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November 29, 2015

2776.11月のシネマ(3)

 売れっ子の作家二人が10年以上前に書いた小説を原作とした、アクション・サスペンス映画2本が同時に公開されている。
 いずれもタイトルは動物、その動物の習性が登場人物たちの生き様となる。

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   「グラスホッパー」

 グラスホッパーとは「殿さまバッタ」のこと、密集して育つと黒く変色して凶暴になる。人間もまた、同じエリアで共存しようとすると争いが起き凶暴化する。

 2004年に刊行されたベストセラー小説「グラスホッパー」は、著者伊坂幸太郎自身が「最強傑作」と語る作品である。

 これまで、その世界観を映画化するのは難しいとされてきたが、著者が指名した監督・瀧本智行が見事映像化し、重厚なサスペンスに仕上げた。

351200_002 主要舞台は渋谷・スクランブル交差点。
 ハロウインの夜ヤク中が運転する暴走車で、婚約者(波瑠)を殺された平凡な中学教師(生田斗真)。
 グラスホッパーが蠢く闇組織に潜り込んだが・・・。

351200_001 もう一人の主人公は眼力で人を死に追い込む自殺屋・鯨(浅野忠信)、父親(宇崎竜童)殺しのトラウマを抱えてグラスホッパーの闇の中で生きる。
 そして若き殺し屋・蝉(山田涼介)は孤独の中で狂気を放し、押し屋・槿(吉岡秀隆)は平凡な家庭の中に身を隠す。

351200_008 物語は、普通の男と3人の殺し屋が、闇の世界で絡み合って展開していく。

165419_02_2 舞台となった渋谷・スクランブルの映像がすごい。
 千葉・市原のショッピング・モール駐車場跡に、オープンセットとして渋谷のスクランブル交差点を再現させ、交番、地下鉄入り口、TUTAYA、4基の大型ビジョンなどの大型セットを組んだ。

 そして昨年撮った渋谷のハロウインの実景と合成することで、「群集の中から狂気が生まれる」瞬間を描いた。

 毎日のように渋谷に通って、TUTAYAのビルからひたすらスクランブル交差点を撮った瀧本監督は、そこに「群集相」となったグラスホッパーを見たという。

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   「MOZU」

 獲ったカエルや昆虫を木の枝に刺すMOZU(百舌鳥)、騙されて啄木鳥の卵を抱くという習性をもつ。
 MOZUと呼ばれる殺し屋も、そんな習性をもつ男だった。

352768_011_640 ハードボイルド作家・逢坂剛が、「百舌シリーズ」(公安警察シリーズ)を書きはじめたのは1981年のこと。
 作品は、序章「裏切りの日々」に始まり、「百舌の叫ぶ夜」('86)「よみがえる百舌鳥」('96)「墓標なき街」('15)など7巻にのぼり累計240万部を突破した。

352768_002_640 これらの作品を原作として刑事ドラマとして再構成したのがTBSとWOWOW、昨年来15話が放送された。
 そして今回公開されたのが「劇場版MOZU」である。

 スタッフ・キャストとも、ほぼテレビと同じである。
 監督は、「海猿シリーズ」('04~'12)を手掛けた羽住英一郎、主人公の警視庁公安部捜査官を西島秀俊が演じる。

352768_008_640 行動を共にする元警視庁の刑事(香川照之)、同僚の公安部捜査官(真木よう子+阿部力)、入谷署交番勤務の巡査(伊東淳史)、警察庁特別監査官(小日向文世)、殺し屋・百舌兄弟(池松壮亮)、百舌を操る元公安(長谷川博巳)等々。

352768_006_640_2 そして劇場版で初めて顔を見せたのが、裏世界を支配するダルマ(ビートたけし)とその側近(伊勢谷友介)、殺し屋(松阪桃季)たちで、物語の重要なキーマンとなる。

 「百舌シリーズ」は登場人物が多彩で、複雑な人間関係が綴られているために、小説を手にしたかテレビドラマを見た人でないと、作品が判りにくいかも知れない。

352768_007_640 戦後の日本の裏社会を支配し、政界や官僚、検察や警察を操ってきた男「ダルマ」を、家族を失った公安捜査官・倉木が追うというのがストーリーの中心。
 劇場版では、「百舌」の存在がやや薄くなっている。

352768_009_640 しかし「倉木」「ダルマ」「百舌」の三つ巴の戦いは、東南アジア某国にまで広がり、スケール感は大きい。

 実物を使ったガンアクション、公道を完全に封鎖してのカーチェイス、トレラーや貨物船の大爆発など、フィリピンでの一か月に及ぶ大規模ロケが、劇場版らしい迫力を生み出した。
 

