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June 30, 2013

2314.世界報道写真展

Img112_640 世界巡回中の「世界報道写真展2013」が、今年も東京都写真美術館で開催中。
 世界中のドキュメンタリー写真家や報道カメラマンが応募した、10万3,481点の写真から入賞したおよそ160点が、63のパネルに展示されている。

 審査の基準は「グローバルな視点」「ジャーナリズムの力」「写真自体の力強さ」、「世界」「報道」「写真」がキーワードになる。

Img115_640 パレスチナ自治区ガザ、シリア、スーダンでは人間同士の憎しみ合いと殺戮が続き、未曽有の大震災から2年目の日本ではまだ復興の道筋が見えない。
 第一線で活躍するカメラマンたちは、その現実を一枚の写真に切り取り我々に訴えている。

Img120_640_2 左の写真が「世界報道写真大賞2012」に選ばれた写真。
 「幼い兄弟、ムハマンド(3)とスハイブ・ヒジャジ(2)の遺体を抱きかかえ、葬儀のためガザ地区のモスクに向かう親族たち」

 スウェーデンのポール・ハンセンが撮り、ダーグンス・ニュヘテル紙に掲載された。

Img109_640_3 左から「スポーツ・フィーチャーの部」組写真1位、ヤン・グラルップ(デンマーク)の「命がけでバスケットボールをするソマリアの女性たち」。
 「現代社会の問題の部」単写真1位、ミカ・アルバート(アメリカ)の「ナイロビ郊外のゴミ廃棄場で、集めたゴミを入れた袋の上で読書する女性」。
 「現代社会の問題の部」組写真1位、マイカ・エラン(ベトナム)の「ベトナムの同性愛者たち」。

Img117_640 同じく左から「日常生活の部」単写真2位、セーレン・ビストルップ(デンマーク)の「イタリア北部で夏の休暇を過ごした写真家一家の、早朝のひととき」。
 「観察肖像の部」単写真3位、イロナ・シュワルツ(ポーランド)の「米国ボストンで、アメリカン・ガールの人形を抱くカイラ」。
 「自然の部」単写真1位、クリスチャン・ツィーグラー(ドイツ)の「オーストラリアで、ビャクダンの木の青い実をついばむヒクイドリ」。

Img116_640 審査委員長を務めたAP通信の写真ディレクターのサンティアゴ・ライオンは、「『報道』という要素については、効果的に物語を伝えるための一つの手法だと私は考える。・・・・・周囲にあふれる映像の中で、現実をより効果的に伝えようとする写真家たちの技術によって入賞作の水準はいずれも極めて高いものとなった。」と、今年のコンテストを総括している。

 「レンズ越しのありのまま~世界報道写真展」は、8月4日まで東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス)で。観覧料は700円。

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June 28, 2013

2313.華麗なるギャツビー

Img099_640 アメリカ文学の最高峰と言われるF・スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)の「グレート・ギャッピー」が原作。
 コッポラが脚本を書き、ロバート・レッドフォードが出演した1974年版など、これまで4回映画化されている。
 今回はオーストラリアの監督バズ・ラーマンが脚本も書き、自らのプロダクションで製作した。

343085_100x100_011 時は「狂騒の1920年代」、舞台はニューヨーク郊外のロードアイランドにある豪邸。
 金に飽かせて夜ごと乱痴気パーティーを開く謎の富豪。
 名家出身で第1次大戦の英雄といわれる「その男」の、「その純愛」を描くメロドラマである。

343085_100x100_005_4 主役はハリウッドのスター、レオナルド・ディカブリオ。
 ラーマン監督とはアカデミー賞にもノミネイトされた「ムーラン・ルージュ」('01)でコンビを組んだ。

 ディカブリオが恋焦がれるヒロインは、「17歳の肖像」('09)でアカデミー賞ノミネイトのイギリス女優、キャリー・マリガン。
 作家の分身ともいえる物語の語り手、ヒロインの従弟役がトビー・マグワイア(「スパイダーマン」シリーズ)。

 脇を固めるのは皆オーストラリアの中堅俳優たち、ジョエル・エドガートン(「ゼロ・ダーク・サーティ)'12)、ジェイソン・クラーク(「ゼロ・ダーク・サーティ」)、エリザベス・デビッキ(「オーストラリア」'06)、アイラ・フィッシャー(「バークアンドヘア)'11)。

343085_100x100_008_2 3Dを意識してか、舞台は豪華絢爛である。
 フェリーニ風の乱痴気パーティー、ティファニーのジュエリー、当時大流行したチャールストン、ファラッパーヘヤーの踊り子、膝丈のシャネルのドレスにピンヒール、シャンパン、紙吹雪、打ち上げ花火。
 男はブルックス・ブラザーズ、女はプラダにミュウミュウのファッション。

343085_100x100_009 その舞台、プロダクション・デザインと衣装デザインを担当したのは、「ムーランルージュ」でアカデミー賞最優秀美術賞・衣装デザイン賞の2冠を受賞したキャサリン・マーティンである。
 ご存じ彼女はラーマン監督夫人、今作を制作した「バズマーク・インク」の共同経営者であり、鴛コンビとしてすべての監督作品に関わってきた。

343085_100x100_006 バズ・ラーマン版「華麗なるギャツビー」は、これまでの作品のなかでは原作に最も忠実だといわれる。
 1925年に出版された「グレート・ギャツビー」は、1920年代の「ジャズ・エイジ」「フラーパー」の象徴といわれるが、狂乱の時代は4年後の大恐慌で消滅する。
 あたかも作品は、それを予言しているようである。

