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November 30, 2014

2551.晩秋・木場公園

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 左から秋を代表する落葉大木「イチョウ(銀杏)」、あの「ぎんなん」の親。
 公孫樹・鴨脚樹と洒落た呼び方もある。

 続いて「イロハモミジ」、関西では京都・高尾が有名なので「高尾紅葉」ともいう。

063_640_2069_640_2 左の写真は同じモミジの仲間だが、その色付きで「ヤマモミジ」「ノムラモミジ(濃紫紅葉)」と名付けられている。

 上の写真3番目が「ハゼノキ」、蝋を採るために江戸時代栽培が盛んになった。
 藩の財政を立て直すために、強制的に植えさせられたところもある。
 そして「モミジバフウ(黄葉葉風)」、同じカエデ科だが葉が黄色い。「黄葉」と書いてモミジと読ませるのが面白い。

029_640034_640 「バフウ」みたいに、秋になって葉が「黄葉」するのは「カロチノイド」という成分が多く含まれている落葉樹。
 「イロハモミジ」のように「紅葉」するのは、「アントシアン」が多いからだそうだ。
 と、木場公園の解説板に書いてあった。

081_640094_640 深川にある「都立木場公園」。
 仙台堀をはさんで南北に拡がる公園は、江戸の頃開かれた材木の集積地。
 運河が掘られ各地から運ばれてきた木材は、水中に保管された。

084_640_3080_640 40数年前に貯木場は新たに埋め立てられた「新木場」に移転、ここは防災拠点としての都立公園になった。
 総面積はおよそ24ヘクタール、北側には「都立現代美術館」、地下の一部は大江戸線の車庫となっている。

 公園を歩いて、さらに「晩秋の色」を探してみよう。

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 左から「ドウダンツツジ」「ザクロ」「アンズ」「カリン」。

052_640_2 燃えるような赤色の「ドウダンツツジ」は、「灯台躑躅」とも書く。枝の形が灯台の脚に似ているからだというが、よくは判らない。
 「ドウダン」は「トウダイ」が訛ったとのこと。

 「ザクロ」「カリン」「アンズ」とも薬用酒に使われる。「アンズ」の英名は「アプリコット」だが、和名では「唐桃」「加良毛々」などと洒落て呼ぶ地域もある。

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 大木では「ヤマザクラ」「コナラ」「「センダン」「クヌギ」。

121_640111_640_2 「ヤマザクラ」もきれいに「黄葉」し、「クヌギ」の下にはドングリが落ちていた。
 先週の「氷雨」と昨日の強風で、かなり落葉しているが、まだまだ木場公園の紅葉は見ごろだ。

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November 27, 2014

2550.11月のシネマ(4)

あらゆる困難を、ガンと筋肉で解決してきた世界のアクションスターたち。しかし彼らにも「老いの影」は忍び寄る。
 彼らの、そして最後?の闘いを描いた最近の作品から。

Img846_640  「エクスペンダブルズ3」

 CIAの傭兵部隊「エクスペンダブルズ=消耗品」の活躍を描くアクション・シリーズ3弾は、南アフリカ~ソマリア~メキシコ~ニューヨーク~モクスワ~ブカレストと、世界を舞台にした「ワールドミッション」。

 世界のアクションスター、ドル箱スターたちが勢揃いして奇跡の熱演で覇を競う。

349219_007 消耗軍団のリーダーは、シルベスター・スタローン(イタリア系アメリカ人・「ランボー」シリーズ68歳)。
 その片腕が、ジェイソン・スティサム(イギリスの飛び込み選手・「アドレナリン」シリーズ47歳)。

 配下は、ドルフ・ラングレン(スエーデンの極真空手の黒帯・「レッド・スコルピオン」57歳)にジェット・リー(中国の武術家・「HERO」51歳)。
 新た加わったのがウエズリー・スナイプス(アフリカ系アメリカ人・「デモリションマン」52歳)、脱税で3年の実刑判決を受け昨年釈放されやっと撮影に参加出来た。

349219_004 彼らを雇ったCIAの作戦責任者は、ハリソン・フォード(アイルランド系アメリカ人・「インディ・ジョーンズ」シリーズ72歳)。
 軍団をサポートするアーノルド・シュワルツェネッガー(オーストリア系のボディ・ビルダー・「コマンドー」67歳)という顔ぶれ。

349219_006 さらにジュニア・消耗軍団も結成される。
 アントニオ・バンデラス(スペイン・「マクス・オブ・ゼロ」)をはじめ、アメリカの総合格闘技王者のランディー・クートウオと女子王者のロンダ・ラヴジーなどなど。

349219_003 そして最強の敵は、消耗軍団の創設者の一人でもあったメル・ギブソン(オーストラリア出身・「リーサル・ウエポン」58歳)。
 CIAの冷たい仕打ちに怒って、今や世界を股にかけた悪徳武器商人になって、軍団に立ち向かったのだ。

349219_002 肉弾戦・銃撃戦・列車暴走・ビル崩壊、いつもの様に派手なアクションの連続だが、今回も脚本を書いたスタローンのテーマは「老い」と「世代交代」。
 刑務所収監やDV騒動など、アクションスターたちの私生活をネタに出来るのも、スタローンの人脈と人徳からだろう。

 難しく考える事無く、「老いも若きも」「俺が俺が」とアクションを競う2時間超を楽しむ。
 監督は、オーストラリアのパトリック・ヒューズ(「レッド・ヒル]'10)。

Img850_640   「イコライザー」

 
 「エクスペンダブル」とは異なり、こちらはたった一人で悪を退治する元CIAエージェント。
 引き受けた裏仕事は20秒以内に仕留める男は、60歳のデンゼル・ワシントン。
 故・藤田まことが演じた「必殺仕置き人」のハリウッド版といっていい。

