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December 31, 2014

2562.2014・忘備録

003_640 今年の「忘備録」、一年を振り返り新しい年への希望を込めて、例年通りにデータを纏める。
 写真は、この一年撮りためた「テラスから見る夕景」をアトランダムに。

007_640_3 健康維持のために始めた「スイミング」は、現役の頃からだから37年を超えた。
 近所の小学校のプールが一般開放されたので日曜日に通ったが、40才を機にデータをパソコンに入れることにした。
 職場に近い代々木プールで昼休みに泳いだこともあったが、リタイア後は日曜日を除いて毎朝7時から1キロ泳いでいる。

 今年泳いだ距離は288㎞(昨年比+7k)、記録を取り始めてからの累計は4,883㎞になった。アメリカ西海岸まで3,937kである。

13_007_640 「ウオーキング」は、6年前からひとまく会の「鎌倉ウオーキングに参加している。
 これは寺社巡りだけでなく、尾根の古道や史跡を辿り崖をよじ登るなど、結構ハードだ。
 今年は6回参加、他に正月の「七福神めぐり」や「下町散策」もあり計11回(+1)、歩数計のデータは159.900歩(+39.716)とかなり歩いている。

002_640 「宿泊旅行」は4回11日(-1)と、減少気味。ここ5年、海外はない。

 「映画鑑賞」は、105本とほぼ例年なみ。

Imgp0599_640 歌舞伎などの「古典芸能」は、昨年と同じ5回。
 音楽会1回、演劇3回、寄席2回、こちらも昨年同様である。
 若い友人が出演する舞台を2回見たが、面白かった。

003_640_2 「美術鑑賞」は、友人・知人の個展・公募展をふくめ27回、ほとんどこのブログで個別に紹介した。

 「読書」は102冊(+34)と大幅に増えた。歴史・時代小説を作者別に完読したからかもしれない。三分の一ほどは、政治・経済・社会の評論ものだが、だんだん読むのが億劫になってきた。

004_640 そして「夜の在宅率」は83%(-6)と、若干「外飲み」が増えている。
 これはフェイスブック仲間が増え、郷里から上京した彼らとの懇親会が影響している。
 しかし郷里の話題は楽しい。ただ、若い人たちは2次会・3次会へと流れるが、私だけは21時を限度として失礼している。

 みなさん、「よいお年を」。

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December 30, 2014

2561.歳末・築地

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 築地中央卸市場(場内)は、今日で店じまい。
 例年の様に最後の買い出しは、「プロの時間」が終わる9時過ぎに仲卸の店を覗く。

 年毎に場内も一般客が増えてきたので、小分けした品が増えてきた。2年後豊洲に移転したら、一般客用のスペースを増やすらしい。

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 定点観測ではないが、毎年「マグロ」の値段をチェックして市況を比較している。

 仲卸の店主に聞くと、昨年暮れより安いという。本マグロの養殖が、軌道に乗ってきたかららしい。ただ、地中海や西大西洋のものは減ってきている。

 それでも最高級品の「大間の生マグロ」は、キロ2万円を超える。ところが、このマグロがデパートの魚売り場に並ぶと、100g5.800円(三越)、大丸のチラシでは15.000円の値札がついていた。

 奄美大島の本マグロ(養殖・ナマ)は中トロでキロ5~6千円、スーパーでは100gで1.300~1.500円で売られている。

 こちらは先日予約しておいた「本マグロ」の冷凍、400g2.100円を手にした。

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 場外に出ると、身動きできないような混雑。
 欧米系の若者たちや、子ども連れが多い。

 路地にある馴染みの店も遠慮して、予約しておいた「卵焼き」だけを受け取って帰宅した。

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December 27, 2014

2560.12月のシネマ(4)

 スエーデン発の音楽映画とフランスのサスペンス、今月同じ映画館で鑑賞したヨーロッパの作品を2本。

Img875_640  「ストックホルムでワルツを」

 「重い」作品が多いスエーデンとしては珍しい音楽映画。
 60年代モダンジャズ全盛期に、国際的な名声を築いたスエーデンのジャズシンガー、モニカ・ゼタールンド(1937~2005)の半生を描いた伝記ドラマである。

349979_002 ストックホルムから遠く離れた田舎町。
 シングルマザーのモニカは、電話交換手として働きながら子供を育てていた。
 音楽家の父親の影響を受け、子供の頃から唄っていた彼女は、時折ストックホルムまで出かけて舞台に立つ。

349979_004 そんな彼女に、ひょんな事からニューヨークでの仕事が舞い込んだ。
 しかし、黒人バンドをバックに歌った英語のライブは不評、大きな挫折を味わう。
 人真似ではなく自分の歌を、彼女がトライしたのは母国語(スエーデン語)で唄うジャズだった・・・・・・。

