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April 30, 2016

2909.4月のシネマ(5)

今月はアカデミー受賞作品など、話題作が多かった。
 日本映画は山田作品、洋画はちょっと気になった作品を個別に紹介したが、残りはメモとして今号で。
 
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  「インサイダーズ」
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 ハリウッドで活躍しているイ・ビョンホン(「ターミネーター」'15)が、主人公のチンピラを演じ、巨大財閥と政治家が癒着する韓国の腐敗構造をあぶりだす。
 
355068_002_640  昨年秋に公開されたが、韓国社会の現実がリアルに描かれたことで歴代No1の大ヒットとなった。
 
 暴力で伸し上がりながらどこか憎めない役のビョンホンほか、上昇志向の若手検事(チョ・スンウ)と元進歩派ジャーナリストで今や政財界の策士となった男(ベク・ユンシク)が、命を懸けた騙しあい演じる。
 監督は「破壊された男」('10)のウ・ミンホ。
 
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  「砂上の法廷」
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 レバノン出身の俳優で「マトリックス」('99)シリーズ活躍したキアヌ・リーブスが、敏椀弁護士を演じる法廷劇。
 
355436_002_640  大物弁護士の父親を殺した容疑者の母親が、「コールド・マウンテン」('04)のオスカー女優レニー・ゼルウイガー。
 
 真実のみが語られるべき法廷で、証人たちの証言は嘘が散りばめられていた。
 有罪判決を目前にして、これまで黙秘を続けてきた被告少年の衝撃の告白とは。
 「フローズン・リバー」('08)でアカデミー賞にノミネイトされた、コートニー・ハントがメガホンを執った。
 
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  「マジカルガール」
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 白血病で余命わずかな少女は、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファン。
 娘のために高額の「ユキコ」のコスプレを手に入れようと、失業中の父親が採った手段は・・・・。
 
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 心に闇を抱える女と引退した教師、親子と彼らの「二組の愛」が交錯して予測もできなかった悲劇が生まれる。
 
 監督はスペインの新鋭カルロス・ベルムト、「日本オタク」のかれは長山洋子の歌を流し、美輪明宏作詞・作曲の「黒蜥蜴の唄」でエンディングを彩る。
 
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   「LOVE 3D」
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 「カノン」('98)「アレックス」('02)で知られる、フランス映画界の鬼才ギャスパー・ノエ。
 予てから「3Dポルノ」を製作すると構想を語ってきたが、実現したのがこの作品。
 昨年のカンヌ国際映画祭で上映され、観客を熱狂の渦に巻き込んだ。
 
355303_0041_640 アメリカからパリに留学している映画青年が、かっての恋人との2年にわたる濃密な「愛の生活」を振り返る。
 
 3D映像によって「精液」が観客に向かって飛び散る映像など、大胆な性描写によって、愛の悦び、切なさ、残酷さをリアルに描いた。
 
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  「ボーダーライン」
 
 原題は「Sicario」、スペイン語で「殺し屋」を指す。
 エミリー・ブラント(「ヴィクトリア女王」'09)が扮したFBI捜査官のヒロインより、オスカー俳優ベニチオ・デル・トロ(「トラフィック」'00)の「殺し屋」が主人公と言っていい作品。
 
354473_002_640  アメリカ・メキシコ国境を舞台に、メキシコ麻薬カルテルを殲滅すべく組織された特殊部隊の超法規作戦を、法を守るべく参加したFBIキャリアの目から捉える。
 
  来月にはメキシコ麻薬戦争を撮ったドキュメンタリー「カクテル・ランド」も公開される。
 ホットな現実を映画化した傑作である。
 アカデミー賞にノミネイトされた「灼熱の魂」('10)で知られる、カナダ出身のドウニ・ヴィルヌーヴが監督した。

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April 27, 2016

2908.信濃路・宝塔を巡る

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 桜を訪ねる信濃路のドライブ、もう一つの目的は、古刹の「宝塔」に出会うための旅だった。
 
 塩田平、松本と上田を結ぶR143とR254に挟まれた盆地は「信州の鎌倉」とも呼ばれる。
 鎌倉幕府2代執権・北条義時と、その末裔が信濃の守護となり、鎌倉仏教がこの地に根付いた。
 
Imgp0070_640Imgp0072_640_2  青木村にある天台宗の寺院「大法寺」は、開基が奈良前期と古いが、国宝に指定されている「三重塔」は、1333(正慶2)年のもの。
 
Imgp0078_640_2  摂津・四天王寺の宮大工の手による塔は、思わず振り返りたくなる美しさから、「見返りの塔」とも呼ばれる。
 
 高さは18.56m、塩田平を見下ろす山の中腹に建つ塔は、中世の山地寺院の典型ともいえる。
 

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Imgp0030_640  戸隠に棲む鬼女退治、謡曲「紅葉狩」で知られる平惟茂が別荘を設けたことから、別所と呼ばれるようになった温泉街。
 
