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July 30, 2014

2509.7月のシネマ(4)

 今月はなぜか「クラシック」に縁がある。先々週はピアノデュオのコンサート、そして「映画」もクラシック、まずはバレエのライブビューイング。
 5.1chの迫力ある音響とHD高画質の映像である。

Paris_opera_640_2 「白鳥の湖」(ヌレエフ版)

 「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」と並ぶバレエ音楽の古典。
 ピヨートル・チャイコフスキーが作曲したこの音楽は、モスクワ・ボリショイ歌劇団の振付・出演で1877年にバレエ初演、以来世界中で公演されている。

Program_main_051_640_2 女王から結婚を迫られていた王子が、湖畔で見たのは一羽の美しい白鳥。
 その白鳥は、悪魔によって姿を変えさせられた姫だった。
 ドイツの童話から生まれたこのバレエは、誰でも知っている物語でもある。

Th2_2 今回のライブビューイングは、パリ・オペラ座のエトワール(トップ・スターの称号)だったアニエス・ルテステュが今年引退したのを記念して、特別上映されたもの。

Th3_3 12歳でオペラ座付属バレエ学校に入学した彼女は、卒業後はそのまま団員に、プルミエールやヴァルナの国際バレエコンクールで金賞を受賞、1997年には26歳でエトワールになった。

 最も得意とした演目が今回の「白鳥の湖」、白鳥と黒鳥と全く性格の違う二つの役を一人で踊り分ける、彼女の右に出る者はないと言われてきた。

Th2_4 パートナーの王子役ジョゼ・マルティネズも、オペラ座のエトワール。
 スペイン出身のダンサーで振付家でもある彼は、2年前に故郷に帰り国立ダンスカンパニーの芸術監督に就任している。

 2005年のパリ・オペラ座で記録した今回のHD映像は、二度と観ることのないメモリアル公演の記録である。

Th1 「白鳥の湖」の全編2時間30分を鑑賞したのは、今回が初めて。
 湖での白鳥たちの乱舞の一部分や、物語のハイライトを舞台や映画で見たことはあるが、この作品が「悲劇」で終わることも初めて知った。

Th3_4 著名な振付家による様々なバージョンがあり、ハッピーエンドの作品もあると聞くが、今回はパリ・オペラ座の芸術監督だったルドルフ・ヌレエフの振付。
 ロシアのキーロフ・バレー団出身の彼は、21年前に54歳で亡くなっている。

 パリ・オペラ座のライブビューイングは、この後も「フィガロの結婚」(オペラ)「バランシン/ミルピエ」(バレエ)「椿姫」(オペラ)と、昨年から今年にかけてパリで上演された作品が日本のスクリーンに登場する。

 
Img629_640_2    「パガニーニ」(ドイツ映画)

 こちらは"悪魔のヴァイオリニスト"と呼ばれた伝説の音楽家ニコロ・パガニーニ(1782~1840)の伝記映画。
 私は始めて知ったヴァイオリニストだが、ヨーロッパでは有名で、これまでも3本の伝記映画が製作されている。

348679_004 猟色家でギャンブル狂い、アヘン中毒のヴァイオリニスト・パガニーニ。
 敏腕マネージャー(ジャレッド・ハリス)の手で、「悪魔に魂を売り渡して手に入れた超絶技巧」と売り出され、ヨーロッパ中を席巻した破滅型天才の彼。
 その彼の生涯一度だけの「純愛」が、ストーリーとなる。

348679_007 ストーリーはともかく、この作品の評判を高めたのがパガニーニに扮したデイビッド・ギャレッド(34歳)の銀幕デビューだった。
 先日NHKテレビにも出演していたが、ドイツ出身の彼は欧米で爆発的な人気を誇るスーパー・スターのヴァイオリニスト。

348679_006 「不滅の恋/ベートーベン」('94)など、音楽映画を得意とするイギリスの監督バーナード・ローズは、製作総指揮と音楽をギャレットに託していたが、「本物のヴァイオリン演奏」を見せるには彼をおいて他にはいないと、主役も任せた。

 「パガニーニは音楽史上最初のロックスター」「彼の最高の技巧を見せる演奏シーンは、俳優では無理」と、5億円の名器「ストラディバリウス」を構えて自ら参加したのだ。

250pxniccolo_paganini01_2 パガニーニは、イタリア・ジェノヴァ出身の音楽家。
 5歳の時から始めたヴァイオリン演奏は、幼少の頃から天才の腕前を発揮、数々のヴァイオリン協奏曲も作曲するなど、青年期にはヨーロッパの聴衆を熱狂させるヴァイオリニストとなった。
 ナポレオン1世の妹2人を愛人ににするなど、その派手な女性関係は次々とスキャンダルを巻き起こした。

348679_008  一方、多くの音楽家たちは彼を高く評価する。
 シューベルトは「天使の声を聴いた」、リストは「僕はピアノのパガニーニになる」と言い、ショパンやシューマン、リスト、ブラームスは「パガニーニの主題による変奏曲」を作曲している。

 しかし梅毒・結核を患い、治療のための水銀中毒によって58歳で亡くなった「悪魔のヴァイオリニスト」は、教会から埋葬を拒否される。
 彼の遺体は、故郷に戻りうらぶれた共同墓地に眠っている。

348679_009 今回の映画でギャレッドが演奏するパガニーニの作品は、「24のカプリース」「ヴァイオリン協奏曲1・2・4番」「ヴェニスの謝肉祭」。
 こちらもライブビューイングと同じ、デジタル5.1chの迫力ある音を楽しんだ。

 今月見たシネマ、以上8本のほか紹介は省くが「パークウランド~ケネディ暗殺、真実の4日間」「ALL YOU NEED IS KILL」、ドキュメンタリーでは「革命のこどもたち」と「大いなる沈黙へ」。