349979_005 世界的なジャズピアニスト、ビル・エヴァンスの名曲「ワルツ・フォー・デビー」で世界の歌姫になったモニカの、波乱に富む人生が綴られていく。

349979_003 モニカに扮しているのは、スエーデンのジャズシンガーのエッダ・マグナソン。
 先月は来日して、「ブルーノート」でライブを披露している。

 ピアニスト・作曲家としても活躍する彼女にとって、今回の映画は初出演。
 その美声はもちろんだが、母として女としてのモニカの苦悩を見事に演じきっている。

349979_001 彼女を支えるベース奏者(スベリルグドナソン)や父親(シェル・ベリクヴィスト)、監督のペール・フライと馴染みはないが、スエーデンでは人気俳優であり名監督だそうだ。

 作品は、スエーデンのアカデミー賞「ゴールデン・ビートル賞」に11部門でノミネイトされ、最優秀監督賞・最優秀主演女優賞など4部門を受賞している。

 レイ・チャールズで大ヒットした「旅立てジャック」や、アルトサックス奏者ポール・デスモンドが作曲した「テイク・ファイブ」、江利チエミや美空ひばりも唄ったナット・キング・コールの「歩いて帰ろう」、「ブルー・スエット」「月光のいたずら」そして「ワルツ・フォー・デビー(モニカのワルツ)」と、懐かしいジャズの名曲が流れる。

Img880_640  「毛皮のヴィーナス」

 「戦場のピアニスト」('02)でアカデミー賞監督賞ほか3部門を受賞した巨匠ロマン・ポランスキーが、「官能的でエレガント」な妖しい作品を撮った。
 80歳になった監督とは思えない、大胆でセンセーショナルなサスペンス映画である。

349769_003 もとになったのは、「マゾヒズム」の語源となったオーストリアの貴族ザッヘル=マゾッホの自伝的小説「毛皮を着たヴィーナス」。

 小説を舞台に、アメリカの劇作家デヴィッド・アイヴスが書いた戯曲「毛皮のビーナス」の映画化である。

349769_002 物語は、戯曲のオーディションに遅れてやって来た女優と、審査に当たった演出家二人だけの世界で展開する。
 知性の欠片さえない押し掛け女優、その相手役を演じているうちに彼女に支配されていく演出家。
 現実と役との境界があいまいになって、演出家はマゾヒズムの快楽に絡めとられていく。

349769_005  出演しているのは、エマニュエル・セニエ(女優役)とマチュー・アマルリック(演出家役)の二人だけ。

 エマニュエルが圧倒的な存在感を見せる。
 妖艶、御年48歳、2児の母、フランスの女優・歌手にしてポランスキー監督夫人である。
 「フランティック」('88)で同監督のミューズとなって、32歳年上のポランスキーと結婚した。
 「赤い航路」('93)「ナインゲート」('00)とコンビを組み、今回は13年ぶりに出演した。

349769_006 アマルリックも、フランスの演技派俳優として知られる。
 エマニュエルとは、カンヌ国際映画祭に特別招待された「潜水服は蝶の夢を見る」('08)で夫婦役を演じた。

Th_2 ラスト、毛皮をまとっただけのビーナス、エマニュエルの妖艶なヌードから、多くの画家たちが描く「ビーナス」の絵画へと続く。
 そして「ミロのビーナス」でエンド。

 「若かったら、マゾの世界に堕ちる演出家を演じたかった」とポランスキー監督は語ったというが、その気持ちは十分伝わる。
 カンヌ国際映画祭コンペ出品、セザール賞最優秀監督賞受賞。

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December 24, 2014

2559.12月のシネマ(3)

 先月の中旬、プロデューサー兼主演のブラッド・ピットが、メインの出演者でもあるローガン・ラーマンを連れて来日し、大宣伝した映画が「フューリー」。
 トム・ハンクス主演の「プライベート・ライアン」('98)以来久し振りの本格戦争映画である。

 鑑賞後、改めて「プライベート・ライアン」のDVDを借りて自宅で見た。

Img874_640_2    「フューリー」

 349750_001 1945年4月、ドイツ領内に進撃した連合軍と猛反撃するナチス・ドイツ軍。
 ドイツ降伏1ヵ月前の一日の闘いを、アメリカ軍戦車隊5人を中心に、彼らの過酷なバトルを描いていく。

 タイトルとなった「フューリー」とは、彼らの戦車のニックネーム。
 ローマ神話の復讐の女神の名は「怒り」、砲身にその名を書きなぐった戦車は、実在した。

349750_009_2 
 「本当の戦争とはどういうものなのか」、物語や理屈ではなく映像のディティールを積み重ねることで、観る者に体感させた作品である。

349750_008 冒頭の戦車の残骸のシーンから始まって、映画のほとんどが「殺し」「殺し」「殺す」「殺す」シーンである。
 そして最後は「殺される」。

 そこには「戦場での愛」「友情」といった人間ドラマはない。「正義とはなにか」といった問題提起もない。

349750_011 戦場においては、アメリカ軍も決して「正義の味方」ではなかったとの、強烈なメッセージも伝わる。
 ドイツ軍捕虜を虐待し理由なく殺し、住民をレイプする兵士が描かれる。
 映画の主人公カリスマ軍曹のブラッド・ピットも、例外ではなかった。