Imgp0036_640  国宝「八角三重塔」は、その温泉の一角にある信州最古の禅道場「安楽寺」の裏山に建つ。
 建立は1290年代(鎌倉末期)、禅宗様(唐様)と呼ばれる建築様式で、八角は珍しい。
 
Imgp0041_640Imgp0040_640  安楽寺は、鎌倉・建長寺を開いた蘭渓道隆と共に、宋から帰朝した惟仙和尚が創建した。
 
 塩田北条氏の庇護のもと栄え、多くの学僧を輩出したが、北条氏滅亡で寺運も傾き、安土・桃山時代に臨済宗から曹洞宗に改められ現在に至っている。

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 すぐ近くにあるのが「常楽寺」、安楽寺と共に別所三楽寺と呼ばれる(もう一つの長楽寺は廃寺)。
 
 825(天長2)年、延暦寺の慈覚大師が開創した「北向観音」の本坊で、天文教学の道場、天台宗別格本山である。
 
Imgp0056_640Imgp0061_640  本堂裏にある重要文化財「石造多宝塔」は、北向観音が出現した場所に安置されている。
 
 高さは274㎝、緑苔むす塔は700年の風雪を耐えてきた。
 
Imgp0014_640Imgp0022_640  独鈷山麓にある古刹「前山寺」は、塩田城の鬼門にあり武将の信仰が厚かった寺院である。
 
 812(弘仁3)年、空海が開創した霊場で高野山金剛峰寺より4年古い。
 
Imgp0018_640Imgp0019_640  前山寺にある重要文化財「三重塔」は室町時代のもので、窓や欄干がなく「未完成の完成塔」と呼ばれる。
 
 甲斐武田家の庇護を受け、新義真言宗の談林所として教学の殿堂として栄えた。
 
Imgp0109_640  千曲川を越えて上田市街に入る。
 
 ここには、741(天平13)年に建立された「信濃国分寺」がある。
 平将門の乱で焼かれ、現在の本堂(薬師堂)、江戸末期に建てられた新しいものである。
 
Imgp0108_640  境内にある旧国宝「三重塔」は、源頼朝の発願によるものと伝えられるが、様式上室町中期の建立と推定される。
 
 明治時代に国宝と指定されたが、現在は重要文化財の範疇に収まっている。
 
 信濃路の桜と宝塔を訪ねる旅、故郷・九州の災害と重なり犠牲者の鎮魂と被災者たちの無事を祈る旅となった。

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April 25, 2016

2907.桜・信濃路

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 春まだ浅い「信濃路」は、今が桜の見ごろ。
 
 友人の車に同乗して、長野から小川村、安曇野・塩田平・上田と、桜を愛でる旅をした。
 
Imgp0035_640_2Imgp0055_640_2 「日本で最も美しい村」のひとつ小川村。
 白馬岳・八方尾根・五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳など、北アルプス後立山連峰を望む村には、桜の名所が多い。
 
Imgp0038_640Imgp0042_640  戸隠への道「小川アルプスライン」を上ると、二本のソメイヨシノが目印の「日本記」(2本の木?)に着く。
 珍しい馬頭観音のある風景、「ニッポンの里」である。
 
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 アルプスラインを下って、今度は「二反田の桜」へ。
 柏土展望台から、桜と村の佇まいを眺める
 
Imgp0142_640Imgp0150_640  谷間にある村の中心地、「オリンピック道路」(長野大町線)を超え「立屋口留番所跡」に向かう。
 
 
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ここには松代藩真田家が、「人改め」「物改め」のため設けた番所(関所)があった。
 
 その番所初代・鈴木八右衛門の霊を慰めるために植えたのが、「立屋の桜」と呼ばれる「エドヒカンザクラ」。
 
Imgp0139_640Imgp0138_640  樹齢300年を超えた「立屋の桜」の実生台木に、「ベニシダレザクラ」を接木して育てたのが「番所の桜」。
 10代当主守雄さんは、長年かけて70本にまで増やしてきた。
 
 この日鹿島槍ヶ岳を臨む「桜の里」には、多くのカメラマンが訪れていた。
 
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翌日に安曇野で観た「大峰高原」の桜、上田市の「前山寺」で観た桜、天台宗の古刹「常楽寺」で観た桜などなど、信濃路の桜は静かな山村を彩っていた。
 

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April 22, 2016

2906.4月のブックから(2)

Img_1_640_2  前回は山本兼一の書いた「山岡鉄舟」伝を紹介したが、山岡については津本陽の短編を思い出す。
 改めて図書館から借りて読んだが、この短編集「幕末七人の侍」には「鉄舟・泥舟・海舟」の「江戸三舟」が登場し、改めて彼らが幕末で果たした役割を確認した。
 