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July 27, 2014

2508.ひとまくウオーキング

008_640 歌舞伎好きの仲間が集まる「ひとまく会」、歌舞伎座4階席の安いチケットを買って一幕だけを鑑賞することから、こんな名がついた。
 発足して25年を超えるが、何時とは無しに趣味別「分科会」もできた。

 「歌舞伎」「能・狂言」「文楽」の古典にはじまり、「寄席」「邦楽」「俳句」「映画」「ワイン」「ゴルフ」「散策&グルメ」、そして「ウオーキング」。
 会員は、好きな趣向に気の向くまま参加できるという、フラットな組織が会の良さである。

121126_001_640 「ウオーキング」は毎月1回、もっぱら鎌倉周辺を歩いている。
 大学山岳部出身!の幹事から日程のメールが届き、スケジュールの空いている人たちが手を上げる仕組み、集合場所に着いて初めてその日のメンバーを知る。

006_640003_640 今月は「景虎の故地と真言密教の地底道場を訪ねる」、およそ5キロの半日コースだった。

 集合場所は大船駅、柏尾川沿いに横浜・長尾台に向かう。
 行く先は知る人ぞ知る「景虎の故地」。
 武田信玄と川中島で激突した、戦国時代の武将・長尾景虎こと上杉謙信の故地である。

E0132455_15242724017_640_2 フランス料理のシェフに人気の高い「鎌倉野菜」、ここ長尾台は横浜一の産地である。
 その野菜畑が、坂東平氏の一族・長尾景弘が平安末期にきずいた「長尾砦」の跡なのだ。

 50代天皇・桓武の曾孫高望王が、「平姓」を賜って関東に下向したのが889(寛平元)年。
 その末裔たちは上総・鎌倉・千葉・三浦・梶原・秩父・大庭・長尾の姓を名乗り、一帯を治めた。

012_640015_640 長尾一族は、鎌倉入りした源頼朝と戦ったり三浦と組んで北条と戦ったがしぶとく生き残り、室町時代には関東管領職にあった上杉家(山内)の家臣となる。
 その上杉家の所領のひとつ越後に、長尾家は守護代として赴いていた。

Th 1552(天文21)年、小田原・北条との争いに敗れた関東管領(執事)・上杉憲政は、先祖の縁を頼って越後の長尾景虎のもとに逃れる。そして「管領職」と「上杉姓」を景虎(謙信)に譲った。

 その後の謙信の活躍ぶりは、大河ドラマなどでお馴染みなので省くが、鎌倉の地と遥か彼方の越後が結ばれていたことは、意外だった。

009_640008_640 砦の近くにある旧長尾台村の鎮守「御霊(ごりょう)神社」。
 藤沢にある宮前御霊社の分社であるが、「御霊」に纏わるお話は複雑怪奇だが面白い。

 鎌倉・坂の下にある御霊神社をはじめ、神奈川県内には11の「御霊」を名乗る社があるという。

Th9k2e7eyt その「本家」は、京都にある上・下二つの「御霊神社」。
 平安時代のなかば、民衆の間に広まった「御霊信仰」で、疫病の流行を「御霊」の祟りとして「御霊会(みたまえ)」を開いて鎮めた。
 先週京都の街で山鉾が行列した「祇園祭り」は、八坂神社の「御霊会」である。

 「御霊」とは「政争に巻き込まれて憤死した人たちの怨霊」、その代表格が785(延暦4)年淡路島で絶食自死した桓武天皇の弟・早良親王(皇太子)だった。
 その祟りを恐れ、桓武は京都に御霊神社を創建し、早良親王に与えた追号・崇道天皇を祭神として祀った。
 その後、怨霊を背負った祭神が次々と増えて、今では八柱となった。あの大宰府に追われ憤死した菅原道真も、その一人である。

250pxp4280080_sanctuary_640_2 鎌倉・坂の下にある「御霊(ごりょう)神社」は、別名・権五郎神社と呼ばれる。
 「後三年の役」(1083~87)で源義家方の武将として勇名を馳せた、鎌倉権五郎景政が祭神。

E0011737_1616137_640 江戸歌舞伎の古典「暫」の主人公として、「しばらく、しばらく~」のセリフで登場するあの権五郎である。

 彼は桓武平氏の棟梁の一人だが、子孫が鎌倉・大庭・梶原・村岡・長尾に分かれる。
 その平氏五家の祖を祀る「五霊(ごれい)神社」が、言葉の響きによるのか「御霊社」と混同し、今や「武勇を誇る権五郎」と「祟りの源・崇道天皇」は合体してしまった。
 各地の「御霊神社」の呼び名が、「ごれい」「ごりょう」と混同している謂れでもある。

 因みに長尾景虎(上杉謙信)のご先祖、長尾砦を築いた景弘は権五郎の曾孫にあたる。

022_640020_640 鎌倉野菜が植えられている畑の道をウオーキングで30分、着いたのが田谷の「定泉寺」。
 1532(天文元)年に創建された真言宗大覚寺派の寺である。

023_640031_640 寺の境内にある「田谷山喩伽(ゆが)洞」は、鶴岡八幡二十五坊の僧侶の真言密教道場。
 

 修行僧らによって掘り拡げられた洞窟は、総延長およそ1キロ。
 三層の曲がりくねった地下道の壁面や天井には、僧たちが彫った梵字や阿弥陀如来像、不動明王像が続く。(中の写真撮影は禁止)

032_640_2028_640_2 今も座禅(喩伽=ヨーガ)修行が行われているおよそ250mの洞窟内には、四国八十八か所、西国三十三か所、坂東三十三霊場、秩父三十四霊場のご本尊が刻まれており、檀信徒たちがいつも訪れているという。

 私たちも、一人ひとりが「蝋燭」を灯して暗い地下道の仏たちを参拝したが、年間を通して16℃という洞窟内は「下界」の猛暑を忘れさせてくれた。

 今回の「ひとまくウオーキング」は、猛暑を避ける午前中だけのコース。およそ3時間、歩数計は9103歩を示していた。

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July 24, 2014

2507.7月のシネマ(3)