349444_010 監督はアントワーン・フークア、デンゼルがアカデミー賞主演男優賞を受賞した「トレーニング・デイ」('01)でコンビを組んだ彼である。

 ホームセンターの従業員をしている彼が、偶然知り合ったのがロシア出身の少女娼婦。
 ロシアマフィアに虐待されていた彼女を救い、彼らを殲滅させる仕事を引き受けた「必殺仕置き人(イコライザー)」のアクションは如何。

349444_004 少女娼婦を演じたクロエ・グレースが光る。
 「キック・アス」('10)でアクション子役!に目覚めた彼女が、ジョニー・ディップと共演した「ダーク・シャドウ」('12)そして今回の娼婦と、芸域を広げてきた。
 まだ17歳である。

349444_013 スタローンたちのような派手なアクションはないが、演技派らしいデンゼルのクールなアクションもいい。
 敵役はニュージランドの俳優マートン・ソーカス、「パパの木」('13)とは全く正反対の憎々しい役柄だった。

Img851_640  「バトルフロント」

 こちらも一人娘を守りながら、たった一人で悪と対決する元麻薬捜査官のアクションである。

349059_001_640 製作・脚本はシルベスター・スタローン、当初は自ら主演するつもりだったが、体力を考えてかジェイソン・スティサムに譲った。
 「エクスペンダブル2・3」で、スタローンの片腕となったスティサムの才能に惚れ込んだからだ。

 アクの強いジェームズ・フランコやウィノナ・ライダーら敵役を相手に、47歳の若さ!を爆発させた。
 監督はサスペンスに強いゲイリー・フレダー(「ニューオリーンズ・トライアル」('03)。

Img852_640  「サボタージュ」

 「エクスペンダブル3」ではアクションを抑えていたアーノルド・シュワルツエネッガーが、今回は主役。

 麻薬取締局特殊部隊のリーダーとして、麻薬カルテルへの奇襲作戦を実行する。
 悪の制圧には成功したものの部下を次々と暗殺され、怒りに狂ってシリアルキラーを追うサスペンス・アクション映画。

349347_003 監督のデヴィッド・エアーは、デンゼル・ワシントンがアカデミー賞を受賞した「トレーニング・デイ」の脚本を手がけた人物。
 徹底的なリアリズムに拘って、壮絶なガンファイト、カーチェイスを映像化して、「老いた」シュワルツェネッガーを元気にしている。

 この2~3か月に見たハリウッド・アクション映画は、他にリーアム・ニーソン主演の「フライト・ゲーム」がある。

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November 24, 2014

2549.中世鎌倉の遺産・「やぐら」探訪

07_0121_u034_64020120415jkm_1737_640 岩山の中腹に掘られた「やぐら」、寺院の裏山に築かれた「やぐら」、鎌倉を中心に六浦・藤沢など、これまでに1.191窟の存在が明らかになっている。

 今月の「ひとまくウオーキング」は、中世鎌倉の遺産と言われる「やぐら」5か所を探訪した。

008_640001_640 最初に訪ねたのは「西瓜ヶ谷のやぐら」。
 個人住宅の庭先を抜けて裏山に登ると、「通称十四やぐら」がある。
 かって寺院のあった森全体が遺跡で、多くの埋蔵物が出たところである。

018_640013_640 ここには、大小三つほどの窟があり、「五輪搭」や「板碑」が並ぶ。

 「やぐら」とは、鎌倉時代中期から室町時代前期に築かれた「横穴式の納骨窟」や「供養堂」をいう。
 平地の少ない鎌倉が人口増に対処するために、平場の墓地を廃し山の斜面や寺院の奥、武家屋敷の裏山などに洞窟を掘った。

014_640007_640 一説には、1240(仁治元)年に出された墓地禁止令「新御成敗状」がその理由だとするが、異論も多い。

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 谷をひとつ越えた「東瓜ヶ谷やぐら」は5か所の窟で、最も大きい「1号穴」は畳20畳の広さ、壁面には「阿弥陀如来坐像」や「地蔵菩薩蔵」が彫られ、中央には「地蔵菩薩」の坐像が置かれている。

029_640037_640 この一帯からは、処刑場跡や火葬場跡が見つかっており、そうした人たちの遺灰が、洞窟奥の納骨穴に納められたのだろう。

 道なき道をロープでよじ登っての探訪、なかなかきつかった。
 こんな場所に掘られたため、石仏も盗まれず遺跡として残っているのかも知れない。

092_640081_640 寺院の裏山に掘られた「やぐら」は、豪華だ。
 代々の住職や檀家を葬ってあるだけに、きれいに整備されている。

 前回の「ひとまくウオーキング」で訪ねた萩寺「海蔵寺」、今回は書院に案内され、庭園越しに「やぐら」を参観した。

109_640100_640 「東林寺跡やぐら」は、浄光明寺檀家の一般墓地と混在している。
 東林寺は律宗寺院、「やぐら埋葬」の風習が律宗の布教によって始まったとの説もあり、ここには「船底形天井やぐら」や「二階建てやぐら」など珍しいものが残ってる。

097_640 1000を超える「やぐら」の中で、寺院以外はほとんど被葬者は判っていない。
 東勝寺跡「腹切りやぐら」の北条高時墓もあくまで「伝」、寿福寺裏山の「やぐら」も北条政子・源実朝の墓ではなく、後に造られた供養塔である。

