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January 31, 2013

2236.幕末純情伝

302_001_640302_004_640  新宿二丁目の仲通り、飲食店が並ぶビルの地下、劇場「タイニイ・アリス」に出かけた。
 焼酎バー「黒瀬」を手伝っている同郷の後輩が、ここで芝居に出演中とのメールを受け取ったからだ。

 先週末から公演されている芝居は「幕末純情伝」、「熱海殺人事件」「飛龍伝」と並ぶ"つかこうへい"の代表作である。

302_640  24年前に書かれたこの舞台劇は、これまで数々の劇団が公演しているので筋書きを知る人は多い。
 キーワードは「沖田総司は女だった!」、概要をチラシから引用しておこう。

 「時は、文久三年。
 徳川幕府三百年の繁栄の夢は破れ、黒船の来航に揺れる幕末。
 それぞれの夢を抱き京への道を急ぐ新撰組。その中に一人の女がいた。
 名は沖田総司。
 近藤勇、土方歳三ら新撰組隊士達、勝海舟、桂小五郎、岡田以蔵、そして坂本龍馬。
 大志、夢、友情、希望、陰謀、策略、愛。
 新しい日本を夢見て激動の時代を駆け抜けた人物たちが、
 その生き様を魅せる幕末エンターテインメント!」

 今回演じているのは「47ENGINE」、俳優・演出家・劇作家たちが所属事務所の枠を超えて集まったユニットである。
 47は都道府県つまり全国、ENGINEは演人・円陣を現す。

 つかこうへいの作品は「アングラ」に合う。彼自身アングラ演劇の第二世代と称された様に、舞台はシンプルで衣装も稽古着のまま、照明と大音響の音楽で場面転換を図る。そしてカーテンコールは、タキシード。
 今回も、そうした彼の演出スタイルを、きちんと踏襲していた。

51rqkgzehfl__sl160_  「幕末純情伝」の芝居は、これまでも2回見ている。沖田総司を広末涼子や鈴木杏が演じていた。
 映画('91)も牧瀬理穂の沖田、渡辺謙の龍馬、伊武雅刀の近藤、杉本哲太の土方を思い出す。

 今回は沖田(藤岡範子)、龍馬(川本淳市)、土方(伊藤佳範)、桂(高山範彦)などなど。
 同郷の後輩、永里健太朗は新撰組隊士・山南敬助。男装の剣士・沖田総司に見事に切られる役だった。

 47ENGINE新春公演「幕末純情伝」は、2月3日まで新宿タイニイ・アリスで。19時開演(土日は昼の部も)。

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January 29, 2013

2235.東京家族

301_006_640  1961年「二階の他人」でデビューした山田洋次監督、「東京家族」は81本目の最新作で監督50周年を記念してメガホンを執った作品である。

 1954年大学卒業とともに松竹入社、川島雄三・野村芳太郎の助監督を7年務めた後は、脚本家・監督として数々の作品を撮り続ける。
 中でも「男はつらいよ」('69)は大ヒット、主演の渥美清が亡くなるまで27年間48作を撮り、国民的映画とも言われた。

301_007_640  先日亡くなった大島渚監督らの松竹ヌーヴェルヴァークとは一線を隔し、地についた日常の描写を得意とする松竹大船調路線を守り続けてきた監督でもある。

220pxtokyo_monogatari_poster_2  「東京家族」は、日本映画界の巨匠・小津安二郎へのオマージュとして企画された作品。

 山田監督は、昨年世界の映画監督358人が「史上最優秀映画」に選んだ小津監督の「東京物語」('53)をモチーフに、3.11後の日本の家族に向き合った。
 彼が撮ってきた「故郷」('72)や「幸福の黄色いハンカチ」('77)、近年の「おとうと」('10)などうつりゆく日本の家族を丁寧に描いた作品の、集大成といえる。

301_008_640 物語のベースや登場人物は、「東京物語」とオーバーラップする。

 瀬戸内から、東京に住む家族に会いに上京してきた老夫婦は橋爪功と吉行和子(笠智衆・東山千栄子)。

 戸惑いながら迎える家族は、長男夫婦の西村雅彦・夏川結衣(山村聡・三宅邦子)、長女夫婦の中嶋朋子・林家正蔵(杉村春子・中村伸郎)。

343237_100x100_005  東京物語では次男は戦死して登場しないが、今回は妻夫木聡が定職を持たず両親に心配をかける次男として、重要な役を演じている。
 そして前作で主要な登場人物だった次男の未亡人・原節子は、妻夫木の恋人・蒼井優となる。

343237_100x100_006  二つの作品がここまで共通な部分を持つので、山田作品を小津のリメイク版として比較する観客が多く、彼らは辛口である。
 山田独特の語り口から、涙腺刺激的な演出との評だ。
 ジワッと感動をよぶ小津に比べ、グットくる涙になる。

 何れにしても老夫婦の演技がリアルで、子供たちも芸達者が揃っているだけに現実感は濃い。
 老妻を亡くす主人公と同じ年だけに、身に迫り久しぶりに落涙した。

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January 27, 2013

2234.常識逆転!の日本史

301_640 テレビ・プロデューサーの友人から本が届いた。「常識逆転!の日本史」、 NHKの「BS歴史館」で放送された番組の中から、特に反響の大きかった7本を再構成して活字化したものである。

 昔からNHKの歴史番組は定評があった。「日本史探訪」「歴史への招待」そして「その時歴史が動いた」、現在も「歴史秘話ヒストリア」や「さかのぼり日本史」など総合TVやEテレ・BSで放送が続いている。