 今週の映画は、進化する「AI」をベースにした作品「トランセンデンス」「her」の2本。

Asw_fake_fa37_1_2 「AI」とは知的コンピューター・プログラムを作る科学技術、「音声・画像認識」「ゲーム・プログラミング」「情報検索」「エキスパートシステム」など、その研究と実用化はかなり進んでいる。
 無人戦闘機、自動操縦自動車、または「チェス」や「将棋」での王将戦など話題は事欠かない。

Th 映画の世界では「2001年宇宙の旅」('68)で、人工知能《HAL9000》型が登場しているが、「ステルス」('05)「イーグル・アイ」('08)などでは反逆する「AI」が問題意識され、今回の作品の萌芽を見る。

 つまり「コンピューターのAI〈意識〉は、人間とコミュニケイトできるのか」「AIは、人間の心をコンピューターに宿らせることができるのか」と。

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  「トランセンデンス」

 タイトルの「Transcendence」、このコンピューター専門用語の意味は「人工知能が人間の知性を超える現象」をいう。
 アップルのビル・ゲイツやグーグルのラリー・ペイジに強い関心を持たせたこの概念は、「シンギュラリティ」とも名づけられる。

347925_007 久しぶりに「素顔」で登場したジョニー・ディップが、トランセンデンス研究の世界的な権威の役。

 「反AI」グループに襲われ、放射能毒をもった弾丸を撃ち込まれる。
 余命わずか、研究仲間だった妻(レベッカ・ホール)は、彼の「意識」をスーパーコンピューターにインストールした。

347925_004 そして「意識」だけの存在となったディップは、オンラインで繋がる軍事機密や金融、個人情報など世界中のあらゆる情報を独占していく・・・・。

 「AI」のこうした進化は、もう目の前にあるという。
 業界では「45年」が目途だというが、映画で登場した脳とコンピューターをつなぐ「BMI(ブレーン・マシン・インターフェース)はすでに実用化の段階に入っている。

347925_001 映画を製作したクリストファー・ノーラン(「ダークナイト・シリーズ」の監督・脚本・製作)は、映画は近未来ではなく「明日」を描いたという。

 「インセプション」('11)でノーラン監督とコンビを組み、アカデミー賞撮影賞を受賞したカメラマンのウォーリー・フィスター、監督デビュー作品である。
 共演者は、モーガン・フリーマンほか。

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   「her 世界でひとつの彼女」

 こちらはSF・ラブストーリーである。
 人工知能の「声」(スカーレット・ヨハンソン)に恋した男(ホアキン・フェニックス)の、切ない愛の物語が熱くセクシーに綴られていく。
 

201406260000000view 別れた妻(ルーニー・マーラー)、ガール・フレンド(エイミー・アダムス)、デイト相手(オリヴィア・ワイルド)、生身の女性たちより「声」は魅力的だったし、テレフォンセックスで恍惚の世界にも引き込まれた。

347781_008 しかしスマホの中だけの彼女は、次第に彼を翻弄するようになり、恋は意外な展開を見せていく。

135242_01_2 「her」は今年のアカデミー賞で作品賞など5部門にノミネイト、「脚本賞」を受賞したスパイク・ジョーンズはユーニークな作風で知られる監督。
 「マルコヴィッチの穴」('99)で監督デビュー、今回は細部に拘りながら彼独特の「見せるカメラワーク」で、近未来の世界を描いた。

347781_007 舞台となった「近未来」のロサンゼルスは、現在のロスと上海をCGで合成する。
 登場する人物たちの衣装も、ちょっと昔を思い浮かべるファッション。ジョーンズ監督ならではの演出である。

 「声」だけで登場したセクシイなヒロイン、スカーレット・ヨハンソンは、ローマ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。「声」だけの出演での受賞は史上初である。
 来月公開される「LUCY」では、ヒロイン・スカーレットもグラマラスな肉体を見せて活躍する。こちらも「脳」がキーワードとなる。

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July 21, 2014

2506.華麗なるジャポニスム展

Img609_640 日本美術10万点以上を所蔵するボストン美術館。
 歌麿や広重の浮世絵をはじめとするそのコレクションは、東洋美術の殿堂と称される所以となっている。

Th6lrv83hw また美術館は、モネ、ルノワールなどヨーロッパ絵画の所蔵も充実しており、ここを訪れるギャラリーは年に100万人を超えるという。

 そのボストンから世田谷美術館にやってきたのは、絵画・版画・素描・写真・工芸など厳選された150点。
 マネ、ドガ、ロートレック、ルノワール、カサット、ゴーギャン、そしてモネやゴッホなど印象派の画家たちを魅了した「日本の美」である。

Img639_640 タイトルにある「ジャポニスム」とは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてヨーロッパで大流行した日本美術の潮流。
 浮世絵に代表される大胆な構図と色使い、独特の装飾模様が画家たちの美意識に根本的な変革をもたらした。

Img634_640_2 左上の豊国・広重が描く役者絵「当盛十花撰 夏菊」(1858年)の装飾性の強い背景は、ゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」(上右・1889年)の背景に重なる。
 またメアリー・カサットの「湯浴み」(右・1891年)は、歌麿の「母子図 たらい遊」(左・1803年)に刺激を受けて描く。

Img636_640_2 国貞の「虎」(左・1830年)に見られる生き生きとした自然観察は、ポール・ランソンの「密林の虎」(右・1893年)に影響を与えた。

Img628_640_2 ジャポニスムの潮流は絵画や版画だけでなく、工芸作品にもみられる。
 右のシュプロン社の「インク・スタンド」(1876年)に見られる、重ねた杯・亀・狛犬・文様は日本工芸そのものである。

