« November 2012 | Main | January 2013 »

December 31, 2012

2220.2012・忘備録

038_640  31日午後4時40分の夕焼け。
 今年一年の反省と新しい年への希望を込めて、データをまとめる。
 (以下の写真は、今年1年撮りためた「テラスから見る夕景」)

001_640_3  健康維持のため始めた「スイミング」は、35年を超える。リタイアしてからは、日曜日以外は「必ず」を目標にしている。
 今年泳いだ距離は284キロ(昨年比+5)、隣の区民プールで朝7時から40分間、1キロ泳いで100mの水中ウオーキング。

067_640  「ウオーキング」は、4年前から「ひとまく鎌倉ウオーキング」に参加。寺社めぐりだけでなく、尾根の古道やハイキングコースを歩く。
 今年は7回参加したが、正月の「七福神めぐり」や本所・深川など時代小説の現場をひとり歩きした回数を加えると12回、歩数計の総数は181,280歩。

117_640  「宿泊旅行」は、4回のべ12日。今年は3年ぶりに帰郷して母校100周年記念行事やクラス会に参加、両親・姉・兄や恩師の墓参ができた。
 リゾートは、恒例の上高地と2回目の蓼科高原。

048_640  「映画鑑賞」は、新作が134本(前年比+34)。映像関係の業界団体から身を引いた昨年は本数が減ったが、今年は招待券を数多くいただいたので例年並となった。
 ときどき「ひとまく名画鑑賞会」にも参加して、旧作もみる。

003_640  歌舞伎など「古典芸能鑑賞」は、能・狂言を含めて5回(-3)。今年の「敬老の日招待」は歌謡ショーだったが来年は新装なった歌舞伎座、楽しみにしている。
 また4月からは「歌舞伎ひとまく会」も再開するので、鑑賞の機会は増える。

046_640   「美術鑑賞」は、友人・知人の個展も含めこのブログで紹介しただけでも27回(+3)。
 六本木の国立新美術館や、友人が理事を務めている藝大美術館にはたびたび出かけた。
 「古代エジプト展」やフェルメールの「マウリッツハイス美術館展」などは、ネットで応募して開館前鑑賞の招待券をゲットできたので、ゆっくり見ることができた。

103_640  「読書」は154冊(+56)と増えたが、ほとんど文庫本。藤沢周平をほぼ読み終えたので、池波正太郎の「時代小説完全読破」に挑戦中。「剣客商売」「鬼平シリーズ」「梅安シリズ」など、昔読んだものも含め図書館から借り出している。
 読後、小説の舞台となった本所・深川など散策するのが楽しい。また彼の小説のモデルとなった蕎麦屋や居酒屋めぐりも。

141_640_2   そして「夜の在宅率」、旅行や観劇の日を除くと88%。昨年並みの「家飲み」、後期高齢者に近いのだから当然だろう。
 夜の会合でも、21時前には必ず帰宅している。

 みなさん「よい御年」を。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 30, 2012

2219.歳末・築地

121230_012_640 121230_019_640  築地中央卸売市場(場内)は、今日まで。
 今年最後の買出しは、何時ものようにプロの時間を避けて9時に到着したが、雨にも関わらず場内・外とも大混雑だった。

 昨年あたりから若いカップルや家族連れが多くなったが、今年はなぜか欧米人の顔が多い。
 彼らは買物より、日本の歳末の風物詩を楽しんでいるようだ。

 写真を撮ってばかりで少しも買ってはくれないと、仲卸の大将はぼやいていたが。

121230_002_640   例年に比べると、数の子やイクラは値が張る。ここではキロ6000円のラウス産のイクラと3000円のカナダ産の数の子を、半量購入。

121230_007_640  マグロは平年並み。それでも最高級品の「大間の生マグロ中トロ」は、キロ2万を軽く超える。
 これがデパートの棚に並ぶと、100gで5~6000円になってしまう。

121230_009_640_2  鹿児島・奄美の養殖ものの「本マグロ中トロ」7000~、モロッコ・メキシコ解凍もので6000~。
 スーパーでは100g1380円、980円で売られている。
 こちらは、冷凍のまま400g2000円の品を手に入れる。

121230_026_640  時間が経つにつれ、買物バスツアー客も増えてきた。
 場内のすし屋は、何処も大行列。

 何時ものように「ヒラメ」「伊達巻」「蒲鉾」「漬物」、それに予約しておいた「玉子焼き」を買って帰宅。
 雨天だったので地下鉄で往復して1時間あまり、歳末恒例の買出しだった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 29, 2012

2218.ドキュメンタリー映画2012

212_012_640212_013_640  今年1年、10本を超えるドキュメンタリー映画を見た。ただ元同業者だけに、一本一本紹介するとついクールに批評してしまうので遠慮してきた。
 2012年を終えるに当たり、概略を紹介。

  「二つの祖国で~日系陸軍情報部」
 現在上映中の作品。日米両国で差別された日系二世たちが、アメリカ陸軍秘密情報機関(MIS)に従軍し、祖国日本にどう立ち向かったのか。その苦悩と現実を証言で綴る。
 先日亡くなったアメリカ議会の長老ダニエル・イノウエをはじめ、元ハワイ州知事」ジョージ・アリヨシら80人を超える人々にインタビュー。
 郷里の知人の親戚も登場するので、感慨深い。