349750_004 4人の部下、冷静沈着な砲手シャイア・ラブーフ(「欲望のバージニア」'12)。
 酒浸りだが任務に忠実な操縦手マイケル・ペーニア(「アメリカン・ハッスル」'13)。
 お調子ものだが勇気は人一倍の装填手ジョン・バーンサル(「ウルフ・オブ・ウオールストリート」'13)。

349750_002  そして元タイピストの新兵がローガン・ラーマン(「ノア約束の」'14)。
 銃を撃った経験もなかった男が、たった一日の闘いで「狂気の殺し屋兵士」に変貌していく姿が描かれる。

 軍人出身でアクション映画の旗手、といわれるデヴィッド・エアー監督(「サボタージュ」'15)ならではの描き方である。

Img_sensha03 戦闘場面は、イギリスの草原地帯で撮影された。
 アメリカ軍の戦車「シャーマンM4」に対し、歴史的にも最強の戦車といわれたドイツ軍の「ティガー戦車」が登場する。
 イギリスの戦争博物館に保管されている、現存するたった一台の動ける戦車を借用した。
 ディティールに拘った、ブラッド・ピットとエアー監督ならではである。

349750_003 半世紀以上も前の戦いである。
 それが決して古い時代の物語と決して思えないところに恐怖(フューリー)がある。
 イラクで、アフガンでシリアで、今も兵士たちと住民が「殺し」「殺し」「殺されて」いるからである。

Thtm5740ip   「プライベート・ライアン」(1998年作品)

 「選ばれた精鋭は8人ー
  彼らに与えられた使命は
  若きライアン2等兵を救出することだった」
 DVDに書かれたキャッチコピーである。

1 ノルマンディー上陸作戦で生き残った、アメリカ軍第2レンジャー大隊のC中隊長(トム・ハンクス)に下された任務は、落下傘で敵中に降下した空挺師団所属の新兵ライアン2等兵を救出してアメリカに帰還させる事だった。

Th たった一人の兵士を救うために、7人の部下の命を危険に晒さなければならい。
 中隊長の苦悩と、過酷な戦場での男たちの友情と生きざまが描かれた作品である。

Th2 出演はトム・ハンクスのほか、作戦に嫌悪感をもつ一等兵にエドワード・バーンズ。
 タフな軍曹役で注目されたトム・サイズモア、卓越した狙撃兵役バリー・ペッパー。
 そしてライアンをマット・ディモンが演じている。

Th4 監督したスティーヴン・スピルバーグにとって、この作品は「シンドラーのリスト」('93)に次ぐ4作目の戦争映画だった。
 砲撃で肉体を吹き飛ばされる兵士など、リアルな映像が話題になったが、作品はアカデミー賞11部門にノミネイトされ監督賞・撮影賞など5部門を受賞している。

 「プライベート・ライアン」もまた、「フューリー」と同じく21世紀の戦場を十分「暗示」した映画である。

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December 21, 2014

2558.国立歌舞伎

005_640 国立劇場12月歌舞伎公演は、中村吉右衛門を中心に播磨屋・萬屋・加賀屋の役者たちが出演するのが恒例となっている。
 今年は加えて、吉右衛門の娘婿である音羽屋・尾上菊之助も登場する舞台だった。

 連れ合いが古くからの吉右衛門ファンなので、毎年お供で国立劇場一等席に座る。

Img882_640_2 演目は、通し狂言「伊賀越道中双六」の五幕六場。
 曽我兄弟の敵討ちや赤穂浪士の討ち入りと並ぶ、剣豪・荒木又右衛門の「伊賀上野の仇討」を題材にした義太夫狂言の名作である。

 1783(天明3)年春、大坂竹本座で人形浄瑠璃として初演されたが、秋には中の芝居で歌舞伎化された。
 全十段の原作のうち、これまで六段目の「沼津」が独立して上演されてきたが、今回は久しぶりの通し狂言となった。

006_640 幕の流れは、家老が名刀「正宗」を狙った同じ家中に殺される「相州鎌倉 和田行家屋敷」の「序」から、その息子が本望成就する「伊賀上野 敵討の場」の大詰までを、道中双六に見立てて展開していく。
 鎌倉~三河・藤川~三河・岡崎、そして伊賀・上野である。

