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December 31, 2013

2407.2013・忘備録

003_640_2 31日午後4時30分の夕景。
 今年一年を振り返り新しい年への希望を込めて、例年通りにデータをまとめる。
(写真は、今年一年撮りためた〈テラスから見る夕景〉の一部)

Imgp0572_640 健康維持のため始めた「スイミング」は、36年を超える。近所の小学校のプールが一般に開放されたので時々通ったが、40才を機にスケジュールを決めて泳ぐようになった。
 リタイア後は、日曜日を除き毎朝隣の区営プールで、1キロ泳いでいる。
 今年泳いだ距離は281㎞(昨年比ー3)、腰を痛めて1週間休んだがほぼ予定通り。
 記録を取り始めてからの累計は4,595㎞、アメリカ西海岸まであと4225k。

Imgp0574_640 「ウオーキング」は、5年前からひとまく会の「鎌倉ウオーキング」に参加。
 寺社巡りだけでなく尾根の古道やハイキングコースも歩く。
 今年は6回参加、他に正月の「七福神めぐり」や「下町散策」を加えると計10回(-2)、歩数計は160,184(-21,096)を指している。

Imgp0579_640 「宿泊旅行」は、5回15日と昨年より3日多い。友人の別荘に招かれたり、娘の嫁ぎ先など長野県に3回出かけた。
 遠出が少し億劫になってきたのか。

 「映画鑑賞」は、新作が107本(-27)。映像関係の業界団体から身を引いたためか、招待券の数も少なくなり義理で見ることがなくなった。
 時々「ひとまく名画鑑賞会」にも参加しているが、2本立ては腰が痛くなるので遠慮するようになった。

Imgp0599_640 歌舞伎などの「古典芸能鑑賞」は、能・狂言をふくめて昨年と同じ5回。区の「敬老の日招待」で、新装なった歌舞伎座に出かけた。
 ほかに演劇と音楽会が、1回ずつ。

 「美術鑑賞」は、友人・知人の個展・公募展をふくめこのブログで紹介しただけでも29回(+2)になる。
 美術展を主催する会社の友人たちから、招待券を頂くので助かる。
 しかし今年は、ネットによる「開館前鑑賞会」の応募には全て外れてしまった。

Imgp1909_640 「読書」は、68冊(-84)冊と激減した。文庫本による「時代小説」をほぼ読み終え、今年は分厚いルポルタージュものや、海外のジャーナリストによる政治・経済関係の著作が増えたためである。
 その分野の国内著作本は、あまり読む気がしない。

Imgp1904_640 そして「夜の在宅率」は旅行や観劇の日を除くと89%、ほぼ昨年並みの「家飲み」となった。
 友人・知人たちとの「会合」も、ランチが多くなったのは年齢を考えると当たり前。若い人たちとの「飲み会」でも、私だけは21時を門限として失礼している。

 みんさん、「よいお年を」。

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December 30, 2013

2406.歳末・築地

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 築地中央卸市場(場内)は、今日まで。
 今年最後の買い出しは、いつものように「プロの時間」が終わる9時ちょっと過ぎに仲卸の店を覗く。

 昨年は雨だったが、今年は晴天。小売りもする場内の一部は、けっこう賑わっている。

010_640006_640009_640011_640 例年に比べると、全般的に値が張る。
 ただ、マグロだけは平年並みだった。

 それでも最高級品の「大間の生マグロ」は、キロ2万を軽く超える。
 今年の初セリで、一本1億円を超えたあの「大間」である。

 一方、鹿児島・奄美の「生本マグロ(養殖)」は入荷が増えてきたせいか、「中トロ」で1㌔7000円~と手に入りやすい。
 モロッコあたりの冷凍ものだったら、5000円~程度。
 ただこれがスーパーに並ぶと、倍以上の値段になる。

021_640020_640 場外に出ると、身動きできないほどの混雑ぶり。
 欧米系の家族連れや、若いカップルが目につく。

 路地の店は諦めて、予約しておいた「大定」の卵焼きだけを受け取って帰宅した。

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December 29, 2013

2405.ドキュメンタリー映画2013

 今年1年、10本を超えるドキュメンタリー映画を見た。ただ元同業者なので、一本一本紹介するとついクールに批評してしまう。
 そこで印象に残った作品を、まとめて紹介しておく。
 まず家族・自然・環境をテーマにした日本作品を3本。

Img336_640 「ベニシアさんの四季の庭」

 最後の職場となった制作会社の作品。
 京都の大原に住むイギリス人女性ベニシア・スタンリー・スミスさんの日々の暮らしを追ったドキュメントである。
 テレビ番組で紹介され多くの視聴者から感動の声が上がり、映画化された。
 離婚や子どもの病気、夫の事故などいくつもの試練を乗りこえてきた彼女が癒されたもの、自然と調和された彼女の暮らしが淡々とえがかれていく。

Img338_640Img337_640_2「ある精肉店のはなし」

 牛の飼育から屠畜解体、そして「いのち」が「いのち」を生かしていくお話。
 関西のある精肉屋さん一家4人の日常の中に、カメラはひっそりと包み込まれて記録されていく。
 「祝の島(ほうりのしま)」を撮った纐纈あや監督の2作目。優しく優しく描かれた作品。

 「天に栄える村」

 福島第一原発から70キロ離れた小さな村「天栄」。日本一おいしい米づくりを目指してきた里山の人々に放射能は襲い掛かり、田畑は汚染された。
 しかし天栄の里人は、日本一安全な米作りにその全てをかけて奮闘する。
 カメラはこの村に腰を据え、未曽有うの環境破壊を乗り越えようとする姿を描いていく。