Yjimage_640  尊敬する多くの歴史・時代小説作家が逝っているなかで、津本陽は健在である。
 今年87歳、和歌山に生まれ東北大で学ぶ。
 
 故郷和歌山を舞台にした「深重の海」('78)で直木賞を受賞、その後「塚原卜伝」や「柳生兵庫助」「東郷重位」「千葉周作」ら戦国時代や幕末に活躍した「剣の先達」たちを描いて、文壇での地位を確立した。
174826884_640  津本自身が剣道三段・抜刀道五段の腕前を持ち、武道への造詣は深い。
 
 それを生かし彼の作品には、剣の先達だけが持つ高い境地や、剣技の精密な描写が描かれており、多くの読者を魅了した。
 
51mujo4dpkl__sx335_bo1204203200__64  さらに信長・秀吉・家康・信玄・謙信・政宗・利家などを主人公にした作品を発表、秀吉の残した言葉「夢のまた夢」をタイトルにした作品('94)で吉川英治文学賞を受賞している。
 
 彼の作品は、情緒性を排した重厚で簡潔な表現が特徴で、膨大な資料から逐次内容を提示・解説していくものが多く、それが「剽窃問題」となったケースもある。
 1997年紫綬褒章、2003年旭日小綬章。
 
 
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   「竜馬の油断」
 
 「オール読物」に、2008年から'10年にかけて掲載した「幕末七人の侍」の、「エピソード」を中心に描いた短編集である。
 表題はその第1章、タイトル通り1867年(慶應3)年11月15日よるの竜馬暗殺が微細に描かれる。
 
20070315_640  前土佐藩主山内容堂を動かし、将軍徳川慶喜に大政奉還策を受け入れさせた竜馬、いわば薩長の武力倒幕を防ごうとした彼だったが、新選組や見廻組にとっては仇敵に変わりはなかった。
 
 ちょっとした油断の隙をついて、通り魔のような剣の練達者によって一瞬のうちに暗殺されるのである。
 
220pxmunemitsu_mutsu_640  第2章が「小次郎の直刀」、のちの外務大臣・伯爵陸奥宗光の青年時代が描かれる。
 
 紀州藩の重臣の子として生まれたが、父・伊達宗弘が藩内の政争に敗れて失脚、幼年時代は窮乏生活に塗れた。
 19歳で勝海舟の海軍操練所に入り、さらに海援隊の一員として竜馬と行動をともにする。
 
 子供のころから学んだ「柳剛流」の名人、刃渡り二尺八寸七分肥後拵えの無反りの「直刀」に周囲は恐れをなした。
 
 津本は六年前に書いた「荒ぶる波濤」で、陸奥の生涯を追っている。
 
0014_640  第3章「情義の男」が山岡鉄舟、第5章「武士の魂」が高橋泥舟、第6章「気魄の人」が勝海舟である。
 この3人の関係については、前回紹介しているので省く。
 
20120118_dqnname_23_640  海舟は鉄舟の最後を、圓朝と共に看取る。
 「いよいよご臨終と聞き及んだが、ご感懐はいかがかな」(海舟)
 「現世の用を終え、お先に参る」(鉄舟)
 「さようか、お心静かに参られよ」(海舟)
 
Ct3_ra5a_640_2  夜になって(鉄舟は)落語家の三遊亭圓朝に命じた。
 「一席聞かせてくれ。皆を笑わせろ」(鉄舟)
 圓朝は涙とともに語った。腹痛が厳しいので鉄舟は坐っておれず、布団を積みあげさせ、それにもたれ結跏趺坐を組んだ。
 鉄舟が息をひきとったのは、翌朝の午前9時15分、享年53歳であった。
 
 第7章「蒼天に去る」は吉田松陰、第4章「武士の天性」は紀州藩公用方として家老を護衛した中村郁蔵。
 初めて知った中村は、北辰一刀流玄武館で学んだ紀州一の試合巧者である。
 

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April 19, 2016

2905.4月のシネマ(4)

Yjimage17usn2ay_640_2  3月末に開催された第88回アカデミー賞、その授賞式の舞台を最も彩るのが主演女優賞にノミネイトされた俳優たちである。
 
 今年の顔ぶれは、「JOY」のジェニファー・ローレンス(25歳)、今回も含め4回ノミネイトされ「世界にひとつのプレイブック」('12)でオスカー受賞。
 
354600_004_640  続いて「キャロル」に出演したベテラン女優ケイト・ブランシェット(46歳)、助演賞も含め7回ノミネイトされ「ブルージャスミン」('13)で二つ目のオスカー。
 
Yjimagekmki3rw1_640  「さざなみ」に出演したイギリスの女優シャーロット・ランブリング(70歳)は初めてのノミネイトだが、この作品でベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞している。
 