 特に44年ぶりに上演される八段目、今回は四幕目になる「三州岡崎 山田幸兵衛住家の場」が、眼目となる。

Pic1 殺された家老の娘を妻に持つ主人公・政右衛門(中村吉右衛門)、義弟・志津馬(尾上菊之助)の助太刀をするため、せっかく仕官した大和郡山藩を去って浪人になる。
 そして「岡崎」、15年ぶりに会った剣の師・山田幸兵衛(中村歌六)が仇側の人物と知り、素性を隠すために一子を手に掛けてしまう。

Img881_640_2 最愛の子どもを殺してまでして、敵討ちを成し遂げようとする男の苦衷。
 感情をセリフや動作に出さない、いわゆる腹芸である。

 同じ場で、行き倒れた妻(中村芝雀)を家の中に入れず、莨の葉を刻んで苦衷に耐えるシーン、通称「莨切り」も見どころのひとつとなる。

Thfa4f2dy7 そして「大詰」はご存じ「鍵屋の辻の決闘」。
 仇・沢井側は槍の名人の叔父(大谷桂三)ら11人、
 志津馬側は政右衛門の門弟を加えて4人。
 政右衛門の助太刀で、本懐を遂げるのである。(写真は、現在の鍵屋の辻)

Img887_640 剣豪・唐木政右衛門(荒木又右衛門)は、初代・吉右衛門の当たり役。
 今回二代目が初演で、見事な演技をを見せてくれた。(右写真は、1921年新富座での初代吉右衛門)

 出演者は、他に主人公の主君を中村又五郎、仇役(モデルは河合又五郎)を中村錦之助、捕り手頭を中村歌昇、幸兵衛女房は中村東蔵。

00000381 実説「伊賀・上野の敵討」は、岡山藩主寵愛の小姓・渡辺源太夫の敵討ち、1634(寛永11)年の事件である。

 源太夫に横恋慕した河合又五郎が、振られたのを恨んで彼を殺した。
 怒った殿は兄の数馬に敵討ちを命ずるが、腕に自信のない数馬は新陰流免許皆伝の義兄・荒木又衛門の助太刀を得て、なんとか成しとげた。(写真は明治の頃の鍵屋の辻)

 背景には、又五郎を匿った旗本と外様大名の面子をかけた闘いがあり、旗本側の幕府と敵討ちに喝采を上げる庶民という構図もあった。
 岡山藩池田家は、この後鳥取に移封というおまけもついた。荒木は、この鳥取で不審死する。享年38歳。

 150年前のこの敵討ちをもとに、大坂・竹本座の座付作者・近松半二が書き上げた「伊賀越道中双六」は、近松の遺作となり竹本座の最後の演目となった。
 
 

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December 18, 2014

2557.12月のブックから(2)

 前回に続いて、隆慶一郎全集19巻のなかから2作品を。

Photo_2 

    「花と火の帝」

 17巻~18巻に収められているこの作品は、隆慶一郎の最後の作品となった。
 1988(昭和63)年2月16日から「日本経済新聞」に連載開始、翌年9月21日に未完のまま終わている。
 彼は、翌日の22日に肝硬変で再入院し、11月4日に逝去したからである。

 しかし彼が、この気宇壮大な長篇小説の中で描こうとした「歴史の中の人間賛歌」は、十分に読者の胸に届いた。

Thx1jz66vk_2 連載に先立ち隆は、日経夕刊に「作者の言葉」を以下の様に記した。

 「花と水の帝とは、第108代後水尾天皇のことだ。慶長16年、御即位。在位期間18年。突然の御譲位によって上皇、次いで法皇になられ、延宝8年、84歳の高齢で崩御されるまで、華麗でしかも波瀾万丈の生を送られた天皇である。」

Thqzpad4oh 後水尾は、江戸時代を通じて徳川幕府に最も抵抗した天皇と言われている。
 2代将軍秀忠の娘・和子を、強制的に中宮として押し付けられたが、徳川の血を皇統に残さぬため敢えて興子内親王(明正天皇)に譲位、以後4代にわたって院政を行った。

Th7ph64dws 一方天皇は、学問と芸術に深い関心を持ち、京の地に「寛永文化」と呼ばれる宮廷文化の花を開かせた。
 詩歌・連歌・書を嗜み、池坊の立花、千宗旦の茶、俵屋宗達の絵画など文化人のパトロンとなった。
 あの修学院離宮を造営したのも、彼である。

Thq69i20im 物語は、その後水尾天皇と八瀬童子・岩介を主人公として展開する。

 「八瀬」とは、比叡山の麓・洛北の里。足利尊氏に追われた御醍醐天皇の輿を担いで山越えして以来、代々「駕輿丁(がよちょう)」として天皇の御輿を担いだ。(写真は、大正天皇大葬の時の模様)

 彼らは、「鬼の子孫」といわれ髪を長く伸ばしていたため「童子」と呼ばれ恐れられていた。
 そして日常は御所の下僕として働いていたが、実は「天皇の隠密」でもあったのだ。

