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July 30, 2013

2329.風立ちぬ

Img156_640 「風立ちぬ、いざ生きめやも」、フランスの詩人ポール・ヴァレリーの詩の一節をこう訳し、堀辰雄(1904~1953)は「風立ちぬ」と題した小説を書いた。

 それをタイトルにした作品は、ゼロ戦(零式艦上戦闘機)の設計者として知られる堀越二郎(1903~1982)の半生を描くもの。
 そのストーリーの中に、同時代に生きた堀辰雄の小説のエピソードが盛り込まれるのである。
 あくまでもフィクションとして。

 原作・脚本・監督はスタジオ・ジブリの宮崎駿。
Prono_img01 主題は「生きねば。」、不景気と貧乏、政治不信に大震災と生きるに辛い時代、1920年代が舞台となる。

 先ず田舎出身の少年が、美しい風のような飛行機を創ろうと夢み、やがて軍需工場の設計技師として生きていく姿・・・・堀越二郎の実人生がベースとなる。

Prono_img02 重なるのは、イタリアの著名な飛行機設計技師ジャンニ・カプローニとの夢の世界での会話。
 「日本の少年よ、風は吹いているか」、航空機関連会社の役員を父に持つ原作者・宮崎駿の「夢」。

 ストーリーを彩るのが、薄幸な少女との出会いと別れ。
 肺結核を病んでいた堀辰雄、彼の婚約者もまた同じく胸を病み短い人生を送った。
 「風立ちぬ」は、その愛と別れの物語である。

511q5tfjixl__aa160_ 「風の谷のナウシカ」('84)「天空の城ラピータ」('86)「となりのトトロ」('88)など、日本のアニメの時代を築き上げたこれまでの宮崎駿作品をイメージすると戸惑う。
 ワクワクドキドキのファンタジーではなく、強いメーセージ性を持つ作品なのだ。

 さらに、実在人物をモデルにした作品は、スタジオ・ジブリにとっても初めてである。そこに、72歳に達した宮崎の「覚悟」があった。

 宮崎フアンの中に賛否両論あるのが、同業者・庵野秀明(アニメ「エヴァンゲリオン・シリーズ」監督)の声優起用。
 そして人の声で表現した効果音、プロペラ音や蒸気機関車の音、さらには大地震の地鳴り。
 宮崎はひとつひとつに、とことん拘る。

344584_01_01_03 軽井沢の森や八ヶ岳高原の美しさは、まさにジブリ的な映像美。
 荒井由美時代に作詞・作曲して歌った松任谷由美の「ひこうき雲」(1973)が、主題歌として最後に流れる。
 哀しくて切ない。

 声の出演は庵野(二郎)に瀧本美織(妻・菜穂子)、野村萬斎、大竹しのぶ、西嶋秀俊、西村雅彦、風間杜夫、竹下景子、国村隼ほか。
 音楽はジブリ・アニメの常連、久石譲。

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July 28, 2013

2328.盛夏鎌倉・結跏趺坐

130724_010_640130724_066_640 今月の「ひとまく鎌倉ウオーキング」は、歩かずに「結跏趺坐(けっかふざ)」で夏のひと時を過ごした。

 鎌倉駅から金沢街道をバスで15分、浄明寺バス停前にある報国寺が目的地。
 これまでも、ウオーキングのコースの一つとして度々訪れた古刹だが、今回はこの寺だけで半日過ごす。

 ひとまく会としては初めて、ここで「座禅」を体験しようという試みである。

130724_067_640130724_045_640130724_060_640130724_041_640

 「竹の寺」として知られる「報国寺」。
 正式には「功臣山 報国建忠禅寺」、臨済宗建長寺派の古刹である。

 開基は足利尊氏の祖父・家時と伝えられるが、寺院の創建は1334(建武元)年。鎌倉幕府が滅亡した翌年である。
 次の年には尊氏が征東将軍として鎌倉に下っており、鎌倉公方となった尊氏の子・基氏と姻戚関係のあった上杉家が寺容を整えていったようだ。

130724_032_640130724_039_640 さて「座禅」の方だが、若いころに鹿児島・栗野岳山中にある私淑する思想家の道場で、数十回経験した。
 ただ今回同行した仲間たちの多くは初体験、本堂横にある座禅道場「迦葉堂(かしょうどう)」の板の間に並ぶ。

 指導してくれたのは、報国寺日曜座禅会のリーダーの一人で、座禅歴30数年の元サラリーマンだった。

130724_019_640130724_018_640 「座禅」は、禅宗の基本的な修行法である。
 結跏趺坐して「調身・調息・調心」、手は「法界定印(ほっかいじょういん)」、目を半眼にして息を丹田に吸い込み丹田からゆっくりとはき出す。
 およそ一時間、ひたすらそれを繰り返す。

 指導者からいろいろと説明を受けたが、「自我」を排し空・無の境地に至る「接心(せっしん)」は、我ら凡夫にとっては無理だった。

130724_015_640130724_016_640_2 禅には、今回体験した臨済禅ともうひとつ、曹洞禅がある。
 鎌倉には円覚寺や建長寺など臨済宗の寺院が多いが、全国的には福井の永平寺など曹洞宗の寺が多い。