Yjimage1xkj36nk_640  「ブルックリン」のシアーシャ・ローナン(21歳)はアイルランドの女優で、3回目のノミネイトである。
 
W700ce_2006343_640  そして今回主演女優賞を受賞したのは、「ルーム」のブリー・ラーソン(26歳)。
 子役出身のシンガーソングライターの彼女が、初めて主役を演じてゴールデン・グローブ賞を受賞、続いてオスカーを手にしたのである。
 
 
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  「ルーム」
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355360_004_640  閉じ込められた「ルーム」で暮らす、ママ(ブリー・ラーソン)と5歳のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。
 テレビを見てケーキを焼き、狭い部屋でストレッチ。
 映画は、こんなシーンから始まる。
 
 誘拐されて閉じ込められて7年、ママは奪われた人生を取り戻し、「部屋」しか知らないジャックに本当の世界を見せようと決意する・・・・・。
 
355360_002_640  アイルランドの作家エマ・ドナヒューが、オーストリアであった「地下室親子監禁事件」をヒントに、極限状況での母性や立ち直る力を描いたのがブッカー賞候補作「部屋」。
 同じアイルランドの映画監督レニー・アブラハムから、映画化の強い要請を受け自ら脚本を書いた。
 
355360_007_640  原作はジャックの一人称で語られるが、ドナヒューは二人を主人公にして客観的な視点を取り入れた脚本にした。
 だから狭い部屋に2台のカメラを入れ、一つはジャックの目となり、もう一台は二人の「部屋」の生活を捉えた。
 
355360_003_640  ジャックのサスペンスフルな脱出劇もハイライトだが、映画の主題は「部屋」を出たその先の世界にある。
 両親の離婚を知ったママ、17歳の誘拐された日のまま保存されていた「自分の部屋」を見たとき、思春期のトラウマが爆発する・・・・。
 
355360_006_640  今年のアカデミー賞で、「作品賞」「監督賞」「主演女優賞」「脚色賞」にノミネイトされ、「主演女優賞」を受賞した「ルーム」。
 新進女優としての地位を確立したブリー・ラーソンの演技はもとより、ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイが素晴らしい。
 観客は彼の演技に感涙する。
 
 カナダでTVドラマやCMで活躍する子役だが、今回の出演で天才俳優と称賛されシカゴやラスベガスの映画批評家協会賞を受賞している。
 

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April 16, 2016

2904.桜・浜離宮

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 千鳥ヶ淵・隅田公園・上野公園・新宿御苑など、東京の桜の名所の花見は終わった。
 
 これからは遅咲きの桜が見ごろになる。
 その代表的な庭園が「浜離宮」、ここでは多くの品種を比較しながら楽しめる。
 
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 左から「白妙」「普賢象」「駿河台匂」。
 
 優雅な名前を持つ花は「サトザクラ」、人の手で交配して作られた栽培品種である。
 
 今は「ソメイヨシノ」がほとんどだが、江戸時代に将軍・吉宗の命で墨堤や飛鳥山に植えられた桜は「ヤマザクラ」である。
 庶民に春を楽しんでもらおうと、奈良・吉野の山から移植した。
 
 ところが将軍家の庭園だった「浜御殿」は、「サトザクラ」というのが面白い。
 吉宗はここで、様々な作物の品種改良を試みた。つまり江戸時代の農業試験場だったのである。
 桜もまた、その一つだったのかもしれない。
 
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 大きな花で艶やかな八重が「関山」、花弁が黄色の「御衣黄」、薄緑の「鬱金」は、品種改良や突然変異で誕生した桜である。
 
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 「一葉」「関山」そして「普賢象」。
 
 普賢象だけは室町時代からの古い品種で、葉化した雌しべが普賢菩薩の乗る象の鼻に似ているから、この名がついた。
 
 因みに「日本三大桜」は、「淡墨桜」(岐阜)「神代桜」(山梨)そして「三春滝桜」(福島)。
 前者の二つは「エドヒカン」の1.500~2.000年の古木、滝桜は「ベニシダレ」の1.000年樹だそうだ。
 
 明治になって全国に普及して、今や桜の80%を占める「ソメイヨシノ」は、寿命が50~100年というから原種に近い「ヤマザクラ」系は長生きだ。
 
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 浜離宮では、来月のゴールデンウイークまで「花と緑の集い」が開催中。
 
 この期間、地元中央区民は入園料が無料となる。
 
 
 

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April 13, 2016

2903.4月のシネマ(3)

Yjimagem7yn5lcc_640  エディ・レッドメン34歳、「博士と彼女のセオリー」('14)でホーキング博士を演じアカデミー賞主演男優賞を受賞した、イギリス出身の若手スターである。
 