Img624_640_2 今回の展覧会の目玉は、色鮮やかに蘇ったクロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」。
 ボストン美術館が昨年来、古いニスやワックスを取り除き、剥離の恐れのある部分を安定させる修復を行った。(左の写真)

Img620_640 「睡蓮」などで日本でもファンが多いモネは、熱心に浮世絵を蒐集するなど大の日本愛好家。
 彼の日本趣味(ジャポネズリー)の全てを描きこんだのが、第2回印象派展(1876年)に出品したこの作品なのだ。

Img637_640_4 妻カミューをモデルに描いた大作、その手に持つ扇子には「三色旗」が、背景に描かれている団扇は花魁・鶴・海老に鯛など、日本趣味のアイコンが並ぶ。

Img638_640_2 燃えるような赤綸子に金糸の紅葉、裾に武者絵を配した豪華な衣装は、謡曲「紅葉狩」の一場面を描いた。
 武者を紅葉狩りに誘う美女、実は鬼女。それと気付いた平維盛が刀を抜く一瞬が立体的に刺繍されている。

001_640 モネの傑作「ラ・ジャポネーズ」は、修復後の世界初公開となる。

 「ボストン美術館・華麗なるジャポニスム展」は、9月15日まで東京・世田谷美術館で。入館料は、1.500円。
 この後、京都市美術館~名古屋ボストン美術館と巡回する。

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July 19, 2014

2505.7月のブックから

 今月に入って読んだ「時代小説」4冊、時代と場所は違うが偶然にも舞台が「色里」という共通性があり、比較すると面白い。
 まず最初の本は、京都・島原から。

017_640  「輪違屋糸里」(上・下)~文春文庫~

 作者は「壬生義士伝」を書いた浅田次郎。
 様々な価値観が変転する幕末にあって、「義」を貫いた新撰組・吉村貫一郎を主人公に、男の視点から「いのち」とは何かを書いた。

 この本では、同じテーマを女の視点から書く。
 新撰組副長・土方歳三に惚れた京・島原の芸妓・糸里を主人公に、浪士たちが駐屯した壬生の郷士屋敷のおかみさんたちの目から見た、新撰組隊士の赤裸々な姿が描かれる。

0 お話は、新撰組組長・芹沢鴨の暗殺事件である。
 暗殺に関わったのが、土方・沖田など近藤勇一派だけだったことに浅田は注目する。
 水戸の郷士出身で名門・神道無念流の芹沢に対し、百姓剣法と侮られた天然理心流の近藤らとの闘いだったと指摘する。(写真は芹沢の墓所)

Thqef7997p だから多くの時代小説で悪役とされる芹沢の、別の一面を浮かび上がる。
 水戸天狗党の残党で先鋭的な攘夷思想を持った芹沢が、なぜ京で悪名を高める残虐行為を行ったのか。
 彼の政治理念を認めながらも、なぜ近藤たちは暗殺に踏み切ったのかと。(写真は近藤勇)

10422055_739231562796380_38981165_2  書名となった「輪違屋」は、糸里が席を置く京・島原の「置屋」。
  新撰組浪士たちは、置屋から芸妓や太夫たちを呼んで、揚屋「角屋」で遊んだ。(写真は、今も残る輪違屋)

10486009_739230676129802_61869827_2 
 島原は1641(明正18)年に、桃山時代の色町・二条柳から六条三筋を経て朱雀野に移された色里。
 慌ただしい移転だったため、3年前の「島原の乱」をもじって通称「島原」と呼ばれた。(写真は島原大門)

 八千代太夫・吉野太夫・夕霧太夫、そして桜木太夫など、優れた芸や技能をもつ「こったい」(太夫)を目当てに、皇族や公家・高僧たちが足しげく通った。
 しかしその格式の高さと立地条件、さらには1854(安政元)年の大火が災いして、客は花街「祇園」や「上七軒」に流れた。

10492384_739232559462947_3944945667 幸い島原大火で燃え残った「輪違屋」は維新後には茶屋に、「角屋」は変遷を経て今は美術館として建物だけ残っている。(写真は角屋)

 浅田の小説では、糸里は出世して「桜木太夫」になる。
 芹沢暗殺を手助けした功績で会津侯が命名したとあるが、これはあくまでもフィクション。
 維新の名花と呼ばれた実在の桜木大夫は、桂小五郎の愛人そして譲り受けた伊藤博文の愛妾となる。
 そして伊藤総督暗殺後は、尼となって隠棲した。

019_640  「吉原裏同心・髪結(20)、遺文(21)」
             ~光文社文庫~

 先月末から、NHKの連続ドラマとして放送されている「吉原裏同心シリーズ」。
 小出恵介と貫地谷しほり共演のドラマの原作は、ベストセラー作家・佐伯泰英の筆による。

 
021_640 豊後・岡藩の下級武士・神守幹次郎が、幼馴染の人妻・汀女と駆け落ちする。
 二人は日本各地を流浪したのち、吉原会所の7代目四朗兵衛と知り合い、その剣の腕前と人柄を見込まれて遊郭吉原の用心棒となる。
 吉原の遊女をめぐって様々な事件が起こるが、幹次郎の推理と剣、汀女の内助と会所の人たちの手で解決していくシリーズである。

018_640_2 「吉原裏同心」は11年前の初刊から読み続けているが、今回はその20巻(4月発売)21巻(6月発売)を一気に。

 
 1657(明暦3)年に、日本橋の葦原(元吉原)から現在の浅草寺裏の田圃に移転させられた新吉原誕生の因縁話が、「会所の頭取が襲われる」という事件の背景として物語られる。

 江戸で唯一の「公許遊廓・元吉原」の生みの親・庄司甚右衛門と幕府との約束、さらには新吉原移転の条件となった「五か条」の「遺文」。
 新吉原を乗っ取ろうとする幕府の一部の勢力との戦いが、描かれていく。