 座禅後の懇談で知ったのだが、両者の違いはまず結跏にあるそうだ。

130724_061_640130724_063_640 臨済は、板の間に座布団を二つに折った「座蒲(ざふ)」を置いて腰を下ろして、足を組む。壁を背に対面の形。

 曹洞は、畳の間に「円坐」を置き壁に向かって座る、いわゆる「面壁」である。

 また「悟りに至る看話禅」の臨済と、ただひたすら座る「黙照禅」の曹洞と言われるが、そのあたりは難しいので省略する。

130724_058_640130724_056_640130724_021_640_2130724_025_640_2 指導や懇談の時間を含めて2時間、「座禅会」が終わったあと、竹林を散策した。

 孟宗竹2000本の竹林を抜けると「やぐら」が見える。
 足利一族が争った「永亭の乱」(1438年)で、室町幕府側に敗れ自刃した、鎌倉公方・足利持氏の嫡子義久の墓と伝えられている。

 また鐘楼脇には、苔むした多数の五輪塔が置かれている。
 新田義貞に攻められ戦死した執権・北条側の兵士の遺骸や、やぐらに放置された供養塔を集めたものである。
 兵士たちの遺骸は、戦後由比ヶ浜の地中から発掘されたものだそうだ。

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 盛夏鎌倉、この日は幸いに曇り空の一日で猛暑を逃れた。
 慣れない結跏趺坐で痺れた足を庇いながら、帰途に就く。

 ドアtoドアは5825歩しかなかったが、結構エネルギーは消耗した。

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July 26, 2013

2327.コン・ティキ

Img154_640 子供のころ読んだ「コン・ティキ号探検記」、若いころ見たドキュメンタリー映画「Kon-Tiki」('51)はアカデミー賞を受賞した作品だった。
 著者であり主人公、探検のリーダーだったトール・ヘイルダー(1914~2002)と生前に交わした映画化の約束を、イギリスの映画プロデューサーのジェレミー・トーマスが実現した。

200pxthorheyerdahl ヘイルダーは、ノルウエーの人類学者で探検家。
  ポリネシアの島に滞在して研究を続け、「ポリネシア人の先祖は南米から来た」との学説を発表、それを実証するために1947年に古代のままの筏を造り、5人の仲間とオウム一羽でペルーからポリネシアまでの8000キロを漂流した。

 この映画は、信念を貫く男たちの命がけの冒険を、2年間にわたるノルウエーとポリネシアでのロケーションで描く「海洋アドベンチャーロマン映画」である。

345496_100x100_005 「戦場のメリークリスマス」('83)などの製作で著名なトーマスは、ノルウエーのCMディレクターとして知られるヨアヒム・ローリングとエスペン・サンドベリに監督を託した。
 二人は幼馴染で、学校卒業後もタッグを組んで映像制作を続けているが、今回は初めてアドベンチャー映画である。

345496_100x100_002345496_100x100_012 登場人物が実在していた人だけに、キャスティングには苦労したようだ。
 主人公のヘイルダーを演じたノルウエーの俳優ポール・ハーゲンほか、役者のほとんどが初見のひとたち。
 ただ一人、スエーデンの俳優グスタフ・スカルスガルドだけが、「ウエイバック」('10)に登場していたのを思い出す。

345496_100x100_011345496_100x100_008 360度すべてが海、海の碧さと空の青さ。嵐に人食い鮫。
 海洋アドベンチャー映画ならではの美しさと恐怖は、網羅される。
 そこに5人の男たちを漂流させて、希望・絶望・焦燥感・疑心暗鬼・不安・決裂・友情・絆を綴っていく。

345496_100x100_016 海洋アドベンチャー映画の最近の傑作といえば「ライフ・オブ・パイ」('12)、CGを駆使し壮大な海の自然を見せた。
 こちらは徹底的に実写に拘ることで、神秘的ともいえる大自然の美を描く。

Img155_640_2 映画は実話通り、ペルー・カヤオを出発したコン・ティキ(太陽の神)号が、南赤道海流に乗って101日間の漂流を続け、ポリネシアのツアモツ環礁にたどり着くまでを描いた。
 そしてラスト・タイトルにのって、その後の5人の消息を伝えて終わる。

345496_100x100_004 一方当の主人公は、アステカ文明とエジプト文明の繋がりを実証するため、パピルスで作った舟(ラー号)でモロッコ~バルバドス5000キロの旅(1969年)を行うなど、最後まで「冒険家」であり「探検家」だった。

 しかしコン・ティキ号で実証しようとしたヘルダーの学説は、その後のDNAの解析などもあって人類学会では否定されているという。
 

 たまたま前号の「偽りの人生」(アルゼンチン・スペイン・ドイツ合作)、今回の「コン・ティキ号」(ノルウエー・イギリス・デンマーク・ドイツ合作)とヨーロッパ系の作品が続いた。
 日本での配給会社は、いずれもブロードメディア・スタジオ。非ハリウッド系の佳作を発掘するのに、秀でた会社である。

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July 24, 2013

2326.偽りの人生

Img153_640 ロシア・マフィアの人身売買を描いた「イースタン・プロミス」('07)で、アカデミー賞主演男優賞にノミネイトされたヴィゴ・モーテンセン。
 デンマーク人の父とアメリカ人の母のもと、幼少期をアルゼンチンで過ごした彼が、初めてアルゼンチン映画をプロデュースして主役を演じた。

20130503009fl00009viewrsz150x 一卵性双生児の兄、末期がんを患い殺してくれと訪ねてきた彼を窒息死させた弟は、彼に成りすまして故郷のデルタ地帯に戻った。
 裕福な医師として首都ブエノスアイレスでの日々はなぜか空虚感に苛まれ、妻とも倦怠期の重圧の中にあった。