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November 26, 2015

2775.再訪・誓願の森

Imgp0071_640Imgp0021_640 霧島連山・栗野岳。
 湧水の市街地から車で15分上ると、旧栗野原開拓地ががある。

 今は鹿児島県立美術館「アートの森」となった牧場前の林の中に、「誓願の森」はある。

Imgp0052_640Imgp0032_640 「誓願」、それはこの地を開拓した薬師寺忠澄さんの60年の生きざまを象徴する。

 3年前のこのブログ2201号に記したように、彼は2012年8月にこの地に骨を埋めた。
 私にとって今回は、2度目の墓参となる。

Img214_640 薬師寺忠澄、享年92歳。
 第7高等学校を経て東大農学部で学ぶが、卒業後は陸軍航空隊に召集され、仙台飛行学校で終戦を迎えた。
 戦後は北海道で酪農を学びながら、根釧原野の中学校で教鞭を執った。

Imgp0048_640 そして1952(昭和27)年、開拓農民として栗野岳中腹750mの原野に入植した。
 その年彼は32歳、妻・新子25歳、根釧原野で生まれた二人の幼児を抱えての入山だった。

Imgp0001_640 「農業を学んだ者として、農業をを通じて社会に奉仕することが使命。日本の農業から取り残された高原開拓、それを酪農で成し遂げよう」
 それが彼の「誓願」だった。
 (写真は彼の「栗野原農場開拓手記」と新子さんの随筆「ヤマボウシ」)

Imgp0035_640Imgp0033_640 竹樋で山から水を引き、ランプだけの苦しい生活が12年続く。
 その間、一緒に入植した8人の若者たちは、次々と山を下りた。

Imgp0034_640 馬一頭と人力だけでササやカヤの原野を開き乳牛を飼う。
 その牛から乳を搾り、缶を担いで麓まで運んだのは入植6年目だった。

Imgp0041_640 薬師寺さんは、「求道」の人だった。
 「人の念いは、必ず達せられる。もし達せられないことがあれば、それはその人の念いが足りないからだ。(右の写真は、森の中に彼が建てた禅道場・志道庵)

Img212_640 彼は、それを「初一念」という。
 学生の頃から三島の「龍沢寺」で座禅を組み、山本玄峯老大師から受けた教えだった。(左の写真は老大師の墓前で、薬師寺さんとその師・四元義隆氏、そして筆者)

Imgp0050_640 彼の人望を慕って、多くの若者たちが山に登ってきた。
 国内だけでなく、海外からも人生に悩む人たちが訪れた。
 彼は、彼らを無条件で受け入れ座禅を組み農を教えた。

Img213_640 私が薬師寺夫妻に初めて会ったのは、1963年の秋だった。
 彼の高原開拓に掛ける「念い」を、ラジオのドキュメンタリー・ドラマで紹介しようと企画したからだ。
 山道を10キロ登って夫妻の山小屋に泊まり込む、ランプのもとで何日も聞き書きを続けた。(左の写真、インタビューアーは筆者)

Imgp0042_640_2 それから半世紀、鹿児島に帰省するたびに栗野の山に登った。
 薪ストーブを囲み日本の農業の将来や若者への期待を、夜を徹して語り合う。
 20回を超える訪問は、6年前が最後となった。
 次の年に妻・新子さん逝去、そして2年後彼はこの世を去る。

Imgp0060_640 彼の生涯を綴るには、枚数がいくらあっても足りない。
 エピソードを二つだけ記そう。

 地元の人たちの懇請で、町長を一期だけ引き受けた。条件は「夜の宴席には出ない」こと、「牛飼いの朝は早い」が彼の口癖だった。

Imgp0062_640 10数年前に、農場を継ぐ人もいないので酪農をやめた。
 牧場の半分は県に提供、そこは「栗野アートの森」となった。
 残りの牧草地には、夫妻で毎年木を植えた。
 それはこの地を再び、森に還すためだった。
 自然をこよなく愛する妻・新子さんの願いだったと、彼は語る。

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November 23, 2015

2774.故郷・海道八景

Imgp0009_640Imgp0027_640 3年ぶりに帰省した。
 高校時代の仲間が集まった「喜寿同窓会」、翌日はバスに乗って故郷を巡る。
 公民館の副館長が、ボランティアガイドとして案内してくれた。

Img210_640 私の故郷は九州の西南端、北は東シナ海に面した「吹上砂丘」、野間岬を回ると西はリアス式海岸が続く。
 7年前に当時の市長が、国道226号沿線から眺望できる「雄大な自然景観や文化遺産」を選んで、「南さつま海道八景」を選定した。
 今回のバス旅行は、その「八景」を辿ることにした。

Imgp0020_640Imgp0014_640 懐かしい生家や学校を車窓から眺めながら、最初に下車したのは「大浦ふるさと館」。
 ここには「くじらの眠る丘」がある。

Imgp0017_640Imgp0018_640 13年前に、14頭のクジラが海岸に乗り上げた。
 海に還す事が出来たのは1頭だけ、浜に埋めたクジラを掘りだして「骨格」の標本をつくり、「記念館」を建てた。

