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January 31, 2014

2423.寒中・御岳散策

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 「名水百選」に選ばれている「御岳渓谷」、冬季の多摩川上流の流
れは緩やかだ。

114_640113_640 30数年ぶり、青梅快速に乗って奥多摩に出かけた。
 「玉堂美術館」を訪ね、渓谷の遊歩道を散策する。

132_640_2119_640 手ごろな岩石を選んでのロッククライミング練習や、カヌーを楽しむ若者たちで、渓谷は賑わっていた。

106_640108_640 青梅線「みたけ駅」前の参道入り口からバスで10分、「瀧本駅」でケーブルカーに乗り換え「御岳山駅」に向かう。
 標高差は424m、歩くと1時間かかる道のりだけど、御岳登山鉄道はおよそ6分で到着した。

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 山頂にある「武蔵御岳神社」までの30分は、結構きつい。

 始めは平坦な山道だったが、御師集落にある宿坊から土産物の並ぶ参道は急傾斜が続く。
 積もった雪は凍り付き、足をとられる。

 最後は、333段の石段を一気に登り本殿に到着した。 

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 御岳山は古くから霊山と崇められ、山頂にあるこの神社は関東有数の古社として知られ、創建は奈良時代まで遡るという。

056_640048_640 江戸の頃から山岳信仰は盛んになり、関東一円から「講中」を組んだ信者たちが登ってきた。
 参道の傍らには、「講」の名前を刻んだ版碑が並んでいる。
 宿坊は、講中の信者たちをガイドした御師たちが経営している。

076_640097_640 929mの山頂からは、都心はもちろん遠く筑波山まで眺められる。
 とくに夜景が、御岳山のウリらしい。

 この日は残念ながら薄曇りで、スカイツリーを微かに望むだけだった。

030_640_2022_640_2 前夜は、御岳よりさらに奥多摩にある「川井・松の温泉」に泊まった。
 多摩川の渓流のほとりにある一軒家である。

027_640_3029_640_3 この宿で、新年会を兼ねた古い仲間たちとの「合宿研究会」を開いた。
 テーマは「アメリカと中国のエネルギー問題」。

 午後から深夜までのディスカッション、翌朝解散後は議論疲れを癒すため、ひとりで「御岳散策」を楽しんだ。
 歩数計は19.633歩、ちょっと疲れた。

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January 29, 2014

2422.マイヤーリング

Img416_640 「永遠の妖精」オードリー・ヘプパーンが、この世を去って20年が経つ。その彼女を偲んで、昨年以来オードリーの主演作品が劇場やテレビで上映されている。
 「マイヤーリング」もそのひとつだが日本では唯一の未公開作、「誰も見たことのないオードリー」に逢える。

1  「ローマの休日」('53)でオスカーを手にしたオードリー・ヘップパーン(1924~1993)。
 「麗しのサブリナ」('54)「戦争と平和」('56)「昼下がりの情事」('57)と、次々と銀幕に登場してスターの座を確立していった。

 その絶頂期に撮影されていたのが、ロシア出身の監督アナトール・リトヴァクが演出した「マイヤーリング」である。
 ヒロインはオードリー、そして相手役は3年前に結婚したメル・ファーラー(1917~2008)。
 「戦争と平和」で共演するなど、最も「アツアツ」だった頃のふたりである。

Img419_2  原作は、フランスの作家クロード・アネが1930年に発表した小説「うたかたの恋」。
 1889年に起きた「マイヤーリング事件」、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵令嬢マリー・ヴェッツエラの心中事件が題材となっている。
 マイヤーリングとは、心中があったハプスブルグ王家の別荘地名。

Thj0mmw99q3  この小説の映画化は、これまで3回行われた。
 なかでも今回の「マイヤーリング」を演出したリトヴァク監督のフランス映画「うたかたの恋」('36)は有名で、ダニエル・ダリューとシャルル・ボワイエが共演している。
 ただ当時の日本では、なぜか上映禁止となっている。

Img418_640_2  実は現在劇場で公開されているオードリー主演の「マイヤーリング」は、映画作品ではない。
 1957年にアメリカNBCで「ナマ放送」されたテレビドラマで、記録としてキネスコープで保存されていたものである。

 当然アメリカ以外では誰も見たことはなく、幻のオードリー作品といわれてきた。
 ところが近年そのマスターが発見され、デジタル技術によってハイビジョン方式で修復・復元され劇場上映となったのだ。

 もともとカラーのテレビドラマだったが、モノクロでフイルム化されており、歪みや傷、音声の不具合はあるが、当時24歳だったオードリーの美しさは堪能できる。

Thtb9yjfyk  日本では、宝塚歌劇が4~5年ごとにミュージカル「うたかたの恋」として上演しているので、ファンの方々はストーリーをご存じだろう。
 ヘップパーンが演じたヒロイン・マリーの役を、遥くららや檀れいが演じていたらしい。

 悲恋物語は、いつの世でも、世界どこでも、多くの人たちに愛される。
 それにしても、ほとんどミスなく「ナマ放送」で演じているオードリーとメル・ファーラーには脱帽する。

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January 27, 2014

2421.さよなら、アドルフ

Img361_640 総統アドルフ・ヒトラーを父とも慕い、いまだ最後の勝利の日を信じる子どもたち。
 ヒトラー・ユーゲントで教育された子どもたちは、「ゲルマン民族の優越性」「偉大な戦うドイツ賛美」「総統への忠誠」「規律や秩序の遵守」など、ナチの世界観に洗脳された。