345742_01_05_03 偽りの中で、もう一度人生のやり直しを求めたが、兄が関わっていた闇の犯罪の世界に巻き込まれていく。

 アルゼンチンの女性監督、アナ・ピタバーグの長篇デビュー作品である。
 幼少期の記憶をもとにシナリオを書いた彼女は、息子の水泳教室で偶然出会ったモーテンセンに脚本を渡した。
 映画は、この偶然から始まる。

345742_01_06_03_2 新人女性監督を支えたのは、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「瞳の奥の秘密」('09)のキャスト・スタッフたち。
 この作品で検事役を演じたアルゼンチンを代表する女優ソレダ・ビジャルが主人公の妻を演じ、同じく主要な役で出演したハビエル・ゴディーノが今回は悪党の役。
 製作陣や音楽も、4年前のスタッフである。

345742_01_02_03_2 全編スペイン語で兄・弟の二役を演じたモーテンセンは、流石だ。
 子供の頃から喧嘩っ早くならず者になった兄と、弱虫で苛められていた弟の医師。インテリと粗暴な男と粗暴な男に成りすますインテリ、この三つの役の使い分けが見どころとなる。

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 作品全体が冷たいトーンで描かれる。
 首都からわずか30キロしか離れていないのに、ここは貧困と犯罪が蔓延る閉鎖社会。大小の川が迷路のように流れ、往き来するのはボートだけという村。
 6月の極寒期にロケして、暗鬱なサスペンスに仕上げた。

 大河の中を進む小さなボート、ラストシーンに監督の想いを見る。

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July 22, 2013

2325.谷文晁展

Img001_640 江戸の絵師・谷文晁(1763~1840)、ブログ2220号「江戸絵画の奇跡」で一枚の画を紹介したが、その名は馴染み薄い。
 また北斎や広重のように、一連の作品を系統立てて鑑賞したこともない。

001_640 しかし彼は、存命中から江戸画壇の大御所であり、幕閣の有力者から庶民にまで知られた著名人だった。
 中国画から日本伝統のやまと絵、仏画から洋風画まで、「豊穣にして混沌」。
 そんな文晁の絵画世界が、初めて一堂に会した。

 今年は彼の生誕250周年、先日東京・六本木サントリー美術館に足を運んだ。

Img139_640Img141_640 文晁の多彩な画風を象徴するのが、左右の作品。
 左の「慈母観音図」は細密な描写による格調高い仏画、右の「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」はオランダの油絵を日本画の画材で模写したもの。

 文晁は10歳の頃から狩野派・南蘋(なんぴん)派の絵師のもとで、山水画や花鳥画を学んだ。
 それは有名な中国の山水画などを、ひたすら模写することだった。
 のちに彼が、西洋画的な遠近法や陰影法を取り入れた作品など、あらゆる画風を自らの手にしたのは幼少期の努力の賜物だった。

Img140_640 文晁の多彩な画風に強く惹かれたのが、「寛政の改革」で知られる老中・松平定信。
 文晁は求めに応じ、近習として定信に仕え彼の文化政策を支えた。いわば現代の文化庁長官・博物館館長的な任にあたり、老中の地方巡視に同行して記録(「公余探勝図鑑」)を残す。

 また定信の命によって、「集古十種」も編纂する。
 これは、文晁が全国の古社寺や旧家を訪ねて古美術を模写する「古文化財の調査・保存事業」だった。

Img143_640 文晁のもう一つの偉業が、「石山寺縁起絵巻」(重要文化財)の模写と補作である。
 彼は門下の絵師3人を引き連れ琵琶湖湖畔の石山寺で、絵巻1~5巻を模写すると同時に詞書しか伝わっていない第6・7巻の絵を書いた。
 この事業もまた、定信の文化政策のひとつだった。

Img142_640_3 今回の展覧会では、サントリー美術館が最近手に入れた模本7巻すべてが展示されている(右上と左の写真はその一部)。
 この絵巻は、事業に関連して完成作品の副本として制作されたものと、伝えられている。

Img149_640
 江戸琳派の絵師・酒井包一、狂歌師・大田南畝、戯作者・山東京伝、浮世絵師・歌川広重など、老中・大名だけでなく谷文晁のネットワークは多彩だった。
 渡辺崋山や能村竹田らを育てた江戸の絵師・文晁。
 およそ100点(158点が前・後期で展示替え)の作品が、彼の全貌を語る。

 谷文晁~生誕250周年記念~展は、六本木・サントリー美術館で8月25日まで。入館料は1300円。

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July 20, 2013

2324.さよなら渓谷

Eiga19102_640 先月開かれたモスクワ国際映画祭で、審査員特別賞を受賞した作品。大竹しのぶが最優秀女優賞に選ばれた「ふくろう」('03)以来、久しぶりの受賞だった。

 芥川賞(「パーク・ライフ」'02)作家の吉田修一の同名小説を、「かぞくのくに」('11)の大森立嗣が映画化した。
 3年前に映画化された吉田修一の「悪人」と同じ、暗く重いテーマのシリアスな物語である。

345041_100x100_007 幼児殺害事件がきっかけとなって暴かれていく、ひと組の夫婦の衝撃的な事実が語られていく。

 夫婦は15年前起きたレイプ事件の、被害者と加害者。その復讐と贖罪を共有するために同棲した二人、肉体を貪り貪られるドロドロした関係の中に愛の本質を見つけようと、原作者も監督ももがく。

