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November 25, 2013

2388.清須会議

Img300_640 下の写真は、三谷幸喜原作・脚本・監督作品「清須会議」のチラシ。

 一段目は、左から織田信長(篠井英介)、弟・信包(伊勢谷友介)、次男・信雄(妻夫木聡)、三男・信孝(坂東巳之助)。
 「本能寺の変」で信長と長男・信忠(中村勘九郎)を失った後の、跡目相続をめぐる騒動が今回の映画のテーマ。
 うつけ者の信雄か、聡明だが出自に問題のある信孝か。

Img299_640_2 二段目は、信長の妹・お市様(鈴木京香)、筆頭家老・柴田勝家(役所広司)、信長の仇を討った羽柴秀吉(大泉洋)、秀吉の妻・寧(中谷美紀)。
 お市様にぞっこんの勝家と秀吉の主導権争いが、今回の映画のストーリー。
 秀吉に夫と子を殺されたお市が、勝家を上手く抱き込んで秀吉復讐をたくらむ。

345033_100x100_009 三段目は、勝家の右腕・前田利家(浅野忠信)、打倒秀吉の丹羽長秀(小日向文代)、日和見家老・池田恒興(佐藤浩市)、秀吉の軍師・黒田官兵衛(寺島進)。
 勝家・秀吉・長秀・恒興の織田家四天王による5日間の会議の駆け引きが140分の映画の流れ。
 これは、会議という名の「戦(いくさ)」である。

345033_100x100_008 そして四段目、織田家家臣・前田玄以(でんでん)、秀吉の家臣・堀秀政(松山ケンイチ)、故信忠の正室・松姫(剛力彩芽)、三日天下の明智光秀(浅野和之)。
 ドンデン返しは歴史が事実として語っているが、武田信玄の息女・松姫と信忠との子・三法師(津島美羽)の存在が映画のキーポイント。
 かくして時代の覇者・信長と信玄のDNAは、江戸時代を経て現代まで続いているのだ。

345033_100x100_006 今年の東京国際映画祭クロージング作品として上映され、話題となった三谷幸喜の「清須会議」だが、「ザ・マジックアワー」('08)「ステキな金縛り」('10)等これまでの彼の作品に比べて、喜劇性は薄い。
 思いのほか真面目に綴った歴史劇と言える。

345033_100x100_005 しかし既に史実として明らかな人物像やエピソードを、三谷なりの新しい解釈を加えたのはさすがだ。

 正直者で無骨、一本気の武将だが大局が読めない勝家。
 皆を楽しませるムードメーカーだが、実は冷酷で腹黒い秀吉。
 冷静沈着、機をみるのが上手い長秀。
 
 二股膏薬で、利に聡い恒興。

345033_100x100_010 結局「清須会議」の4人の出席者のうち、江戸時代までお家が安泰だったのは後者の二人だけ、そこに今の「政治家」の顔をみる。
 作品公開前に三谷は、有楽町で政治家の「街頭演説」をパロディにした映画宣伝を行ったが、「人間喜劇」を自ら演じたのだろう。

345033_100x100_003 もうひとつ、この作品の「人間喜劇」。
 結局「歴史を動かしたのは彼女たちだった」と、三谷はお市と松姫の存在で女の怖さを見せる。

 その先の歴史はご存知の通り。

Img121220 お市と再婚した勝家は、翌年「賤ヶ岳の戦い」で秀吉軍に敗れ自刃。お市もまた、先夫・浅井長政との3人の娘だけを逃して自殺。
 勝者・秀吉は、その長女・茶々を側室にしてようやく「お市様」への想いを遂げる。
 しかし、お市の血を引く秀吉の子・秀頼もまた歴史の渦の中に消えていった。

 総勢26名の豪華キャスト、三谷による新しい歴史エンタテインメントの誕生である。

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