347114_100x100_006 そんな子どもたちが、ナチによるユダヤ人虐殺を知り、信じてきた価値観が完全に崩壊したとき、どう生きていけるか。
 この作品は、一人の少女がアドルフに「さよなら」を言えるようになるまでの、「過酷な旅」が描かれていく。

347114_100x100_005 ドイツの新星サスキア・ローゼンダールが演ずる14歳の少女が主人公。
 ナチス親衛隊の幹部だった父と母を連合軍に拘束された彼女は、乳飲み子の末っ子を含め、4人の幼い妹弟を連れて900キロ離れた祖母の家を目指す。

347114_100x100_003 敗戦後の国内はナチの身内に対する目は冷たく、誰も救いの手を差し伸べてはくれない。
 偶然出会ったユダヤ人の少年に導かれ、分割管理された占領区を彷徨する。
 その旅で知った真実とは・・・・。

347114_100x100_004 ドイツを舞台にドイツ語のセリフで語られるが、ドイツ映画ではない。
 オーストラリアの女流監督で、脚本家としても知られるケイト・ショートランドが撮った作品で、アカデミー賞外国語映画賞のオーストラリア代表に選ばれている。

 ケイトは戦争を知らない世代のひとり、ブカー賞候補にもなったレイチェル・シーファーの「暗闇の中で」を読んで衝撃を受け映画化に動いた。
 彼女の夫がドイツ系ユダヤ人だったことも、動機の一つである。

347114_100x100_002 ドイツ側の協力も得て出演者は全てドイツ人、ロケもベラルーシやドイツ国内で行っている。
 迫害されたユダヤ人や彼らを救う人々を描いた作品は多い。しかし加害者側、それも家族の戦後を描くには、遠い国の人が必要だったのかもしれない。
 「ヒトラーの子どもの戦後」を描いた初めての映画は、こうして生まれた。

 旧満州からの引揚げ体験を持つ加藤登紀子はこの映画を見て、「何と哀しい歴史を私たちは生きてきたのか」とコメントする。
 戦争に敗れた日本の少国民も、旧満州の荒野を彷徨した日々を「アドルフの子どもたち」に重ね合わせる。

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January 25, 2014

2420.日本美術の祭典(2)

Img376_640 日本伝統工芸展60回を記念して開催されている「人間国宝展」、「生み出された美、伝えゆくわざ」を副題にして、陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工・人形などの作品が並ぶ。

Ehagaki_002_640 人間国宝とは、日本伝統の「わざ」を受け継ぐ優れた工芸家で、重要無形文化財の保持者をいう。
 今年はその指定制度が施行され、最初に「人間国宝」が誕生して60周年にもあたる。

 今回の展覧会は、物故された人間国宝104名の作品を中心に145点が展示されている。

Img388_640Img393_640 作品のみどころの一つが、国宝や重要文化財に指定されている古典の名宝と、人間国宝の作品を対峙させていることがある。

 左上は重要文化財「志野茶碗 銘広沢」、安土桃山時代のもの。
 右上は荒川豊蔵作「志野茶碗」(1953年)、古典名品と向かい合わせて展示し、伝統と現代のつながりを見ることが出来る。

Img407_640Img408_640 この「染織」も、「古典の威力」と「人間国宝の妙技」が比べられる。
 左の「小袖 白縮緬地衝立鷹模様」は、友禅染の技法がもっとも卓越した江戸時代中期の優品。
 右は三代・田畑喜八の「一越縮緬地鳳凰桐文振袖」、1954年の作品。
 江戸時代から続く「京友禅」の家に生まれた喜八が、伝統的な技法に寄り添いながらも、モダンで華麗な美を生み出している。

Img389_640Img392_640 国宝「火焔型土器」(縄文時代)、国宝「片輪車蒔絵螺鈿手箱」(平安時代)、国宝「金銅唐花文鋺」(奈良時代)、国宝「刀 金象嵌銘 城和泉守所持」(鎌倉時代)などなど。
 国宝6点・重文(重美)16点と人間国宝の作品との対比は、初めての試みだけに見応えがある。

Img405_640Img406_640 工芸は時代に合わせて、伝統的な技の上に作家の創造性や個性的なデザインが加わって多様化してきた。
 今回の「人間国宝展」は、まさに作家によって生み出された美が、技を伝えていく姿を直接目にすることが出来る。

 なお特集陳列として、「人間国宝の現在(いま)」と題する54人の現存する人間国宝の作品も展示されている。

 「人間国宝展」は2月23日まで、東京国立博物館で。観覧料は1000円、同時開催の「クリーブランド美術展」との共通券は1600円。

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January 23, 2014

2419.日本美術の祭典

Img401_640 「トーハクとトビカンのコラボレーション、日本美術の三重奏をお楽しみください。」
 上野の杜で幕を開けた「日本美術の祭典」、東京国立博物館と東京美術館で開催される三つの展覧会を結ぶ特別プロジェクトである。