 思い出したのは吹上浜に乗り上げた大量のイルカ群、確か小学生の頃だった。

Imgp0058_640Imgp0052_640 「高崎山展望所」「谷山展望所」「後浜展望所」をパスして、「笠沙美術館展望所」で下車する。
 沖秋目島を眺望するこの風景は、八景の中で最も美しい。
 今度で五回目だが、何時来ても飽きない。

Imgp0037_640Imgp0032_640 仲間たちのお目当ては、景色より「焼酎」の試飲。
 明治時代から焼酎づくりの技を引き継ぐ「黒瀬杜氏」の村、その技を文化遺産として保存・継承するために焼酎蔵「杜氏の里・笠沙」が3セクで生まれた。

Imgp0047_640Imgp0045_640 ここではブランド焼酎「一どん」や「薩摩すんくじら」「黒瀬杜氏」「笠沙恵比寿」が造られる。
 鹿児島県内では最多の蔵がある南さつま、ここは7番目に誕生した酒造所である。

Imgp0075_640Imgp0074_640 映画「007」のロケ地として知られる秋目、唐の高僧・鑑真が上陸を果たした秋目、ここで海の幸満載の昼食を摂る。

 暖かい南国の入江、食事をとった宿にはスエーデンから避寒にやってきた高齢夫妻が、泊まっていた。
 11月も末だというのに、毎日泳ぎを楽しんでいるらしい。

Imgp0083_640Imgp0091_640 最後に下車したのは八景の七番目の展望所、坊津の「輝津館」。
 ここからの眺望は、名勝「双剣石」である。

Imgp0096_640 穏やかな浪間に対峙するようにそそり立つ岩、それぞれの高さは27mと21m。
 浮世絵師で知られる安藤広重の絵が、歴史資料センター「輝津館」の入り口に掲げられていた。

Imgp0098_640Imgp0094_640 日本三津のひとつにも数えられる坊津は、古くから交易港として栄えてきた。
 江戸時代からその一翼を担ってきた森家が、対岸に見える。
 密貿易屋敷と呼ばれるその家は、私の祖母の実家でもある。

Imgp0108_640Imgp0106_640 「南さつま海道八景」、最後の展望所は「耳取峠」。
 車窓からの眺めだったが、遠くに薩摩富士・開聞岳を望見し、枕崎の名所・立神を臨む。
 バスは一路、加世田市街に向かう。

Imgp0110_640Imgp0112_640 同窓会が開催された鹿児島市内のホテルを出発して6時間、加世田ステーションで多くの仲間たちは下車した。

 バス停に駐車していた「観光くじらバス」を撮って、東京や大阪に帰る数人だけで鹿児島に向かう。

 故郷への旅は終わった。
 次にこの地を訪ねるのは、何時の日になるだろうか。

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November 20, 2015

2773.11月のシネマ(2)

 「アフター・アース」('13)「エアベンダー」('10)と、最近はSFアクションスペクタルを撮り続けてきたM・ナイト・シャラマン監督、久しぶりにサスペンス・スリラーを製作した。

96107_640 インド出身で今年45歳になるシャラマン、子どもの頃アメリカに移住して、ニューヨーク大学芸術学部で映画製作を学んだ。

 彼を有名にしたのはブルース・ウイルスが主演した「シックス・センス」('99)、そのスタイリッシュな演出と衝撃的なラストは観客を沸かし、アカデミー賞でも監督賞・脚本賞にノミネイトされて、国際的知名度を上げた。

 公開中の新作は「アッと驚くどんでん返しに、恐怖と笑い」をまぶした。
 新作と旧作数本を紹介しておこう。

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   「ヴィジット」

 家出した母親が15年間一度も帰ったことのないペンシルバニアの村に、祖父母を訪ねて姉(15歳)と弟(13歳)が帰省した。
 暖かく孫を迎えてくれた祖父母、楽しい一週間の「お泊り」がスタートした。

353463_004_640 ところが夜中、異様な音にドアを開けた姉弟、そこで見たのは全裸で柱をひっかく祖母の衝撃的な姿だった。

353463_002_640_2 「バーバは、夜だけ認知症になる」と説明する祖父も、異常な行動をとる。
 そして納屋と出入りを禁じられた地下室に、祖父が隠しているものは・・・・・・・・。

353463_006_640 映像は全篇、姉弟の持つハンディカメラや隠しカメラによって綴られる。
 母の故郷と祖父母と過ごす日々を、二人がドキュメンタリー映画にする、という設定だ。

353463_003_640_2 リアルタイムで日常を切り取ろうとする、シャラマンが考えた斬新な手法である。
 「低予算で撮るのにちょうどいい」と、監督は話す。

 シャラマンのサスペンス・スリラーは、いつも伏線を張り仕掛けを施して、観客に謎解きを挑む。
 これまでの作品では、想像もつかなかった「どんでん返し」に驚き拍手を送ってきた。