Thwqma1bdy 小説のベースにあるのが、「無縁・公界・楽」で知られる歴史学者・網野善彦の史観である。

 中世においては、芸能・技術・宗教などの特殊な職能を持つ集団=道々輩が天皇や神仏に属することで、世俗的な権力から離れて自由に漂泊していた。
 しかし武士+農民による幕藩支配体制が強化されると、非定着民である彼らは社会的に賤視・差別され、彼らが棲む理想郷「公界」は奪われていった。

Thzw80sl7l_2 この作品では、自由を取り戻すために幕府の巨大な権力と闘う御水尾天皇と、その天皇を助ける八瀬童子や修験者・忍者たちの生きざまが、生き生きと描かれる。

 隆慶一郎は、そのような「花と火の帝」の中に現代の天皇、つまり政治的権力とは関わらない精神的権威、文化的共同体の象徴を見るのだ。

Th1_640   「一夢庵風流記」

 全集15~16巻に収められているのが、戦国末期の「傾奇者」前田慶次郎の一代記である。

 「週刊読売」に1988年(昭和63)年から一年間連載されたが、執筆は上記の「花と火と帝」と同時進行、ほかに「影武者徳川家康」「捨て童子・松平忠輝」を地方紙に連載するなど、超売れっ子の頃の作品である。

 甲賀出身の武将で織田信長に仕えた滝川一益の甥、後の加賀藩前田家一族の養子となったが、前田利家に放逐させられた男である。

Thvj5kmiqr_2 「凝りに凝った鎧兜に、朱色の長槍を振り回し敵陣深く切り込んでいく。命など惜しむに足りぬ、名をこそ惜しめーそれがこの男の信条だった。」
 小説に描かれる慶次郎は、「かぶき者」「バサラ」そのものだった。そして「バサラ」とは、時の権力に逆らうことが存在理由でもあった。

 隆はシナリオライター時代に、司馬遼太郎原作の「城取り」で前田慶次郎を知った。そして「日本庶民生活資料集成」に収められている「慶次郎旅日記」に出会った。
 その旅日記の中の慶次郎は「学識溢れる風流人でありながら剛毅ないくさ人であり、しかも風のように自由なさすらい人だった。」

Thsxevfnmb 物語はまた、上杉謙信の養子・景勝、さらには彼の智将・直江兼続との友情物語でもある。
 酒を愛し、漂泊に生き、わが道を真直ぐ突き進んだ啓次郎、又の名を一夢庵という。

 「一夢庵風流記」は、隆慶一郎にとっては唯一文学賞を受賞した作品である。
 1989(平成元)年10月3日柴田錬三郎賞受賞が決定、彼は次のような「受賞の言」を用意した。

Thiq02igva 「思えば6年たつ。
 60歳を迎え、還暦とやらいって奇妙な赤子に戻った日からである。
 私はそれまでの生き方に倦んでいた。新しい生き方をしたいと思い、映像でなく文章に、それも伝記的手法及び文章を使いながら、歴史的事実を再構成したいと決意した。
 今年はそれから丁度6年。6年の間に長篇小説を5編、短編小説を1編、随筆集を1編、世に出した。小説だけで6編、奇妙な符号といっていい。
 そしてその今年、小説で初めて賞を受けた。しかも柴田錬三郎という、伝奇的な時代小説家の名を冠した賞である。益々もって奇妙な符号であり、より大きな感動である。
 すべての方に心から謝辞を呈する。」

 授賞式は11月15日、しかし彼は4日に逝去した。式では、息子が代読した。

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December 15, 2014

2256.師走・餅つき

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 昨日はマンション恒例の「餅つき」、仲間たちと9年前から始めた師走の行事である。
 毎年、近所のお米屋さんから臼や杵を借り、糯米も昔ながらの蒸籠で蒸す。

020_640064_640 中心になるのは、私も加わるボランティア・グループ「まつりの会」。
 3年に一回催される住吉神社のお祭りで、神輿を担ぐ老若男女30名である。

044_640019_640 年代も仕事も様々だが、いずれも「まつり」が大好き。自腹をきって始めたのが「師走の餅つき」だった。

029_640063_640  3年目からは、管理組合の公認行事となり予算もついたが、餅つきから調理まで担い手は変わらない。

 住民同士の交流が希薄な都会のマンションだが、ここには下町気分も残っておりイベントへの参加者は多い。

007_640068_640 今年は、隣のマンションに新設された「養護老人ホーム」の皆さんも見学に訪れて一層賑やかに。

 準備から後片付けまでおよそ6時間、搗いたお餅は50キロ、蒸籠の数で17組。
 マンションの住民だけでなく、ご近所の皆さんにもお裾分けした。
 

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December 12, 2014

2555.12月のシネマ(2)