Ehagaki_003_640 新春初の上野散策は、このひとつ「クリーブランド美術館展」からスタートする。

 アメリカ北部オハイオ州、エリー湖を臨むクリーブランドに1913年創立された美術館は、ボストンと並んで東洋美術の大コレクションを所蔵することで知られている。

Img375_640 なかでも、戦後GHQの美術顧問を務めたシャーマン・リーが1958年に館長に就任、日本の美術作品を体系的に蒐集したことで全国でも有数の日本美術コレクションを所蔵することとなった。
 美術館では、このたび「日本ギャラリー」を開室することになり、それを記念しておよそ40点が里帰りした。

Img382_640 作品は、雪村・始興・蘆舟・蘆白・暁斎など平安から明治に至る人気の絵師が勢揃いする。
 それを「仏画・肖像画による人体表現」「咲き誇る花々や鳥たちを描く花鳥図」「名所や胸中の理想を描く山水画」の三つのテーマで展示した。

Img383_640 右上は江戸時代の作品で「雷神図屏風、「伊年」の印がある。
 左は河鍋暁斎筆「地獄太夫図」、明治の作品である。
 第一のコーナーでは、時代によって日本絵画が、神仏の姿や人のかたちをどう捉え表現したかを見せる。

Img378_640 「花鳥画」は、豊かな恵みをもたらす自然と動物たち、一方では天災を引き起こす怖れの対象でもある自然、その自然観が花鳥画や走獣画にどう表現されているかが明らかにされる。

Img379_640_2 右の作品はそのひとつ、雪村周継の室町時代の作品「龍虎図屏風」の一部。上が虎、下は龍が描かれている。

Img380_640 第三コーナーは、中国から伝わった水墨画。絵師たちはそれを独自の表現で山水画として展開していく。
 左の「蔦の細道図屏風」は、「伊勢物語」を題材にした深江蘆舟の江戸時代の作品である。画

 「クリーブランド美術館展」では、特別出品として館が所蔵するモネやピカソの作品など近代西洋画4点も展示されている。

Ehagaki_001 「日本美術の祭典」は、東京国立博物館(平成館)が2月23日まで。東京都美術館は前期・後期にわかれて4月1日まで開催される。
 観覧料は、東博が二つの展覧会セットで1600円(単独1000円)、都美が1400円。

 「クリーブランド美術館展」と同時開催されている「人間国宝展」は、次号で紹介する。

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January 21, 2014

2418.危険な関係

Img360_640 上海事変の前夜、'30年代初頭の中国・上海が舞台。
 大金持たちが集まる社交界では、退廃と享楽の世界が夜な夜な繰り広げられる。

 お話の主人公たち、資産家のプレイボーイと実業家のプレイガールが賭けたのは、男が貞淑な未亡人を寝取れるかどうか。
 男が勝てば女の体、女が勝てば男の土地、物語は誘惑のテクニックを淫らに見せながら展開していく。

18_1345738 原作は、18世紀のフランスの作家コデルロス・デ・ラクロが描いた同名小説。

 フランス革命前夜の貴族社会を背景に、女たらしの子爵と策略家の侯爵夫人が、貞淑な人妻を恋愛ゲームに巻き込んでいくお話。
 そのデカダンスな社会とスリルに満ちた恋愛模様は、多くの映画人の製作意欲を呼び起こし、各国で映画化されてきた。

Thca1c3fry_3 まずフランス版は、ロジェ・ヴァディム監督による1959年の作品。
 アネット・ヴァディムをめぐってジェラール・フイリップとジャンヌ・モローが駆け引きする。

 日本版もある。宇都宮雅代・三浦洋一・片桐夕子主演で藤田敏八監督が撮った1978年の作品。

33_465559 ハリウッドでは、スティーヴン・ファリーズ監督がミッシェル・ファイファー、ジョン・マルコヴィッチ、グレン・クローズで撮った1988年の作品。これは、アカデミー賞脚本賞など4部門受賞している。

Th 話題を呼んだのが、イ・ジョヨン監督の韓国版。タイトルを「スキャンダル」と変えて、チョン・ドヨン、ペ・ヨンジュン、イ・ミスクを起用した2003年の作品である。
 売れっ子のスターが濡れ場を演じたこの作品は、韓国国内だけでなく日本やアメリカでも大ヒットした。
 

 そして今回は、中国の製作会社が世界市場を狙って10数億の予算を投じた豪華版である。

347255_150x150_002 アジアのトップ・スターを並べた。

 貞淑な未亡人を演じたのは、中国No1国際俳優チャン・ツィイー(「グランド・マスター」'13)。
 プレイボーイの誘いの駆け引きに見向きもしなかった彼女が、やがて狂おしいほど恋にのめり込んでいく。

347255_100x100_007_2 その彼女を弄んだ二人が、韓国を代表する大スターのチャン・ドンゴン(「プロミス」'05)と、香港映画界のトップ女優セシリア・チャン(「プロミス」)。
 ドンゴンの女たらしぶり、セシリアの妖艶な悪女ぶりが光る。

 そして監督は、女性映画の旗手といわれる韓国のホ・ジノ(「四月の雪」'05)。
 彼は、東京国際映画祭で芸術功労賞を受賞('01)するなど、日本にもファンが多い。

Photo_2 ところで今回の中国版も含め最も印象に残っている作品といえば、やはり最初のフランス版だろう。
 ジャンヌ・モローの悪女ぶりはもとより、新妻アネット・ヴァディムをヒロインに配したロジェ・ヴァディムの厚顔が目に浮かぶ。