 ロンドンの実業家一家に生まれ、名門イートン校からケンブリッジ大学で美術史を学んだ。
 
Yjimageos5mfgop_640  モデルを勤めたのち舞台俳優、そして映画では「グッド・シェパード」('06)「ブーリン家の姉妹」('08)「マリリン7日間の恋」('11)などに出演した後、「レ・ミゼラブル」('12)で見事な歌声を披露して大ブレイクした。
 
 その彼が、2回目のアカデミー賞にノミネイトされたのが、今回紹介する「リリーのすべて」。
 作品は、ほかに助演女優賞・美術賞・衣装デザイン賞にもノミネイトされ、エディの妻役を演じたアリシア・ヴイキャンデルがオスカーを獲った。
 
 エディ・レッドメインの次回作は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「ハリー・ポッター・シリーズ」に次ぐ魔法の世界の物語で、今年の冬公開予定。
 
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  「リリーのすべて」
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 世界で初めて「性別適合手術」を受けたデンマーク人のリリー・エルベと、その妻のゆるぎなき愛を描いた実話である。
 
 「英国王のスピーチ」('10)でアカデミー賞作品賞・監督賞を受賞したトム・フーバーが、「レ・ミゼラブル」に続いてエディ・レッドメインとタッグを組んで映画化した。
 
354826_006_640  舞台はコペンハーゲン、新進の風景画家として売れ始めた夫(エディ・レッドメイン)と肖像画家の妻(アリシア・ヴイキャンデル)。
 
Yjimage1eonr6xt_640  結婚6年目だが子供はなく、新婚カップルのような充実した愛の日々を過ごしていた。
 そんなある日、妻に頼まれて女性モデルの代役を務めたことがきっかけとなり、男の肉体に眠っていた本来の女リーリーが目覚めた。
 
Yjimage4c2mtdb2_640_2  心と体が一致しない自分に苦悩を深めていく彼、夫が男で無くなっていく日々に戸惑う妻。
 自ら男と決別して未知の手術に命がけで挑むリーリー、ごく普通の夫婦から親友・姉妹・親子、さらには性別さえ無関係な人間と人間の絆を結んでいく二人の日々が描かれる。
 
354826_002_640  与えられた性を当然として受け取る多くの人間にとっては、「性同一障害」を抱える人の苦悩を理解するのは難しい。
 この愛と性の複雑な領域を、「性を超えた夫婦の絆」で描くことでトランスジェンダーへの偏見をなくそうとした試みである。
 
 10年以上も前に、デヴィッド・エバーショフのノンフィクションを読んだニコール・キッドマンが映画化を進めたが実現せず、その後紆余曲折あって昨年秋に映画は完成している。
 
 

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April 10, 2016

2902.特別展「黒田清輝」

Imgp0017_640  日本近代絵画の巨匠・黒田清輝、今年は生誕150年にあたる。
 上野の東京国立博物館では、それを記念して初の「大回顧展」が開かれている。
 
Img355_640_2  薩摩藩士の子として維新直前に生まれた清輝は、法律を学ぶ為にパリに留学するがフランス絵画に出会い、外光派アカデミズムの画家・ラファエル・コランの弟子となった。
 18歳の時である。
 
Img360_640 7年後、ソシエテ・フランセのサロンに「読書」が入選して画壇デビュー、1893(明治26)年に帰国した後は東京美術学校 の講師・教授、白馬会を創立して西洋美術のアカデミズムを築いた。
 
 53歳で帝国美術院会員、翌年貴族院議員、そして1924(大正13)年58歳で逝去した。
 
Img364_640  黒田の作品は「切手」や「教科書」にも登場した「湖畔」(1897年・重要文化財)や「智・感・情」(1899年・重要文化財) など、これまでも展覧会等で見る機会も多かったが、今回の特別展には彼の全作品に近い202点が一堂に会した。
 
Img366_640  またオルセー美術館から特別出品された師コランの作品「フロレアル」(1886年)や、黒田が共感を寄せたバルビゾン派のミレーの作品「羊飼いの少女」(1863年)など16点も特別に展示されている。
 
Img367_640_2  こうした作品を見ると、黒田が同時代のフランス絵画に刺激を受け、印象派風の明るい表現を取り入れて、日本の洋画界に新風を吹き入れたことがよく理解できる。
 
Img361_640  展示は、年代を追って「画学修業の時代」(1884~1893)「白馬会の時代」(1893~1907)「文展・帝展の時代」(1907~1924)の3部で構成される。
 
Img362_640  左の「婦人像(厨房)」(1892年)は帰国直前の作品でモデルは黒田の恋人だったマリア、右の「菊花と西洋婦人」(1892年)は寄宿先の姉妹を配した。
 
 白馬会時代の作品は先述の「湖畔」が有名だが、後に妻となる照子をモデルに芦ノ湖をバックに描く。
 
Img356_640  この時代の傑作は、1900年のパリ万博に出品して銀賞を受賞した「智・感・情」。
 
 解剖学に基づく日本人の理想的人体像を、日本人モデルを用いて西洋の理想的な人体像に比喩した作品で、日本絵画における人体表現の基本となった。
 3人の女性のポーズについては、今も様々な議論がある。
 
