« December 2011 | Main | February 2012 »

January 30, 2012

2045.ALWAYS三丁目の夕日'64

2_010_640_2  日本アカデミー賞をはじめ国内のほとんどの映画賞に選ばれた「ALWAYS三丁目の夕日」('05)、翌々年「続編」が製作されたが今回は5年ぶりの登場である。

 時は昭和39年、1964年の東京下町が舞台。
 日本が高度経済成長に向う時代、新幹線開通しオリンピックがやってきた。
 まさに「貧乏だったけれど、活気があった」時代、「希望と夢がもてた」時代である。

2_011_640 主要な登場人物と役者はこれまでと同じ、ただそれぞれ年月を経て成長(老化)している。

 売れなかった作家(吉岡秀隆)は飲み屋のママ(小雪)と結婚して、あの孤児(須賀健太)を育てている。彼はもう東大を目指す受験生である。

339701_100x100_004  車修理工場を経営している気の短いオヤジ(堀真一)と優しいオカミさん(薬師丸ひろ子)夫婦、集団就職で青森からやってきて工場で働く少女(堀北真希)は年頃の娘に成長した。

 この二組の家族と彼らを取り巻く人たちの、「親別れ」「子別れ」「結婚」「出産」が今回の物語である。
 そこに私たちは、市井に暮らす人たちのささやかな喜びを見て、感動を分けてもらうのだ。

339701_100x100_001 監督・脚本・VFXと第1作目から三役をこなしてきた山崎貴は、今最も元気のいい監督だろう。
 「続三丁目の夕日」の後も、「名もなき恋の歌]('08)「SPACE BATTLESHIPヤマト」('10)「もののけ島のナキ」('11)と話題作を監督して今回へとつなぐ。

339701_100x100_019 「三丁目の夕日」で懐かしい昭和30年代を再現し、特殊効果ではトップ・プロダクションとなった「白組」と、アニメ・CGを得意とする映画制作会社として世界に知られるようになった「ROBOT」も健在である。

 そして小学館「ビッグコミックオリジナル」に連載中の西岸良平の原作単行本は、1800万部を超える大ベストセラーとなった。

 映画の舞台となった1964年の東京オリンピック、当時のテレビ中継に熱狂する市井の人たちが物語を展開していく。
 その頃まだ駆け出しのテレビ・ディレクターだった私は、放送でレスリングとマラソンの中継を担当した。
 映画でも実況中継場面が映し出されるが、駒沢体育館でのレスリング競技で次々と揚がる日の丸に感動したことを、今懐かしく思い出している。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 28, 2012

2044.本所・まち歩き

120109_009_640120109_022_640120109_041_640120109_042_640

 江戸東京の「舟めぐり・まち歩き」。
 「日本橋川」「人形町」に続いて今回は「本所」、地下鉄押上駅を下車して東京スカイツリーを望む業平・十間橋からスタートした。

120109_028_640_2  「十間橋」は明暦の大火(1657年)のあと、江戸幕府による「本所・深川」開発のために開削された北十間川に架かる橋。川幅が十間あったのでこう呼ばれた。
 真正面に見えるスカイツリーが川面に写る、という写真スポットのひとつでもある。

120109_004_640   江戸の頃 この一帯は「柳島」と呼ばれ、橋の袂には「北辰妙見大菩薩」を祀る「法性寺」があった。
 また有名な料亭「橋本」もあり、料亭の味と「妙見さま」のご利益、柳の茂る風景を求め、多くの人たちが舟でやってきたという。

120109_640_3  右は広重が描いた「本所絵図・柳しま」、真ん中の建物が橋本、その左が法性寺。
 広重の先輩、葛飾北斎は妙見さまの大の信者、「北辰」から一字もらって北斎と名乗っている。

120109_008_640   関東大震災と東京大空襲で焼け出された寺は、現在マンションの一階部分にあった。。
 庭の片隅に近松門左衛門の供養碑や、江戸落語界の一派
「柳派」の記念碑「昔ばなし柳塚」がある。

120109_039_640  すぐ近く浅草通りにある「春慶寺」も、7階建てのマンション。
 本所開発の一環として、1667(寛文7)年に浅草から移転したこの寺は、池波正太郎の「鬼平犯科帳」に度々登場する。

120109_037_640  外からは見えないが、「東海道四谷怪談」の鶴屋南北の墓があるという。
 
 「なつかしや本所押上春慶寺 鶴屋南北おくつきところ」(宇野信夫)

120109_036_640_2  本所一帯は、幕府の「都市計画」によって、多くの寺院が誘致された。
 しかし震災や戦火で廃寺となったり、移転したりしている。

 右は「大雲寺」跡。初代中村(猿若)勘三郎から13代まで、初代市川羽左衛門から16代、4代~6代松本幸四郎、初代~6代尾上菊五郎の菩提寺で「役者寺」と呼ばれたが、関東大震災ですべての堂が消失、昭和に入って江戸川に移転・再建された。

120109_057_640   業平から駒形に歩いてまず「福厳寺」(左)。
 3代将軍家光が寄進した朱塗りの門があるので、「赤門寺」と呼ばれた。
 赤穂浪士の討ち入りを陰から支えた高松藩江戸家老・大石良穀の墓がある。