 外国映画はアーチストたちのドキュメント、年末集中的に見た3本。

Img339_640Img340_640 「愛しのフリーダ」

 50年ほど前ビートルズに出会った少女、その青春は「ビートルズを愛し、ビートルズに愛された」日々だった。
 フリーダ・ケリー、彼らの秘書そしてファンクラブのまとめ役、偉大なバンドを陰で支えた彼女のインタビューを中心に、「ザ・ビートルズ」の真の姿が描かれる。

 「バックコーラスの歌姫たち」

 マイケル・ジャクソンやデヴィッド・ボウイなど、音楽界のトップスターたちを陰で支えてきたバックコーラスの歌姫たち。
 何時の日か舞台中央に立って、ソロデビューを目指す彼女たちの夢、時には挫けながらも歌うことに喜びと誇りをもって、日々のステージを務める。
 ビッグスターたちのアーカイブ映像も交え、歌姫たちの日々が綴られる。

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 「リヴ&イングマール~ある愛の風景」

 黒沢明・フェリーニと並ぶ世界の巨匠イングマール・ベルイマン、「不良少女モニカ」('52)「野いちご」('57)「処女の泉」('60)と、彼の名作は数えきれない。
 そのベルイマンが愛したミューズが、伝説的な大女優リヴ・ウルマンである。
 「仮面/ペルソナ」('66)「秋のソナタ」('78)など、コンビとして撮った傑作は今も印象に残っている。
 公私ともパートナーだった二人の絆が、リブへのインタビューと過去の作品で綴られていくドキュメント・ラブストーリー。

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December 27, 2013

2404.利休にたずねよ

Img327_640 稀代の茶人・千利休の正体に迫った、山本兼一の同名小説の映画化。
 月刊誌「歴史街道」(PHP研究所)に、2006年から2年間連載された長篇小説で、第140回直木賞を受賞した。

 小説は「晩年の利休が何故、細川らのとりなしを振り切り、敢えて秀吉と対立し、切腹したのか」を描きながら、「美意識」の極限に迫る彼の姿をミステリーとして解いていく。

 メガホンは、同じ山本の小説「火天の城」、安土城を築いた宮大工を描いた田中光敏が執った。

Img328_640 映画は、千利休(市川海老蔵)切腹の日直前から始まる。
 妻・宗恩(中谷美紀)に最後の茶を点てる利休、そして物語は20年前にさかのぼる。

 利休の美意識に惚れ込んだ戦国の覇者・織田信長(伊勢谷友介)、その美意識に嫉妬と恐怖をいだく豊臣秀吉(大森南朋)。
 そして話は、若き放蕩時代の与四郎(利休の幼名)へとさかのぼっていく。
 原作者は、そこにフィクションとして一人の「異国の女」を配することで、今もなお「謎」とされている利休の死に、ミステリックな答えを用意する。

345694_100x100_002 映画の見どころはいくつもある。

 10代から70歳間際までを演じきった歌舞伎役者・市川海老蔵、その茶事の所作は流石である。

 利休の茶の師匠・武野紹鷗(たけのじょうほう)を演じた市川団十郎、映画での親子競演は最初にしてこれが最後となった。

345694_100x100_010 東映京都撮影所美術チームの手によるセットも、見事だ。
 有名な「北野大茶会」のきらびやかさ、秀吉の命で利休が作った二畳の茶室「待庵」のレプリカ、「聚楽第」の黄金の茶室、茶器・掛け軸・生け花・庭の花々・・・・。
 そこには、楽焼初代・長次郎の作った利休愛用の本物の「茶碗」も登場する。

345694_100x100_011 製作が東映・京都だけに、ロケーションにも事欠かない。
 三井寺・大徳寺・新護寺・南禅寺・彦根城・・・・と、国宝級の寺社・城が物語の背景となる。
 日本人の多くが訪ねた経験がある場所だけに、観客は400年の昔に浸る事が出来るのだ。

345694_100x100_005 茶道といえば、50代の頃に15代宗室に招かれて裏千家の茶会に出席したことがある。
 静かな「今日庵」の茶室で、濃茶~薄茶に続いて会席料理をいただいた。

200pxdaitokuji_kyoto03ns4272 帰途、紫野の大徳寺聚光院に立ち寄り千利休の墓参をしたことを思い出す。
 右の写真はその時撮った「三門(金毛閣)、映画でもエピソードの一つとして登場するが、この楼には当時千利休の像があり、その下を潜った秀吉の怒りをかったと伝えられる。

 また山崎でも、国宝「待庵」の二畳の茶室をにじり口から覗く事も経験した。 

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December 25, 2013

2403.田中一村作品集

001_640 旧知の大矢鞆音君から、「田中一村作品集」が送られてきた。〈奄美群島日本復帰60周年〉を記念して、決定版として刊行された画集である。
 これまでの作品集に、あらたに146点を加えた名作228点が収載されている。

 大矢君は、「黒潮の画譜・異端の画家」とよばれた田中一村と30年近く関わり、画集の出版や展覧会の企画、記念美術館の創設と作品の収集を担ってきた美術評論家。
 今回も、作品集の監修・解説にあたった。

028_640 田中一村は、1908(明治41)年栃木に生まれた日本画家。
 彫刻家だった父親の血を引いたのか、神童と呼ばれ幼少の頃から絵に親しむ。

009_640 左の絵は7歳の時描いた作品で、児童画展天皇賞を受賞したもの。
 10代で南画を学び東京美術学校に入学するが2か月で退学し、南画とも決別して独自の世界に進む。
 さらに中央画壇からからも離れ、やがて忘れ去られていく。

014_640 その彼が奄美に現れたのは、1958(昭和33)年50歳の時だった。
 「5年働いて3年間描き、2年働いて費用をつくり個展をひらく」と紡工場で、染色工として働き始めるのである。
 そして18年後、奄美で生涯を終えた。