Img357_640  文展開設に尽力して、日本洋画界のアカデミズムを形成した時代の作品の一つが「野辺」(1907年)。
 黒田が理想とした自然の中の裸婦像は、師コロンの教えを正確に伝える。
 
Img359_640_2  左の作品は、自邸での病気療養中に、病室から見える梅林を描いたもので、これが絶筆(1924年)となった。
 
 公的な展覧会には穏健な作品を出品してきた黒田だが、私的にはポスト印象主義や表現主義など、西洋の新しい作風にトライしていたことを、絶筆は物語る。
 
Img363_640  特別展「黒田清輝」は、東京国立博物館蔵の作品のほか国内外27の美術館や個人コレクションを集め、「絵筆で日本を切り開いた日本近代絵画の巨匠」の画風と、その生涯を展観する。
 会期は5月15日まで、観覧料は1.600円。
 
(右の絵は、黒田がフランスから帰国した直後、京都を旅した時の作品。鴨川の水面がキラキラと輝き、舞妓の着物が逆行で彩りされている。) 

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April 07, 2016

2901.4月のシネマ(2)

Yjimageowxjh4yo_640  山田洋次84歳、現役の映画監督であり脚本家である。
 4年前には文化勲章を受章、日本芸術院会員であり、大学の教壇にも立って若い人たちに日本の映像文化を教える。
 
Yjimageai2e46yq_640  その彼が、監督生活50年を記念して撮ったのが「東京家族」('13・ブログ2235号)。
 続いて「小さいおうち」('14・2427号)「母と暮らせば」('15・2785号)と、毎年一本の作品を撮り続けてきた。
 
 今回公開されている作品は、20年ぶりの喜劇である。
 
 「男はつらいよ」シリーズの最終回「寅次郎紅の花」('95)以来、彼は「たそがれ清兵衛」('02)「隠し剣鬼の爪」('04)「武士の一分」('06)と時代劇を、「母べえ」('08)「おとうと」('10)と家族をテーマにした作品を撮ってきた。
 
 「今は非常に重苦しい時代。だからこそ喜劇が必要だ」と、2年前の秋にはクランクインして昨年3月には完成していた作品が「家族はつらいよ」だった。
 ただ、昨年が「被爆70年」にあたるので、後に撮った「母と暮らせば」を先行上映した。
 
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  「家族はつらいよ」
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 「家族とは、大切なものではあるが、同時に難儀でやっかいなものです。そういう意味合いで『家族はつらいよ』という題名にしました」と山田監督は語る。
 
 直前に撮った「東京家族」と「男はつらいよ」とを併せたタイトルは、彼が長年テーマにしてきた「家族」と代表作「男はつらいよ」へのオマージュ となっている。
 
Yjimage4bae4lj3_640  お話は、熟年夫婦の離婚騒動に始まる。
 同居している長男一家や、夫婦喧嘩が絶えない長女と冴えない婿、独身の次男と恋人たちが、突然の事態でパニックに巻き込まれていくというもの。
 
 まさに「王道の喜劇」映画で、ユーモアとペーソス溢れた人間ドラマである。
 
 作品は、尊敬する小津安二郎の「東京物語」をリメイクした「東京家族」の撮影中、キャストたちと山田との雑談の中から、原案は生まれたという。
 「『東京家族』ならぬ『崩壊家族』という喜劇ができる」と、山田監督は脚本を書き始めたらしい。
 
Yjimage60slouhy_640  ということで、スタッフ・キャストは山田組「東京家族」の再結集。
 
 まず熟年夫婦は橋爪功×吉行和子、長男夫婦は西村雅彦×夏川結衣、長女夫婦が中嶋朋子×林家正蔵、次男と恋人が妻夫木聰×蒼井優。
 ほか小料理屋の女将・風吹ジュン、探偵・小林稔侍、医師・笑福亭釣瓶、警備員・笹野高史・・・・。
 
191980_640_2  ハイライトは、5日間かけて撮った全員集合の長い長い「家族会議」シーン。
 長セリフもいとわず、8人の家族と恋人がその持ち味を生かして絡む。
 果たしてこの家族は、どうなるのだろうか。捨てられそうな夫の行く末は・・・・。
 
 山田監督のコメント。
 「人間のおかしさを正直に伝え、〝愚かなのは俺だけじゃないんだ″と笑い、またちょっと悲しくなる。『男はつらいよ』もそうだし、僕にとって喜劇とはそういうものだ」
 

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April 04, 2016

2900.4月のブックから

 私が愛読している歴史・時代小説家が、次々と亡くなる。
 昨年秋に宇江佐真理さんが66歳で、春には火坂雅志さんが58歳で、一昨年は山本兼一さんが57歳の若さで急逝した。
 