343085_100x100_012_2 原作者フィッジェッラルドは、奔放な妻の浪費を支えるため短編を書き続け、やがてアル中による心臓マヒで死ぬ。
 映画の中で、マグワイアが演ずる作家もどきのアル中が、ギャツビーの知遇を得る中で酒に溺れていくさまが、それとダブる。

 決めのセリフは「The poorson of a bitch」。

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June 26, 2013

2312.くちづけ

Img098_640 前々号で紹介した「奇跡のりんご」は、ハーピーエンドを前提に涙と感動を呼び起こした作品だが、「くちづけ」は悲劇と知った上で笑って泣く映画だった。

344616_100x100_006_2 2作品とも今年上半期の邦画の中では高い評価を得ているだけに、劇場に足を運ぶ人は多い。
 この「くちづけ」は公開されてからもう一か月経つが、場内はまだ混んでいる。

 もともとは、3年前に劇団「東京セレソンデラックス」が公演した舞台劇である。
 劇団を主宰する脚本家兼俳優・宅間孝行の作・演出で、2万4千人が笑って泣いた。
 舞台打ち上げの折、友人である堤幸彦が宅間に映画化を勧めたが、逆にプロデューサーから監督を指名されたという。

344616_100x100_009 知的障害者のグループホーム「ひまわり荘」に住みこむ元人気漫画家(竹中直人)が、知的障害のある娘(貫地谷しほり)に究極の愛を注ぐ物語である。

344616_100x100_007 ホームには、娘が王子様と慕う障害者の住人(宅間孝行)や仲間たち(嶋田久作・屋良学・谷川功)が住む。
 ホームを運営する医師一家(平田満・麻生祐未・橋本愛)、時々訪ねてくる王子さまの姉(田畑智子)や地元のタウン誌編集長(伊藤淳史)、お巡りさん(満田祐介)もからんでお話は展開していく。

344616_100x100_002 舞台劇が原作だけに、映画もまたホームのリビングとその周辺だけをセットにして、カメラを据える。
 堤監督は、脚本の順番通りに長回しを多用して撮っていく。彼がこれまでの作品(「20世紀少年」シリーズなど)で得意とした、カット割りの妙を封印したのだ。

 観客はまるでホームの庭先に座っている気持ちで、父と娘のドラマを見つめ、知的障害者の置かれた厳しい現実に向かい合う。

344616_100x100_003 初めての主役を演じた貫地谷がうまい。30代の体に7歳の心をもった無垢な娘、その表情だけで涙を誘う。
 そして父・竹中直人も、これまでの軽いタッチの演技を抑える。

344616_100x100_005_2 冒頭で「娘の死」を示唆してから話は展開していく。
 「最愛の父と一緒に暮らしながら、彼女はなぜ死んでしまったのか」が、主題となる。

 老老介護の「絶望的終焉」を描いたフランス映画「愛・アムール」とは異なる、あってはならない「絶望的終焉」。
 観客は「あってはならない」と思いながらも、もし自分が当事者になった時「そう言えるのか」と自問する。

 ラスト、熊谷育美の唄う「グッバイ・マイ・ラブ」が切ない。

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June 24, 2013

2311.観世流・能

Img100_640 ユネスコの世界無形文化遺産に指定されている「能楽」、一年ぶりの鑑賞会である。
 
 今回も、東大観世会出身で今も「能」を演じている友人から招かれた。

 「研究会能組」、若い世代を育てるために毎月開催されている催しもので、観世流のトップ能楽師たちが演ずる。
 当日、渋谷・観世能楽堂は開場前から長い行列となっていた。

Image_12205302912_640 能楽は、演じられるタイトルを「曲目」という。そして「能」「狂言」「仕舞」が組み合わされる。
 歌舞伎と異なり、演劇より音楽に近いからだろう。

 その「曲目」、最初は能「仏原(ほとけのはら)」。

Th_640 「平家物語」や「源平盛衰記」にも登場する、二人の白拍子・祇王と佛御前の物語である。

 平清盛の寵愛を佛御前に奪われ、嵯峨野に尼となって隠遁した祇王。権力者の驕りに嫌気がさして同じく尼となった佛御前。
 生まれ故郷、加賀の仏原草堂で没した佛御前が幽霊となって登場し、共に西方浄土への道を誓った祇王との在りし日を語り、舞う1時間30分である。

 同じ話を綴った能「祇王」は今を語るので「現在能」と言われるが、こちらは「夢幻能」。
 時空を超える物語を組み合わす、観世流二世・世阿弥元清の作劇技法を代表する曲目である。

 シテ(佛御前の霊)は、重要無形文化財総合指定保持者で東京藝大教授の関根知孝、
 ワキは宝生流から、殿田謙吉が加わった。

 一曲目を舞った能楽師たちが、静かに能舞台を去ったあとは必ず「狂言」が登場する。次の曲目は「眞奪」。

  立花の「眞」(中心に立てる枝)を奪おうとして、かえって大事な太刀を奪われてしまう太郎冠者の滑稽さ。
 その冠者を人間国宝・故善竹弥五郎の孫十郎が、主人役をひ孫の富太郎、太刀を奪った男を同じひ孫の大蔵教義と、大蔵流狂言師が揃って演じた。