003_640 彼の名が全国的に知られるようになったのが、30年前に放送されたNHK「日曜美術館・黒潮の画譜~異端の画家田中一村~」だった。
 テレビで紹介された彼の作品、そこにはアダンの木やビロウ樹・クワズイモなど亜熱帯の珍しい植生を描いた花鳥画が並び、人々を一気に魅了したのだ。

013_640012_640 監修にあたった大矢君は、解説の中でこう述べる。

 「奄美の風土が一村に提供したものは、『見える世界の奥に見えない世界の存在を感じさせる自然がある』ということである。自然に畏敬の念を抱いてきた日本の文化、伝統的日本画の底流にあるこの感覚はまた一村のものであった。つまり、一村作品は花鳥画の伝統的な本流をベースとして、その上に彼の独自性を開花させたのである。

030_640 『墨画の近代化』という明確な目標をもって取り組んだ製作活動は、『アダンの海辺』『不喰芋と蘇鉄』において結実を見た。そして一村自身がこの二作品を『譲ることは出来ない』としたのも、『見えないものを描く」ことに成功したからではないか。」

 今日、12月25日は奄美群島が日本に復帰して60年になる。

 大矢鞆音監修・解説「田中一村作品集」(NHK出版刊)、定価:本体3600円+税

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December 23, 2013

2402.国立歌舞伎

Img333_640 昨年もそうだったが、国立劇場の12月公演は中村吉右衛門を中心に配役が組まれる。
 今年は「知られざる忠臣蔵」が三演目上演されたが、「弥作の鎌腹」で百姓弥作、歌舞伎舞踊「忠臣蔵形容画合」で大星由良之介と全く異なる役に吉右衛門が登場した。

Thca4x5j232 連れ合いが古くからの吉右衛門のフアンなので、今年もお供で国立劇場・大劇場に出かけた。

 赤穂浪士の討ち入りを描く「忠臣蔵」の世界には、代表作「仮名手本忠臣蔵」(全十一段)をはじめ、新歌舞伎「元禄忠臣蔵」(全十編)、外伝「松浦の太鼓」「四谷怪談」など数々の作品があり、それぞれ趣を異にしながら多くのフアンを楽しませてくれる。

230pxjapanese_crest_futatsudomoe_1_ 今回の国立劇場では、その中からこれまで上演の機会の少なかった新作・古典を選りすぐり、「知られざる忠臣蔵」と銘打った。

 最初の演目は成澤昌茂が書いた新歌舞伎「主税と右衛門七~討入前夜~」。
 赤穂浪士の中で最も若い二人、内蔵助の子で15歳の大石主税(ちから)と足軽の子・矢頭右衛門七(えもしち)の友情と煩悩の苦しみを描く。
 なかでも主税が隠れ住んでいた、日本橋の呉服屋の娘と右衛門七との切ない恋が観客の涙を誘う。

 出演は右衛門七・中村歌昇(播磨屋)、主税・中村隼人(萬屋)、娘お美津・中村米吉(播磨屋)。

Img334_640_2 二演目目は、「忠臣蔵外伝物」の代表作といわれる「弥作の鎌腹」。
 1791(寛政3)年に初演された、奈河七五三(ながわしめすけ)作「いろは仮名四十七訓(かなしじゅうしちもじ)」の一場面である。

 四十七士のひとり千崎弥五郎の兄で、百姓の弥作が主人公。
 弟から固く口止めされていた討ち入りの計画を、止む無く代官に漏らしてしまう正直者の弥作、訴えると騒ぐ代官をついに猟銃で殺し自らも鎌で腹を切る。
 つましいながらも幸せな日々を送っていた百姓が、思わぬことから侍顔負けの壮絶な死をとげる悲劇。

 初代中村吉右衛門の当たり役を集めた「秀山十種の内」のひとつで、当代の吉右衛門が初役で臨む。
 出演は他に、千崎弥五郎・中村又五郎(播磨屋)、女房おかよ・中村芝雀(京屋)。

004_2 最後は歌舞伎舞踊「忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)」。
 幕末から明治にかけての劇作家の巨匠・河竹黙阿弥が、「仮名手本忠臣蔵」の大序から七段目までをパロディ化した、ユーモアたっぷりの舞踊劇である。

 滑稽な筋、早変わり、人形振り、一人二役、三人上戸、盆踊りなど歌舞伎の面白さを随所に入れて話は進む。
 曲もまた、竹本連中、清元連中、長唄連中と、素早い舞台替わりのなかで交代して演奏していく。

Kabukiza_201312bf_2 上演は60年ぶりとのことで、中村吉右衛門率いる「播磨屋」はもとより、「萬屋」「京屋」「加賀屋」「「天王寺屋」と一座総出演の豪華な舞台だった。
 最後は「七段目 祇園一力茶屋の場」、吉右衛門扮する大星由良之介がきちっと締める。

 12月14日は、「赤穂浪士吉良邸討ち入り」の日。
 歌舞伎座でも「通し狂言・仮名手本忠臣蔵」が大序から七段目、そして十一段目の討ち入りまでが上演されている。
 また映画でも、ハリウッド版赤穂浪士「47RONIN」が公開されている。

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December 21, 2013

2401.観世流・能

190pxnoh_a_3 ユネスコの世界無形文化遺産に指定されている「能楽」、半年ぶりの観賞会である。
 毎回招いてくださるのは東大観世会出身の元日銀マン、今も観世流能楽師として公演に出演されている。

Thcaji79p3_2  今回鑑賞したのは「研究会能組」、若い世代を育てるために毎月開催されている催しもので、観世流のトップ能楽師たちが演ずる。
 この冬最高の寒さだったが、渋谷・観世能楽堂は開場前から長い行列だった。