 写真の「相馬師常墓やぐら」だけは、被葬者が知られている珍しい「個人やぐら」と言われる。
 師常は頼朝の重臣・千葉常胤の次男、相馬野馬追で知られる陸奥・相馬藩の祖である。

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 天候に恵まれた晩秋、ウオーキングならぬ岩山登りにトライした一日だった。
 万歩計は、15.548歩を記録していた。

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November 21, 2014

2548.11月のブックから(2)

Th_640   「鎌倉河岸捕物控」(ハルキ文庫)

 先週25巻目にあたる「新友禅の謎」が刊行、佐伯作品では「居眠り磐音」「密命」につぐ息の長い作品。
 4年前には、NHK土曜劇場でドラマとして放送された。

Img767_640 物語の舞台は、家治没して一橋家から家斉を11代将軍として迎えた1787(天明7)年から寛政にかけての頃である。

 江戸一番の御用聞き、金座裏9代目親分・宗五郎の跡継ぎとなった政次が主人公。
 呉服屋の手代から十手持ちとなったイナセな男、佐伯作品では初めて町人をヒーローにして、江戸の町裏で起こる様々な事件を裁く。

 吉宗の孫・陸奥白河藩主松平定信による「寛政の改革」の時代、「石川島に人足寄場」「火盗改め鬼平」が活躍した時代とも重なる。

Thlz20ojqq_640   「吉原裏同心」(光文社文庫)

 6月に刊行された「遺文」が21巻目、語られる時代は「鎌倉河岸」と同じ寛永の頃。

 幼馴染だった人妻と手に手を取り合って逐電した、元岡藩藩士・神守幹次郎が主人公。
 眼志流居合の秘剣と薩摩示現流の遣い手である。

Thwwtlqa6n_640 江戸に出て吉原会所の7代目・四郎兵衛と知り合い、その腕を買われて「裏同心」となる。
 敵役は、鎖鎌の遣い手の女武芸者など老中・松平定信に追われた田沼意次の残党。
 こちらも、今年の6月NHK木曜時代劇で放送された。

 「吉原炎上」「天明の大飢饉」「大坂天満の打ちこわし」、格差社会が広がった時代。

51m1dttrfwl_640   「酔いどれ小藤次留書」(冬幻舎文庫)

 50年と最も長い将軍だった家斉の晩年(1800年代はじめ)を舞台に、 主君の無念を晴らすために、密かに脱藩した厩番・赤目小藤次が暴れまくる。

 砥師に身を窶しているが、小藤次ぐは「来島水軍流」の遣い手。佐伯作品には珍しい、風采の上がらない中年男が主人公になった。

Th9_640 敵役は、佐賀・鍋島藩(支藩)の剣術指南や赤穂藩・丸亀藩・臼杵藩の過激派、さらには雇われた圓明流の浪人たちである。

 先月にも紹介したように、19巻目の「状箱騒動」で筆が止まっていたが、この8月「新・酔いどれ小藤次~神隠し」としてシリーズが1年ぶりに再スタートした。
 テレビの方は、昨年「正月時代劇」として放送されている。

Img838_640_2   「夏目影二郎始末旅」(光文社文庫)

 15巻目の「神君狩り」でシリーズが完結したことは、既に紹介した。
 時代は12代将軍家慶の頃、浜松藩主・水野忠邦が老中として「天保の改革令」(1841年)を発したあたりから物語は始まる。

Th2hrazvbo_640_2 忠邦配下の勘定奉行の息子だが、妾腹のため家を飛び出し素浪人として長屋住まいをしている夏目影二郎が主人公。

 「位の桃井に鬼が棲む」と巷で噂された鏡心明智流桃井道場一の遣い手で、遠山金四郎や国定忠治、7代目市川團十郎などとの交流が深い。

 敵役は、忠邦配下の南町奉行・鳥居耀蔵や腐敗した八州廻り、悪徳商人。
 

 「諸国大飢饉」「大塩平八郎の乱」「蛮社の獄」、そして天保の改革に失敗した忠邦は失脚する。

Img764_640    「交代寄合伊那衆異聞」(講談社文庫)

 ドラマ「篤姫」で有名になった13代将軍家定の時代(1850年代)に始まり、9月刊行の第21巻「暗殺」では桜田門の変が描かれる。

 伊那谷を領する直参旗本の若者、座光寺藤之助が主人公。
 勝麟太郎の長崎海軍伝習所で剣術教授を務めた信濃一伝流の名手で、老中・堀田正睦の命を受けアメリカ総領事の江戸登城の護衛を務めたこともある。

 長崎で豪商・高島家の孫娘と恋におち、共に「東方交易」に参画して上海・マラッカ・ペナンまで活躍の場を広げる。

Thwxzmrmwi_640 タイトルとなった「交代寄合」とは、知行高一万石未満の旗本ながら大名と同じく老中支配に属し、参勤交代を義務付けられた美濃衆・三河衆・信濃衆など30余家をいう。
 
 実在の座光寺家は1.113石、伊那の知行地で関所や河川の管理に当たっていた。

 物語では、幕府によって家を召上げられた座光寺一族が、山の民から海の民として生きていくことになる。
 まだまだシリーズは続くようだが、明治維新でどう話が展開するか楽しみである。

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November 18, 2014

2547.日本国宝展

Img800_640  東京国立博物館で開催される「日本国宝展」、平成に入って3回目の展覧会である。
 今回は、871点ある国宝・美術工芸品の中から119点が前・後期と期間限定で展示された。