Yjimage_640  そういえば司馬遼太郎73歳、藤沢周平69歳、池波正太郎67歳、隆慶一郎も66歳と、諸先輩たちも私より若い年代でこの世を去っている。
 
 もう新たな作品に出会えない寂しさを味わいながら、全著作を次々と読了しているが、今号で山本兼一作品23冊を読み切った。
 
 山本作品については、このブログ2595号・2599号・2616号、そして先月の2891号と4回にわたって紹介してきたが、今号が最後になる。
 
As20140318004080_comm_640  改めて山本の略歴を記しておこう。
 
 1956年、芭蕉などの研究で知られる国文学者・山本唯一の長男として、京都で生まれる。
 同志社大文学部を卒業後、出版社に勤め14年前に「戦国秘禄 白鷹伝」で作家デビューした。
 
Yjimage2w76uxrz_640  2004年「火天の城」で松本清張賞を受賞、同作は直木賞候補にもなる。
 2008年の「千両花嫁」も直木賞候補、そして翌年「利休をたずねよ」で直木賞を受賞した。
 
 単行本では2891号で紹介した「夢をまことに」が最後だが、中央公論に連載中だった「平安楽土」が未完の絶筆となった。
 
 今号で紹介するのは、彼が最も旺盛に執筆活動をしていた頃の11作目の上・下巻、「命もいらず名もいらず」である。
 なぜかこの作品は最後に読もうと思い、図書館の棚に「残しておいた」2冊である。
 
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  「命もいらず名もいらず」(NHK出版刊上・下巻)
 「とんでもない男である。
 世に正直者や、志の高い人間は多いが、この男ほどまっしぐらな人間はめずらしい。
 名は、小野鉄太郎高歩。のちに山岡家に養子に入り、号して山岡鉄舟と称す。
 そもそも、子供のころから、ちょっと度がはずれている。人として立っている場所が、ふつうではない。」
 
  幕末から明治にかけて「歴史」を動かした、山岡鉄舟(1836~1888)の伝記小説は、第1章・遺言から始まる。
 
Yjimagel1my07n2_640_3  後に飛騨奉行になった600石の旗本、小野高福の四男として江戸・本所に生まれた鉄太郎、9歳にして直心影流を学び飛騨では北辰一刀流の師範・井上清虎の門に入る。
 父の死後江戸に戻り、幕府が開いた講武所で井上のもと剣術世話心得を務める。
 
 偶然に門をたたいて弟子になった忍心流槍術・山岡静山の妹と結婚、百俵五人扶持御家人・山岡家の婿養子となる。
 この結婚を勧めたのが静山の弟・泥舟、のちに勝海舟と並んで「幕末三舟」と呼ばれる絆は、こうして生まれた。(第2章・鬼鉄)
 
P21029b_640  幕臣時代には、千葉道場で知り合った清河八郎らと攘夷運動を起こし、浪士組を率いて上洛するが、彼らの過激な行動に倒幕の臭いを感じ江戸に引き戻す。
 京に残った佐幕派、芹沢鴨や近藤勇らは新選組を結成する。
 そして清河が暗殺され、山岡も謹慎処分を受け蟄居する。(第3章・攘夷)
 
Yjimagezm8zn0aw_640  32歳で、大政奉還した最後の将軍・徳川慶喜を守る精鋭隊の歩兵頭。
 江戸無血開城を決した勝海舟の使者として、単身駿府に赴き官軍参謀・西郷隆盛に会い、将軍・慶喜の身の安全保障を取り付けた。(第4章・朝敵)
 
Yjimage3_640_2  維新後は、徳川宗家の家達に従い駿河藩の藩制補佐。
 ここで知り合った清水次郎長とは、終生友誼を深めた。(第5章・流転)
 
Yjimage1_640  36歳の時、西郷のたっての願いで宮中に出仕し、明治天皇の侍従となる。のち宮内大丞等を歴任、子爵に。
 1883年には維新に殉じた人々の菩提を弔うため、谷中に全生庵を建立した。(第6章・大悟)
 
 49歳で一刀流小野宗家から道統を継承、一刀正伝無刀流の開祖となる。
 そして3年後の7月19日、皇居に向かって結跏趺坐して絶命した。
 享年52歳、全生庵に眠る。(第7章・無風)
 
Yjimage2_640  山岡鉄舟は、幕臣・政治家・思想家・剣術家として一生を終えたが、彼の生きざまを支えたのが「禅の道」だった。
 
 川口・長徳寺の願翁に始まり、藤沢・龍沢寺星定、京・相国寺独園、天龍寺・滴水らに学び、後年滴水和尚から印可を与えられた。
 彼は禅の道を広めるために、非僧籍の座禅会を催した。全生庵での座禅には、今も多くの人たちが参加している。
 落語家として知られる三遊亭園朝は鉄舟の禅の弟子、今も谷中・全生庵で「圓朝まつり」が開かれるのは、こうした縁からである。
 