  「孤独なツバメたち」
 こちらも日系人の苦悩がテーマ。
 デカセギの親と共にブラジルからやってきた日系3・4世たち。
 「日本で将来の夢はなく、ブラジルに帰っても外国人扱いされる・・・」
 そんな中でたくましく生きる若者たちが描かれる。

212_021_640212_014_640  続いて、日本の現実を鋭く抉った2本。

   「核の傷」
 広島で被爆した医師・肥田舜太郎95歳。
 なぜ日本政府はアメリカ政府と結託して、内部被爆の実態を隠そうとしたのか。
 フクシマ原発事故以来、放射能に不安を抱く人々のために、彼は講演を重ねる。
 フランス人が6年前に撮ったドキュメンタリーに、肥田医師の講演を併映した。

   「ニッポンの嘘」
 報道写真家・福島菊次郎90歳。
 ピカドン・三里塚闘争・60年安保・東大安田講堂・水俣・兵器産業そして福島原発。
 25万枚を超える「真実」、私たちが知らなかった真の日本の姿が炙り出される。
 ヒロシマからフクシマへ、権力と闘い続けた老いた写真家を追う。

212_017_640212_020_640  核を撮った外国のドキュメンタリー2本。

  「チェルノブイリハート」
 チェルノブイリ事故から16年後の2002年、ベラルーシ共和国の「ホット・ゾーン」の村に住み続ける住民、そして放射線治療の現場、小児病棟から乳児院と今なお続く被爆被害の事実を追ったアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞受賞作品。

  「第4の革命」
 ドイツの「脱原発」はなぜ実現したのか?
 「電力買い取り法」('90)「再生可能エネルギー法」('00)と、二つの法案を制定させたドイツ連邦議会議員(社会民主党)ヘルマン・シェーアが企画したエネルギー・デモクラシー作品。
 2年前に製作されたこのドキュメンタリーは、ドイツで最も見られ政府のエネルギー政策に影響を与えたという。残念ながら、映画完成時にシェーアさんは亡くなっている。

212_019_640_2212_018_640  音楽ドキュメンタリーも2本。
 ジャマイカのレゲエの神様ボブ・マリーの素顔を描いた作品と、ロックスターのジ・エッジ×ジミー・ペイジ×ジャック・ホワイによる一夜限りの奇跡のジャム・セッション。

 ほか地球・自然もの2本もあるが省略。
 以上いくつかの作品は、レンタルビデオで見ることも可能だそうだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 27, 2012

2217.「美術にぶるっ!」展

212_024_640212_021_640   竹橋から紀伊国坂を上ると、北の丸公園。その入り口にあるMOMAT(東京国立近代美術館)、先週は「現代」美術館を訪ねたが今週は「近代」である。

212_013_640   ここでは現在、開館60周年を記念する特別展「美術にぶるっ!~ベストセレクション日本近代美術の100年」が催されている。

212_019_640  第1部は「MOMATコレクションスペシャル」

 原田直次郎が1890年に描いた「騎龍観音」(左)や1916年の川合玉堂の「行く春」、1923年の横山大観「生々流転」に1934年の上村松園「母子」(右チラシ部分)など、美術館が所蔵する重要文化財13点をメインに、洋画・日本画・写真・彫刻240点近くが並ぶ。

212_018_640  右の萬鉄五郎の「裸体美人」(1912・重要文化財)など、これまでの絵画展で鑑賞した作品も多いが、3フロワー13の展示室で一度にまとめて公開されるのは初めてで、壮観といえる。

212_016_640  左は岸田劉生の「道路と土手と堀」。およそ100年前に描いた代々木の切り通し、右の土手上が現在の代々木公園か。
 劉生の作品は今回も展示されている「麗子肖像」などが有名だが、この作品には初めて出会った。
 こちらも、重要文化財に指定されている油絵である。

 所蔵品ギャラリーは60周年を機会にリニューアルされ、日本画を落ち着いた照明で鑑賞できる展示室や、ゆったりと腰掛けて眺めることの出来る部屋などが設けられた。

212_014_640  第2部は1階の全フロワーに展開する「実験場1950S」
 
 東京国立近代美術館がオープンした1952年は、サンフランシスコ講和条約により日本が主権を回復した年。
 戦後復興期でもあったこの時代は、アートの世界でもジャンル横断的な創造活動が旺盛に展開された。
 このコーナーでは「実験場」をキーワードに、絵画・彫刻・版画・素描・写真・映像が300点近く展示されていた。

212_012_640  「戦争の記憶と美術の形式」と題した作品は膨大で、内容も複雑なので、10室に別けられたテーマだけを紹介しておこう。

 ①原爆の刻印 ②静物としての身体 ③複数化するタブロー ④記録・運動体 ⑤現場の磁力 ⑥モダン/プリミティヴ ⑦「国土」の再編 ⑧都市とテクノロジー ⑨コラージュ/モンタージュ ⑩方法としてのオブジェ

212_011_640  作品の中で私が知っている作家は土門拳、河原温、九里洋二、杉浦明平、粟津潔、亀井文夫、イサム・ノグチ、岡本太郎、木村伊兵衛、濱谷浩、猪熊弦一郎、草間弥生、池田満寿夫、東松照明、細江英公・・・・・。

 「美術にぶるっ!」展は、1月14日まで東京国立近代美術館で。観覧料は1300円。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 25, 2012

2216.グッモーエビアン!