001_640_2 テーマは「祈り」。
 古代から日本列島に住む人々が創り出し継承してきた文化遺産、その中から人々の「祈り」が凝縮されたさまざまな「かたち」を揃えた。

 人々が「祈り信じた力」が、どのような形を結び今に伝わるのか、国宝と私たちの対話を試みている。

 芸術の秋、「日本の宝」をゆっくり鑑賞するために上野の杜に足を運んだ。

 見どころを紹介しよう。

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 「国宝の土偶5体が勢揃い!」

 これまで全国各地で見つかっている土偶は2万点、上記左から「縄文のビーナス」(長野・茅野)「中空土偶」(北海道・函館)「縄文の女神」(山形・舟形)、右の「仮面の女神」(長野・茅野)、そして左下の「合掌土偶」(青森・八戸)、いずれもBC3000~1000年のものである。

Img798_640_2 国宝に指定されているこれらの土偶には、いずれも縄文人の精神性や造形力、なかでも美意識は遺憾なく表現されている。
 それぞれが、発掘された地元の考古館などで保管されており、一堂に集まるのは初めてだろう。(「合掌土偶」「縄文のビーナス」以外は、11.21~12.7のみ展示)

 「今と明日のユネスコ記憶遺産が登場!」

 展示されているのは、既に記憶遺産に登録されている「慶長遺欧使節関係資料」(仙台市博物館蔵)の「支倉常長像」と「十字架」、17世紀のものである。

 また来年の登録を目指しているのが、「東寺百合文書」(京都府総合資料館蔵)。今回はそのなかから「後醍醐天皇論旨」や「足利尊氏御判後教書」「関東裁許状」など平安時代から室町時代までの12点が展示されている。
 百合文書は、東寺の宝蔵に保管されていた24.007点の寺院文書で、'97年に国宝に指定された。

Img782_640_3  「彫刻の国宝ニューフェイス」

 国宝展のポスターやリーフレットで紹介されているのが、可愛い顔した「安倍文殊院の善財童子」。
 鎌倉時代に快慶が彫った「騎獅文殊菩薩像」と、それをとりまく善財童子立像・優填王像・仏陀波利三蔵像、いずれも昨年国宝に指定された仏像で、こうして展示されたのは初めてである。

Img849_640_2 「国宝の建造物が展示室内に?!」

 奈良・元興寺極楽坊五重小塔は、奈良時代8世紀に建てられた塔。
 高さは5m50センチ、本格的な建造物工法で築造されたもので、展示室内に置かれたのはもちろん、東京にやってきたのも初めてである。

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 このほか、お馴染みの国宝の数々が並ぶ。

 右は奈良・法隆寺蔵の「玉虫厨子」、飛鳥時代・7世紀の作品で4面に描かれた仏教絵画は素晴らしい。

Img788_640 日本古代史上最も著名な「漢委奴国王」(かんのわのなのこくおう)が刻まれた「金印」は、今日から今月いっぱいだけの期間限定展示。
 福岡の志賀島から出土したこの金印は、弥生時代・1世紀のものである。

Img792_640 また京都・三千院阿弥陀堂の脇侍、「勢至菩薩坐像」(左)「観音菩薩坐像」(右)は平安時代の仏像。
 これまでも度々お会いしてきたが、この卓越した造形美は何度見ても飽きない。

Img786_640 今回の国宝展に展示されている絵画・彫刻・工芸・典籍等は、過去の展覧会や寺院で鑑賞したものが大半を占めるが、「祈り、信じる力」のテーマのもと新たに構成されることで、私は再び日本文化の素晴らしさに感動を得た。 
 月末に展示替えもあるので、再度足を運ぶ予定だ。

 「日本国宝展」は、12月7日まで東京国立博物館・平成館で。観覧料は1.600円。

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November 15, 2014

2546.11月のシネマ(3)

  最近見たヨーロッパを舞台にした作品を2本、「現代編」と「戦中編」である。

Img814_640  「誰よりも狙われた男」

349727_001_640 舞台は現代のドイツ港湾都市ハンブルグ。
 ドイツ諜報局のテロ対策チームを率いる熟練のスパイ(フィリップ・シーモア・ホフマン)が主人公。
 イスラム過激派として国際手配されているチェチェン出身の男(グレゴリー・ドブリギン)を泳がせ、テロ組織への資金援助ルートを叩こうと諜報戦を繰り広げる。

349727_003_640 しかし作戦は、CIAドイツ支局長(ロビン・ライト)らの思惑によって、組織の上司からも裏切られる。
 部下(ニーナ・ホス、ダニエル・ブリュール)や人権派弁護士(レイチェル・マクアダムス)らの協力を得ながらも、己の信念を貫こうとする主人公の哀愁を人間臭く描いていく。

200pxjohn_le_carre_640 イギリスのスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの「A MOST WANTED MAN」が原作。
 オクスフォード大学卒業後、イギリスの諜報機関MI6に勤務、外交官を隠れ蓑にしてドイツでスパイ活動を経験しただけに、この作品もリアリティがある。

349727_005_640 「寒い国から帰ってきたスパイ」('65)「ナイロビの蜂」('05)「裏切りのサーカス」('11)など、ル・カレの小説の映画化は今回で8作目。
 スーパーヒーローではない中年のうらぶれた男が主人公で、奇抜なアクションや暴力シーンがないのが特徴で、大人のスパイ映画と言われる。