120109_060_640_2120109_059_640_2   そのすぐ近くにある「桃青寺」(右)は、「芭蕉わらじ脱ぎの寺」と呼ばれる。
 松尾芭蕉が数年寄宿した寺で、芭蕉の俳号「桃青」にちなんで、「芭蕉山桃青寺」と名づけられた

120109_075_640120109_079_640  このほか、初代・2代目志ん生や、日本に野球を紹介した実業家の平岡熈(856~1934)の墓がある「本久寺」などなど。

 落語の「文七元結い」に登場する「達磨横丁」を経て「駒形橋」へ。
 隅田川沿いを歩いて「吾妻橋」を渡る。

120109_084_640120109_085_640_2  向こうに見えるアサヒビール本社は、もともと沼津藩主・水野忠成が11代将軍家斉から賜った庭園「浩養園」の跡。
 幕末には秋田藩佐竹家が所有し「佐竹の庭園」とよばれたが、1900(明治33)に札幌麦酒が買い取りビール工場になる。
 現在は「金色の炎のオブジェ」で有名な、「リバーピア吾妻橋」。

120109_093_640_2 120109_098_640  「舟めぐり・まち歩き」、本所・業平をスタートした今回は、横川~本所~東駒形~吾妻橋と歩いて「浅草寺」が終点。
 
 大震災と空襲で江戸の面影を残す物は少なかったが、いまここ葛飾・本所は「東京スカイツリー」の完成を目前に控え、新しい時代への夢を私たちに語ってくれる。

 「すみだ街歩きガイド」を片手におよそ2時間、14,497歩のウオーキングだった。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 26, 2012

2043.ヒミズ

2_005_640 ブログ2037号('12.01.14)でも紹介したが、園子温のこれまでの作品は監督自身のオリジナル脚本だった。
 しかし今回は、愛読しているコミックを原作とする初めての「実写化」作品である。

 カリスマ漫画家・古谷実の「ヒミズ」は、「週刊ヤングマガジン」に連載されてきた人気コミック、平穏な日常に潜む孤独感を描き多くの若者たちの共感を得た作品として知られる。

 人間の存在そのものが持つ狂気をテーマに、独特の園子温ワールドを展開してきた彼は、そこに「青春純愛物語」を見た。
 だから今作品はポルノを省いたファンタジーとなる。

340494_100x100_006340494_100x100_005 崩壊した家族の中でもがく中学3年の少年と少女の純愛である。
 その二人を染谷将太(「アントキノイノチ」'11)と二階堂ふみ(「ガマの油」'09)が演ずる。

 二人の爆発するような情熱と感情のパフォーマンスは高く評価され、昨年のヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を受賞した。

340494_100x100_013  映画の導入部は、瓦礫の山となった大震災の被災地のトラックショットである。
 その「廃墟」の中に立ちすくむ主人公の少年、彼の手には拳銃。そこにモーツアルトの「レクイエム」が流れる。

 「ヒズミ」の製作進行中に、東日本大震災が発生した。園子温ワールドは、それに大きな衝撃を受ける。
 作り物の映像では決して描けない世界、彼の脚本は大きく変わったという。
 ラストが原作と正反対になったのは、その所為なのだろう。

340494_100x100_001  「家族の崩壊」「家庭内暴力」「不条理な無差別殺人」「不条理な被災」そして「暴力の連鎖」・・・、現実そのものの中から園子温は必死に「希望」を掘り起こそうとする。

 「ヒズミ(日不見)」、地中を徘徊するモグラに明るい太陽を見せようとした。

340494_100x100_007  オーデションで選ばれた若い二人を支える出演陣は、常連とベテランが顔を並べる。

340494_100x100_009  震災と原発でホームレスとなった元社長・渡辺哲、同じくテント暮らしのカップル・吹越満と神楽坂恵、少年に対しても冷酷なヤクザの親分・でんでん、チンピラ・窪塚洋介、そして少年に暴力を振るい続けるアル中の父親・三石研。
 ほか、古高由里子、鈴木杏、黒澤あすかにアイドル歌手西島隆弘。

340494_100x100_004  詩人でもある園子温は、今回も「詩」をキーワードとした。

 「牛乳の中にいるハエ/その白と黒はよくわかる/
   どんな人かは着ているものでわかる/・・・・
 何だってわかる/じぶんのこと以外は」

 フランスの放浪詩人フランソワ・ヴィヨンの「詩集」である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 24, 2012

2042.マイウェイ

2_008_640  アメリカ国立公文書館で見つかった一枚の写真。ノルマンディー上陸作戦での捕虜尋問の記録、その連合軍係官の前に立つドイツ兵は東洋人だった。

2_009_640 捕虜が語り始めたのは、満州からソ連、ノルマンディーまでを三つの国の軍服を着て生き延びたという、信じられない話だった。

 「シュリ」('79)「ブラザーフッド」('04)など、朝鮮動乱を舞台にした映画で知られるカン・ジュギ監督は、このエピソードを大きく膨らませて「三つの戦争」に翻弄された二人のマラソンランナーを描いた。