212_022_640  タイトル「グッモーエビアン!」は「Goo Morning Everyone」のネイチブな発音?、劇中で英語教師・小池栄子が生徒に唱和させる挨拶。
 破天荒な一家が織り成す、笑って泣けるハートフルな物語である。

342627_100x100_006  主役は、元パンクロッカーのシングルマザー・麻生久美子(「GIRL」'12)と、一緒にバンドを組んでいた超自由人の大泉洋(「しあわせのパン」'12)の二人。

 しかし本当の主役は、彼女が17歳の時産んだ中学3年生の真面目な娘・三吉彩花(「告白」'10)。
 思春期の少女の成長を描く青春映画と言っていい。

342627_100x100_002 原作は、吉川トリコが'06年に刊行した同名小説。
 監督の山本透(「キズモモ」'08)と脚本家の鈴木謙一(「ゴールデンスランバー」'10)が、いくつかのエピソードを加えて脚色した。
 「血のつながりがなくても、こんな家族があってもいいんだ」と、中学生の女の子の目線から描いた。

342627_100x100_005  母と子が親友のように仲良く暮らす名古屋のアパートに、海外放浪の旅をしていた母親の恋人が突然帰ってきた。
 始まった3人暮し、なぜか娘はイライラが募る。仲良しの同級生(能年玲奈「告白」'10)とも、話が盛り上がらない。
 そして親子喧嘩・・・・。

342627_100x100_007  大泉のハチャメチャぶりで大いに笑ったコミカルな前半が、シリアスな展開に変わっていく。
 不器用だが誠実で温かみのある男によって、母親と3人の擬似家族が本物の家族になる瞬間、娘は大きく成長する。

342627_100x100_004 クライマックスのライブシーン、はじめてギターを手にしたという麻生と、なかなかの歌唱力を発揮する大泉。
 プロのロッカー、MAH(Dr,)と竹村哲(Ba)が加わって盛り上げる。

 同じ少女モデル出身の三吉と能年の二人が、普通の中学生を演じて初々しい。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

December 23, 2012

2215.ウーマン・イン・ブラック

212_007_640  ヒット映画「ハリーポッター」で主人公を演じスターとなったダニエル・ラドリフが、シリーズ完結後初めて主演した作品が「ウーマン・イン・ブラック」。

51jfsyo0cyl__sl500_aa300__2  原作は、女流ベストセラー作家スーザン・ヒルが1983年出版したゴシックホラー小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」である。

 ゴシック小説といえば、18世紀から19世紀にかけてイギリスで流行した怪奇小説・恐怖小説のこと。
 その名のとおり、中世ゴシック様式の古城などを背景に殺人や幽霊などが登場し、読者の好奇心や恐怖心に応える。

212_011_640 今作も、イギリスの田舎町の外れに建つゴシック建築の古い館が舞台となっており、無理やり引き離された子を沼地で見殺しにされた母親が亡霊の「黒衣の女」となって、村の子供たちを死に追い込むという古典的なゴシックホラー小説である。

 私は寡聞にしてこのストーリーを知らなかったが、イギリスではテレビやラジオのドラマ化を経て、20年以上続く舞台劇として有名な作品なのだそうだ。

212_010_640 映画化は一連の「ドラキュラ映画」で知られ、最近では「モールス」(10)で話題を呼んだ老舗のプロダクション「ハマーフイルム」が手がけた。

 面白いのは、数々の欧米のホラー映画と異なりキリスト教的な要素が見られないことだ。
 神と対立する悪魔や魔女、少女に憑依するオカルト映画独特のパターンがない。
 むしろ日本のホラー映画「リング」などに類似する、「怨霊」の世界が描かれている。

212_008_640  主人公として出演したダニエル・ラドクリスの役は、若手貧乏護士。愛妻を亡くし4歳の子供を男手で育てている。
 古い館の持ち主で他界した老女の遺産整理のため、館に赴いた彼が知ったのはこの一族にまつわるいまわしい過去、さらには次々と死んでいく村の子供たちだった・・・。

 東洋に伝わる「言わず見ざる聞かざる」の人形や、勝手に動き出す発条仕掛けの人形、揺り椅子、奇怪な音や亡霊の影、正統派ホラー映画の小道具は揃っておりマルコ・ベルドラミの音楽が恐怖心を盛り上げる。

 しかしその恐怖が、子供を引き離された母親の悲しみへと昇華したとき、主人公も妻を亡くした悲しみを息子と共有していく。
 今もイギリスでこの小説が読まれ、舞台がロングランしている理由をそこに見た。  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 21, 2012

2214.東京都現代美術館

121125_025_640121125_026_640121125_006_640121125_015_640  

 現代美術の振興と芸術文化の基盤を充実させようと、1955年深川の木場に開館したMOT・東京都現代美術館。
 6つの都立美術館・博物館のなかでは、最も新しい施設である。

121125_004_640121125_016_640121125_018_640121125_019_640

 約4000点の収蔵品をもって現代美術の歴史を展望する常設展や大規模な国際美術展、若いクリエーターたちの活動を紹介する企画展など、館内では常時三つの展示が行われている。

121125_640121125_125_640   現在展示されている企画展は、「アートと音楽~新たな共感覚をもとめて」と「風がふけば桶屋が儲かる」と題したMOTアニュアル2012の二つ。

 「アートと音楽」は、坂本龍一を総合アドバイザーに迎え音楽から影響を受けた絵画や彫刻、さらにはサウンドインスタレーションなどの表現を通じて、デジタル時代らしい新しい「共感覚」を紹介している。