349727_008_640 キャストは渋くて豪華である。
 
 ドイツ・アメリカのベテラン俳優たちが競う。
 監督もまたオランダ出身のアントン・コーピン(「ラスト・ターゲット」'10)と、ヨーロッパを舞台にした作品を撮り続けてきたベテランである。

349727_002_640_2 しかし何といっても、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技が印象に残る。

349727_007_640_2 自ら設立したプロダクションで撮った「カポーティ」('05)でアカデミー賞主演男優賞を受賞、近年は「マネーボール」('11)「ザ・マスター」('12)などで鬼気迫る演技を見せていた。

 その彼が、この作品の撮影終了直後に薬物中毒で死去、多くの映画ファンに衝撃を与えた。
 ドイツ系アメリカ人のホフマンの最後の舞台が、ハンブルグだったことに、何か因縁を感じる。

349727_004_640 作品のプロデューサーのひとり、スティーヴン・コーンウエルは報道写真家・脚本家として知られるが、原作者のル・カレの息子。
 作品の考証など、父親の小説の映画化にはいつも協力している。
 

 ロシア出身の俳優ドブリギンが演じたチェチェンの若者は実在の人物で、CIAによってテロ容疑者とされたドイツ在住のトルコ人。
 カレ親子との交流もあり、彼の弁護士の協力で原作は書かれている。

Img775_640_3  「悪童日記」

 第二次世界大戦の末期のハンガリー、「死が日常」だった荒んだ時代、戦時下の田舎村に疎開してきた双子の兄弟が、「戦争と暴力」を教科書として成長していく姿を、二人の「日記」で描いていく作品。

349529_004_640 双子のサバイバル物語だが、不条理な現実の中で生き抜くためには、被体験して学んだ「暴力行為」を繰り返すほかなかった。

 原作は、ハンガリー出身の亡命作家として知られるアゴタ・クリストフ(1935~2011)。

Thrdt92yec_640 '56年のハンガリー動乱で夫と娘3人でオーストリアに脱出、スイスに定住して作家活動を続けた。
Thrub68q1r_640 ハンガリー語で書いた本が売れず、フランス語を必死に学ぶ。
 そして'86年、フランスで出版した第一作が「悪童日記」だった。

 刊行された作品は口コミでベストセラーとなり、世界40ヵ国以上で翻訳出版されている。

 原作は国も村の名も登場人物の名も排した特異な文体だったが、作家の故郷であるハンガリーの監督ヤーノシュ・サースが、ハンガリー語で映画化した。

349529_001_640 双子を演じた「実の双子」が、演技とも思えない「演技」でハードな日々を見せる。
 監督がハンガリー国内の全ての学校に手紙を出して見つけた子供だった。

 映画のストーリーと同じく、彼らも父親に捨てられた双子で、貧しい村の出身者だった。

349529_003_640 田園の美しい陽光が、双子の子どもたちの心の闇を照らす。
 ロングショットによる陰影に満ちた映像は、「白いリボン」('09)でアカデミー賞撮影賞にノミネイトされたオーストリア出身の名カメラマン、クリスティアン・ベルガー。

349529_005_640_2 作品は、「カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリ」受賞、アカデミー賞外国語映画賞ハンガリー代表にも選ばれている。

 原作者アゴタ・クリストフは映画完成直前に亡くなったが、ハンガリー語で書かれた脚本をとても気に入っていた、という。
 文部科学省選定作品(青年・成人)でもある。 

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November 12, 2014

2545.11月のブックから(1)

Img838_640 佐伯泰英の「文庫書き下ろし時代小説200冊目」は「神君狩り」、「夏目影二郎始末旅15」の、最終巻である。

 クライマックスは、国定忠治の処刑場面だった。
 磔柱にくくりつけられた白無垢姿の忠治に槍が突かれる。
 雪が舞い、川船頭たちが忠治の生涯を唄う「忠治くどき」が周囲を包み込む・・・・。

 前回書いたように、佐伯作品を時系列に並べて紹介しよう。

Thwt3qhiz9_640_2   「古着屋総兵衛影始末」(徳間文庫)

 「死闘」にはじまり「帰還」で終わる11巻シリーズ。
 時は元禄(1700年前後)、徳川家康から「影旗本」を命じられた総兵衛家の6代目が主人公。

 古着屋を装いながら江戸の闇と戦う祖伝夢想流の遣い手、家康拝授の「三池典太」が愛刀。
 敵役は、将軍綱吉の側用人・柳沢吉保親子と甲賀流頭領一派。

 「生類憐の令」「赤穂浪士事件」「おかげ参り」「富士山大噴火(宝永火山)」などが、当時の事件である。

Thmh2xmkud_640_2 ’04年に「影始末シリーズ」は完結したが、7年後に「新・古着屋総兵衛」がスタートする。
 時代は100年下り、11代将軍家斉の時代(1800年初頭)。主人公は10代目総兵衛で、外国人の血が混じる。

 琉球・交趾(ヴェトナム)と舞台は広がり、敵役は異国交易の覇権を争う薩摩となる。
 今年の5月に発売された「安南から刺客」まで、8巻刊行。

Thhwibkz2r_640_2  「密命」(祥伝文庫)

 佐伯が時代小説に手を染めた最初の作品が「密命 見参!寒月霞斬り」、一巻完結の予定が評判を呼びシリーズとなった。
 書き続けて12年、「巻之二十六・終の一刀晩節」で完結('11年12月)した。

Thvqomjpyt_640 5代将軍綱吉が没して家宣・家継・吉宗と続く時代(~1730年)が舞台。
 主人公は、藩主の密命を受けて脱藩した相楽藩の金杉惣三郎とその息子。
 こちらも直心陰流の名手で、敵役となるのは将軍職を狙う尾張徳川家である。

