« 2385.ある愛へと続く旅 | Main | 2387.悪の法則 »

November 21, 2013

2386.ターナー展

Img304_640_2 イギリス絵画の巨匠として、ヨーロッパ絵画史にその名を残すジョセフ・マロード・ウイリアム・ターナー(1775~1851)。

 ロマン主義を代表する彼の風景画は、後のモネらフランス印象派の画家たちにも大きな影響を残している。

 10代の頃からイギリス国内の風土や名所旧跡を水彩で描き、やがて文学や神話、実際の出来事を題材に油彩による風景画の可能性を追求、晩年には「光と大気」をカンヴァスの上に描き出していった。

002_640 そのターナーの大回顧展が、はじめて上野の東京都美術館で開かれている。
 作品は、ターナーの風景画の世界最大のコレクションを誇る、ロンドン・テート美術館の所蔵品。

 300点の油彩画の中から名品38点、2万点を数える水彩画や素描の中からターナーの栄光の軌跡をたどる70点あまりが、「初期」から「晩年」までの10のパートで展示されている。

 ターナー作品の見どころをを分類すると、以下の五つに分けられる。

Thcabilbx12_640 〈「絵になる英国」を探して〉
 10代半ばから度々国内旅行に出かけたターナー、「絵になる風景」を探して描いた水彩画。やがて20代に入ると単なる風光明媚を超え、自然の持つ壮大さを油彩で描いていく。(左の作品は「バターミア湖・にわか雨」1798年)

Img309_640_2 〈「海洋国家」の精神を誇る〉
 ターナーにとって「海」は、生涯にわたって重要なテーマ。躍動感あふれる波の表現、風をはらんで進む船、多くの作品の中から今回は20点ちかくが並ぶ。(右の作品は「スピットヘッド」1808年)

Img306_640 〈イタリアに魅せられて〉
 40代になってからターナーは、度々イタリアを旅した。古代の歴史、ルネサンスの文化、彼にとってここは「憧れの地」だった。
 晩年には、とくにヴェネチアを愛し数多くの油彩や水彩スケッチを残している。(左の作品は「ヴェネチア、嘆きの橋」1840年)

Img308_640 〈光と大気を描く〉
 50歳を超えたターナーがたどり着いた最大のテーマが、「光と大気」だった。
 もやがかかった大気の中に、形あるものが溶け込んでいく。鮮やかな色彩と光で満ちた作品は、高い評価を得ている。(右の作品は「レグルス」1837年加筆)

Thca5msrl41_640 〈大自然への畏怖〉
 雄大な自然の景観や、その自然が引き起こす災厄に畏怖や敬意をみたロマン主義の画家たち。
 ターナーの風景画の中にも、嵐の海やアルプスの雪崩など峻厳な自然が描かれたものは多い。(左の作品は「グリゾン州の雪崩」1910年)

Img307_640_2
 そして今回の目玉になる作品が、右の「チャイルド・ハロルドの巡礼ーイタリア」。
 

 ブログ2303号「夏目漱石の美術世界展」(13.6.6)でも紹介したが、イギリスに留学した漱石が愛した、「ターナーの美」を代表する作品である。

 横幅約2.5mもあるカンバスのなかでひときわ目立つのが、傘のように枝を広げた松だ。
 「『あの松を見給え、幹が真直ぐで、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね』と赤シャツが野だにいう・・・・・。」(夏目漱石「坊ちゃん」から)

Th3_640 松山市の名勝「四十島」の松を眺める、教頭と画教師との会話。今この島は「ターナー島」と呼ばれる。
 一説には「金枝」という作品がモデルともいわれるが、バイロンの詩に霊感を得て描いた大作だけに、日本の文豪の心にも深く刻まれたようだ。

001 昨日の美術館、第3水曜日ということで都民のシニアは観覧料が無料。夕方を狙って出かけたが10分待ちの盛況だった。

 「ターナー展」は12月18日まで上野公園・東京都美術館で、観覧料は1600円。
 

|

« 2385.ある愛へと続く旅 | Main | 2387.悪の法則 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/93334/58610865

Listed below are links to weblogs that reference 2386.ターナー展:

« 2385.ある愛へと続く旅 | Main | 2387.悪の法則 »