Img_p1_1Img_p5  最初の戦争は、「ノモンハン事変」。
 圧倒的なソ連軍戦車に向って狂気な戦いを挑む日本軍指揮官(オダギリジョー)と強制的に兵士にさせられた朝鮮人(キム・ジュンシク)。

 憎しみ合う二人は、かってオリンピックを目指したマラソンランナーのライバルだった。

Img_p1_2_4  第二の戦争は独・ソ戦「ジュコーフスキーの攻防」。
 ソ連軍の捕虜となり酷寒のベルミ収容所で強制労働を強いられた二人は、独・ソ開戦にによってソ連兵として動員される。

Img_p2   最後の戦いが連合軍の「フランス・ノルマンディー上陸作戦」。
 ロシアでドイツ軍の捕虜となった彼らは、今度はドイツ軍兵士となって要塞で再会する。

 憎しみ合い殺し合い寸前まで行った二人は、極限のなかでマラソンランナーとしての友情に目覚める。

 副題にもあるように、京城(現ソウル)からノルマンディーまで二人の足跡は「12,000キロの真実」。
 日本・ソ連・ドイツと三つの軍服を着ることとなった数奇な運命が、綴られていく。

340496_100x100_007_2340496_100x100_005  韓国映画史上最高の25億円の巨費を投じた作品。
 ロケはアジアからヨーロッパまで240日間、のべ7000人のエキストラが動員されて行われた。
 見せ場となった激戦シーンは、ノルマンディー上陸作戦を圧倒的な映像で描いた「プライベートライアン」('98)のスタッフも参加して撮られた。

 日本からは、主人公のオダギリジョーのほか、夏八木勲、鶴見辰吾、佐野史郎、山本太郎 が参加。
 さらに中国の女優ファン・ビンビンなど、国際的に活躍する多くの国の俳優が参加してスケールの大きな「戦争映画」となった。

20110810007fl00007viewrsz150x_2 「昭和の戦争」を描く韓国映画だけに、韓流映画を批判する「ネット右翼」たちが反日映画として嫌悪感を示している。
 しかしここは、ナチの残酷さを絶えず描かれるドイツ人の「大人の態度」を見習うべきであろう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 22, 2012

2041.鹿児島の夕べ

120120_013_640120120_009_640  週末、東京プリンスホテルで開催された「鹿児島の夕べ」、キーワードは「本物。鹿児島県」である。

120120_024_640  「本物の持つ力は、人を元気にします。
 例えば、自然の雄大さに息をのむこと、伝統文化の美しさにひたること、食や温泉の豊かさにつつまれること。
 多彩な魅力を持つ鹿児島県には、ここにしかない本物があふれています。
 さあ、あなたを元気にする鹿児島で、心に力を満たしてください。」
 知事を先頭に、主催者たちがこう呼びかける。

120120_023_640  出席したのは、ボランティアで鹿児島PRに務める「薩摩大使」や流通・観光業界の人たち。
 地方自治体が主催する東京でのパーティーには珍しく、会費制である。
 5年前、「鹿児島の人たちの税金でご馳走をいただくのは申し訳ない」と、薩摩大使や県人会から提案された。

120120_020_640  会場には、かごしまブランドの農産物や伝統工芸品、指宿や志布志・奄美・枕崎などのグルメが並び、試食もできる。
 鹿児島の繁華街・天文館からは、きれいどころがやってきて焼酎のサービス。

120120_016_640120120_015_640   そんななか、今年の話題は「宇宙焼酎」だった。

 宇宙焼酎は、昨年5月にスペースシャトルで打ち上げられ、国際宇宙ステーションに16日間滞在した「酵母菌」と「麹菌」えお使って仕込んだもの。
 鹿児島大学と酒造組合が共同して企画した試み、宇宙の時間が「菌」にどんあ影響を与えるかの実験だった。

120120_025_640_2   菌は鹿児島大学で培養され、昨年秋には12社の蔵で仕込まれた。そして先週、試飲会が開かれて大好評だったという。
 会場でも幾つか味わってみたが、上品な甘さとキレ、それになんと言っても「宇宙のロマン」が味わえた。

 「焼酎・宇宙だより」は今週27日から全国で販売されるが、12社の焼酎900ml12本セットで2万4000円。それぞれの蔵の銘品を飲み比べたらいかが。

 「薩摩大使」のひとりとして、ぜひお薦めする。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 20, 2012

2040.善き人

Eiga16602  病身の母を介護する「善き息子」。妻の代わりに家事をする「善き夫」。子供たちの面倒を見る「善き父親」。文学を情熱を持って教え子たちに語る「善き教授」。第1次世界大戦を共に闘ったユダヤ人医師の「善き親友」。

 書いた小説がヒットラーに気に入られ、ナチに入党させられた「善き人」は、権力に屈して友人を裏切り、家庭をも崩壊させていく。

 オーストリア生まれのブラジル人監督ヴィセンテ・アモリンは、これを「誰にでも起こりうる寓話」として映像化する。

 イギリスを代表する劇作家C・P・テイラーの、絶筆となった戯曲が原作。
 ロンドン・ブロードウエイ、日本でも2回上演され、「20世紀の舞台劇100本」にも選ばれた人気戯曲である。