 「絵島・生島事件」「金銀貨改鋳」「享保の改革」「大岡忠相町奉行に」などなど。

Thmfxy1754_640_2  「長崎絵師通吏辰次郎」(ハルキ文庫)

 紀州から入った8代将軍吉宗の時代、密出国してマカオで西洋画を学んだ長崎会所の御用絵師が主人公。
 敵役は、長崎奉行や目付、唐人屋敷に潜む黄巾党の面々。

 前作の「密命」とほぼ時代も重なり、シリーズ1作目の「悲愁の剣」は「密命
寒月霞斬り」とほぼ同時に刊行された「瑠璃の寺」を改題した作品である。
 2巻「白虎の剣」」以後、10年以上たつが続刊は出ていない。

Th3e95tuo9_640  「居眠り磐音 江戸双紙」(双葉文庫)

 舞台は、吉宗の孫にあたる10代将軍家治の時代(1770年ころ)で、豊後関藩のお家騒動に巻き込まれた坂崎磐音が主人公。

 藩内の騒乱で親友が殺され許嫁とも別れた磐音が、脱藩して江戸・深川で浪人暮らし。
 彼もまた「密命親子」と同じ直心影流の達人、相手の剣を真綿で包むように受ける「居眠り剣法」を得意とする。

Thtkhc6nsm_640 「陽炎の辻」に始まるシリーズ前半は、旧藩に巣食う悪を切るお話でテレビドラマとしても評判を呼んだ。

 後半に入ると、幕政を牛耳る田沼意次・意知親子が敵役となって波乱万丈の展開、九州から紀伊、尾張と話は展開していく。
 今年の7月に、第46巻目となる「弓張ノ月」が刊行され、話はさらに佳境に入っていく。

 「百姓一揆・打ち壊し」「天明大飢饉」、商業資本と結託して賄賂幕政の田沼時代が・・・・・。

Thjdotgbaf_640 続く「寛政の改革時代」を舞台にした「鎌倉河岸捕物控」から、幕末の「交代寄合伊那衆異聞」など5シリーズは、次回に紹介しよう。

 今月は、佐伯時代劇シリーズ201冊目の「鎌倉河岸捕物控・新友禅の謎」と202冊目「新・古着屋総兵衛・歌麿受難」が発売される予定。
 月1冊の執筆ペース、彼のエネルギーにはただただ頭が下がる。

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November 09, 2014

2544.グレース・オブ・モナコ(11月のシネマ・2)

Img818_640 マリオン・コティヤールがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「エディット・ピアフ~愛の賛歌」('07)、監督のオリヴィエ・ダアンが次に選んだのがクール・ビューティー、グレース・ケリーだった。

266322_615_640 アメリカの大スター、人気絶頂でハリウッドを去りモナコ大公妃となった伝説の女優である。

 藝術に関わった実在の女性を描く事を得意とするダアン監督は、グレースの「シンデレラ物語」ではなく、愛を求め家族を愛した一人の女性を、等身大で描く。

 監督がグレースとダブルイメージで選んだのは、オスカー女優(「めぐりあう時間たち」'03)のニコール・キッドマン、その存在感のある演技は観客の共感を呼んだ。

349144_003_640 作品は、今年のカンヌ国際映画祭でオープニング上映されたが、あまりにも人間臭く描かれたグレイスとレーニエ大公(ティム・ロス)に遺族は反発、開会式典の出席は断られた。
 60年前、二人が出会って恋におちたのはカンヌ国際映画祭の開会式レセプションだったが。

349144_004_640 伝記映画なのだが、冒頭に「事実に基づいてはいるが、あくまでもフィクションである」と断っているのも、その為である。

 フランス映画であるが、当時の大統領ド・ゴールの独裁的な外交を皮肉っているのが面白い。
 当時(1961年)のフランスは、アルジェリア紛争の真っただ中にあり「戦費」の必要もあってモナコを併合しようとしていた。

349144_005_640 フランスの軍事力をも見せつけた圧力に対し、軍隊も持たないモナコがどう独立を守ったか、映画の邦題に「公妃の切り札」と副題がついたのがそれである。

 フランスの偉大なオペラ歌手マリア・カラス、海運王オナシス、映画監督アルフレッド・ヒッチコック、そしてフランス大統領シャルル・ド・ゴール、実在の人物たちが登場して物語は展開する。

Th_640 グレース・ケリー(1929~1982)、私が最も「愛した」ハリウッド女優である。

Thbux70wxm_640 共演のゲイリー・クーパーがアカデミー賞を受賞した「真昼の決闘」('52)に始まり、クラーウ・ゲーブルとの「モガンボ」('53)、ヒッチコック監督の「ダイヤルMを回せ」('54)「裏窓」('54)。

Thg0f67t6h_640_2 グレイスがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「喝采」('54)、ウイリアム・ホールデンとの「トコリの橋」('54)、ケイリー・グラントとの「泥棒成金」('55)。
 そして最後の主演作品となった「上流社会」('56)と、彼女の作品はほとんど見ている。

Img830_640Img831_640 その「憧れのスター」と偶然にも出会ったのが、1982年12月18日のこと。
 取材で搭乗したニューヨーク発パリ行きのコンコルドの機中だった。

Thjysgpwp7_640 2ショットは無理だったが、次女のステファーニ公女と二人だけの彼女と、親しく言葉を交わすことができた。
 フィラデルフィアの実家を訪ねた旅の帰途、夕方ド・ゴール空港に到着した彼女たちは、笑顔を見せながら迎えのヘリでモナコに帰っていった。