 能楽は、演じられるタイトルを「曲目」といい、構成は「能」「狂言」「仕舞」が組み合わされる。
 歌舞伎と異なり、演劇より音楽に近いからだろう。

Th_2 その「曲目」、最初は能「巴」。

 平安末期の武将・木曽義仲の愛妾巴御前の「霊」が主人公で、能楽では唯一女性が主役の修羅能である。

 舞台は近江の国・粟津原。鎌倉方の追討の将・九郎義経に追われ、義仲が自害した場所。
 木曽から都に上る僧(ワキ)が出会った女(前シテ)が実は巴御前の霊、頼まれて義仲の「亡き跡」を弔っていると、巴御前(後シテ)が甲冑姿で現れて合戦での最後の様子を語る、というストーリーになる。

 巴御前は義仲と共に戦いたかったのだが、義仲の命により鎌倉方の軍勢を正面突破して木曽の里に逃げ延びる。
 女と道連れで死んだのでは汚名を残すとの義仲の思いだったのだが、巴御前にとってそれが心残り、その執心が「霊」としてこの地に現れたのだ。

2 「平家物語」巻の九、「木曽の最後」を基にした能で、戦場を駆け巡る女武者というより、一途に義仲を慕い愛した一人の女を描いている。

 話は逸れるが、巴御前はその後捕えられて鎌倉に送られる。そして源頼朝の将・和田義盛に嫁ぎ朝比奈三郎義秀を生む。
 しかし頼朝死後、義秀は北条氏に疎まれ、父とともに討たれる。
 嘆き悲しんだ巴御前は尼となり、越後に隠棲し92歳で没したという。

 70分の能「巴」、途中で「狂言」による解説が入るという構成で、主役(シテ)は観世流中堅の能楽師・清水義也が務めた。

 一曲目を舞った能楽師が静かに舞台を去ったあとは、必ず「狂言」が登場する。
 題は「口真似」、太郎冠者を人間国宝の狂言師・野村万作が演じた。
 そして「仕舞」は、観世流二十六世宗家・観世清和による「梅」で前半の公演は終わった。

Img335_640_2 今年は観世流の宗祖、観阿弥生誕680年の年。また「風姿花伝」を著し、今日に続く流派の基礎を築いた二世・世阿弥生誕650年という区切りの年だった。
 観世会では、それを記念して渋谷・観世能楽堂では様々な催しが行われた。

 なお、宗家直門の同人による勉強の場として50年前から続けられた「研究会」も、メンバーが観世会の中心的役割を担うようになったので、今回で解散することになった。
 また「観世能楽堂」も3年後には銀座に移転して、若者たちをにもっと「能楽」を親しんで貰おうと考えている。
 銀座は江戸時代、幕府直属の能役者たちが屋敷を構えていた場所だという。

 「研究会能組」後半は、所要のために退席する。

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December 19, 2013

2400.グリフィン家のウエディングノート

Img326_640 大ヒットした映画「最高の人生の見つけ方」('07)を書いて注目を集めた、脚本家のジャスティン・ザッカム。 
 今回は、監督も買って出て撮ったのが「グリフィン家のウエディングノート」、豪華俳優陣による下ネタ満載のH(ヒューマン&エッチ)コメディである。

 タイトルにあるグリフィン家の次男の結婚式、取り仕切るパパ(ロバート・デ・ニーロ)のもとに10年ぶりに集まったがファミリーたちは、とても複雑。

346544_100x100_004 10年前に熟年離婚したママ(ダイアン・キートン)と現在のパパの愛人(スーザン・サランドン)は昔からの友人関係。
 不妊が原因で夫と不和状態の姉さんは弁護士(キャサリン・ハイグル)、モテルはずの医師の兄さん(トフアー・グレイス)はなぜかまだ童貞。

346544_100x100_002 花婿の私(ベン・バーンズ)、実はコロンビア生まれでこの家の養子。結婚式には敬虔なカソリック教徒のホントの母が、セクシーな妹を連れてやってくる。
 そして結婚に反対の花嫁(アマンダ・セイフライド)の両親も、何かワケアリとくる。

346544_100x100_007_2 仲を取り持つ神父(ロビン・ウイリアムズ)だってアル中療養中だから、式までの3日間に何が起こるかわからない。

 「不完全家族」が、やがて見つける「家族のかたち」がテーマ。
 もちろん映画は、ウエディングマーチとともに「ハッピーエンド」となる。

 しかし、熟年離婚、浮気、友人に寝取られる妻、過去の不倫や同性愛、貧しい国から迎える養子縁組、アル中にヤク中などなど、アメリカの現実をもキチンと描く。
 ザッカム監督は、それを下ネタとユーモアで包み込む。

346544_100x100_006 作品を支えているのが、平均年齢66歳の熟年4大スター、4人合わせるとアカデミー賞20回ノミネイト、オスカー受賞は5回になる。
 そのベテランたちの実生活とストーリーがまた、オーバーラップするのでくすぐったい。

346544_100x100_003 先々週の「マラヴィータ」では元マフィアのドンだったが、今回は破天荒な彫刻家でその名もドン。
 「タクシー・ドライバー」('76)で共演したダイアン・アボットと結婚したが25年前に離婚、モデルの愛人をパスして11年後に女優のグレイス・ハイタワーと結婚したが、2年後には別れるの別れないので揉めている。
 しかし、一昨年赤んぼが生まれたというから不思議だ。

 愛人役のスーザン・サランドンも「バツいち」で、現在はティム・ロビンスと同棲中。
 元妻のダイアン・キートンはウディ・アレンの元愛人として有名だが、別れた後はウオーレン・ベイティ、ジャック・ニコルソン、アル・パチーノと、噂は絶えない。

346544_100x100_005_3 そしてアル中の神父様は、2年前に3回目の結婚を発表したロビン・ウイリアムズ。
 ご本人もアル中・ドラッグ中毒で7年前には施設で療養していた。