20111112002fl00002viewrsz150x  「善き人」を演じたヴィゴ・モーテンセンの抑制された演技が、友情と生存という究極の選択を迫られたインテリの弱さと強さを繊細に見せる。
 「イースタン・プロミス」('07)でアカデミー賞にノミネイトされた彼は、アメリカ生まれだが父親がデンマーク人。北欧人独特の風貌が、「善き人」の心の内の葛藤を見る人に迫る。

 昨年公開された「黄色い星の子供たち」、先々週見た「サラの鍵」など、ナチスのユダヤ人迫害をテーマにした作品は多い。
 しかしナチス時代の「普通のドイツ人」を描いた作品は、あまり見ることがない。
 と同時に、この戯曲が改めて映画化された意味はその「普遍性」にある。

 「優柔不断」「確固たる信念はない」「誘惑に弱い」「現実逃避」「傍観者」「長いものには巻かれる」・・・・・・、私たちは作品の中に自分の姿を見る。
 アモリン監督が言う通り、これは極めて今日的寓話なのである。

 4年前に製作された映画をようやく私たちの目の前に持ってきた、配給会社ブロードメディア・スタジオの選択を多としたい。
 有楽町スバル座の、開館65周年記念作品である。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 18, 2012

2039.フェア・ゲーム

2_002_640  アメリカ政治史上最大のスキャンダルと言われた「プレイム事件」。
 チェイニー元副大統領の首席補佐官ルイス・ビリーに、2年6ヶ月の実刑判決が出て幕を閉じた。
 当時のブッシュ大統領による減刑処置である。

 この事件でCIAエージェントの身分を暴露され、家族ともども生命の危機にさらされたヴァレリー・プレイム・ウイルソン、彼女が書いた回顧録が2007年10月に刊行され再び注目を浴びた。

 本の題名は「フェア・ゲーム~CIAのトップエージェントは、いかにして国家に裏切られたか」。
 ホワイトハウス上級顧問カール・ローヴァーが、ヴァレリー・プレイムを指して言った隠語「フエア・ゲーム」(恰好の餌食)を逆手にとって題名とした。

Maeuri  事件は、ヴァレリーやその夫である元外交官の調査報告を無視して、イラク核開発と大量破壊兵器保持を理由にイラク攻撃に踏み切ったブッシュ政権の欺瞞告発に始まる。

 戦争の大義を縷々述べたブッシュの「一般教書演説」('03.1.28)に対し、元外交官は「イラクがニジェールからウランを極秘に買い付けた」という、ホワイトハウスの言い分に反論する(「ニューヨークタイムス掲載~アフリカで私が見付けられなかったもの」'03.7.6)。

 一方、ネオコンを中心としたホワイトハウスのスタッフは、「ブッシュの戦争」を守るために、元外交官の妻がCIAエージェントだった事をリーク、夫婦の信用を落すプロパガンダを展開する。

340261_01_03_03  双子の幼い子供を抱える夫婦と、マスコミも味方につけたホワイトハウスとの戦いがこうして始まる。
 しかし古巣のCIAは、彼女たちを支える事はしない。CIAは、まさに国家権力の手先だからである。

 映画化は、「ボーン・アイデンティティー」('02)の監督で知られるダグ・リーマンが手をつけた。
 彼は、ヴァレリーの「回顧録」と元外交官の書いた「The Politics of Truth」を元に綿密なリサーチを行い、セミドキュメンタリー・政治サスペンスに仕上げた。

20110811005fl00005viewrsz150x  出演者は主人公である夫婦に、「ミスティック・リバー」('03)「ミルク」('08)で2回オスカーを受賞したショーン・ペンと「21グラム」('03)のナオミ・ワッツ。
 当時のブッシュ大統領や副大統領、国務長官やイラク戦争のニュース映像を駆使しながら、「アメリカの正義とは」「イラク戦争とは何だったのか」を真正面から問う。

340261_01_03_03_2  正義のために行った行為が、逆に夫婦を翻弄して家庭崩壊の危機まで招く。
 「政治的危機」と「家庭崩壊の危機」、回顧録で明らかにされた真実が映像の世界でも露にされていく。

 エンド・ロールに、議会で証言する実在のヴァレリー・プレイムが登場する。
 ナオミ・ワッツそっくりの美人元スパイだった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 16, 2012

2038.「黒田征太郎」特別個展

120115_003_640 120115_011_640  月島川近く、水産物倉庫の3階にある画廊「@btf」。
 音楽に合わせて素手で絵を描いていく「ライブペインティング」で有名な、イラストレーター黒田征太郎の特別個展が開催されている。

120115_007_640  タイトルは「自由と不自由」「キママと原子力」、東京では初めてという3000点を超える膨大な数の原画が並ぶ。

 「黒田征太郎の今。生きるすべて」の展示だそうだ。

120115_004_640  黒田は今年73歳。神戸に生まれ船員など様々な職を経験したあと、ニューヨークに滞在して絵を描き始める。
 1969年にワルシャ国際ポスタービエンナーレ受賞、'85年には講談社出版文化賞も受賞している。