Img102_640 このあと仕舞「賀茂」「班女」「松虫」、休憩をはさんで能「鵜飼」と続くが、
最後の能は所要のため退出した。

 今年は、観世流能を創設した大和猿楽の太夫・観阿弥が生まれて600年という区切りの年。「風姿花伝」を」著し、今日に続く流派の基礎を築いた二世・世阿弥の、生誕650年の記念の年になる。

 観世会では、それを記念して次々と企画を打ち出している。
 渋谷・松濤の能楽堂では、3日に1日は能楽が催されている。
 会では、若い人たちに親しんで貰おうと、学生料金は低く抑えているという。

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June 22, 2013

2310.奇跡のリンゴ

344360_100x100_004 「笑って泣かせる」映画の王道ともいえる感動作品。
 その普遍的な人間ドラマを、「ゴールデンスランバー」('09)「みなさん、さようなら」('11)の中村義洋監督が撮った。

344360_100x100_002 
 フィクションだが、実話そのものである。
 農薬過で病む妻のために、世界で初めてといわれる「自然農法によるリンゴ栽培」を実現した、青森・弘前の百姓・木村秋則さんの苦闘と家族愛の物語である。

344360_100x100_003 映画の原作となった石川拓治のノンフィクション「奇跡のリンゴ」や、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀・りんごは愛を育てる」で多くの人が感動したお話だけに、「結果」は知っている。
 そのクライマックスまでを、どう引っ張っていくか。関係する実在人物の多くが現存しているだけに、「創作したエピソード」で盛り上げるわけにはいかない。
 そこが監督の腕の見せ所であり、今作では見事に成功した。

344360_100x100_008 キャストの選択も、間違っていなかった。
 主役の夫婦を、阿部サダヲと菅野美穂が演じた。
 寡黙に夫婦を支える義父役の、山崎勉の存在感は大きい。
 阿部の母親役原田美枝子に、観客は涙する。
 友人・池内博之、父親・伊武雅刀、組合長・笹野高史など弘前のりんご農家たちが上手い。

344360_100x100_001_2 それにしても、阿部サダヲは不思議な役者だ。
 ずんぐりむっくり、決してイケメンには属さない役者だが、なぜこうもモテるのか。
 前作「夢売るふたり」('12)では松たか子、「泣くもんか」('09)では竹内結子、彼をスターにした「舞妓Haaaan!!!」('07)では柴崎コウ、今後の主役作品も相手役に井上真央や尾野真千子が予定されている。

 今回もそれが十分生かされているが、阿部の演技ににじみ出る「猪突猛進型の愛すべき馬鹿さ」が、その答えかも知れない。

344360_100x100_009 出演者の話題から離れるが、自然農法について一言・二言。

 映画の冒頭でもコンパクトに紹介されているが、「りんご」はもともとコーカサス地方に自生していた「木の実」。
 その木を古代の頃から接ぎ木や品種改良して、今日の「果物」が生まれた。

 まさに「人工果実」なのだが、映画の主人公である木村さんは、それを「自然の果実」に戻そうとしたのだ。
 多くのりんご農家にとっては、それは無謀な事であり「神の領域」に踏み込む行為と言えるのだ。
 だから映画が語る11年の苦闘がそこにある。

344360_100x100_005_2 木村さんが「無謀なトライ」に踏み込んだきっかけは、福岡正信(1913~2008)の「自然農法」の本だった。
 現役時代に私も彼を取材した事もあるが、「不耕起・無農薬・無肥料・無除草」を唱え、稲作でそれを証明した。
 アジアの貧しい農民たちに希望の灯をともしたとして、彼は1988年にマグサイサイ賞を受賞している。

344360_100x100_006 ほか、「自然農法」を唱え実践した人たちに世界救世教の岡田茂吉や奈良の農民・川口由一が知られており、稲作で実践されている。
 木村さんも「自然農法によるりんご栽培」の原理を生かし、現在能登や佐渡、岡山で稲作の農業指導を行っている。

 映画の中で、主役二人の結婚披露宴のシーンに、木村さんが親戚の役で出演していたが、その笑顔が素晴らしかった。

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June 20, 2013

2309.オブリビオン

Img097_640 「猿の惑星・創世記」('11)をプロデュースしたピーター・チャーニンと、「トロン・レガシー」('10)を監督したジョセフ・コシンスキーがタッグを組んだ、「近未来SF映画」である。
 そしてトム・クルーズが主役を引き受けた。

Img096_640 コシンスキー監督は最先端技術を生かす若手CMクリエイター。
 「オブリビオン」は彼にとって2作目の映画だが、原作も彼自身が書いたグラフィック・ノベルなのだ。
 今回はプロデューサーも引き受けて、自分の世界観を思う存分に映像化した。

 最近のSF映画に多いパニックシーンはなく、スタイリッシュな映像と壮大なスケール感を生かした古典的ともいえるSF作品に仕上げている。

344646_01_07_03 舞台は2077年の地球。
 エイリアンの侵略で人類はほかの惑星に避難した。廃墟になった地球に残って、監視を続ける主人公の前に現れたのは・・・・・というお話。

 5人の出演者だけで、2時間を超える物語を紡ぐ。

344646_100x100_005 「トップガン」('86)でブレイクし、今やハリウッドの大スターとなったトム・クルーズも50歳の大台。
 「宇宙戦争」('05)や「ミッション・インポッシブル」('11)で見せたスリリングなシーンを、今回も演じてくれる。