 猟奇殺人事件を扱った2本の映画、一本はアメリカ製作で実話をもとに、もう一本はイスラエル製作のフィクションである。
 「正義」と「悪」そして「偏見」、「宗教」そのものを考えさせる作品だった。

Img872_640  「デビルズ・ノット」

 21年前、アメリカ・アーカンソー州の片田舎で発生した猟奇殺人事件。
 3人の子どもが性的な虐待を受けた上で殺された事件だが、警察は地元の少年3人を逮捕し殺人犯として起訴した。
 裁判では偽証や証拠隠滅などがあったものの、19歳の少年を主犯として死刑、従犯二人(18歳・16歳)を終身刑として収監した。

Th008asdqs しかし、有罪判決をに疑問を持った文化人たち、俳優のジョニー・ディップや監督のピーター・ジャクソン、さらには音楽家や作家・ジャーナリストたちは、3人の少年を「ウエスト・メンフィス3」と呼んで現在も支援活動を行っている。

350086_002 この映画もいわば支援活動のひとつと言えるもので、冤罪事件と主張するマラ・レヴェリットが書いた原作をもとに、アトム・エゴヤン監督が事件そのものを忠実に映像化している。

 出演者には、原作者レヴェリットの分身という役にコリン・ファース(「英国王ノスピーチ」'10)、犠牲者の母親だが裁判に不信をいだく女性にリース・ウィザースプーン(「ウオーク・ザ・ライン」'05)と、二人のオスカー俳優を配した。

350086_004 カンヌ国際映画祭でグランプリ(「スイート・ヒア・アフター」'97)を受賞したエゴヤンは、アルメニア系のカナダ人監督。
 彼は、ミステリー映画としてのエンタテイメント性を排し、今もなお未解決で関係者が現存している事件を淡々と描き、そこから現代アメリカが抱える「闇」を暴き出す。

350086_001 「デビルズ・ノット」悪魔の結び目、3人の少年は決してオカルト狂の「悪魔」ではなく、閉鎖的で保守的な宗教右派の人々の「偏見」のなかに「悪魔」の存在を見る、エゴヤンの映像はそれを語る。

350086_006 3人の少年たちは18年服役した後、3年前に司法取引で仮出所しているが、事件解決の見通しはない。

 この事件は、ドキュメンタリー映画「パラダイス・ロスト3部作」('96、'11)でも紹介されており、アメリカでは一時社会現象を巻き起こした。

Img873_640  「オオカミは嘘をつく」

 珍しいイスラエル映画、それもサスペンス・スリラーである。

349765_0011 少女暴行殺人事件の容疑者は、温厚な宗教学の教師(ロティム・ケイナン)。
 彼を吐かせようと、徹底的に痛めつける刑事(リオル・アシュケナージ)。
 警察が釈放した容疑者を拷問して、復讐する被害者の父親。

 3人が織りなす残酷な暴力のはてに、正義はあるのか、本当の「オオカミ」は誰だったのか。
 「目には目を」「暴力には暴力を」、現代イスラエル社会で日常化してしまった暴力による復讐の現実が問われる作品である。

349765_0032 目を覆いたくなるような残酷なシーンの合間に、軽妙なブラックユーモアが顔を出し、独特な味わいを見せる。

 「拷問をエスカレートさせるだけでは、15分で飽きる。ユーモアで観客の緊張を緩ませ、そこへ再びショックを見舞う」
 監督のナボット・パシャド&アハロン・ケシャレスは語る。

349765_007 監督も出演者も初めて知る人たちだが、実業家風の貫録を見せる被害者の父親による凄まじい拷問の演技に身の毛が弥立つ。
 イスラエルでは有名な俳優なのだろう。

 パレスチナに対し「暴力には暴力」で報いることを「日常化」している国だけに、二人の監督の意図もうなずける。この作品がテーマが「拷問と復讐」だと。
 映画の日本公開を、イスラエル大使館が後援しているのも面白い。

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December 09, 2014

2554.仁清・乾山と京の工芸

Img856_640 絢爛豪華な色彩と雅やかなデザイン、江戸時代に「京焼」のブランドを確立したのが野々村仁清と尾形乾山。
 二人の作品を中心に110点が並ぶ「仁清と乾山~京の工芸」展が、丸の内・出光美術館で開催されている。

Thzhystuzo_640 右は「色絵芥子文茶壺」(出光美術館蔵)、ポスターにも描かれているこの作品は重要文化財、野々村仁清の江戸初期の作品で丸亀藩京極家の注文で作陶した。

 丹波国・野々村出身の仁清(生没年不詳)は、京・仁和寺門前に「御室窯」を開く。
 その作品には必ず「仁清」の印を捺したことから、陶工ではなく芸術家を自認した最初の陶芸家と言われている。
 「仁」は仁和寺から、「清」は俗称・清右衛門から採った。