 それぞれが私生活の経験を見事に演技に活かし、作品を盛り上げているというわけだ。

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December 17, 2013

2399.遥かなる勝利へ

51mnrrpqm9l__sl160__3 ロシアを代表する詩人・作家として知られるセルゲイ・ミハルコフ、その次男で映画監督のニキータも68歳になる。
 その彼が19年前に撮った「太陽に灼れて」は、カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞、アカデミー賞でも外国語映画賞を受賞した傑作だった。

 スターリン大粛清の時代を背景に、革命の英雄とその妻、妻の恋人だったKGB幹部の、狂おしいほど切ない愛憎の人間ドラマ。
 監督自らも「革命の英雄」コトフ大佐として出演、愛娘ナージャがその名で娘を演じて観客の感涙をしぼった。

517jzkdrvkl__sl160__2 そして16年後、スターリンによって粛清された父親の生存を信じ、従軍看護婦として戦場に飛び込む娘を主人公に、ミハルコフは第2部「戦火のナージャ」を撮った。

Img325_640_2 今回の「遥かなる勝利へ」は、「太陽に灼れて」3部作の最終章。
 第2部とほぼ同時に製作して2年前にロシアで公開、日本ではようやく先月末に封切られた。

 このヒューマン・スペシャル3部作は、ロシア革命から独ソ戦争までを描いた大河ドラマ。
 戦争の残酷さ、生への渇望と愛の尊さ、なかでも運命に翻弄されつつも必死に生きる父と娘の姿が、感動を呼ぶ。

346623_100x100_004 第3部は、ドイツ軍の防衛拠点「要塞」をめぐる攻防から始まる。
 「犯罪者」を動員した懲罰部隊を人身御供にして要塞を攻めるソ連軍、無能な指揮官のもと犠牲者の屍は日ごと増えていく。
 兵士たちが辿りついた塹壕には、スターリンに粛清された「革命の英雄」が懲罰部隊の一兵卒として潜んでいた。

346623_100x100_005 同じ戦場で傷ついた兵士たちを後方に輸送する看護兵の中には、父の行方を捜す娘の姿も。
 そしてその戦場に、父親を反逆者としてスターリンに売った母親の元恋人、KGB幹部も姿を現した。

 
346623_100x100_009 
 出演者は、コトフ大佐のニキータ・ミハルコフをはじめ、娘のナージャ・ミハルコフ、KGB幹部のオレグ・メンシコフ(ロシアのトップスター)、妻のヴィクトリア・トルスガノフ(ロシアのトップ女優)の4人は1~3部に同じ役で出演。
 あどけなかった3歳のナージャが、20歳のキリリとした美人に成長しているのが時の流れを醸し出す。

346623_100x100_001 父と娘がついに出逢った衝撃的なラストシーン、ミハルコフの盟友・エドアルド・アルテミエフの電子音楽が場景をドラマチックに盛り上げる。
 ロシア映画史上最大の製作費をかけた超大作、苛烈を極めた戦場シーンは「プライベート・ライアン」を思い浮かべる。

 蛇足になるが、監督の兄アンドレイ・ミハルコフも映画監督。80年代にハリウッドに移住、黒沢明監督が原案を書いた「暴走列車('85)」でメガホンを執っている。

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December 15, 2013

2398.太陽のマルシェ

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 隣の街・勝どきで毎月2日間だけ開かれる「太陽のマルシェ」。
 日本全国から集まったおよそ100の店が並ぶ。

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 無農薬や有機肥料だけで栽培した新鮮な野菜や果物、手をかけて守り継がれた伝統野菜、体に優しいオーガニックなパンやお菓子、紅茶や・はちみつ・ワインなどが並ぶ。

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 今月は「九州の野菜と花」が特集で、懐かしい種子島の「安納芋」も並んでいた。

010_640060_640063_640062_640 毎月覗いているが、今回は有機肥料で育てたレタスとブロッコリー、有名な甲府「サドヤ」のワイン、そしてビルさんの手作り「ぐんま松井のチーズパン」を買った。

 日本最大級の市場・勝どきの「太陽のマルシェ」、今日は午後4時まで。地下鉄・大江戸線「勝どき」駅前の月島第2児童公園で。
 毎月第土・日曜日に開催されている。

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December 13, 2013

2397.REDリターンズ

Img324_640 タイトルの「RED」は、Retired/Extremely/Dengerous/の略。日本語では、R(リタイア)・E(延長)・D(団)の略とチラシでPRする。

 かってCIAやMI6で一流のエージェントだった「ジジ・ババ」が、カムバックして世界を救うお話。つまり、シルバー・ノンストップ・アクション映画である。
 3年前に映画「RED/レッド」で登場、大ヒットしたので「リターンズ」した。

346408_100x100_002 メンバーは、前回通りのベテラン俳優たちである。

 元CIA超極秘任務専門エージェント、引退後はぞっこんの彼女と田舎で年金暮らしをしているが、ぼやきながらカムバックするブルース・ウイルス58歳。
 その彼をいつも引っ張り出すのが、元CIA仲間の爆弾おじさんジョン・マルコヴィッチ60歳。

346408_100x100_004 元MI6からは、引退後も「殺し」のアルバイトに精出す名スナイパーのヘレン・ミレン68歳が参加。
 そしてブルースさんと熱い仲の元OL、メアリー=ルイーズ・パーカー49歳もくっ付いてきての4人組となる。
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 今回のゲストスターは3人、REDとは味方になったり敵になったりと最後まで絡む面々である。

 レクター博士と同じく精神病院に32年間監禁されていた天才物理学者、「死のダーウイン」ことアンソニー・ホプキンス76歳。
 拷問が得意なロシアの美人スパイはキャサリン・ゼタ=ジョーンズ44歳、ブルースさんとは昔ワケありだったので、現恋人と火花を散らす。

