誇りと失われた絆を取り戻すために、最後の賭けに出る男たち・・・・・。サム・ペキンパーや深作欣二の影響を受けたという、ジョン・ウーの「志」はきちんと受け継がれている。

 主題歌は、結成10周年を迎えたニッポンのCHEMISTRYが歌っている。

 今年初めての「韓流映画」、日本の極道ものとは一味違う。

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