Img836_640 それから2年後の9月14日、コート・ダジュールの別荘からモナコに帰る途中、自ら運転していた「ローバ3500」はカーブを曲がり切れず崖下に転落、グレイスは53歳の短い人生を閉じた。
 同乗していたステファーニ公女が軽傷だったこともあり、この事故は謎に包まれている。

Img833_640Img835_640_2 2000年2月15日モナコを訪ねる。
 宮殿をちょっと下ったところにあるサン・ニコラ大聖堂、グレイスはここに眠っていた。
 隣には、まだ元気だったレニエ3世の墓も用意されていた。

 彼がグレイスと一緒に眠るのは、その5年後である。

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November 06, 2014

2543.ニンフォマニアック(11月のシネマ・1)

Img816_640 「自らをニンフォマニアック(色情狂)と認める女性ジョー、8つの章で綴られる、詩的で滑稽な゛性゛の旅路」

 10月から公開されているVol.1は1時間57分、今月公開されたVol.2は2時間3分、計4時間のポルノグラフィー大作である。

 雪の降る町で、童貞男が拾った行き倒れの女性はニンフォマニアック。
 数知れない男と交わってきた彼女が、彼に語る幼児期からの性体験は、数奇な物語だった。

Img839_640 その彼女が、セックス行脚で辿りついた結論とは「愛、それは嫉妬交じりの強い性欲に過ぎない」こと。
 作品は「色情狂」という形をとって描かれるが、「普通の女」の性欲の抑圧の物語でもあるのだ。

 女と男の、どこか噛みあわない会話に吹き出す。
 処女を失った3+5はフィボナッチ数列、男漁りは毛針釣りの要領、セックスはバッハのコラールに沿って・・・・。
 色情狂の告白が、アカデミックな美学の薀蓄と絡む。

Img840 「人間嫌い」「女性蔑視」と、度々批判されてきたデンマーク出身の鬼才ラース・フォン・トリアー監督。

 「奇跡の海」('96)でカンヌ国際映画祭グランプリ、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でカンヌ最高賞のパルム・ドールを受賞。

Img815_640 「ドッグヴィル」('03)「マンダレイ」('05)の反米映画、そして「アンチクライスト」('09)「メランコリア」('11)と、人間の暗い内面を撮って観客を憂鬱にしてきた彼が、今回はじめて「セックス喜劇」を撮った。

 しかし自らをも含め、人間のどうしようもない性(さが)に限りないシンパシーをいだくトリアー監督の喜劇は、深く沈み込んでしまう。

Img817_640_2 玄人好みのトリアー作品だけに、出演した顔ぶれも世界各国の演技派が並ぶ。(写真左から下に)

 「色情狂のヒロイン」はシャルロット・ゲンズブール、イギリスの俳優で「アンチクライスト」「メランコリア」に出演。「アンチ」でのヌードシーンは衝撃的で、カンヌ・女優賞受賞。

 「男」はステラン・スカルスガルド、スエーデンの俳優で「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ドッグヴィル」「メランコリア」とトリアー作品の常連。ベルリンで男優賞受賞。

 ヒロインの父親はクリスチャン・スレイター、アメリカの俳優(「バレット」'12)。
 ヒロインの初恋の男はシャイア・ラブーフ、アメリカの俳優(「欲望のヴァージニア」'12)。
 ヒロインのマゾ・セラピストはジェイミー・ベル、イギリスの俳優(「リトル・ダンサー」'11でデビュー)。

Intro_visual_3 ヒロインに夫を奪われた妻にユマ・サーマン、アメリカの女優(「パルプ・フイクション」'94でアカデミー賞ノミネイト)。
 ヒロインの母親にコニー・ニールセン、デンマークの女優(「ある愛の風景」'04)。

 そしてヒロインの青春時代を演じたのが、ステイシー・マーティン。
 次々と大胆なセックスシーンを見せて世界的に注目を集めたフランスの新人女優である。

 最後の男性(写真右下)は裏社会の親方を演じたウイレム・デフォー、アメリカの俳優でかって「プラトーン」('86)でアカデミー賞にノミネイトされた演技派である。

 「過激でセンセーショナルなのに、ポップでユーモラス。ラース・フォン・トリアー流『喜劇』」とチラシで謳っているが、作品は「アンチ・クライスト」「メランコリア」に続く「鬱三部作」の最終章に間違いない。

 2回見て4時間。ニヤリと笑ったものの、最後のオチで落ち込んでしまった。

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November 03, 2014

2542.中央区・まるごとミュージアム

Img843 銀座・京橋・日本橋・人形町・築地・月島・晴海・明石町・・・、私の住む中央区が昨日は「まるごとミュージアム」になった。

 今年で7回目となったこのイベントは、江戸開府から410年にわたって日本の文化・商業・情報のキーポイントとなった中央区を、「歴史と文化が出会う街」として再認識する試みである。

037_640041_640 イベントの数は40、ギャラリーや旧い建物の公開、日本橋川や隅田川の周遊や歴史・文化体験ツアー、講談にシャンソン、ライブコンサート、コーラス演奏会など盛りだくさん。
 一日では回るのは無理なので、毎年「地区限定」で秋の一日を楽しんでいる。

003_640007_640 今年はまず隅田川クルージング、聖路加タワー前の明石町防災船着場を出発して晴海運河を経るコースを選んだ。
 ちょうど我が家を、ぐるっと一周することになる。