Thqhcmfct8_640 左は重要文化財「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」(出光美術館蔵)、尾形乾山(1663~1743)の江戸・中期の作品。

Th5r4tbj4n_640 乾山は琳派絵師・尾形光琳の弟で京都出身、仁和寺の南に住み仁清から本格的な陶芸を学んだ。
 京の南西(乾)の鳴滝に乾山窯を築いた。

 彼が器を作り兄・光琳が絵付けする、乾山作品8点の重要文化財のうち4点は兄弟合作である。

Th_640_2Th5n2rkeag_640 展示は「清浄と簡素」「祝祭と権威」「文藝と遊戯」の三つのキーワードで構成される。

 公家からの注文が多かった「白釉」「銹絵」から始まった「京焼」は、やがて京極家(丸亀藩)や前田家(加賀藩)など大名たちからの注文で「色絵」と移り、豪華絢爛な「京のブランド」を完成させた。

 左上は重要文化財の野々村仁清作「色絵鳳凰文共蓋壺」(江戸・前期、出光美術館蔵)、右上は同じく重要文化財の仁清作「色絵若松図茶壺」(文化庁蔵)、京焼を代表する作品である。

Img861_640_2 京焼、とくに乾山焼には和歌や漢詩、能といった文藝の世界とのコラボ作品が多い。
 左の「色絵百人一首和歌角皿」(出光美術館蔵)などその例で、カルタ遊びのような詩歌の一部を隠して、本歌を当てさせるようなものもあり、「コミュニケーションの工芸」としての京焼の面白さを見せる。

Thelbeuc2y_640Th1443vlvs_640 今回は、出光コレクションを中心に、京都国立美術館・東京国立美術館・大和文華館などから厳選された作品を加え、8つの重要文化財作品が並ぶ久々の「風雅のうつわ」展が実現した。

 「仁清・乾山~京の工芸」展は、12月21日まで出光美術館で。入館料は1.000円。

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December 06, 2014

2553.12月のブックから(1)

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 ブログ2519号「8月のブック」で、初めて隆慶一郎の作品を紹介した。
この時は「吉原御免状」「影武者徳川家康」と、全集の1~5巻だったが昨日までに全19巻を読了した。

Thjfnp10p9_640 19巻目は「柳生非情剣」、小説を書き始めた'86年に書いた短編「柳生刺客状」から'88年の「逆風の太刀」まで6編が収録されている。
 単行本となった作品集は、翌年直木賞候補となったが残念ながら受賞しなかった。

 五味康祐の「柳生武芸帳」や津本陽の「柳生十兵衛十番勝負」など、上泉伊勢守を始祖とする新陰流を大成させた、柳生一族の活躍を書いた時代小説は多い。

Thcbmy7fgs しかし隆の描く柳生は、異形の剣客たちである。
 幕府の影御用を受け持ち徳川一門の「あぶれもの」の暗殺、柳生家の正統を守るためには弟でも殺す。念願の大名取り立てのためである。
 こうした柳生一族の惨澹たる地獄変相図が、作品ではクールにそして哀しく綴られる。

 「柳生刺客状」(「オール読物」昭和61年8月号)
 柳生石舟斎の五男で、将軍秀忠の指南役・又兵衛宗矩が主人公。影御用を勤めることで権勢を強め、初代大和柳生藩主の地位に。

 「慶安御前試合」(「オール読物」62年3月号)
 石舟斎の孫で、尾張柳生開祖・新陰流三代を継いだ兵庫助利厳が主人公。厳勝の嫡男だが、実の父親は・・・。

Img_8 「柳枝の剣」(「歴史読本」62年6月号)
 宗矩の次男、将軍家光の衆道相手、左門友矩が主人公。兄・十兵衛に殺されるが死の直前に兄の右眼を刺す。

 「ぼうふらの剣」(「歴史読本」62年12月号)
 宗矩の三男で江戸柳生を継いだ飛騨守宗冬が主人公。能の達人で金春宗家から、秘伝を学ぶ。のち将軍家綱の剣法指南役となる。

 「柳生の鬼」(「週刊小説」63年2月19日号)
 彼の有名な柳生剣士、十兵衛三厳が主人公。江戸で育った十兵衛が、柳生の里に戻って無刀取りを会得するまで。

 「跛行の剣」(「週刊小説」63年7月22日号)
 柳生石舟斎宗厳の嫡男、新次郎厳勝が主人公。対信長との闘い、初陣で腰を撃たれて下半身不随になりながらも新陰流第2代の道統を守る。

 「逆風の太刀」(「週刊小説」63年11月11日号)
 柳生石舟斎の四男、五郎右衛門宗章が主人公。小早川秀秋の護衛役として関ヶ原の闘いに、後に伯耆の国飯山城の闘いで18人の鎧武者を斬ったが・・・。