 歴史上の同じ素材を扱うので、勝負はその切り口の面白さである。この「BS歴史館」は、「過去」から「現在」を探る歴史エンターティンメントをキーワードとした。

 具体的な中味については本を読んでいただくとして、取上げた7本のテーマとポイントを紹介しておこう。

P1  「邪馬台国の謎」
 日本中を巻き込んだ大論争に、はたして決着はつくのか・・・。
 「魏志倭人伝」を中国の立場から読み解き、邪馬台国の存在を示す遺構はどれなのか謎解いていく。

Image  「聖徳太子は実在したのか?」
 数々の偉業を成した古代史最大の巨人の実像とは・・・。
 「日本書紀」に書かれた聖徳太子の業績「憲法十七条」の分析、クーデター「乙巳の変」を誰が正当化したかを、今日の視点で捉える。

Img_624438_19005665_6_2   「源義経伝説」
 「戦の天才」「悲劇のヒーロー」。さまざまな顔の真相とは・・・。
 牛若丸伝説にはじまる歴史ロマンに彩られた数々の伝説、「残酷な兄・頼朝、悲劇の弟・義経」という構図は、庶民が憧れる英雄の美学だった。

20090426165209_640  「本能寺の変のミステリー」
 明智光秀は、なぜ主君である信長を討ったのか・・・。
 謀反劇の真相は、謎だらけである。いまだにさまざまな解釈がなされ、百家争鳴の仮説が生み出される。そこから見える意外な真実は。

Image_640  「真田幸村、家康に突撃す!」
 苦難に屈しない"戦国最強の兵"の生き方を探る・・・。
 戦国乱世が生んだ永遠のヒーロー・真田幸村。「大坂の陣」で家康を追いつめた、幸村の変化自在な戦術とは。

Image_640_2  「黒船に立ち向かった男たち」
 常識を塗り替える、幕末外交のこれが真実・・・。
 交渉の記録には、林大学頭や岩瀬忠震らの戦いの軌跡が刻まれていた。幕末日本の外交、その「弱腰」イメージが大逆転する。

Image_640_4   「新撰組と近藤勇」
 新たな史料から、最強の組織が誕生した秘密に迫る・・・。
 池田屋事件で一躍勇名をはせた新撰組、、時代の変化の中で近藤勇が目指した体制とは。幕府とともに散った新撰組が遺したもの。

  番組をプロデュースした友人は、「歴史的人物は時代の申し子であり、時代の中でこそ本当の光が当てられる・・・・その人物がどのように時代と格闘したか、それは、少し時間を置いて眺めたとき、その輝きがいっそう増すのかも知れません。」と、その前書きに書いている。

 NHKBS歴史館「常識逆転!の日本史」は、河出書房新社刊。定価1200円(税別)。

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January 25, 2013

2233.フリーランサー

301_005_640  前号に引き続いて、アメリカのアクション映画である。それもクライム・アクション、魅惑的な匂いさえ漂わせる「悪の魔力」である。

 アメリカ映画で、警察の腐敗を描いた作品は多い。とくにニューヨーク市警(NYPD)が舞台となったものを、よく見る。
 しかし、これほど汚い「実態」を暴き出した作品は、始めてである。フイクションには違いないが、警察が嫌がらずにロケに協力しているのが面白い。

344093_100x100_003    麻薬密売人の稼ぎをピンハネし、押収した麻薬は別ルートで売りさばきお金は懐に、文句でも言うならすぐ逮捕、時には撃ち殺してしまう警官たちの日常である。

344093_100x100_001  ストーリーは、元ストリートギャングだった若者が無事警察学校を卒業して、NYPDの警官に。
 主人公は、亡父の相棒だった警部とその部下に預けられて、新人教育を受ける。
 それは、ドラッグ・ビジネスを仕切る汚職警官への道だった。

344093_100x100_004_2  その主人公をヒップ・ホップ界のスーパースター、カーティス・"50セント"・ジャクソンが演じ、悪徳警官をオスカー俳優のロバート・デ・ニーロとフォレスト・ウイテカーの二人、という豪華な組み合わせ。
 監督も、実質的なプロデューサーである"50セント"の指名で、彼のミュージック・クリップを手がけてきたジェーシー・テレロが担当した。

344093_100x100_005  作品の展開も"50セント"の過去と重なる。
 ニューヨーク・クイーンズ出身の彼は、子供の頃から麻薬密売人の母親の仕事を手伝っていた。
 街角でラップをガナッテいた彼を、大手レコード会社が目をつけてラッパーになったのが24歳の時。
 しかし、自らも麻薬がらみの銃撃戦に巻き込まれ、母親を殺されるという波乱万丈の半生を体験している。

 俳優の道は、彼の半生を描いた「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」('05)に主役として出演したのがきっかけとなる。その後は「キリング・ショット」('11)などに主演、ヒップ・ホップ界のスーパースターと呼ばれている。

 ニューヨーク市警の腐敗と陰謀の世界を描いた映画「フリーランサー」、このタイトルの意味は最後に明かされる。
 ネタバレになるので、紹介はしない。

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January 23, 2013

2232.96時間リベンジ

301_004_640   4年前公開された「96時間」、誘拐された最愛の娘を救うため冷酷非情な男に豹変した父親を、パリを舞台に描いた作品は世界中で大ヒットを記録した。

343946_100x100_002_3  主人公の元CIAのエージェントに扮したのが、「シンドラーのリスト」('93)でアカデミー賞主演男優賞にノミネイトされたリーアム・ニーソン。
 この作品によって彼は中年のアクションスターとなり、昨年も「ダークナイトライジング」や「凍える太陽」などのアクション映画に主演した。