345041_100x100_002345041_100x100_003 被害者の女性を演じる、真木よう子(「つやのよる」'12)の体当たりの演技が光る。
 加害者役は大西信満(「キャタピラー」'10)、寡黙で無表情のなかから哀しみが醸し出される。

 狂言回しの役は冴えない週刊誌記者役・大森南朋(「ハゲタカ」'10で日本アカデミー賞主演男優賞受賞)。彼もまた、愛が確かめられない妻・鶴田真由に振り回される。
 他、大森の同僚・鈴木杏、真木の元DV夫・井浦新、大西の共犯・新井浩文。

345041_100x100_005 
 映画は郊外のアパート、殺風景な部屋で朝から濃密に交わる若夫婦のシーンからはじまる。
 そしてドアを激しくたたくのが隣人の女、この後彼女は長男殺害容疑で逮捕される。
 押し掛けるマスコミ、そこに週刊誌記者も。

345041_100x100_001 大森監督の語り口はサスペンスタッチ、一体この若夫婦はなぜこうも激しく交わるのか。
 しかし「宣伝」がそれを裏切ってしまった。
 「ごく普通に見える夫婦。だがふたりは残酷な事件の被害者と加害者だったー。」と、ポスターや予告編で全てをバラす。

345041_100x100_004 真夏、東京近郊・秋川渓谷で撮った絵がいい。
 そこは「一緒に不幸になろう」と同棲した二人が、「幸せ」を見てしまったところだ。
 美しい緑、清らかな川の流れ、渓谷に別れを告げたところから、次の物語が始まる。

 大森立嗣監督は舞踏家・麿赤児の長男、俳優・南朋は次男。
 ある映画評論家は、この作品を今年の「邦画ベスト3」に残ると激賞する。

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July 18, 2013

2323.欲望のバージニア

Img127_640 アメリカ東部バージニアに住む人で、ボンデュラント三兄弟を知らぬ人はいない、という。
 フランクリンには、ボンデュラント・ミュージアムがあり彼らの遺品が展示されており、州内の若者たちは三兄弟の名をタトゥーに刻む。

345180_100x100_001 禁酒法時代のアメリカ(1920~1933)、密造酒の製造を生業にしていたボンデュラント一家に対し、賄賂を要求する取締官たち。
 その要求を撥ねつけたため仲間を虐殺され、秘密の蒸留小屋も爆破された兄弟たちの復讐劇。
 それは今も、伝説として語り継がれている。

 その伝説(実話)ドキュメントとして書いたのが、兄弟三男の孫のマット・ボンデュラント。それは、家族たちだけが知っている数々の秘話、当時の新聞記事、裁判記録で綴られている。
 ’08年に出版された本のタイトルは「The Wettest Country in The Worlde」、世界一の密造酒製造地帯、密造酒であふれた州、世界で最も「濡れた」州なのだ。

345180_100x100_003 この本を原作に映画化したのは、ジョン・ヒルコート。「ザ・ロード」('09)でベネチア国際映画祭金獅子賞にノミネイトされたオーストラリア出身の監督である。

 そして脚本を書いたのが監督の盟友ニック・ケイブ。カリスマ・ミュージシャンとして知られるニックは、カントリーとパンクの融合から生まれた音楽をエネルギシュにセリフと絡ませた。

345180_100x100_005 出演者たちも骨太な個性派男優と、今話題の女優たちをそろえた。

 まず三兄弟。
 酒浸りで凶暴な長男、オーストラリアの俳優ジェイソン・クラーク(「華麗なるギャッピー」'13)。
 意志堅固で非情な暴力を爆発させる不死身の次男、イギリスのトム・ハーディ(「ダイクナイト・ライジング」'12)。
 小心だが夢と野心は大きい三男、アメリカのシャイア・ラブーフ(「トランスフォーマー」'11)。

345180_100x100_002 兄弟と交叉する美女二人。
 次男に惚れる流れ者、アメリカの女優ジェシカ・チャスティン(「ゼロ・ダーク・サーティー」'12でアカデミー賞主演女優賞ノミネイト)。
 三男が追っかける無垢な天使、オーストラリアの女優ミア・ワシコウスカ(「イノセント・ガーデン」'13)。

345180_100x100_004 そして最大の敵役、キザで残酷な取締官にイギリスのガイ・ピアース(「プロメテウス」'12)。
 裏社会を牛耳るギャングの親玉を、イギリスの俳優ゲイリー・オールドマン(「裏切りのサーカス」'11でアカデミー賞主演男優賞ノミネイト)という顔ぶれである。

 禁酒法時代の実話を題材にした映画は、数多くある。
 シカゴのアル・カポネが主人公の「暗黒街の顔役」('32)に始まり、ポニーとクライドの「俺たちに明日はない」('67)、ニューヨークのマフィアのファミリーを描いた「ゴッドファーザー」('72)など名作も多い。
 この「欲望のバージニア」は、新たに加わった鮮烈な一本といえよう。

 「欲望」と「バージニア」をくっつけた邦題の是非は別として、原作のタイトル、原題の「LAWLESS」はなかなか洒落ている。

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July 16, 2013

2322.読書三昧

001_640 先月から今月にかけて、友人・知人の著書が4冊も届き机に積みあがっている。
 ちょうど猛暑も続いている。そこで連休の一日、エアコンを利かした家に閉じこもり、「三昧」の時間をすごした。