Img347_640  「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。
 此の仕末に困るものならでは、艱難をともにして国家の大業は成し得られぬなり。」
 
Img335_640  旧庄内藩家老山田済斎が編集した「西郷南洲遺訓」(三十)に記されているこの一文、西郷が山岡鉄舟を称賛して述べた言葉が、本の「タイトル」となった。
 
 上下2巻、780ページの大著、人を愛し女を愛し酒を愛し、清貧の中で生涯を終えた人間・鉄舟の姿が、多くのエピソードとともに描かれる。

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April 01, 2016

2899.4月のシネマ(1)

Data_640  2008年9月15日、ニューヨークに本社を置くアメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが、倒産した。
 路頭に放り出された従業員は2万8000人、それが引き金となって世界中が金融危機に陥った。
 
 「バブル」がはじけてから8年、その事実はまだ我々の記憶に残ってはいる。
 しかし「リーマン・ショック」そのものは、「歴史の1ページ」になりつつある。
 
Img285_640  そのためか事実はドラマ化され、映画が製作される。
 先月公開された「ドリーム・ホーム」は、はじけた住宅バブルで家を追い出された人を描く。
 そして今月、金融危機の裏側に迫った「マネー・ショート」が上映されている。
 
 「マネー・ショート」は経済解説ドキュメンタリーを、極上のエンターテインメントに仕上げた映画といえよう。
 ただし作品を楽しむためには幾つかの経済用語を理解しておく必要がある。
 
 例えば、タイトルとなった「マネー・ショート」とは、株や債券の空売りのこと。値段が高いうちに売って、安くなったら買い戻して儲ける仕組み。
 
354963_006  先月の「ドリーム・ホーム」のキーワードだったのが、「サブプライムローン」。
 返済能力が疑わしい貧乏人にまで、バンバン貸し付けた住宅ローン。
 最後は返済できずに、担保だった住宅は取り上げられる。
 
 映画の中で、「モーゲージ債」「CDO」「CDS」という言葉が飛び交う。
 
 不動産抵当権を債券化したものを「モーゲージ債」、やばいモーゲージ債を切り刻み様々に組み合わせて「お得で安全な商品」として売ったのが「CDO」。
 債券が暴落した時その損失を補償する保険、それが「クレジト・デフォルト・スワップ」(CDS)である。
 
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  「マネー・ショート」
 
 原題は「The Big Short」、映画「マネー・ボール」で知られるベストセラー作家マイケル・ルイスの著書「世紀の空売り」が原作。
 前作に因んで邦題を「マネー・ショート」とした。
 
 副題に「華麗なる大逆転」と付けたので、ドラマの結末は判ってしまうが、原作者は「世界経済の破たんに賭けた男たち」とした。
 
354963_005_640  つまり実在した「4人のアウトロー」をモデルにしたドキュメントを、4人の大スターたちがスリリングに演じた作品である。
 
354963_001_640  まず「ザ・ファイター」('10)でオスカーを獲ったクリスチャン・ベールが演じたのが、医者でもある鬼才トレーダー。
 サブプライム・ローンの暴落を予想して、大量の「CDS」契約を銀行と結ぶ。
 
354963_002_640  「フォックスキャッチャー」('14)でアカデミー賞にノミネイトされたスティーブ・カレルは、大手投資銀行傘下のヘッジファンド・マネージャー。
 サブプライムローンの異常な実態を知り、格付け会社のインチキを見破る。
 
354963_003_640  「ハーフ・ネルソン」('06)でアカデミー賞にノミネイトされたライアン・ゴズリンクは、ドイツ銀行に勤める若き野心家の役。
 ベールの演ずるヘッジファンドのバックについて、CDSの購入を勧める。
 
354963_004_640  「マネー・ボール」('11)でアカデミー賞にノミネイトされたブラッド・ピットは、今も業界に絶大な影響力を持つ元銀行家。
 冷静な分析力を駆使し、ウオール街が犯しつつある巨大なミスにつけ込み、若きトレーダーたちをサポートする。
 
 そして幕は切って落とされた。
 「リーマン・ショック」の3年前、金融破綻を見抜いた男たちが一世一代の勝負を賭けたのだ。
 そして勝った。
 
354963_007_640  しかし「華麗なる大逆転」を手にした男たちが知る事実、政府やウオール街のエリートたちに振り回された「ツケ」は結局弱者たちに回り、アメリカは1:99の壮絶な格差社会となったのである。
 
 この馬鹿馬鹿しい歴史的事実を「悲喜劇」として撮ったのは、アダム・マッケイ監督。
 チャールズ・ランドルフと共同で書いた脚本は、今年のアカデミー賞脚色賞を受賞した。

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