344646_100x100_003 次が、廃墟となった地球の洞窟の地底で密かに生きる人類を護る司令官。
 オスカー俳優モーガン・フリーマンの出番である。

344646_100x100_004 陥落した宇宙船の眠れる美女は、ウクライナ出身のオルガ・キュリレンコ(「007/慰めの報酬」'08)。
 主人公のパートナーとして地球を監視する女性が、イギリスの俳優アンドレア・ライズブロー(「シャドー・ダンサー」'13)。
 地球外の指揮所から主人公たちに指示を出す女ボスは、オスカー俳優のメリッサ・レオ(「ザ・ファイター」'10)。
 彼女はモニター画面上だけの出演だが、これで女性は3人だけ登場する。

Woo_1Woo_2 SF映画の金字塔といわれるキューブリック監督の「2001年宇宙の旅」('68)、同じ年に公開されたシャフナー監督の「猿の惑星」などに比べると、最近の作品からは意外性や驚きを感じることは少なくなった。

 ただこの半世紀、CGの誕生と高度化によってSFX技術は想像以上の進展をもたらした。
 SF映画は陳腐化したとの声もあるが、CG技術の完成度を確かめるため時々見ることにしている。

Woo_5_2Woo_3_2 今回の作品でも、コシンスキー監督の創り出したオリジナリティあふれるビジュアル世界は、モダンであり美しかった。
 上の写真左は「高度1000mの監視塔・スカイタワー」、右が「人類最後のスーパーボールが開催された競技場」、右は「地球を監視する無人偵察機」と「人類が密かに暮らす洞窟」。

 「オブリビオン」とは、「忘却」を意味する。

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June 18, 2013

2308.旅・甲斐路

003_640_2007_640 恒例の「月島一之部西町会」日帰りバス旅行、梅雨空の日曜日に中央道を走った。
 今回は参加者が増え、バス3台が連なる。

 マンションの前を朝7時30分に出発、2時間後には最初の訪問地、甲州市勝沼の「ハーブ庭園・旅日記」に到着した。

035_640012_640020_640041_640 ここは1万坪の敷地に200種を超えるハーブが植えられているイングリッシュ・ガーデン。

「チェリーセイジ」「ローズマリー」「ハーブミント」「バジル」「ステビア」「ジャスミン」など、様々な香りのハーブが所狭しと生い茂っている。

047_640028_640 入園料は無料だが、ハーブを原料としたナチュラル化粧品を宣伝・販売して「花の生産者」としての役割を果たしている。
 初代の経営者が、娘のアトピーを治すために始めた農園・庭園だそうだ。

059_640064_640065_640048_640 
 雨もあがり甲府盆地・鳥居平が姿を現す。
次の訪問地は、JR勝沼ぶどう郷駅に近い「シャトー勝沼」、ワイナリーである。

060_640054_640 ビン詰め工場やワインセラーを見学したのち、試飲コーナーへ。
 オリジナルワイン5種類を飲み比べて、軽く酔う。

 ここ鳥居平は、勝沼でも最高の葡萄が育つ地と評判だ。

093_640090_640 笛吹川沿いにある春日居温泉のホテルでおよそ2時間、昼食と温泉を楽しんだ後バス旅行のハイライト「サクランボ狩り」に向かう。

 笛吹市からおよそ1時間、南アルプス山麓は山梨一のサクランボの産地。
 休耕田や畑が果樹園に変わり、このシーズンに収穫期を迎える。日本一の山形に比べ1ヶ月から2週間は早いという。

070_640071_640080_640088_640 真っ赤に熟した「紅秀峰」に黄色がかった「佐藤錦」。
 40分食べ放題で、大人の料金が2000円。

084_640082_640 南アルプス市だけでも、100か所を超える観光農園、関西や名古屋方面からの観光客で賑わっている。

 町会の「日帰りバス旅行」は、年度1回のイベント。
 参加費は、バス代・食事・サクランボ狩りなどをふくめ
4000円。
 町会費からの援助や区の「地域活動活性化補助金」もあり、安く抑えられている。

 笹子トンネルあたりから渋滞となり、帰着したのは1時間30分遅れの午後8時前だった。

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June 16, 2013

2307.リアル

Img095_640 自殺未遂で昏睡状態になった彼女、その意識を目覚めさせるために恋人の〈頭の中〉にダイブした彼。
 やがて彼は、〈仮想〉と〈現実=リアル〉が混沌となった意識の迷宮を、二人で彷徨う。
 そこに登場するのは、不思議な子供と「首長竜」の絵だった。

343343_100x100_006 乾緑郎が3年前に発表し「このミステリーがすごい」大賞を受賞した小説をベースに、黒沢清が脚本を書き監督した作品である。

 副題の「完全なる首長竜の日」は、その小説の原題。
 しかし黒沢は、主人公を兄妹から恋人同士に代え、ホラーファンタジーに仕立てた。

343343_100x100_001 主役の二人には、今売れっ子の佐藤健(「るろうに剣心」'12)と大河・八重の綾瀬はるかを配した。
 また脇に中谷美紀・オダギリジョー・松重豊・小泉今日子・染谷将太をもってきたが、中谷を除いては出演シーンはわずか。
 佐藤の母親役・小泉にいたっては、1シーンだけという贅沢な配役である。