Photo_3 映画監督・脚本家・俳優・プロデューサー・ジャーナリストとして活躍したヴァディムは、「危険な関係」の主人公以上に百戦錬磨のプレイボーイとして知られている。

 最初の妻がブリジット・バルドー(左写真)、続いてアネット、三番目がカトリーヌ・ドヌーブ、四番目はジェーン・フォンダ(右上)、ひとり飛ばしてクリスティーニ・バロー。
 情事だけの相手なら、数知れない。

 ただ彼が偉いのは、結婚した女優たちを自分の作品で大スターに育て上げたことだ。
 「危険な関係」は、こうして次々とスターを虜にしていく。

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January 19, 2014

2417.ゼロ・グラビティ

Img355_640 「地球の上空60万メートル。
 温度は摂氏125度からマイナス100度の間で変動する。
 音を伝えるものは何もない。気圧もない。酸素もない。
 宇宙で生命は存続できない。」

 サンドラ・ブロック(「しあわせの隠れ場所」'09)とジョージ・クルーニー(「シリアナ」'05)のオスカー俳優が、初めて共演したSFサスペンス映画。
 「ツモロー・ワールド」('06)などアカデミー賞に3回ノミネイトされた、メキシコ出身のアルフォンソ・キュアロンが製作・監督した。
 脚本も、息子のホナスと共同で書いた。

Img354_640 爆破されたロシアのスパイ衛星の破片が、超スピードでぶつかり大破してしまったスペース・シャトル。
 宇宙空間に放り出された科学者(サンドラ・ブロック)とベテラン宇宙飛行士(ジョージ・クルーニー)の、絶望的な状況の中での決死のサバイバルが描かれていく。

346608_100x100_001 出演者はその二人だけ、あとは遺体とヒューストンから聞こえてくる声で映画は展開していく。
 それも前半は、たった一本のロープで結ばれた二人だったが、後半は無人の宇宙基地に滑り込んだサンドラ・ブロックただ一人となる。
 しかし次々と生ずる事故によるパニックや、宇宙から眺める地球の美しさで、観客を飽きさせない。

346608_100x100_007_2 見どころは、そのリアルな宇宙空間や事故の描写を生み出したVFXだろう。
 徹底したリサーチに基づいて再現されたCG映像と、二人の俳優の演技(それも無重力状態)が自然に融合している。
 CG映像技術もこの域にまで達したと思うと、元映像関係者としては感慨深いものがある。

346608_100x100_006 邦画でのタイトルは、原題「GRAVITY(重力)」に「ゼロ」をくっ付けて「無重力」を強調している。
 しかし、キュアロン監督は「重力」の意味に主題を置いている。
 それは「仲間」「家族」であり「地球・大地」なのだ。

346608_100x100_011 ラストは、「大地」を踏みしめるサンドラ・ブロックの裸足のアップだが、それは「グラビティ」である。

 観客の目前に超スピード襲い掛かる衛星の破片や、ぐるぐる回るアームなど、3Dを意識した映像編集が続くが、私は2Dで鑑賞した。

 ジェームズ・キャメロン監督の「アバター」('09)で初めて3D映画を体験しその後2~3本の3Dを観たが、目が疲れて作品に集中できなかった。
 以来3Dは遠慮している。
 しかし多くの批評家たちは、この作品こそ「3D」で見るべきだと話している。
 キュアロン監督の演出が、それを強く意識しているのは当然だが。

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January 17, 2014

2416.大浮世絵展

006_640_2 初場所の櫓太鼓が響く今年初めての両国、訪ねたのは国技館ではなく江戸東京博物館。
 博物館開館20周年記念特別展の今年の幕開けは、「大浮世絵展」である。

 
Img373_640 博物館は開館以来、「江戸」の名にふさわしく常設展示室には必ず浮世絵を展示している。
 またこれまでも、特別展として浮世絵を主題とする数々の企画が催されてきた。
 今回の展覧会は、国際浮世絵学会創立50周年も記念して、浮世絵の基本的な魅力を紹介する総合展となった。

007_640_2 浮世絵は、当世の風俗や風景などを描いたもので、江戸の歴史や文化を知るための一級史料である。

 屏風絵から始まり、筆と絵の具で描かれた鮮やかな肉筆画の掛け軸、それが絵師と彫師・摺師の共同作業による版画となり庶民の手にも入るようになり、江戸の芸術の華として今日まで伝えられてきた。

Img374_640_3 子供のころ記念切手で知った菱川師宣の「見返り美人図」や東洲斎写楽の役者絵、そして喜多川歌麿の美人絵、葛飾北斎や歌川広重の名所絵など、浮世絵は我々にも身近な存在として親しまれている。

Img364_640 今回の展示の特徴は、近世初期の風俗画から江戸~明治、大正・昭和の新版画までを時代順に並べ、浮世絵の歴史をたどる形で展開していることにある。

 そのため、ベルリンの国立アジア美術館から30点、大英博物館から15点、さらにはシカゴ美術館・ギメ東洋美術館・ホノルル美術館など海外の美術館からも厳選した名品を借用して展示した。

Img366_640 また国内では、江戸東京博物館・東京国立博物館を始めとして全国各地の博物館や個人が所蔵する作品、国宝2点重要文化財・美術品11点を含む計400点余りを揃えた。(展示替えや地方美術館限定作品もあるので、東京展は約340点)