343946_100x100_006  60歳になって少々草臥れた彼に、もう一度タフガイになって貰おうとイスタンブールの街で撮ったのが「96時間」の続編となるこの作品。
 前作で主人公に皆殺しされた誘拐犯たちの父親(ラデ・シェルベッジア)とその一族が、「リベンジ」を果たそうとするストーリーである。

343946_100x100_005  今回は、リーアムを誘き出すため元妻(ファムケ・ヤンセン)にも狙いをつける。
 已む無く本人も捕らえられるが、こんどはうまく逃げた娘(マギー・グレイス)と協力して・・・・、という展開。

343946_100x100_004  製作・脚本はもちろん前作に続いてリュック・ベッソン。
 カメラのロマン・ラクルーバ、音楽のナサニエル・メカリーなどスタッフはベッソン率いるヨーロッパ・コープ一家。監督も愛弟子のオリヴィエ・メガトン(「コロンビアーナ」'11)である。

 ただハリウッド製作のせいか、「ニキータ」「レオン」などで見せたフレンチ・ハードボイルドの味は薄れている。

343946_100x100_003  前作以上に「家族のため」という大義名分を振り回し、相手を容赦なく殺しまくる主人公に違和感をいだく観客も多い。
 倫理観も理性もゼロという暴走中年を、ベッソンはアメリカそのものに比喩しているのではと、勘ぐりたくもなる。

 北アイルランド出身のリーアム・ニーソンに、敵役はクロアチア出身の俳優ラデ・シェルベッジア(「バットマン・ビギンズ」'05)というのも、意味深長である。

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January 21, 2013

2231.寿・初春大歌舞伎(2)

301_017_640  ひょんな事から新橋演舞場・昼の部のチケットをゲット、先日の夜の部に続いて鑑賞の機会に恵まれた。
 「三人吉三」のセリフじゃないが、「こいつぁ春から延喜(えんぎ)がいヽわえ」。

301_029_640  初春大歌舞伎の昼の部だから、最初の演目は新年を寿ぐ「三番叟」である。

 能舞台を模した荘重な松羽目の舞台、露払いをつとめる千歳(中村魁春)の舞のあとに、面をつけた翁(片岡我當)が「天下泰平」「国土安穏」を祈って舞い静かに舞台を立ち去る。
 続いて狂言役者である三番叟(中村梅玉)が拍子を踏んで「揉みの段」、続いて千歳を相手に「鈴の段」を舞って「五穀豊穣」を祈る。

 「三番叟」は能の「翁」をもとにした長唄舞踊で、歌舞伎では狂言の動きを随所に取り入れ、前半の儀式性から後半はリズミカルな舞になるところが面白い。

301_031_640  次は「菅原伝授手習鏡・車引き」

 義太夫狂言の三大傑作といわれる「菅原伝授手習鏡」は、通称「手子屋」と呼ばれるように4段目が有名だが、その前に位置する「車引」は荒事で演じられる様式美溢れる一幕である。

 菅原道真を讒言によって筑紫に流した藤原時平(坂東弥十郎)、その恨みを晴らそうと舎人の梅王丸(坂東三津五郎)と桜丸(中村七之助)兄弟が、時平の乗った牛車の行く手を遮る。
 そこへ同じ兄弟で時平に仕える松王丸(中村橋之助)が登場、斬り合いとなる。

 三つ子の兄弟が、童子格子の厚綿という揃いの衣装に、それぞれの性格を表す隈と髯で立ち回るところが見所。
 最後は、梅王丸が飛び六法で豪快に花道を引っ込む。

301_032_640  三つ目の演目は、常磐津舞踊「戻橋」

 河竹黙阿弥が明治の中頃に作詞した舞踊劇で、尾上菊五郎の家の芸「新古演劇十種」のひとつに数えられている。
 京・北野神社の大屋根の上で、鬼女の片腕を切り落とした源頼光の家臣・渡辺綱の伝説を舞踊化したもの。

 一條戻橋で出会った綱(松本幸四郎)と扇折の美女(中村福助)、やがて綱にその正体を見破られた美女は鬼女に変じて、空中で立ち回る。
 幕を閉じずに舞台が変化し、二人の役者が舞台を下りて場内を回るので拍手。荒々しい鬼女が本性を顕すところが見所である。
 福助が美女と鬼女を演ずるのは東京で初めて、幸四郎の綱も初演。

301_034_640  最後の幕が、「傾城反魂香・土佐将監閑居の場」

301_023_640  昨年91歳で亡くなった「四世中村雀右衛門一周忌追善狂言」。
 雀右衛門はこの演目で、女房おとくの役を1947(昭和22)年から半世紀以上にわたって演じてきた。
 今回はその役を、次男の女形・中村芝雀が演ずる。

 おとくの亭主・又平は中村吉右衛、これまでも雀右衛門の相手役を度々務めた甥っ子である。
 雀右衛門の長男・大谷友右衛門も絵師の役で登場し、追善する。

 「傾城反魂香」は、近松門左衛門が1708(宝永5)年に人形浄瑠璃として書いたもので、どもりの絵師・又平とお喋りの妻おとくの夫婦愛が描かれる。
 思うことを師匠(中村歌六)に告げられず、又平が死を覚悟して石の手水鉢に自画像を描くところが一番の見所である。

 現代歌舞伎界を代表する女形として知られた雀右衛門については、前回紹介したので省く。

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January 19, 2013

2230.映画・鈴木先生

301_003_640  今年最初の日本映画は、「鈴木先生」。チラシにも「映画」と強調されているように、ドラマが奇跡的に映画化されたというのがウリである。
 何が奇跡なのか、それは歴史的な最低視聴率を誇る!ドラマだったからだ。

