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July 13, 2016

2934.7月のブックから(2)

Yjimage_640  森村誠一83歳、推理小説の大家であり、ノンフィクション作家でもある。
 
 「高層の死角」('69)で江戸川乱歩賞、「腐食の構造」('73)で日本推理作家協会賞、「人間の証明」('76)で角川小説賞を受賞するなど、次々とヒット作を生み出した。
 
 その森村が、'80年代ころから時代小説を書き始めた事は知っていたが、推理小説家としての彼のファンだったためか、読むのは敬遠してきた。
 
 先日ふと図書館の棚を眺めて、彼の時代小説を手にとってみた。
 面白い。一気に読める。とことんエンターテインメントにこだわる。
 荒唐無稽な筋立てもあるが、一応実在人物も登場させて時代背景を語る。
 それが吉川英治文学賞受賞作「悪道」('10)だった。
 
Img419_640
 
  「悪道」
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 「悪道ー現世で悪事を犯した者が、死後、落ちて行くところ。地獄、餓鬼、畜生、阿修羅の四悪道の意味」
 こんな書き出しから始まる時代小説だが、「悪」にプラスのイメージを想像させる。
 
 悪源太、悪五郎など、その人が抜群の能力、気力、体力、超常の能力を持つ人の名。
 また「悪道」は通常の道ではなく、常に危険や、困難や、敵などと戦い、これを克服しなければ生き残れない「超常の道」である。
 後にシリーズとなる「悪道」の主人公・流英次郎は、そんな人物であり「悪道」を歩き続ける。
 
Imgp0018_640_2  時代は五代将軍・徳川綱吉の治世、あの悪名高い犬公方である。
 そして彼を取り巻くのが柳沢吉保であり寵僧・隆光、この物語の悪役となる。
Imgp0002_640  柳沢邸に御成りになった綱吉が、脳卒中で急死したというフィクションから物語は始まる。
 
 柳沢は将軍の影武者を立てて権力の保持を策すが、それを見破ったのが主人公・栄次郎。
 伊賀者の彼は、上様の添番として駕籠脇についていたのだ。
 
 その栄次郎を亡き者にしようと、柳沢が放った暗殺集団「猿蓑衆」との壮絶な闘い、小説はクライマックスへ。
 
 闘いの中で栄次郎と縁を結んだのが、将軍の最後を看取った奥医師の娘・おそで、累代影武者の教育を務めた幕臣の遺児・道之介、夜盗の頭目・雨宮主膳、猿蓑衆を離れ栄次郎側についた霧雨、掏摸の名人・銀蔵、雲助の弥ノ助と愛馬「かさね」。
 
 彼ら「流軍団」が、影将軍に忠誠を誓い公儀隠密として活躍するのが、以下のシリーズである。
 
Img420_640_3Img421_640_5Img422_640 「西国謀反」は中国地方の大藩・浅尾家(モデルは安芸藩・浅野家?)が舞台。
 
  歴代当主の不審死、柳沢と手を組み お家乗っ取りを図る家老、その配下である残忍な暗殺集団「風炎衆」と「流軍団」との死闘が綴られる。
 
 「御三家の刺客」は、紀州藩・尾州藩がからむ陰謀との闘い。登場するのは紀伊の「根来衆」であり 、尾張の「甲賀忍軍」。
 
 第4集の「五右衛門の復讐」は、百十余年前に釜茹でにされた石川五右衛門所縁?の者たちとの「決戦」となる。
 
Img447_640Img446_640Img445_640 改めて 森村誠一の「棚」をチェックした。
 
 剣の腕はピカ一の脱藩浪人が活躍する「刺客請負人シリーズ」、大名のご落胤が主人公の「暗殺請負人シリーズ」、そしてこの「悪道シリーズ」。
 
 ここ10年森村は、その歳を忘れさせるように、精力的に「爽快時代小説」を書き続けている。

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Comments

森村誠一さんも82歳?とはね。でも、お元気ですね。
見事な時代劇書かれたなんて・・・詩劇になりました。

Posted by: 根保孝栄・石塚邦男 | July 16, 2016 at 01:43 AM

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