 それぞれの内容がバラェティありで、じっくり考えたり気楽に体を動かしたりして読んだ。
 せっかくの著書なので、PRを兼ねて紹介しよう。

Img129_640 「書籍文化の未来~電子本か印刷本か」
 (岩波ブックレットNo.873)

 著者・赤木昭夫さんは、元慶応大学教授、元NHK解説委員。科学ジャーナリスト出身で原子力など科学分野はもちろん、国際経済・政治、軍事問題にも強い。

 私が現役時代、石油関連のテレビ・ドキュメンタリー番組を制作したおり、アドバイザーとして指導を受けた先輩である。
 現在も当時の仲間たちと、赤木さんを塾長に月一回の勉強会を続けている。

 この「ブックレット」は、その勉強会でも問題提起されたテーマを中心に記述されたもので、現在出版界で最も注目を集めている「電子本」について、あくまでも読者側の視点から将来像を示唆した内容になっている。
 岩波書店刊・本体定価500円、63ページと大変読みやすい。

Img130_640 「食と農を見つめて50年」
 第1巻・いつまでもあると思うな、水と食

 農業ジャーナリストとして50年、多くのテレビ番組を制作し多くのルポや論文を雑誌・新聞・著書に発表してきた、中村靖彦さんの「自選著作集」全6巻の1巻である。

 中村さんもまた、農業・農村問題の取材の手ほどきをしていただいた私の先達である。
 NHK解説委員退任後は、明治大学や東京農大、女子栄養大学で教鞭をとるほか、米価審議会委員、畜産振興審議会委員を歴任した。
 BSE(牛海綿状脳症)でアメリカからの牛肉の輸入が問題となった時、食品安全委員会の委員として対応にあたった。

 今回の著作集は、これまで雑誌・新聞に寄稿したルポや論文をテーマ毎にまとめたもので、専門雑誌など一般の目に触れにくい原稿を再録している。
 テーマは、「食糧問題・表と裏」から「水、このかけがえのない資源」「ロシアと中国ー世界の食糧問題の火薬庫」、そして「WTOからTPPへの苦難の道」までホットな話題も多い。
 農林統計協会刊・本体定価2200円。

Img131_640 「死別を体験した子どもによりそう」
 ~沈黙と「あのね」の間で~

 自殺や事故で親を失った子どもたち、東日本大震災で身近な人との死別を体験した子どもたち。
 その子どもたちの「グリーフサポート」にかかわってきた西田正弘さん(NPO子どもグリーフサポートステーション代表)と高橋聡美さん(〃理事・つくば国際大学教授)の共著である。

 高橋さんは、私の高校の後輩。
 大震災直後、「グリーフサポート」をテーマにNHK「クローズアップ現代」に出演されたのがきっかけとなり、交遊が始まった。
 彼女は看護師出身、大学院終了後スエーデンでメンタルヘルスの実情を調査・研究、7年前から仙台を中心に活動をはじめた。
 現在は精神看護学の第一人者として、グリーフサポートの第一線で直接子どもたちや母親たちに対応するほか、エネルギッシュに全国を飛び回って、サポート組織作りを指導している。

 この本は、著者たちの体験を通じて具体的な「グリーフのサポート」の在り方を綴る。
 誰にも「お父さん」「お母さん」がいる。つまり私たちはいくつになっても永遠に彼らの「子ども」なのだ。その原点に立てば、自ずからサポートの方向は見えてくる、と書く。
 梨の木舎刊・本体定価1500円。

Img132_640 「『体の痛み』の9割は自分で治せる」
 ~たった90秒!超簡単セルフ整体術~

 今回の4冊の著者の中では最も若い35歳の青年!鮎川史園(あゆかわ しおん)、彼も高校の後輩でかつ飲み友達である。
 2年前から渋谷で「いぎあ☆すてーしょん代官山」をオープン、都内はもちろん北海道や海外からくる患者さん相手に、施術している。

 本の内容は、冒頭に記したタイトルが全てを物語っている。
 「肩がガチガチ!背中がパンパン!腰がどんより・・・・」、そんな時はセルフ整体で、筋肉を本来の「やわらかい状態」に戻せば、痛みは一瞬にとれる。そのコツ、ノウハウが書いてある。
 一日、上記の3冊の本を読んだ後、ページを捲りながら肩をほぐす事ができた。

 もともとWEB技術者出身、ハードワークで体調を崩した頃出会ったのが「ミオンパシー」と呼ばれる整体法。以後それを広める活動に参画している。

 彼のユニークな活動は、IT経験を生かした「セルフ整体」の配信。週3回、20時からUstreamで「おやすみ☆セルフ整体」を流している。
 この著書を読まなくても、誰でも「体の痛み」を治せるのだが、本を手元においてモニターを見るとさらに判りやすいだろう。
 PHP研究所刊・本体定価552円。

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July 14, 2013

2321.真夏の方程式

Img126_640 フジテレビが2007年から放送している連続ドラマ「ガリレオ」、天才的な頭脳を持つ物理学者・湯川が警視庁の刑事と組んで、次々と難事件を解決していくお話である。
 ちょっと癖のある変人・湯川のあだ名がガリレオ、イケメンの福山雅治が演じて毎回20%以上の視聴率を稼いでいる。

344361_100x100_005_2 原作は東野圭吾のミステリー小説、5年前に劇場版として「容疑者Xの献身」を公開して大ヒット、「真夏の方程式」はその第2弾というわけだ。