020_640 〈日本三大遊廓~京・島原、大坂・新町、江戸・吉原〉

 江戸時代に誕生した元・新吉原は後続だっただけに、島原の仕来りを模倣したものが多い。
 申楽 の太夫に倣って格上の遊女を名付けた「太夫」も、島原の「こったい(太夫)」から来たものだし、禿を従えての「花魁道中」も島原の「太夫道中」に倣っている。

240pxyoshiwara_circa_1872_640 しかし京の人たちは、島原と吉原は異なる遊廓だという。
 「あちらさんは体を売るが、こちらは芸を売る」と。つまり「娼妓」と「芸妓」の違いである。(写真は大正のころの吉原遊廓)

 たしかに島原の場合は、揚屋(お茶屋)の宴席に置屋から芸妓を呼ぶシステムであり、現在の祇園や上七軒に引き継がれている。
 そして吉原は、娼妓のいる妓楼に客は直接上がる。(初めの頃は、吉原にも揚屋があった)
 さらには、自由に街中に出かけた島原の芸妓と、囲まれた塀に閉じ込められた吉原の娼妓、などなど。

120104_107_640 その違いが、売春禁止法以後ソープランド街になってしまった「吉原」であり、今も観光客で賑わう京都の「花街」なのだろう。
 島原・輪違屋では、今も花扇太夫・司太夫・如月太夫の三人が客を待ち受けている。

 (掲載した島原の写真は、テレビ・ディレクターの友人が、先月京都に帰省したおりに撮ったものを拝借した)

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July 16, 2014

2504.7月のシネマ(2)

 今号は「日本映画」2本。
 ひとつは「善人」だけ登場する「山岳映画」、もう一本は登場人物全員が「悪人」という「バイオレンス映画」、全く対照的な作品である。

Img587_640    「春を背負って」(東宝映画)

 「剱岳 点の記」('09)に続く木村大作監督の2作目。
 同じく立山連峰を舞台にした山岳映画だが、厳しい山の自然を描いた「剱岳」に比べ、こちらは山の優しさ、その山に生かされる家族の物語である。 

348043_100x100_001 山小屋を経営する父親(小林薫)を遭難で失った息子(松山ケンイチ)、時代の先端を行くファンド企業を退職して母親(檀ふみ)を助け父の跡を継ぐ。

 慣れない仕事に戸惑う彼をサポートするのは、父の友人(豊川悦司)と父が山で助けた娘(蒼井優)。
 彼らの支えで、息子は一人前の山小屋の経営者に成長していく。

348043_100x100_011 「剱岳」に続く映画の企画に苦しんでいた木村が出会ったのが、笹本稜平の同名連作短編。
 「善人だけで映画を作る」ことに拘る木村、笹本の原作をベースにしながらも、予断の出来ない高山の自然を確実に映像化して物語を紡ぐ。

Director_photo 木村大作は、日本の映画界を代表するカメラマンである。
 森谷司郎監督の「八甲田山」('77)、降旗康男監督の「驛STATION」('81)「鉄道員(ぽっぽや)」('99)、阪本順治監督の「北のカナリアたち」('12)など、数々の名作を撮ってきた。
 私もたびたび彼に投票したが、日本アカデミー賞最優秀撮影賞には21回ノミネイトされ、5回受賞している。

348043_100x100_012 山好きだがもう登山は無理と、この映画で立山連峰の美しさを楽しんだ私だが、木村監督とは同い年。
 スタッフ・キャストの先頭に立って、厳しい山岳に挑む彼には頭が下がる。

Img601_640      「渇き。」(GAGA)

 「このミステリーがすごい」大賞を受賞した深町秋生のサスペンス・ミステリー「果てしなき渇き」が原作。
 アカデミー賞外国語部門日本代表ほか、日本アカデミー賞作品賞・監督賞を受賞した「告白」('10)の中島哲也監督が映画化した。

348084_100x100_011 謎の失踪をした高校生の娘(小松菜奈)の行方を追う、元刑事のロクデナシ親父(役所広司)。
 娘の行跡から見えてくるのは、薬や殺人など凶暴な犯罪の世界だった。
 やがて娘を追う親父もまた、狂気の世界へとのめり込んでいく。

Img602_640_2 親父の元同僚刑事(オダギリジョー)、元部下(妻夫木聡)、暴力団若頭(青木崇高)、精神科医(國村隼)、娘の同級生(二階堂ふみ・橋本愛)、担任教師(中谷美紀)・・・・・・・・、実力派俳優が演じる登場人物は全員悪人。

 皆ぶん殴られるか刃物で痛めつけられるか、そして殺されるか。
 決してハッピーエンドにはならない「ヒューマンドラマ」である。

348084_100x100_012_2 「パコと魔法の絵本」('08)や「下妻物語」('04)「嫌われ松子の一生」('06)で見せた、中島哲也監督の原色でエキセントリックな映像が、さらに過激でスタイリッシュに登場する。

 役所広司のハイテンションの大暴走が、なぜか滑稽で哀しく見えてくる。

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July 13, 2014

2503.麻美&アンドレイ~ピアノ・デュオ

001_640 連れ合いの友人の薦めで、久しぶりにクラッシクのコンサートに出かけた。
 会場は文京区のトッパンホール、ソロピアニスト・三宅麻美が8年前から始めた演奏会、「ショスタコーヴィチ・シリーズ」の第6回である。

Img607_640 今回はロシアの若手ソリスト、アンドレイ・コロベイニコフがゲストとして参加し、「2台のピアノで一つの音楽」を醸し出した。

 彼も彼女も、それぞれショスタコーヴィチのCDを出すなど、その演奏が高く評価されているソリスト、彼らが協力し合い競いあった演奏は素晴らしかった。

Th5rdj74bo2 三宅麻美は、東京藝大・国立ベルリン芸大大学院・イタリア国際ピアノアカデミーで学んだピアニスト。
 帰国後はソロや室内楽で演奏活動を続けており、日本では初めてのショスタコーヴィチCD「24の前奏曲とフーガ」を発売して高い評価を受けている。

