2052.ハンター
オーストラリアのインディペンデント系の作品には、佳作が多い。今月始めに紹介した「アニマル・キングダム」もそうだったが、同じプロダクションが製作した「ハンター」も至高の作品といえる。
この映画の配給会社の役員をしている友人に薦められて見たが、間違いなかった。
オーストラリア・タスマニア島を舞台に、幻の獣「タスマニア・タイガー」を追う、孤高のハンターの物語である。
タスマニア・タイガーとは「フクロオオカミ」のこと。背中に虎のような縞模様があるので、タイガーと呼ばれる。
この島がまだ植民地時代だったころ、羊を襲う肉食動物として殺され1936年には絶滅したという。
映画にも登場するが、同じ有袋動物である「タスマニア・デビル(フクロアナグマ)」は、6年前に政府が「絶滅危惧種」に指定したため、辛うじて少数が原生林で生き延びている。
作品は、こうした「固有種」が生息している神秘の地での、「自然と開発」「人間と動物の関わり」が、サスペンスとして描かれるのだ。
主人公のハンターは、ハリウッドで個性派俳優として知られるウィレム・デフォー。「プラトーン」('86)「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」('00)で2回アカデミー賞にノミネイトされた名優である。
そのワキを、オーストラリアの女優フランシス・オコーナー(「AI」'01)やサム・ニール(「デイブレイカー」'09)が固める。
原作はオーストラリアの女流作家のジュリア・リー、監督はTVドラマディレクター出身のダニエル・ネットハイムが務めた。
ある批評家が「ハードボイルなストイシズムの映像」と評していたが、タスマニアの自然の美しさと厳しさを撮った映像に圧倒される。
無駄なセリフや説明がなく、その映像だけで語らせる。
地図でしか知らなかったタスマニア島。植民地時代は流刑地だったが、現在は世界遺産にも指定されて観光客も多いという。
メルボルンから南に240キロ、北海道よりやや小さなこの島は、17世紀のオランダの探検家タスマンが白人として初めて上陸した事からこう名づけられた。
見てはいないが、20年ほど前に同じタスマニアタイガーを追う映画が公開されている。
「タスマニア物語」、降籏康男監督、田中邦衛・薬師丸ひろ子主演の日本映画である。
「ハンター」は、タスマニア島を舞台にした2番目の作品となった。


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