 さらに、超セレブにして「世界一の殺し屋」のイ・ビョンホン43歳もやってくる。ブルースさんとはCIA時代仲間だったが、彼に裏切られたと刃をむけるのだ。

346408_100x100_005 こう紹介したのでストーリーは省くが、平均年齢57歳と出演者が揃って中高年なのに、アクションは他のハリウッド映画に負けない。
 銃撃戦・爆弾・毒薬・陰謀・殴り合い・回し蹴り、そしてカーチェイスと全て揃っている。

346408_100x100_003 こんな作品だから感動など求めず、笑い転げて時間をつぶすには最高の映画であろう。
 「若造に世界が救えるか!!」がキャッチフレーズだから、我々老人にとっては溜飲が下がる映画でもある。

 中高齢者で満員の「母の身終い」と、どちらを見ようかと迷ったが、こっちが正解だったようだ。

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December 11, 2013

2396.キャプテン・フィリップス

Img323_640 2009年4月、ソマリア沖で発生した人質事件。援助物資5000トンを積んでケニアに向かっていたアメリカのコンテナ船が、海賊に乗っ取られた。
 20人の乗組員を救うために、人質となったフィリップ船長は海賊とともに救命艇で彼らの村へ向かう・・・・・・。

346309_100x100_009 映画は救助されて2年後に現役に復帰した、船長リチャード・フィリップスが書いた「キャプテンの責務」が原作。
 イギリスの監督ポール・グリーングラスが、登場人物も実名で事件を忠実に描いた。

 北アイルランドの「血の日曜日事件」を描いた「ブラディ・サンディー」('02)で、ベルリン国際映画祭金熊賞。
 「9.11同時多発テロ」を題材にした「ユナイテッド93」('06)でアカデミー賞ノミネイト。
 グリーングラスは、実在の事件をドキュメンタリータッチで描くことを得意とする監督で、リアリズム・心理戦・緊張感のタッチは、この人の右に出る者はいないとされる。

346309_100x100_001 映画に出演しているスターはただ一人、フィリップ船長役のトム・ハンクスだけ。
 しかし、たった4人で巨大なコンテナ船を襲った若い4人の海賊役の演技が光る。

346309_100x100_008 リーダーがソマリア系アメリカ人のバッカード・アブディ、少年海賊がバーッカード・アブディラマン。

 アブディは現在28歳、14年前に家族ともにアメリカに移住。大学卒業後は、ドキュメンタリストとしてソマリア系アメリカ人たちの生活と葛藤を描く作品を制作中である。

346309_100x100_005 またアブディラマンもケニア生まれのソマリア人で、12歳でアメリカに移住、今年ハイスクールを卒業した。

 グリーングラス監督は、この3人を核に事実をシンプルに描き、「シージャック活劇」のような意図的な演出は行わない。
 しかし134分間という長丁場を、最後まで緊張感でもって観客を引っ張ったのは見事だ。

346309_100x100_003 もうひとつ、この作品の見どころは海賊側の背景をきちんと描写していることだ。
 若い漁師たちが、なぜ海賊行為に走るのか。奪った身代金はどこの流れていくのか。
 「分け前を貰ったら、アメリカに行って自動車を買うのだ」と呟く若い海賊、罪悪感を持たない彼らだからこそ、船長にとっては恐怖感がわく。

346309_100x100_006_3 結末は、アメリカ海軍の特殊部隊の手によって船長が救出されるのだが、その時の絞り出すようなトム・ハンクスのうめき声が、この映画の全てを語っている。
 そこには、ヒーローも悪者もいない。観客はなぜか海賊側に立って、トム・ハンクスの流す涙を見るのだ。

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December 09, 2013

2395.師走・餅つき

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 私の住んでるマンション恒例「師走の餅つき」。
 ご近所のお米屋さんから臼や杵を借り、もち米も昔ながらの蒸籠で蒸す。

 始めたのは8年前から。
 地元氏神さん住吉神社の神輿を担ごうと集まった老若男女30人、年代も仕事も違うが共通するのが祭り好き。
 自腹をきって、師走の餅つきを始めた。

 6年前からは、マンション管理組合の公認行事となって予算もついたが、餅つきも調理も、「祭りの会」がボランティアで担当している。

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 住民同士の交流が希薄な都会のマンションだが、ここには下町気分も残っておりイベントの参加者は多い。

 準備から後片付けまでおよそ6時間、ついたお餅は50キロ。
 マンションの住民だけでなく、ご近所の皆さんにもお裾分けした。

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December 07, 2013

2394.かぐや姫の物語

Img322_640 「今は昔、竹取の翁という者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ・・・・・その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄り見るに、筒の中光たり。それを見れば三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」

20130206007fl00007viewrsz150x_640 宮崎駿と並ぶスタジオジブリの双璧・高畑勲が、8年かけて製作した「かぐや姫の物語」。
 「姫の犯した罪と罰」をコンセプトに、ラフなスケッチにも見える水彩画や優艶な水墨画、そして躍動的なパステル画を交錯して描いたアニメーション映画である。

 お話の流れは、誰でも知っている「竹取物語」通りに進むが、彼が20代の映画青年時代に抱いた疑念、「いったい、かぐや姫が月で犯した罪とはどんな罪で、なぜ、なんのためにこの地上にやって来たのか」を、映画は解き明かしていく。
 そのためオリジナルとして、「捨丸」と名付けられた木地師の息子を登場させる。
 彼は、かぐや姫の兄貴分であり恋しい人なのだ。 

 高畑監督にとって「かぐや姫の物語」は、「ホーホケキョ となりの山田くん」以来14年ぶりの作品である。
 そしてその制作手法も、これまでの日本のアニメにはなかった「プレスコ形式」を取り入れた。
 映像を見ながら声優(俳優)が語るのがアフレコだが、脚本をもとに最初に音声を収録するのがプレスコである。
 アニメーターたちは、その声をイメージしながら作画していく。