Img367_640 残念ながら、国宝「風俗屏風(彦根屏風)」(彦根城博物館所蔵)は14日まで、国宝「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」(大和文華館所蔵)は山口県立美術館だけの展示で、見ることは出来なかった。

 ただ国の重要文化財である写楽の「3代目大谷銀次の江戸兵衛」(東京国立美術館所蔵)は、来週まで展示される。
 また上記の「見返り美人図」(東京国立美術館所蔵)は、今月末から3週間展示される予定だ。

Img362_640_2 また博物館1階の特別展とは別に、常設展示室5階の企画展示室では「東海道五拾参次~江戸の旅事情 お伊勢参りと物見遊山」が、開かれている。

 当時大ベストセラーとなった広重の代表作といわれる保永堂版「東海道五拾参次」の名所絵が、解説付きで53帖。
 北斎の「冨獄三十六景・東海道保土ヶ谷」や菱川師宣の「東海道分間絵図」などが並んで、江戸時代の旅を楽しむことができる。

 「大浮世絵展」は3月2日まで、「東海道五拾参次展」は2月2日まで、江戸東京博物館で。観覧料は特別・常設共通券で1520円。

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January 15, 2014

2415.麦子さんと

Img347_640 「純喫茶磯部」('08)「さんかく」('10)など、家族や夫婦の在り方をハートフルに描いてきた吉田恵輔監督。
 親不孝だった若い時代、その忸怩たる想いを描いたオリジナル脚本、7年間温めてきたこの物語が、ようやく作品として日の目を見た。

345939_100x100_001 幼いころ去っていった母親(余貴美子)が、突然現れて生活を共にすることになったヒロイン(堀北真希)の戸惑い。
 さらには、日短くして亡くなってしまった母親との距離感に悩む彼女が、母親の故郷で何を見たのか。
 タイトルの麦子は、ヒロインの名前。

 母親に捨てられたと思い続けてきた麦子が、母親の青春の姿を知ることで大人になっていく物語である。

345939_100x100_006 麦子と若いころの母親二役を演じた堀北の可愛さももちろんだが、脇役のベテラン俳優たちの演技が光る。

 ややこしいことは妹に任せて逃げる兄・松田龍平、村のアイドルだった母親を追っかけたタクシー運転手・温水洋一、母親の友人だったバツイチのおばさん・麻生祐未、そしてガダルカナル・タカ。

345939_100x100_003 地味で単調なストーリーだが、登場人物が身近に感じられ心温まる佳作。
 もともと照明ディレクターだった吉田監督だけに、田舎の自然な陽光や優しい室内の光の扱いが上手く、物語に深みを増す。

 また挿入歌として流れる松田聖子の「赤いスイートピー」が、母親の青春の時代を奏で、涙をさそう。

345939_100x100_004 実はこの映画、家族ぐるみで付き合っている娘の友人が出演すると聞いて、見ることになった作品。
 パーフォーマーの彼にとって劇映画は初めてだが、セリフもありそれなりの存在感はあった。
 彼から連絡がなかったら、見過ごしていたかもしれない。

 3月には吉田恵輔脚本・監督作品「銀の匙」が、公開される。
 農業高校生が主人公の青春映画だが、これもぜひ見てみよう。

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January 13, 2014

2414.鑑定士と顔のない依頼人

Img343_640 テレビ・ドキュメタリストから劇映画監督として撮った2作目、「ニュー・シネマ・パラダイス」('89)で、カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリとアカデミー賞外国語作品賞を受賞したジュゼッペ・トルナトーレ。

 「海の上のピアニスト」('99)「シチリア!シチリア!」('09)など、数々の名作を送り出したイタリアの巨匠が撮ったロマンチック・ミステリー映画である。

347018_01_08_03 人間嫌いで偏屈なカリスマ美術鑑定士が、姿を見せない謎めいた女性から遺品の鑑定を頼まれたために、思いがけない運命を辿るお話である。

 トルナトーレ監督が20年昔に知った、何年も家の中に閉じこもっている「広場恐怖症」の女性。それに加えたのが「からくり人形」の物語、単純な姿なのに複雑な仕掛けをもつ人形は、この作品のモチーフとなった。

347018_100x100_006 脚本を抱えてオーストラリアに飛び、会ったのがジェフリー・ラッシュ。「シャイアン」('95)でオスカー受賞、「英国王のスピーチ」('10)でアカデミー賞にノミネイトされたベテラン俳優である。
 その彼を主人公の鑑定士に配してイタリアで撮ったのが、この作品。

347018_100x100_008 イタリア映画ではあるがセリフは英語、配した俳優たちも国際的である。

 顔のない依頼人(最後は顔も見せ濡れ場を演じるが)は、オランダの女優シルヴィア・ホークス(「ティラミス」'08)。
 主人公のオークションでの影の相棒が、カナダのドナルド・サザーランド(「ハンガー・ゲーム」'12)。
 そして主人公の仲間で美術品修復の名人に、イギリスのジム・スタージュ(「クラウド・アトラス」'12)が扮する。

347018_100x100_005 次々と伏線が張られて展開していく極上のミステリーだが、主人公と同世代の中高年男性にとっては、切なく哀しい想いを残す作品でもある。

 独身の主人公が唯一愛情を注ぐのが、影の相棒と組んで競り落とした「肖像画」の女性たちだった。
 その主人公が、顔を見せないミステリアスな女性に恋をして振り回され、ついに童貞を失ってしまう悲劇!は確かに哀しい。