120115_010_640  子供の頃、実家を空襲で焼失した経験もあって、「ピカドンプロジェクト」など平和に関するイラストを描き続けている一方、「癒し」をテーマに「ホスピタルアート」をライフワークとしている。

120115_005_640  住んでいた「阪神淡路大震災」の時もそうだったが、今回の「東日本大震災」では度々被災地に足を運び、子供たちと一緒に絵を描いている。
 今回の特別個展にも、子供たちと共同制作したイラストやグラフィックデザインが数多く展示されている。

 大阪勤務時代、一緒に仕事をした黒田さんの絵を久しぶりに堪能した。

 「黒田征太郎」特別個展は今月末まで、倉庫画廊「@bft」で開催中。入場無料。
 (地下鉄「勝どき駅」下車A2出口より3分、近冨ビル3F)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 14, 2012

2037.恋の罪

2_004_640  初めて見た園子温(そのしおん)の問題作「恋の罪」、昨年のカンヌ国際映画祭監督週間に正式出品された。

 若い頃は詩人としても知られていた園は、80年代から数々にインディーズ作品を製作してきたという。
 私がその名前を知ったのは「紀子の食卓」('06)、幸せな家族って何?という映画だったそうだが見てはいない。

51vryk8lzkl__sl160__2   ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞した「愛のむきだし」('08)は、カリスマ盗撮男の純愛を実話をもとに描いた4時間の大作。
 その時間の長さを敬遠して、躊躇した。

51ndffcdtzl__sl160_  深い闇の世界に堕ちていく主人公をブラックユーモアのタッチで描いた「冷たい熱帯魚」、埼玉愛犬家殺人事件をベースにした作品も見逃した。
 一昨年のヴェネチア国際映画祭に出品され話題を呼んだ作品だが、近々再公開されるので、必ず見にいこう。

2_005_640 そして今週公開された「ヒミズ」、主演した染谷勝太と二階堂ふみは、昨年のヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を受賞した。

 脚本・監督の園子温は、いま世界の映画界で鬼才と呼ばれる。

 「恋の罪」に話題を戻そう。
 14年前に渋谷・円山町ラブ・ホテル街であった「東電OL殺人事件」が、作品のベースにある。
 今もなお真犯人をめぐって疑惑が問題とされる事件だが、園は全く異なった次元から捉えた。
 人間内部にある「狂気」、人間そのものが持つ「原罪」、それをセックスを通して描いていく。

20110809005fl00005viewrsz150x  「愛を媒介にしたセックス」「金銭を媒介にしたセックス」「欲情を媒介にしたセックス」、それを水野美紀(子持ちの刑事)、富樫真(エリート準教授)、神楽坂恵(売れっ子作家の妻)が体当たりで演じる。

 サスペンス・ドラマと銘打っているが、ポルノとファンタジーの境界にある映画といえよう。

339085_01_02_03  マーラ作曲「交響曲第5番」と田村隆一の詩が、それを彩る。
 「言葉なんか覚えるんじゃなかった/日本語とほんの少しの外国語を覚えたお陰で/僕はあなたの涙の中に立ち止まる/僕は君の血の中にたった一人で帰ってくる」

 若い頃「ジーパンを履いた朔太郎」と呼ばれた、園子音監督作品を初めて見たのだ。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 12, 2012

2036.ミッション:インポッシブル

340335_02_01_03  今年のお正月映画の大本命、3週連続興行成績はトップである。
 昨年末から全国343館で公開中だが、混雑をさけひと月待って出かけた。

 60年代の人気TVシリーズ「スパイ大作戦」のリメイク版として、第1作が公開されたのが'96年、以後'00年・'06年と続き今回はシリーズ4作目となる。

340335_100x100_012  主役のスーパーヒーローは、第1作からトム・クルーズと変わらないが、監督は毎回「話題の人」が登場するので注目される。

 '96年の1作は「アンタッチャブル」('87)のブライアン・デ・パルマ、続いて「レッドクリフ」('08)で有名なアクション監督ジョン・ウー、3作目は「アルマゲドン」('98)の脚本家で知られるJ・J・エイブラムスが初監督した。
 そして今回は「Mr.イングレディブル」('04)「レミーのおいしいレストラン」('08)と2回オスカーを受賞したアニメ監督のブラッド・バート、もちろん実写は初めてである。

340335_100x100_007  登場する舞台も毎回変わる。
 第一作が「プラハ、ラングレー、ロンドン」、続いて「シドニー、セビリア」、「ベルリン、ヴァチカン、上海」。
 今回は「モスクワ、ドバイ、ムンバイ」となる。

 副題の「ゴースト・プロトコル」とは、「わが政府は一切感知しない」ということ。
 クレムリンの爆破犯人と疑われ、アメリカのスパイ組織「I・M・F」から追放された主人公が、その容疑を晴らすため仲間と共に悪の黒幕を追う、というストーリーである。