343343_100x100_004 東宝・TBS・朝日新聞が中心の製作委員会、贅沢なキャスティングもそうだし宣伝にもかなり力を入れているが、観客動員はもうひとつ。
 私が見たのはウイークデーの午前中、普段は高齢者で埋まる劇場120席も、アラフォーらしき女性4人と私だけだった。

343343_100x100_002 「回路」('01)でカンヌ国際映画祭・国際批評家連盟賞、「アカルイミライ」('02)は同じくパルムドールにノミネイト、「ドッベルゲンガー」('02)「ロフト」('05)「トウキョウソナタ」('08)など、海外のプロや批評家に評判が高く、「世界のクロサワ」とも呼ばれているが国内での評価は分かれる。

343343_100x100_005_2 黒沢は常に挑戦的な作品を撮り続けており、彼独特の世界観と演出に共鳴できるかどうかによって、観客は二分する。
 今回の作品のように人気絶頂の俳優たちが出演し、彼らのファンたちが足を運んでも、作品のシュチュエーションに馴染めない

 黒沢は「今回はじめて〈人の心の中〉を撮影した」という。
 震災以降の日本人の絶望感、アイデンティティの崩壊を意識下に置いたこの作品もまた、新たな世界への挑戦なのだ。
 このサイコサスペンス映画「リアル」は、ロカルノ国際映画祭に出品される。

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June 14, 2013

2306.梅雨・かまくら

005_640024_640 今月の「ひとまく・鎌倉ウオーキング」は、「紫陽花に染まる古刹巡り」だったが、雨天のため中止。

 例年の長谷寺・成就院コースと異なり、初めて明月院も加わっていたので、自らプランをたてて「ひとりウオーキング」を試みた。

010_640_2023_640_2039_640066_640 北鎌倉駅で下車して7分、「明月院」に直行。
 
 国指定史跡でもあるこの寺院は、紫陽花で有名な鎌倉・花の寺である。

072_640019_640071_640020_640 紫陽花が植えられたのは戦後のこと。
 育てやすいからと、住職が毎年増やしてきた。
 長谷寺ほど種類は多くないが、緑の木立のなかで映える。

027_640028_640048_640059_640 
 「明月院」の歴史は古い。
 平時の乱で戦死した源義朝の臣・山ノ内首藤俊道を弔うため、その子が庵を設けたのが1160(永暦元)年。

 その後、建長寺を創建した幕府5代執権・北条時頼がここに仏堂を建立、室町時代には禅興寺という大伽藍となった。
 しかし明治維新で廃寺となり、「明月院」のみが残った。

058_640050_640057_640053_640 6月、紫陽花の花が咲くころには拝観料が200円アップして500円に。
  本堂の丸窓の向こうに見える花菖蒲の庭園散策は、別途500円かかる。

082_640_3139_640_3 「明月院」から建長寺・鶴岡八幡宮を経て、鎌倉駅まで40分。
 少々疲れたので江ノ電で由比ヶ浜に。下車7分で、もうひとつの目的地「鎌倉文学館」に着いた。

131_640_2134_640_2 ここは旧前田侯爵家の別邸。
 明治のころ、加賀百万石の前田藩の末裔が建てた洋館である。

 30年前に第17代当主・利建氏から寄贈を受け、鎌倉市が「文学館を開設した。
 100人を超える鎌倉ゆかりの文学者の直筆原稿・手紙・愛用品などが、収集・展示されている。

096_640_2098_640_2100_640_2115_640_2 この季節、庭園のバラが満開である。

 左から「イブピアッチ」(フランス)「アシュラム」(ドイツ)「アロマテラピー」(アメリカ)「ダイアナ」(イギリス)。

 下の写真、左から国産の「緋扇」「羽衣」「荒城の月」、そして最後の右のバラは、モナコ王妃の名を記したフランスの品種である。

102_640_2104_640_2109_640_2118_640_2 「鎌倉文学館」では来月7日まで、特別展「太宰治vs津島修治」が催されている。
 入館料は300円。

 「恥の多い生涯を送ってきました。」(「人間失格」)、「生まれてすみません。」(「二十世紀旗手」)と太宰は、由比ヶ浜先の海岸で入水心中未遂事件を起こした。
 「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。」(「右大臣実朝」)と、彼は鎌倉と深い縁を持つ作家でもあった。

144_640_2142_640_2 お昼は、ここから徒歩10分の鰻屋「つるや」で摂った。川端康成や田中絹代ご愛用の店である。

 「うな重」が、2200円から550円刻みで5段階、4400円まで。
 注文とってから捌くので、焼きあがるまでに50分かかった。

 鰻を食べて元気が出たので、帰りは鎌倉駅まで40分歩く。

 今回の「ひとりウオーキング」はドアtoドアで24,548歩、関西は猛暑だったが雨の鎌倉は涼しく、梅雨の季節の花々を楽しんだ。

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June 12, 2013

2305.グランド・マスター

Img093_640 「グランド・マスター」とは、チャイニーズ・マーシャルアーツ(中国武術=カンフー)の流派の宗師のこと。
 なかでも近代中国武術史に名を遺すイップ・マン=葉間(1893~1972)は、武術家で映画俳優の故ブルース・リーの師匠としても知られ、彼の生涯を描いた伝記映画は多い。

Img094_640 そのイップ・マンを主人公に、「花様年華」('00)「2046」('04)のウォン・カーウァイが構想18年、撮影に3年かけて完成させた作品である。
 アジアを代表するフイルムメーカーとして知られる彼にとっては、初めての「アクション映画=カンフー映画」となった。