344585_01_02_03_640 そのせいか、登場人物に声優(俳優)たちのイメージがオーバーラップして見えるのが面白い。

 かぐや姫(朝倉あき)、捨丸(高良健吾)、翁(地井武男)、媼(宮本信子)、童(田畑智子)・・・。

 かぐや姫に求婚した5人の公達、石作皇子(上川隆也)、車持皇子(橋爪功)、阿部右大臣(伊集院光)、大伴大納言(宇崎竜童)、石上中納言(古城環)。
 そして最後の求婚者・帝は中村七之助。

280pxtaketori_monogatari_2_640 話題を原作に転じるが、五人の公達のうち両皇子をのぞく三人が、実在人物だというのも面白い。
 
 彼らは、672(弘文元)年の「壬申の乱」で大海人皇子(天武天皇)側に付いた公家たちである。
 また二人の皇子も、左大臣・多治比嶋と右大臣・藤原不比等がモデルとされている。

280pxtaketori_monogatari_1_640 壬申の乱からおよそ一世紀後、平安初期に誕生した日本最古の文学「竹取物語」。
 しかし、作者は不明である。

 ただ物語のベースにある「羽衣伝説」や「口承説話」の内容から、かなりの文才のある人物、例えば源融、紀貫之、菅原道真、空海らの名が俎上に上っている。
 とくに五人の公達の登場に「反藤原一族」という政治的な意図も伺え、紀貫之をあげる研究者が多い。

 誕生から1200年、「現代のかぐや姫」を描いた高畑勲監督は、時代に何を求めたのだろうか。

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December 05, 2013

2393.晩秋・葉山の里

053_640052_640  御用邸、マリーナ、別荘地で知られる葉山。
  海岸線からひとつ丘を越えると、鄙びた里山に出会う。
 一色~上山口~木古庭を抜け衣笠へと、三浦半島を横断する「古東海道」の郷である。

 今月の「ひとまくウオーキング」は、いつもの鎌倉から足を延ばして、晩秋の葉山の里を訪ねた。

058_640_2059_640_3 街道沿いには庚申塔や馬頭観音、六地蔵などが並び古い里山の面影を残す。
 葉山国際村のある仏塚山の麓には棚田が、御用邸の近くにそそぐ下山川の上流には不動の滝を見る。
 ここは三浦半島一の湧水地帯でもある。

013_640015_640 訪ねた寺院のひとつが「不捨山摂取院新善光寺」。
 「一光三尊仏」、いわゆる「善光寺如来」を本尊とする浄土宗の寺である。(扁額は伊東深水画伯の書)

P_2_01_2 鎌倉時代の初め、火事で焼失した「信州・善光寺」を再建した御礼として頼朝に贈られた三尊仏で、彼の死後は北条時政が受け継いで「新善光寺」を建立する。
 そして北条滅亡後は、豪族三浦氏が鎌倉・名越からこの地に移した。

 中央に阿弥陀如来、右に観音菩薩、左に勢至菩薩、三尊がひとつの光背の中に立つのが特徴で、この本尊を祀り「善光寺」を称する寺は全国に119ヶ寺あるという。

032_640011_640 寺に伝わるエピソードをひとつ。

 本尊は内陣の厨子に隠れているが、その前に三尊の金銅仏が置かれている。
 これは、この村の出身者で新吉原一の遊郭・三浦屋の主人が寄進した、仏像だと伝えられる。
 三浦屋は11代続いた花魁・高尾太夫で有名だが、その中のひとりも新善光寺近くで生まれた女性だった。

042_640040_640 もうひとつ訪ねた寺も同じ浄土宗、紅葉に彩られた「八幡山法林院大昌寺」。

 南北朝の初期、ここ山口郷の領主が入道して建てた庵が始まりで、のち子孫で小田原北条家の家臣・冨塚氏が大昌寺を建立した。
 戦国時代の初期(1545年頃)だと伝えられている。

033_640044_640_4 どんな経緯があったかは不明だが、寺の本尊である阿弥陀如来像は、徳川家の始祖・松平家の菩提寺「高月院」(愛知県豊田市)から移されている。

049_640 また寺の檀家は、開基の末裔である冨塚・戸塚とその一族、増田・石渡の四姓六家だけというのも珍しい。

062_640061_640 散策の帰途、上山口郷の路傍で、五輪の供養塔に出会った。
 この地で自決した「武蔵七党」の武将、猪俣範綱と岡部忠純を祀る石塔である。

 「武蔵七党」とは、関東一帯に群居していた地侍の集団で、「猪俣党」「横山党」「村山党」など七つが、軍事的集団として鎌倉幕府を支えていた。

070_640065_640 範綱は、源義朝を始め頼朝・義経に仕えた武将で、一の谷の戦いでは平盛俊を討ち取った猪俣党の首領。
 岡部もまた義朝十七騎の一人と知られた勇者、義経に仕え一ノ谷で平忠度を討ち果たしている。
 ただ、この戦い方が「騙し討ち」だったと悩み自らを責め、武士らしく自害したという。

 この経緯については「平家物語」にも記されており、里山の人たちは今も命日には墓前祭を開いている。

 今回の「ひとまくウオーキング」は半日だけの散策だったが、ドアtoドアで10.936歩を数える。
 バス・JRを乗り継いで鎌倉に戻り、いつものように居酒屋での反省会で時間をつぶした。

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December 03, 2013

2392.ウオールフラワー

Img310_640 14年前に刊行され、アメリカでは社会現象ともなった青春小説「ウォールフラワー」。
 あるハイスクールでは教科書にもなり、ある州では禁書ともなったこの本は、世界14カ国12言語で今も読まれている。