340335_100x100_001  「ミッション:インポッシブル」は、毎回トム・クルーズの「ダイブ」が売り。
 今回は世界最高の超高層ビル、ドバイの「ブルジュ・ハリファ」(828m)からのノースタント・ダイブアクションとなる。

 お金をたっぷりかけた「ハラハラ・ドキドキ」のスリルを味わえる、大娯楽作品だけに肩を張らずに楽しく見られる。

340335_100x100_009  共演は「ミッション」の仲間に、前作から引き続きコンピューター天才のサイモン・ペッグ、CIA分析官のジェレミー・レナー(「ハート・ロッカー」'08)、紅一点の凄腕ポーラ・バットン(「プレシャス」'09)の面々。

340335_100x100_010  敵役が「ミレニアム・シリーズ」('09)の主役でスエーデンの俳優、ミカエル・ニクヴィスト。
 インドの富豪で武器商人に、「スラムドッグ&ミリオネア」('08)のアニル・カブールと国際色豊かである。

 テレビ時代から続くおなじみのテーマ音楽と、「当局は一切関知しない」の冷たい指令は今回もたっぷりと楽しめる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 10, 2012

2035.荻須高徳展

20_640  1986年10月、パリのアトリエで制作中に倒れて逝去した洋画家・荻須高徳。この年文化勲章受賞が内定しており、遡って受賞した。

20_003_640  第二次世界大戦中を除いて51年間をパリで過ごした荻須は、ユトリロの影響をうけパリの街角や店先を荒々しいタッチ描き続けた。

 日本橋三越では、彼の生誕110年を記念して「憧れのパリ、煌きのヴェネチア」と題した回顧展が開かれている。

 歴史がしみこんだ石造りの建物と街角、薄曇の光に照らされた灰色のパリとは対照的に、彼がたびたび長期滞在したヴェネチアの作品は明るい。
 温かみのある赤い壁が、運河の水に揺れる。
 二つの街が描かれた作品は90点あまり、荻須の生涯のテーマに圧倒される。

20_001_640_3

 左から「果物屋」(パリ・1930年)、「フジタの窓から見たオルドネール通り」(パリ・1938年)、「リオ・デ・レ・ベカリエ」(ヴェネチア・1935年)、「青い着物の美代子」(1959年)。

20_002_640_220_004_640_2  左は「サン・マルコ広場」(ヴェネチア・1935年)、右は数少ない静物の作品「黄色い壷のリラ」(1976年)。

 シラク大統領が「最もフランス的な日本人」と評した荻須高徳は、美代子夫人とともにパリのモンマルトル墓地に眠っている。

 「荻須高徳展」は、来週月曜日16日まで日本橋三越で。入場料は800円。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 09, 2012

2034.山本五十六

2_001_640  昭和初期から10数年、人々は不況にあえぎ、雇用不安、所得格差に不満を募らせた。総理大臣は次々と交代、その閉塞感のなかで大衆は「戦争」を求めた。
 70年前の日米開戦は、今と全く状況が同じだった。

340493_100x100_004  文藝春秋社の元編集長、作家の半藤一利が書いた「連合艦隊司令長官 山本五十六」を原作に、五十六の長男義正の著「父・山本五十六」のエピソードを交え、「人間・山本五十六」を描いた超大作である。

 登場人物の大半が実在の人物、そこに「大新聞社」の編集部というフィクションをもってきて「時代」を捉える。
 太平洋戦争に突っ走ったのは好戦派の軍部だけではなく、戦争を煽った「大新聞」と熱狂した「大衆」でもあったと、「半藤史観」は云う。

340493_100x100_001  日米開戦に最も抵抗してきた連合艦隊司令長官が、なぜ「ハワイ真珠湾攻撃」を決行したのか。
 作品のキーポイントは、そこにある。

 「軍縮」をめぐる海軍内の対立、「日伊独三国同盟」をめぐる海軍と陸軍の対立。作戦遂行上の航空派と艦隊派の対立。
 これまで度々語られてきた「歴史」が、具体的な映像で綴られる。

340493_100x100_005   連合艦隊司令長官・山本五十六(役所広司)、海軍大臣・米内光正(柄本明)、海軍軍務局長・井上茂美(柳葉敏郎)、五十六の友人で元海軍中将・堀悌吉(坂東三津五郎)。
 彼らと対立する軍令部総長・永野修身(伊武雅刀)、第一航空艦隊司令長官・南雲忠一(中原丈雄)らは実在の人物。

340493_100x100_011  原作者の分身らしい新聞記者(玉木宏)や戦争を煽る大新聞社・編集主幹(香川照之)は、フィクション上の登場人物である。

 太平洋戦争の大きな転機となった「ミッドウエー海戦」の敗北は、南雲中将の部下である参謀長の戦術ミスが最大の原因だが、彼だけは別名である。

340493_100x100_012  真珠湾攻撃→ミッドウエー海戦→ガダルカナル撤退作戦→ブーゲンビル上空での山本の非業の死、映画はここまでを語る。

2_640  「山本という軍人は、越後人特有の孤高を楽しむ風があった。口が重く長々しい説明や説得を嫌った。」と半藤一利は書く。

 戊辰戦争で最後まで義を貫いた長岡藩家老・河井継之助を尊敬する山本、孤高のうちに己の業を完成させていくという長岡人の激しさを、役所広司が見事に演じて作品を重厚にしている。