121125_009_640  出品作家は、ワシリー・カンディンスキーやジョン・ケージ、カールステン・ニコライなど海外のアーチストから武満徹や坂本龍一、高谷史郎、八木良太、田中未知、高松次郎などの国内の音楽家・クリエイターの20数名(組)。

121125_007_640  とくに面白かったのは、古いプレーヤーが勝手に違和音を発する「Without Records」。
 大友良英など5人の作家によるリミテッド・アンサンブルズの作品だった。
 展示場いっぱいに並べられた錆ついた旧式プレイヤーや自動ピアノから勝手に聞こえる音、そこに豊かな感性を感じ取った。

121125_012_640121125_013_640  「風が吹けば・・・」は、MOTが継続的に開催している若手アーティストを中心としたグループ展。
 今年は「・・・・桶屋が儲かる」と題して、物事の通常の状態に手を加えることで日常風景の異質化を図った7組のアーティストの展示だった。

 10月末から始まった二つの企画展は、来年2月3日まで。観覧料は、共通チケットで1,500円。「MOTコレクション」にも入場できる。 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 19, 2012

2213.恋のロンドン狂騒曲

200pxwoody_allen_at_the_premiere_of   生まれ育ったニューヨークで映画を撮り続けてきたウディ・アレン監督だが、ここ数年はヨーロッパを駆け回っている。
 ’08年にスペインで「それでも恋するバルセロナ」、フランスでは「ミッドナイト・イン・パリ」('11)を撮ってアカデミー賞脚本賞を受賞した。

212_003_640_2  今回の作品はイギリスのロンドン。
 「パリ」の前年に撮った作品で、原題にはなかった「ロンドン」を邦題では強調して3部作のイメージで売った。
 同じ映画館でドキュメンタリー「映画と恋とウディ・アレン」を上映するなど、宣伝に力を入れる。

 お話は、左のポスターにある2組の夫婦の結婚生活が破綻して4つの恋物語生まれるが、その行く末が・・・・、というもの。
 ウディらしくシニカルで諧謔、人間の愚かさをたっぷりと詰め込んだ「狂乱のラブコメディ」となった。

342916_100x100_005342916_100x100_007_2   まずはアンソニー・ホプキンス(75歳)とジェマ・ジョーンズ(70歳)演ずる老夫婦のケース。

 先が見えてきた人生、ふと死の恐怖に見舞われた夫は40年連れ添った愛妻を捨てて30代のコールガール(ルーシー・パンチ)にのめりこむ。

342916_100x100_002_2  悲嘆にくれた妻は、アル中になってインチキ占い師の予言に嵌りこむ。
 そして前世は高貴な生まれと信じ込み、オカルト本屋の爺さんにアタックする始末。

342916_100x100_001  一方、彼らの娘夫婦ナオミ・ワッツ(43歳)とジョッシュ・ブローリン(44歳)の方は?

 売れない作家を抱えた妻は、バイト先のセレブなボス(アントニオ・バデランス)に片思い。紹介した友人に彼をとられてしまって、悶々と悩む。

342916_100x100_003  そんな彼女と夜の生活はうまくいかず、夫の方は自宅の窓越しに見かけた赤い服の美女(フリーダ・ビント)の虜に。

 ここまで書くと、4つの恋の物語の行く末は何となく想像できるだろうが、穿ってみるとウディの「女遍歴自省の物語」とも読める。

342916_100x100_004  この映画を撮った時、彼の年齢は75歳。
 ハーリーンに始まってルイーズ・ラサーとは2回の離婚、ダイアン・キートン、スティシー・ネルキンと遍歴を重ねミア・ファローと同棲。
 そのあげくに、彼女の養女スン=イー・ブレヴィンに手をつける。
 そしてミアに訴えられたウディは、孫のようなスンと結婚して逃げ切る。
 まさにコメディといってもよい「狂乱の女遍歴」だったのだ。

 冒頭と最後に、シェークスピアの「マクベス」の一節が引用される。
 いい年して煩悩に振り回される男女、ウディ・アレンもその一人である。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

December 17, 2012

2212.人生の特等席

212_004_640 「人生の特等席」は邦題、原題は「TROUBLE WITH THE CURVE」。
人生の曲がり角?車の曲がり角?野球のカーブ?いずれも「カーブ」がこの作品のキーワードである。

 邦題も悪くはない。野球場の観客席で、久しぶりに父親と並んで座った娘が呟いたセリフ、それが「人生の特等席」だった。

343639_100x100_001  キャリア最後のスカウトの旅に出たメジャーリーグのスカウトマンと、そのサポートに押しかけた弁護士の娘とのひと時の交流、渋みのあるヒューマン・ドラマである。

 その父親役を82歳のクリント・イーストウッドが演じる。
 4年前「グラン・トリノ」に出演したあと、俳優業からの引退をほのめかした彼だが、愛弟子ロバート・ロレンツを監督にして主役を張った。
 人生の経験を積んだベテランだけが伝えられる世界、イーストウッドはそう語る。

343639_100x100_005_2  出世を目指すキャリア弁護士の娘は、エイミー・アダムスの役。
 「ザ・ファイター」('10)など3回アカデミー賞にノミネイトされた彼女が演ずる娘は、父親に捨てられたというトラウマを抱える。
 6歳で母親を失った彼女は、スカウトマンの父親にくっついて、アメリカ各地を回った。
 しかしある事件がきっかけとなって、寄宿舎に預けっぱなしとなるのだ。