 2011年テレビ東京で10回連続放送された放送されたドラマ、深夜枠だったから仕方がないが平均視聴率は2%。
 しかし作品のクオリティは高く評価され、放送文化基金テレビドラマ番組賞、ギャラクシー賞、民放連ドラマ部門最優秀賞など数々の賞を受賞した。

 武富健治が描く原作のマンガも、6年前の文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞しているように、もともと専門家の注目を集めていた作品なのだ。

343733_01_01_03_2  それはこの作品が、単純な学園ドラマではなかったからだ。
 平凡な公立中学校が舞台だが、熱血先生も殺し屋教師も登場しない。
 鈴木先生という普通の先生が、邪な煩悩に悩まされながらも、「先生」という存在を理想的に全うしようとする姿が描かれる。

 その姿の中に、観客は現代日本が抱える矛盾や、常識化した既成概念の押し付けによる社会の閉塞性を見出すのである。

343733_01_06_03_2   主役の長谷川博巳(鈴木先生)に臼田あさ美(妊娠中の妻)、田端智子・でんでん・斉木繁・富田靖子など同僚の教師はテレビドラマと同じ。

 ヒロインとなる土屋太鳳(鈴木先生が性的妄想を抱く可愛い教え子)など、オーディションで選ばれた中学生たちが、等身大の演技を見せる。

20120920001fl00001viewrsz150x_3   また朝のNHKドラマに出演中の風間俊介が、社会からドロップアウトしてしまった卒業生を演じ、少数派を排除していく社会システムにラジカル抗議する。

 監督・脚本も、ドラマと同じ河合勇人と古沢良太のコンビ。「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズ以来、次々とヒット作を製作している「ROBOT」が丁寧な作りをみせる。

 大人の観客にも知的充実感を与える、学園ドラマである。

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January 17, 2013

2229.寿・初春大歌舞伎

Enbujo_201301f 今年初めての歌舞伎鑑賞は、新橋演舞場夜の部。連れ合いの友人からのプレゼントで2階最前列の席、正月なので和服を纏って出かけた。

Shinbashi_0130c  今月は、昨年2月91歳で長逝した四世中村雀右衛門を追善する舞台が、昼夜一幕づつ上演される。

 雀右衛門は、現代歌舞伎界を代表する立女形の一人だった。はるか年下の立役を相手にしてもまったくおかしくない、若く瑞々しい美貌を保ち続けていた。
 9年前には文化勲章を受章、日本芸術院会員、人間国宝。

Shinbashi_0130d  演舞場のロビーには、当たり役だった「二人椀久」の松山や「加賀見山」の尾上、「娘道成寺」の花子、「助六」の揚巻など、思い出の舞台写真が飾られていた。

 1927(昭和2)年大谷廣太郎の名で初舞台、名子役として演劇史に名を残す名優たちと共演、戦後7代目友右衛門を襲名したころ、女形に転向している。

301_003_640  さて今夜の最初の演目は「ひらかな盛衰記・逆櫓」。

 1739(元文4)年、大坂竹本座で初演された義太夫狂言で、同じ年に京都辰之助座で歌舞伎化初演された。

 源義経の木曾攻めから一の谷の合戦までを描いた「源平盛衰記」の三段目、木曾義仲の四天王のひとり樋口次郎兼光が主人公。
 「逆櫓」の腕をもつ樋口が船頭に身を窶し、平家攻めの総大将・義経の船に乗り込んで主君の仇を討とうとするが・・・・、という展開。

 「権四郎、頭(ず)が高い。イヤサ、頭(かしら)が高い。天地に轟く鳴るいかずちの如く、御姿は見奉らずとも、さだめて音にも聞きつらん、これこそ朝日将軍、義仲公の御公達駒若君、かく申す某(それがし)は樋口の次郎兼光なるわ。」
 樋口を演ずる松本幸四郎の、名セリフが聞きどころ。

 最後に登場する鎌倉方・畠山重忠に中村梅玉、義仲の奥方の腰元・お筆に中村福助。
 3年前に見たときは、樋口の幸四郎に対する畠山を中村富十郎が演じていたが、彼も鬼籍に入った。

301_002_640  雀右衛門一周忌追善狂言は「仮名手本忠臣蔵・七段目、祇園一力茶屋の場」。

 「忠臣蔵」は、歌舞伎では最も上演回数の多い独参湯(起死回生の特効薬)だが、なかでも大星由良之助の遊蕩ぶりと酔態が見ものの七段目は、単独でもしばしば上演される。
 私も今回が3回目の鑑賞となる。

 初めて見た時は、由良之助を中村吉衛門、お軽を坂東玉三郎、その兄・平右衛門を片岡仁左衛門という組み合わせ、2回目は松本幸四郎・中村芝雀・市川染五郎、そして今回は平右衛門だけが中村吉右衛門に代わる。

  実は、雀右衛門が始めてこの演目に出演したのは65年も前になる。もちろん女形だからお軽。
 今回の追善では、次男の芝雀がその役だが長男の大谷友右衛門も赤垣源蔵役、孫の廣太郎・広松もそれぞれ出演している。
 そして幸四郎も吉右衛門も雀右衛門の甥だから、一族総出演になる。

301_001_640  最後の演目は「釣女」。

 狂言の「釣針」を、河竹黙阿弥が歌舞伎舞踊にした。
 美女を釣り上げた大名と、醜女を釣ってしまった太郎冠者のユーモアたっぷりの踊りである。
 中村橋之助(大名)・中村七之助(美女)と中村又五郎(太郎冠者)・醜女(坂東三津五郎)の組み合わせ。
 場内は爆笑につぐ爆笑で幕となる。  

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January 15, 2013

2228.シェフ!