353463_001_640 しかし今回は、早い段階でその「謎」に気づいた。どこかで見たお話なのだ。
 「どんでん返しは、観客を驚かすためでなく物語の一部」と監督は語るが。

353463_005_640_2 出演は、新人の子役二人をふくめ初めてスクリーンで見た役者さんがほとんど。
 祖父役のピーター・マクロビーだけは、「リンカーン」('12)などにも出演していたイギリスの俳優である。

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   「シックス・センス」(1999年)

 かって担当していた患者の凶弾に倒れた精神科医、一命をとりとめリハリビを果たした彼が次に担当した患者は、常人にない「第6感(シックスセンス)」をもつ少年だった。

 彼を治療しながらも、自らの心を癒していく精神科医が見た真実とは・・・。

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   「サイン」(2002年)

 信仰に篤かった牧師(メル・ギブソン)が、最愛の妻を事故で失う。
 ある霊的現象で神への信仰を捨て、二人の子どもと農場で働く彼のトウモロコシ畑に現れたのは、ミステリー・サークルだった。

 なぜそれが、自分の農場にだけ出現したのか。その謎は・・・。

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   「ヴィレッジ」(2004年)

 ペンシルヴェニアの深い森の中にある孤立した村、村人たち(ホアキン・フェニックス、エイドリアン・ブロディほか)はその暮らしを守るために、「奇妙な掟」を守らなければならなかった。

 ある日、盲目の少女が恋人の命を救うために、その掟を破ろうとしていたが・・・。

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November 17, 2015

2772.国立歌舞伎

Kokuritsugekijou 年末の「国立劇場・歌舞伎公演」は、中村吉右衛門を中心に播磨屋・萬屋一門が出演しているが、今年は文化庁芸術祭協賛という事で11月に繰り上がった。
 連れ合いが古くからの吉右衛門のファンなので、毎年お供で国立劇場一等席に座る。

Img203_640 演目は浄瑠璃の初作「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」全五段、119年ぶりの通し上演である。

 「神霊矢口渡」は、南北朝時代の内乱を描く「太平記」を題材にした作品。
  鎌倉幕府を倒した新田義貞の子・義興が、武蔵国矢口の渡しで、底に穴を開けた船に乗せられて非業の死を遂げた史実に基づいている。

Th1 その後矢口では、義興の亡霊が祟りをなすので、村人たちが「新田大明神」を建立して霊を祀ったという。
 現在も東京・大田区矢口には、新田神社が残っている。

Thk4h43lmz 浄瑠璃を書いたのは福内鬼外、彼の有名な蘭学者・平賀源内のペンネームである。
 1770(明和7)年に、人形浄瑠璃として江戸外記座で初演され、4年後に江戸桐座で歌舞伎上演された。
 大正に入ってからは、四段目「頓兵衛住家」だけが単独上演されてきたが、今回119年ぶりに通し公演となった。

20100616_1514192 ストーリーは意表を突く展開のもと、各幕ごとに様々なドラマが繰り広げられる。
 序幕「東海道焼餅坂」は109年ぶり、二幕目「由良兵庫之助新邸」では初代・吉右衛門が演じた新田家の家老・兵庫之助を、当代の吉右衛門が100年ぶりに挑む。

 義興死後、新田家を裏切って足利尊氏に仕えた兵庫之助。
 妻・湊(中村東蔵)や義興の奥方(中村芝雀)にも冷酷そのもの、忠臣・南瀬六郎(中村又五郎)まで切り殺し、義興の遺児の首まで差し出す兵庫之助。
 実は・・・・・、と物語は展開していく。

Img204 内面を一切明かさない前半の吉右衛門の敵役としての魅力、一転して苦しい忠義を語り、身代わりとなった我が子への思いを泣き笑いで見せる演技、復活したクライマックスの幕をきちんと纏めあげる。

 三幕目も119年ぶりの上演となった「生麦村動念庵室の場」、続いて、大詰は有名な「頓兵衛住家」。

 渡し守・頓兵衛(中村歌六)と義興の弟・義峯に惚れたお舟(中村芝雀)親子の相克。
 義峯をたすけるために、お舟は身代わりとなって父親に殺される。
 最後まで強悪非道を貫く頓兵衛、その運命は・・・・。

 この「神霊矢口渡」、平賀源内が新田神社に頼まれて、矢口の「村起こし」のために書いた「義太夫狂言」らしい。
 それだけに、恋あり、怨霊あり、子を殺す忠義ありと、狂言名場面のパロディが満載。