343639_100x100_002  彼女に惚れてしまったのが、父親がスカウトしたピッチャー。
 無理な登板で肩を壊しスカウトマンになった男は、「ソーシャル・ネットワーク」('10)にも出演したジャスティン・ティンバーレイクが扮する。

 もうひとりベテラン俳優が顔を見せる。最近「アーティスト」('10)に出たジョン・グッドマンが、老いたスカウトマンを信頼する球団マネージャーという役である。

343639_100x100_004  イーストウッドにとって、無骨で偏屈、不器用な頑固親父ぶりは定番となった。
 顔に刻まれた人生の年輪は、彼だからこそ生きる。

 初めて映画に出演したのが24歳の時。売れないB級役者がイタリアに渡って撮ったのが、マカロニウエスタンの代表作「荒野の用心棒」。
 その後の活躍ぶりは、誰でも知っているだろう。

343639view003  アカデミー賞監督賞・作品賞とダブル受賞した「許されざる者」は、彼を売り出したイタリアの監督セルジオ・レオーネに捧げた西部劇である。
 そして「ミリオンダラー・ベイビー」('04)、こちらも監督賞・作品賞のダブル受賞だった。

 ハリウッドを代表する俳優・監督・プロデューサー・作曲家でもある彼が、「人生の特等席」の在り処を教えてくれる映画である。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 15, 2012

2211.国立歌舞伎

212_001_640  ここ数年、国立劇場の12月公演は、中村吉右衛門が主役として登場する。
 今年の演目「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」でも、吉右衛門が鬼一法眼と一條大蔵卿の二役を演ずるというので、吉右衛門ファンの連れ合いのお供で国立劇場に出かけた。

212_006_640  この演目は、源義経にかかわる説話・史実を題材にした義太夫狂言の名作。
 1731(享保16)年、大坂・竹本座で初演された人形浄瑠璃を翌年には歌舞伎化して、角の芝居で公演した。

  基になったのは「義経記」の巻ノ二、鬼一を長兄に吉岡三兄弟が狂言回しとなって話は展開する。
 一つは鞍馬天狗の伝説、もう一つが源氏再興を助ける牛若丸の母・常盤御前と一條大蔵卿、そして牛若と弁慶の五条橋での主従の契りなど全五段の物語である。
 脚色したのは文耕堂と長谷川千四、近松門左衛門が他界した後はこうした合作が義太夫狂言に多い。 

212_008_640   近年の歌舞伎では、三段目を「菊畑」、四段目を「一條大蔵譚」としてそれぞれ単独で上演することが多い。
 また5段目は、「五条橋」通称「橋弁慶」として牛若と弁慶の立ち回りを舞踊劇にしている。

 今回の国立劇場では、そもそもの話しの発端を序幕「六波羅清盛館の場」として43年ぶりに復活させ、続いて「今出川鬼一法眼館菊畑の場」、三幕目「檜垣茶屋の場」大詰「大蔵館奥殿の場」として構成した。

212_640 見所は何といっても、四段目「一條大蔵譚」を二幕に別けて上演した「檜垣」と大詰の「奥殿」。
 吉右衛門が「播磨屋」の芸として磨き上げた、阿呆の公卿一條大蔵卿と本心を明かす賢者としての大蔵卿の演じ分けの技巧である。

 徹底した阿呆ぶりで場内を沸かしたあと、源氏再興を願う本心を明かし清盛の回し者を切り捨てる姿、しかしすぐつくり阿呆に戻って好きな狂言舞に興ずる・・・・・。
 吉右衛門ならではの「家の芸」を見せてくれた。

212_004_640  出演は、吉岡鬼一と大蔵卿二役の吉右衛門のほか、牛若丸と吉岡鬼次郎の二役を中村梅玉、常盤御前・中村魁春、平清盛・中村歌六、平重盛・中村錦之助、吉岡鬼三太・中村又五郎、鬼次郎女房・中村東蔵鬼一の娘で牛若を想う皆鶴姫を中村芝雀が顔を見せる。

 そういえば、先日逝去した中村勘三郎が十八代を襲名したときの披露興行で、一條大蔵卿を演じていた。
 実はその父、十七代目勘三郎に吉右衛門は、手取り足取り教えられている。15歳で初めて演じた大蔵卿の舞台である。
 祖父である初代吉右衛門は、十七代の長兄に当たる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 13, 2012

2210.黄金を抱いて翔べ

212_005_640  「マークスの山」('95)「レディ・ジョーカー」('04)に次ぐ、高村薫原作のエンターテインメント・ミステリー小説の映画化。
 「黄金を抱いて翔べ」は彼女のデビュー作で、1990年に日本推理サスペンス大賞を受賞している。

 80年代の日本、バブルを謳歌する浮かれた時代。
 大阪の商社に勤務していた高村は、大銀行のスキャンダルや金に群がる人々を目にし、時代への反骨精神でクライム・ミステリーを書いた。

 この原作をバイブルとして持ち続けていたのが、同じ大阪出身で同年代の監督井筒和幸だった。
 そして22年後、この不況下の日本で映画化した。
 時代背景はすっかり変わっているが、閉塞感はますます強くなり、はじかれていく人間が増えていく状況は、全く同じだと。