 「ブエノスアイレス」('97)でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞したウオンは、上海生まれの香港育ち、美術やコスチュームにこだわり、パーフェクトな映像美を生み出してきた監督として国際的にも知られている。
 その彼が今回描いたのが、日中戦争前夜の広東と戦後の香港を舞台に、美しく切ない「カンフー・ドラマ」。
 中国武術史を綴った大河ドラマである。

345057_100x100_003 引退を決意した北派(形意拳)の老宗師は、南派(詠春拳)の若い宗師に跡を譲り、南北の武術の統一を図った。
 しかし、それを不満とする老師の一人娘は八卦掌で勝負を挑み、さらには兄弟子が日本軍と協力して老師を裏切る。
 ストーリーには、国民党の特務となった八極拳の宗師も絡み、戦後の香港まで展開していく。

345057_01_04_03_2 ため息がでるほど美しい、雪の中、雨の中で戦うマスターたち。
 演ずるのは、ウオン・カーウァイ監督とたびたびコンビを組んできた役者たちである。

345057_100x100_002_2  主人公の若い宗師にはおよそ3年「詠春拳」の特訓を受けてきたトニー・レオン(「レッド・クリフ」'08)。
 ヒロインとなる老師の娘はチャン・ツィイー(「グリーン・ディスティニー」'00)。
 八極拳の宗師はチャン・チェン(「レッド・クリフ」'08)と、香港・中国・台湾の名優たちが顔を並べた。

345057_01_01_03 そして、これまでは門外不出だった各流派の技を彼らに指導したのが、ユエン・ウーピン。
 「マトリックス」('99)「グリーン・ディスティニー」「キル・ビル」('03)など、内外の作品で武術指導してきた、現代のグランド・マスターである。
 彼は今回、主人公の師匠役でも出演して華麗な武技を見せる。

345057_01_03_03 ここで、中国武術・カンフーについての薀蓄をひとつ。

 映画では南北の流派、これは揚子江を境に分けられた流派が主題となっているが、もう一つの分類が「外・内」である。

 達磨大師が始祖といわれる「少林拳」のように、鍛えた肉体を駆使して剛力を発揮するのが「外家拳」。ブルース・リーやジエット・リーなどのスターもこの分野の名人。
 今回の主役トニー・レオン、チャン・チェンも外家拳である。

345057_100x100_004_2 もう一つが、「太極拳」など呼吸や気功を重視する「内家拳」。映画の中のチャン・ツィイーの八卦拳はその代表で、拳よりも掌を多用し柔らくて優雅で、ダンスを舞うような美しい拳法だった。

 今回の作品の見どころの一つが、このチャン・ツィイーのカンフーである。中国舞踊の達人だけに、カンフー・アクションに挑む姿は、超絶な美しさだった。
 作品の最初から最後まで、笑顔を決して見せなかった彼女の演技に観客は陶酔する。

 「グランド・マスター」は、香港・中国・フランス合作による123分のメロドラマでもあった。

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June 10, 2013

2304.イノセント・ガーデン

Img092_640 鋭すぎる感覚をもつヒロイン、18歳の誕生日の日父から貰ったプレゼントは一本の鍵、その日父は事故死する。

20130319006fl00006viewrsz150x 葬儀の日、長年消息を絶っていた若い叔父が現れた。「イノセント・ガーデン」のある広大な屋敷で三人の生活が始まる。
 やがて彼らの周囲から、次々と人が姿を消した。

 20世紀フォックスが配給するハリウッド作品だが、どこかブリティッシュな感覚を味わうサスペンス・スリラー映画である。
 製作が、イギリス出身のスコット兄弟のプロダクションだからかもしれない。

Note_img07Note_img09 出演者も国際俳優たち。

 ヒロインはオーストラリアのミア・ワシコラスッカ(「ジェーン・エア」'11)、叔父に惹かれる母親もオーストラリア出身のニコール・キッドマン(「めぐりあう時間たち」'02でオスカー受賞)、得体の知れない美男の叔父はイギリスの俳優マシュー・グード(「シングルマン」'09)。

Note_img05 さらに秘密の鍵、大叔母が「世界にひとつのプレイブック」で今年のアカデミー賞にノミネイトされたオーストラリアの名優ジャッキー・ウィーヴァー。

 作品のもとになったのは、名を伏せた一冊の脚本。実はイギリスのテレビ俳優として有名なウエントワース・ミラーが、書いたものだった。
 プロデューサーは、その本を韓国の鬼才パク・チャスクに託した。

Intro_img パクは、「オールド・ボーイ」('04)でカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した監督。3年前には同じカンヌで、「渇き」('09)が審査委員賞を得ている。

 緻密に計算されたストーリーとヒチコック・タッチのサスペンス演出は、パクならではの手法。
 彼はひとりの特異な少女を通して「性と暴力」を艶やか描いた。

Note_img01_2 静謐でスタイリッシュな映像美は、常にパクとコンビを組んできたチョン・ジョンフンのカメラワーク。
 さらにキーとなる音楽と美術を、「ブラック・スワン」('11)のスタッフが担当した。