 正午に始まり終わったのは午後4時20分、3回の幕間を挟んでの歌舞伎をたっぷりと楽しんだ。

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November 14, 2015

2771.11月のブックから「山桜記」

 今号も葉室麟の作品から。 

 北九州で生まれ育ち、地元紙記者やラジオのデスクを経験した葉室だけに、彼の時代・歴史小説の舞台は九州北部が多い。
 直木賞を受賞した代表作「蜩の記」も、豊後のある藩がモデルとなっている。

 そして短編集「山桜記」は、多くが九州北部・中部の諸藩が舞台となる。

Img193_640 「オール読物」に、2011年から13年にかけて掲載された七つの短編を一冊にまとめて、昨年「文藝春秋」社から出版された作品である。

 共通するのは、時代に翻弄された若侍や藩主そしてその妻たちの、「愛の物語」である。

Th61ls75qn_640 「汐の恋文」

 肥前佐嘉(さが)の大名・竜造寺家の若い家臣・瀬川采女と、妻・菊子の熱烈な愛。朝鮮に出兵した夫へのラブレターに嫉妬する、太閤秀吉が描かれる。

 「氷雨降る」

 家康の命で斬首させられた、肥前島原のキリシタン大名・有馬晴信。彼のもとに嫁いだ公家の娘、洗礼名ジュスタとの、実話をもとにした愛と信仰の物語。

Th6bhzw7t5_640 「花の陰」

 父・細川忠興に疎まれた嫡男・忠隆(のちの数寄者・長岡休無)と、加賀の大名・前田利家の娘・千世との「愛と別れ」。

 「ぎんぎんじょ」

 肥前佐嘉の大名・鍋島直茂に嫁いだ出戻り娘・彦鶴。夫の継母で竜造寺家出身の慶誾尼(けいぎんにょ)との深い交情。誾誾如(ぎんぎんじょ)とは、慎み深く生きよとの孔子の教え。

Thqz0q3uix_640 「くのないように」

 のちの紀州徳川家初代・頼宣に、17歳で嫁いだ肥後隈本の大名・加藤清正の娘八十姫。輿入れに持ち込んだ清正愛用の「片鎌槍」と、父への想い。

Th96gpj6lh_640 「牡丹の咲くころ」

 隠居した元筑後柳川藩主・立花忠茂と、仙台伊達家から嫁いできた政宗の孫・鍋姫との心温まる夫婦愛。「伊達騒動」の真実が明かされる。

Thqr64vr46_640 「天草の賦」

 筑前福岡藩主・黒田忠之と、「島原の乱」の天草四郎との不思議な縁。忠之の祖父・如水は、キリシタン大名だった。この短編でも「黒田騒動」が、背景にある。

 それぞれの作品が何時の日か「長篇」となって、私たちを楽しませてくれるの待っている。

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November 11, 2015

2770.藤沢周平ドラマ「果し合い」

Img207_640 衛星放送スカパー!「時代劇専門チャンネル」で放送されているTVドラマが、映画館で上映された。
 藤沢周平・新ドラマシリーズ「果し合い」、先週の土曜日から明後日まで1週間だけ、それも松竹・東劇で1日1回の限定公開である。

 時代劇専門チャンネルは、その名の通り過去に放送された「名作時代劇ドラマ」や「傑作時代劇映画」だけを有料放送する局だが、久しぶりにオジリナル時代劇を製作した。
 それも日本映画の黄金期を支えた、松竹京都撮影所のベテランスタッフが中心となって参画している。

354500_004_640 そして主人公に、このたび文化勲章を受章した名優・仲代達矢を迎え、共演に原田美枝子・益岡徹らの実力派、桜庭ななみ・柳下大など若手が出演、テレビドラマでは見られない豪華な布陣となった。

354500_006_640 製作陣も、フジテレビでは「北の国シリーズ」を演出、映画では「最後の忠臣蔵」('13)を撮った杉田成道が監督、脚本・小林政広(「春との旅」'14)、音楽・加古隆(「最後の忠臣蔵」)と、錚々たる顔ぶれである。

124703_640 原作は、藤沢周平が「週刊小説」('75.11)に発表した同名の短編小説(新潮文庫「時雨のあと」所収)。
 「部屋住み」として本家の離れに住む厄介者の老人(仲代達矢)が、ただ一人面倒を見てくれる甥の娘のために、命を懸けて「果し合い」に挑むというもの。

 「愛のために身を捨てる、老いた下級武士」を、83歳の名優がその眼力と巧みな剣捌き、時にはユーモラスに哀歓をこめて演じた。

354500_003_640 とくにクライマックスとなる若い武士との「果し合い」は、本人も惚れ惚れしたと語る見事な「居合抜き」を見せた。
 テレビの画面では味わえない、劇場の大スクリーンでの迫力ある立ち合いに、満席の観客は満足した。

Th_640 このブログでも度々紹介した藤沢時代劇、映画では山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」('02)「隠し剣鬼の爪」('04)「武士の一分」('06)という名作、テレビではNHKの「清左衛門残実録」('93)「蝉しぐれ」('02)「風の果て」('07)が印象に残っている。