 監督は、「八日目の蝉」('11)の成島出。エンドロール、大海原をバックに小椋桂が主題歌「眦(まなじり)」を歌う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 07, 2012

2033.サラの鍵

2_008_640  今年最初の映画鑑賞は「サラの鍵」。
 
 「ユダヤ人迫害の動きが過激化する1942年のパリ。幼い弟を納戸に隠したサラは、その鍵を手にしたまま収容所へ送られてしまう・・・・。」
 一昨年の東京国際映画祭で、最優秀監督賞と観客賞をW受賞した作品。昨年末、ようやく公開された。

 ナチス占領下のパリであった「ヴェル・ディブ事件」、フランスの恥部といわれるこの事件は、フランス官憲によるユダヤ人の「LA RAFLE」(一斉検挙)だった。

338147_100x100_008  検挙されたの老若男女1万3000人、彼らはヴェル・ディブ(冬季用の屋根付き競輪場)に隔離された。

 ユダヤ人たちは、この後アウシュヴィッツに送られて虐殺される。辛うじて逃亡した子供たちを描いた映画「黄色い星の子供たち」は、昨年夏公開されたのでこのブログ1965号で紹介した。

338147_100x100_004  「サラの鍵」は、同じ事件を背景にフランスの女流作家タチアナ・ド・ロネが書いた「過去と現代が交差し、歴史が封印していた悲痛な記憶が掘り起こされる感動のベストセラー」の映画化である。

 「過去」のヒロインはサラ。納戸の鍵を手にした彼女は、弟を救い出すため収容所を脱出する。そして・・・・。

 「現代」は、改築中の新居が昔サラの家だったことを知り、その真実を追う40代の女性ジャーナリスト・ジュリアがヒロイン。

338147_100x100_026  「サラは弟を救えたか」「サラのその後の人生は」「ジュリアはサラを見つけることが出来たのか」「サラはジュリアの心の中に何を残したか」
 忌まわしい負の歴史に目を逸らさずに、真正面から向き合うジャーナリストの有り様も問う。

 映画祭で監督賞を受賞したジル・バケ=ブランネルは、「マルセイユ・ヴァイス」('03)で知られるフランスの若手監督。
 収容所で殺されたドイツ系ユダヤ人を祖父に持つ彼は、世界中で300万突破のベストセラーズとなった原作の映画化権を獲得し、綿密なリサーチを行い、ユダヤ人迫害の真実い迫った。

338147_100x100_006_2  「過去」のヒロイン・サラを演じたのは、フランスの子役メリュジーヌ・マヤンス(「リッキー」'09)。弟への想い、両親への愛情、自分の行いに対する苦悩を素直に見せる。

 「現代」のヒロイン・ジュリアは、「イングリッシュ・ペイシェント」('96)でアカデミー賞にもノミネイトされたイギリスの大女優クリスティン・スコット・トーマスが演じた。

 過去の悲しみと痛みが、未来への光に変わっていくラストシーンは、今を生きる人々への監督の暖かいメッセージでもある。

 今年は「ヴェル・ディブ事件」から、ちょうど60年になる。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 05, 2012

2032.谷中七福神巡り

20120103_012_640  年の初めに詣でれば、福を授かる七福神めぐり。
 徳川家康が崇拝した七福神は、文化・文政時代(1804~30)には江戸の庶民の信仰となった。
 その中でも最も古いのが「谷中七福神」、日本橋・深川に続いて今年は上野・日暮里・田端を歩いた。

20120103_082_640  スタートは「不忍池弁天堂」(辯才天)。
 寛永寺を創建した天海僧正が、琵琶湖と見立てて造営した不忍池の中ノ島に、滋賀・竹生島から分祀した。
 知恵・弁舌・音楽・財福を司る天竺の神、七福神の紅一点である。
 朝9時半、午前中のせいかお参りする人は少なかった。

20120103_021_64020120103_018_640  弁天堂から10分、「護国院」には三代将軍家光が贈った「大黒天」がある。
20120103_085_640  古代インドで食事を司る神とされるが、日本では福徳の神となった。
 右手に小槌、左肩に袋、米俵の上に立つ姿はお馴染み。

20120103_033_64020120103_037_640  谷中は路地や寺院が多くちょっと迷ったが、交番で訪ねて「長安寺」(寿老人)に。
 鹿を従えた黒光りの寿老人は、長寿の神様である。
 小さなお寺さんだが、お参りする人も増えてきた。

20120103_047_64020120103_043_640  長安寺から10分、「のっそり十兵衛」で有名な五重塔跡を通り、谷中墓地を抜けると「天王寺」(毘沙門天)がある。
 鎌倉時代に創建されたこの寺は、今回の七福神巡りでは最も大きかった。
 仏法の守護神、四天王のひとり毘沙門天は、伝教大師の作と伝えられている。