 原題「STOKER」は、一家の苗字だが別な意味もあるのかもしれない。
 邦題「イノセント・ガーデン」は、久々に上手く考えたタイトルだった。

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June 08, 2013

2303.夏目漱石の美術世界展

001_640  文豪・夏目漱石の美術世界に焦点を当てた展覧会が、東京上野の東京芸術大学美術館で開催されている。

Img082_640_2 この展覧会には、漱石の作品に登場するイギリスのターナーやミレイ、江戸時代の絵師・伊藤若沖に酒井抱一らの絵画、彼が評論した横山大観や和田英作、青木繁らの作品、彼と親交のあった画家の作品、自筆の南画山水、拘りの装丁が、国内外から集められた。

 いわば古今東西の画家たちの作品を、漱石の眼を通して見直すという画期的な試みである。

Img087_640 展示は、「吾輩は猫である」の主人公「猫」がガイドする「序章」から「第7章」まで、国の重要文化財を含む凡そ200点が並んだ。

Img084_640 第1章 漱石文学と西洋美術
 「吾輩の主人公漱石が、かくも西洋美術に熱を入れる様にになったのは、ロンドン留学中に数々の西洋名画を見たからであるらしい」

 「あの松を見給え。幹が真直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」(「坊ちゃん」)
 赤シャツが野だに語るのは、右上のJ.M.Wターナーの作品「金枝」。

Img091_640 第2章 漱石文学と古美術
 「吾輩には、主人に骨董の鑑定をする能力があったとは到底思われない。にもかかわらず、主人の小説をつらつら眺めていると、円山応挙であるとか酒井抱一であるとか、名だたる絵師の名がその作品に次々と登場している」

 左上の屏風は、漱石作品「門」に登場する酒井抱一の「月に秋草図屏風」(重要文化財)。

Img083_640_2 第3章 文学作品と美術 
 「吾輩の主人の小説のなかで、とくに美術世界と深くかかわりのある作品が『草枕』『三四郎』『それから』『門』」

 「『ちょっと御覧なさい』と美弥子が小さな声でいう。三四郎は及び腰になって画帳の上へ顔を出した。……『人魚(マーメイド)』『人魚(マーメイド)』、顔を摺り付けた二人は同じ事をささやいた。」(「三四郎」)

 「人魚」を描いたJ.W.ウオターハウスは、漱石と同時代に活躍したイギリスの画家。彼のお気に入りの一人だった。

Img085_640 「二・三日前、三四郎は美学の教師からグルーズの画を見せてもらった。」(「三四郎」)

 J=B.グルーズも漱石の好きな画家。彼の「少女の頭部像」(左)について、その官能的なまなざしを小説の中では考察している。

 第4章 漱石と同時代美術
 「主人は、文展などの展覧会に出かけて美術批評をすると、よせばいいのに平気で好き嫌いを公言する」

Img088_640_2 「芸術は自己の表現にはじまり自己の表現に終わるものである。」に始まる漱石の「文展と芸術」の自筆原稿から、彼が評した今村紫紅の「近江八景 比良暮雪」(右・重要文化財)、横山大観の「瀟湘八景 漁村返照」(左・重要文化財)など、大家の画40点が並ぶ。

 若い画家たちには好意的な評、大家には厳しい。大観の作品を「呑気だ」などと、「文展と芸術」には書いている。

 「第5章 親交の画家たち」は、漱石の作品の装幀や挿絵を描いた画家たちの作品。
 浅井忠・中村不折・橋口五葉・津田青楓そして正岡子規。

 五葉は漱石が熊本の五高教授時代の教え子の弟、「吾輩ハ猫デアル」の装幀をはじめ漱石の本のほとんどが、彼の作品である。
 「ホトトギス」の表紙絵で知られる不折は漱石の親友、最も若かった青楓は漱石や家族たちの肖像画を描くと同時に、漱石の画の先生役でもあった。

 「第6章 漱石自筆の作品」のコーナーには南画山水など22点が並ぶが、猫は「吾輩は断言する。主人の絵はお世辞にも上手とは言えない」と決めつけた。

Img090_640 第7章 装幀と挿画
 「主人は、自著の装幀についてはアール・ヌーヴォー風を好んで取り入れている。橋口五葉がデザインした吾輩の姿は、なかなかハイカラではないか」

 「現代の歌麿」と呼ばれた橋口五葉、彼の故郷・鹿児島市立美術館所蔵の画稿など21点と、夏目漱石自ら装幀した「こころ」の画稿6点(岩波書店蔵)が並ぶ。
 「吾輩」が紹介したように、当時流行したアール・ヌーヴォー調のブックデザインは、日本のデザイン史上見過ごせない作品である。

 「夏目漱石の美術世界展」は、来月7日まで上野・東京藝大美術館で。観覧料1,500円。

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June 06, 2013

2302.ポゼッション

Img074_640 「ポゼッション」とは「憑依」のこと。
 あどけない少女の体内に巣食い、棲みついている悪魔と闘う父親、ホラー映画ではあるが家族の再生の物語でもある。

345159_01_02_03 実話から生まれた映画である。
 2004年7月25日の「L.Aタイムズ」は、オークションに出された「アンティークの木箱」とその所有者にもたらされた厄災を報じた。
 その箱が、ユダヤの民話に登場する悪魔「ディビューク」を封印した決して開けてはならないものだったと・・・・。

345159_02_01_03345159_01_01_03 実話の映画化を実現したのが、ホラー映画専門のレーベル「ゴースト・ハウス・ピクチャーズ」。
 1981年に「死霊のはらわた」を監督して、カルト・ホラーの第一人者となったサム・ライミが、ユニバーサルでプロデューサーとしての経験を積みプロダクションを設立した。