2aa01260s 高校に入学したものの「壁際」が定位置になったオタク少年が主人公。
 奔放でクレイジーな兄妹と出逢ったことで日々が一変、悩み、裏切られ、傷つき挫折、しかし友情に支えられて甘酸っぱい恋も体験していく。

 原作者は、「RENT/レント」('05)の脚本で知られるスティーヴン・チョボスキー。
 子ども時代のトラウマを持つ彼が、それを乗り越えるために書いた自伝的な小説である。

346706_100x100_004 これまでも幾つか映画化の動きはあったが、それを断り続けたチュボスキー、満を持して昨年5月撮影に入った。
 もちろん監督・脚本・製作は彼自身、ジョン・マルコヴィッチらも製作陣に加わり、13年ぶりに映画となった。

 監督自身が選んだ旬の若手スターたちが、高校生役を等身大に演じる。

346706_100x100_005 主人公のオタク高校生は、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」('13)に出演したローガン・ラーマン。
 ハリウッドの子役として、長いキャリアを持つ若手である。

346706_100x100_002 ゲイでクレージーな上級生が、「少年は残酷な弓を射る」('11)で注目を集めたイケメンのエズラ・ミラー。
 そしてヒロイン、エズラの義妹がエマ・ワトソン。
 「ハリーポッター・シリーズ」の少女役を10年続けたイギリスの若手女優が、大役に挑む。

 映画の舞台は1990年代初頭の、アメリカ・ピッツバーク郊外。
 監督自身学んだ高校、街がそのままロケの舞台となる。
 監督自身入り浸ったシアター、その頃見た「ロッキー・ホラーショー」と高校生が演じるコスプレ・パーフォーマンスも、そのシアターで再現された。
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 ピックアップ・トラックの荷台に立って、高速を走るヒロインのハイライトシーン。
 バックにはフリート・ウッド・マックの「ランドスライド」が流れる。
 ザ・スミス、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ、デヴィッド・ボゥイ・・・、サウンドトラックもまた、監督自身の青春だった。

346706_100x100_003_2  J.D.サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」が、私の時代の青春小説だったとすれば、この作品は子供たちの時代の青春小説に当たるだろう。

 しかし「ウオールフラワー」が醸し出す青春の記憶は、「誰でもあの頃の自分に出逢う映画」として、時代を超えて観客の心情に触れる。

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December 01, 2013

2391.晩秋・木場

081_640_2084_640 深川の仙台堀を挟んで南北に広がる「都立・木場公園」。
 「絵画館前」の銀杏並木や「六義園」のライトアップなど、都心の紅葉の名所はテレビで見ることにして、毎年晩秋の木場を定点観測している。

092_640094_640_2 ここは江戸時代に開かれた、木材の集積地跡。
 44年前に貯木場を新木場に移転させたのを機会に、東京都は防災拠点として総合公園を造った。
 総面積は24.2ha、地下の一部は地下鉄・大江戸線
の車庫にして、北側に都立現代美術館を開設した。

035_640030_640_2 晩秋の公園は、落葉樹が多いので紅葉が鮮やかだ。
 カロチノイドが多いと「黄葉」し、アントシアンが多いと「紅葉」すると解説板に書かれていた。
 今年もカメラ片手に、メモ帖を捲りながら公園を散策した。

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 公園を代表する「四大紅葉」。

 左から「イチョウ(銀杏)」、秋を代表する落葉大木、種がギンナンになるのはご存知の通り。
 公孫樹・鴨脚樹と洒落た呼び名もある。

069_640066_640 次が「イロハモミジ」、「高尾紅葉」と呼ぶ地域もある。京都・高尾が有名だからか。
 同じモミジの仲間でも、色付きが異なる。右は「ヤマモミジ」、その隣が「ノムラモミジ(濃紫紅葉)」。

 三番目は「ハゼノキ」、蝋を採るために江戸時代全国各地に植えられた。ウルシ科の落葉高木で「黄櫨」とも書き、「ハジモミジ」とも呼ぶ。

 四番目は「モミジバフウ(黄葉葉楓)」、こちらは同じカエデ科でも葉が黄色いので「黄葉(モミジ)」と書くようだ。

040_640045_640046_640052_640 

 左から「ザクロ」、「カリン」、「アンズ」、「ドウダンツツジ」。

 「ザクロ(石榴)」の実は食用、根は漢方薬。同じく「カリン」もまた、果樹酒や咳止め薬として知られる。
 「アンズ」は「アプリコット」、「唐桃」「加良毛々」など洒落た名が付けられる。こちらも薬用酒。
 「ドウダンツツジ」の漢字は「灯台躅」。枝の形が結びついて、灯台の脚に似ているから名付けられた。「ドウダン」は「トウダイ」の訛り。

071_640077_640109_640113_640 左から「コナラ」、「センダン」、「クヌギ」「ヤマザクラ」。

 「コナラ」はブナ科の代表樹。シイタケ栽培のほだ木として有名だ。
 「栴檀(センダン)は双葉より芳し」の「センダン」は、わが故郷では「樗」と呼ばれ母校のシンボルとなっている。
 ドングリが落ちてくる「クヌギ(橡)」、「ヤマザクラ(山桜)」もきれいに黄葉していた。

103_640105_640 これまでも度々公園を散策してきたが、今回はじめて「メタセコイヤ」に気が付いた。
 「アケボノスギ」とも呼ばれ、新生代針葉樹を代表する木。中国で現生種が発見された時から「生きた化石」と言われている。

121_640111_640 およそ1時間半の散策、撮った写真は134枚。そのうち24枚を掲載した。
 「トチノキ」「カツラ」「アオギリ」「ユリノキ」「サンシュウ」・・・・などなど、紹介できなかった樹木はまた来年に。

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