 今回の「果し合い」は、それらに加えて「映画とテレビドラマの枠を超えた時代劇作品」として後世に伝えられるだろう。

 「時代劇専門チャンネル」の藤沢周平・新ドラマシリーズは、今月23日には「遅いしあわせ」(檀れい主演)、12月6日からは「冬の日」(中村梅雀主演)が放送される予定。

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November 08, 2015

2769.11月のシネマ(1)

 いま旬の女性作家二人の作品、一人は児童文学が出発点、もう一人は推理小説から、その映画化は大きな話題をよんでいる。

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    「岸辺の旅」

 3年前に失踪した夫(浅野忠信)が、突然アパートの部屋に現れた。
 だが、夫は「俺、死んだんだよ」と妻(深津理恵)に告げる。

Img188_640 今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で、監督賞を受賞した作品である。
 黒沢清監督、日本人では初めての「監督賞」だった。

 「最高のメロドラマ!」「夫婦愛を純粋に描いた、美しいラブストーリーだ!」「死を越えた愛の物語が誕生した」と、審査員たちは「岸辺の旅」を高く評価した。

351116_006_640 死んだ夫が過ごした3年間、お世話になった人たちを二人で訪ねる「ロードムービー」である。

351116_005_640 訪ねた人々はあの世の人(小松政夫)やこの世の人(柄本明)だったが、生きている人たちも「死者」への想いを断ち切れない人たちだった。
 その中には、夫が秘密にしていた女性(蒼井優)も現れ、女と女の意地をかけた闘いもコミカルに描かれる。

Img190_640 原作者の湯本香樹実は、音大作曲科出身でオペラ台本から執筆活動に入った作家。

 処女小説「夏の庭」で児童文芸新人賞を受賞、「岸辺の旅」は織田作之助賞候補になった作品である。
 現在公開されている映画「ポプラの秋」の原作も、湯本香樹実が18年前に出版した作品である。

Img189_640 監督の黒沢清は「死者が普通に存在する世界観に感銘を受けた」と、湯本作品の映画化について語る。
 「平凡な生活の隣に、死や廃墟が貼り付いていることを強調したかった」と、ホラーの呼吸を出す。

 映画の終盤、永遠の別れを予感した夫婦の濃密な性愛の描写が、切なくて美しい。
 黒沢作品にしては、珍しいシーンとなった。

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   「罪の余白」

 野生時代フロンティア賞('12)を受賞した「罪の余白」、元編集者の芦沢央は、この作品で作家デビューした。

353195_008_640 教室のベランダから落ちて死んだ高校生。
 なぜ娘は死んだのか、自殺か事故か?
 大学で心理学を教える父親(内野聖陽)の前に現れたのは、美しいクラスメイト(吉本実憂)だった。

 娘のパソコンに残されていた日記には、そのクラスメイトに心理的に追い込まれていく様が綴られていた。
 いわゆる「いじめ」、それも陰湿で邪悪な「いじめ」だった。

353195_005_640 映画は、「いじめっ子」と「いじめられた子」を失った親との軋轢が描かれていく。
 それも心理学の専門家であった親が、女子高校生に心理的に追い詰められて、「狂気へ走る姿」がサスペンスフルに描かれるのだ。

353195_004_640 いじめっ子の女子高校生を、単純に「悪役」と描いていないところに、怖さがある。
 彼女もまた、この「生きずらい世の中」で、切実に迷い悶えているのである。

 「自殺願望の同級生を殺した高校生」「同級生にタリンを飲ませて殺した女子学生」「後輩を嬲り殺しにした上級生たち」「祖父母を殺した孫の高校生」・・・。
 映画は絵空事ではなく、私たちの周辺で日常で起こっていることを追体験させる。

353195_002_640 物語が進むにつれ、ますますダメ男になっていくサマを内野が上手く演じ、「全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを獲った吉本が彼を翻弄する。

 監督・脚本は、日仏合作映画「フレア」('14)を撮った大塚祐吉。
 カメラマンとしても活躍し、「首領の一族」('06)などでそのスタイリッシュな映像美が話題を呼んだ。

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November 05, 2015

2768.まるごとミュージアム2015②

Imgp0017_640 「まるごとミュージアム」、銀座と並んでイベントが集中しているのは日本橋界隈。
 デパートでは「東京きもの女王コンテスト」が開かれ、シネコンでは「名作映画鑑賞会」、薬研堀不動院では「講談」、そしてシャンソンやライブコンサートも開かれていた。

B655cf2e7c902608ff5a02dd3b9aec5d_64 その日本橋でのイベントの中で、今回参加したのはふたつ。
 まず「特別展・蔵王権現と修験の秘宝」から紹介しよう。