 第1作が日本の清水崇監督のハリウッドデビュー作「THE JUNON/呪怨」('04)、以後「ブギーマン」('05)「ゴースト・ハウス」('07)「死霊のはらわた・リメイク版」('13)など、ハリウッド外の監督を起用した作品を送り出している。

Img080_640 サム・ライムの強みは、B級映画並みの低予算でそれなりの質の高い作品を制作していることだ。

 今回の「ポゼッション」でも、契約金の高いスターではなく堅実な役者、ジェフリー・ディーン・モーガン(「P.Sアイラブユー」'07)を父親にキーラ・セジウイック(「崖っぷちの男」'11)を母親、少女役はカナダから新人をもってきている。
 監督もまた、デンマークのオーレ・ポールネダル(「ナイト・ウオッチ」'97)なのだ。

Img079_640Img077_640 なぜか4月以来、日本ではカルト・ホラー映画が続々と登場している。
 スペインのマキノフ監督の「ザ・チャイルド」、イーサン・フォーク主演の「フッテージ」、YouTubeで2,500万回もアクセスがあった「スマイリー」、カルト界の帝王と呼ばれるフィリップ・リドリー監督の「ハートレス」などなど。

Img078_640Img081_640 日本映画では前田敦子・成宮寛貴主演の「クロユリ団地」が、公開中だ。
 「リング」('98)「怪談」('07)など、国際的にも知られる中田秀夫監督の作品である。

 そしてこの夏、日本を代表するホラー映画シリーズ「貞子」の第2弾が3Dで登場する。

 世界中でのカルト・ホラー映画のブーム、偶然なのかそれとも何か意味があるのか!?

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June 04, 2013

2301.プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ

Img073_640 タイトルは、原題をそのままカタカナにしたが「/宿命」を付け加えた。「パインズ」をどう解釈するかだが、宿命はストレートだ。

 ドキュメンタリー映画出身のデレク・シアンフランス監督の長篇3作目。
 最初の「ブラザー・タイド」('98)は兄弟の話、2作目はカンヌでも上映されて話題を呼んだ「ブルーバレンタイン」('10)、こちらは夫婦の在り方をシニカルに描いた。
 そして今回の「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」は、父と子の物語である。

345369_100x100_002 141分という超長篇だが、三つの物語が綴られるので退屈はしない。

 第一話は、昔ちょっと遊んだ女性に子供ができ、父性愛に目覚めたバイク・スタントマンが主人公。
 「ブルーバレンタイン」でも主人公だったアイアン・ゴズリング(「L.Aギャング・ストリート」'13)が扮する。
 すでに新しい彼氏がいる彼女だが、親子のために銀行強盗を繰り返し、ついに新米刑事に打ち殺されてしまう。

345369_100x100_004 第2話は、その新米刑事が主人公。
 こちらは「世界にひとつのプレイブック」('13)でアカデミー賞にもノミネイトされたブラッドリー・クーパー。
 同じ年頃の子を持つ父親として、犯人射殺のトラウマを背負う。その思いからか警察の腐敗を内部告発、州検事補、州司法長官へと出世の道を歩む。

345369_100x100_006 第3話がそれから15年後のお話。
 州司法長官に立候補したものの、ドラ息子の不行跡に悩む前話の主人公に、父を殺された息子が交錯する。ドラ息子とは高校の同級生、いやな相手である。
 ジェームズ・ディーンの再来と言われる新人ディン・デハーンが瑞々しく演ずる。

345369_100x100_005 そう、「父と子の血の因果」を巡る物語なのだ。
 クライム・サスペンスながら、そこには叙事詩ともいえる人間の愛と運命、愛と倫理の危さ、正義と不正義が、感動的に描かれていくのだ。

345369_100x100_007 母親役エヴァ・メンデス(「ホリー・モーターズ」'13)、銀行強盗仲間ベン・メンデルソーン(「ジャッキー・コーガン」'13)、悪徳警官レイ・リオット(「ジャッキー・コーガン」)と、最近見た映画にも出演していた演技派たちが、顔を並べていた。

 奇をてらわない、映画らしい映画である。

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June 02, 2013

2300.ココログスタート

Imgp8853_640 8年前に友人から奨められ、老化防止で始めた「かせだプロジェクト」が今回で2,300号となった。
 ふと思いついて、第1号をアウトプットしてみた。区切りとして「再掲」する。

Imgp0599_640 「65歳、法律的には「高齢者」、つまり老人になった。
 区役所からは「介護保険証」が送られてきた。
 「敬老入浴券」も届いた。区内の銭湯400円が100円で利用できる。銀座の「金春湯」も。100円なのである。
 2時間350円だったスポーツクラブのプールも、無料である。
 都立の博物館や庭園の入場料は半額。

Hydrangeas 至れり尽くせりと云えるかどうかは別として、これまで大枚をはたいてきた「特別区民税」と「都税」がようやく還元されることになったわけだ。ささやかだけど。
 そこで、この「ココログ」をすたーとしたのだが、とくに関係ない?」

Tulips 義理もふくめ、多くの知人・友人、未知の方々に「かせだプロジェクト」をクリックしていただいている。
 2年前からは一日おきの更新となったが、毎日開いてくださる方が今週の時点で98人、まったく申し訳ない。
 一週間でおよそ1600人の方々に、拙いコメントを読んでいただいているのだ。
 さて、仕上げはどうしよう。

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