Thcac5vycq この短編シリーズには登場しないが、隆の小説に登場する敵役が柳生義仙。
 裏柳生の総師として宗矩の命を受け、陰仕事て酷薄邪剣を振るう。
 宗矩の四男で柳生家菩提寺芳徳寺(左・写真)の住職、荒木又右衛門に鍛えられた義仙の剣は滅法強かったという。

 義仙が、「吉原御免状」の主人公・松永誠一郎を葬らんとして戦う闇の世界を描いたのが、全集第7巻「かくれさと苦界行」である。

 またその松永の父親を主人公とした17巻・18巻は、次回紹介する。
 

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December 03, 2014

2552.12月のシネマ(1)

 直木賞を受賞した女性作家二人の原作を映画化、切り口は異なるが中堅監督それぞれが話題作を撮った。

Img842_640_2  「まほろ駅前狂騒曲」

  ’06年に直木賞を受賞した三浦しおんの「まほろ駅前便利軒」、続いて「まほろ駅前番外地」('09)「まほろ駅前狂騒曲」('13)と作品はシリーズ化されて大ヒット、売上累計は120万部を超えた。

 「多田~」と「行天!」、中学同級生の便利屋コンビが舞い込む依頼を裁きながら、街の人たちと「ゆる~い関係」を結んでいくお話である。

348983_001_2 第1作目の「便利軒」が、瑛大と松田龍平の主演で映画化されたのが’11年、シネマベスト10に入って評判となった。
 「番外地」の方はテレビドラマ・シリーズ('13)、そして今回「狂騒曲」が映画化された。

348983_003 舞台となっている「まほろ」は、作者の三浦が棲んでいる町田市がモデル。
 都下南西部にある最大の住宅地であり、歓楽街・電気街・書店街そして学生の街として知られている。
 

 JRと小田急が交差する駅前には、デパートにスーパーそして映画館、商店に飲み屋と何でも揃っており、近郊都市のモデルといえよう。

348983_009 この駅前の小さなビルの2階に事務所兼住宅を置く「便利屋多田軒」に、今回舞い込んだ依頼は食の安全を謳う怪しい団体の調査。
 ここの野菜を扱って一儲けしようとする、地元ヤクザ組織からの依頼だった。

348983_005 ところがこの団体は、いわくありげな宗教団体の隠れ蓑。
 便利屋コンビは思わぬ事態に巻き込まれていく。

 監督は前回と同じ大森立嗣、「さよなら渓谷」('13)でモスクワ国際映画祭審査員特別賞を受賞した彼である。
 キャストの方も、瑛大・松田龍平のコンビはもちろん、監督の父親・麿赤児に弟の大森南朋、本上まなみ・松尾スズキ・岸部一徳・高良健吾と前作のメンバーが顔を揃えた。

348983_004 「老人介護」「人工授精」「同性愛」「カルト集団」などシリアスな問題を抱えた作品だが、大上段に構えることなく「ゆる~く」ごく日常的に描いている。
 前作同様、不思議な味のある作品に仕上がっている。

 久しぶりに映画に登場した奈良岡朋子がいい。

Img855_640  「紙の月」

 三浦しおんより1年前に、「対岸の彼女」で直木賞を受賞したのが角田光代。
 「八日目の蝉」('11)に続いて映画化されたのが、柴田錬三郎賞受賞作品の「紙の月」である。

349551_003 この映画で東京国際映画祭最優秀女優賞を受賞した宮沢りえをヒロインに、平凡な主婦が犯した巨額横領事件が描かれる。

 銀行や農協を舞台に従業員の女性による「横領事件」は、現実の社会でもたびたび新聞や週刊誌をに賑わしてきた。
 だいたいが、年上の女性が若い男に貢ぐというパターンで、展開はこの作品も同じだ。

 しかし角田は「男に貢ぐ話ではなく、お金の介在した恋しかできない女性の、ちょっとゆがんだ恋愛もの」として書いた。

349551_006 監督の吉田大八は、その原作をもとに「いったいお金とは何か?」とマネー資本主義社会への問題提起として撮る。
 だから映画は、ヒューマン・サスペンスを装いながらも「現代社会に君臨する神としての゛お札゛のルール」から自由になっていく女性の爽快さが描かれるのだ。

349551_005 クライマックスは真面目なベテラン行員・小林聡美との対峙、破滅寸前まで追いつめられたヒロインが突き破って銀行を飛び出し、疾走するスローモーション映像。
 善悪を超えた彼方にある精神の自由が、様々なルールに縛られながら生きている観客の胸を打つ。

349551_004 出演は、大学生のヒモに池松壮亮、小悪魔的な同僚に大島優子、ヒロインの夫・田辺誠一、資産家・石橋蓮司ほか。

 宮沢りえにとっては、7年ぶりに映画主演。
 お金を横領するたびに、若い男と逢引を重ねるごとに、キラキラと輝いていく女性を見事に演じきった。

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