212_006_640  大阪の街を舞台に繰り広げられる、6人の男たちの「金塊強奪作戦」である。
 登場するのは・・・・、

 過激派や犯罪組織相手の調達屋(妻夫木聡)。
 作戦のリーダーで妻子持ちのトラック運転手(浅野忠信)。
 借金抱える銀行担当のシステムエンジニア(桐谷健太)。
 労働運動出身で元エレベーター技師のジイちゃん(西田敏行)。
 爆弾のエキスパートで元北朝鮮のエージェント(チャンミン)。
 リーダーの弟でギャンブル依存症の自殺願望男(溝端淳平)。

342733_100x100_003342733_100x100_007  激情・裏切り・駆け引き・陰謀、公安(鶴見慎吾)にヤクザ(青木崇高)、過激派(田口トモロヲ)が絡む中で、6人の過去と〈衝撃の真実〉が明らかになっていく。

342733_100x100_004  作品のもうひとりの主人公は、大阪の街である。
 「トップシーンから醸し出される"焦げるような土地"の暑さ」(高村薫)、吹田は陽の当たらない男たちの居場所であり、中ノ島は欲望(金塊)の存在する場所だった。
 脚本も含め、まさに大阪人が書き撮った作品である。

 しかしモデルとなった銀行は、この20年間に合併を繰り返して、大阪での存在感は薄い。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

December 11, 2012

2209.スカイフォール

Skyfallwp11024  エリザベス女王をエスコートして、度肝をぬくスカイダイビングでロンドンオリンピック開会式に現れた007、スパイ映画の「寅さん」ことジェームズ・ボンドが登場して今年は50年になる。

212_002_640  第1作は「Dr.No」、今回の「スカイフォール」は23作目。ショーン・コネリー、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシーシー・ダルトン、ピアーズ・ブロスナンと続いたボンド役は、21作目からダニエル・クレイグとなった。6代目である。

 「スカイフォール」は、ボンドが一度死んでかっての「オールド・スタイル」のボンドが再生するという、50周年記念を意識したストーリーとなっている。
 あの懐かしいアストン・マーチンも登場するし、過去の作品のオマージュ・シーンが随所に見られる。

342363_100x100_005  また今回は、オスカー女優ジュディ・ディンチの扮するボンドの上司MI6の「M」が、準主役として物語の中心となる。
 つまり、「M」がこれまで封印してきた過去が、ストーリーの展開につれ明らかにされていくのだ。

342363_100x100_004  そして敵役、こちらもオスカー俳優(「ノーカントリー」'07)のハビエル・バルデム。
 「M」の上海時代の部下、元MI6の腕利きのエージェントだった男である。
 工作中に敵の術中に嵌り、「M」に見捨てられた事を恨んでいる。
 彼は、「M」に母性を感じ慕っていただけに、そのトラウマは激しい。

342363_100x100_011_2  対するボンドもまた、敵と格闘中「M」の命令で放たれた銃弾で、瀕死の重傷を負う。
 まさに「M」に対する忠誠心が試される闘いであり、母親「M」の争奪の戦いでもある。

342363_100x100_012342363_100x100_008  ボンドガールは、今回も二人。

 現地エージェントで射撃の名手はナオミ・ハリス(「パイレーツ・オブ・カビリアン」シリーズ)と、バルデムの愛人でもある謎の美女ベレニス・マーロウ。
 フランスのモデル出身、中国・カンボジア・フランスの混血だそうだ。
 ただし、過去の007シリーズの様な色模様は薄い。

342363_100x100_013  今回の作品のもう一つのウリが、監督サム・メンデス。シリーズ史上初のアカデミー賞受賞監督が、メガホンを執った。
 イギリスの舞台芸術監督出身で、映画初監督作品「アメリカン・ビューティー」('02)で監督賞・作品賞を含む5部門でアカデミー賞を受賞した

   続いての作品、ダニエル・クレイグも出演した「ロード・トゥ・バーディション」でも7部門にノミネイトされるなど、ハリウッドで高い評価を受けている監督である。

342363_100x100_020_2  イスタンブールに始まって、上海・マカオ・スコットランド、そして長崎の軍艦島も登場する今回の作品、前作・前々作でハードでリアルなアクションを見せたクレイグが、派手で荒唐無稽なポンドに生まれ変わって登場した。

121118_007_640  そういえば50年前、鹿児島・秋目で初めて出会ったジェームズ・ボンドとボンド・ガールの浜美枝。
 あれ以来、「007シリーズ」は1本も欠かさず見ている。

 現地秋目では、「ロケ50周年」を記念した様々な催しが行われている。  

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 09, 2012

2208.師走・餅つき

121209_002_640121209_006_640121209_026_640
  マンション恒例の「師走の餅つき」。
 ご近所のお米屋さんから臼や杵を借り、もち米も昔ながらの蒸篭で蒸す。

 始めたのは7年前から。
 住吉神社の神輿を担ごうと集まった老若男女30人、年代も仕事も違うが共通するのが祭り好き。
 自腹を切って、師走の餅つきを始めた。

 5年前からは、マンション管理組合の公認行事となって予算も付いたが、餅つきも調理も「祭りの会」がボランティアで担当している。

121209_031_640121209_014_640121209_019_640121209_023_640

  住民同士の交流が薄いといわれる都心のマンションだが、何となく下町気質が残っているのが嬉しい。

 準備から後片付けまでおよそ6時間、ついた御餅は50キロ。
 マンションの住民だけでなく、ご近所の皆さんにもお裾分けした。   

| | Comments (1) | TrackBack (0)

December 07, 2012

2207.湯河原・文学散策

121205_002_640121205_005_640121205_040_640121205_070_640   「足柄の 土肥(とひ)の河内(かふち)に出ずる湯の 世にもたよらに 子ろが言わなくに」(万葉集巻十四)