Thc3ib79nj3 一方のアンドレイ・コロベイニコフは今年28歳、ロシア出身の異才のピアニスト。
 15歳で国立モスクワ音楽院(大学)に入学、イギリス王国音楽大学院終了後は国立モスクワ交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、NHK交響楽団など世界各地のオーケストラと共演している。

 また丸の内で5月に開催されている、「ラ・フォル・ジュルネオ・ジャポン(熱狂の日・音楽祭)」に毎年参加、日本でのフアンも多い。
 連れ合いの友人は、彼の日本での演奏活動をサポートする「アンドレイ友の会・日本」を主宰している。

Th1 今回演奏されたのは、ショスタコーヴィチが作曲した3作品。

 最初の曲は「交響曲 第9番 作品70(作曲者自身の編曲による4手連弾版)」(25分)、独ソ戦が終わった直後に書かれたもので「勝利の交響曲」と呼ばれる。
 戦争三部作の最後の作品で、有名なベートーベンの「第九」を意識してか軽妙洒脱な作品だった
 日本では、1948年日比谷公会堂で東京交響楽団が初演している。

 次の演奏曲「2台のピアノのためのコンチェルティーノ(小協奏曲) 作品94」。
 1953年、モスクワ音楽院でピアノを学んでいる息子マキシムのために書かれた10分の作品で、軽く奏でられる小品。
 マキシムは、現在ロシアで指揮者として活躍している。
 

 休憩を挟んで最後は「2台のピアノのための組曲 嬰ヘ短調 作品6」(30分)。
 彼が16歳(1922年)の時に作曲したもので、急死した父親に捧げた感傷的で美しい作品。
 「前奏曲」「幻想的舞曲」「夜想曲」「終曲」の4部構成で、最後は悲痛な葬送行進曲となる。

 二人のソリストが時に優しく、続いてパワフルに鍵をたたく。2台のピアノが向かい合って奏でるデュオ、はじめての体験だった。

Tham0y22n9_2 ここで、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906~1975)について若干のコメント。
 近くの区立図書館に出かけ資料を調べてみた。

 シベリウス、プロコフィエと並ぶ20世紀最大の音楽家。マーラ以来の交響曲作曲家として右に出る者はない、とある。

 ピアニストの母親の薦めで、ペテルブルグ音楽院でピアノさらには作曲をを学ぶ。
 映画館で無声映画の伴奏のアルバイトをしながら、1925年・19歳で「交響曲 第1番」を発表、国際的にも注目される。
 その後は歌劇やジャズに触発された「ピアノ協奏曲」など次々と発表して、ソ連を代表する作曲家となる。

 またピアニストとしても、ショパン国際ピアノコンクールに、ソ連を代表して参加するなど名声を博した。ソ連人民芸術家(48歳)、レーニン勲章受章(60歳)。

Thegskn7d82 彼の作品の中では「交響曲第7番 レニングラード」が有名だが、「交響曲10番」で体制を批判したとしてスターリンの怒りに触れ、「ジダーノフ批判」に晒されて音楽教授の職を奪われる。

 フルシチョフ時代に復権するがブレジネフ時代には再び批判を。まさに「社会主義リアリズム」に翻弄され、度々弾圧されたソ連の芸術家の象徴ともいえる存在である。

 その後アメリカで公刊された「ショスタコーヴィチの証言」により、彼の反体制音楽家としての葛藤や悲劇が知られ、欧米ではその姿勢が高く評価されている。

 1975年、彼は「交響曲第16番(作品147)」の作曲の途中逝去。この作品はスケッチしか残っていない。

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July 10, 2014

2502.7月のシネマ

 先週見た外国映画2本、いずれもハリウッドとヨーロッパの製作プロダクションとの合作である。
 最近日本で公開される機会の多いハリウッドのSF・超未来の大作に比べると、濃い人間ドラマを楽しめる。

Img603_640      「サード・パーソン」

 イギリス・アメリカ・ドイツ・ベルギーの共同制作作品。
 3つの都市、3組の男女を主人公にした物語が、断片化して綴られていく群集劇である。

348677_100x100_005 パリを舞台に描かれるのは、スランプに陥ったピューリッツァー賞受賞作家(リーアム・ニーソン)と作家志望の愛人(オリヴィア・ワイルド)との愛と裏切りの物語。

348677_100x100_003_2 ローマが舞台となるのは、いかがわしいアメリカ人ビジネスマン(エイドリアン・ブロディ)が惚れたロマの女(モラン・アティアス)の、子供を巡る愛と信頼の物語。

 そしてニューヨーク、ホテルで働く元女優(ミラ・クニス)とアーチストの元夫(ジェームス・フランコ)の、子どもの愛の奪い合いが描かれる。
 最後には、三つの物語が収斂するのだが、その解釈は「サード・パーソン」でもある観客に任される。

190pxpaul_haggis_by_david_shankbone 50回も脚本を書き直し映画を撮ったポール・ハギス(右)は、これまで自分が書いた本の中では最高の作と自負する。
 確かに凝った構成と物語の巧みな交錯は、スリリングで観る者を飽きさせない。

51hydtjxjal__sl500_aa300_ ポール・ハギス60歳、カナダ出身の脚本家・プロデューサー。自ら製作会社を経営する。
 脚本を書いた「ミリオンダラー・ベイビー」('04)がアカデミー賞作品賞受賞、初めて監督も兼ねた「クラッシュ」('05)では作品賞・脚本賞を受賞している。

Img588_640         「ラスト・ミッション」

 こちらは、ハリウッドが「Europa Corp」と組んだ作品。コープの社長リュック・ベッソンが原案・脚本を書いて、往年の大スターのケビン・コスナーが8年ぶりに主役を演じた。