 製作は当然フジテレビが中心、監督の西谷弘は前作はもちろん、テレビ・シリーズの演出もこなしている。

344361_100x100_009_3 海底資源開発派と海の生態系を守る反対派とが、激しく対立している海辺の町が舞台。
 開発のための地元説明会にアドバイザーとして招かれたガリレオが、民宿で知り合った子供(山崎光)と、滞在中に発生した殺人事件に巻き込まれるお話。
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 もともと子供嫌いのガリレオが一人の少年を守るために、複雑に絡み合った「事件の謎=方程式」に挑むところが物語のキーとなる。

344361_100x100_006 「容疑者Xの献身」でコンビを組んだ警視庁刑事は、柴崎コウ。今回(テレビでは第2シリーズから)は、吉高由里子に代わる。
 ただその上司の警部補で、ガリレオの学友は北村一輝が顔を見せる。

344361_100x100_013344361_100x100_012344361_100x100_014 
 登場人物では民宿を経営する、少年の伯母一家がキーになる。
 海を守るため先頭に立つ一人娘は杏、その両親が風吹ジュンと前田吟のベテラン。
 なかでも、少年の従姉にあたる杏(俳優・渡辺謙の娘)が、物語の重要な鍵を握る。

 さらに殺される元警視庁刑事・塩見三省と出所した元殺人犯・白竜、二人は事件の裏にあった悲しい過去の人物たち。

344361_100x100_001 「さまよう刃」('09)「白夜行」('11)「麒麟の翼」('12)「プラチナデータ」('13)と、このブログでも紹介してきた東野圭吾原作映画。
 ミステリー小説として「謎」を追う主人公、その彼に関わる人々が我々と等身大なのが、東野作品の特徴である。
 そこに、読者や鑑賞者の共感を呼ぶ。

 全く関係ない話だが、「あまちゃん」にも出演している塩見三省は近所の住人。カミさんのリハビリ仲間らしいので親近感を持つ。

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July 12, 2013

2320.江戸絵画の奇跡

004_640 俵屋宗達・尾形光琳・尾形乾山・中村芳中・俵屋宗理・酒井抱一・鈴木基一・神坂雪佳・池大雅・与謝蕪村・浦上玉堂・谷文晁・円山応挙・竹内栖鳳・伊藤若沖・曽我䔥白・長澤蘆雪・菱川師宣・英一蝶・勝川春章・歌川豊春・歌川広重・葛飾北斎・・・・・・・・・。

001_640 これまで、このブログで紹介したことのある絵師だけでも20数名、琳派・文人画・円山四条派・奇想派・浮世絵など、江戸時代の絵師たちが描いた絵画90点余りが、江戸東京博物館に並んだ。

 「ファインバーグ・コレクション展」、20代のころニューヨークの美術館で目にした江戸絵画に心を奪われたファインバーグ夫妻が、40年かけて蒐集した絵が里帰りしたのだ。

Img148_640  左上から谷文晁の「秋夜名月図」、その下左から歌川豊春「遊女と禿図」、伊藤若沖「松図」、葛蛇玉「鯉図」。

Img151_640Img150_640 左は与謝蕪村の「竹斎訪隠図屏風」、右は葛飾北斎の晩年の傑作「源頼政の鵺退治図」。
 まさに百花繚乱の江戸絵画である。

 ファインバーグ氏は美術の専門家ではなく化学者、そして現在も化学関係の会社を経営している実業者である。
 1970年代、学生は無料で鑑賞できたメトロポリタン美術館に、夫妻はたまたま出かけて日本美術に出会うのである。

Feinberg なかでも夫妻の目を引いたのが、江戸絵画や屏風、そして浮世絵の数々。
 魅力的で全く新しい世界を発見した夫妻は、本業の傍ら日本の歴史や文化・芸術を学び、やがて作品の蒐集も始めた。

 今回のコレクション展は、その中から選び抜かれた優品を五つのテーマにわけて展示した。

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 第1章「日本美のふるさと 琳派」(宗達から光琳、抱一、其一など。左は其一の「群鶴図屏風」)

Img145_640 第2章「中国文化のあこがれ 文人画」(蕪村や文晁、大雅。右は大雅の「東坡載笠図屏風」)

Img152_640 第3章「写生と装飾の融合 円山四条派」(応挙、栖鳳)

 第4章「大胆な発想と型破りな造形 奇想派」(若沖、蕭白)

 第5章「都市生活の美化、理想化 浮世絵」(師宣、一蝶、豊春、豊国、広重、北斎、左は豊国の「三代目瀬川菊之丞の娘道成寺図」)

 全作品を見終わって気がつくのだが、このコレクションには狩野派や土佐派など官画派の保守的な作品が無かったことだ。
 ファインバーグ夫妻は、若い時代に江戸絵画と出会っただけに、自由で活気に満ちた肉筆画に強く惹かれたようだ。

 江戸東京博物館での展覧は15日(月)で終了するが、この後「MIHO MUSEUM」(20日~8月18日)、「鳥取県立美術館」(10月5日~11月10日)と巡回する。

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July 10, 2013

2319.二流小説家シリアリスト

345152_02_01_03 「週刊文春ミステリーベスト10」('11)「このミステリーがすごい」('12)「ミステリーが読みたい」('12)の海外作品の部で、それぞれ一位と3冠を獲得した「シリアリスト」。
 アメリカのディヴィッド・ゴードンのデビュー作の映画化である。