 箱根外輪山の南麓、藤木川と千歳川の河原から湯が湧き出るので「湯河原」、万葉集にも詠まれた関東最古の温泉である。

 昔のジャーナリスト仲間との合宿勉強会の合間、気分転換に近隣の万葉公園に出かける。

121205_045_640121205_067_640_2121205_048_640_3121205_057_640_4

 「文学の小径」を奥に辿ると、幾つかの文学碑に出会う。
 そして終点、町が2001年にオープンした「独歩の湯」にたどり着く。
121205_054_640_2 
 その晩年を湘南で療養し、短編小説「湯河原より」「湯河原行き」を書いた国木田独歩。
 その彼に因んで作られた、日本一広い足湯専用温泉である。

 「ただひとり  湯河原に来て既に亡き 独歩を思う 秋の夕暮れ」

 明治41年に37歳の若さで逝った独歩を追偲して、歌人・吉井勇が詠んだ歌の碑も近くにある。

121205_011_640121205_017_640121205_012_640121205_025_640

 明治・大正・昭和と、多くの文豪・歌人たちが湯河原温泉で静養している。
 夏目漱石は、絶筆となった「明暗」を大正5年ここで執筆した。

 島崎藤村・谷崎潤一郎・芥川龍之介・・・、「文学の小径」の両脇には、湯河原を詠んだ彼らの板句碑・歌碑が並ぶ。
 晩秋の紅葉を愛でながら、句を楽しんだ。

121205_046_640  「道ばたの 墓なつかしや冬の梅」
 作家・芥川龍之介が大正15年に詠んだ句。

 「空蝉や 松の傷の 古桂」
 ホトトギス同人・金子せん女。

 「どうどうと 山雨が嬲(なぶ)る 山紫陽花」
 同じくホトトギスの俳人・長谷川かな女の句。

121205_071_640  「一生一瞬に去来す もずの声」
 戦後20年間湯河原に住み、多くの小説を執筆した山本有三の作。

 「かれくさやまの 雲しろく ゆうべおそし」
 山頭火の師、自由律俳句の荻原井泉水の句。

 「秋の蚊を あわれむ我や 夜に病む」
 作家の岡本綺堂も、湯河原に静養に来ていた。

121205_003_640121205_060_640121205_059_640121205_029_640

 「春の海 観音丸に 鯛釣るる」
 小説家・獅子文六は、終戦の年の春に湯河原沖で鯛を釣った。ここに疎開していた彼の最高の喜びだったそうだ。

121205_051_640   最後は、晩年公私共に世話になった映画監督・五所平之助の句である。

 「天の川 あす釣りに行く 沖の見え」
 「生きるとは 一筋がよし 寒椿」

 三島に住み湯河原俳句会を指導していた俳人・五所さんに、この地で美味しい魚をご馳走になった事を思い出しながら、万葉公園「文学の小径」を小1時間散策した。          

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 05, 2012

2206.声をかくす人

212_640_2  アメリカで、女性としては初めて死刑となったメアリー・サラット。リンカーン大統領暗殺の共犯者として軍事法廷で裁かれたが、本当に彼女は有罪だったのか。
 「語られてきた歴史が、必ずしも"本当の"物語ではない。」と、ロバート・レッドフォードはその真実に迫った。

Image_2  ハリウッドスターとしてキャリアを誇るロバート・レッドフォードは、監督としても名作を次々と生み出している。
 初監督作品「普通の人々」('80)でアカデミー賞監督賞を受賞、「リバー・ランズ・スルー・イット」('94)や「モンタナの風に抱かれて」('98)、5年前には「大いなる陰謀」を撮った。

 彼の演出はいたってシンプル、端正で正統派といわれる手法は、今回の「声をかくす人」でも生かされている。
 また映画人としてはリベラルな立場に立つ彼らしく、今回もアメリカの良心と正義を問う作品となった。

343174_100x100_004  サスペンスフルな法廷劇である。同時に西部劇であり恋物語でもある。
 しかし何といっても、テロリストの共犯者とされた被告の「沈黙」と弁護士の「正義の追求」がテーマとなる。
 つまり勝者(北軍)が敗者(南軍)を裁く中で、初めから有罪と決め付け報復を求める「国家」と、裁判の公平という法の正義を守ろうとする「市民」の闘いである。

343174_100x100_002  このテーマは、9.11後のアメリカの「正義」とオーバーラップし、さらには極東裁判も思い起こす。

 あえてストーリーは省くが、敬虔なカトリック信者で逃亡犯の母親だった被告が、軍法会議の判事たちの判断を超え、陸軍長官と大統領の意思によって絞首刑となった事実は重い。
 のちに最高裁は、戦時中であっても民間人を軍法会議で裁くことを禁じたが。

343174_100x100_001  女性死刑囚メアリー・サラットを演じたのはロビン・ライト(「マネーボール」'11)、最後の瞬間まで強く気高くふるまう姿に涙す。

 北軍の英雄でありながら、孤立しても国家に正義を問う弁護士を、ジェームズ・マカヴォイ(「つぐない」'08)が演ずる。

 原題は「The Conspirator」、「共犯者」と訳せばよいのか。それを邦題で「声をかくすひと」とした日本の配給会社に、違和感を抱いた人も多い。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