301_002_640  今年の新春初笑いはコレ!フレンチ・コメディー「シェフ!」。
 コメディアンは、大スターのジャン・レノと中堅のミカエル・ユーンである。
 そして監督が、モリエールなどの喜劇の舞台演出家で、コメディアンでもあるダニエル・コーンとくる。
 お話しは、三ツ星フレンチレストランの舞台裏なのだ。

20120912007fl00007viewrsz150x  ジャン・レノの役は、巨匠と呼ばれる大ベテランのシェフである。
 ところがこの所スランプ気味、新鮮なレシピが思い浮かばず、このままでは星の数が減ると焦り気味。

343712_01_03_03  ミカエル・ユーンは料理オタク。
 天才的な舌を持っているのに、自意識過剰でいつも失敗ばかり。レストランを首になってとうとうペンキ屋でのバイト。婚約者からも愛想をつかれる。

 こんな二人が偶然出会い、コンビを組んで由緒あるレストランの「三ツ星」を守ろうというわけである。

Note_pic7_2  映画のもうひとつの主役が、テーブルを飾る料理たちである。
 パリの「レ・ゼダン・ドウ・コロー」の若手シェフ、ブノワ・ボルディエのレシピをもとに伝統的なフレンチからアヴァンギャルドな分子料理まで登場する。

Note_pic2_2  フレンチには弱いので映画のチラシから抜粋すると、「焼きたてのデニッシュ」「栗カボチャのスープ」「舌平目のムニエル」「春野菜入り牛肉のシチュー」「カラメルソースのミルフィーユ」。
 そしてフランスの誇るワイン、61年もののシェヴァル・ブランetc・・・・。

343712_01_05_03_2  この映画で初めて知ったのが「分子料理」と銘打たれた超フレンチ。食材を分子!に分解して科学的に調理する料理である。
 「世界一予約がとれないレストラン」とドキュメンタリー映画紹介された三ツ星レストラン、「エル・ブリ」のウリがそれだそうだ。

343712_01_04_03 ミシュランの星に右往左往する悲喜こもごも、美味の裏に隠された不器用なシェフたちへの人生賛歌が、食通のジャン・レノと監督ダニエル・コーンによって描かれるのである。

 映画を見ながら、銀座の三ツ星クラス・レストランの総料理長を辞めた高校の後輩を思い出した。
 雇うことや雇われる事が性に合わないと、彼はフリーのシェフの道を歩んでいる。

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January 13, 2013

2227.散策・よし原日本堤

120104_119_640 「名所江戸百景」(広重)に描かれた「よし原日本堤」、江戸を舞台にした時代小説にたびたび登場する名所である。
 下町の水害をふせぐため、幕府が日本中の大名に命じて築かせたのでこの名がついた。

 大川(隅田川)から今戸橋をくぐって山谷堀に、音無川に沿って三ノ輪まで1.5キロ、そのうち新吉原までを「土手八丁」と呼ぶ。

 正月に読んだ佐伯泰英の「吉原裏同心」、思い立ってその舞台に出かけてみた。

120104_101_640120104_098_640   現在の日本堤・土手八丁、アスファルトの道を車が行きかう。
 広重の画の面影は一つもない。ただ交差点に「吉原大門」の標識があるだけ。

120104_099_640120104_095_640  そのバス停の前で見付けたのが「見返り柳」。

 「きぬぎぬの うしろ髪ひく柳かな」
 「もてた奴 ばかり見返る柳なり」

 新吉原遊郭の名所のひとつで、遊び帰りの客が、うしろ髪引かれる思いを抱きつつ、このあたりで遊郭を振り返ったという。
 何代目か知れぬが、今も柳が葉を茂らせている。

120104_120_640_2 「見返り柳」を左折、衣紋坂から曲がりくねった五十間道を進むと、「大門口」がある。
 広重の「今戸箕輪浅草絵図・廓中東雲」には、新吉原のメインストリート仲の町通りから大門をくぐる、朝帰りの男たちが描かれる。

120104_106_640120104_105_640_4  大門口の右側にあった吉原会所・四郎兵衛番所の跡は、交番に。
 佐伯時代小説の主人公・裏同心が勤務していた場所だった。

 仙台候に身請けされた花魁、二代目高尾で知られる遊女屋「三浦」。
 同じ名前の店があったが、ここは廓ではなく「お風呂屋さん」である。

120104_107_640   入浴料10,500円、奉仕料5,000円、もちろん街の銭湯ではなく「ソープランド」。
 旧仲の町通りの両側はこうした店が並び、呼び込みの黒服が真昼間から屯していた。
 江戸の遊女の興りが風呂屋の遊女だったから、先祖帰りしたと言える。

240pxyoshiwara_circa_1872_640 240px82_yoshiwara_girls_640  ところで江戸の頃、新吉原で遊ぶにはそれ相応の金がかかった。
 花魁とと呼ばれる「呼出」と床入りするまでには、3回は通わなければならない。
 揚げ代・ご祝儀・飲食代・紙纏頭(かみばな=チップ)に茶屋の手数料、合わせると総経費は3~40両をくだらなかった。
 江戸後期の1両は現在の10万円に換算されるのだから、「ソープランド」とは比べ物にならないのだ。