20120103_058_64020120103_061_640  天王寺から日暮里駅の上を抜けて15分、「ゆうやけだんだん」を下りると「ひぐらしの里」。
 江戸の頃「修正院」の布袋尊を、人々は「ひぐらしのほてい」と呼んで親しんだ。
 中国・唐末五代の禅僧布袋和尚は、200キロもある福の神だった。

20120103_063_64020120103_067_640  5分歩いて「青雲寺」(恵比寿)に着くと、逆周りの団体で混雑。
 最近は「一日ツアー・七福神巡り」も多い。
 お参りすると、商業・漁業・海上守護神「恵比寿さん」が、大きな鯛を抱えて微笑んでいた。

20120103_075_64020120103_640  「谷中七福神巡り」、終点は田端の「東覚寺」(福禄寿)。
 その名の通り、福と緑と寿命を司る神は、長い頭に金襴の冠。緑の法衣を纏う。
 徳川歴代将軍の祈願所だったこの寺、道路拡張の工事で前を削り取られていた。

 ここからJR田端駅までは10分。ドアtoドアで13,495歩、2時間の「ひとりウオーキング」だった。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 03, 2012

2031.初詣

20120101_010_64020120101_022_640_220120101_025_64020120101_019_640

 毎年恒例となった界隈の初詣。

 自転車に乗って2時間弱、古今東西「八百万」の神々に「今年こそは、安らかな年に」と祈った。

20120101_004_64020120101_005_640  スタートは、いつも深川の「富岡八幡宮」。江戸最大の八幡さまとして知られる。
 今年の夏は、昨年延期となった「本祭り」、50基近い神輿の渡御は見ものである。

 隣のお不動さん「成田山新勝寺別院」、参拝客が長い列をつくっていたので遠くから手を合わせる。

20120101_023_64020120101_012_640_2 永代橋を渡って明石町に。明治のはじめ、ここは外国人居留地だった。
 「カトリック築地教会」はこの頃つくられたもので、東京では最も古い教会である。

20120101_024_64020120101_027_640  居留地の中心にあった国際病院「聖ルカ」。
 「聖路加チャペル」が、今もその歴史を伝える。

 すぐ近くにあるのが「築地本願寺」。
 横山町の寺院が明暦の大火で消失、佃の漁師たちが埋め立てた「築地」に移ってきた。350年前のことである。

20120101_018_640  初詣、最後はその佃の氏神様「住吉神社」。徳川家康についてきた攝津の漁師たちが、故郷から勧進した。
 深川八幡と同じく昨年の本祭りは延期され、今年の8月に4年ぶりの大祭となる。
 新しく造られた「八角神輿」を担ぐのを、今から楽しみにしている。   

| | Comments (0) | TrackBack (0)

January 01, 2012

2030.迎春・龍の年

120101_640   (竜王くすのき材)

120101_012_640_2  2012年元朝、同郷の友人で仏師の向吉悠睦さんから届いた彫刻の写真を眺めながら、新年を迎える。(左は瑞祥・桧材)

 今年は「辰年」、十二支の動物に準えれば「龍の年」である。
 そして私は6回目の「年男」になる。

120101_003_640  右は京都・天竜寺で拝観した加山又造の「雲龍図」(部分)。堂内どこから見ても睨まれる「八方睨みの龍」と呼ばれる。

111205_042_640  左は昨冬、鎌倉の建長寺で参拝した法堂(はっとう)の天井画「雲龍図」、小泉淳が画いた。
 法雨をそそぎ、仏法の恵をもたらすという。

Image  「龍」は、十二支の中で唯一伝説上の生き物である。
 麒麟・鳳凰・霊亀と並ぶ神獣で、中国では皇帝のシンボルだった。
 日本でも、貴人の古墳の中に四神の「青龍」を見る。

120101_004  帝王の姿を「龍影」と呼び、帝王の顔は「竜顔」、黄色い着物を「龍砲(ロンパオ)」と称した。
 龍の「五爪」は天子、「四爪」は貴族、「三爪」は士族の画となる。

 ヨーロッパで龍=ドラゴンは、邪悪な生き物とされる。
 新約聖書「ヨハネの黙示録」に登場する「レッド・ドラゴン」は悪魔の象徴であり、ギリシャ神話の「テュポーン(ドラゴン)」はゼウスと死闘を繰り返した。

 しかしキリスト文化と異なるケルト文化では、「龍」は大地のエネルギーである。

Image_2  昨秋来日したブータン国王は、フクシマの子供たちを前にこう語った。

 「みなさんの中には、人格という龍がいます。年をとって経験を積むほど、龍は大きくなり強くなります」

 右のブータンの国旗に画かれているように、龍はヒマラヤの「幸せの国」のシンボルなのだ。

Image_3  6回目の「辰年」、「龍の年」を迎えた年男にとって、「年をとり経験を積んだ」のは事実だが、さて「大きく強く」なったのだろうか。
 今年1年、肉体は別としても、精神的にはその言葉を大切にして生きていこう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« December 2011 | Main | February 2012 »