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January 09, 2012

2034.山本五十六

2_001_640  昭和初期から10数年、人々は不況にあえぎ、雇用不安、所得格差に不満を募らせた。総理大臣は次々と交代、その閉塞感のなかで大衆は「戦争」を求めた。
 70年前の日米開戦は、今と全く状況が同じだった。

340493_100x100_004  文藝春秋社の元編集長、作家の半藤一利が書いた「連合艦隊司令長官 山本五十六」を原作に、五十六の長男義正の著「父・山本五十六」のエピソードを交え、「人間・山本五十六」を描いた超大作である。

 登場人物の大半が実在の人物、そこに「大新聞社」の編集部というフィクションをもってきて「時代」を捉える。
 太平洋戦争に突っ走ったのは好戦派の軍部だけではなく、戦争を煽った「大新聞」と熱狂した「大衆」でもあったと、「半藤史観」は云う。

340493_100x100_001  日米開戦に最も抵抗してきた連合艦隊司令長官が、なぜ「ハワイ真珠湾攻撃」を決行したのか。
 作品のキーポイントは、そこにある。

 「軍縮」をめぐる海軍内の対立、「日伊独三国同盟」をめぐる海軍と陸軍の対立。作戦遂行上の航空派と艦隊派の対立。
 これまで度々語られてきた「歴史」が、具体的な映像で綴られる。

340493_100x100_005   連合艦隊司令長官・山本五十六(役所広司)、海軍大臣・米内光正(柄本明)、海軍軍務局長・井上茂美(柳葉敏郎)、五十六の友人で元海軍中将・堀悌吉(坂東三津五郎)。
 彼らと対立する軍令部総長・永野修身(伊武雅刀)、第一航空艦隊司令長官・南雲忠一(中原丈雄)らは実在の人物。

340493_100x100_011  原作者の分身らしい新聞記者(玉木宏)や戦争を煽る大新聞社・編集主幹(香川照之)は、フィクション上の登場人物である。

 太平洋戦争の大きな転機となった「ミッドウエー海戦」の敗北は、南雲中将の部下である参謀長の戦術ミスが最大の原因だが、彼だけは別名である。

340493_100x100_012  真珠湾攻撃→ミッドウエー海戦→ガダルカナル撤退作戦→ブーゲンビル上空での山本の非業の死、映画はここまでを語る。

2_640  「山本という軍人は、越後人特有の孤高を楽しむ風があった。口が重く長々しい説明や説得を嫌った。」と半藤一利は書く。

 戊辰戦争で最後まで義を貫いた長岡藩家老・河井継之助を尊敬する山本、孤高のうちに己の業を完成させていくという長岡人の激しさを、役所広司が見事に演じて作品を重厚にしている。

 監督は、「八日目の蝉」('11)の成島出。エンドロール、大海原をバックに小椋桂が主題歌「眦(まなじり)」を歌う。

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