December 03, 2012

2205.晩秋・木場

121125_054_640121125_058_640 仙台堀川を挟んで南北に拡がる都立・木場公園。
 強い寒気で一気に紅葉が進んだ様子、いそいで深川に足を運んだ。

   ここは江戸時代から栄えた木材の集積地跡、1969年に貯木場が新木場に移転したので、東京都が江東区の防災拠点として総合公園を造った。
 総面積24.2ha、地下の一部は都営地下鉄の車庫、北側に都立現代美術館がある。

121125_046_640_2121125_032_640_3  公園は秋一色、落葉樹が多く植栽されているので、紅葉が華やかだ。
 アントシアンが多いと「紅」、カロチノイドは「黄」と解説にある。
 毎年この季節、ここを訪ねているが、今回はメモ帳片手に樹木の名前を確認しながら散策した。

121125_098_640121125_115_640121125_113_640121125_086_640_2

 まずは左から落葉大高木の「イチョウ(銀杏)」、大木は40mを超える。
 秋を代表する木で雌雄異株。種がギンナンはご存知の通り、公孫樹・鴨脚樹と洒落た呼び名もある。

 次が「トチノキ(栃の木)」、ほとんど落葉していたので残った葉だけ撮る。七葉樹の呼び名はここから。
 その隣が雑木林の代表樹「コナラ(小楢)」、ブナ科のこの樹も20m以上に成長するという。

 右のハート型の葉は「カツラ(桂)」、銀杏と同様に30mを超える異種異株の樹だが、公園の桂はまだ小さい。

121125_070_640_3121125_072_640_3121125_078_640_3121125_097_640_2

 次の落葉樹は、15mほどの中高木4種。

 「アオギリ(青桐)」と「クヌギ(橡)」。ドングリが落ちてくるブナ科のクヌギは、椚とも書く。
 続いて「ユリノキ(百合の木)」、ハンテンボクとも呼ばれるモクレン科の木。

 右は「センダン(栴檀)」、「栴檀は双葉より芳し」の樹で、私の出身高校では「オウチ」と呼ばれ、校庭にある古樹がシンボルとなっている。

121125_109_640_2121125_074_640_2121125_105_640_2121125_030_640

 4~5メートルの小木落葉樹。

 まず左は「ザクロ(石榴)」、柘榴とも書く。
 続いて「サンシュユ(山茱萸)」、ハルコガネバナとも呼ばれるミズキ科の木。
 その隣が「ドウダンツツジ(灯台躅)」、トウダイがなまってドウダンとなった。別名フデノキ・満天星ともいう。

 公園で最も艶やかなのが「カエデ(楓)」、「モミジバフウ(紅葉葉楓)」や「ハウチワカエデ(葉団扇楓)」など。
 カエデ科の落葉高木の総称で、葉が紅は「紅葉」黄は「黄葉」と書いて、どちらもモミジと呼ぶのが面白い。

 およそ1時間の散策、昨日は秋の樹木をひとりで勉強した。

121125_119_640121125_099_640121125_092_640121125_068_640   

      

| | Comments (1) | TrackBack (0)

December 01, 2012

2204.北のカナリアたち

212_001_640  北の島に「歌を忘れたカナリアたち」が、20年ぶりに再開した。カナリアは、再び歌を唄う事ができるのだろうか。
 大女優・吉永小百合主演の、珍しいヒューマン・サスペンス作品である。

Pic01_2  「告白」でデビューした湊かなえの小説「往復書簡」の一編「二十年後の宿題」を、「北の零年」の那須真千子が脚本化した。

 20年前に北の島で起きた悲劇により引き裂かれた、分校の先生と6人の子供たち。
 ある事件をきっかけに再開した彼らは、心に深い傷を負いながら淋しくそして健気に生きていた。

 なぜカナリアは歌を忘れたのか、先生の宿題を解くなかで、それぞれの胸の曇りは晴れていく。

342158_01_02_02  6人の分校の子供たちによる、歌声のハーモニーが美しい。
   全国から集まった3,100人の子供たちの中から、「天子の歌声を持つ」6人が選ばれた。
 彼らは美しい花々が咲き乱れる初夏の島で、その声を響かせる。

 20年後の若者たち。今旬の若手俳優たちが顔を並べた。
 東京の町工場で働く森山未来、サロベツ原野の自然保護調査員・満島ひかり、リストラされたサラリーマン・勝地涼、札幌で働く保母・宮崎あおい、稚内の港で働く船の溶接工・小池栄子、島の巡査・松田龍平。
 物語の伏線が、その生い立ちにと現在の仕事に隠されている。

 ヒロイン吉永小百合を囲む男性陣には、ベテラン俳優が顔を見せる。
 脳腫瘍で死期が近い大学教授の夫・柴田恭兵、人質の少女殺されたというトラウマを抱える警官・仲村トオル、吉永を暖かく包み込む父親役は里見浩太郎。

 出演者全員の好演が、観客の涙を誘い感動を生む。
 それは監督・坂本順治の演出力と撮影の木村大作の力によるものだろう。

 一年以上かけて大ロケーションを敢行した利尻・礼文の大自然が美しい。
 とくに、雲間から光を海に注ぐ沈む太陽の大ロングに息をのむ。大自然の雄大さと厳しさは、さすが「剣岳・点の記」('11)を撮った木村ならではの映像である。

 東映創立60周年の記念作品。吉永が中年と初老の女性を見事に演じ、大人の日本映画を見せてくれた。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

« November 2012 | Main | January 2013 »