120104_074_640  新吉原をあとにして、日本堤を三ノ輪へ向う。
 埋め立てられた音無川の上を上流へ歩くと「浄閑寺」につく。
 人呼んで「投込み寺」、1855年の安政の大地震で焼死・圧死した500余人の遊女の遺体が、この寺に投込まれたからだという。

Shiseki001_300_640  記録によれば、明暦の大火で日本橋からこの地に遊郭が移転した1657年以降、売春禁止法が施行された1958年までの300年間、およそ2万5千人の遊女とその子供たちが葬られている。

120104_086_640 120104_085_640  遊女たちを葬る「新吉原総霊塔」(右写真)の近くには、大正・昭和と彼女たちとの交遊が深かった永井荷風の文学碑がある。
 生前荷風は、たびたびこの寺を訪ねている。

120104_090_640  また妻の実家が浄閑寺の檀家だった縁で、「純情詩集」の三遊亭歌笑の塚があるのも微笑ましい。

120104_078_640120104_088_640  墓地にある遊女たちの墓には、今も花が供えられ卒塔婆が立つ。(写真は花魁・若紫の墓)

 「生まれは苦界 死しては浄閑寺」

 花又花酔の川柳である。

120104_093_640120104_091_640   散策の帰途、遅いお昼をと日本堤1丁目にある「土手の伊勢屋」に立ち寄る。

 ここは江戸前天丼の老舗、天然の穴子を贅沢に1本使った天麩羅が乗っているので有名な店。
 ただ昭和初期の木造建築の店の前は大行列、1時間は待つというので今回は諦めて帰宅についた。    

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January 11, 2013

2226.愛について、ある土曜日の面会室

301_001_640  4年前に製作されたフランス映画である。第66回のヴェネチア国際映画祭に正式出品された。
 現在日本で上映されているのは、東京・大阪・福岡のそれぞれ1館だけなので、接する機会は少ない作品だ。

 世代も環境も違う3人が主人公。彼らはそれぞれの思いを抱いて、刑務所の面会室に向う。それはある土曜日のことだった。

20121013014fl00014viewrsz150x  「なぜ息子は殺されたのか」、同性愛の相手だった加害者に会うため、母親はアルジェからマルセイユに向う。
 フランスの演技派女優ファリダ・ラウアジ(「ジョルダーニ家の人々」'10)が、その母親。

343179_01_04_03 「愛する人との生活を守りたい」、だらしない男は同棲している女のために、大金をもらって囚人の身代わりになろうとする。
 カンヌ国際映画祭でグランプリ獲った「預言者」('09)に主演したレダ・カテブが、そのダメ男。

343179_01_02_03 「初恋に生きる」、つまらない男に惚れてしまった16歳の少女は、毎週彼に会うため無理をする。
 この作品で幾つかの映像祭で新人女優賞を受賞したポーリン・エチエンスが、可愛い娘役。

 そして監督はまだ28歳のレア・フェネール。ドサ回りの劇団の座長と役者の間に生まれた彼女は、短編映画を撮りながらカンボジアでドキュメンタリーを学んだ。
 大女優カトリーヌ・ドヌーブがその才能を賞賛した新人監督である。

343179_01_03_03  「ある者は泣き叫び、ある者は愛し合い、ある者は別れを告げる」
 3年間ボランティアで刑務所に通った彼女が、面会室で見て聞いて感じた人間たちの愛の姿を、脚本に書きデビュー作とした。

 三つの物語の語り口は、繊細で成熟した大人のものだった。
 それぞれ傷つきながらも、それでも前に進まなければならない人々の心を、私たちは静かな感動をもって捉える。
 佳作である。   

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January 09, 2013

2225.もうひとりのシェイクスピア

301_640  四大悲劇「ハムレット」「マクベス」「オセロ」「リア王」、「ロミオとジュリエット」に「リチャード三世」、史上最高の劇作家ウイリアム・シェイクスピア(1564~1616)は、その生涯に史劇・悲劇・喜劇37作品を書きソネット154編を残した。

200pxchandos3  ところが300年も前から、劇作家としてのシェイクスピアは存在しなかったとの説が、ヨーロッパを中心に語り継がれている。

 そして数々の名作は、「シェイクスピア」という共通のペンネームを使った作家集団が残した戯曲、フランシスコ・ベーコン、クリストファー・マーロウ、外交官だったヘンリー・ネヴィルのいずれかのペンネーム、さらにはエリザベス朝時代の知識人で詩人・劇作家として知られる第17代オックスフォード伯爵が著したものなど、文学研究者による学術的な議論が交わされてきた。

343681_100x100_013_2   この映画は幾つかの別人説の中から、オクスフォード伯爵に焦点をしぼり、エリザベス朝時代の宮廷ロマンスやスキャンダル、王位継承をめぐる権謀術数を歴史ミステリーとして描いている。

 つまりオックスフォード伯爵が、なぜ作者としての正体を隠さなければならなかったのか、もうひとりのシェイクスピアの悲劇がそこで語られるのである。

343681_100x100_002  主役はもちろんオックスフォード伯爵だが、エリザベス1世もそこに加えなければならないだろう。

343681_100x100_003  女王の愛人だった若い時代の伯爵はジェイミー・キャンベル・バウワー(「トウィライト」シリーズ)が、悲劇の男となった晩年をリス・エヴァンス(「ノッテヒングヒルの恋人」'99)が渋く演じる。
 そして女王は、オスカー女優のヴァネッサ・レッドグレイヴ(「ジュリア」'77)とジョエリー・リチャードソン(「ドラゴン・タトゥーの女」'11)親子が老若を演じ別ける。

