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May 06, 2016

2911.5月のシネマ(1)

20130213135949_640  アカデミー賞の最高峰は、作品賞と言われている。
 各部門の選考は、それぞれ属する会員の投票で決まるが、作品賞だけは全会員の投票によって決まる。

 2008年までは、5作品が事前投票によってノミネイトされてきたが、2011年からは全投票の5%以上を獲得した5~10本がノミネイトされるようになった。
 会員の嗜好の幅が、広がってきたからである。

 今年作品賞にノミネイトされたのは以下の8本、すでに5本はこのブログで紹介した。

166046_03_640  「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(ブログ2537号・'15.8.6)

 「ブリッジ・オブ・スパイ」(2794号・'16.1.18)

 「オデッセイ」(2884号・'16.2.16)

Img315_640  「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(2899号・'16.4.9)

 「ルーム」(2905号・'16.4.19)

 「レヴェナント:蘇りし者」(現在公開中)

 「ブルックリン」(7月公開予定)

 そして作品賞を受賞したのが、これから紹介する「スポットライト 世紀のスクープ」である。 

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   「スポットライト」

 世界中のカトリック教会の神父たちが、長い間子供たちに性的虐待を繰り返してきた。
 そんなおぞましい事実を、ヴァチカンを頂点にした教会が組織ぐるみで隠してきた。

Img377

そんな信じられない事件を、ある地方紙が地を這うような調査報道で明らかにした。
 タイトルの「スポットライト」は社内の調査報道プロジェクト名、そして紙上の特集名である。
 
 作品は、この「特ダネ」によって1993年ピュリツアー賞を受賞したボストン・グローブ紙の調査報道編集部「スポットライト」の4人の記者を主人公に、フィクションを交えることなく事実をそのまま映画化したもので、登場人物も実名である。 

355060_006  映画は、親会社のNYタイムスから派遣された新編集局長(リーヴ・シュレイバー)が埋もれていた「神父による児童性虐待事件」の掘り起こしを、「スポットライト」チームに命じたことから始まる。

 アメリカの古い都市ボストン、教会は地域の中で絶大な権力を持ち、新聞の読者の半数以上がカトリック信者。
 しがらみのないユダヤ系の編集局長だからの発想だが、「スポットライト」チームの記者魂を目覚めさせる。

355060_003  ボストンっ子のデスク(マイケル・キートン)は、人脈を生かし教会側の弁護士だった友人をゆさぶり、若手記者二人(マーク・ラファロ+レイチェル・マクアダムス)は被害者や被害者側の弁護士を取材、中堅の記者(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)は過去の資料を漁る・・・・・。

355060_009  監督で脚本も書いたトム・マッカーシーは、ボストンに何回も足を運び記者たちに話を聞くだけでなく、当時のメモやメールを元に当時の取材のプロセスを丁寧に脚本に込める。

 「暗闇の中を模索していた自分たちが、ありのままに描かれている」と、モデルとなったデスクが語るように、作品はシンプルでストレート、地道に調査を続ける記者たちの姿を再現した。

 「スポットライト」は、アカデミー賞作品賞・脚本賞をW受賞したが、若手記者として出演したマーク・ラファロとレイチェル・マクアダムスも、助演男優賞・助演女優賞にノミネイトされた。

 二人が演じた記者は、現在も「ボストン・グローブ」社に在籍している。

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