347018_100x100_003 そんな男の哀しさを、あの「荒野の用心棒」('65)の音楽を担当したエンニオ・モリコーネの曲が切なく綴るのである。

 「アンタッチャブル」('87)などアカデミー賞音楽賞に5回ノミネイトされ名誉賞('06)を受賞したモリコーネは、常にトルナトーレ監督とコンビを組んでおり、今回の作品ではヨーロッパ映画賞で音楽賞を受賞した。

 トルナトーレ57歳、モリコーネは85歳になった。

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January 11, 2014

2413.板谷波山の夢みたもの

141_640 日本の近代陶芸を確立した巨匠、板谷波山が世を去って半世紀が経つ。
 没後50年を機に、昨年秋から「板谷波山展」が各地で開催されており、東京でも今週から出光美術館で「没後50年・大回顧」展が催されている。

 Img349_640 陶芸家としては日本初の文化勲章を受章('53)した板谷波山(1872~1963)は、茨城・下館の出身。
 東京美術学校彫刻科で岡倉天心、高村光雲の薫陶を受け、卒業後は金沢や東京で工芸学校で教諭を務めたのち陶芸家として独立(1903年)、東京・田端に窯をを設けた。

Img350_640 波山の作品は、青磁・白磁・彩磁など、造形・色彩とも完璧を期した格調高いもので、なかでも「葆光彩磁(ほこうさいじ)」の数々は、ソフトで微妙な色調が絵画的・幻想的に表現され、観る者を引き付ける。

Img351_640 展示は、「序章・波山の誕生ー生命主義の時代と夢みる力」から「波山の夢みたものⅠ・Ⅱ」「あふれる、夢の痕跡」、そして「終章・至福の陶芸」までの6章で構成される。

 波山の作品展は、多くのコレクションを所蔵する出光美術館などで、これまでも何回か催されてきた。
 彼の孫と職場が同じだったことからか親近感を抱いている陶芸家であり、筑西市にある「板谷波山記念館」にも足を運んだことがある。
 10年ほど前に公開された映画「HAZAN」、榎木孝明が演じた波山も忘れられない。

 ただ、今回ほどの作品を並べた「大回顧展」は初めてである。

Img352_640 とくに「色彩と白、そして光」と副題のついた第2章は印象的だった。
 中国・清朝の磁器に学ぶ形をとりながら、波山は単色釉の「白」の微妙な違いを五つに呼び分けている。

 「白磁」「氷華磁」「葆光白磁」「凝霜磁」「蚤殻磁」、一堂に並んだ作品を見比べながら、「白」のもつ深い色合いをゆっくりと鑑賞することが出来た。

Img356_640 展示は、出光コレクションの波山陶芸およそ180点と、波山の肉筆によろ素描120点が並ぶ。

 「板谷波山の夢みたもの~没後50年・大回顧展」は、3月23日まで東京・出光美術館で。入館料は1000円。

 その後は、「山形美術館」「泉屋博古館」「兵庫陶芸美術館」で開催される予定。

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January 09, 2014

2412.永遠の0

Img342_640_2 テレビ・バラエティ番組の構成作家だった百田尚樹が、8年前に初めて書いた同名長編小説が原作。
 出版当初から口コミで売れ続け、いまや発行部数350万を超える大ベストセラーになった。

 これまでもたびたび映画化が企画されたが、脚本を読んだ原作者のOKが出ず見送られていた。
 今回は、「ALWAYS/三丁目の夕日」('05)で各映画賞を総ナメした山崎貴が、脚本を書いて監督・VFXを引き受けることで映画化が実現した。
 もちろんスタッフも、ROBOTと白組の「三丁目」グループが担当した。

346152_100x100_001 臆病者とののしられながらも、敢えて生きて帰りたかった男(岡田準一)の物語である。

 海軍一の操縦技術を持ちゼロ戦を駆使したパイロット宮部久蔵、しかし彼は乱戦になると戦場を離れ生き延びようとする。
 仲間たちからはさげすまれ、上官には殴られた。
 戦況が厳しくなり、腕のある彼は教官として学徒兵をパイロットとして育てるが、最後は彼らとともに特攻に出撃して帰らぬ人となった。

346152_100x100_002 そんな祖父を持つ孫たち二人(三浦春馬・吹石一恵)が、「祖父・宮部が命がけで残したメッセージとは何だったのか」を知るために、特攻隊員の生き残りを訪ね歩く日々から物語は始まる。

 その特攻隊員の生き残りを、「戦争を知る」ベテラン俳優たちが演じる。
 平幹二郎、橋爪功、田中泯、山本學、そして祖母(井上真央)と再婚した夏八木勲。

 彼らの若き頃を演じるのは、「戦争を知らない」若手俳優たち。濱田岳、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也。

 ベテラン俳優陣の気迫ある演技が、岡田をはじめとする若手たちの演じた「役」の想いを、「戦争を知らない世代」の観客に伝えようとしているのがこの作品のポイントとなる。

 山崎率いる白組たちの、VFX技術の素晴らしさも見どころである。米軍機とゼロ戦の空中戦はもちろん、無残にも撃墜されていく「特攻シーン」のリアルさは秀逸である。346152_100x100_003
 山崎らは、当時のニュース映像をつぶさに見ながら、それをCGで再現していったという。
 その山崎も49歳だから、戦争を知らない世代なのだ。