 展覧会は既に8月末から開催されていたが、「まるごとミュージアム」の一つとしてレクチャー付きの鑑賞会(無料)が一日だけ行われた。
 事前に葉書で申込み定員は抽選による50名だけ、運よく当選したので三井記念美術館に出かけた。

Theh6kq95l_640_2  「蔵王権現」とは修験道の本尊、インドに起源を持たない日本独自の「仏」で、奈良・吉野の金峰山寺(蔵王堂)の本尊が有名である。

Thu455imvb_640 権現とは、「権(かり)の姿で現れた神仏」のこと。
 修験道の開祖である役小角が、吉野山で修行中に岩の中から湧き出てきたとの伝承がある。

Img202_640 顔は激しい憤怒の相、髪は怒髪天を衝き、右手と右脚を高く上げ、左手は腰にあてて刀印を示す。
 その姿は、天地の悪魔を払い人間の情欲や煩悩を断ち切ってるという。

Thjkixjyp7_640 「蔵王権現」で有名なのは、金峰山寺の本尊をはじめ如意輪寺・櫻本坊、鳥取・三佛寺の投入堂の像で、国宝や重要文化財に指定されている。
 今回は各地の「蔵王権現像」や権現に従う「八大童子」、鏡像・曼荼羅図・懸仏など70点が展示されていた。

Img15_640_3 平安時代から鎌倉~室町~江戸時代と、「蔵王権現像」の姿が変わる様は、修験道が庶民の間にどう広まっていったかを想像させて面白い。

Th5l4ffxd4_640 このブログ2616号('15.6.9)で、山本兼一の歴史小説「神変~役小角絵巻」を紹介したが、学芸員のレクチャーを聞きながら「天皇家と藤原家の権力」に抵抗した「蔵王権現=役行者」の姿を思い浮かべた。

 三井記念美術館での特別展は3日で終了したが、奈良・金峰山寺蔵王堂では12月6日まで「秘仏本尊特別ご開帳」が行われている。

Imgp0005_640 美術館のお隣、日本銀行で催されていたのが「にちぎん体験2015」。
 国の重要文化財である日本銀行本館の、レクチャー付き見学ツアーである。
 先着60名という事で、事前にネットで申し込んでおいた。

Imgp0008_640 日本銀行の内部は、その昔「テレビ番組」の撮影で足を運んだことがあったが、今回は「文化財」という視点から建物を見たいと思って応募した。

Imgp0009_640 東京駅の設計で知られる辰野金吾(1854~1919)が、それより18年前の1896(明治29)年に造った建物で、関東大震災・東京大空襲にも耐えて今日そのままの姿を留めている。

Img196_640_2 40年前に新館がが建てられたので、業務のほとんどがそちらに移ったが、本館の方は文化財として一般に公開(要予約)されている。

Img197_640 赤外線チェックなど空港並みの厳しい検査を受け、本館に入る。
 ビデオによる概要を見た後、日銀職員の案内で「旧営業所」や「応接室」「史料展示室」を回る。
 ツアー客の後ろには、ガードマンがぴったりと付いてくる。

Img198_640 今は使われていない地下金庫エリアでは、一億円の札束や金塊のミニチュアを手に触って「お金」を体験する。
 新館の営業場や国際金融の現場なども遠くから眺め、日本銀行の歴史や業務のレクチャーを受け、1時間半の見学ツアーを終えた。

Img199_640Img200_640 レクチャーを受けて初めて知ったのだが、昭和21年に発行開始された左の「百円札」、さらには明治22年に発行開始された「一円札」など、18種類の紙幣は新たに発行はされないが有効な銀行券だということだった。

Img201_640 そういえば、子どもの頃使っていた懐かしい「10円札」、占領下だから「米国」という文字なんだと教えられたのを思い出した。
 これらのお札は額面通りでしか通用しないが、古銭商に持っていけばもう少し高値が付くかも知れない。

Imgp0025_640Imgp0018_640 今年からは、「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」による「地域の歴史・文化散策ツアー」もイベントに加わった。
 クルーザーによる「川ツアー」と、コミュニティサイクルを使った神社・寺院を巡る「陸ツアー」である。

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November 04, 2015

2767.まるごとミュージアム2015

Imgp0028_640_2 8回目を迎えた「中央区まるごとミュージアム」、日曜日の1日をハイライトに、前後2週間にわたって40を超えるイベントが展開された。

 私の住む中央区は、江戸以来400年以上にわたり日本の文化・商業・情報の中心として発展してきた街。

Imgp0021_640_2Imgp0019_640_2 区内にある名所・旧跡、画廊や美術館、歌舞伎などの伝統芸能に音楽・演劇、隅田川を中心に縦横に流れる運河や掘割、こうした文化遺産を無料のバスや船で移動しながら、たっぷりと楽しむイベントである。