345152_100x100_001 ヴァンパイア小説やエロ小説で食いつないでいる売れない作家(二流小説家)が主人公。
 12年前の連続猟奇殺人事件で死刑を宣告された元写真家から、その告白を綴る「官能小説」執筆の依頼を受けた事から、再び連続猟奇殺人事件に巻き込まれていくというストーリー。

345152_100x100_004 二流小説家に扮しているのは上川隆也、ドラマではたびたび主役として登場してきたが、映画では初めての主演である。
 対するカリスマ死刑囚を、武田真治がエキセントリックに演じる。

 正義と悪、光と闇、白と黒、相反しながら惹かれていく二人の対決が、作品の見どころである。

345152_100x100_003 監督はテレビ「火曜サスペンス劇場」のエース猪崎宣昭、ドラマ「遺留捜査シリーズ」の仲間たちと共同で脚本を書き、21年ぶりに映画を撮った。

345152_100x100_005_2 猪崎作品の常連ともいえるベテラン俳優たちが、顔を並べる。
 高橋惠子(死刑囚の弁護人)、伊武雅刀(刑事)、戸田惠子(娘を殺された遺族)、本田博太郎(妻を殺された遺族)、片瀬那奈(姉を殺された遺族)、佐々木すみ江(死刑囚の里親)、賀来千賀子(主人公の母親)。
 若手は主人公の姪の高校生役、小池里奈。

345152_100x100_002 なぜか、たった1シーンなのにベテランが顔を出すので、最後まで観客を惑わす。
 例えばでんでん(編集者)や黒谷友香(主人公の元恋人)、1カット出演の中村嘉葎雄など理解に苦しむ。

51wyglmkjyl__bo2204203200_pisitbsti 小説の原題で映画の副題ともなった「シリアリスト」が、この作品のキーワードと言える。

 シリアルキラーの言葉があるように、シリアリストは連続殺人犯を指すと同時に、この作品は連載小説家(シリアリスト)を目指すゴードン自身をも指す。

 作品の中で作者は、死刑囚の言葉を通して自らの「芸術感」を披露して二流小説家の思考と対決させる。
 ミステリー小説家として、「一流」たらんとする作者の覚悟だろう。

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July 08, 2013

2318.入谷朝顔まつり

020_640_2021_640023_640005_640 「桔梗咲き」「牡丹咲き」「斑点紋」「縞」・・・・・、およそ8万鉢の朝顔が並ぶ。

 ここは入谷の佛立山眞源寺の境内と参道。
 「恐れ入谷の鬼子母神」と、太田蜀山人が狂歌をひねったあの境内である。

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 朝顔の種は、原産地中国で「牽牛子(ケンゴシ)」と呼ばれる。
 そこでその名に因んで、毎年7月6日~8日に市が開かれるようになった。
 
 「牽牛星」と「織姫星」が出会う七夕に。

017_640019_640035_640003_640 江戸のころから、この地」」では朝顔の栽培が盛んだったという。
 「入谷の田圃」と呼ばれる土壌が栽培に適しており、近くの御徒町に住む御家人たちが、内職として「珍品・奇品」の朝顔つくりを競っていた。

 嘉永・安政の頃には入谷在の植木師・成田屋留次郎が、江戸だけでなく上方の朝顔の珍品をふくめ「図説」を出版してPRしている。

040_640043_640 歌舞伎・成田屋のシンボルカラー、柿茶色の花が咲く、「団十郎」が今も評判なのは、そんな縁からか。
 私もまた、毎年「団十郎」一本を加えた4色咲きを求めている。

 「4色」は一鉢2000円、「団十郎のみ」3000円、小鉢1000円。
 今年も120店が軒を並べていた。

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July 06, 2013

2317.軽井沢周遊

029_640031_640 7月初頭の軽井沢、まだ梅雨寒のせいか別荘族は少なく、聞こえてくるのは鳥の声だけだった。

 軽井沢に別荘を持つ同郷の先輩に招かれて、故郷を同じくする仲間たちと、軽井沢から上信・上州を周遊した。

019_640020_640_2 案内してくれる地元のご夫妻二組を含め総勢14人、前夜の結団式!は解禁された鮎を肴に、信濃の名酒と薩摩の焼酎でエールを交換した。
 

040_640038_640  翌朝9時軽井沢を出発して上信越自動車道にのる。
  途中さくらんぼ園で休憩して11時前には、最初の目的地・小布施に着いた。

Img123_640Img122_640_2 小布施は、江戸の浮世絵師・葛飾北斎が晩年に逗留し、画業の集大成をはかった地。
 それを記念して40年ほど前に開館したのが「北斎館」、ここには祭り屋台の天井に描いた肉筆画など、画狂北斎を名乗った作品の多くがある。

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 この7月からは、富士山の世界遺産登録を記念して「富嶽三十六景」特別展が開催されていた。

 昼食は小布施名物の「栗ごはん」、栗羊羹を土産に買って次の目的地に。
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 飯綱・戸隠など上信五山を背に、志賀高原に向かう。
 湯田中・渋温泉を越えた先にあるのが地獄谷、温泉を楽しむ野猿と最近のテレビで有名になったところである。