Imgp2364_640  特攻基地のあった村で少年期を過ごし、特攻隊員の生き残りだった連れ合いの叔父(左・写真)から、「その時」を聞かされた。
 そんな複雑な思いを持つものにとって、この作品の持つテーマは重い。
 そのせいか、映画についても饒舌に語ることが出来ない。

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January 07, 2014

2411.武士の献立

Img329_640 今年最初に見た映画は「武士の献立」、新聞の「首相動静」欄によると彼もご一家で鑑賞されたようだ。

 「妻は料理上手、でも、出戻り娘」「夫は包丁侍、でも、落ちこぼれ」。
 江戸の頃、「刀」ではなく「包丁」で藩に仕えた親子二代家族の物語。

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 その妻、夫からは「古狸」と呼ばれ、姑からは「アブラののった戻り鰹」と呼ばれて可愛がられたヒロインは、上戸彩。
 そして夫を高良健吾、姑・余貴美子、舅・西田敏行と芸達者が囲む、味のあるヒューマンドラマである。

Img330_640_2 実在の家族たちの物語でもある。

 18世紀の半ば、享保~宝暦にかけて加賀100万石・前田家の「お台所御用」を務めた舟木伝内・安信一家、藩主やその家族の食事を賄うだけでなく、将軍家や諸国大名をもてなす豪華な「饗応料理」を仕切った。
 自ら能登などを行脚して食材を求め、レシピをつくり他の「包丁侍」たちを指揮する。

Rekisi2 「御膳方棟取」という最高職にまで昇進した「包丁侍」親 子は、その「武士の献立」をレシピ集「料理無言妙」や「料理の栞」として書き残し、今日に伝えている。
 和食を代表する「加賀料理」の多くが、このレシピ集か生まれたのだ。

 物語の背景に伊達・黒田など「日本三大騒動」のひとつと言われる、1754(宝暦4)年の「加賀騒動」(1754年・宝暦4年)がある。
 加賀藩の藩政を巡る改革派と保守派による主導権争いが、藩主毒殺未遂事件にまで発展したお家騒動で、改革派のリーダーと前藩主の側室が自害に追い込まれ多くの若手が藩を追われた。

346347_100x100_003_2 「包丁侍」だが血気盛んな舟木安信もその改革派の一人、妻が側室の元女中だったことから、騒動に振り回されるのである。

346347_100x100_004_2 この作品は、松竹が製作した「専門職侍」シリーズの第2作目。
 藩の経理係を主人公にした「武士の家計簿」('02)に次ぐ作品で、監督は同じ朝原雄三が担当した。

 朝原は数少ない松竹のサラリーマン監督で、「釣りバカシリーズ」を手掛けたヒットメーカーである。
 ヒロインの可愛い良妻ぶりは釣りバカ譲り、丁寧に判りやすく物語を展開する。

346347_100x100_006 料理好きには次々と登場する「加賀料理」がたまらない。

 塩漬けした鰯や烏賊の内臓を発酵させた「いしる(魚醬)」、柚子の中身を繰り抜いて糯米を塗した果実を詰めて干した「ゆべし(柚餅子)」、すだれ麩や鴨肉を使った「治部煮」、正月料理には欠かせない「鶴もどき」、婚礼には欠かせない「鯛の唐蒸」などなど。

Img332_3 「饗応料理」は「お茶膳」から始まり、八つの膳と最後はデザート。加賀料理の専門家による監修のもと、二つの料理学校の生徒たちが協力して作った。

 なお加賀藩「お料理頭」舟木家は、明治にはいった6代目でその役目を終えている。

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January 05, 2014

2410.隅田川七福神めぐり

Img346_640_3 「歳の初めに詣でれば、福を授かる七福神めぐり」
 徳川家康が崇拝した七福神は、文化・文政(1804~30)の頃には江戸庶民の信仰となり、「めぐり」はレクリエーションを兼ねた正月行事になった。

 「日本橋七福神」に始まって、「深川七福神」「谷中七福神」「下谷七福神」と続いたので、今年は「隅田川七福神」をめぐる。

08120052_640_2 右は谷文鳥の弟子・喜多武清が描いた「隅田川七福神遊び宝船」。
 江戸庶民たちが、初夢を見るために枕の下に敷いた版画である。
 隅田川の墨堤沿いに歩くこのコースは、谷中に次いで古く、多くの宝船の絵が残っている。

006_640_2009_640 スタートは上の絵図⑭、東武伊勢崎線堀切駅を下車した「墨田水門」から。
 綾瀬川が荒川を横切って隅田川に合流する不思議なところ、右の写真の奥が「鐘ヶ淵」である。

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 まずは勇気や威厳を授ける「毘沙門天」を祀る「多聞寺」へ。
 平安時代に創建された真言宗の名刹で、「たぬき寺」とも呼ばれる。
 悪戯狸と毘沙門天との逸話が、面白い。

029_640036_640 墨堤通り南に(絵図では上へ)およそ25分歩くと、「寿老神」を祀る「白髭神社」⑪に。
 隅田川七福神の中で、なかなか見つからなかったのが中国の神様・寿老人。
 そこで知恵者が考えたのが、この神社の「白鬚大明神」だった。
 「人」を「神」と読み替えて、七福神のひとつにしたという。