348872_100x100_004 脳腫瘍で余命3ヵ月と宣告されたCIAのベテラン・エージェント(ケビン・コスナー)。
 愛する娘(ヘイリー・スタインフェルド)と残された時間を過ごそうと、引退を決意してパリに戻ってきた。

 しかし、凶悪なテロリストを仕留められるのは彼しかいないと、CIAは女エージェント(アンバー・ハード)を送り込む。
 代償は脳腫瘍治療の試薬、思春期の娘に振り回されながらも、彼は史上最高の危険なミッションに向かっていく。

Th 「アンタッチャブル」('87)で財務省特別捜査官に扮し、ショーン・コネリーやロバート・デ・ニーロを相手に正義感溢れる主人公を演じたケヴィン・コスナー。

Thqo02iqa9_2 この作品でスターの座を確保した彼が、監督デビューしたのが「ダンス・ウイズ・ウルブス」('90)。
 映画はアカデミー賞12部門にノミネイトされ、作品賞・監督賞・脚本賞など6部門を受賞し、コスナーはハリウッドの頂点に立った。

 以後「JFK」('91)「ボディガード」('92)「ワイアット・アープ」('94)「13デイズ」('00)などに主演して、我々の目を楽しませてくれた。

 今回コンビを組んだリュック・ベッソンも、「ニキータ」('90)「レオン」('94)の脚本・監督で知られるフランス映画界の大御所。
 今ではプロデューサーとして若手を育成、「TAXIシリーズ」や「トランスポーター・シリーズ」でヒットを飛ばしている。

348872_100x100_001 監督は「ブラック&ホワイト」('12)のマック・G。
 よれよれのジーンズ姿からビシッと決めたダークスタイル、久々の華麗なガン捌きを見せたケヴィン・コスナーに、「アンタッチャブル」以来のファンである連れ合いも満足したようだ。

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July 07, 2014

2501.入谷朝顔まつり

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 「桔梗咲き」「牡丹咲き」「斑点紋」・・・・・、およそ8万鉢の朝顔が並ぶ。

 ここは、入谷の佛立山眞源寺の境内と参道。
 「恐れ入谷の鬼子母神」と、江戸の粋人・大田蜀山人が狂歌をひねったあの寺である。

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 朝顔の種は、原産地中国で「牽牛子(ケンゴジ)」と呼ばれる。

 そこでその名に因み、毎年7月6日~8日に市を開く。
 「牽牛星」と「織姫星」が出会う七夕に。

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 江戸の頃から、この地では朝顔の栽培が盛んだった。
 「入谷の田圃」と呼ばれる土壌が栽培に適しており、近くの御徒町にすむ御家人たちが、内職として朝顔を育て「珍品・奇品」を競っていた。

024_640023_640 嘉永・安政の頃には、入谷在の植木職・成田屋留次郎が、江戸だけではなく上方の朝顔もふくめカタログを出版してPRしている。

033_640_2 歌舞伎・成田屋のシンボルカラー、柿茶色の花が咲く「団十郎」がいまでも評判なのは、そんな縁からか。

 今年もまた、「団十郎」を一本加えた4色咲きを買って帰る。

 「4色」は一鉢2000円、「団十郎のみ」は3000円、「小鉢」1000円。
 120店が軒を並べる参道を冷かしながら、夏の始まりを楽しんだ。

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July 05, 2014

2500.ブログ2500号

004_640 ブログ「かせだプロジェクト」が、今日の更新で2500号となった。
 10年ほど前に若い友人に勧められ、65歳の誕生日を機に始めたウエブへのトライだった。

 世の中の動きに好奇心を持ち、文章を考えながらキーボードの上で手先を動かす、「老化防止」の妙薬だと友人が持ち上げた。

 上の写真がその第1号だが、「かせだ」とはわが故郷の名、その頃に同窓の仲間とはじめた「焼酎バー・黒瀬」の社名でもあった。

001_640 以来2500回、旅・散策・イベント・祭り・集い・展覧会、映画・歌舞伎・能狂言・音楽会など、参加して、見て、聞いて、歩いて、しゃべった事を、忘備録を兼ねて綴ってきた。

016_640 左は、パソコンには一切手を触れない連れ合いのために、「ハードコピー」したブログ集である。
 1年に1冊、既に10冊目となった。

 長く続けていると、同じイベントや祭りの掲載に躊躇するようになる。
 季節の区切りをつけるために、公園の草花なども紹介しているが、これも惰性となってしまう。

 結局、毎回「初めて体験する」新作映画の紹介が多くなる。それも当初は15~20行だったものが、今では40~50行と長文になってしまった。
 現役時代の関わりから友人・知人に映画関係者が多く、今でもチケットをもらったり製作の苦労話を聞くからだ。
 それにしても、肩に力が入りすぎたようだ。

 数年前からはじめた「フェイスブック」の影響もあるようだ。
 ちょっとしたイベントや、日常の風景や話題はこちらにアップする。顔の見える仲間たちとの、情報交流が面白いからかもしれない。

Img600_640 久しぶりに梅田望夫の「ウェブ進化論」(ちくま新書)と、中川淳一郎の「ウェブはバカと暇人のもの」(光文社新書)を再読した。
 7~8年前に書かれたこの本は、いずれもソーシャルメディアの「光と影」を論じたものである。

Img599_640 さらに昨日は、長澤秀行の「メディアの苦悩」(光文社新書)を手に取った。
 ネットの世界では「オワコン」(終わってしまったコンテンツ)と呼ばれるテレビ局で仕事をしてきた人間にとって、スマホに代表されるネットメディアの将来を考えてみたかったからだ。

 それはともかく、私の「かせだプロジェクト」も初心に戻って、もう少しラフに発信していこうと思っている。
 鑑賞した映画の紹介も短文にして1回に2~3本纏めるとか、これまでほとんど紹介してこなかった愛読している時代小説も。

