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January 18, 2012

2039.フェア・ゲーム

2_002_640  アメリカ政治史上最大のスキャンダルと言われた「プレイム事件」。
 チェイニー元副大統領の首席補佐官ルイス・ビリーに、2年6ヶ月の実刑判決が出て幕を閉じた。
 当時のブッシュ大統領による減刑処置である。

 この事件でCIAエージェントの身分を暴露され、家族ともども生命の危機にさらされたヴァレリー・プレイム・ウイルソン、彼女が書いた回顧録が2007年10月に刊行され再び注目を浴びた。

 本の題名は「フェア・ゲーム~CIAのトップエージェントは、いかにして国家に裏切られたか」。
 ホワイトハウス上級顧問カール・ローヴァーが、ヴァレリー・プレイムを指して言った隠語「フエア・ゲーム」(恰好の餌食)を逆手にとって題名とした。

Maeuri  事件は、ヴァレリーやその夫である元外交官の調査報告を無視して、イラク核開発と大量破壊兵器保持を理由にイラク攻撃に踏み切ったブッシュ政権の欺瞞告発に始まる。

 戦争の大義を縷々述べたブッシュの「一般教書演説」('03.1.28)に対し、元外交官は「イラクがニジェールからウランを極秘に買い付けた」という、ホワイトハウスの言い分に反論する(「ニューヨークタイムス掲載~アフリカで私が見付けられなかったもの」'03.7.6)。

 一方、ネオコンを中心としたホワイトハウスのスタッフは、「ブッシュの戦争」を守るために、元外交官の妻がCIAエージェントだった事をリーク、夫婦の信用を落すプロパガンダを展開する。

340261_01_03_03  双子の幼い子供を抱える夫婦と、マスコミも味方につけたホワイトハウスとの戦いがこうして始まる。
 しかし古巣のCIAは、彼女たちを支える事はしない。CIAは、まさに国家権力の手先だからである。

 映画化は、「ボーン・アイデンティティー」('02)の監督で知られるダグ・リーマンが手をつけた。
 彼は、ヴァレリーの「回顧録」と元外交官の書いた「The Politics of Truth」を元に綿密なリサーチを行い、セミドキュメンタリー・政治サスペンスに仕上げた。

20110811005fl00005viewrsz150x  出演者は主人公である夫婦に、「ミスティック・リバー」('03)「ミルク」('08)で2回オスカーを受賞したショーン・ペンと「21グラム」('03)のナオミ・ワッツ。
 当時のブッシュ大統領や副大統領、国務長官やイラク戦争のニュース映像を駆使しながら、「アメリカの正義とは」「イラク戦争とは何だったのか」を真正面から問う。

340261_01_03_03_2  正義のために行った行為が、逆に夫婦を翻弄して家庭崩壊の危機まで招く。
 「政治的危機」と「家庭崩壊の危機」、回顧録で明らかにされた真実が映像の世界でも露にされていく。

 エンド・ロールに、議会で証言する実在のヴァレリー・プレイムが登場する。
 ナオミ・ワッツそっくりの美人元スパイだった。

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