 今年は、昨日までに四つのイベントをセレクトして参加した。

Imgp0002_640Imgp0006_640 最初に紹介するのは「フラワーカーペット晴海2015」(4日15時まで開催)。

 今年で15回目となる「花の絨緞展」は、イタリア・ジェンツアーノで中世の頃から続く感謝祭、「インフィオラータ」の日本版である。

Imgp0014_640Imgp0013_640 東京藝大の大学院生たちが描いた下絵を基に、晴海の子ども達がバラの花びらを並べて絵を描く。
 「春からホケキョ」「常夏の航海」「パノラマ神無月」「ゆきだるまマーチ」、今年は「日本の四季」がテーマだった。

 インターネットで応募して、当選したのは「アフタヌーン・ギャラリーズ」。
 「オータムギンザ2015」のイベントのひとつとして、銀座にある16の画廊を4組にわかれて巡るツアーである。

Imgp0001_640Imgp0003_640_2 参加したのは「多作家、多ジャンルで感性に刺激」と題したBコース、ガイドの案内でまずは銀座5丁目にある「ジャンセン・ギャラリー」に。

Imgp0007_640 ここはエコール・ド・パリからアール・ヌーボーと、30年以上続いている西洋絵画の老舗。
 とくにフランスで活躍したアルメニア人画家・ジャンセン(1920~2013)の作品の取り扱いは日本一とか、サザビーズやクリスティーブのオークションに直接参加して購入すると店主は解説してくれた。

Imgp0019_640_3Imgp0022_640 続いて案内されたのは銀座6丁目の「秋華洞」、日本画を扱う画廊で、この日は浮世絵が展示されていた。

Imgp0010_640 栗原玉葉の描いた「瀬川菊乃丞」(絹本着色)、スタッフから説明を聞く参加者たち。
 作品には、80万円の札が付いていた。

 そして北斎・広重・国芳・豊国らの風景画や役者絵、近代木版画は50万~10万円である。

Imgp0030_640Imgp0026_640 5丁目にある古いビルの階段を上って5階、6畳ほどの部屋が「Galleria Col」。
 現代絵画を扱う画廊である。

Imgp0027_640 床も壁も館主の手造り、という部屋に展示されていたのは、草間彌生と並ぶ前衛作家・田中敦子(1932~2005)の作品群だった。

 最後は1丁目にある「柴田悦子画廊」、若手画家たちの作品を展示しているギャラリーとして知られる。

Imgp0036_640Imgp0040_640 この日は画家たちも画廊に来ており、作品の紹介をしてくれた。

 左の水彩画は平野俊一さん、カレンダー用に注文を受けて描いた作品である。

Imgp0038_640Imgp0037_640 右は岩絵具を使って描いた麒麟さんの作品、金箔を使った日本画だが独特の味わいを出している。

Imgp0039_640Imgp0042_640 そしてもう一人、越畑喜代美さんの作品。
 同じく岩絵具を使っているが、趣が違う。

 「アフタヌーン・ギャラリーズ」は、このほか「資生堂ギャラリー」や「日動画廊」など大手の画廊を巡るコースもあり、こちらは来年以降に訪ねることにした。

 先月24日から昨日まで催されていた「オータムギンザ2015」、「新富座こども歌舞伎」「ギャラリー寄席」「銀座八丁神社めぐり」「レストランウイーク」「東京藝大in銀茶会」など多くのイベントが並んでいた。

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November 01, 2015

2766.晩秋・上高地

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  初冠雪した穂高の山々、晩秋の上高地を訪ねた。

 奥穂高岳(3190m)を中心に、西はジャングルダム(3163m)西穂高岳(2909m)、東は吊尾根を経て前穂高岳(3090m)明神岳(2931m)と連なる。
 南に目を向けると、活火山・焼岳(2455m)が陽光を浴びて雲間から覗く。

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  毎年季節を変えて訪ねる上高地、今年は初夏の新緑の息吹を浴びた。

 そして晩秋、黄金色のカラマツを見たくて2回目の旅だった。

 ダケカンバ・シラカンバ・コメツガ・シラビソの針葉樹林、ハルニレ・サワグルミの湿性林、ケショウヤナギ・ケヤマハンオキの川辺林。
 針葉樹の仲間では唯一落葉するカラマツ(唐松=落葉松)、その名の通りほとんどが落葉して、森の中は黄金の絨緞になっていた。
 今年の紅葉は、例年よりも10日早かったという。

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  初夏と違って花は少ない。
 その代りに目を楽しませてくれるのが、木の実たちは、オオカメノキ・カンボク・ミヤマニワトコ・ムシカリ・ズミ・マユミ・ナナカマドなどなど・・・・・。

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  毎年歩く明神への木道、カラマツの落葉に飾られた橋やお馴染みの木の根っこや熊笹、今年も野猿とすれ違った。

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  晩秋の上高地、あと10日で道は閉ざされ長い冬の準備に入る。

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