 そして更新のペースも、週2~3回としよう。

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July 03, 2014

2499.ノア~約束の舟

Img586_640 「視よ 我洪水を地に起こして 凡て生命の気息ある肉なる者を天下よりほろぼし断たん 地にをる者は皆死ぬるべし」(舊約聖書・創世記第6章17)
 「エホバ ノアに言いたまひけるは 汝と汝の家族みな方舟に入るべし」(第7章1)

170pxdove_sent_forth_from_the_ark ユダヤ教とキリスト教、さらにイスラム教の聖典でもある「旧約聖書」、その創世記第6~9章に書かれている「ノアの箱舟伝説」。
 アカデミー賞にノミネイトされた「ブラック・スワン」('10)の監督ダーレン・アロノフスキーは、その数ページの記述から発想をふくらませ、壮大なスペクタクル・人間ドラマを生み出した。

347738_100x100_003 堕落し地上に悪をはびこらせた人間を、地上から抹殺すべし、とエホバから啓示を受けたノラ。
 無垢の動物たちだけは助けようと、長い年月をかけ巨大な箱舟を建造しるノラの家族たち。
 三層の箱舟には鳥や獣たちが続々と乗り込んでいく。そして起こる大洪水・・・・・。

347738_100x100_005 誰もが知っている「ノアの箱舟」の物語は、誰も見たことのない「家族のサバイバル物語」としてスクリーンに登場した。
 聖書通りのエピソードも描かれてはいるが、アロノフスキーはノアとその家族のキャラクター設定に大胆な解釈を加えた。

347738_01_03_03 箱舟造りに取り憑かれ狂信化していくノア、新たに善のシンボルとして登場させた長男セムの許嫁イラ、ノアの独善と対立する次男ハム、家族を守るためにはノアにも抗する妻ナーマ。
 そして血脈を残そうとする祖父メトシェラ。

 救世主としてではなく一人の人間であるノアと家族との葛藤、さらには生き残る側の罪の意識がリアルに描かれることで、クライマックスにむかう。
 「創世記」をのり超えた「創作」に、ユダヤ教徒やクリスチャンから異議申し立てがあったとしても、仕方ないだろう。

347738_100x100_007347738_100x100_001 出演は、ラッセル・クロウ(ノア)、ジェニファー・コネリー(妻ナーマ)、アンソニー・ホプキンス(祖父メトシュラ)と、オスカー俳優の3人(「グラディエーター」'00、「ビューティフル・マインド」'01、「羊たちの沈黙」'91)。

 加えて「ハリーポッター・シリーズ」のエマ・ワトソンがヒロイン・イラ、「ウオール・フラワー」('12)のローガン・ラーマンが次男ハムと、若手が顔を並べた。

347738_100x100_004_2 アイルランドのオープンセットに造られた「ノアの箱舟」は、聖書の記述通り全長300キュピト(133m)幅50キュピト高さ30キュピトの三層建て。
 この巨大な箱舟を、ノアの家族に協力して造ったのは堕天使「ネフィリム(巨人)」といいうのも、アロノフスキー監督の創作である。

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July 01, 2014

2498.世界報道写真展

001_640 世界を巡回中の「世界報道写真展2014」が、今年も東京都写真美術館で開催中。
 世界中のフォト・ジャーナリストやドキュメンタリー・カメラマン5,754人が応募した98,671点から大賞などを受賞した62組のパネルが展示されている。

Img589_640_3  右の写真が、今年の「世界報道写真大賞」作品。
 アフリカ・ジブチの夜の海岸、携帯電話を掲げて隣国ソマリアからの安価な電波を捉えようとする出稼ぎ労働者たちを撮ったもの。
 こうして彼らたちは、母国に住む家族たちと声を繋いでいるのだ。

 ジョン・スタンマイヤー(アメリカ)が、ナションル・ジオグラフィック誌に発表した写真。

Img597_640 左は「観察肖像の部・単写真1位」。
 南アフリカのマンデラ元大統領の葬儀に駆けつけたが、棺の公開安置に間に合わずがっかりする女性。
 AP通信のマーカス・シュライバー(ドイツ)の撮ったもの。

Img590_640_3 右は「演出肖像の部・単写真1位」。
 目が不自由なアルビノ(先天性色素欠乏症)の少年たちを、インドの盲学校で撮ったブレント・スタートン(南アフリカ)のルポルタージュ写真。

Img592_640 
 左は「スポットニュースの部・単写真1位」。
 8000人の犠牲者をだした観測史上最大のサイクロン「ハイエン」、フィリッピン・レイテ島で追悼行事に参加した生存者たちの写真。
 AFP通信フィリップ・ロペス(フランス)が撮った。

Img593_640 右は「自然の部・組写真1位」。
 ロサンゼルスの公園内を歩くクーガーの姿を、仕掛けカメラで撮った。個体数減少で問題になっているアメリカ西部に生息するクーガーの写真である。
 スティーブ・ウインター(アメリカ)が、ナショナル・ジオグラフィック誌に掲載した組写真の一枚。

Img595_640 左は「スポーツ・アクションの部・単写真1位」。
 ポーランドで開催されたスキー回転競技者。
 ポーランド通信社アンジェイ・グリギエルの作品。

 ご覧のように、今年は戦争や内乱の写真が少ない。
 昨年は、ガザでイスラエル軍に殺された子どもの葬儀の写真が大賞に選ばれたが、今年はシリアの内戦の写真が5点(組)と中央アフリカの混乱を写した1枚だけである。

Img591_640 「グローバルな視点」「ジャーナリズムの力」「写真自体の力強さ」が、審査の基準だという。
 「同じ時代、同じ空の下」で何が起こっているか、今年の「世界報道写真展」のキャッチフレーズである。

 写真展は、8月3日まで恵比寿の「東京都写真美術館」で。
 観覧料は一般800円だがシニアは400円、それも「大人の休日倶楽部」会員だと320円になる。

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