343681_100x100_010 巨匠ローランド・エメリッヒ(「デイ・アフター・トモロー」'04)と脚本家でもあるローランド・エメリッヒ(「ガフールの伝説」'10)が、10年の歳月をかけて練りに練った作品である。

 文学史上の最大の謎だけに、フィクションとしての構想は自由に羽ばたく。
250pxdarnley_stage_3  「私は国家と結婚したのです」と宣言し「処女王」として崇拝されたエリザベス1世が、実は16歳で私生児を生み即位後も多くの愛人を持っていた無邪気な女王だったとする。
 さらにシェイクスピアが、実は無能な役者崩れだったと話を進めるのだから、多くのシェイクスピア崇拝者は不快感を持っただろう。

 しかしこの物語には、「殺人」「セックス」「嘘」「破廉恥」「謀略」とシェイクスピア・ドラマの全ての要素が詰まっている。

343681_100x100_001_2  「オセロ」「やハムレット」の舞台で活躍したシェイクスピア俳優のデレク・ジャコビが、映画の冒頭に「新しいシェイクスピア劇の始まり」を語り、ラストにもまたその謎を締めくくる。
 ディザスタムービーの巨匠が、シェイクスピアに成り代わって「一人の男の悲劇」を撮って見せた。

 原題は「ANONYMOUS」(匿名)、邦題は「もうひとりのシェイクスピア」と洒落た。

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January 07, 2013

2224.下谷七福神めぐり

120104_640_2  年の初めに詣でれば、福を授かる七福神めぐり。
 徳川家康が崇拝した七福神は、文化・文政(1804~30)の頃には江戸庶民の信仰となり、「めぐり」はレクリエーションを兼ねた正月行事となった。

 日本橋七福神、深川七福神、そして昨年は谷中を歩いたので、今年は「下谷七福神」にした。

120104_011_640_3120104_007_640_2 スタートはJR鶯谷駅北口にある「元三島神社」。
 ラブホテル街のど真ん中、延命長寿の神・寿老神がひっそりと鎮座している。

 写真は撮れなかったが、中国道教の神、老子の化身といわれる寿老神は鹿を供に杖を手にして立っていた。

120104_013_640_2  言問通りを入谷へ向って10分、下谷へ折れると「英信寺」がある。
 ここの坂本大黒堂に安置されているのが裕福蓄財の神・三面大黒天。

120104_014_640120104_018_640   弘法大師が彫ったと伝えられる「三面」は、右が弁財天、中央が大黒天、左が毘沙門天と三つの顔を持つ。

 入り口には、羽子板やお手玉も置かれ、参拝の後はお正月の遊び。

120104_027_640120104_025_640  すぐ近くにある「法昌寺」には、必勝開運の軍神・毘沙門天を祀る下谷観音堂がある。

 その昔、日蓮上人が現世安穏を祈願して開眼したという、由緒ある勇気授福の神様だという。
 一組のご夫妻が、参っていた。

120104_038_640 歩いて3分、東京メトロ入谷駅に着く。
 すぐ近くにあるのが。夏の朝顔市で知られる入谷鬼子母神の寺「真源寺」。

120104_032_640120104_035_640  祀られてる福禄寿は、中国の道士(仙人)。短身・長頭・多髪は、その名の通りの福と禄と寿命の三徳具備の相を表す。

 昨年7月、朝顔市に来た時は身動き取れない人出だった。ひっそりとした正月の入谷鬼子母神は初めて、ゆっくりと手を合わす事ができた。

120104_047_640120104_044_640  入谷から昭和通りに出て15分、竜泉にある「弁天院」は大混雑だった。
 三ノ輪から逆に辿ってきた「七福神めぐり」の団体である。

 七福神の紅一点、弁財天は知恵・弁舌・音楽・在福を司る天竺の神。
 上野・不忍池に弁財天を建立したとき、この地にも分身を祀って朝日弁財天と称した。

120104_056_640120104_061_640  国際通りに向って15分、「飛不動尊正宝院」に安置されてるのは商業・漁業・海運の守護神恵比寿さん。
 商売繁盛エビス顔になれば、喜結良縁・敬愛・冨財となる。

120104_058_640_2  ここは関東三十六不動霊場のひとつ、大山寺から始まって高幡不動や深川不動などを経て成田まで、正宝院は24番目の巡拝寺となる。

 お守りのひとつが、「ゴルフ安全護」。飛びすぎて他人を怪我させないようにと飛不動尊がお祓いする。

120104_064_640120104_068_640  「下谷七福神めぐり」、ゴールは三ノ輪の「寿永寺」。
 二代将軍秀忠の菩提を弔うため、寿永法尼が建てた庵である。

120104_071_640  ここには弥勒菩薩の化身といわれる布袋尊が祀られる。
 布袋は中国・唐の時代の禅僧で体重は200キロ、清廉度量の行いが庶民の信仰をあつめ、日本では七福神のひとりに数えられている。 

 鶯谷駅から歩き始めて三ノ輪駅まで2時間、その歩数は1万2,005歩。
 寒さは厳しかったが、身体も心もポカポカとなった。
 都心の「七福神めぐり」、まだ10コースほどある。来年はどこを歩くか。   

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January 05, 2013

2223.LesMiserables

342984_02_01_03  今年最初に紹介する作品は、「LesMiserabules」。  

 フランスの文豪ビクトル・ユゴーが、1862年に書いたロマン主義大河小説「レ・ミゼラブル」。
 日本では黒岩涙香が翻案して「あゝ無常」、小学校の教科書でも一部抜粋されていたし、児童本としても出版されたので多くの人に馴染み深い物語である。