053_640055_640056_640059_640 雪中の露天風呂で、顔を真っ赤にして茹っている猿の写真が有名だが、この日入浴中はたったの一匹だけだった。

069_640068_640 国道292号線に入って上州に向かう。
 県境の渋峠は霧、ここは日本の国道で最も高い2000m超のスカイライン。
 生憎の霧で白根山(2160m)は見えなかったが、午後3時半には最終目的地・草津温泉に着いた。
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073_640_2 「恋の病以外、効かぬ病はない」と言われる効能高い温泉、自然湧出量は日本一、すべて天然温泉のかけ流しである。
 五つの湯船を順に巡って、最後は45度を超える熱い湯船に身を沈める。
 伝統の入浴法「合わせ湯」を小一時間楽しみ、疲れを癒した。

033_640074_640 草津~北軽と浅間山麓を回って、午後6時前には軽井沢に。
 今宵は、リンゴで育った「信州牛」の焼肉で周遊の打ち上げ。
 名物「馬刺し」や山菜も登場して元気をつける。

006_640087_640 翌日は同郷の後輩が、パテシエを務めるケーキ屋さんで土産の購入。
 軽井沢銀座のすぐ近くにある「ル・レガラン」は、今別荘族に大人気のフランス菓子工場である。

 今回の旅はほとんど車だったが、朝の散策や地獄谷巡りなどで、歩数は14,295。

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July 04, 2013

2316.アフター・アース

Img121_640 前に紹介した「オブビリオン」は近未来を描いたSF映画だったが、こちらは1000年後の地球を舞台にした「超」SFの世界。
 宇宙船が遭難して不時着した惑星は、人類が抹消された地球だった。
 お話はそこから始まる。

344613_100x100_004 生存者は司令官と訓練のために乗せた息子の二人、その役を本物の親子であるウイル・スミスとジェイデン・スミスが演じているというのが、この映画のウリである。

 二人が親子の役を演じたのは、これが初めてではない。
 父のウイルがアカデミー賞主演男優賞にノミネイトされた「幸せのちから」('06)で、息子ジェイデンはデビューし子役らしからぬ演技で喝采を浴びた。

344613_100x100_008 今回は将軍である父親が、レンジャー志望の息子を徹底的に鍛え「親子の絆を再生する」というお話で、俳優としての演技をも鍛えようとしている様だ。

344613_100x100_001 監督が、これまた鬼才と言われるナイト・シャラマン。
 「シックス・センス」('99)でアカデミー賞・監督賞・脚本賞にノミネイトされ、一躍脚光を浴びたインド出身の監督である。
 その後も「サイン」('02)「ヴィレッジ」('04)と、特異なストーリーの作品を撮ってきたが、今回は初めてウイル・スミスの原案通りに真面な!SF映画を製作した。

344613_100x100_006 「オブリビオン」に比べて、1000年後の地球は人類が不在なだけで自然や動物たちは健在だ、というのが面白い。
 そのため中南米のジャングルやアメリカ国内の砂漠などでのロケが可能で、CGの使用は極力抑えられる。
 プロデューサーでもあるスミス夫妻としては、そのあたりを予算的に考えたのであろう。

344613_100x100_005 「昔、ハリウッドでは(スターである)親たちが、子供にスポーツカーなどをプレゼントしていた。しかし最近は、大作映画の主役をプレゼントするらしい」
 ニューヨ-ク・タイムスはこう皮肉っているが、ウイル・スミスの徹底した親バカぶりを見るのもまた一興である。

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July 02, 2013

2315.ファインド・アウト

Img103_640 「マンマ・ミーア!」('08)でブレイクして、「赤ずきん」('11)「レ・ミゼラブル」('13)など次々と話題作に出演しているアマンダ・セイフライドのために、ブラジルの監督エイトール・ダリアが撮ったB級作品。

345400_100x100_004 最初から最後までスリリングなサスペンス映画で、ヒロインのアマンダはほぼ全シーンに登場、迫真の演技の魅力をみせてくれる。

 今アメリカで社会問題となっている「ミッシング・パーソン」がテーマ。
 若い女性が次々と失踪している事件で、時々監禁された女性や埋められた遺体が見つかり、ニュースとなる。

345400_100x100_010 拉致されたがようやく脱出したヒロイン、警察や病院はそれを「妄想」と決めつけ強制入院させられる。
 今度は妹が失踪する。警察はまた彼女の「妄想」として取り合わない。
 ヒロインは妹の命を救うため、一人で事件を追う。

 事件はやはり「妄想」だったのか、それとも「事実」なのか、そして犯人が存在するのか、と観客を最後まで引っ張るのだ。

 たった一人の身内を失うかもしれない切迫感、護身用に持つ銃を誤解され警察に追われる危機感、見えない犯人に対する恐怖感、ハリウッドデビューのダリア監督はオーソドックに描いていく。
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 製作費がおさえられているせいか、大物俳優は登場しない。
 ヒロイン以外はテレビなどで活躍する中堅俳優たちである。

345400_100x100_009_3 妹エミリー・ウイッカーシャム(「リメンバー・ミー」'10)、刑事ダニエル・サンジャンタ(「ダークナイト・ライジング」'12)、刑事ウエス・ベントリー(「ハンガー・ゲーム」'12)、妹の恋人セバスチャン・スタン(「ブラック・スワン」'10)、そして友人にジェニファー・カーペンター。

345400_100x100_008_2 同じように撮影も経費を節約してオールロケ。
 オレゴン州ポートランドの市街と、周囲に広がるフォレストパークを巧みに生かした。
 10年ほど前に仕事で滞在した街なので懐かしい光景も多く、一時間半のノンストップサスペンスを楽しんだ。

 原題は「GONE」、邦題「ファインド・アウト」よりも意味深長だ。

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