044_640039_640 そもそも「隅田川七福神めぐり」を創案したのは、「向島百花園」⑩に集う文人たちだった。
 園の主・佐原鞠塢が持っていた福禄寿の陶像が始まりで、仲間たちは近所の社寺を調べて七福神を選定した。

052_640_2050_640 正月一週間は、百花園の入園料も無料。
 寺社を巡る獅子舞の一行を眺めながら、茶店でちょっと一服した。

060_640_2057_640_2 百花園から隅田川沿いに歩いて20分、桜橋が見えたあたりで「ジュウガツザクラ」に出会う。
 八代将軍吉宗が植えた桜が咲く春は、多くの花見客で賑わうところだ。

061_640062_640 その近くにあるのが、比叡山延暦寺の末寺「長命寺」⑨。
 鷹狩りにきた三代将軍家光が、この寺の井戸水を飲んで腹痛を癒したことから、寺名は常泉寺から長命寺に変わった。

  財福・芸を授けるインドの女神・弁財天が祀られ、境内には文人たちの歌碑なども多い。
 裏の茶店で、桜餅を土産に買う。

070_640071_640 すぐ隣にある黄檗宗の「弘福寺」⑧、勝海舟は若いころ4年間ここで修行している。
 黄檗宗の特徴である重層構造のは唐破風の仏殿には、中国の禅僧・布袋尊が祀られていた。

 「咳の爺婆尊」も有名なので、ここでは咳止めの飴を買う。

085_640088_640 最後が「三囲(みめぐり)神社」⑦。
 土の中から掘り出された老翁の像を、白狐が三回回って消えたという縁起からこの名が付いた。

 祀られている「大国神」と「恵比寿神」は、ここを守護神とした三井・越後屋(三越」)から移された。
 境内に安置されている「ライオン像」は、その縁から。

Img345_640 番外だったが、途中「木母寺」⑬に寄る。
 天台宗の名刹であるこの寺は平安中期に開山、当初は「梅若寺」と称された。
 「たつね来て とわばこたえよ都鳥 すみだ河原の 露と消えぬと」
 あの謡曲「隅田川」で知られる梅若丸の、塚と念仏堂が起源だからである。

022_640023_640 桃山期には徳川家康が参拝して「梅柳山」の山号が贈られ、慶長期には近衛前関白が「梅」の字を「木」と「母」に分ち書にして、現在の寺号となった。
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 世阿弥の子・観世元雅が梅若伝説を基に「謡曲」を創った。
 のちに初代・市川団十郎が歌舞伎、近松門左衛門が浄瑠璃にと、「隅田川物」は伝統芸能として今も伝承されている。
 そしてイギリスでは「カリュー・リバー(都鳥の川)」の名のもと、この伝説はオペラとして上演されている。

092_640 「堀切駅」を出発して「スカイツリー駅」が終点。
 およそ3時間歩いた「隅田川七福神めぐり」、総歩数は12,716歩だった。
 昨年は寒風を突いての七福神めぐりだったが、今年は初春にふさわしい穏やかな一日、スカイツリー界隈は多くの観光客で賑わっていた。

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January 03, 2014

2409.初詣

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 元日の朝、毎年恒例となった界隈の初詣。
 深川・明石町・築地・佃とまわる。

005_640003_640 最初に詣でるのは深川の「富岡八幡宮」。
 江戸最大の八幡様として知られ、人々は旅のスタートをここから始める。
 幕命で蝦夷地を訪ねた伊能忠敬も、「天地明察」の安井算哲もここが出発点だった。

021_640019_640_2 すぐ隣が「深川のお不動」さん。
 6代将軍綱吉の生母・桂昌院が、成田・新勝寺への参詣が億劫になり、幕命で別院を設けた。
 もともとは永代寺の境内、今ではその永代寺が参道にひっそりとたたずむ。

030_640033_640 隅田川に架かる永代橋を渡って鉄砲洲~明石町へ。
 旧外国人居留地にある「カトリック築地聖堂」は、東京では最も古い教会。
 関東大震災で全壊したが、フランスの聖マグダレナ天主堂を模して再建された。

038_640034_640 すぐ近くにあるのがプロテスタントの「聖路加国際病院チャペル」。
 アメリカ聖公会の牧師が、明治の初めに開設した。
 ここは江戸時代、赤穂藩・浅野内匠頭の上屋敷だったところ。刃傷事件後は、幕府により改易された。

045_640049_640 聖路加から2~3分で「築地本願寺」。
 我が家の在京・菩提寺で、亡母・亡兄の法要はここで営む。
 振袖火事で焼失した日本橋から356年前に移転、震災後に再建された本堂は、古代インド仏教様式の石造り。
 堂内は桃山様式の木造りである。

054_640056_640 日々お世話になっている魚河岸、ここでお参りしたのは「波除稲荷神社」。
 築地一帯の埋め立て工事の際、海中より出現したご神体を祀ったところ、波浪が収まり埋め立てが上手くいったそうだ。
 獅子頭は、祭りの先頭を練り歩く。

083_640060_640_2 初詣のゴールは、例年通り「佃の住吉さん」。
 隅田川河畔に転居したのち、氏子に加えてもらった。
 三年に一度の本祭りでは、宮神輿の「八角神輿」を担いだ。
 今度神輿を担げるのは来年の本祭り、それまで足腰を鍛えておこう。

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January 01, 2014

2408.謹賀新年

     あけましておめでとうございます。

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