342984_100x100_005 この古典をもとに、ミュージカルを書いたのがイギリスの音楽プロデューサーのアラン・ブーブリルと作曲家のクロード=ミッシェル・シェーンベルク。

 1985年にロンドン・ウエストエンドで上演したところ大ヒットし、2年後にはニューヨークのブロードウエイの舞台にものった。
 日本でも同じ年に帝劇で上演され2572回の大ロングラン、現在では全世界43カ国21ヶ国語で上演され6,000万人が見たという。

212_024_640_3  ミュージカルを映画化したのは、舞台の製作者キャメロン・マッキントッシュとミュージカル原作者の二人。新たに作詞家のハーバート・クレッツアーを加えて映画脚本を書き作詞・作曲した。
 そして監督に、「英国王のスピーチ」('10)でアカデミー賞を受賞したトム・フィーバーをもってきて、舞台を超える大スペクタル作品に仕上げた。

 主役はユーゴーの原作とおりの5人。

342984_100x100_001  コソ泥から信仰に目覚め無償の愛に生きるジャン・バルジャンを、ミュージカル・スターでもあるオーストラリア出身のヒュー・ジャックマン(「X-MEN」シリーズ)が。
 彼を最後まで追い続ける冷酷な警部ジャベールを同じオーストラリアの俳優ラッセル・クロウ(「グラディエーター」'00でオスカー受賞)が演ずる。

342984_100x100_004   ヒロインの二人は薄幸の親子。
 身を削ってまでも娘に愛を捧げるファンティーヌはアメリカの女優アン・ハサウエイ(「レイチェルの結婚」'08でアカデミー賞ノミネイト)、預け先の強欲夫婦に虐待されるコゼットは同じアメリカのアマンダ・セイフランド(「マンマミーア!」'09)という組み合わせ。

200pxebcosette_2  そしてもう一人コゼットに一目ぼれした若き革命家マリウスを、イギリスの俳優エディ・レッドメイン(「マリリン7日間の恋」'11)が演ずる。

 実はこのマリウス、モデルは原作者ビクトル・ユゴーご本人。反ナポレオン3世派の彼は、亡命先の英領の島で「6月暴動」に身を投じたマリウスにわが身を準えたらしい。
 もちろんコゼットは若き日のユゴー夫人アデールとされるが、数多い愛人のひとりジュリエット・ドルーエがモデルだという説もある。

342984_100x100_003  ストーリーは人口に膾炙しているので省くが、「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「勇気と希望」を描いた文豪ユゴーのロマンは、ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」にも十分貫かれている。

 「夢やぶれて」「ワン・ディ・モア」「オン・マイ・オウン」「民衆の歌」など、舞台で歌われた名曲は全て網羅されている。
 準主役級のひとり、強欲夫婦の娘でマリウスに思いを寄せるエポニーヌ役、サマンサ・パークスの歌唱力が見事だ。

 ミュージカルの舞台は東京・帝劇を皮切りに、4月から秋にかけて福岡・大阪・名古屋で再演されることが決まっている。

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January 03, 2013

2222.初詣

130101_020_640130101_047_640130101_061_640130101_077_640 

  毎年恒例となった界隈の初詣。

 自転車に乗って2時間弱、古今東西「八百万」の神々と仏陀に「今年の平穏」を願う。

130101_004_640_2130101_016_640_2  スタート、いつも深川の「富岡八幡宮」。
 江戸最大の八幡さまとして知られる神社、昨年の夏は本祭りで50基近い神輿が渡御した。
 江戸の初期、天文学者・安井算哲が「天地明察」の旅に出発したのも、ここからだった。

 すぐ隣が深川のお不動さん。
 「成田山新勝寺別院」は、6代将軍綱吉の母・桂昌院が成田まで出かけるのが億劫になり、ここ永代寺の隣に出張所を設けた。
 今公開中の映画「大奥」では、なぜか西田敏行がその役を演じている。

130101_045_640130101_039_640  隅田川を永代橋で渡って鉄砲洲から明石町へ。
 旧外国人居留地にある「カトリック築地聖堂」は、東京で最も古い教会。
 震災後、フランスの聖マグダレナ天主堂を模して再建された。

 すぐ近く、赤穂藩・浅野内匠頭邸跡地に建つのは「聖路加病院チャペル」。
 アメリカ聖公会の牧師が、明治の始めに開設した。
 100歳を超えてなお元気に診療を続ける日野原医師は、この病院の名誉院長である。

130101_054_640130101_052_640  聖路加から2~3分で「築地本願寺」。
 我が家の菩提寺といってもいいお寺で、昨年は亡兄の13回忌の法要も、ここで営んだ。

 振袖火事で焼失し日本橋から移って355年、震災後に再建された本堂は古代インド仏教様式の石造り、堂内は桃山様式の木造りである。
 一昨年から始まった室内改装も終わり、建築当時の姿をみせている。

120804_114_640130101_070_640  初詣のゴールは例年通り「佃の住吉さん」。
 10年前から私も氏子に加えてもらい、昨年夏の本祭りでは八角神輿を担いだ。
 徳川家康の供をして、摂津の国からやってきた漁師たちが勧進した住吉神社である。

130101_023_640130101_033_640130101_067_640130101_069_640

  初詣の途中、馴染みの風景を「新撮」してデジカメに記録するのも、毎年の習慣となった。

 左から「永代橋からみた大川端リバーサイド」「中央大橋で撮った永代橋とスカイツリー」「勝鬨橋から見る我が家」「佃小橋とマンション群」。 

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January 01, 2013

2221.謹賀新年

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