014_640008_640 まだ完成していない「築地大橋」の下を潜るのは初めて。
 マンションのテラスからいつも見る風景とは異なり、新鮮に映る。
 レインボウブリッジを前にして、船は左折して晴海へ。

018_640021_640 その埠頭には、東京海洋大学の実習船・海鷹丸と東京大学の白鳳丸が並んで停泊していた。

 その昔、取材のために晴海で「帆船日本丸」に乗船、ニューヨークまで75日間航海したことを思い出す。

036_640 無料の水上バスは、このほか「浜町~晴海」「日本橋周遊」の計3コースがあり、どこも行列ができていた。

 陸上のバスコースは、4つのルートでイベント会場を巡回する。
 明石町で船を降りた後は、臨時のバス停から日本橋に向かった。

044_640048_640 「わが街・中央・シネマの世界」、NPO・古き良き文化を継承する会が催した展示を覗く。

 日本橋や新富町・築地・人形町そして銀座、数多くの映画館が併存して区内はシネマの街として賑わった。
 「金春座」「水天館」「魚河岸キネマ」「新富座」「全線座」など、日本映画史に残る映画資料が、東宝シネマのロビーで特別公開されていた。

055_640056_640_2 ここ数年、日本橋の再開発が進み新しいビルが次々と誕生している。
 東宝シネマ9スクリーンがある「コレド室町2」など、5つの商業ビルが建ち、今も複数のビルが建築中である。
 それらビルに囲まれた「福徳神社」も、先日再建された。

043_640002_640 「コレド室町」と中央通りを挟む「日本橋三越本店」では、「味と匠の大中央区展」が開催されている。

 「包丁」(木屋)「江戸手箒」(白木屋中村伝兵衛商店)「銀製品」(宮本商行)「足袋」(大野屋総本店)などの老舗、「京粕漬け」(魚久)「親子丼」(玉ひで)「天丼」(金子半之助)など行列の出来る店の味が並ぶ。
 今夜の晩酌の肴は、ここでゲットした天丼と粕漬。

Img845Img844_2 日本橋界隈のイベント、次は「にちぎん体験2014」、国の重要文化財である本館をレクチャー付きで見学。

 最後は、三井記念美術館で「特別展・東山御物の美」を鑑賞した。

033_640 今日はイベントのハイライトといえる「晴海フラワーフェスティバル」に、ご近所なので毎年必ず出かける。

008_640011_640 
 14年前に始まった「花の絨緞展」は、イタリア・ジェンツアーノ市で中世から続いている感謝祭「インフィオラータ」の「晴海」版。

005_640019_640  東京藝大の先生や大学院生がデザインした下絵をもとに、地元の子どもたちやお母さんたち500人が花びらを敷き詰めて描く。

024_640027_640_2 今年のテーマは「愛の旅~Parallel Trip~」、8万本のバラの花びらで会場は秋の香りに包まれていた。
 この催しだけは5日まで続く。

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November 01, 2014

2541.Hodler展

Img821_640 今年は、日本とスイスが国交を樹立してから150周年になる。
 それを記念して、音楽会や展覧会など様々なイベントが開催されている。

1411_002_640 先月から始まった「ホドラー展」もその一つで、上野の国立西洋美術館ではスイスが誇る異才、40年ぶりの大回顧展である。

 会場には、ホドラーの若いころの風景画からリズムの絵画と壁画装飾、晩年の作品まで105点が展示されていた。

Img823_640 フェルディナント・ホドラー(1853~1918)は、19世紀末から20世紀初頭のスイスを代表する象徴主義の画家。
 生涯を通じて母国に留まり作家活動を続けたことから、スイスでは「国民画家」として尊敬されている。

 私にとっては迂闊にも今回初めて知った画家、それだけに彼の作品に見る生命観や律動感に新鮮な感動を覚えた。

Img827_640 まず見どころの一つが、毎日眺めたアルプスの風景。
 彼は、四季や天候に応じて様々な表情を見せるアルプスの自然に秩序やパターンを見出して、それを抽象化することでファンタジックな風景画を描いた。

Img828_640 さらに「パラレリズム」(平行主義)と呼ばれる独自の美術理論を提唱し、雲や岩のような自然界の無機物にも動的な「リズム」見出していった。

Img826_640 
 左の「白鳥のいるレマン湖とモンブラン」(1918年)や右の「トゥーン湖トニーセン山」(1910年)のように、雲も白鳥もそれぞれが「リズム」にのって律動している。

Img822_640 その「リズム」は、人物を描いた多くの作品にも顕著に表れる。
 日本で初公開された「感情Ⅲ」(1905年・左)は、人間の「覚醒」をテーマにした記念碑的な大作で、人々の身体が織りなす「リズム」がホドラーの画風が「死」から「「生」へと転換した、新たな「目覚め」を象徴している。

Img824_640_2 
 今回のホドラー展は、ベルン美術館の収蔵品を中心にジュネーヴ美術・歴史博物館など、スイス国内の主要美術館や個人所蔵家より油彩60点・素描およそ40点が出品されているが、海外でもオルセー美術館やブタベスト西洋美術館、ニューヨークのギャラリーなどでも個展が開催される予定で国際的にも再評価の機運が高まっているという。

Img829_640 日本・スイス国交樹立150周年記念「ホドラー展」は、来年1月12日まで上野・国立西洋美術館で。観覧料は1.600円。

 (右上の作品は「恍惚とした女」〈1911年〉と「無限のまなざし」の習作〈1913年〉、左は「昼Ⅲ」〈1900年〉)

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